Octpus - Restless night

Restless Nights

 まずはアルバムジャケットを見てほしいんだけど…。ここまでセンスのない…と言うのか、わかりやすいと言うのか(笑)、何となく海外のマンガってこういうのから始まっているんだろうな、というような印象そのもののジャケットです。タコ女なんだけどどこか超然と宇宙人っぽくしていて、海の底=海底人種なんていう感じなのかね。きっと地球を攻めて人類を滅ぼすミッションを追った悪者なんだろう、と(笑)。いや、そういう感じでさ、最初見た時は笑っちゃったもんね、これ。バンドロゴもそれらしくなってるから余計にさ、コミカルな感じでウケた。他はあんまり見ることのない類のジャケットだからインパクトはあったよ。

 1970年にリリースされたオクトパス唯一のアルバム「Restless Nights」です。シングルではその前から活動していたみたいだけど、結局CD再発時に全部収録されたらしいので問題なし。そんなジャケットの印象は割と中身の音にも当てはまっててさ…、ハードな要素が詰まったカラフルサイケポップ的ロックなんだな。っつうかどっちかっつうとハードロックに近いサウンドが基本になってて、そこに時代の洗礼を浴びてカラフルにコーラスや色々な楽器を入れたりして、メロディもポップに奏でているというものだ。でも、ギターとか思い切りファズだったりするし結構エッジ立ってるからハードな部類のハズ。まぁ、アルバムの音がちょっと中音域に集められたようなサウンドなのでパンチはあるけど煌びやかには聞こえないという残念な面もありだけど、その分迫力と音圧があるのでハードな曲は結構重く聞こえる。

 昔聴いた時はもっとサイケよりかと思ってたんだけどね、久々に聴いたらハードロックよりだったことに気付いて…、あれこれ見てるとポール・グリッグスとナイジェル・グリッグスという兄弟によるプロジェクトだったそうな。そんでこの「Restless Nights」をプロデュースしたのがPlastic Pennyというバンドのベーシストであるトニー・マーレイという人脈。なかなか面白いが…、内ジャケってのもこれまたエグいので載せておこう~♪

Restless Nights




Rainbow Ffolly - Sallies Fforth

 60年代末のサイケデリックムーブメント、ピンク・フロイド然り、ザ・フー然り、もちろんビートルズ然り、ストーンズ然り、とロックの大御所と呼ばれるようになったバンドはこの頃に洗礼を受けて、且つ独自のサイケデリックの解釈をアルバム単位で表現している。プリティ・シングスなんかもそのひとつ。そんなところからプログレなんかも出てきているのだろうけど、一方では超ポップってのも特徴的に出てきている。ELOとかさ。

Sallies Fforth

 さてさて、そのビートルズの名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」並に楽しいとも言えるRainbow Ffollyというバンドの唯一作品「Sallies Fforth」なんてのも聴いてみてほしいね。アルバムリリースは1968年なのでまあ、ちょっと遅れてのサイケデリックポップの登場になるのかもしれないけど、その分洗練されている。アルバム全体感がザ・フーの「セル・アウト」並にコンセプト的に面白おかしく作られていて更にポップさが増している。だから聴いていると非常~に楽しい気分になってくることは間違いのないところだが、その分きちんとセンスあるメロディを聴かせてくれるしアレンジもそんな調子なのでよろしいよ。

 バンドとして才能あるか?ってのはよくわかんないけど、少なくとも音作りという面で革新的なものから発展させて独自のフィーリングを持ち得たというのはあるんじゃないかな。何かが足りないから何度も何度も聴いていくというアルバムにはならないのだけど(笑)、多分それは各楽器のインパクトみたいなものかもしれない。かなり歌とコーラスワークで雰囲気を作っているところがあるからさ。

 ジャケットも正に時代を反映したサイケデリックにカラフルに仕上がっていて昔から気になっててSee For MilesからCD出た時に聞いたのかな…。アナログ盤は見かけなかったなぁ、結局。それでも十分に楽しめまして…、カラフルサイケポップ好きな人にはかなり好反応のRainbow Ffolly、時代の象徴ですよ。



Wil Malone - Wil Malone

 Orange Bicycleのサイケデリック且つポップでカラフルな展開とは裏腹に、中心メンバーでもあったWil Maloneという鍵盤奏者はその才能を解き放ち、即座にソロアルバムをリリース。それが1970年のことなので、まったくOrange Bicycleと時をほぼ同じくしての活動だったのか、活動停止後即座に動いたのかよくわからないけど、素朴なアルバム「ウィル・マローン」が出来たのだな。

ウィル・マローン

 カラフルなOrange Bicycleとは正反対に純朴で素朴でシンプルにしゃがれた声で聴かせるシンガーソングライター作品的なメモリアルとなってる。最初期のデヴィッド・ボウイみたいなサウンドがいっぱい詰め込まれていて、それがまたかなり良質なセンスを感じるモンだから面白い。英国人ってのは普通にこういう音が出せるものなのだろうか?ってくらいにボウイの初期作品と同じ音してるもん。ニッキー・ホプキンスとかも参加しているようなので、スタジオミュージシャンでもあった、そしてモーガンタウンスタジオの主でもあったWil Maloneならでは音作り。それは素朴に自分を出したもので、何も凝ってないし装飾も施していない、そんな純朴な音。時代を反映して多少カラフルにはなってるけど、やっぱりボウイの最初期と同じ表現程度。あの「Space Oddity」を出す前あたりのボウイね。

 ジャケットはちょっとサイケデリックな印象で、妖しげなのであまり手を付けたいっていう絵じゃないんだけどさ、かなり好きな音だな。驚くのはこのWil Maloneって人はこんな純朴な音やっていながら、その後あのIron Maidenのファーストアルバム「Iron Maiden」のプロデューサーもやっているという人です。なんだろね、その振れ幅の大きさは(笑)。今でも新しいバンドの作品を手がけていたりする裏方の大御所になっているみたい。知らず知らずにアルバムにクレジットされている人なんかな、今は。そんな歴史的な方の多分唯一のソロ作品「ウィル・マローン」。良い雰囲気ですよ~。



Orange Bicycle - Orange Bicycle

 以前からず~っと聴きたくて全然手に入らなくてジャケットの写真を本とかで見るたびに気になってしょうがなかったアルバムが、このOrange Bicycleというバンドの唯一の作品「Orange Bicycle」なのだった。もちろんこの惹き付けるようなセンスはヒプノシスの手によるものでして、なるほど…と思うくらい人間心理を巧く突いている。何が?ってのはわからんが、ジャケット見てると気になるんだよね、細かいところがさ。どこかチグハグな印象を持たせるっつうかさ…。この絵で言えば神父さんが落書き?みたいな。でも、手前の日銭稼ぎは?そんで落書きの絵の中にはメンバーの似顔絵…、奥に見えるオレンジがアクセントになってバランスも絶妙。これぞアート♪

オレンジ・バイシクル(紙ジャケット仕様) ヒヤシンス・スレッズ

 1970年リリースなのでちょっと意外。60年代だと思ってたからさ…、ま、大して変わらないんだけど。ビートルズで有名なEMI傘下のパーロフォンレーベルからリリースされたファーストアルバム「Orange Bicycle」のみの活動…。またか(笑)。いやいや、それでも中心メンバーのWil Maloneは後にソロ作「ウィル・マローン」も出すし、その後にはプロデューサーやら何やらと絡んでます。意外な一面もあるんだけど、それはまた次回ってことにして…、まずはOrange Bicycle

 意外なことにですね、ボブ・ディランやエルトン・ジョンなんかのカバーも入っていて、わかるように相当ポップでカラフルな音を産み出してます。音がやたらと古臭く聞こえるのもあるんだけど、サイケでもなくって歌は割とシャガレ系でともすれば熱唱型なのにポップに歌っているから妙なバランス。曲調はもうポップでキャッチーだけど…、アレンジや展開が結構ヘン(笑)。何だろう…、Bernie Leeさんという人がギターを弾いているんだけど、これがやたらとファズでして…、そこにWil Maloneのクールなピアノが鳴るし、ベースもこれまた自己主張が強くてねぇ…、更に効果音があちこちに入ってくるサイケ効果もあるという不思議な音世界。わかるのは売れないだろうなぁ…ってことくらい(笑)。

 でもね、聴きやすいから聴いていると割と直ぐに聴き終えてしまうし、何だったんだろ?って思うからまた聴けるし…、ジャケットに救われている部分が大きいけど、妙に気にはなる音で…。英国然とした世界なんだな、これ。ヘンなの…。CDネット時代になってようやく手軽に入手できた一枚なので、もうちょっと早めに聴きたかったなぁ…、まぁ、満足です。待ちくたびれたアルバムだったから。

The Liverpool Scene - Amazing Adventures of

 ちょっと前にBrand Xを取り上げた時、ベースのパーシー・ジョーンズのもの凄さを覚えているだろうか?なんぞやこれ?ってなくらいのベースを縦横無尽に聴かせてくれて、そのテクニックとセンスにはびっくりしたんだけど、そのパーシー・ジョーンズにももちろん下積み時代ってのがありましてですね、まぁ、あちこち調べているとBrand Xであのベースプレイにぶっ飛んだ人達もやはり過去を洗って辿るみたいなんですが、なかなか入手できないということで割とおざなりになっているThe Liverpool Sceneという60年代末期からのバンド、聴いてみると相当驚いたことになるだろう…。

Amazing Adventures Of/Bread on the Night Amazing Adventures Of/Bread on the Night

 1969年リリースのファーストアルバム「Amazing Adventures Of」だけど、今はアマゾンでも2in1くらいでしか売ってないし、しかも廃盤か。手に入らないだろうしなかなか再発もしないだろうし難しいねぇ…。アルバム「Amazing Adventures Of」は冒頭からパーシー・ジョーンズです。ベースから始まるアルバムなんです。んで、そのベースがこのアルバムを聴いてもやっぱりちょっといやらしい音してるのでタダモノではないってのはわかる。うん、個性的。Brand Xを知ってるからってのもあるけど、The Liverpool Sceneを聴いただけでもその個性は際立つよ。

 ただしこのThe Liverpool Sceneと言うバンド、相当に個性的でしてかなりアヴァンギャルドっつうかビートニク世代のポエトリーリーディングを中心としたバンドってのかね、演奏そのものはそれほど重要視されていない…割には非常~にサイケデリックに凝ったサウンドだったりジャジーだったりするので侮れないんだけど、かなりヘン(笑)。割とアチコチで名前を見かけるアンディロバーツなんてのも参加してたりするのでこの頃のテクニカルな方々はやはり類は友を呼ぶと言うようなところなんだけどね…。

 面白いのは所々で聴けるフォークソング。もう、何の変哲もないフォークソングなんだけど、ディラン風かと思えばツェッペリン的に聞こえるのもあってその実相当センスは良いんじゃないかと思える英国的バンドでもあるという姿。なんでまたこんなポエトリーリーディングというようなスタイルと冗談というキーワードをチョイスしたのか…、時代だろうか。故にサウンドの入っている曲は凄く聴き応えがあるけど、個人的にはポエトリーが入ってくるとちょっと興醒めかな。まぁ、でもやっぱこういうのも英国ですか。



Delivery - Fools Meeting

 カンタベリーの重鎮となった面々…、Phil Miller、Steve Miller、Pip Pyle、Lol Coxhill、Richard Sinclairなどなどですら最初にシーンに出てきた時にはやっぱり初々しい(笑)。最初からカンタベリーのあの世界観をわかっていてやってたワケじゃないだろうから余計にそうなんだけど、この時期であれば既にソフツは割とジャズ~な世界だし、キャラバンは独自の進化を遂げている頃か…、それでも1970年という時代はまだまだ早熟な時代だったのだ。だから故に全く何でもありの音楽が全て脚光を一瞬だけでも浴びて世に出てこれたし、逆に言えばこの時代じゃなければ世に出てこれなかった人は多かったのではないかと。

Fools Meeting Mother

 1970年にリリースされたDeliveryというバンドのアルバム「Fools Meeting」ですが…、上記面々がバックを務めていて、歌はちょっと前にこのブログでも登場した後にUncle Dogというバンドでも歌を歌うこととなる英国のジャニス・ジョプリンと呼ばれたキャロル・グライムズなのですな。なのでカンタベリーシーンとポール・コゾフが繋がってしまって…そうするともう何でも繋がっていくという英国ロックファミリートゥリーの世界(笑)。いやいや…、それはともかくですね、このDeliveryというバンドは面白いです。カンタベリーの独特の雰囲気があそこまで打ち出される以前のジャズチックな淡々とクールな演奏にキャロル・グライムズの熱いブルースな歌が被ってくるので、圧倒的にキャロル・グライムズの歌にバックが引き込まれている。だからDeliveryというバンドをカンタベリーのルーツから紹介された時にはかなり異質なバンドとして映る。フィル・ミラーもリチャード・シンクレアもピプ・パイルもいるのに、だ。両方の世界を知った上でこのDeliveryと言うバンドを聴くと非常~に面白い。それはもちろん間奏などになるとちょっとピプ・パイルのギターがロック寄り過ぎるキライはあるけど、後のカンタベリーサウンドと呼ばれる音の未熟な姿が聴けるから。そこをキャロル・グライムズは独自の感性で歌を入れているからね。

 ロックの世界で融合というのは当たり前のように行われているけど、分離という姿はあまり多くないので、Deliveryのサウンドについて言えば分離という姿を実現したバンドかもしれない。キャロル・グライムズはブルースからスワンプの世界へと歌声を自慢に歩んでいったし、バックはそのままカンタベリーサウンドへ邁進。ブルースとカンタベリーが同居した唯一のアルバムがこの「Fools Meeting」なのかもしれないね。そしてそれは明暗くっきりと聴いている側にも分かってしまうくらいのアンバランスさだった(笑)。いや、だからこそ面白かったんだと思う。他にないサウンドだし。そんなユニークな試みは知ってて行われたのか、偶然の産物か…、いずれにしてもどちらの個性も殺すことなく見事に同居していた軌跡のアルバム「Fools Meeting」です。



Egg - Egg

 なんかルーツ・オブ・カンタベリーみたいになってしまっているのだが、単にデイブ・スチュワートを追いかけると自然にそうなってしまうワケで、やはりカンタベリーシーンの重要な人物なのですねぇ。今度は60年代末期から70年代にかけて活躍(?)したその筋では有名且つハイレベルな楽曲と演奏を奏でていたバンド、Eggの最初のアルバム「Egg」を書いておきましょう~。

Egg Polite Force

 メンツはデイブ・スチュワートとモント・キャンベル、ドラムにクライブ・ブルックスというトリオの布陣で鍵盤、ベースとドラムという編成なので果たしてどんなん?ってのが最初なんだけど、まったく問題のないカンタベリー…というか鍵盤ロックなんだよね。ロック?うん…、そう。オルガンやピアノ中心で淡々と奏でられているものもあればモント・キャンベルがか細い声で歌うものもあって、もちろん歌が入っている方がポップ性が高いんだけど、演奏面ではエマーソン先生のNiceよりも激しくて面白いかもしれない。時代的に被る頃だと思うけど、メンツのテクニックの差がよく出ているモン。そして楽曲の在り方も全く異なるアプローチなので新鮮でクール。

 デビューアルバムは1969年のリリースで後に聞かれるカンタベリー性というほどのものじゃないんだけど、断片はいくつも聞けるし、雰囲気はしっかりと伝わってくる。でもね、それ以上に同時代のオルガンロックバンドとして聴くととんでもないバンドサウンドで熱く激しく奏でられる楽曲もいくつか収録、そしてB面では20分かけての組曲を思い切り展開するという個性的な音。モント・キャンベルのベースラインも凄いんだよ、これ。そこにデイブ・スチュワートの訳の分からない鍵盤が絡んできて…凄い世界。今こういうの考える人いないだろうし、時代ならではなんだけど、とんでもなく激しく素晴らしい。カンタベリーシーンを苦手と感じている人はこのEggのファーストアルバム「Egg」をお薦めしよう。なぜなら60年代末期のオルガンロックとして普通に聴ける部分が大きいから。若気の至りとも言うが(笑)。

 ジャケットがこれまたEggでして…、どこか意味深でインパクトあるよね。正に70年代の幕開けに相応しい名盤とも言うべき作品、且つカンタベリーシーンの原石ともなるアルバムとメンツ。うん、ジャズロックという括りでは当てはまらない独自性の高いロックはやはり面白いっ!



Hatfield and the North - Hatfield and the North

 意識的に流れからカンタベリーは避けていたんだけど、やっぱり絡んでしまうよねぇ…。デイブ・スチュワートの軌跡ってワケじゃないけど、やはり一歩前に遡ってカンタベリー史上の名バンドとも呼ばれるHatfield and the Northのセカンド名盤「The Rotters' Club」を…と思ったが前に書いてしまっているので、今回は実はかなり名盤の域に入るファースト「Hatfield and the North」です。

Hatfield and the North The Rotters' Club

 1974年発表の全くカンタベリーとはこういう世界なのか、と言った世界観を出した作品でもあるし、時代的にもクロスオーヴァーなサウンドを編み出し始めた頃とも言え、その実アメリカでフュージョン系が出てくるよりも早く同じアプローチを試みているとは言い過ぎかね。まぁ、比較対象が異なるからそういう見方もしなくてさ、英国カンタベリー路線から聴いていくと至極当たり前の世界に到達しているという気もする。

 えっと…音的には英国クールジャズとロックの変拍子と淡々とした姿、更に優しい歌声だったり知性を圧倒的に感じる音世界。面白いのはそれでもバンドの基本構成は一般と同じくギター、ドラム、ベース、鍵盤、歌、なんだよね。だからロックバンドなんだが…、不思議だ。もっともゲスト陣に…ファーストアルバムでゲスト陣ってファミリーじゃなきゃできないっていうのもあるが(笑)、サックスやフルートの管楽器系、それと実は非常~に話題とならなければいけないのがロバート・ワイアットの事故復帰後最初のボーカル参加作品…これがまた優しく奏でる美しい世界へ誘ってくれるのでもう夢見心地の空間に一気に突入。全てを忘れて没頭できる瞑想の世界だもんなぁ…。

 うん、なんかこのまま聴いているとカンタベリーの世界をウロウロしそうだな…、そんな魅力がある世界だし、秋ってのもそれを冗長する…、いいよ、この幻想的な世界観。アルバムジャケットも地味だけどよく見ると英国の霧と鬱をよく表しているでしょ。現実逃避できる素晴らしい音に安らぎを求めるには最高のアルバム。ちなみに初心者でも全然聴きやすいポップさと軽さもしっかりと持ち合わせているので問題なし。また近いうちにこの世界には戻ってこよう…。



National Health - Missing Peaces

 ビル・ブラッフォードのドラマーとしてのイメージは恐らく大多数がイエスなのだろうし、キング・クリムゾンなのだろうと思う。それ以外となるとそんなにパッとは思い付かないとか、せいぜいブラッフォードのソロ作程度で…なんて感じか。その実ジェネシスにも参加していたりするので、メジャープログレバンドを見事に渡り歩いているというモテモテのドラマーなのだった。そんなブラッフォードがどういうワケなのかカンタベリーシーンの一端を担うことになったのが、デイヴ・スチュワートの勧誘。キング・クリムゾンの活動に終止符を打ったところに声掛けされ、丁度その頃にカンタベリーシーンの名バンドのHatfield and The NorthとGilgameshというバンドが融合したプロジェクトが発足したので参加するという次第…。そういえばブラッフォードってこの後ゴングにも参加してなかったっけ?

Missing Pieces Playtime

 ってなことで、珍しく発掘音源再発モノを取り上げてみました。1996年に発掘リリースされたNational Healthのタイトル通り「Missing Pieces」という作品。National Health自体は1975年にカンタベリーミュージシャン大集合という感じでセッションを重ねていたみたいで、しっかりと録音されていたのがこの作品に纏められているというもの。アルバムリリース時にはシンプルな4人編成ってなっちゃったんだけど、その前はもうとんでもないメンツが揃ってたんですよ。まぁ、アルバムリリース時も結局常に多数ゲストで似たようなことしてたんだけどさ。Dave StewartはもちろんSteve Hillage、Phil Miller、Alan GowenにMont Cambell(!)、Pip PyleにもちろんBruford、更にはNeil Murray…、ホワイトスネイクです、はい。更にBarbara GaskinとAmanda Personsというような面々、John Greavesもです。まぁ、誰がどのバンドの人なのかってのは大して問題でもなくって、この辺はメンツの名前で動いている有機体みたいなもんなので…、うん、ジャズミュージシャンと一緒なんだよね、活動自体も。だからバンド名はたまたま、に近い(笑)。

 さて、それはともかく、この未発表発掘音源集「Missing Pieces」はそれぞれのミュージシャン単位でのセッションがリハーサルレベルではなくって本気のセッションモードで録音されているので、全くオリジナルアルバムとも言えるレベルの作品集になってます。なので、かなりとんでもなく浸れるところが普通の未発表作品集とは異なりますよ。聴いているとBrufordかな、これ?とかやっぱAlan Gowenも特徴的なピアノだ…とかNeil Murrayのベースって凄く自己主張してるじゃないか、とかわかります。そしてやっぱり目立つのはMont Cambellの作曲能力の高さとセンス、かな。軽やかなる変態、というべきでして、とんでもなくクラシックとジャズが一緒に同居しているし、更にポップさも入ってるから恐ろしい。そしてDave Stewartの独特の感性…、後にGaskin Stewartの布石とも言える「Clocks and Cloud」はAmanda Parsonsのキッチュな歌声で浮遊感を聴けるってなもんだ。とんでもなく美しく楽しい歌。

 そんなセッションが大量に、そしてハイレベルハイセンスなミュージシャンのぶつかり合いではなくて譲り合うセッション大会が英国的に聴ける楽しみ。難解にも聞こえるけど、心地良いと思うと非常に心地良い…ね。



Bill Bruford - One Of A Kind

 ロックの偉人達がジャズに接近してクロスオーヴァーなサウンドを奏でる…、もちろんテクニックはないとできないし、才能も必要だろうし、多分楽譜も必要だろうから普通のロックミュージシャンレベルでは難しい。もっともそっちに興味が向くことはないだろうけど。簡単に言えばジェフ・ベックは到達しちゃったけどクラプトンはそっちには進まないし、ジミー・ペイジはもっとバンドアンサンブルに邁進したというところで、何が良いというワケでもなくクロスオーヴァーな世界は実にミュージシャン…というかテクニカルなプレイヤー達の楽しめる場所だったようだ。そんな代表でもあるビル・ブラッフォードというリズムの天才がソロリーダー作で到達した世界もそこにあり、ファーストアルバム「Feels Good to Me」ではかなりアグレッシブな取り組みを見せた。そして今度はセカンドアルバム「One of a Kind」の登場です。

One of a Kind Feels Good to Me

 1979年のリリースなんだけど、要するに先のU.K.をホールズワースと共に離脱してこっちのプロジェクトで一緒にやることにしたようだ。U.K.のポップさに辟易してミュージシャン的探求心を求めた結果がこのアルバムによる回答なんだろうと思う。不器用なミュージシャンで魂売れなかったんだろうなぁ…、ブラッフォード、偉いなぁ…とふと思ってしまった(笑)。

 そのアルバム「One of a Kind」は一言で言えばインストのクロスオーヴァーに近いサウンドなんだが…、この手が苦手な自分が実はブラッフォードは好きな類に入るバンドなのだ。理由はよくわからないけど、カンタベリー系統だからだと思う。…って纏め過ぎなんだが(笑)、いや、多分ね、そうなんだよ。軽やかなんだけどしっかりと英国的な重さっていうか湿っぽさがあって、それはブラッフォードのドラムにもあるし、ホールズワースからも感じる。そして鍵盤奏者のデイヴスチュワートは正にそのままNational Healthだからね。ベーシストはアメリカ人のバカテクベーシストのJeff Berlinという人で、これもまた凄いワザをたくさん聴けるんだが…、なんつうのかね、全部変拍子っても過言じゃないけど、聴きやすい。そしてフュージョン的ではなくってカンタベリー的サウンド浮遊感が心地良いんです。ホールズワースの出番も見事だし、デイブ・スチュワートのピアノやシンセなんかも美しいし、もちろんブラッフォード独特のあのピッコロの音は健在でして、特徴的だよね、やっぱり。

 この音世界って脈々と引き継がれているのだろうか?なかなか聴かないからわからないけど、非常にユニークで温かみのあるサウンドなのでインストなんだけど心地良いんで、一度体験してもらいたいアルバムだね。ファーストよりももっとロックと融合しているからテクだけを聴かせるってんじゃないし、よろしい作品。



U.K. - Danger Money

 先日キング・クリムゾンの「In the Court of the Crimson King: Limited Box Set Edition/+Dvda」と「レッド」と「リザード」が40周年記念盤としてリリースされていて、果たしてなんだろうか?などと思っていたんだけど、確かに貴重で驚くテイクも入っていてちょっとそそられる部分はあるんだけど…、やっぱやりすぎだよな…という気もするのでなかなか、ね。まぁ、それもあってクロスオーバーサウンドか…とBrand Xと同時に挙げられるのがやっぱU.K.なんだろうね。普通はそれもファースト「U.K.」なんだが、「U.K.」は既に書いてしまったのでせっかく思い出したついでにセカンドの「Danger Money」を…。

Danger Money U.K.

 1979年リリースだからやっぱちょっと行き過ぎてる…、と聴いてみて思った(笑)。印象ではもっとテクニカルなクロスーバーサウンドのバンドに近いと思ってたんだけど、いやいや、しっかりと英国スーパーバンドの音色でしたよ。そのままAsiaが出来たのがよくわかる布石みたいなモンでして、音楽的な流れでここに登場させたつもりが大きく異なってしまった(笑)。まぁ、それでもテクニシャンバンドによる演奏重視…でもないか…、う~ん、やっぱりファースト「U.K.」は金字塔だったんだ。

 何を戸惑っているかと言うとですね、歌モノになっちゃってるんですよ、このセカンド「Danger Money」は。ヘタじゃないしもちろん練られているし完璧に近いんだろうけど、面白くない…ってか面白味に欠ける。あまりにもプロ過ぎて普通に聴けてしまうのが哀しい…。最近のB級バンドづくしによって変な好みが付いてしまったかもしれないのだが。確かに曲の展開とかが凝縮されていてアレンジなども見事なんだけど…、やっぱねぇ…。

 さ、気を取り直して「Danger Money」をもう一度聴いてみよう…。

 後のエイジアほどのポップさではないが、ドラムはブラッフォードからテリー・ボジオに替わり、アラン・ホールズワースはそのまま離脱。即ち超絶技巧派なジャズメンを醸し出せる人が消えてしまったってことです。その分間奏などはプログレ的なセンスが存分に感じられるものの、聴きやすい、軽い、という売れ線と言われてもおかしくないサウンドに変化。エディ・ジョブソンが大活躍っていうトコロではあるが、これでジョン・ウェットンもまたまた歌とベースに味を占めている(笑)。あまりにも洗練されていて湿った英国の香りから高貴な英国の香りに変わってしまった素晴らしいバンド、そしてバンド名U.K.に恥じないサウンドではある。

 ん、ま、そんなもんか。やっぱ好みじゃないけど…、ウェットンの歌声は好きだからなぁ…。



Brand X - Unorthodox Behaviour

 英国ジャズ系に走るとついついカンタベリー方面に走りたくなってしまうのだが、珍しくそこは押さえてですね…、実はあまり聴いてこなかった世界に突入してみようかと。とは言っても好まなかっただけで聴いてはいたんだけどね…、こういう音が昔は好きじゃなかったんですよ。なんかこう…、ロックという感じじゃなくて…。うん、ストリートロックじゃなかったから、という言い方かな。超絶技巧ミュージシャンによる音楽、ってのが苦手だったんだと思う。綺麗すぎて(笑)。まぁ、今でも好んで聴くかと云われるとやっぱBGMになっちゃうんだろうなぁとは思うけど。知り合いにこの手のが好きなのがいてさ、話してるとやっぱ楽器の話になるもん。そりゃそうだろう、楽器やってると更に楽しみ倍増の音だし。

Unorthodox Behaviour Masques

 クロスオーバーサウンドっつうのかね、ロックを超えてる、完全に。ジャズ・フュージョンの世界に近い…と言うか、その世界。アルバムリリースは1976年なので正に世界でクロスオーバーサウンドがブレイクしかかっている頃、だと思う。そんな折りに何故かフィル・コリンズがドラムを叩いていて…ってアルバム。ブランドXの強烈なアルバム「Unorthodox Behaviour」です。正直言って誰が聴いてもこれは超絶ベーシストのパーシー・ジョーンズが光りまくっているアルバムですよ(笑)かなりとんでもない演奏をしていて、しかもドラムってあのフィル・コリンズ…う~ん、さすがだ…。その他はあまり知られてはいないみたいだけど、Ziggy時代のDavid Bowieのバックだった?Robin LumleyとAtomic Roosterに在籍してたギタリストのJohn Goodsallというメンツ。ちなみにパーシー・ジョーンズはThe Liverpool Sceneというバンドのベーシスト。このバンドはまだ取り上げてないのでいずれ…。

 う~ん、もうねぇ、ホントに軽やかでテクニカルなインストジャズサウンド…だけどギターがロックだからな(笑)。鍵盤のRobin氏が相当良い感じに雰囲気を出しているのが才能だな。英国のジャズロックの例に漏れずやっぱり非常にクールな質感が漂うのも今になって聴くと心地良いかも…。でも喫茶店のBGMにはなっちゃうかもしれん(笑)。

 ジャケットもクールで良いよなぁ…、この後の「Masques」ってのが結構売れたんだっけ?もう70年代も終わりの話だからちょっと時代が飛躍してしまったけど、ひとつのステータスを築き上げたバンドだと思うんだよ、この音は。そんで結構な枚数リリースしているのでどれも面白いんだろう、か?



Nucleus - Solar Plexus

 ジャズロックの代表格と言えば、自分的にはやっぱりソフト・マシーンかなぁ…。ソフツはホントに不思議なバンドで、バンドメンバーがどんどん入れ替わっていくのに何故かソフツっていう音が存在しているんだよな。そんなソフツの中期から後期にかけて活躍していたのが元ニュークリアスの面々というのはもちろん有名なお話でして…、うん、ソフツには進まないでニュー・クリアスの音の方に進もう…。

Solar Plexus / Belladonna Elastic Rock / We'll Talk About It Later

 1971年リリースの三枚目のアルバム「Solar Plexus」ってトコで。何故かマトモにCD再発されてないのかどうかわからないけど2in1のCDしか見当たらないんだが、まぁ、オイシイと思ってコレでいいじゃないかと判断するしかないか。特筆すべきジャケットでもない…というか多分音楽性に価値を置きすぎているのかもしれないが、やっぱりキチンと出してもらいたいよね。

 そんなニュー・クリアスのこの頃はもうリーダー格のイアン・カーの独裁政治みたいになっていたのか、クレジットでも「Ian Carr with Nucleus 」ってなってるから、単なるバックバンド化してしまったのだろう。そんな風に独裁政治が出来る人ってよほど才能があったんだろうね。だってさ、面々としちゃあ後期ソフツのメンツがほぼ全員揃ってるんだしさ、テクニックだってセンスだって十分に持ってるし革新的ですらあるし。それでもイアン・カーは自分のやりたいようなバンドとしてこの「Solar Plexus」を制作したみたい。なんともまぁ、ゲスト陣がBob Downes Open Musicなんかと結構ダブるのですよ。クリス・スペディングとかハリー・ベケットとかさ。そしてニュー・クリアスの場合は多分どのアルバムを聴いても淡々とした冷酷なまでの英国ジャズロックが熱く聴けるので、それほど神経質にならなくても良さそう。セカンド「We'll Talk About It Later」がバンドとしては一番良い気がするけど、この「Solar Plexus」やその後の「 Belladonna」ももちろんかなりよろしい。ただ、メンバーの心情からしてみるとセカンド「We'll Talk About It Later」までがバンドで、その後はバックの演奏者という位置付けになっちゃうのかな、と。ま、作品として聴くには全然良いけど、やっぱね、そういうのもあって音は出てくるワケだし。

 しかし、なんつうのか…、変拍子や大作、そして軽やかな旋律、仰々しいブラス隊にボンゴやパーカッション、更にギターが入ってくるという正しくテクニシャンによるロックミュージシャンによるジャズへのアプローチというに相応しい世界。楽器好きな人は割とイケるとは思うけど、普通にリスナーしてる人はちょいとキツイかもしれない。じっくりと聞き込む音なのでハマり込む人は楽しい。

 あ、これもVertigoレーベル(6360 039)です。ジャケットがそのものみたいに見えるでしょ(笑)?



Bob Downes Open Music - Electric City

 いつしかすっかりとほんのり暖かい部屋でほのぼのの音楽を聴いているのが楽しくなる季節になっていた。こないだまでは暑いな~なんて言っていたのに、秋色は早くも冬色に染まりつつある。やっぱり妙な気候であるんだろう。今年の冬はどこまで寒いのか…、まぁ、暑いよりも寒い方が良いけどさ。そんな季節に個人的にはこういうジャズ系の音ってのはマッチする。もっとも純粋なジャズではないのだが(笑)。

エレクトリック・シティ(紙ジャケット仕様) HELLS ANGELS

 1970年リリース…なのかな。Bob Downes Open Musicというリーダー名が被せられたバンド…っつうかボブ・ダウンズのリーダー作「エレクトリック・シティ」と言った方が賢明なのだろう。ロックの世界にいるとバンド名で覚えてしまうし語ってしまうが、ジャズの世界だとプレイヤー名とリーダー名だもんな。…なことで、ボブ・ダウンズという英国の管楽器奏者のリーダー作で、何とVertigo 6360 005というリリースです。時代が時代ってのもあって、ジャズプレイヤーがロック界でモテた時代なので数多くのセッション名にボブ・ダウンズってのは上がってくるみたい。その分名うてのセッションプレイヤー達もこのOpen Musicに参加しているっつうことだな。

 ざっと、クリス・スペディング、レイ・ラッセル、イアン・カーやハロルド・ベケット、デイヴ・ブルックスなどなどどこのアルバムでもセッションマンとして見かける名ばかりの集団なので演奏面やセンスで悪いところが見れるハズがない(笑)。Vertigoからのリリースと言うのもあって、アルバムは思い切りロック路線で始まる…、そう派手なロックの歪んだリフのギターからスタートするのだ。そこにアレコレと絡んできて一気にジャズロックの世界…っつうかまだロックしてる。聴いていくと、ベースにしても管楽器にしてもドラムにしても自分達の腕自慢とばかりに白熱しているので面白い。もちろんアンサンブルという面はセンスで鍛え抜かれているミュージシャンばかりなので、あとは曲だけなのだが、これもまた良い。かなりハイセンス。惜しむらくは本人による歌だけか(笑)。いや、悪くない説得力もあるし、ロック的ではあるんだけど…、ちょっと苦笑いしちゃう歌ですよ、これは。まぁ、そういうところがVertigoから、ってのもあるか(笑)。

 ジャケットがね、インパクトあるでしょ?しかも「エレクトリック・シティ」っつうタイトルだから凄く期待しちゃうんだよ。1970年という時代にテクノ?みたいなさ(笑)。ところが中身はエレクトリックに走り始めるジャズミュージシャンというような当時は実験精神旺盛なアルバム。結構クールなのでハマる音なんだな、これ。カンタベリーシーンの音ほど淡々とはしてないけど、結構冷たい音色していて好きだね。

The Running Man - The Running Man

 70年代初頭の英国ロックの世界では短命に終わったバンドが山のようにあったのだが、初めから短命だということがわかっていながらアルバムを制作して散っていったバンドもある。中でもこのThe Running Manという皮肉なバンド名を持つレイ・ラッセルの率いるバンドは一ヶ月程度しか存続しなかったバンドでもあり、またRCA傘下のラベルの美しさで有名なネオンレーベルからの最後の作品となったアルバム「The Running Man」をリリースしていた。

The Running Man

 1972年のお話なのだが、それまでのRockwork Shopというバンドとほぼ同様の取り組みで英国ジャズロックの実験石というような趣向を持っていたようなレイ・ラッセルというギタリスト。もちろんテクニックやギタリストとしての才能は豊かなものなので、本作「The Running Man」でも十分にその才能は堪能できるのだが、いかんせんどこか付け焼き刃的…というのかセッションアルバム的なニュアンスは否めなくて、かと言って一発セッションモノに見られるハイテンションでスリリングなプレイというのも聴かれないので、中途半端。ただ、楽曲としてはもうちょっと色々と練ったり展開させたりすればかなりテンション高くなりそうなものもあったりするので、勿体ないかな。今できるバンドのメンバーのセッションをそのまま収録しましたという感じなんだよね。プラスアルファが聴ければセンスは良いので面白かったのでは、と。

 うん、ジャズ的アプローチが強いけど所詮はギターでの展開にオルガンが付いていきます、みたいな感じで、ここまで英国幻のアルバムとして騒がれるほどのものではない。もちろんこういうアプローチもあるのか、という聴き方とNeonレーベルの最後の作品ってことで聴いておくってのはあるんだけどさ(笑)。このレイ・ラッセルという人もジャズロックギターっていう役回りから抜けられなくて割と苦労人なんじゃないかな…。派生人脈にはベケットとかボブ・ダウンズとかが絡んでいたんだけど、まぁ、その人達も英国ジャズロック史に残るアルバムは作ったかな、というレベルだからしょうがないか…。いや、そんなB級の香りのするアルバムだけど、ハイクォリティの楽曲もあるのだから面白いよね。



Foghat - Fool In The City

 英国人によるアメリカへの憧れから数々のバンドがアメリカナイズされた音を出してアメリカで受けている。有名なものではバッド・カンパニーなんかが最たる例で、その実アメリカナイズされた音で本場で成功したバンドってそんなに多くないんじゃないか?まぁ、あまり聴かない路線なので詳しくないだけかもしれないけど。今回のフォガットなんかも実はほとんど自分の路線ではないバンドでして…、スワンプものの流れもあったのでちょっと昔聴いたのを引っ張り出して聴いてみました。

Fool for the City フォガット・ライヴ+1(K2HD/紙ジャケット仕様)

 1975年の「Fool for the City」で、タイトル曲は大ヒットしたらしい。そんなタイトル曲「Fool for the City」が一発目に配されたアルバム「Fool for the City」なので、これはもう売れるでしょう。それを後追いで聴くわけなので、そのリアル感覚ってのがわからないからさ、単にこういう音を出すバンドなんだ…という聴き方になっちゃうので困る。快活で軽快な「Fool for the City」がそのまま続いているまんまのアルバムでして、確かにアメリカでは受けるだろうなぁ…と。簡単に言えば車の中で聴いてても全然害がなくって軽快に飛ばせるってな音です。ボン・ジョビなんかと同じ類に聞こえる音ってことだが…(笑)。

 それまでのフォガットってここまで快活なバンドじゃなかったハズなんだけど、「Fool for the City」以降はもう強烈なブギを産み出すバンドっていう代名詞にもなるくらいのインパクトで市場に浸透していた。更に有名なのは「フォガット・ライヴ」という作品で、ロック名盤特集には必ず登場するくらいに素晴らしいライブを記録したアルバムだ。もちろん今では拡張盤もリリースされて、スタンダードな人気を誇っているんだけど、スタジオ盤だとまず「Fool for the City」から、って感じ。ブギ中心って聴いてるとさ、スレイドとかを思い出すんだけど、何か近いモノもあるかも。スレイド+バドカンってなトコロか。

 イマイチバンドとしての印象が薄くて、個人的にはかなり弱い部分のバンドだけどリアルな方々には絶大な支持を得ているんじゃないかと。もうちょっと若い時に聴いていたらこういうのはハマっただろうな、ってのがわかるだけに余計に苦手…年を感じるから??いやいや(笑)。

 ジャケットのセンスはさすがに英国人っていうのだけが救い?う~ん、今回久々に聴いたけどやっぱり何回も聴けないなぁ、こういうのは、という事が改めてわかってしまった(笑)。



Uncle Dog - Old Hat

 英国のジャニス・ジョプリンと異名を取った女性の歌姫はもう一人いたのですな…。キャロル・グライムズという人でして、まぁ、聴けば一発でなるほど、ってなモンだけど、ちょっと過剰解釈しすぎているかもしれない。ってのは、彼女の経歴を漁っているととてもジャニス・ジョプリンの世界とは近くないからってのがわかるからかもしれない。まぁ、それでも聴いていると確かにホンモノのソウルフルでブルースな歌声ってのが事実だから良いでしょう。

Old Hat Blue Soul: Best of Paul Kossoff

 1972年にリリースされた多分Uncle Dogというバンドとしては唯一の作品なんじゃないかな…、「Old Hat」っつうアルバムです。アチコチで紹介されているんだけど、その紹介のされ方もこれまたマチマチだね。ひとつにはジャニス・ジョプリンの再来と呼ばれたキャロル・グライムスをフロントに配した土臭い香りのする英国産ロック、ってなものだし、また別の言い方ではあのフリーのポール・コソフとラビットがゲスト参加し、幻の、そして誰が聴いてもコソフのそれとわかる泣きのギターソロが入っている英国スワンプロックの傑作、とされていたりする。また、スワンプ=パブロックのアルバムとしての傑作という呼ばれ方をするケースもあるみたいで、結局そういう音です。アルバム「Old Hat」自体は。だから非常~に聴きやすいし、快活に聴けるのでキャロル・グライムズの歌声云々っていうだけで引かなくても良いのですよ。

 うん、中身はホントに乾いた土が吹き込んでくるようなスワンプで、非常に軽快な楽曲ばかり。キャロル・グライムズの特徴のある声質を巧く曲に当て込んでいるので楽曲としての融合が見事。そこにA面ラストだった「We Got Time」という熱唱型バラードが入ってきてコソフのギターソロが熱く弾かれるモンだから堪らない。この曲自体はどっちかっつうとR&B的な盛り上がりを見せる曲なんだけど、コソフのギターの凄さだな…、それとキャロル・グライムズの魂から歌われている声が見事にマッチして素晴らしい空間を創り上げている。正に「Old Hat」アルバム内のひとつのクライマックスです。正直言って、この一曲だけで聴く価値アリのアルバム。

 個人的にはキャロル・グライムズってのはDeliveryの頃が好きで、カンタベリーとブルースの融合って思ってるんだけど、それでこのアルバムだからびっくり…っつうかそのままだ~って思って驚いた。しかもコソフだし。アルバムとしてはあまり好まないタイプのサウンドだけど、やっぱ歌声に参ったよな。アナログ時代にはほぼ見つけられなかったアイテムで、CDにも全然ならなくて結構聴くのに苦労したアルバム…ですね。

Stone The Crows - Stone The Crows

 英国のブルースってのは実に多様な方向に進むものがあって、そりゃストーンズだってツェッペリンだってブルースだろ、ってのとかフリーもクリームもそうだろ、って言われるとなんかそれぞれ違うでしょ?んな感じでね、マイナーな世界はマイナーな世界でそれなりに個性を出してたんですよ、もちろん。んで、中でも女性の歌声での超個性…もちろんジャニス・ジョプリンが既に世界を制していたのでどうしたって比較されてしまうんだけど、それでもかなり楽しめる素晴らしい歌声でブルースを奏でてくれたバンドがこちら。

Stone the Crows Live Crows 1972-1973

 Stone the Crowsというバンドで、ボーカルはマギー・ベルです。まぁ、滅茶苦茶メジャーではない人ですが、歌がとんでもなく良いのです。ソロアルバム「Suicide Sal」ではジミー・ペイジだってギターで参加しているんだから。そしてこのStone the CrowsのギタリストってのがLes Harveyって人でして、うん、Alex Harveyの弟なワケだ。これがさぁ…、凄く良いギターを弾くんですよ。ソロにしてもアコギにしてもバックにしてももの凄くアクのある、そしてセンスの良い心に引っ掛かるようなギタープレイでね、もちろんマギー・ベルの歌を邪魔することなく、流れのギタリストって雰囲気までも出してる良いギタリスト。そんなメンツの最初の作品が「Stone the Crows」という1970年の作品です。

 冷静に聴くとブルースっつうか、ブルースを元に歌い上げ、ブルースを元にギターを奏でているけど決してブルース一辺倒なバンドじゃないし音でもない。凄く洗練されていて泥臭さがなくって泥い、って感じ(笑)。マギー・ベルの歌のパワーが凄いからさ、どうしてもジャニス的に聞こえてしまって、ブルースの~って感じになるけど、そんだけじゃないね。圧倒的な歌唱力を生かした音がたまたまこういう音でした、っていう感じで、もちろん巧いし好きなんだろうけど。曲は歌ありきで作られている感じだからさ、やっぱメロウなブルース調が多い。なんつうか…ソウルフルな歌声を生かす曲ばかりだね。ロックとかハードロックとか言う世界ではないが、思い切りロックを感じさせるブルースな世界…。うん、心地良いんだよ、単に。ギターも絶妙だしさ…。

 A面4曲でB面の「I Saw America」って20分近く使って色々な実験をしてる。そっちがこのバンドの本領でもあるかもしれないし、時代かもしれない。基本的にはA面の世界を以降も踏襲しているけど、ここでの20分弱は実験的で面白いね。プログレではないけれど、ロックがあれこれと融合しようとしている世界を聴けるからさ。オルガンも派手だしギターもパーカッションも歌も展開も間合いもそれぞれ楽しめる。まぁ、やっぱりこうなるか、って読める展開も多いんだが(笑)。

 それにしてもStone the Crowsは無名ではもったいないレベルを持ったバンドなので、ジャニス好きな人やブルースロック好きな人は蓋を開けてみても良いんじゃないかな…、ソウルな歌が好きな人も大丈夫だと思う。



Stack Waddy - Stack Waddy

 デッカ・デラムの傘下でのノヴァレーベルと同様にあのCBSにももちろん70年頃には傘下のレーベルってのがあったワケで、RCAのネオンほどメジャーじゃないんだが、ダンデライオンレーベルってのがあった。まぁ、結局レーベル運営そのものは何故かワーナーやらポリドールやらに移籍されていうのでどこの傘下ってのがややこしい。結局どれもこれもが非常~にマイナーなモノになってしまって結局レア盤の運命を辿ることになってるわけだ。どっからどう見てもメジャーな人が全くいないに等しい。有名どころと言ってもせいぜいブリジット・セント・ジョンくらいか?う~む…。

Stack Waddy バガー・オフ!

 そんなダンデライオンレーベルの主でもあるBBCのジョン・ピールが発掘してきたバンドのひとつにStack Waddyというのがある。驚くことにアルバム二枚リリースしているので、そこらの英国バンドよりもまだ売る気があったってことだろうか。今回はその最初のアルバムでもある1971年にリリースされた同名タイトルアルバム「Stack Waddy」です…。セカンドは「バガー・オフ!」っつうタイトルです。

 最初に書いておくとですね…、いや、曲目見てわかるようにどれもこれもカバーソングばかりなんだが、思い切り泥臭いブルースロックをひたすら奏でるというバンドで、そこには全くギミックもなけりゃ独自創造性もなく、ただひたすらブルースを繰り返すというものだ。なので、迫力や雰囲気はもの凄いものがあるし、歌にしてもピーク振り切った状態での録音としか思えないくらいに迫力があるし、非常に個性的。しかし、残念ながらそこには独自性がないため、単なるその他大勢のブルース模倣バンドとしてしか音が聞こえてこない。それが故にどうしても淘汰されてしまったのはしょうがないだろう、というのがよくわかる。

 でも面白いことに、何かと事あるごとに英国B級路線ブルースロックなどが取り上げられると大体このStack Waddyは出てくるんです。ダンデライオンだからか?いや…、多分この時期の英国ブルースロックの洗礼バンドってことでここまで泥臭いバンドはないからじゃないか?妙な言い方だけど、模倣のオリジナリティがあるもん。つまり模倣しかしない、っていう純粋な人達ってのはほとんどいなかったからさ、Stack Waddyくらいだったんだよ、多分。皆が思い描くような思い切りブルースの模倣バンドって。他は皆何故か独自性を持ったり発展させたりしちゃってるから。逆の意味で稀少だったんだろうとも思う。模倣の天才はツェッペリンだったかもしれないけど、やっぱり独自性が大きいワケじゃない?ね。

 そんな変な称号みたいなものを持ち合わせているStackwaddy…、ジャケット通りにむさ苦しく想像通りにブルースロックを奏でているバンド。バランスが悪いとしたらダンデライオンレーベルからってことだけかもしれない(笑)。



Ashkan - In From The Cold

 英国ロック路線を突き詰めていた頃にご多分に漏れずどうしても気になったのがジャケットと共にレーベル毎のカラーってヤツでさ。ヴァーティゴなんてのはいつしか関わってしまうんだろうけど、デッカ・デラム、ノヴァとかネオンやらトランスアトランティックなどなど、もちろん親レーベルがあっての子レーベルだったりするので、どこの配給でどうの、とか正直言って企業論みたいな世界になっちゃうのであまり深入りしたくなかったんだけどさ…。まぁ、いつしかそういうのも覚えていってしまうのもコレクションの成せるワザか…と諦めてまとめた本を入手して学習しちゃいましたが…。もちろん型番覚えるまでは進んでません(笑)。ちなみにこの辺の音はモノ・ステが存在するようなので真のマニアは大変な世界です…。

In from the Cold Barbed Wire Sandwich

 なんでそんな話か、ってぇと…、妙にデッカノヴァのロゴが目立つ、そして色鮮やかな空と風車っつうのもあって印象深いアルバムがあったのを思い出したから。アシュカンというバンドの1969年の唯一の作品「In from the Cold」で、この綺麗な色合いが良いんだな。もちろん中身についてもかなりの良盤なんですがね。

 うん、同じデッカ・ノヴァレーベルから出てきた一応有名なBlack Cat Bonesのオリジナルメンバーが参加したバンドっつうのもあるし、後のFleetwood Macに参加したBob Westonを中心に結成した~なんてのもあちこち書かれているから、まぁ、それなりにうたい文句は作れるバンドなんだろう。でもね、そんなの大して気にしないで聴いてみるとこれがまた意外と洗練されたバンドで聴きやすい。ブルースベースだったんだろうな、ってのは曲調からもギターの音からもフレーズからもわかるんだけど、ドロドロじゃないんだよん、これ。もっとハードロックに近い音で…多分Zeppelinの影響もあるんだろうけど、相当洗練されているんだもん。だからB級感はあんまりない。単にメジャーに成り切れなかっただけのバンドっつう位置付けで聴けるんだが…。Black Cat Bonesよりも洗練されてるし、Three Man Armyみたいにドタバタもしてないしブレてもいない。もしかしたら今でも通じるバンドの音のような気がする…。

 いいね、かなり。この世界に入った頃に聴いてたら多分かなりのフェイバリットバンドになる要素を持ってるよアシュカンって。最近そんなのばっかり聴いてるからねぇ…、またまた耳が肥えてきましたよ、多分。こういうのをかっこいい~って思えちゃうのって相当重症(笑)。そして面白いのはそんな感津をしていると本当に王道の英国バンドをまた聴くと、これが超かっこよく聞こえるのですよ、多分。こないだヒープ聴いた時にも思ったけどさ、余計にかっこよく聞こえるから決して飽きないのだ。あ~、久々にZep聴きたいねぇ~(笑)。



The Sensational Alex Harvey Band - Next

 バンドをやっていると思いがけない事で違う方向に進んで行ったり、運命の出会いがあったり、逆に些細なことで崩壊したり色々とあるものだ。もっともこれは人生そのものとも言えるのでバンドだけじゃないんだろうが…、いや、笑い事ではない…、一寸先は闇と言うではないか。ならば今を楽しもう~なんていう発想は非常に重要且つ貴重なことなんだろう。ま、それができれば人間もっとハッピーなのだが…。

Next All Sensations

 いやいや、このThe Sensational Alex Harvey Bandというバンドを聴いたことのある人もそうそう多くはない…ことはないか(笑)。こないだからここで書いているバンドってアルバム一枚しかリリースしていないバンドばっかりだから、それに比べれば十分にアルバムをリリースしているバンドだし…ね。

 The Sensational Alex Harvey Bandの「Next」という1974年の作品。うん…、Tear Gasというグラスゴーの若いバンド…ブルースは入ってるけどもうちょっとシャープなセンスのハードロックよりのバンドでなかなかかっこよかったのが、この1972年にアレックス・ハーヴェイというおじさん…と言うか…、お兄さん…つっても当時既に37歳くらいだったアレックス・ハーヴェイと意気投合して一緒にバンドやろうってなことになったという経緯で出来上がったバンドがThe Sensational Alex Harvey Bandなのだが、良かったのか悪かったのか…、このヘンは今でもマイケル・シェンカーと一緒にプレイしているクリス・グレンやテッド・マッケンナあたりに訊いてみたいものだが、どういう経緯でプロのバンドとしてレコードを出していたTear Gasと言うバンドがAlex Harveyという看板の元でやることになったのかね。

 まぁ、いいや、そんな経緯のあるバンドThe Sensational Alex Harvey Bandだけど、そのノリのまま…と言うか非常~にユニークなバンドに生まれ変わったThe Sensational Alex Harvey Bandの二枚目となる作品「Next」を聴いてみるとわかるように、湿っぽさとか泥臭さとかってのとは違う、ユーモアセンスのたっぷり入った、むしろキンクス的なシニカルさとアリス・クーパー的演劇性を持ち合わせたような幅広いロックの楽しさを詰め込んだようなバンドでしてね。ジャケットを見るとVan Halenかい?と思うような横縞のシャツと素敵な笑顔♪なのだ。ちなみにTear Gasでは割と正体不明だったが何とギタリストのZal氏はピエロのメイクを施しているという奇怪なバンドでもあった。うん、かなりシアトリカルなバンドで音を聴いているだけでも凄く面白い。

 あれ?プレスリーのパクリ?なんて思うようなメロディだったり、ホント演劇的だったり、キンクスをちょっとハードにしたような風刺的ソングだったり、じわじわと効いてくる楽しさを持ったバンドだね。一回二回じゃよくわからないと思う。故にThe Sensational Alex Harvey Bandを好きな人はかなりの英国好きだろうと思われるのだな。

 自分?ん~、まだまだ未熟者…っつうか歌詞わかったらもっと面白いんじゃないだろうか?日本盤とか出てるのかな?紙ジャケとかも知らないけど、もうちょっと再燃しても良い気がするが…、クリス・グレンとテッド・マッケンナのためにも(笑)。



Tear Gas - Tear Gas

 英国初期のハードロックテイストに溢れるバンドには後のHR/HM界に属する人間も多数関わっていたものだ。まぁ、そこまで漁って聴いている人も多くはないのだろうが、入り口としては非常にイージーなトコロにあったりするので、何かわからないけどこの人のセンスが良いなぁ~とかいうのがあれば深みに入ってみても面白いのではないかと。昨日は裏でホワイトスネイク=デヴィッド・カヴァデールっつうのがあったので、今回は表向きではギターを中心としたハードロックってことで、マイケル・シェンカーです(笑)。

ティアー・ガス(ペイパースリーヴ・コレクション)(紙ジャケット仕様)

 1971年リリースのTear Gasというバンドのセカンドアルバムにして傑作「Tear Gas」です。ジャケットがイカすでしょ?何かわからんって?う~ん、これヒプノシスだったよな…確か。生卵を手で握りつぶした瞬間を捉えた写真ですね。もちろん下降してあるワケですが、何か惹かれるジャケットじゃないですか、これ。やっぱりアートです、センスです、こういうジャケならバンド側も得するハズです(笑)。

 その期待を裏切らないのが中身の音でして、うん、1971年にして相当ハードにドライブしているロックな音でギターの音がかなり粗いんだけど、熱いんだよ、これがまた。曲そのものはそれほどではないけど、後のハードロックの世界に通じるリズム隊の面白さ、それにギターのフレーズ、そして楽曲の展開は妙に時代を反映したプログレッシブな部分が見え隠れするってのも良い。2曲目の「Love Story」なんて静と動が見事なコントラストとなって曲が出来上がっているしねただ、ちょっと頼りない感じがするのはやはりB級なセンスだからだろう(笑)。

 いやいや、B級ではないですよ、リズム隊…。うん、名前を聞けばわかるでしょう。ベースはクリス・グレン、ドラムがテッド・マッケンナ。鍵盤がヒュー・マッケンナという兄弟ですね。おわかり?黄金期のMSG=マイケル・シェンカーを支えたリズム隊なんだなぁ、これ。こんな頃から思い切りロックしていた人達なのですよ、彼等は。そしてもちろんマイケル・シェンカーには負けるけど、熱くて聴かせるギターをたっぷりと楽しませてくれるTear Gasのギタリスト、ザル・クレミンソン君はナザレスに参加しているのだな。

 Tear Gasというバンドはこの後、同じグラスゴー出身の大先輩でもあるアレックス・ハーベェイと合体することになって…いや、要するにアレックス・ハーヴェイのバックバンドになっちゃったんだけどさ、それはそれでまた面白いっていう展開。それにしても意外な人達の意外な過去ですね♪



Jody Grind - Far Canal

 すっかりと涼しくなってしまった秋の夜長に、英国の憂い響きを聴き漁る…、そんなことを既に数ヶ月続けているとすっかりと英国人と同じ感性で音楽を聴いてしまえているのかもしれない。しかも全然メジャーではないものばかりなので、多分メジャーではないセンスばかりが養われているという状況か(笑)。まぁ、いいじゃないか、どれもこれも正しく英国的であるものばかりで、そんな空気をたっぷりと感じるのだから。休日ともなればそんなのがオンパレード、もちろん他にも聴くけどやっぱり面白いのは英国70年代ですな♪

Far Canal One Step On

 1970年リリースのJody Grindというバンドのセカンドアルバム「Far Canal」なんてのにも手を出してみるとやっぱり面白い。また知らないバンドだし…という人にはちょっとだけメジャーなお話を…、いや、ちょっとだけ…。ホワイトスネイクのデヴィッド・カヴァデールの最初の二作にキーボードで参加していたティム・ヒックレーっつう人がリーダーで組んでたバンドです。ギターのバーニー・ホランドがとってもかっこよいので思い切りロックなんだけどね。この人はそれこそPattoなんかにも参加したり、テクニカル集団のNucleusにも参加したりしてる職人気質のギタリストだけど、無茶苦茶良いのをこの「Far Canal」では弾いている。ブルースだけでなくってジャズな展開や、もっと美しいフォークでメロディアスなフレーズとか、さすがに器用なセンスをあちこちで聴かせてくれるのでオイシイ。

 「Far Canal」というアルバムが語られることは多くないけど、最初の「We've Had It」というとんでもなく切なくて素晴らしい叙情的なバラード?的楽曲を聴いてみると一発で虜になるんじゃないか?旋律の美しさもギターの音色の美しさもメロディーも叙情的で歌唱力すら素晴らしいと聞こえるし、名曲の域に達した作品。日本人は絶対に好きだね、これ。そういう曲から始まるので、Jody Grindって一体どんなバンド?って思う。まぁ、そう思う前に曲の良さに惚れてしまうんだけどさ(笑)。この一曲でノックアウトです。そのせいか次の曲からの展開にはちょっと格差がありすぎるのが問題(笑)。いや、別に悪くはないんだけど、あまりにも起用なので、突然ブルース調な曲になっちゃってね…、切り替えが出来ないんだよ、聴いている側が。んで、その後はこれまたギターが弾きまくる素晴らしい曲で…軽めの音なんだけど良いギター弾くよ~この人。この辺から聴いているとブルージーな世界を知っている職人さんによる軽めの英国ロックの世界でちょっとハードかな、っていう程度。オルガンやハモンドなんかも鳴っているから、割とカテゴライズできるかね、っていうくらいだけど、初っ端の曲があるからやっぱり名盤になってる(笑)。

 レーベルがトランスアトランティックから出てきているので、ちょっと前に書いたLittle Free Rockのアルバムに参加してたり、Ten Years Afterのアルヴィン・リーの作品で一緒にやっていたりとJody Grind以降の活躍の方が目立つティム・ヒックレーっつうのも面白いが、この「Far Canal」という作品、良いよぉ~♪



Carmen - Fandangos In Space

 C級、B級と来たのでA級と言うのが正しいかどうかはともかく、音楽的には圧倒的にAクラスに属するレベルを展開しているバンドで、今の時代にはもちろん埋もれてしまっているバンドってのもある。売れるし残ることも前提だったが故にプロデュースにはあのトニー・ヴィスコンティを配し、日本でも国内盤がリリースされ、更にシングルカットのシングルまでもがリリースされていたというメジャーなバンド、カルメン(Carmen)って知ってる?

宇宙の血と砂 Fandangos In Space/Dancing On A Cold Wind

 知らない人は多いと思う。そんだけメジャーに展開をしていて、しっかりと売るつもりでいたみたいなところあるし、実際3年程度の活動でアルバム三枚リリースしているワケだから、それなりだったはずなんだけど、今となっては…、ってトコだ。そのカルメンが1973年にリリースした最初のアルバム「宇宙の血と砂」って名盤なんだよね。これまでに聴いたことのないロックのサウンドがしっかりとしたプロダクションによる音で収められている作品。

 俗に言葉上ではフラメンコロックとして語られているんだけどさ…、ヒネている自分的には何か違う言葉で…と思うのだが、これはフラメンコロックなのです(笑)。スペインの熱い血がたぎるサウンドとロックの融合…というイメージなんだけど、音的にはそれほどスパニッシュというワケでもなくって、まぁ、フラメンコのリズムとか手拍子とかは用いたりしているんだけどさ、ギターでそんなにスパニッシュかってワケでもないし、音はロックの音が基本。なのに何故かフラメンコロック、の音なんだ(笑)。聴いていると熱い血がたぎるっつう面白いバンドでね、売る側が売ろうとしたのもわかるくらいオリジナリティと大衆性をもったバンド。根強いファンは多いんじゃないだろうか?

 バンド経歴は割と面白くてもともとアメリカ人によるバンドだけどその特異な音楽性から英国のリーガルゾノフォン=プロコル・ハルムの属するレーベルからアルバム「宇宙の血と砂」をリリース。確かにアメリカでは出せないだろうな…と同時に英国ロックの音であることも確か…、皆スペイン大好きなのだろうか?歌もアコースティック中心のギターもクールで面白い。ドラムやベースってのは割と平凡なんだけど、ビブラフォンとかカスタネットとか脇役クラスの楽器担当ってのがメンバーに在籍しているワケでして、故に脇役ではなくってしっかりとバンドの中心を成す音なのだな。クイーンが売れたのならカルメンも売れておかしくない、そんな思惑があっただろうと…。もっとも時代的には同世代なのでどっちが売れたかはわからないのだが…、ま、そんなもんだ(笑)。

 しかしアルバム「宇宙の血と砂」を聴いているとデヴィッド・ボウイの「ハンキー・ドリー」あたりの音とかなり被る部分も多いな…。フラメンコ色が強いのはそうではないけど、シンプルな楽曲…5曲目の「Sailor Song」とかだと全くデヴィッド・ボウイのアルバムの音だもん(笑)。ヴィスコンティがかなり手を入れているな、これは。



Dr.Z - Three Parts to My Soul

 英国B級ロック路線としてこれまでコレクションしてきたし聴いたりしてきたんだけど、ここのトコロ自分で書いてまとめてたりするのを振り返ってみると、B級のみならずC級に属すべきものも多くて、この辺って一括りにしてはいけない世界なのだな、と気付いた(笑)。B級ってのとC級ってのが明らかに違うからさ。んで、C級が続いていたので、ちょっとさすがにうんざりしてきたのでB級に戻りたい…ってなことで、B級ではあるけどまだまだ知られた存在であるだろう、コレ。

スリー・パート・トゥ・マイ・ソウル

 1971年にぐるぐるマークのヴァーティゴレーベルからリリースされたDr.Zの唯一の作品「スリー・パート・トゥ・マイ・ソウル」で、レーベルナンバーは6360 048です。うん、書いておくと何かと便利かと思いまして…(笑)。やっぱりね、ヴァーティゴから出てくるのはまだまだB級レベルをキープしてますよ。だから聴いていて面白いトコロやえげつないトコロや何かしらのインパクトはあるもん。そして音が洗練されているってのもそれなりにメジャーな証拠。結構チープな録音ってのは少ないんじゃないか?その辺がしっかりと売ろうとしたけどなかなか芽が出なかったが故にコレクターズレーベルになってしまったのと、単なるC級との差。その成果のひとつが有名な観音開きジャケットによる三面開きのアイディア。アルバム「スリー・パート・トゥ・マイ・ソウル」の中身も三部構成によるものだからこの観音開きによるインパクトはバンド側には好都合。そして後世のマニア達には非常に悩まされるアイテムとして存在することとなったのだ…。

 そしてこのDr.Zなるトリオ編成のバンドだが、よくわからん。鍵盤主体の~とか黒魔術的な~というような記述はよく見かけるんだけど、もちろんジャケットとコンセプトっつうのがあるから悪魔的なものをイメージするし、音の中身もどこか呪術的なものを持ち込んだりしているのはあるのだろうが、基本的には良質な英国オルガンロックが中心となったコンセプトアルバムで、正に時代を反映した作品ではないかと。どの楽器も歌も巧いとは言えないんだけど何かしてやろうという心意気と時代の雰囲気で出てきた音の塊。その意欲がしっかりと反映されてかなり面白い音世界が創られてるしさ。どこかジェスロ・タル的な部分があるかなぁ…。ごちゃごちゃっとした部分だろうけど。

 以外とジャケットで見られる悪魔主義的な音ってのは聴かれないけど、もしかしたら精神面での主張かもしれないので、その方がよほど怖いけど(笑)、そういうコンセプトも持ったバンドってことで聴いてみると面白い。ただ、もちろん何度も聴くというバンドの音ではないな(笑)。



Janus - Gravedigger

 昔は全然情報がなくて本でしか見れなかったとか、そこに解説してあるレビューを読んで音を想像してレコードを見つけたら買ってみるしかなかった。CDになっても値段が安くなってレコード時代よりは買いやすくなったってのはあったけど、それでも買えるアルバムには数に限りがあった。まぁ、なんのかんので中古も含めて漁るワケだが…。それでもまったく情報がなくってジャケットは気になるけど、一体どんな音なんだ?とかどこの国のバンドなんだ?みたいなのってあってさ…、そんなのいきなり買えないワケよ。資金に余裕があれば買えたんだろうけど、そんな資金があれば他のレコードやCDにつぎ込むワケでしてね…、未知のモノに3000円とか5000円とか払って…という勇気はなかったなぁ…。



 そういうレコードのひとつでもあったヤヌス(Janus)というバンドのアルバム「Gravedigger」です。なんともシュールで気になるジャケットでしょ?アマゾンでCD売ってないけど…、CDにはなっているので見つけられるとは思う。アナログだったら凄く珍しいのではないだろうか?しかももちろん見開きジャケットで全身が写ってますので期待通りですよ(笑)。まぁ、ここまでインパクトがあって芸術性が高ければ知らないバンドでも買うってのはアリだけどね。

 さて、このJanusというバンド…、今の時代でネットを調べてみてもほぼ全く情報が出てきていない。イギリスのバンドで1971年のデビュー作がこの「Gravedigger」というくらい。メンバーの名前とかは出てるから何とか追えばどこかに繋がるのかもしれないけど、全く情報なし。珍しいよね、こんだけ色々と解明されてきた時代なのにまだまだナゾの多いバンドのままでいられるってのは。しかも中に詰め込まれている音がかなり期待してしまうサウンドなので余計、だ。

 魔術的というのか非常にダークな雰囲気が漂うアルバムでそれはハードでエッジが立っているからとかではなくゾクゾクとする精神的な部分でさ、グレゴリオ風なコーラスだったり不気味なコードアルペジオだったり細かい音色がちょっと雰囲気を出していたり…別にそういう印象で聴いていたワケじゃないけど、ジャケットもあるからかな…、何かダークさが増してきたもん。クライマックスともなるのは20分以上にも渡るアルバムタイトルともなった「Gravedigger」という曲で、コイツにこのバンドの全てが詰め込まれているってなトコロだ。不気味なコーラスとアルペジオ、ドラマティック的な曲の繋ぎ方と展開…、演奏はそれほど巧くはないけど作風にゴシック的な重さを感じる構築美がある。聴いた後に何だったんだろう…、とハマる部分が多くてもう一度聴いてみるか…みたいなところが十分にあるもん。ジャケットに騙されて買ってみても全然楽しめてしまうアルバムのひとつかもしれない。

 そして驚くことに今現在でも活動しているらしいので何かでインタビューでも取れれば面白いだろうなぁ…。

YouTubeはコチラコチラ


Gygafo - Legend of the Kingfisher

 プログレッシブロックの世界ではオリジナルアルバム自体が発掘されるというパターンが割とある。バンドそのものが発掘されるというケースもあったりして、実際にリアルタイムで通っていた人はその存在すらを知らなかった、というようなケースだ。それって、でも、どうなん?って感じはするんだけど、音的にもレーベル的にも納得できちゃうってものはある…。

Legend of the Kingfisher

 ホリーグラウンドレーベルっていう英国のマイナーレーベルで録音されたGygafoというバンドのアルバム…、でも当時リリースされなかったワケだから結局プロにはなれなかったバンド、なワケだな。1973年に録音されたものらしいが「Legend of the Kingfisher」という作品がある。ジャケットもそのままで英国の象徴でもあるカワセミの素敵なイラストが表紙を飾っているんだけど、如何にも後から作られたようなジャケットなので実際のオリジナルの構想時にこういうジャケットだったのかどうかは知らない。まぁ、後にプログレならなんでも売れるという確信が出来上がった時にホリーグラウンドが作ったんじゃないかと思うのだが…。

 まぁ、カワセミの伝説というトータルコンセプトアルバムということなのだが…、歌詞がわかればもうちょっと聞き込めるのかもしれないけど、如何せん音があまりにもチープでアマチュア的なのでレベルがちょっと物足りない。だから当時見送られたのかもしれない。結局1989年になって発掘リリースされたのだが…、プログレって言ってもどこか牧歌的で安い音作りのサウンド。素朴な音で何が目立つというものでもないサウンドです。歌が、とかギターが、とか何もなくって、メロディが、とか言うのもない。淡々とフォーク的なサウンドの調べともちろんバンドサウンドなんだけど、楽曲が展開されるもので、Gygafoが一番好きなバンドだ、という人はまずいないだろう、そんなB級なバンド。

 じゃあなんで聴くのか?と言われても…、気になったから、という理由以外にはない(笑)。気になって聴いてみたら雰囲気は良いし、やりたい世界観がわかるんだけど、ちょっと才能に問題があったんじゃないか?ってなとこだ。雰囲気はホントによく出してるよ。だからそんな才能はあったのかもしれないけど…、ね。英国好きでジャケットが気になる人には良いかもしれない。

Julian's Treatment - A Time Before This

 裏名盤と呼ばれるモノには数限りない…、そりゃ好みの人が勝手に名付けるのだからキリがないのだが、その中でもあちこちで名盤と語られることの多いアルバムがいくつも存在する。ここのところ挙げているアルバムは大体その領域に属するものが多いので、まぁ、普通に進められて聴いてみたっていう限りではかなり良いと思えるレベルのアルバムばかりだと…、うん。まぁ、だからと言って薦めるっていうもんでもないけどさ。やっぱ王道聴いてからこの辺入った方がわかりやすいとは思うからさ。王道に飽きた人はこういう世界って面白いよ、ってのはあるが。

A Time Before This Waiters on the Dance

 そんな中、裏名盤の誉れ高いJulian's Treatmentの最初のアルバム「A Time Before This」をどうぞ。1970年リリースなのでかなりサイケデリックな雰囲気が曲調に表れていて、楽曲レベルが高い。バンド的にはオルガンやハモンド、メロトロンなどの鍵盤系が強くて女性ボーカルがヒステリックに…、妙にSFちっくにエロティックに音の中に紛れ込んでいるので、アヴァンギャルド的な雰囲気さえ漂う何とも不思議な音世界。曲にドラマ性があるので、曲もコロコロと変わっていくのでプログレッシヴ的という側面はあるけど、軽く楽しめるってなモンだ。

 ジュリアンズ・ジェイ・サヴァリンって人は元々SF小説家の人で新潮文庫あたりから小説も出てるんだけど、ヘリコプターアクションものあたりしか和訳にはなってなくってそれを読むと、何でまたこんな「A Time Before This」っつうアルバムや、この後のセカンドアルバム「Waiters on the Dance」なんてのが出来上がったんだろうか?と不思議になる。この辺の音世界で描いている世界は多分もっとファンタジックなものだろうに…。という疑問を抱きながらも音楽は音楽として聴いているこの人の二作…、本来は三部作構想だったらしいが三枚目はまだリリースされていないハズ。

 ハードロック的という側面は強いが、やっぱりオルガン中心にミーク嬢の妙にリラックスしたアシッドな歌声が空間を制圧しているのでやっぱりドラッグ系な音に近いのかな…。まぁ何回も何回も聴くという人は多くないだろうが、ちょっと気になって聴いてみると何回も聴いてその良さを実感したくなるという中毒的な側面は持っているね(笑)。

Asgard - In the Realm of Asgard

 英国ロック界にはレーベル毎に特色を出したアーティストをラインナップしてイメージやカラーという売り方をしていたものが多くて、その仕掛けには今でも多くのファンが付いているし、カラーリングは見事に成功した売り方だったと思う。そのおかげでレーベルコレクターなる異様なコレクションも出てくるのだが、それは概ね間違っていないし、楽しみのひとつでもある。レーベルの印刷工場が変わってから色味が変わったなどというところまで追いかけている人もいるくらいだ。もともとはブルーノートとかジャズ系で始まったことのなぞりなのではあるが…。

In the Realm of Asgard

 さて、アーティストが自身の色を打ち出すためにレーベルを作るというケースはビートルズを初めとして多くの大物バンドが実践しているが、ムーディ・ブルースもそのひとつで、もちろん自分達の都合の良いことができるから、という理由なのだろうが、Thresholdレーベルというものを作ったのだな。そして自分達の作品やトラピーズの作品なんかをリリースしていたのだが、もうひとつ唯一の作品となってしまったのだが、かなり秀逸な作品を残したAsgardというバンドをリリースしている。それが今回の主役。

 1972年リリースの唯一の作品「In the Realm of Asgard」。基本のメンバー編成にボーカルが二人、バイオリンが一人で鍵盤無しという変わった構成。ムーディ・ブルースが鍵盤を使って壮大なシンフォニーを奏でていたことに対しバイオリン一人でシンフォニーの雰囲気を醸し出すという不思議なバンド。もちろんボーカルも二人いて、更にコーラスが加わるから見事なコーラスワークを聴かせてくれるというのもバンドの売り。ムーディ・ブルースの小型縮小版という感じのする音が中心だけど、もっと可愛い気があるっつうのか庶民的親しみを持っているというのか…、コレでネタが尽きただろうな、っつうのか(笑)。曲によってそのレベルがまちまちで、突出して素晴らしい!と手放しで感動出来るタイトル曲などがあるかと思えば、ちょっと足りないと言うかもっと構成に気を遣ってみたら?みたいな曲もあったり(笑)。いや、全然それでも楽しめる実験精神は多々聴けるので良いのだが…。

 うん、前向きに聴くとね、バイオリンの使い方が面白い。歌のバックでも鳴ってたり、普通なら鍵盤で引っ張って叙情性を出すだろうってなところにバイオリンなんで、ちょっと不思議。そして必殺のコーラスワークがなんと言っても圧巻でして、アイディアは満載なんだな。もうちょっと各楽器が主張しても良い気がするけど妙に音楽的にクラシカルにまとまっているというのか…その辺がメジャーではないセンスというかプロらしからぬ部分かもしれん。が、それが面白いのだよ。近い感じがするからさ(笑)。

 ジャケットがよくわからないんで、買うのが後回しになりつつあったバンドでもあった。「In the Realm of Asgard」は聴いてみて最初は相当驚くと思う。多分普通のロック聴くなら相当にこの英国的湿っぽさと美学を満喫できる作品ではあるので試してみる価値はある秀作の域。歌とかとればかなりポップさも持っているし、逆に泥臭いロックな部分はあんまりなくって結構洗練されかかったロックではあるが、やっぱりこの時代のブリティッシュロックという形容しか思い付かない…。



Raw Material - Time Is...

 全く英国の知られざる世界の奥深さには驚く音が秘めていることが多い。そんな自分がハマった世界なのに久々にその世界を漁っていて、というか聴き直していても改めてその作品のレベルの高さと言うものに驚きを隠せないことも多い。決してメジャーのバンドにはヒケを取ることのないくらいの作品のクォリティと演奏力。そして何よりもロックである熱いプレイと魂が響いてくるような音色と優しさと陰り。そんな当たり前の音なのに実は今の時代ではなかなか聴くことができない。演奏している側はそうしているつもりなのだろうけど、やっぱり違うんだよね。何だろ?そんなことをも考えてしまったくらいの名盤です。傑作です。

タイム・イズ... Raw Material

 1971年リリースのRaw Materialというバンドのセカンドアルバム「タイム・イズ...」ではそういう激しい音世界と優しい音世界を構築してくれて、ロックの底辺と意地を教えてくれるアルバム。別にツッパリ系のロックンロールってんじゃないから誤解のないように(笑)。

 冒頭聴いた瞬間からその激しさと荒々しい海原に飲まれるかのようなリフレインに圧倒される。決してジャケットで見られるような明るいイメージのサウンドではなくって思い切り暗黒…と言うかタイトルが「Ice Queen」っていうくらいだから夜の吹雪に連れ込まれた登山者というような感じだろうか。おどろおどろしいリフレイン…ん?このリフってVDGGの「Killer」に非常~によくにているぞ…、どっちもどっちの時系列だからわからないけど、センスが同じだったのかな。歌もギターもサックスもギターもしっかりとその仰々しい狂喜の様を演じていてアルバム中でも完全にハイライトとなる曲。なんてこった、こんなに凄いリフレインとパワーを叩きつけてくれるバンドだったのか。Gnidrologの「Lady Lake」と共に永遠の名作の一枚に数えられるべきアルバムだぜよ、これ。もちろん最初の一曲だけではなくってその後も隙のない完璧な美しい音の世界を聴かせてくれます。激しく荒々しいだけではなくってもちろん繊細にメロディを素朴に聴かせてくれたり、かと思えば素晴らしくも白熱するインタープレイとジャズチックなテーマを持った楽曲で攻め立てたり…。

 英国にしては珍しいタイプのバンドかもしれない…。こういう起伏ってのはヨーロッパには割とあるけど英国単体ではなかなかないもん。VDGGが突出していたのもそんな暗黒面だけど、Raw Materialもヒケを取らないくらいの暗黒性がある。Jethro Tullが持ち得なかった部分を持っているバンドだね。メロトロンの音色とアコースティックの響きに対してサックスやギターのアグレッシブさという両側面を持ったバンド…、褒めすぎるならばLed Zeppelinを凝縮したような面を持っているのかもしれない(笑)。飽きの来ない曲調の起伏の激しさはこれ以上やることないだろ、ってくらいにバラエティに富んでいる。素晴らしい。大作であればあるほどドラマとストーリー性がしっかりと展開されていて、目の前が開けるかのように爽やかな一条の光を見出してくれるような楽曲は実に見事。そんな短編が詰め込まれた映画のように聴ける名盤「タイム・イズ...」です。

 オリジナルリリースはネオンレーベルからによるもので、アルバムジャケットはもちろん見開きでして、皆様の予想通りにここから左側は砂時計の上が多い状態ってことです。これねぇ…、自分も最初はカウンターフィット盤でしか手に入らなかったからそれで入手したんだけど、その後CDでして…、ただ、好きなアルバムだったからアナログも何度か見かけたんだけどさ、英国オリジナルのネオンレーベル盤はやっぱりオレンジの色合いが綺麗なんですよ。ちょっと褪せた感じのするオレンジなんだけどさ。それ以降のCDとかアナログでも色が全然違ってて、なかなか納得できるジャケットの色でリリースされたことがなかった。紙ジャケくらいになってからはさすがにオリジナルの色合いになってきたんじゃないかとは思うけど…。やっぱ思い入れの強い作品だね。



 | HOME | 

プロフィール

フレ

Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


ロック好きの…別館リンク


ブログ検索


最新記事


カテゴリー


最新コメント


最近のトラックバック


カレンダー

10 | 2009/11 | 12
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -

過去ログ+

2017年 08月 【19件】
2017年 07月 【31件】
2017年 06月 【30件】
2017年 05月 【31件】
2017年 04月 【30件】
2017年 03月 【31件】
2017年 02月 【28件】
2017年 01月 【32件】
2016年 12月 【32件】
2016年 11月 【30件】
2016年 10月 【31件】
2016年 09月 【30件】
2016年 08月 【31件】
2016年 07月 【31件】
2016年 06月 【30件】
2016年 05月 【31件】
2016年 04月 【30件】
2016年 03月 【31件】
2016年 02月 【29件】
2016年 01月 【32件】
2015年 12月 【32件】
2015年 11月 【30件】
2015年 10月 【31件】
2015年 09月 【30件】
2015年 08月 【31件】
2015年 07月 【31件】
2015年 06月 【30件】
2015年 05月 【31件】
2015年 04月 【30件】
2015年 03月 【31件】
2015年 02月 【28件】
2015年 01月 【32件】
2014年 12月 【31件】
2014年 11月 【30件】
2014年 10月 【31件】
2014年 09月 【30件】
2014年 08月 【31件】
2014年 07月 【31件】
2014年 06月 【30件】
2014年 05月 【31件】
2014年 04月 【30件】
2014年 03月 【31件】
2014年 02月 【28件】
2014年 01月 【32件】
2013年 12月 【32件】
2013年 11月 【30件】
2013年 10月 【32件】
2013年 09月 【30件】
2013年 08月 【31件】
2013年 07月 【31件】
2013年 06月 【30件】
2013年 05月 【31件】
2013年 04月 【30件】
2013年 03月 【31件】
2013年 02月 【28件】
2013年 01月 【32件】
2012年 12月 【32件】
2012年 11月 【30件】
2012年 10月 【31件】
2012年 09月 【30件】
2012年 08月 【31件】
2012年 07月 【31件】
2012年 06月 【30件】
2012年 05月 【31件】
2012年 04月 【30件】
2012年 03月 【31件】
2012年 02月 【29件】
2012年 01月 【32件】
2011年 12月 【31件】
2011年 11月 【30件】
2011年 10月 【31件】
2011年 09月 【30件】
2011年 08月 【31件】
2011年 07月 【31件】
2011年 06月 【30件】
2011年 05月 【31件】
2011年 04月 【30件】
2011年 03月 【31件】
2011年 02月 【28件】
2011年 01月 【32件】
2010年 12月 【32件】
2010年 11月 【30件】
2010年 10月 【31件】
2010年 09月 【30件】
2010年 08月 【31件】
2010年 07月 【31件】
2010年 06月 【30件】
2010年 05月 【31件】
2010年 04月 【30件】
2010年 03月 【31件】
2010年 02月 【28件】
2010年 01月 【32件】
2009年 12月 【32件】
2009年 11月 【30件】
2009年 10月 【31件】
2009年 09月 【30件】
2009年 08月 【31件】
2009年 07月 【31件】
2009年 06月 【30件】
2009年 05月 【31件】
2009年 04月 【30件】
2009年 03月 【31件】
2009年 02月 【28件】
2009年 01月 【32件】
2008年 12月 【32件】
2008年 11月 【30件】
2008年 10月 【31件】
2008年 09月 【29件】
2008年 08月 【30件】
2008年 07月 【30件】
2008年 06月 【30件】
2008年 05月 【31件】
2008年 04月 【30件】
2008年 03月 【31件】
2008年 02月 【29件】
2008年 01月 【31件】
2007年 12月 【29件】
2007年 11月 【30件】
2007年 10月 【29件】
2007年 09月 【28件】
2007年 08月 【31件】
2007年 07月 【30件】
2007年 06月 【29件】
2007年 05月 【30件】
2007年 04月 【30件】
2007年 03月 【26件】
2007年 02月 【27件】
2007年 01月 【20件】
2006年 12月 【31件】
2006年 11月 【30件】
2006年 10月 【31件】
2006年 09月 【30件】
2006年 08月 【31件】
2006年 07月 【31件】
2006年 06月 【30件】
2006年 05月 【31件】
2006年 04月 【30件】
2006年 03月 【31件】
2006年 02月 【28件】
2006年 01月 【31件】
2005年 12月 【31件】
2005年 11月 【30件】
2005年 10月 【20件】


リンク


RSSフィード


全記事表示リンク

全ての記事を表示する


QRコード

QR

Click! Click!


楽天市場
HMVジャパン

Amazon