Titus Groan - Titus Groan

 陰に隠れた良質なロックアルバム選という感じでシリーズを続けているので、決してメジャーではないバンドやアルバムが続々と登場していますが、ホントに聴いてみると色々な発見が一杯詰め込まれていること間違いなしの秀作ばかりです。名盤というには頭ひとつ足りないんだけど、こんな音世界って…面白いかも、とハマれる音ばかりなのですよ。その中でも今となっては割と知られている…ような気がしているだけかもしれないのだが…(笑)。

タイタス・グローン(紙ジャケット仕様)

 1970年リリースのタイタス・グローンというバンドのもちろん唯一の作品「タイタス・グローン」です。Dawnレーベルからの登場でしてね…、60年代の風味を残しつつも思い切り70年代の幕開けに相応しいミクスチュアーなロックを展開してます。ジャズ風味と言われることも多いんだけど、そんなにジャズ風味は感じなくって…、それは多分オーボエという特殊な管楽器をロックに持ち込んでいることに端を発するのではないかと。かといってオーボエがジャズの世界で頻繁に使われていることもないのだけどな…。

 まぁ、そのヘンはともかくですね、重厚な大英帝国を見事に打ち出すかのようなサウンドでして、60年代のキャッチーさを持つポップなメロディとどことなくサイケデリック風味を漂わすようなバンドの音色と雰囲気に管楽器を加えて、テーマと作って曲を展開していく。その中で実はハードなギターだったりピアノだったりと音色を変えて次々と曲が進んでいく…歌は割とソウルフル…というかブルースもしっかりと通った歌声で、メロディだけ取れば実に伸び伸びと心地良い歌だ。それに大して演奏面ではテーマを重要視しつつ各楽器がそれぞれの持ち味を発揮するバランスの取れた演奏。実はこの人達結構な猛者なのではないかと思える節があちこちで聴かれる。

 タイタス・グローンってさ、掴み所のないロックという意味ではジェスロ・タルなんかと同レベルにある作品じゃないかと思うんだけどさ、やっぱりそれを邁進できるかできないか、それとバンドメンバーの取り組みとパフォーマンス…、そういうところが一発限りのバンドと継続的に人気を博したバンドとの違いだろうね、この頃は。演奏力とかテーマとか面白いもん。ベースもしっかりと個性ある音でラインを走っているし、ドラムはかなり好みのドタバタ手数の多い人で、聴いていてロックを楽しめる音。そういうサウンドが散りばめられているだけに広く聴かれていないのが残念。こういう聴きやすい音が広がると英国マイナー系ロックはもっともっと脚光を浴びることだろう…。

 ん?まぁ、もう十分に脚光を浴びているシーンではある?かな(笑)。紙ジャケ出てるしボーナストラックまで発掘されてるし…。ただCD化されるのは時間かかったなぁ…。同じDawnレーベルでもトレイダー・ホーンなんてのはさっさとリリースされてたもんな。



Capability Brown - From Scratch

 マイナーながらもかなりセンスの良いロックサウンドを繰り広げてくれるバンドやアルバムってのは70年代初頭の英国にはごまんと転がっていて、まぁ、そのヘンをあれやこれやと紹介しているのだが…、自分的には何となく好きだ~ってのから始まって、何でも聴き漁ってみて、結局その類の中でも良いアルバムは良いんだな、というのに気付いたワケで、決して何でもかんでも好みというワケではない。ただ、メジャーになれなかった理由ってんはやはりあるので、その辺を意識しながら聴いてみると何かわかってくる。シーンの環境もあるし、時代に合った音かどうかってのもあるだろうし。音楽的センスに優れているバンドってのは結構多いもんね。

FROM SCRATCH - フロム・スクラッチ

 さて、1971年にアルバムデビューして二枚のアルバムを残すだけとなったキャパビリティ・ブラウンというバンドも相当に良質なポップなロックを展開してくれたバンドだ。メンバーの経緯などはCottonwoodhillさんのブログに詳しく書かれていたのでそちらを参照♪ 白熊店長のトコロにも詳しく書かれているのでお役に立ちます…。なるほど、そういう経緯でメンバー編成が出来上がっているのか…、ならばこの音も納得です。昔から凄く優れた音だなぁ~、凄く有名な人とかメンバーに絡んでないのか?なんて不思議に思ってたからさ。

 ファーストアルバム「FROM SCRATCH - フロム・スクラッチ」よりもセカンドアルバム「Voice」の方が有名で、それもうジャケットのインパクトも絶大だし、中身も組曲になっていてプログレマニアに取り上げられて有名になっていったってのが大きい。その影響でキャパビリティ・ブラウンのファーストってどんなんだ?って興味が広がっていって再評価に結びついたってところだが、そのファースト「From Scratch」がこれまた全く期待を裏切らない程の出来映えだったので、結局良質なバンドだったんじゃないか、ってこととなるのだな。コーラスワークは完璧で軽快で起伏に富んだ楽曲をいくつも出してくるというアルバムは全く飽きることなく次から次へと聞いていられる代物。何が突出しているワケでもなくバランスのよいサウンド。ロックだけど、クセはあまりない。やっぱり良質なアルバムで傑作というに相応しいアルバム。もちろん何かが足りないっていうのはあるんだが(笑)。

 一時期CDなんかも手に入ったんだけど今アマゾンにはないのかな…。他ではいくつかヒットするから手に入るとは思うけどさ。あ、そういえばこのバンド、面白くて、一曲目はRare Birdの「Beautiful Scaret」っつう曲のカバーでして…、これがまた全然アレンジが変わっていて爽やか。しかしこの時代にそんなのをコピーしてアルバムに収録するってのも珍しいことだが、取り組みとしては非常に面白い。英国マニアにとってみればそんなのを発見ンしてしまったらニヤついてしまうじゃないか(笑)。「Liar」ってのはクイーンのカバー…だったら面白かったんだけど、クイーンじゃなくてアージェントのカバー♪ う~ん、全くこだわりのないバンドだったのかもしれんな(笑)。ちなみにレーベルはカリスマからのリリースです。



Beggar's Opera - Pathfinder

 これだけ英国のロックアルバムがリリースされていると同じようなジャケットの構図ってのも多々出てくる。もちろん意識的に真似しているものもあれば全く意図せずに同じようなモノになってしまった、ってのがあるだろう。まぁ、ギーガーとかだとデザインセンスがどれもこれも同じなので似たような、という次元ではなくなるのだが…(笑)。全く関連のないであろうデザイナーが同じような構図を持ってデザインしてしまったのが今回の面白さだ。

Pathfinder アクト・ワン+2(紙ジャケット仕様)

 1972年にリリースされたBeggar's Operaというバンドの三枚目にして最高傑作の呼び声の高い「Pathfinder」というアルバムですね。こうしてジャケットをみると馬に乗った宇宙飛行士のアップかと思うのだが、実際には6面開きのジャケットになっていて、Paladinの「チャージ!」をもうちょっと立体的にした感じで迫力満点のデザインなのです。

こんな感じ↓



 そしてですねぇ…、もう中身が最高にかっこよいブリティッシュロックなワケでして、プログレとか思っている人はちょっと違います、はい。完全にブリティッシュロックという世界の一言以外に表せないくらいに英国です。重くないし軽やかに美しく爽やかに…湿っぽく、伸び伸びとそして深々と聴けるロックなので全く素晴らしい。重厚感もたっぷりありながらもポップ的音像による聴きやすさというのもあり、もちろん実験的な面でもトライしているけどしつこくなくってサラリとこなしているので聴くに値する…と言うよりも聴いた方が良いよな、ってくらい素晴らしい名盤。オルガンやピアノなども大活躍していて、ギターもかなり洗練されているくせに粘っこい個性的な音でよろしい。でも、三枚目でこの完成度だったらクィーン並にブレイクしててもおかしくないバンドなのにな、勿体ない…っつうのはバンド名のせいだろうか?やはりライブの数とかレーベルのプッシュとかもあるのかな…。

 あ、そういえば、ヴァーティゴなんだよね、Beggar's Operaってさ。最初から三枚目の「Pathfinder」まで全部。ちなみに「Pathfinder」は6360 073だそうで。う~ん、Vertigoの域を超えたレベルのサウンドをやってるんだけどな、このアルバム。ブルースからクラシック、ポップスなどを血肉にしてしっかりと独自のサウンドセンスを打ち出したちょっとハードなロックのエッセンスをモチーフにしたバンド。多分、この手のバンドの中ではダントツのレベルを誇るアルバムのはずだ。無名バンドだから聴かないという選択肢を思い切り否定してくれるくらいにサウンドの質が高い。今の時代で誰かがカバーでもしたら凄くヒットしそうだもん。これこそ知られざる名盤に相応しい傑作。



Paladin - Charge!

 アルバムジャケットデザイナーとして英国ロックの世界で名を馳せているのが有名なヒプノシス、キーフ、ロジャー・ディーンと言ったトコロでしょう。彼等のデザインってのはそれだけで本が刊行されるくらいにデザイナー集団としては秀逸なもので、ロックの発展に大きく貢献した切っても切れない関係ってことは誰もが知るところ。ピンク・フロイドとヒプノシス、イエスとロジャー・ディーンなんてのはもうそのイメージ以外は受け入れられないくらいのものだ。それぞれ交錯したことはあるがやはりすんなりといかずに元の鞘に収まっているしね。

 そういう経緯もあって、それらのデザイナー集団が手がけたアルバムってのはそれだけで存在価値が高まるものだし、リスナー側も中身の音を過度に期待して聴くものだ。中身が良くてもジャケットがイマイチだったりすると売れなかったり、やはり知られるのに時間が掛かったりしてしまうのだが、逆もまた真なり、ってなことで秀逸なアートワークによるアルバムであったが故に中身の音がリスナーの期待に応えられないサウンドだと割と見捨てられてしまうってなのもあるのだ。

Charge Paladin

 1972年にリリースされたPaladinというもちろんイギリスのバンドのセカンドアルバム「Charge」はそんな一例だったのかもしれない。自分的には全く駄作だとは思わないし、あちこちのレビューで見られるようなアフロロック的アプローチという側面もそれほど思わないので、ちょっとズレているのかもしれないけどさ。まぁ、ロジャー・ディーンの非常~にかっこよいジャケットなのだよな、この「Charge」ってのは。見てもらえば分かるけどさ、何か凄いかっこよいハードロックっつうか疾走感溢れるような音を出していそうなジャケットじゃない?だからそういう期待で聴いてしまうと、最初の曲が結構変わったリズムのアプローチなので「ん?」って思ってしまうんだよね。まぁ、全体的にハネ系の16ビート的リズムのノリっつうかグルーブがアルバムを占めているので、ギターにしてもそういうカッティング的なのがあったりパーカッションにしてもそういうのがあったりするんだけど…、更にそういう言い方すればソウルなんかであるような泥臭いハモンドオルガンが鳴っていたりするから余計にそういう感じ方するのかもしれない。ベースも太くて重いラインでかっちょよいし。

 …あ、そうそう、そういうサウンドなのでハードロックじゃないワケよ。もちろんロックなんだけどさ、面白い音…ってかやっぱり時代を反映してて、ハードな側面とプログレッシヴな側面があって、そこにソウルフルなリズムやアプローチを組み入れたような感じかな。だからグルーブ感は見事だし、かなりの好盤。ただ、聴く人は選ぶかもしれないなぁ…。アルバムジャケットとの格差ってのを個人個人がどれだけ感じるか、ってのもあるけど…、ちょっとね、バンドとしてはどっちにどうやって向いてるの?っていう散漫な印象を受けるアルバムではあるかもしれない。



Quicksand - Home Is Where I Belong

 今でも語られる名盤ってのはやはりいつ聴いても素晴らしいサウンドが詰め込まれていて、例え好き嫌いはあるにせよ名盤の域という部分では納得できるものが多い。珍盤とか迷盤とか貴重盤とかレア盤ってのは存在価値そのものなので中身についてはあまり期待しない方が良いものが多いんだけどね。それでも入手に苦労したからその価値なりに良いと思って聴くという心理は働くので名盤として位置付けるのだが(笑)。

ホーム・イズ・ホエア・アイ・ビロング(紙ジャケット仕様)

 1973年にあのドーンレーベル(Dawn)からリリースされたQuicksandというバンドの唯一のアルバム「ホーム・イズ・ホエア・アイ・ビロング」なのだが、これは名盤です。誰が聴いても多分名盤に相応しい音が詰め込まれていて、このブログ的に言えばケン・ヘンズレーの素晴らしきファーストアルバムの後に出てきても全くヒケを取らないどころかQuicksandの方が出来映えは良いんじゃないかっつうくらいの洗練された音です。

 軽やかなギターサウンドとオルガンやハモンドなどの鍵盤類も絡めてコーラスワークも重厚ではなくて軽快に聴かせてくれるというサウンド。もちろん音はロックのサウンドなので軽快なロック、とでも言うべきものかもしれないがメロディもしっかりとしていて全く英国でしか出てこないライン展開や曲展開も微笑ましい。見事に捨て曲もなくってどれもこれもハイクォリティな楽曲と展開が聴けるし、プログレ…とはちょっと違うかな…、まぁ、でもイエスを軽くしたような、という形容詞は割と使いやすいのかもしれない。もっと軽快で起伏に富んでいるのでクィーンを軽やかに、というようなトコロかも。ただ、いずれにしても非常~にハイセンスなアルバムでこの一枚で終わってしまったというのは勿体ない。もっともっと面白いサウンドをリリースできただろうに…。

 売れなかったからか?それともドーンレーベルだったからか(笑)?多分、アルバムジャケットのセンスの無さがひとつの要因だったのではないだろうか?いや、むさ苦しい男が四人写ってるというのはちょっと聴く側のイメージや想像力を止めてしまうものだろう(笑)。これが、英国のファンタジーなジャケットに包まれた作品だったら相当のアイテムとして君臨していたに違いない内容を誇っているのだから。こういう音を好む人ってニッチだけど本質的な英国好きだろうと思う。ジャケットに惑わされずに聴いてみても損しない音ですよ、このQuicksandの「ホーム・イズ・ホエア・アイ・ビロング」は。はい。



Ken Hensley - Proud Words on a Dusty Shelf

 ユーライア・ヒープの雄とも言えるケン・ヘンズレー。今でもユーライア・ヒープは生きているのだが、そこはミック・ボックスこそがユーライア・ヒープなのだ、という自負でもあろうが70年代のユーライア・ヒープの花形はやはりケン・ヘンズレーとデヴィッド・バイロンでしょ。それでも元々がバンドメンバーの出入りが激しいバンドだったので許されたのかもしれないケン・ヘンズレーのソロアルバム構想。驚くことにユーライア・ヒープとして名盤の誉れ高い「悪魔と魔法使い」と「悪魔の饗宴」とほぼ同時期の隙間に自身のソロ作品「Proud Words on a Dusty Shelf」を録音していたのだな。そんなのバンドとして普通は許されないことだけど…ね。

Proud Words on a Dusty Shelf Anthology

 アルバムジャケットもタイトルも何とも高貴な雰囲気を醸し出したケン・ヘンズレーの美学を垣間見ることの出来る作品だが、リリースは1973年となった「Proud Words on a Dusty Shelf」。この頃にケン・ヘンズレーのソロアルバムを買うのはもちろんユーライア・ヒープファンだろうが、ここにはユーライア・ヒープとは微妙に異なった音が存在している。ただ、メンバー集めには時間がかけられなかったということもあってか、ベースにゲイリー・セインとドラムにリー・カースレイクを配してケン・ヘンズレー自身は歌とギターと鍵盤を演奏してさっさと制作ってなことらしい。なので半分ユーライア・ヒープっても言える作品なのだが、これがまたユーライア・ヒープ名義ではないのでもちろん廃盤…、もったいない、とんでもなく素晴らしく駄作のない見事なアルバムなのに。

 後に判明したんだけどこのちょっと前にはフリーのポール・コゾフとサイモン・カークなどとセッションしていたり、ボズ・バレルなんかともやってたりと割とブルース系統の人間とも人脈があったみたいなケン・ヘンズレー、やっぱり入り口がB.B.Kingのバンドだったってのはあって好きなんだろう。そういうのもあってか「Proud Words on a Dusty Shelf」の最初の「When Evening Comes」ではもう思い切りブルースギタリストしてます。それも完全にポール・コゾフと思うようなギターを弾いているので、もしかしたらホントにそうなんじゃないか?って思うんだけどさ、エグくて味があって一体このギタリストは誰だ?って騒がれるくらいの味で大変かっこよい。そんな調子でハマっていくんだけど、もちろん多彩なケン・ヘンズレーのことなので曲調は割とこだわらずに自然体の曲が多い。それでもやっぱりユーライア・ヒープで聴けるあの強烈なグルーブではなくって、その前段階みたいな感じでゆったりとしている。ただ…、わかるな、あそこまでのノリになるのは(笑)。そんな感じ。歌は元々歌っているワケだから全然違和感なく普通にボーカリストってなモンで、大変質の高いレベルに仕上がってます。

 う~ん、やっぱり英国人なのだなぁ…。美しい旋律のしっとりとしたラインが半分くらいを占めていて、「Rain」とか「Black Hearted Lady」なんてしっとりするもん。アルバムタイトルとジャケットに相応しい高貴さを持ってるねぇ。ソロ作品というだけでなくってもうちょっと脚光を浴びても良い作品なんだが、なかなか大成まではしなかった人だろうか。ニッチなファンは凄く多いと思うけど、それでもこのアルバムってなかなか手に入らないもん。今でも。勿体ないなぁ…。

 アコースティックギターの音色も割と聴けたりするので、これもケン・ヘンズレーが弾いているんだろうか?やはり才能ある人は何やらせても才能あるんだな…、かなり味のある音色で爪弾いてたりするし…、あぁ、美しい…。



Uriah Heep - Very 'eavy... Very 'umble

 しばらく続いた顔面ジャケットシリーズ、一応ここまでにしてまた別のテーマで続いていきますロック好きの行き着く先は…ブログでございます。いや、まぁ、宣言しなくてもいいんだけどね、その終焉を飾るにはあまりにも素晴らしい、素晴らしすぎるアルバムを聴いてしまったので、ほんのちょっとだけメジャーものを聴きたいなぁ~という欲が渦巻いてきたのです(笑)。それでもデビュー時からしばらくは、そしてもしかしたらメジャーになってからも圧倒的にB級センスを持ち続けた希有なバンドのひとつでもあるユーライア・ヒープ。その最初のデビューアルバム、が正に恐怖の大顔面ジャケットだったりするのですよ。

ユーライア・ヒープ・ファースト ソールズベリー
Uriah Heep - Very 'Eavy Very 'Umble Very 'eavy... Very 'umble

 1970年リリースのファーストアルバム「ユーライア・ヒープ・ファースト」、Vertigo 6360 006という割と初期のバーティゴの実験精神に乗ったバンドですね。006だからと言ってもバーティゴの6作目ではないですよ、その前にはVOシリーズもあるし、欠番もあるし…いや、いいんだけど…(笑)。Pattoのファーストが016なのでそんなに時期的には変わらないし、大顔面ジャケって言うのもあるんだが…中身が全く違う。もちろんバーティゴらしい音なのはどちらも間違いないが。

 圧倒的にメジャー感覚のセンスを持った作品だもん。でも、当時はどれもこれもリリースしてみないとわからないっていう世界だから区別されてなかっただろうし、自分だって何十年もこの手のロックを聴いているからメジャーなセンスとかB級ってのがわかるようになってきただけで、リアルだったらわからないもん。今の時代でもそれは当てはまるだろうし、やっぱ商業的なものと文化的なものと人々の好みが絡むからわからないよね。時間経ってから比べてみるとやっぱりユーライア・ヒープってのは凄いセンスだ、ってのが分かるのだが。

 最初のケン・ヘンズレーのオルガンによる強烈なリフとグルーブからしてもう体が踊りますよ、これこそがユーライア・ヒープ独特のノリだし、音使いでもあるし。そこにデヴィッド・バイロンのあのハイトーンが入ってきて…、いや、もうさ、ユーライア・ヒープの歴史の中でも「Gypsy」って名曲なワケよ。そんなのが最初に鳴ったらやっぱぶっ飛ぶよ。リフも歌も重厚なコーラスワークもあまりにもかっこよすぎてロック聴いててよかった~と思うもんね(笑)。しかもこれがヴァーティゴからの作品によるファーストアルバムってのが驚きでさ、それを考えるとやっぱり売れるとか売れないとか受け入れられるとかわからないもんだ。今聴けば圧倒的に世界を制圧できるバンドの音ってのがわかるもんな。

 な~んて聴いているとね、ユーライア・ヒープってやっぱ凄い。ただ冷静にこの「ユーライア・ヒープ・ファースト」を聴いているともちろん全曲が優れているってのでもなくて方向性を確立はしていないのかもしれないってのがある。概ねケン・ヘンズレーの鍵盤によるあのノリとバイロンの歌なんだけど、やっぱり時代が時代だからブルースの洗礼もあってね、その辺はまだ試行錯誤状態なのかな。ただしキラーソングもいくつもあるってのが強いよ。「Dreammare」とかメジャーな話だけど、ミック・ボックスも才能を発揮しまくっていて、全く王道バンドの音です、これ。頭振り乱して乗るもんな(笑)。

 いや、久々にコレ聴いたけど…、しかもこんな流れで聴くとは思ってなかったので我ながら意外な局面で聴いたので余計にかっこよく聞こえたかもしれない。とんでもなく熱いパワーと実験精神と意欲が詰め込まれた名盤。そして以降は更に磨きをかけて独自性を追求していったユーライア・ヒープ。原点がここにあり。



Patto - Patto

 あ、これもだ…、とふと気付いた。

 今の時代ってどうなのかわからないけどアルバムジャケットって中身の音を想像するという楽しみを与えてくれるものだ。特にアートワークが秀逸だった70年代はね。だから今でも70年代のロックをジャケットで目にする時はワクワクするもん。

 んで、何が?って…、いや、大顔面ジャケットだったのか、これも、って。どことなく黄色に落書きみたいに木霊みたいなのが取り憑いているっていう感じで見てたから顔っていう認識があまりなかったんだよ。しかも右上には水戸黄門の印籠のようにぐるぐるマークが付いているワケだし(笑)。

Patto Hold Your Fire

 アルバムリリースは1970年、Pattoのバンドとしてのデビュー作品でもあるのだが、最初からこんなジャケットで出てくる…ってか、まぁ、この時代のは皆そうなんだけど、そういうセンスって時代だよな。多分ね、70年当時には全然売れなかったのではないかとは思うのだがPattoというバンド自体は三枚のアルバムを残しているのでもしかしたらそれなりに需要のあったバンドだったのかもしれない。ま、でも、多分今の方が人気あるとは思うが(笑)。

 そんなキテレツなジャケットに包まれたPattoのファーストアルバム「Patto」だが…、大体バンドのアルバムってのは1曲目に割と自信作を持ってきたりするワケよ。デビューアルバムならそれこそがバンドの挨拶代わりの一曲みたいなもんだからさ。そこにこのPattoは…えらくねっちょりとした曲を持ってきていて、これがバンドの代名詞なのかよ?みたいな曲です(笑)。ところが、この挨拶代わりの「The Man」を聴いてですね、当然ながらそのまま聴き進めるとだ…、今度はもうちょっとねちっこいのが始まって、ヤケにギターの粘着性と歌のしつこさってのがハマってくるんですよ。特に自分的にはギター好きなのでこの粘着性ってのはツボにハマりまして…、はい、それで3曲目、4曲目とか進むともうオリー・ハルソールのギターの虜なんです。かっこよく書けばヤードバーズ後期のジミー・ペイジのような荒削りなギタープレイ。ありていに言えば70年初頭の英国ブルースロック界にごまんと表れた粘着性ハードロックブルースギタープレイの代表的な事例。そんなA面をネバネバに聴いて気にならない人はもう絶対こういう世界は受け入れられないと思う。好きな人はこの隠れたバンドPattoを追い求めることでしょう…(笑)。

 音世界はブルースロックとソウルフルなパトゥの歌が基本だけど、かなりラフでラウドなバンド。ヴァーティゴじゃなきゃいけないっていう音でもないけど、このラフさはやっぱりヴァーティゴかなぁ(笑)。この後、もうちょっと洗練されてセカンドアルバム「Hold Your Fire」がリリースされるけど、セールス面では全然失敗に終わってしまうバンド。自分みたいな後追いでの英国ロックファンは必ず好きなバンドとして挙げられる~、今は割と人気あるバンドです(笑)。



Kestrel - Kestrel

 しかしまぁここのところ自分のブログに並んだ顔面ジャケットを見ているとまったくまともじゃないセンスの塊だな…などと苦笑いしてしまうくらいに楽しい(笑)。アメリカのSSWなんて書いていたらきっと自ずから顔写真ばかりのジャケットが並ぶんだろうが、英国マイナーもので書き連ねていくとこうなるってのは、ある意味それ自体がヒネてて面白い。やっぱりそうでなきゃいかん。自己紹介の顔面写真なんてのは60年代で終わってるべきで、70年代はアートなのだ。ン?今は21世紀?う~ん、精神異常の時代です(笑)。

ケストレル(紙ジャケット仕様)

 さて、おそらくはマイナー系と呼ばれる中ではダントツの知名度と人気と実力を誇るケストレルです。もちろん1975年リリースの本作「ケストレル」でバンドは解体です。でも、ネットやアマゾンでちょろっと探してみてわかるようにもの凄い人気です。人気っつうのか、好かれているアルバムだし、聴いている人も割といるみたいだし、聴いた人は皆が皆手放しに褒めているという名盤です。昔は全く表に出てこなかったアルバムだけどマニアには重宝した作品「ケストレル」だったのが、ロックの歴史が長くなるに連れて徐々に浸透していった結果、多分デビュー現役当時よりも今の方が圧倒的に人気もあるし、同じアルバムの売上数量は多いだろうと。そんなバンドはままあるけど、ここまで一般的にも受け入れやすい音っていうのはなかなか見当たらないから見事なものだと。そんなのを35年前に奏でていたってのもやはりセンス。時代を先取りし過ぎていたんだろう。

 うん、音はだな…、キラキラしたポップサウンドだけどヒネててウェット感に溢れているという代物。更に展開が凝っているので飽きないってのと味付けサウンドにメロトロンなんてのが出てくるってなもんだ、まぁ、単なる味付けのひとつなので、どっちかっつうと歌メロの楽しいセンスとちょっと歪んだギターのセンスと鍵盤の煌びやかさが売りでしょう。驚くくらいにセンス溢れるポップスってのがわかる。そうだね、10CCとかELOとか…、トッド・ラングレンの世界ってのが一番近いのかもしれない。しかもハイセンスなA級レベルの楽曲クォリティだからそこら辺で流れていたらもっともっと売れてしまうであろう曲ばかりだね。

 ジャケットは賛否両論っぽいけど、このジャケットのセンスって…やっぱわかる人とわからない人は分かれるかなぁ…。中味がとんでもなく上質なポップだからこのジャケットは勿体ないっていう人もいるだろうし、逆にこれだけ良質なポップができるんだからジャケットもバンド名もちょっとおちょくってみようか、ってのが読み取れるかどうかだよな…。ケストレルってハヤブサ科の小型の猛禽のチョウゲンボウで結構かっこよいんだけど、ハヤブサではなくってチョウゲンボウってところがこのバンドのヒネたところで…、ハヤブサほどスターにはほど遠いけどちょっと手の届くところまで…ってのがチョウゲンボウ。人にもあまり知られていないっていうところもこのバンドの今の存在位置を示している、ある意味狙い通りに世界を制しているのかもしれない(笑)。



Fuchsia - Fuchsia

 大顔面アップのアルバムジャケットってのはまぁ、色々あるわな…とつくづく眺めていて思うことだ。メンバー一人が突出していてその一人が写っているってのはやはりなくって、ソロシンガーなんかはそういうモンだけど、バンドでは民主主義が働いているからね。んでも大顔面が多いのは象徴として出てくるってもんだ。ま、クリムゾンのアレが誰かの顔か、と言われてもわからんでしょ。そういえばクリムゾン・キングの宮殿 デビュー40周年記念エディション2CD版がリリースされるのだが一体何が入っているんだろうか?

Fuchsia

 さて、そんな中、大顔面というよりが顔面ジャケ、という程度なのだが、昔から気になっていてなかなか見つからなくて、それここの所の漁りでようやく手に入れた音です。Fushiaというバンドの唯一の作品「Fuchsia」。1970年リリースのアルバムでして…、ジャケットのインパクトと中味が想像できなくて、あまりレビューなんかでも見かけることがなかったのでほぼ何も分からない状態で聴いたので新鮮。これくらいオタクになってくると何か情報収集しちゃってね…聴いた気になってアルバムを手にするんだよ。特に70年代のものはさ。でも、予備知識があまり無かったから純粋に楽しんだ。そこからネットであれこれと調べるんだけど、単語が単語なので普通に出てこないので情報収集がほぼできていない(笑)。男女三名ずつのバンドってことらしいが…。

 聴いてみるとおぉ~!と唸ってしまうくらいに煌びやかに彩られたロック調に乗せられた妙~なフォークの音色がプログレッシブに展開されるっつう代物で、女性歌モノはあんまり出てこなくて、軟弱そう~な男の歌声が聞こえるってなもんだ。プログレッシブな要素を持つトラッドフォークバンド、とは懐かしいエヴァ姉さんの言葉だったか…、そんな感じではありまする。確かに歪んだギターはたくさんは入ってないけど、フォークってなほどでもないような部分も多い。プログレッシヴな曲展開…はそうだな、確かに面白い。でもね、そんな予備知識なしだと結構ビートルズ的な感覚で聴ける部分もあるのでは?いや、なんかごっちゃ~って入り混じってるトコロがさ。ま、それよりもフォークが基本にあるってのは実際わかるが。

 この手のバンドってドラムのロールで使われるスネアの音色が凄く好きでさ…。時代なのかもしれないけど軽快でかっちょよい。そしてこのFuchsiaってバンド、基本的に弦楽器奏者が三名ってことらしく、やはり音の世界でも高貴な雰囲気を醸し出す弦楽器が絶妙に使われているので、普通のレベルではない世界にある音が聞けるとでも言えばいいか…、不思議。暗くもないけど脳天気じゃぁない、室内楽的なものと英国トラッドと出会ってプログレッシブなアレンジが施されたっていうところじゃないか。

 ジャケットの絵は誰なのかまでわからないけど、音を聴いてジャケットを見ると何か納得できる部分はあるのでかなりの好盤ですよ。今の季節にはぴったり♪



Judas Jump - Scorch

 大顔面ジャケットを続けてアレコレと…、と気にしてみると実にいっぱいあるもんだ。そりゃそうなんだけどさ、名盤と言われている作品にも大顔面って結構あるもんなぁ。まぁ、普通に撮ってる分には別にいいんだけど、やっぱどっかヘンじゃないと気にならないっつうか、それくらいヒネてないと英国ロックらしくないっつうか…。あ、そういえば凄いアルバムを思い出したんだけど、それはまた今度書こう…、うん、大顔面で超変態的なアルバムっていったらどこぞのブログの有名人さんの名がアルバムタイトルになってるアレですね。いつもお世話になってます♪



 さて、それはさておき、ヘンという意味ではかなりインパクトがあるであろう…そして英国ロック好きの中でもプログレらしさはないし、メロトロンでもないし女性歌モノでもないし、ブルースロックでもないので多分取り上げられることがなくって情報もほとんど流通していないという作品…、いや、それってホントに取り上げるべきものなのか?っていう疑問も湧き出たんだけど…、まぁ、せっかくあるし聴いてみたからいいじゃないですか。お遊びってことで。

 …ってさ、アマゾンにはもちろん取り扱いないし、HMVでもないし、もしかして紙ジャケでも出てないのかもしれない。いや、CDって出たことあるのだろうか?それすらも疑問に思えてきた…。ネットで情報漁っても何も出てこないので相当に無名…っつうか見捨てられたアルバムなんだろうな…と。あ、バンド名はJudas Jumpです。アルバムは「Scorch」ってヤツでして…うん、ヘンでしょ(笑)?まぁ、これくらいなら誰でもやるっていう気もするが、やっぱおかしいかな、と。別に黒人のサウンドが好きでこういう顔しているワケじゃないしさ。

 そこで音の方なんだが…、まずね、このJudas Jumpというバンドはビートルズで有名なParlophoneからリリースされているんですよ。しかもシングルを三枚くらい出してからのアルバムリリースなのでそれなりに期待されていたのではないかと。1970年のアルバムリリースだし、聴いていると基本ステレオ盤なんだけど「Bossa Jump」なんかでいきなりモノラルになるので面白い。この頃のバンドの音はモノラルが似合うなぁ…。それもそのハズ、と言うか、モロにビートルズ的なサウンドですからね、このバンド。意外なコトにそれも相当にレベルの高いビートルズ的エッセンスが入ったバンドでして、そりゃParlophoneが力入れただろう、と。楽曲レベルは相当高いし、楽器も多彩で音色も豊富。そしてアコースティックも美しいし、ビートルズが鳴らさなかったような音をビートルズの代わりであるかのように出しているので凄い。コーラスワークもしっかりしてるし。改めて聴いてみると凄い才能の塊の人達だわ…。

 ってちょこっと調べてみると、ベースのアラン・ボウンは元々The Herdにいて、Judas Jumpの後にはピンク・フロイドの「The Wall」ツアーで鍵盤奏者兼ベーシストで同行。その後にはステイタス・クォーに参加するという強者。う~む、素晴らしい仕事人じゃないか。そしてその才能を生かし切れていたのはもしかしたらJudas Jumpだけだったのかもしれない。それにしても何という牧歌的且つ歌心に溢れたアルバムなのだろう。ジャケットで損してるよな、絶対。ELOとか10CCとかその辺りに勝てるサウンドしてるもん。時代の産物なのかもしれないが。

Bram Stoker - Heavy Rock Spectacular

 顔面アップの奇抜なアルバムジャケットの中でも最も謎に包まれているバンド…、そういう意味では70年前後の英国のロックバンドの中にはアルバム一枚で消え去ったバンドが数多く存在していたり、メンバーの名前すら不詳というバンドも中にはある。もっとも名前がわかっていたとしてもどうしようもないっていうバンドもあったりして、そんなのを解明するなんてのは全くナンセンスなのだな。まぁ、知りたくなるってなモンだけど、アマチュアに毛が生えたような人達によるアルバムなんてのはそもそも音楽活動して生きている人が多くないので、探しようがないってなもんだ。でも、ここ最近の日本でのCDリイシューや紙ジャケによる再発などで再評価されることでマネージメントがしっかりしていたトコロではそういうアーティストに印税を支払っているのだろうか?それ故に本人達とコンタクトがあったりするものなのだろうか?それ故に本人達によるライナーが出てきたり、リイシュー監修とかに出てくるってことなのだろうか?それ故に妙~なバンドが再結成とかやらかしてくれるってことなのだろうか?う~ん、辻褄は合うんだよな…。

Heavy Rock Spectacular The Crazy World of Arthur Brown

 前置きが長くなってしまったが、そんな幻のアルバムとも呼ばれたブラム・ストーカーっつうバンドです。そもそも1972年のアルバムリリースなんだけどWindmillっつう超マイナーなレーベルからの一枚でして、当時を知るロックファンでもまず知られていなかったバンドらしい。そりゃそうだろう…とは思うが、何故か誰かが発掘して現代に至るまで歴史的なアルバムとして祭り上げられて…、まぁ、違う意味でだが、歴史的価値の栄誉を欲しいままにしていた激レアアルバム。

 …それも今じゃラク~にCDが手に入って聴けるんだから幸せです。本人達も何で印税入るのか不思議だっただろう。こういう人気ってのは英国の当人達は他のバンドも含めてなかなかわからないだろうなぁ…、圧倒的に日本での人気が異常だもん。多分。海外のサイト見てても普通に帯付きの日本盤紙ジャケCDが出てるしね。

 うん、そんな背景を持つバンドなんだが、ジャケットは見ての通り奇妙~にコラージュされた顔面アップジャケットで、アルバムタイトルが「Heavy Rock Spectacular」ってモンだ。聴いてみるとわかるけど、アルバムタイトルに相応しいヘヴィーロックが繰り広げられてます。それもオルガンがメインで、その上をぶち壊すようにギターがハードに入ってきたりするんだが、やっぱりオルガンメインのバンド。ハードロック…だけどハモンドオルガンを如何に暴れさせるかっていうところがある気がする。まぁ、ちょっと演劇めいた部分もあるので、インパクトとしてはアーサー・ブラウンの「The Crazy World of Arthur Brown」を狙っていたのかなぁ…とも思う。オルガンがコロコロ転がっているっていうのも含めて。結構軽快な音なので聴きやすいが…、まぁ、ここまで英国ロックをどっぷりと聴いている人間が聴きやすいと云ってもなかなか信用ならんとは思うんだけどね(笑)。



Czar - Czar

 奇妙なアルバムジャケットという意味ではこのヘンのロックってのは全くネタが尽きないので、もう何でもアリの世界になってきた(笑)。まぁ、それでも一応テーマは決めて行こうじゃないか…、せっかくだし。ってなトコロで、ここのトコロの英国ロック系はまとめてiTunesでジャケットを表示して羅列して見ているのでどうにもジャケットが目に付くようになっているのですよ。だからレコードをパラパラと見ているよりも、どちらかというと英国B級ロック名鑑を眺めているような感覚でiTunesを楽しんでいるので、CDよりもレコードよりもジャケットに目が行ってしまうワケで、そしてそのジャケットを気にしながら音も楽しむという現代的な聴き方をしているのです。よって如何にこの頃の英国ロックのアルバムジャケットがヘンなのか、ってのがよくわかるのだ(笑)。

Czar

 奇妙さと顔面アップという感じで目に付いたのでCZARというバンドの1970年リリースの唯一の作品「Czar」をどうぞ♪ これさぁ、Czarって綴るから何て読むのかわかんなくて、もしかしたらシーザーなんて読み方だったりするのか?とか思ってたら、どうやらツァールという読み方をするらしい。ん?ツァールってロシアの皇帝の意味じゃなかったっけ?ん?シーザーってジュリアス・シーザーでしょ?ん?同じ語源の意味?言語違い?ん?などと別の路線に走って調べてしまったが、簡単に言うと同じ語源からの言葉でした。なるほど…。ならいいか(笑)。そうすると一気にこのジャケットの意味が読めてしまって…、そうか熊を被って王冠を更に被っているのはそういうことなのか…と。知識ってのは重要ですねぇ~。ロックでも世界史が学べます(笑)。

 さてさて、その音なのですが…、これがもう思い切りハードでブルージーでメロトロンの洪水で熱~い演奏をしております。ギターのロックという側面もあるけど、オルガンとメロトロンも同様に使ったヘヴィーロックというに相応しい音です。そこにこの頃独特のアドリブ的エッセンスを多分に入れて出来上がったB級サウンド。演奏はそんなに巧くないんだけど、その心意気が凄くよくわかる音でさ。自分がバンドやってメロトロンとかハモンドとかあったらこういう音になってる気がするもん(笑)。やってる方は心地良いだろうなぁ~っていう自己満足的なロックで個人的には非常~に面白くて好きな音です。だからと言って万人にオススメはしないんですが…。

 歌メロとかは結構サイケデリックな雰囲気も入っていて、がなり立てるハードロックには仕上がっていません。ヘヴィサイケの延長にブルースロックとの出会いがあって…みたいなところなので聴きやすいと言えば聴きやすい…ね。しかしある意味ジャケット通りの印象って気もするのでなかなかの好盤♪



Luv Machine - Luv Machine

 人体の不気味なジャケット&英国B級レアアイテム…的なブログの筋書きになりつつあるのだが…いや、そんなに長くは続かないです(笑)。ただ、ちょっと眺めていて、これも不気味っちゃあ不気味か?ってなことで無理矢理入れてみます…。まぁ、そういう括りになるとさ、フラッシュとかロジャー・ウォーターズの「Body」とかさ、何だかんだで人体をモチーフにアレコレっていうジャケットって結構あるんだもん。マジメに探してないけど多分相当ある…。

Luv Machine Turns You On

 英国ハードロックの超レアバンド、ラブ・マシーンによる唯一のアイテム「Luv Machine」だ。1971年リリースの幻のアルバムと呼ばれた作品ですら今では平気でCDで手に入ります…。探してたけど見たことなかったなぁ、これは。昔エジソンからプログレ系のCDシリーズが出る時に全部揃えるとオマケでこれくれますってのがあったけど、もちろん全部買えないので却下。それでもCD見たことなかったし、レコードももちろん見たことなかった。でも時間が経つとこういうのまでCDが出てくるんですねぇ…。ってなことで聴いたのはつい最近です。びっくりしました。こんな音だったんだ…。

 まずはメンバーが黒人二人と英国人二人。黒人ってどうやらバルバドス島出身の人間らしい…、それってどこ?って感じだが、まぁ、良いじゃないか、ジミヘンばりのギターが聴けるんだから。っつうかさ、そのおかげでえらくファンキーなサウンドが基調となっているんだよ。ハードロックなんだけど軽くてファンキー、そしてギターが荒々しく歪んだギターを掻き鳴らすというような図式。ただ、面白いのはノリと勢いで全てを片付けてしまうようなロック的解釈と音の詰め込み方。多分一発録りなんじゃないかな、このノリは。現代のバンドにも通じるくらいのファンキーさとロックさが同居した不思議なサウンド。ちょっとかっこいいかも、って思ってしまった自分が恥ずかしくなる、そんな音です(笑)。

 しかし「Luv Machine」のジャケットがよくわからん。何が言いたくてこういうジャケットになっているのか…。別に気持ち悪くもないけど意味するところがわからなくてさ。まぁ、アートです、って言われればそれまでだが…。中味の音をちょっと損させているかもしれないな。B級なんだけどかっこよいサウンドで男らしい音ですよ。ただ…、十回くらい聴くと飽きる音ではあるが(笑)。ジミヘンフリークなんだな、とかスライ好きなんだな、とかがわかる…。

 ちょっと前にアーティスト公認…っつうか自身でマスタリングしたとかいう「Turns You On」という過去の集大成的アルバムがリリースされていて、いわゆる全集なので当然この「Luv Machine」も全編収録したCDも出ている。



Cirkus - One

 奇妙な人体裸ジャケットって流れで行くともう一つ思い付いた…っつうかさ、いくらでもあるんだけど、まぁ、それなりに音の流れも一応作ってるだけなんだな(笑)。さてさて、そういう意味で、気持ち悪くはないんだけど、何なんだろ、これ?ってな類のジャケットですな、これは。それでも昔に比べて容易に手に入れられる時代ってのが大変微笑ましいですよ、ホントに。なかなか探さないと聴けない音だったしねぇ。

ワン・プラス

 1971年にリリースされたらしいが、それがまた自主制作でリリースされていたようだから当時からこのバンドを知る人達はどれだけいたのか凄く不思議なのだが、今では普通にメジャーなバンドよりもよほど知られているかもしれないマイナーなバンド(笑)。この時期のサーカスと言うバンドは英国にふたつ存在していて、ひとつは「C」のサーカス=Circusってので、メル・コリンズが昔在籍していたバンドですね。そんでこちらのサーカスは「K」のサーカスとして呼ばれているのだが=Cirkusってことです。まぁ、それは後になってからのお話なんだろうけど、ホントにこのバンドってどこまで知られていたんだろうか?何でまた自主制作のアルバムがこんなに有名になったんだろうか?そもそもこのアルバム「ワン」の音って全く自主制作の音ではないので、当然ながらきちんとしたプリプロの録音が行われた後にメジャーからアルバムリリースされなかっただけなのか…。ちなみにオリジナル盤のリリースは「RCB」というレーベルから自主制作盤がリリースされているので、多分RCAからデビュー予定でプリプロまで作ったけど、結局お払い箱になってしまって、そのテープそのものを使って自主制作でリリースしたのではないかと…。

 いや、勝手な想像なので、今ではどこかでそんな理由が判明しているかもしれないし、本人達も90年代以降にも再度活動しているそうなので訊いている人もいるだろうし。それにしても不思議だよね、そんな作品が後に結構な評価を得て今でも入手できるアルバムとして語り継がれているなんてさ。本人達もビックリでしょ。

 そしてそれもそのはずで、アルバム「ワン」のどの作品群も見事な出来を聴かせてくれていて、思い切り叙情的にポップに、そしてプログレ的にメロトロン的に好まれる音なのですよ。ジャケットの意味不明さは何となく操り人形的な印象とびっくり箱的な印象なんだけど、裸の男が生まれ出てきているという絵が描かれています。まぁ、それはともかく音の方を聴いて欲しいね、これ。もちろん繊細な側面が多分にあるしっとりと心に染み入るメロディラインはもちろんのことさわやかなポップ調な曲からメロトロンを聴かせまくったプログレッシブなもの、そして叙情的なバラード調…、フォークタッチの要素も取り入れたりした才能あるアルバムですよ。コーラスワークまでしっかりと出来ているじゃないですか…ってなくらいに英国好きには堪らない作品世界。

 そっか、だからこそ聴いた人が良いよ、って言うから自主制作の枠からはみ出て時代を超えて語り継がれてしまうアルバムになったワケか…。うん、いいよ、ほんと。その辺のメジャープログレバンドよりも全然ロックしているし、プログレしてる。テクもそこそこだから問題なく聴ける。アマゾンで見るとちょっと入手しにくくなっているらしいけど何とか手に入るでしょっ♪

Big Sleep - Bluebell Wood

 人体の体の別の部位をくっつけた絵柄のジャケットでもう一つあった。こちらはかなり地味な存在で仕上げているので不気味さはそれほど漂わないが、実はよく見ると相当ヘンなジャケットでして、アナログだったらやっぱりあまり部屋には飾られないジャケットだろうと思う。今度はまたしても裸の人間の上半身が手の平に化けているという代物だ。背景と意味合いがよくわからないんだけどね…。

Bluebell Wood In Fields of Ardath

 Big Sleepというバンドの1971年作品「Bluebell Wood」、もちろん唯一の作品なのだが、このバンドは実はちょっと前に紹介していたEyes of Blueという60年代からのサイケデリックテクニカルバンドの変名バンドとしてリリースされたもの。何で変名だったのかね…どっちかっつうとプロジェクト的だったらしいけど、音楽性の問題だろうか?まぁ、そういうのが許されていたんだろうし、それでこのジャケットかよ、というのもまぁ、インパクトが必要ってことなのかな。それにしてはちょっとインパクトに欠けているのだが…。

 中味の音は…、ジャケットからは想像し得ない程にメランコリックにセンチメンタルに描かれた繊細な曲調から始まり、アルバム全般でラフな部分とか大上段に斬られるようなアレンジなどは全くなくって練られている。しっとりと聴かせてくれる大人の音色に根付いた雰囲気の曲調ばかりで、そこはプロ集団の音作りと唸らされるくらいにしっかりと聴けるものだ。その分アルバム全体の、曲それぞれのインパクトってのは弱くなってしまうのでどうしてもアルバム単位で何度も聴いてなんぼの世界になっちゃうところが勿体ないか。ただ、非常~に良い作品として仕上げているので全然飽きないけどね。逆にそれほど聴けるか、って言われてもそんなに聴かないだろう、っていうのもあるんだけど、聴く度に新たにその存在感に気付かせてくれる、そんなアルバム。

 今の季節にはちょうど良いアルバムだなぁ…。ジャケットのヘンさを完全に忘れ去らせてくれる音世界で、へぇ~、ってなくらいに良質。ハードロックではないです。オルガンや鍵盤系が中心になったフワフワした浮游感に流される音が基本だけど、もちろんギターもベースもドラムも入ってる。ただねぇ…、やっぱメランコリックさが得意というところなのかな。プログレ的な展開もそんなにありません。だから、やっぱり英国ロックの世界なのです、としか言えない(笑)。ハマる人は多分相当ハマると思う。ジョン・ウェザースがこの後にGentle Giantで成功することからEyes of BlueやBig Sleepも多少知られた存在になっていくんだけど、どっちのバンドの音とも絡まない独特の世界です。

Toe Fat - Toe Fat

 不気味ジャケットシリーズの中でもダントツに誰もが生理的嫌悪感を表すであろうアルバムをひとつ…。それでもヒプノシスのデザインなんだからやっぱり人の記憶に残る作品を創らせれば天下一品という評価に狂いはない。しかし、やっているバンド側からしてみたらそれもどうなのかなぁ…と思う逸品でもあるのは確か。

Toe Fat Toe Fat II

 1969年リリースのToe Fatによるファーストアルバム「Toe Fat」。見ただけでヤでしょ(笑)?何がって言われてもアレだけど多分生理的嫌悪感っていう一言。ちなみにアメリカ盤はあまりにも不気味だってことで左端の人間が白い犬に置き換えられているんだけど、あまり意味ないね。もう思い切りジャケットを見ただけで音に想像力が回らないという(笑)。中味以前に手に取りたくないっていうジャケットです。

 しかし、その中味はですね…、実はケン・ヘンズレーが鍵盤でもギターでも活躍しているバンドでして、1969年と言われてももうちょっと後になって出てきたような最先端のハードロックンロールを奏でていてですね、相当に洗練されたかっちょよい大英帝国ロックが詰め込まれているのです。全くB級ではなくって思い切りA級の練られたロックが聴けるのでジャケットでの原点度合いはともかく、この手が好きな人は是非聴いてもらいたいね。後のユーラーア・ヒープとかを期待し過ぎるとちょっと異なるけど、その前兆は十分に感じられるくらいの思いハードロックなサウンドです。

 ボーカルでこのバンドのリーダーでもあるクリフ・ベネットの渋い歌声とハードロックがブレンドされて、そこにケン・ヘンズレーの重いセンスがしっかりのしかかってくるという図式。あ、多少のポップさ加減も時流の流れで入ってるけど、邪魔になるようなものじゃなくてメロディラインの覚えやすさっていう意味でアリ。しかしこのギターの粘っこさってのは独特だね、ブルース一辺倒ではないギターなんだけど、このいやらしさはクセになります(笑)。

 そう考えると凄くもったいないジャケットでのマイナスだねぇ…。これでほっと違ったジャケットだったら結構な名盤扱いされていてもおかしくないでしょ。ケン・ヘンズレーだし。まぁ、この一作で脱退してしまったが。バンドはクリフ以外のメンバーを総入れ替えして翌年にセカンドアルバム「Toe Fat II」を発表するけど、それでおしまい。セカンドはもちっとハードロックしてるけどこれもまたジャケットが気持ち悪いのだ…。やっぱセンス悪いのかな(笑)。



Web - I Spider

 バンドやアーティストにとってアルバムジャケットってのはやはり結構な意味を持っていてほしいものだ。自分のバンドを表現していたり音の世界を表現していたり…、もしくは奇抜で人の記憶に残るようなジャケットとかインパクトを与える何かを付けているとか…変形ジャケットなんてのはそんな類なんだろうけど。まぁ、顔を売りたいって人もいるだろうし、色々あるんだろうけど、そんな中で奇妙~なモノとかちょっとキモイものってのもあって、いくつかは成功しているが概ねマイナス要因になってしまっているというものも多い。音だけを聴くならば全然かっちょよいんだけど、ジャケが聴き手を阻むっていうこともあるのだな。気になって聴く、っていう人もいるのだが(笑)。

アイ・スパイダー(紙ジャケット仕様) Samurai

 そんなジャケットのひとつでもあるウェブの三枚目1970年作品「アイ・スパイダー」。ちなみに表がこのジャケで裏は同じように頭がピースサインしてるので、多分ウサギをもじったもの。表ジャケはガチョウみたいなもんだろうけど尻尾がないからかなり不気味な生物みたいに描かれていてちょっと生理的に嫌気が差す。

 バンドとしては実はこのアルバムは三枚目でして、それまでのアルバムば全然売れなかったってのは大きい要因なんだが、その際に主要メンバーも入れ替えていて…と言うか、デイヴ・ローソンが加入した作品って一言で済むか。ただ、加入ったって、鍵盤は弾いているし歌は歌っているし、更に全曲作曲までしているって、ウェブというバンドがいきなりデイヴ・ローソンのバックバンドになっちゃったワケだよ。そんだけ認めさせてしまったっていうデイヴ・ローソンって凄い才能の持ち主なのだろうと思うが、あり得ない話でしょ、普通は。でも、それが結局40年近く経った今ではこの「アイ・スパイダー」こそがウェブというバンドの傑作として挙げられている、っつうかそれしか挙げられない。それもこれもデイヴ・ローソンのその後の成功のおかげかもしれないんだけど、それくらいインパクトがあったメンバーチェンジ。そこにこのジャケットでそれまでの印象を変えて、っていうこともあっったのだろう。

 音はだね…、これがまたさすがに素晴らしく良質且つムードバッチリの叙情系プログレッシブロックとジャジーな雰囲気を混ぜ合わせた美しい作品。メロトロンが鳴っているのも良いし、そこに管楽器が上品に絡んで作品が構築されているってのも巧い。A面は組曲になっているのでその雰囲気と構成がしっかりと聴き手に伝わってくるね。繊細な音色の塊で、雑なところがひとつもない見事な出来映えです。それこそデイヴ・ローソンの仕事ってのがよくわかる。もうちょっとジャケットが美しかったらもっと名盤扱いされていたと思うんだがなぁ…、まぁ、それも英国ロックの歴史だ。

 ちなみにこのウェブと言うバンドは、この「アイ・スパイダー」をリリースした後、ほぼそのままのメンバーであまりにもデイヴ・ローソンのインパクトが強かったためかSamuraiとバンド名を変えてアルバム「Samurai」をリリースしている。これも当然ほぼニアリーな音作りなのだが、もうちょっと詰め込まれているかな。そんでデイヴ・ローソンはグリーンスレイドへ参加していくのだが…、この人、凄く良い仕事しててさ。ケイト・ブッシュやサリー・オールドフィード、イエスの「91025」とかも参加してるし驚くことにその流れでアラン・ホワイトとクリス・スクワイアとジミー・ペイジが組んだXYZというプロジェクトにも参加していたらしい。う~ん、さすが大英帝国の職人。

Brainchild - Healing Of The Lunatic Owl

 唐突なんだけど、ブラスロックとは何と適当なロック用語だろう(笑)。管楽器が入ってたらブラスロックというカテゴリに属するという意味に近くてさ、まぁ、シカゴが代表とは言うけれど、もちろんそういう効果を流用したバンドも多々あるのだが、ブラスが前面に出ているとそれは簡単にブラスロックというカテゴライズになるみたいだ。例えそのバックの音がしっかりとしたブルースロックだったりハードロックだったりしても、だ。まぁ、その言葉の使い方は書く人や聴く人によって使い分けられるものだろうけど、読む側はそういういうもんか、とヘンに納得して音を想像してしまうんだよな。ウチもその責任の一端はあるのかもしれないけど…、まぁ、個人の趣味ブログだからいいや(笑)。

ヒーリング・オブ・ザ・ルナティック・アウル

 何故にそんなことを思ったか…、Brainchildっつう英国のA&Mから1970年にリリースされた唯一のアルバム「ヒーリング・オブ・ザ・ルナティック・アウル」を書いてみようと思ってネットであれこれ見たりもちろん昔の本なども見たりしてて、ブラスロック云々ってのがあったからそう思ったワケです。自分の頭の中での音の印象はかなり遠くに消え去っていたので余計にそう思うワケですが…(笑)。

 確かにブラスを前面に出したロックで、なかなか洗練された音なのでかっこよいっちゃぁかっこよいし、ブラス以外に特徴的な音があるかと言われるとちょっと困るのだが、時代的なものもあってブルースベースなバンド編成が基本の音で、そこにブラスを被せているような感じ。ギターの音はかなりクリアーな音で、ジャズチックなフレーズが多いのでそれ系統の人なんじゃないかな。ふとドアーズのロビー・クリーガーを思い出してしまった。なかなかすっきりとしたジャズとブルースの合いの子にブラスを入れた感じで、歌は時代を象徴するかのような合間に入れてある程度で決してキャッチーさを意識したものではなさそうだ…。でもなかなかソウルフルでかっこよい部分はあるので、ちょっと琴線には引っ掛かります。

 演奏力も高いし迫力もそれなりにあるんだけど、ただそれだけっつうかそれこそメジャーになれない面白さを持っているんだよ、やっぱり。まぁ、高い金を払ってまで聴く価値ってのは一般的にはないバンドだけど、シーンを象徴する音の世界であるのは確かだしねぇ…、こういう音かぁ…と納得。記憶に残っていないハズだ(笑)。それはジャケットのインパクトが強すぎたってことも大いに影響している気がする。なんせこのジャケットだ。不気味っつうか気色悪いっつうかさ、フクロウの足が人間の手っつう…。こういう生理的に気持ち悪いジャケットっていくつか英国ロックの世界ではあるので、その辺も面白そうだな…。続けてみるか(笑)。

 そういえば、これもまたCottonwoodhillさんとこで大々的に記事が書かれていたので大いに参考になります、はい。解釈の仕方もなるほど…と思いますもん。

Aquila - Aquila

 ロックフィールドへのジャズの持ち込みってのには全く異なったアプローチがあるってもので、シカゴが代表的だけど、ブラスロックというカテゴリを作ってしまうくらいに独自の世界観を知らしめている。ジャズを持ち込んだというよりもビッグバンドによる管楽器隊を持ち込んだだけなんだけど、ロックのドラマ性には見事に当てはまったということで、ウケたようだ。もちろん英国にもそのような試みを実験するバンドもあったワケだが、なかなか一本スジとして打ち出せなかったが故にそのまま消えていってしまった、ってのはあるのだな…。

Aquila

 Aquileっつうバンドの唯一の作品「Aquila」がそれですな。1970年リリースなので、まぁ、時代の最先端を独自の解釈を含めてプレイしていたってところなんだが…、元々の楽曲に問題があったのか全く知られることもなく消えていった作品。アプローチは非常にユニークなもので、アコースティックやサイケデリック風味や60年末期のポップサイケ的なメロディがあったりクリームやジミヘンで聴かれるドタバタ的なバンド演奏ってのもある。そこにブラス隊が控えめに絡んでくるっつうのが基本。思い切りブラスロックです、って言い切れないのがその微妙さでして、快活にパッパー!と響かないんだよね、英国だから(笑)。音の中のひとつとしてしか出てこなくてさ、その元音がどっちつかずの音だから=ハードロックでもサイケデリックでもない音なので、ブラスは当然生きないわな…。どこかブラスソウルジャズ風な土臭さが渦巻いているもんね。

 A面はそんな曲の塊で、それなりにもちろん楽しめるんだけど段々テンションが落ちてくる(笑)。B面は組曲になっていて結構構築美を重視して作っているみたいなのでなかなか楽しめる。ハモンドからフルート、もちろん管楽器とアコギの組み立てから始まって白熱した演奏に突入していくという面白さがある。う~ん、こういう熱さって好きだねぇ。きちんとドラマ的に作品が構成されているってのは聴いている側もきちんと情景を浮かべて聴けるってもんだ。終盤の叙情的な盛り上がりはこのバンドの真骨頂かもしれない…、ジャンルはかなり異なるがニドロローグのような情景の盛り上げ方は好きです、はい。中味が何について歌われているのか知らないが「The Aquila Suite」なんだから鷲についての組曲ってトコだろう…いや、鷲座をテーマにしたファンタジーとかだと非常に好みだな(笑)。

 しかしアマゾンにCDはないのか…、っつうかCD一回くらいしか発売されたことないんかな?う~ん、それにしては勿体ない音だね。Cottonwoodhillさんとこに非常に詳しいレビューがあったのでつい読み耽ってしまいました♪



Sun Treader - Zin Zin

 ジャズとロックの迎合…70年代中期にもなればジェフ・ベックによる「Blow by Blow」でその完全融合が提示されたものだが、それ以前のロックの世界では英国的ジャズロックという括りでは多々作品が残されているのは有名。ただねぇ、そういうのは大体過去のジャズとの融合というものが多くって未来との融合を考えているのって多くはないのかな、と。当たり前だし、自分でも何を書きたいのかよくわかっていないけど…、何というのか、白熱したジャズの熱気と手法はクリームに持ち込まれていて、そうではなくって最先端に進化していくジャズとロックを自然にくっつけたものってのがさ、なかなか難しいんだな、と。もちろんソフツのみならず色々あるんだけど、マイナーなバンドでもそういうのに果敢に挑戦していた、っつうか自然に出来上がっていたのもあるんだよ、ってことで。

ZIN-ZIN(紙ジャケット仕様)

 サン・トレーダーっつうバンドの1973年リリースの作品「ZIN-ZIN」ってなことで、最近CDになったんじゃないか?それまでは全然CDにはならなくてカウンターフィット盤が出回っていたくらいで…、まぁ、レコ屋で見ることもなかったな…。ジャケットが綺麗だからレコードでも良いなぁ~なんて探していたこともあったけど、当時はジャズロックってあんまり興味をそそられなかったので(笑)。いや、失敗ですね、今になってみるともっとちゃんと聴いておけばよかった、と思うアルバムがいくつも出てきていて楽しい(笑)。

 このSun Traderというバンド…、メンツの話は後回しにして、まずはこの音色の透明感が素晴らしい。躍動感溢れるエレピが空間を飛び回り、当然ながらベースラインも底辺を動き回って雰囲気をしっかりと保ちつつ、超安定したドラムがクールに音を鳴らす…、それだけでかなり幻想的且つ浮游感の漂うサウンドができあがるものだ。そこにサックスという人間の香りのする楽器が入ってくるので一気に愛らしい作品になっていくのだな。凄い透明感なんだよ、このアルバム。別にフュージョンとかリターン・トゥ・フォーエヴァーとか聴かないし、そういうのも趣味じゃないからSun Traderがその手のバンドだと言われてもピンと来ない。あくまでも英国ジャズロックの最先端を当時演奏していた人達によるロック的アプローチとして聴いているからかな。

 何でってさ、エレピはQuatermassのピーター・ロビンソンなわけですよ。その時点でもうロックでなければ、っていうか(笑)。ドラムのモールス・パートってのも後のブランドXに参加するのでそっちの世界になるんだけど、この1973年の時点ではやっぱロック。透明感溢れる幻想的な美しい空間が垣間見れるロック。珍しい音。プログレじゃないしさ、しかも長い曲ばかりだけど聴いてて飽きないしね。ステレオでちょっと大きめにして聴くと正に音世界に包まれる感じでフワフワして心地良いよ~。



Back Door - Back Door

 ロックによる最小限の可能性ってちょっと前までは3人っていう定義だったんだけど、まぁ、その常識を覆してしまったのがここ最近のホワイト・ストライプス…、まぁ、それはそれで一人ロックに近いからいいんだが…、いや、そういう話ではなくってね、トリオ編成によるロックバンドはもちろんジミヘンのところを代表にポリスやそれこそグラウンドホッグスなんてのもあったりするんだけど、やっぱドラム、ベース、ギターっていう編成になるじゃない?まぁ、鍵盤がどっかに入っても良いんだけど…EL&Pとかそうだからね。だけど、ドラムとベースとサックスっていうトリオ編成でのロックバンドっつう変わり者がいてさ、そいつを紹介してみたいね。

Back Door Backdoor Too!

 Back Doorっつうバンドの1972年リリースの「Back Door」ですね。いやぁ~、まぁ、サックスとかフルートとか管楽器系を吹く人がいるので当然ながらジャズな感じにはなるんだけど、どっからどう聴いてもハードロックなんです(笑)。もちろんテクニックは抜群に凄いのは言うまでもなく、バンドアンサンブルがトリオなので非常~に聴きやすくって迫力がある。アルバムと云えどもほとんどオーバーダブしてないナマのライブ演奏をそのまま収録している感じでして、その一体感って凄いんだ。正にライブ聴いている感じだけど、きちんと曲構成と展開が作られているので決してダラダラなジャムセッションを収録したものじゃないのが良いね。そういえば歌…はないのか。まぁ、だからジャズなんだけど、ロックです(笑)。

 恐ろしいほどの自己主張をするベースがグイグイと曲を引っ張っていくんだが、そのベースの音がいわゆるベースの音じゃなくてもっとはっきりくっきりと明るめの音で鳴っているので聴きやすい。サックスはもうヒステリックに叫んでいるんだけど、もちろんサックスという楽器の特性上エモーショナルに楽曲を盛り上げたり人間臭くしてくれます。ドラムはもちろん全てにおいて盛り上げ係に徹しているけどこれもまたかなりのテクニックでジャズ上がりだろうなぁって感じ。そんなジャズ畑の三人が何故にこんなハードなロックをプレイすることになったんだろう?そして更に不思議なのはジャズとロックの境目を簡単に超えてしまっているこのアプローチ手法。だって、聴いているとジャズだもん…なのに凄くロック。不思議。ソフト・マシーン聴いている時もそう思ったけど、あっちは何とかわかってきた。だけどこのBack Doorのトリオによるプレイは何がジャズで何がロックなのかよくわからない…。だが、れっきとしたロックをプレイしているジャズメンがここにいる。

 ちなみにベーシストはコリン・ホッジキンソン…という名でピンと来た貴方は是非聴いてほしいミュージシャンなバンドです♪

The Aynsley Dunbar Retaliation - The Aynsley Dunbar Retaliation

 ジャズとブルースとロックの邂逅という切り口は当初のロックシーンでは盛んに行われていたことなんだろうし、それがまた多様な文化を生んでしまっててね、それが故に面白い世界が無限に広がってしまったのだ。しかしここまで書き続けていながらなかなか紹介しきれないのもその深さがわかるってもんだろう…と自分に納得(笑)。さて、今回は実に素直にクールに静かにブルースとジャズの融合によるロックの可能性を模索したアルバムです。

The Aynsley Dunbar Retaliation Doctor Dunbar's Prescription

 エインズレー・ダンバー=Aynsley Dunbar Retaliationのファーストアルバム「The Aynsley Dunbar Retaliation」でして1968年リリースなんだが…単なるブルースから逸脱してジャズとの融合を試みたものなので面白い。Aynsley Dunbarってドラマーなんだけどその辺に拘るってところもまたミュージシャン気質なんだなぁと俄に不思議な部分もあるんだけど、それが実践されているってのは凄い。特筆すべき有名ミュージシャンが在籍しているワケでもないんだけどね。

 さて、その音なんだけど、ノーマルなブルースによるアプローチがメインなんだけどさ、コルネット?かな?がソロを奏でていたりするので何か普通にブルースに聞こえないんだよね。どこかクールなジャズ的というかそういう雰囲気が出ているので、このAynsley Dunbar Retaliationのブルースってのは個人的には非常に冷たい感じのするブルースということでちょっと異質感を感じている。まぁ、だから故にちょっと聴きにくい感じを自分で持ってしまっているんだけど、別に普通に聴けるブルースの範疇です。ジャズエッセンスが入ってるような気がしてたけど、今聴いてみると純粋にブルースだな…。やっぱ管楽器がところどころに入ってくるから違う印象を持っていたのかもしれない。なるほど…、ちょっと反省。

 クールなブルースってことの他で言えば…、取り立てて目立つこともないアルバムっていうのも一理あるかな。もともとジョン・メイオールのところから来てるからある種英国ブルースの生き証人みたいなもんなので、こういう音ってのは必然だったろうし、そのアプローチも斬新ではあった、ってところがよく出ている作品。まぁ、そういうセンスがあったからこそ果てはザッパのバンドにまで参加してしまうんだろうね(笑)。




Sweet Slag - Tracking With Close-Ups

 やっぱり深くて細い英国ロックの森…と実感するばかりの今日この頃。これだけひたすらに英国ロックを一日一枚づつでも書いていけばかなり整理できるものだと思っていたんだけど、やってみると整理できるどころかその派生や人間関係や音の確認などなどで収集つかなくなる一方という気がしてくる…。ある種のファミリトゥリー状態にストーリーが繋がっていっているブログのハズなんだけど、結局一方向しか向かないのでなかなかその派生バンドまでに手が回りきらないってことも多々。もっとも後で気付くっていうのも多いんだけどさ。まぁ、そういうのを気にしないでひたすらに聴いているワケですが、今日もまた知られていない素晴らしいバンドから…。

トラッキング・ウィズ・クローズアップス(紙ジャケット仕様)

 Sweet Slagというバンドの1971年の作品でもちろん唯一の作品「トラッキング・ウィズ・クローズアップス」ですな。全く唯一の作品ながらもこれだけ良質なものを残せるってのは一体どういうことだ?と思ってしまうのだが…、それも時代の成せるワザ、そして若さ故のワザ、ってところか。

 …昔から全く探しきれなかったアルバムだったなぁ。プログレとかだったらまだ専門店とかあったし何かと人気もあったから見ることはできたんだけど、普通にロックしたものなんかだと結構見つけにくかったりして、結局アナログで探していた時には見かけなかったもん。探し方が甘かったバンドってのもあるけど、見れば何となく思い出すジャケットだしね。どこかフリートウッド・マックのファーストに似てるしさ。

 さてさて、そんな待望の作品をようやくにして聴いてみたんだが…、え?こういう音なの?ってくらいに意外性があった。いや、自分的に、っていう意味なんだけど…。もっとドロドロのブルースロック系かなと思ってたんだけど聴いてみるともの凄いジャズなハードロックでして、もちろんブルース的なセンスも入ってるんだけど、それよりもドラムがジャジーなんだろうな、これ。ギターのフレーズもチョーキングとヴィブラートとかじゃなくて音色を綺麗に聴かせてくれるというようなもので…たとえが結構違うかもしれないけどバターフィールド・ブルースバンドの「East-West」みたいな世界をもっとハードにセッションさせたようなところ。まぁ、いずれにしても聴いていると凄く白熱した演奏がパッケージされているので面白いことに変わらないけど。そんでもって、構成がロック的なんだろうな、何でもありっつうかさ(笑)。歌はまぁ、あれば良いって感じであまり重要視されていないのはよくわかる。

 何だろな、この躍動感とどこか郷愁漂う清涼感っつうか…、思い切り暑苦しいんだけどその中で超越した存在としてギターソロが鳴っていたり、管楽器が鳴っていたりするから浮游しちゃうんだろう。とんでもなくトリップできる音世界なのかもしれない…、心地良いもん(笑)。コレと言って特筆するべきメンバーが参加しているワケじゃないけど、これだけのテンション高い演奏が繰り広げられるSweet Slagと言うバンド…、ナメちゃいかんぜよ、この世界、正に大英帝国ロックの深さを楽しめるアイテムだね。

Andromeda - Andromeda

 英国B級ハードロックの世界はこれまた非常に人脈が入り乱れている状況がいくつもあって、それぞれがもちろん音楽性に影響を与えているので一大シーンが形成されていくのだが、例えば先のFuzzy DuckってのはTucky BuzzardとAndromedaの融合体だったのだが、Andromedaで行けばジョン・デュ・カンが在籍していたバンドってことで多少知られている。そのジョン・デュ・カンってのはもちろんAtomic Rooster在籍となるワケでして、その辺からQuatermassにもHard Stuffにも流れていく人脈という構図…。もちろん覚え切れていないんだけど、そうやって人の流れを押さえながらそれぞれの音楽を聴いていくと、趣味志向などやクセってのが見えてくる。

Andromeda Definitive Collection

 アンドロメダ唯一のアルバムともなったセルフタイトルの「Andromeda」、1969年リリースの時代を超えたハードロック作品。ジャケットは非常に大人しいものなので別に大したことないビート系バンドかと思いきや、決して60年代末の音と思ってはいけない…、そりゃそうだ、Zeppelinだってこのことにはもうあの音を出していたんだから他のバンドでもそういう音であってもおかしくないのだ。うん、うるさいハードロックです(笑)。もちろん強大なインパクトがある楽曲ってのが入っているワケじゃなくってまだまだサイケデリックの流れも入っていたりするし、ちょっとどっち向いてるのかわかりにくい部分はあるけど、音はれっきとしたハードロックなので面白い。ジョン・カンの独特のセンスはこういうところから見え隠れしていたのだな、と妙に納得。

 しかし最初は非常にハードに、段々メロウな楽曲も出てきて、それこそ60sなんだなと思わせる面もまだまだあるんだ…。この辺はレーベルとのしがらみかな。ジョン・カンのブルースの入ったオブリギターも結構良い味出していて、ともすればガレージバンド的な音にもなってしまう荒さはバンドの特性かもしれない。みんなハードロック好きなんだな…というのが分かる(笑)。

 オリジナルのジャケットはオレンジ系なんだけど「Definitive Collection」ってことでシングルやBBCセッションも含めた全曲が2枚のCDに入ったモノがピンク色でリリースされているのでお得。





Tucky Buzzard - Tucky Buzzard

 Fuzzy Duckほどのハードで熱いバンドがふたつの英国ロックの合体バンドとなればその元バンドも気になるものでしょ。…っつうかそうやってロックって聴き漁っていかなかったら面白くないんじゃないかと…、いや、別に気にしなくても良いんだけど、せっかく出会った自分にとって心地良い音だとしたらそれに出会う確立が高いものを聴いて行く方が良いと思うワケですよ。そんなことから深い世界にハマっていってしまうんだろうけど、動機は至って純粋です…。

Tucky Buzzard Warm Slash

 ってなことでFuzzy Duckの前身バンドのひとつでもあるTucky Buzzardのファーストアルバム「Tucky Buzzard」。録音は69年から71年に渡ったものらしいが、調べてみてびっくりしたのが、このTucky BuzzardってThe Endの発展バンドだったんだ…と。いや、The Endってのはあのビル・ワイマンがプロデュースしたバンドってことで話題になったことのあるバンドでして、その発展系がこのTucky Buzzardってことで、ファーストアルバム「Tucky Buzzard」もビル・ワイマンがプロデュースしている。更にリリースが1971年ってこともあってミック・テイラーやボビー・キーズも参加している。しかも音はグリン・ジョーンズによるもので、こりゃ売れない方がおかしいぞ、ってな面々が絡んで作られているのだな。ちとびっくり。まぁ、ストーンズの世界では割とメジャーな話らしいが、ここまで聴いているストーンズファンも多くはないだろうとは思う。

 まぁ、そんな音世界の前置きはあるのだが、実際の音はと言うと…、意外と意外、結構ソフトタッチなロックとかポップな音楽が繰り広げられている。ファーストアルバム「Tucky Buzzard」は、だ。セカンド「Warm Slash」はもっとバリバリにハードロックだったような気がしたのでかなり路線が異なっているようだ。やおらメジャーな方々の名前が入っているからそういう音に近づけているのかな…。最初の「Time Will Be Your Doctor」は圧倒的にFuzzy Duckでリカバーされたテイクの方がかっこよいし、ロックの本質を出しているので、こちらのはそのプロトタイプ…っつうかアップテンポだけど軽くて流している感じ。それでも一曲目だからやっぱ自信作ではあったんだろう。もっと思い切り白熱したブルースロックバンドを想像したんだけど、ホントに意外にストーンズよりもちょっとブルースギターをオルガンが目立つくらいのもので、英国B級的なエグさがあまり多くない。まぁ、それはそれで良かったのだろうけど、インパクトも少ないなぁ…。やっぱセカンド「Warm Slash」以降の方がハードで面白いわ。

 ちなみにミック・テイラーは割と好きなギタリストなのでこんなところで遭遇するのは嬉しい事件で…、「My Friend」と「Whiskey Eyes」ってのに参加してるらしいので聴いていると…、ふ~む、確かに小さめの音でマイルドで軽やかなソロが入っているじゃないか…、これは正にミック・テイラーなんだろうなぁ…、なるほど。でも、知ってから聴くと凄くゲスト的扱いなのであんまり必要ない音ではあるかも(笑)。

Fuzzy Duck - Fuzzy Duck

 ブルースロックに鍵盤を加えて更に新たなる領域に突入しようとしたバンド…、もうちょっと言えばブルースギターと鍵盤を組み合わせてと言う言い方になるので、そんなのはゴマンといる…のだろうが?ん?ん?実はあまり見当たらない?意外とそのままくっつけているバンドは多くはないみたいだな…。メジャー級のバンドはそれぞれをくっつけてオリジナルな方向に走っているのばかりだから、なかなかそのままくっつけてるのってのはいない。単純にオルガンロックにブルースギターっていう意味なんだけど…。あ、もちろん1970年前後のお話です。

Fuzzy Duck

 そんな一風変わったことを実現していたのが「Fuzzy Duck」というバンドでして1971年のこれ一作で終わってしまったのが実に残念に感じるハードなブルースロック&オルガンバンド。元々の母体はTucky BuzzardとAndromedaだから…ってわかる人もそんなにいないので、どっちでもいいんだけど(笑)、このFuzzy Duckの音は超絶品。ジャケットがふざけていてバンド名もふざけているのでなかなか認められにくいんだけどさ、こういうのって英国的ユーモアのひとつなんで受け入れてみて下さい。初っ端の「Time Will Be Your Doctor」からず~っとヤラれっぱなしです。とにかくヘヴィーなブルースギターにオルガンが重なってきてドラムもベースももちろん普通に8ビート、なんてものじゃなくて暴れてます。歌もかなり雰囲気に合わせたもので、巧いヘタってんじゃなくってばっちりB級感漂う歌メロ…っつうか歌がメロディないのでロック的になっちゃってるんだけど、プログレでもないしブルースロックだよ、これは紛れもなく。んで、その最初の「Time Will Be Your Doctor」って前身バンドのTucky Bzzardのアルバム「Tucky Buzzard」にも収録されているので、そのまま持ってきたみたい。ただしアレンジや迫力や楽曲構成なんかも含めて全てFuzzy Duckの方がかっこよい。

 それにしてもこの時代の英国にはなんでまたこんなに叩けるドラマーとかアドリブセンスの良いベーシストとか熱くて巧いギタリストとか音楽を知り尽くしたかのような鍵盤奏者ってのがいっぱいいたんだろう?凄い演奏力の高さだし、観客も白熱しただろうに…。やっぱバンド名の失敗が大きいんじゃないだろうか?それ以外の要素はないくらいにかっちょよいバンドとアルバム「Fuzzy Duck」です。こうやってオルガンとか入ってきたら鍵盤奏者になりたい、って思うようなロック的アプローチが素晴らしいんだよ。簡単に言えばキース・エマーソンとジャック・ブルースとミッチ・ミッチェルとポール・コゾフがセッションしたようなもの…とは言い過ぎか(笑)。「Mrs. Prout」って曲を大音量で聴いてみて納得してください、凄いです。だからアルバム「Fuzzy Duck」のA面最初からヤラれっぱなしなんです(笑)。

 以降は結構メロディがしっかりしたロックが流れてくるんだけどさ、これもまた上質なポップスというかサイケデリックな感覚もあったり、鍵盤とギターの目立ちどころがしっかりとしていたり…、このバンドって楽器の目立たせ方が凄く巧いんだな。出過ぎてる音は一杯あるんだけど(笑)、ず~っとじゃないからインパクトあるように聞こえるもん。いいなぁ~、Fuzzy Duck、素晴らしい!こんなに熱いロックを聴かせてくれるアルバムもそうそうないよ♪



Groundhogs - Who Will Save The World?

 ロックの派生図は実にユニークだ。いつ聴いてもその派生には驚くばかりなのだが、何故にそんなことを…と言うとですね、いや、ブルースロックと言えばB級路線の一歩手前にはGroundhogsというバンドがあって、トニー・マクフィーというユニークな人がいたワケですよ。そんで、割とブルースロックとプログレッシブロックの中間を行く~みたいなことが書かれていて昔からちょくちょくと聴いていたので、ここらでちょっと聴いてみるか、と。

Who Will Save the World? Split

 1972年リリースのGroundhogsの中では最高傑作と呼ばれることの多い「Who Will Save the World?」という作品。アメリカンコミック風のジャケットがインパクトのある「Who Will Save the World?」だが、中味がこれまた白熱していて面白い。それまでのGroundhogsはアコースティックにも割と深い造詣を抱いていたバンドでもあったので、ある意味Zeppelin的な側面を持ったバンドなのだが、誰にもそんなことを言われることもなく、その才能を発揮しきれずにいたのではないかと…。いや、買いかぶりすぎか(笑)。多分ね、ボーカルの問題とトリオってことが問題だったんだろうとは思うけど、まぁいいや。

 「Who Will Save the World?」なんだが、最初からソリッドなトニー・マクフィーのストラトサウンドが切れ味よく流れてきて、洗練されたブルースロック的なハードロックが始まるが、やはりプログレッシヴな展開…と言うよりも3コードのブルースロックではないアレンジが施されたロックと言う方が良いのかな。疾走感も溢れているし、ギターも実に巧いのでそつなく音が流れてくる。決してB級に甘んじるような音ではない。アルバム全体を聴いてみてもカラフルな楽曲群に包まれたもので、聴かせる曲ではオルガンやアコギも使いつつ、そこに歪んだギターも絡みフルートなんぞも入ってくる。結構凝った作りになっているし、ロック的な側面と併せてやっぱり名盤と呼ばれるだけあって素晴らしい出来映えになってる。なんでこれはもっと売れなかったんだろうか?ルックス?う~ん、それはあるんだろうけどさ…。

 今でも活動しているバンドなんだよ、Groundhogsって。何度も解散再結成してるけど、こういうバンドって長年できてしまうバンドなんだろうか、随分前に結構驚いたんだけど、あまり変わらないなぁ~って感じ。もちろん「Who Will Save the World?」で聴かれたようなアグレッシブ且つ熱の入ったものではないんだけどさ。そういえば、ここのドラマーってEggのCrive Brooksだったんだ…、こんなところでGroundhogsとEggというカンタベリーシーンが繋がってしまうのかと驚いた…。




Hackensack - Up The Hardway

 ここ最近の英国B級路線はホントにキリがないのだが、その分読み手からも飽きられてきたのだろうか?などと思ったりする…。ん~、ちっと路線変更も考えないといかんかな、と思いつつやっぱり所詮は好きなものを書くのが面白いしねぇ…。まぁ、もうしばらくこのB級なセンスにお付き合い下さい(笑)。

 さて、ブルースロックに取り憑かれた若者が1970年代の英国には多数存在していたようだが、時代の経過と共にそれは薄れていき、更に発展したサウンドがロック界を彩ることとなるのだが、この頃にバンドを始めて、そのままメジャーともマイナーともつかない形で活動していたものが1974年になってメジャーデビューとなったバンドがHackensackというバンドだ。主要メンバーのニッキー・ムーアはこの後サムソンなどにも関わるので、割と主要な英国ハードロックシーン形成時のメンツ?かもしれない。

Hackensack Live at the Hard Way

 ジャケットはかなりダサいし…、想像通りに中味もかなりダサい(笑)。そして更にメンバーのショットなどを見ると相当ムサいしダサい(笑)。いきなり脱線するんだけど、後に出たライブアルバム「Live at the Hard Way」のジャケットを見てかなり驚いたもん。コレ、相当キモいぞ…と。音だけ聴いていればまだB級ながらもブルージーなギターと洗練されたハードロックバンドという域なんだけどね、ライブはもう思い切り垢抜けないドロドロのブルース?ロックでさ。まぁ、そういった集大成が本作「Up The Hardway」ってことになるんだろうけど、リリースは1974年だからバドカンとかが出てきた頃だね。それでこの音ならかなり良いセンス…と言いたいけどなぁ。やっぱB級感漂うのか。

 いやぁ、かなりブルージーなハードロックギターとそれなりの曲調で組まれているので聴き応えはあるし、ヘタでもないのでバンド的には面白い。ただ、これが60年代末にシーンに出てきていたらもっとハマっただろうに…、その分洗練された音作りになっているからね。アルバム全編に渡ってアメリカンなコーラスワークや洗練されたメロディを散りばめてあるくせにギターは思い切りネバネバなブルースギターで、歌もまた然り…っつうかバックは全てそのまま泥臭い音を出してるので大変聴きやすい…のだ(笑)。

 そして一曲目のアルバムタイトル曲「Hackensack」ではかなり意欲的な作りになっていて、曲は大したことないけどアプローチが面白くてね。ギターソロはバックの音がなくなった単独のソロ=Zepの「Heartbreaker」を意識した構成で、更に凄いのはその中で後のVan Halenも真っ青なライトハンド奏法による高速フレージングが登場する。正にそのままでして、スケールなんかも煮たようなアプローチだから驚く。実際にはライトハンドの部分をピックで鳴らしているような感じではあるが、このまま発展させられればもしかしたらギターヒーローだったかも?いや…それはないか(笑)。

 ブルースベースのハードロックがここまで洗練されて、バドカンの後釜的に位置するように仕向けられたような気がするが、やはり彼等のロック魂が勝利を収めた結果なのか、まったく売れずに今もってB級の名誉を欲しいままにしているのも素晴らしい。

Little Free Rock - Little Free Rock

 ブルースロック…、一言で言ってもそれなりに多様ではある。クリームが提示したひとつのロックの方向性は後の…と言うよりも同時代のバンドに多く影響を及ぼしたというべきかな。シーンの源流というものはそもそも同時代の若者達が抱えている表現方法が何らかのきっかけで爆発的に加速するというものなんだろうけど、60年末から70年代初頭のブルースロックの波は止めようもないほどに溢れ出てきた手法論だったし、それがまた多種多様に変化していったので面白い。個性が出しやすいロックの方法論だったんだろうね。

リトル・フリー・ロック(紙ジャケット仕様)

 1969年リリース…しかもフォークの名門とも言われたトランスアトランティックからデビューしたリトル・フリー・ロックという三人組による超ブルースロックバンド。しかも隠し味にメロトロンが全編鳴っているという不思議なバンドです(笑)。想像して下さい…、ブルースロックにメロトロンが鳴っているのです。うん、不思議に攻撃的でかなりインパクトのある音になっていることは請け負いますな。ただ、楽曲が平凡だからただそれだけで終わってしまっているというのも勿体ないんだけど、ブルースロックで聴かれる思い切りブルージーなギターソロとその合間に聴かれるメロトロンのあの叙情性はやおら気分が盛り上がりまっせ。

 そして当然ながらこの時代のブルースロックと言えばファズギターにワウペダルと一辺倒なギターリフによる長尺な楽曲♪ そこにメロトロンが入ったおかげで単調にならないでいられるんだが、なんせ楽曲が単純な…いやいや、それは良いのだよ。ひたすら熱い演奏を繰り広げてくれる若さ故のパワー溢れる演奏が気分を盛り立ててくれます。つい頭を振りたくなるこのエネルギーは一体何なんだ?決してA級ではないが、アレンジの工夫と音への取り組み姿勢が見事。

 ジャケットもね、どことなく幻想的なフィルムに仕上がっていて、多分まだ全然若い三人組だったと思うんだけど、テクニックは割と割と、ってところでトランスアトランティックもこういうのをリリースするってのは時代を察知したんだろう、それだけの価値があるバンド、ではあってもらいたいね。



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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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