Gun - Gunsight

 英国ロック史の表にはほぼ登場してこないエイドリアン・ガーヴィッツではあるが、ちょっと深堀するとそこかしこでヒットすることとなる数少ない準A級の位置というのも面白い。そんなエイドリアン・ガーヴィッツとポール・ガーヴィッツが世に出てきたのはこれまた有名なガンの「悪魔天国」ですな。そのヒットのために彼等は英国音楽業界に居続けたのではないかとも思う。そうでなければこれほど色々なバンドに拘わることもなく、またメジャーシーンとの交流もなかっただろうし。まぁ、それは後の話なので良いんだけど、最初にヒットを飛ばしてしまった方々なので割と何でもスムーズに出来たのはあるんじゃないだろうか。

ガンサイト(紙ジャケット仕様) 悪魔天国(紙ジャケット仕様)

 そんなガン時代のセカンドアルバム「ガンサイト」をクローズアップ。そういえばまだファーストアルバム「悪魔天国」もここでは取り上げていなかったことに気付いたんだけど…、まぁ、いいや、せっかくだから大人びたセカンドアルバム「ガンサイト」の雰囲気を楽しもう。若気の至りのファースト「悪魔天国」はまた別の機会に…。

 …とは言え、ファースト「悪魔天国」との比較にはなっちゃうねぇ。セカンドアルバム「ガンサイト」を聴いてふと不思議に思ったのは、「こんなにアコギ多かったっけ?」とか「えらくコンパクトじゃね?」みたいな感想で、ついつファースト「悪魔天国」を聴いてしまったのだが…、うん、ファースト「悪魔天国」が1969年リリース、セカンド「ガンサイト」が1970年リリース、制作が半年から一年前としても時代的には1960年末期で一年も差が開いてないんだけど、こんなに変わるもの?確かに時代的には変貌の激しい頃だが…。ファースト「悪魔天国」がもっとサイケデリックで実験的でドラマティックだったことを思うとセカンド「ガンサイト」はガラリと変わったコンパクトな楽曲とアコースティック色の強調というすっきりとしたアルバムになってるんだよね。ハードロックもいくつかあって、それは後のThree Man Army並にかっこよいのだけど、アルバム中に半分くらい占めているくらいかな。ま、その半分くらいってのが疾走感溢れるタイトな曲調なのでかっこよくて素晴らしいので文句はないのだが(笑)。

 そしてここでも光っているのはエイドリアン・ガーヴィッツのギターのセンスと楽曲構成の幅の広さ。既に一辺倒なごり押し加減は確立されているのだが(笑)、その分勢いも半端なモノではなく、がむしゃらに頭を振り乱すノリってのは凄いものがある。バッジーやブラック・サバスよりも先にそんなのを疾走させているんだからやはり侮れない。バンドカラーとしてその一辺倒さだけでは進まなかった、というところがガーヴィッツさんのちょっと頭を使ってしまったところかもしれない。バッジーとかそのまま走ったからひとつのジャンルを確立した部分あるしね。

 あれこれあるが、ジャケットは驚くことにヒプノシスの手によるもので、昔はなかなか手に入らないアルバムだったんだよ、これも。ファースト「悪魔天国」はまだ見かけたけどセカンド「ガンサイト」はなかなかね。何かのリプロ盤か何かで買った気がするけど。それよりもThree Man Armyの方が大変だったな…。

Three Man Army - Two

 ガーヴィッツ兄弟が最も輝いていた全盛期の作品じゃないかと思うことのあるThree Man Army時代。それも当然ながらドラムにトニー・ニューマンを迎えた頃のが一番好きに重くハードに展開していた時期なんじゃないかな~とここのところガーヴィッツ兄弟関連を聴いていて思う。この人達も音楽生活豊富だったのでアチコチに参加してクレジットされていたりするので、それを追いかけようとするととんでもないことにはなりそうなので止めているけどね。

Three Man Army Two Three Man Army

 そんなThree Man Armyの傑作とも言われることが多い、バンドとしては三枚目のアルバム、そしてトニー・ニューマンを迎えてからの二枚目、ということで1974年にリリースされた「Three Man Army Two」です。

 凄くかっちょよいハードロックです。

 イヤ、ホントに全く重くてハードで展開していて、メロディも割とキャッチーになっていて何で売れなかったんだ?っていうくらいの出来映えを表す傑作。いや、売れなかったってのはわかるんだが(笑)、この頃の英国ロックからしたら売れてもおかしくなかったんだが、やっぱり音楽だけではダメだったんだろうな…と思わせる。今の時代になってから結構再評価されることの多いアルバム、っつうかバンドなのでまだ救われているとは思うけど、とにかくもうゴリゴリで攻めまくるハードロックと美しい叙情的なアコースティックも入れ込まれた傑作。

 エイドリアン・ガーヴィッツさんの才能って凄いんだよね。ちょっと一本調子的なキライはあるけどグイグイと心を鷲掴みにするギターリフが多くて、そのパワーに脱帽~ってな感じ。そしてこの「Three Man Army Two」ではトニー・ニューマンのドラムもかなり重ためにハマっていて猛烈にかっこよくなってるもん。見せ場もいくつか作られていてこれでセールス面が多少でも巧く行けばバンドとして存続しただろうなぁと思うが、やはり芳しくなかったが故にトニー・ニューマンはデヴィッド・ボウイのバックバンドへと流れていってしまうのだ。まぁ、そのおかげでガーヴィッツ兄弟はドラムにジンジャー・ベイカーを迎えることとなったので、それもまた良しだったんだが…。それでもやはり彼等の歴史の中で一番輝いたのは絶対この「Three Man Army Two」だと思う。

 アルバムタイトルが「Three Man Army Two」なのでややこしくて、結構昔から整理の付かないバンドだったんで今回結構整理した。最初のアルバム「A Third of a Lifetime」はこれも名盤だけど、この時点でバディ・マイルスのバンドにエイドリアン・ガーヴィッツが参加することによりバンドは一端解散…って、そんなんでいいのか?そんなことしてるからハジケ切れないんだろうって思うが…。その合間にベースのポール・ガーヴィッツはヒマなので同じくゲスト参加していたブライアン・パリッシュとアルバムを制作するワケだ。そしてエイドリアン・ガーヴィッツが出戻ってきてやることないのでThree Man Armyをもう一度、って思った時にはドラマーのマイク・ケリーが古巣のスプーキー・トゥースに戻ってしまっていたってことで、トニー・ニューマンの参加となるのだな。そこから快進撃…のハズだったが、結局エイドリアン・ガーヴィッツの恐らく脳天気な性格が災いした結果の立ち位置になってしまった、ってところだ。

 …ただ、この人達との絡みによる人脈図もまた見事でメジャーからマイナーまで、そして英国のハードロック関係まで激しく広がっているので面白い。ムーディ・ブルースのグレアム・エッジとのバンドやオリー・ハルソールからパトゥー、ボクサー、それこそデヴィッド・ボウイなどなどまで…。

 話を戻すが…やっぱり滅茶苦茶かっこよいギターアルバムだ、この「Three Man Army Two」は。そしてジャケットも印象的でかっこよい。うん、久々に何かを思い出した気がする…。



Baker Gurvitz Army - Elysian Encounter

 ブライアン・パリッシュ氏の歴史の中にガーヴィッツ兄弟の片割れのポール・ガーヴィッツとの共作が二つのアルバムでリリースされている。最初のアルバムはフォーク中心の二人の交友の確認レベルの音だった、と記憶しているんだけど、ポール・ガーヴィッツと言えばハードロックギターの名手でして、ガンからスリー・マン・アーミー、そしてジンジャー・ベイカーと組んだりしたし、なかなかの歴戦を渡り歩いているのだがやっぱりマイナーな扱いで終わっている。まぁ、何となく分かるんだけどちょっと勿体ないかな。聴けば割と好みなんだけど聴きたいか、という程でもないというところか。

Elysian Encounter 燃えあがる魂(紙ジャケット仕様)

 ベイカー・ガーヴィッツ・アーミーというバンドを1974年に組み、ジンジャー・ベイカーとガーヴィッツの二人によるトリオでスタートしたが、ファーストアルバム「The Baker Gurvitz Army」ではそのトリオのパワーをがっつりと聴かせてくれていて、ジンジャー・ベイカーさん、なかなか面白い組み方してくれるじゃないか、と思っていたのだが、翌年ともなった1975年に本作「Elysian Encounter」をリリース。この時には職にあぶれていたソウルフルなボーカリストのスニップス=元シャークス=アンディ・フレイザーのバンド、を迎えてリリース。

 やっぱりジンジャー・ベイカーの名前にはガーヴィッツ兄弟としてはしょうがないのかなぁ…、どっからどう聴いてもジンジャー・ベイカーの趣味丸出しの音楽性を出し過ぎている感じは否めない。アフリカン的というかドラム面での激しさがガンガン出てくる。もちろんガーヴィッツ兄弟の繊細なセンスとも相見えて面白いトーンは出しているんだけどね。なんでこういう曲調と展開でドラムがそんな風に入るんだ?と言うのが多々ある。それこそがこのバンドの不思議なバランスだったんだろうとは思うが。その合間をあくまでも歌唱力でスタンダードに歌っていくスニップス…、普通なセンスなんだろうな…。やっぱジンジャー・ベイカーの際立ったセンスが突出してしまっているところ。

 いや、気を取り直して音を聴こう…。やっぱりジンジャー・ベイカーのドラムが暴れてる(笑)。それでもこのバンドは翌年にもう一枚アルバム「燃えあがる魂」をリリースするのだからガーヴィッツ兄弟も気合いを入れて活動していたってことだろう。ライブ盤もいくつか発掘音源でリリースされているみたい。ドラムソロがガンガンあるらしいが(笑)。「Live in Derby 75」とか「Live」とか。

 しかし…なんでこんなにB級感溢れるのだろうか?



Parrish and Gurvitz - Parrish and Gurvitz

 バジャーでハードなブルースギターを弾いていたブライアン・パリッシュだが、もちろんバジャー以前にも様々な活躍をしていたみたいで、一例にThree Man Armyのファーストへのゲスト参加ってのもあった。そのおかげでこのファーストアルバムをリリースした後にエイドリアン・ガーヴィッツがバディ・マイルスと共に行動するためにバンドを解散した後の片割れともなってしまったポール・ガーヴィッツとユニットを組んでリリースしたのがこの「Parrish & Gurevitz」という作品。

Parrish & Gurevitz Parrish & Gurvitz Band

 1971年リリースなので正にこの後直ぐにバジャーに参加するんだけど、それもまたThree Man Armyが復活するってことでポール・ガーヴィッツが出戻るためってことだとしたら何と可哀相な使われ方をしている人なのだろうとも思うが…。まぁ、良い人なんだろうな(笑)。アルバムジャケットを見ればわかるように左側がポール・ガーヴィッツで右側がブライアン・パリッシュです。良い青年でしょ?

 え~っと、そんな状況下で制作されたアルバム「Parrish & Gurevitz」なんだけど、決して片手間ってワケでもなくって、その証拠にプロデュースにはジョージ・マーティンを配しているってなもんだ。ストリングスアレンジも任せているってくらいだから結構な仕事して請けていたんじゃないかな。ビートルズ解散後しばらく経った程度だし、ヘンなのを請けなかったとしたら大した才能を認められたというか、ね。そんな要素がふんだんに散りばめられた秀作っていうトコロか。コーラスワークが中心になったポップで忙しい音が鳴り響いてます。ギター的にはアコギ中心だけど別に静かにアコギじゃなくって派手なエレキを使っていないだけのアコギなので音はロック的ビートと雰囲気です。スワンプ的という言われ方をするみたいだけどスワンプってのが自分的によく理解できていないので、表現に困る。ってか、普通にギターを持って頑張って音楽やろうとしたらこうなる、みたいな音なのであんまり気張ったモンでもないんじゃない?そういったら怒られるか…。

 確かにビートルズをもうちょっとハードにした感じではあるかもしれん。しかしこの音をブライアン・パリッシュとポール・ガーヴィッツが奏でる必要があったんだろうか?と言われるとちと不思議。スタックリッジでも良いじゃん、ってかさ。まぁ、聴いていて害はないし、へぇ~ってくらいに聴くのは良いので面白いんだけど、逆に特筆すべきモノでもないのも事実…(笑)。

Badger - One Live Badger

 メジャーどころのバンドから離脱して別のバンドを組んでってのはもちろん数多くあるんだけど、どうしても前バンドの系譜やら音楽性やらを期待して聴いてしまうのがリスナー。でも、実はその音楽性のレベルのキープを願っているだけなのかな、と最近は思う。いやぁ、簡単に言うとさ、楽曲やバンドのレベルが高ければ別にバンドが違っても構わないのかな、っていうか。どうしてもソロ作だとパワーが落ちるからダメなのが多いし、別のバンドになってもやっぱり一体感やらパワーってのが少ないから満足できないんじゃないかと。そんなことを思ったのもこのバジャーと言うバンドを聴いてからだ。

ワン・ライヴ・バジャー(紙ジャケット仕様) ホワイト・レディ

 「ワン・ライヴ・バジャー」1973年にリリースされたデビューアルバムにしてライブ盤と言う奇抜なバンド。ライブは前年1972年の12月に行われたものを記録したらしいが、そもそも名盤ラッシュを出しまくる前のイエス=即ちリック・ウェイクマン以前のイエスを支えていた鍵盤奏者のトニー・ケイが中心となって結成したのがバジャーなんだけど、しっかりとイエスを脱退してもイエスの前座でライブをやっていたらしく…、そのヘンの人間関係ってしっかりしてるんだろうな。仕事辞めたけどサポートしてもらってるって感じで、決して感情論ではなくってビジネス論で脱退したことがよくわかる。そんで、そのイエスが当時ライブ録音してたからバジャーもライブを録音してアルバムにしちゃえば?ってなことらしい。なるほど、素晴らしい発想じゃないか。そして音を聴く限りでは全く問題ないテクニックとこなれた演奏とハイレベルな楽曲が存在していて見事なもの。正直言ってイエスよりも好きな音を出してくれてる。

 メンツはトニー・ケイの他に目立つのは個人的に興味深いブライアン・パリッシュさんのギターだね。この人、ポール・ガーヴィッツなんかとも二人でやってたりした経緯があって、バジャーだとどうなるんだろ?っていうのもあったんだよ。ところがこの「ワン・ライヴ・バジャー」で聴ける音はトニー・ケイの鍵盤…しかもハモンドもシンセもあるという飽きない音色に加えて、パリッシュのマイルドなギタートーンによるハードロック的側面だったり、ブルースに影響を受けたソロを渋く決めてみたりと、割と職人芸的にギターを聴かせてくれるのが良い。しかもしっかりとツボにはまるフレーズでね、ロックしてるんですよ。おかげでバジャーと言うバンドは正に多用なジャンルに精通したバンドになってしまったのだ…。

 ライブ盤だからかね、テンション高いし、ギターもロックしてて、鍵盤ももちろん派手に動いているからもう普通のバンドよりも全然メジャー的に面白い。ジャケットはロジャー・ディーンで、アナログでは変形…中ジャケからアナグマが飛び出す仕掛けだったらしい。しかも日本でもそこそこ売れたようなことらしいのも不思議。ちなみにセカンド「ホワイト・レディ」は全く別物のバンドのような音、らしいです。



Flash - Flash

 流れ的には大物プログレバンドへ~ってなことも考えたんだけど、もうちょっとマニアックに攻めていきますか…と思い立ち、何故かフラッシュです。トニー・ケイさんが地味な活躍ってことで話題に…と言うよりもイエスの快進撃はピーター・バンクスのギターがスティーブ・ハウになってからっていうのもあって、二人とも全盛期のイエスからは離れていたという勿体ない事実があるが故に二人とも仲良く…というのか、一緒にやってたりするわけだ。

フラッシュ(紙ジャケット仕様) イン・ザ・キャン(紙ジャケット仕様)

 フラッシュのファーストアルバム「フラッシュ」は1972年にリリースされたかなり気合いの入った作品に仕上がっていて…っつうかイエスにかなり近い音だなぁ…ってのが正直なトコロです。歌声もジョン・アンダーソン的なので好みではないけれど、まぁ、いいか。最初の「Small Beginnings」という曲からして9分半の大作なのだが、これがまたギターが大活躍のみならず、ベースもクリス・スクワイアーばりに躍動するラインを弾きまくっているし、ギターと鍵盤のリフについては正にイエス的…、構成もいくつかを組み合わせているので組曲的に出来上がっているスピーディな代物です。70年代英国プログレロックとして聴くとかなり洗練された部類に属する音色であることは間違いないし、ジャケットもとんでもなく素晴らしいじゃぁありませんか。このジャケットのシリーズは後にセカンド「イン・ザ・キャン」、サード「アウト・オブ・アワ・ハンズ」にも続けられていくのだけど、このファースト「フラッシュ」が一番洗練されている気がする。

 あかん…話が逸れた(笑)。ん~とですねぇ、アナログで揃えたんですよ、フラッシュは。ジャケットがダブルジャケットで欲しかったからね。やっぱり迫力です。そのおかげで音が多少どうであろうとも持っていることがステータスだったっつうのも大きいな。そういえばあんまり聴かなかったもん(笑)。んでまた引っ張り出しているワケですが…、やっぱりイエス的な音色なのが大きくて好まないようだった、自分。それでもピーター・バンクスのギターのアプローチは平凡ながらもユニークかなってのはある。アルバム全曲で5曲ってのも時代だが、それだけ演奏に力入れたバンドとアルバムだったんだろう。テクニックは申し分ないからね。

 そんなことでアルバム全部買って並べて見るのが一番楽しいフラッシュですが…、音の方も好む人はしっかりと楽しめる内容です。



Van Der Graaf Generator - The Least We Can Do Is Wave to Each Other

 初期のプログレッシヴロックってのはサイケデリックから流れてくる感じのものも多くてね、ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレイターってのもそんな感じに流れてきたようだ。そもそもピーター・ハミルという希有な才能の持ち主が見出されてアルバム「The Aerosol Grey Machine」を作ったものだが、まだまだソロで進めるということも考えていたらしい。しかし1969年にリリースされたVDGG名義でのセカンドアルバム「The Least We Can Do Is Wave to Each Other」こそがメジャーシーンへのデビューアルバムとも云われているものだ。

The Least We Can Do Is Wave to Each Other The Aerosol Grey Machine


 VDGGってさ、かなりプログレッシブなバンドっつう印象なんだけど、「The Least We Can Do Is Wave to Each Other」を聴いているとそういうのでもなかったんだな、と感じる部分もまだまだ多い。以降は思い切りプログレッシブな感じ進んでいくのでプログレバンドってのは別におかしくはないんだけど、全部が全部ってなもんでもない。「The Least We Can Do Is Wave to Each Other」はその道に進み始めた第一作として捉えてみてもよいアルバムでね、牧歌的な作品やアコースティックで彩られた世界ってのが根底にあるよな~ってのが曲によって出てくる。ピーター・ハミルさんの好きな世界だからねぇ。

 ところがアルバム全曲で6曲。特に前半はもの凄いハイテンションで攻め立ててくる楽曲が並んでいるので息つく間もないくらいに感動できるってなレベル。やっぱりAクラスのセンスと洗練された音作りというのは違うモンだなぁと。攻撃的かと思えば牧歌的、静と動が混合した、そしてそれぞれの楽器の音色もお互いを消すことなく突出しているし、見事なバランス。どうなっていくんだろ?っていうドキドキ感もよろしいしね。それでサイケデリック上がりの雰囲気も出てくるのでちと変わってる。じっくりと一人で楽しむ作品。ここからVDGGは過激で繊細な作品をリリースし始めるのだ…。

 オルガン中心…だけどギターも入ってくる時はエグイし、何と言ってもピーター・ハミルの突出した表現力が圧倒的にバンドの中の存在感を示しているのはよくわかる。これまでは「The Least We Can Do Is Wave to Each Other」ってのは割と自分の中では位置付けの低いアルバムだったんだけどね…、久々に聴くとかなりこなれていたってのがわかって嬉しい。



Jonesy - Keeping Up

 プログレッシブロックの代名詞ともなるメロトロンの大洪水、というキャッチコピーが付けられてそこかしこでレビューを見ていたので、そういう音なんだろう…と先入観を持っていたんだけど、もちろんアナログ時代には全然探せるハズもなく高嶺の花でした。それでもジャケットが印象的で、薔薇の縛り首って良いセンスでしょ?そんでメロトロンの洪水ってんだから聴いてみたくなりますわなぁ。そんで90年代に入って往年のプログレがCDでリリースされた頃、このジョーンジーのセカンドアルバム「キーピング・アップ」も早い時期にリリースされたのは嬉しかったね。

キーピング・アップ ノー・オルタナティヴ(紙ジャケット仕様)

 1973年発表のセカンド、メンバーが些か変更しているドーンレーベルからの作品で、ジャケットから感じられる威厳は見事に輝いている。期待して聴いたもんなぁ、このアルバム。今でも覚えてるけど、最初のメロトロンの音色から「おぉ~!」となる叙情派好きのファンには堪らないのだが…、直ぐにワウで歪んだギターによるカッティングが入っているので「??」という感じ。更にストリングスやペットなんてのも出てきて、そんでもって歌メロはもの凄くメランコリックな優しいメロディで非常~にポップ感覚溢れるもので、逆にメロトロンが無かったら良質なポップバンドなんじゃないか、っつうくらいのものだ。それに驚いたなぁ…。プログレって言葉はあまり信用してはいけないのではないかと思ったもん(笑)。まぁ、それでもやっぱり作品全体からしたらメロトロンの占める比重の重さは多くて、叙情的に使われているので憎めない。

 よくクリムゾン的と言われるのは多分スネアロールの音とかが似ているからだろうし、楽曲の作りは特にクリムゾン的ではないけれど、ピアノやメロトロンなんかが入り混じってストリングスやバイオリンなんかと絡み合うから、その辺でクリムゾン的とも言われるのかもしれない。楽曲は全然違うからさ。ジョーンジーの方が全然ポップでメランコリックで旋律がはっきりとしていて、あの破壊力はないもん。しかもジャズ的な感じも入ってくるのが面白い。決して歌は巧くないし、楽曲センスが良いとも思えないけど、楽器の絡ませ方や展開ってのがかなりブラックでユニークなんだな。その辺が評価されているのもあるし、やっぱりメロトロンの使い方が印象的。

 まぁ、小曲や大曲が入り混じってるんだけど、8曲もあるんだから大したモンでして、小曲の小曲らしさってのはかなり美しい。一方の大曲は構築美ではないところが彼等の本質を表しているかなぁ…。ま、ゴッタ煮ロックだけどメロトロンのおかげでプログレ色が強いという印象だけど、実はかなり人を喰ったバンドなんじゃないかと。不思議な音だなぁ…。

 結局アルバム三枚も出しているので面白さや実力という面では結構買われていたんだろうね。全部を聴けていないのだが、いずれ取り組みたいと思うバンドです。



Wally - Wally

 久々にプログレらしいプログレってのも聴いてみたいな…と秋の深まった頃に思いまして…うん、B級品も面白いんだけど、その中でも色々とあってさ、割と細分化されるっつうか方向性自体はプログレ的なものとかジャズ的なものとかブルースよりとかあってね、その辺行くとプログレッシブな展開ってのは割と多くはないのかもしれない…っつうか構築美って意味では。アヴァンギャルドなのは多いけどさ(笑)。さてさて、そんな中でもなんとあのアトランティックレーベルからイエスのリック・ウェイクマンのお墨付きでデビューしたウォリーというバンド、かなり洗練された音を出しているのでちょっとご紹介♪

Wally

 1974年リリースのファーストアルバム「Wally」で、この後もう一枚リリースして解散したのかな。メジャーレーベルからの配給によるかなりしっかりしたプロダクションの元でリリースされたバンドにも拘わらずやはり短命に終わってしまったのはちょっと勿体ないっていうバンドでね、音は面白い。バイオリンがインパクトを与えているんだけど、それだけじゃなくってしっかりと楽曲がプログレッシブロックしてて、テクニカルでもあるので音だけ聴くともっとできたんじゃないか?と思うくらい。ハードで美しい楽曲からアコースティックタッチの美しいコーラスを聴かせる牧歌的なものもあれば、繊細な笛を美しい効果音の中で聴かせてくれるものもある。そしてどれもこれも優しいボーカルが楽曲を繋げていて、相当洗練されている音。もともとフォーク上がりのメンバーによるバンドのためアコースティック系統の曲から出来上がったものが多いのも特徴的だけど、冒頭の「Martyr」がバンドの代表作のような印象を持たせてしまうので一気にプログレ的扱いされるのもわかるなぁ。

 今の季節にはぴったりの音でさ、モノ哀しくもあり、ちょっとエキセントリックでもあり叙情的でもあるっつうのがよろしい。アナログ時代には全然見たことなかったけど、CDでは割と早くにリリースされたような気がする。聴くのは遅かったけど、聴いてみてちょっと驚いたバンドのひとつ。やっぱりメジャーレーベル配給のバンドはしっかりしてます。

Mandalaband - Eye of Wender

 トータルコンセプトアルバムってどんどん進化していて、今ではAyreonなんかが発展系を作っていたり、まぁ、スピードメタルの世界でもコンセプトが当たり前、ゲーム音楽的に展開していく方向に進んでいるのはどうにもちょっと違う気がするが、まぁ、ひとつのコンセプトアルバム。色々な角度があるものの、やっぱり英国ファンタジーをアルバムで表現するってのがスタンダードな構築美♪

Eye of Wender Mandalaband

 マンダラバンドのセカンドアルバム「Eye of Wender」1978年リリース。もっともセカンドアルバムと言ってもファーストからのバンドメンバーはほぼ不在で、デヴィッド・ロールという人のプロジェクトバンド名というべきものでして、その辺がどうにも不透明だったのでマンダラバンドを知ってから約20年くらいの今に至るまで普通のバンドにしちゃぁ大掛かりなゲスト陣やコンセプトで大したもんだ…などと思っていたのだが。メンツ的にはムーディ・ブルースやバークレイ・ジェームス・ハーベストや10CCの面々にマディ・プライヤやノエル・レディングなんてのも参加しているという代物。今で言うアイエルンの構想と同じ骨格かな。英国伝承ファンタジー作品でもある指輪物語をモチーフに独自のファンタジー世界を創って演奏してさせたものでそれぞれがそれぞれの役割をこなしているので、楽曲毎に彩りが鮮やかで面白い。楽曲はどれもこれもシンフォニックなファンタジー色の強いもので、ロック的なものはほとんどないね。壮大でゆったりとした大らかな作風が粒揃いで高貴な雰囲気がこれまたよろしい。

 マディ・プライアの歌は割と奥深くで聞こえてきてちょっと現実浮游感の漂う感じで、あぁ…心地良いかも…なんて思っていたらインストの後にはジャスティン・ヘイワードの歌声が始まるので、ほのぼのとした曲調もあってか、やっぱりムーディー・ブルース聴いてたっけ?って思ってしまうくらい特徴的な歌声ってのも面白い。コンセプトアルバムであるが故に大曲志向でなく小曲群が並んで粒揃いに楽しめるところが面白いね。ファーストアルバム「Mandalaband」なんてのは圧倒的に大曲志向のシンフォニックバンドだったから今作の「Eye of Wender」でのファンタジー感は心地良い。

 CD化された時にはジャケットが妙にシンフォニックなクラシック的ジャケットになってしまっているが、元々はもっとファンタジックなジャケットなのでご注意。それにしても1978年という年代にこんなの作っても売れなかっただろうなぁ…と。それでも歴史的にしっかり名が残されているのは内容の素晴らしさが物語っているってことだ。



Hawkwind - Warrior on the Edge of Time

 シアトリカルでスペーシーでサイケデリックで…なんてバンドは英国には実は割と多く存在していてメジャーシーンでも言われてみれば、ってのはあるだろう。ただ、今のウチのブログではもちろんニッチな英国特集で走っていて、うん、何かねぇ、その辺の作品ってやっぱ面白いんだよ。スピリッツ溢れていてさ、皆が皆思い思いに考えてプレイしてみて…っていうのがさ。60年代末からのバンドは生き残りに必至だからそういうアレンジが出てくるし、新興バンドは自分達の信念で出てきてて、主張が見えるしね。もっとも周りなど一切お構いなしっていうのもあるけどさ。そんなバンドのひとつで結局大成したことがない、と言っては言いすぎかもしれないけど、コレ、っていうものは見当たらない…ってのがホークウィンド。

Warrior on the Edge of Time Space Ritual

 1975年リリースの傑作アルバム「Warrior on the Edge of Time」です。ホークウィンドの超多数のアルバムの中でも燦然と輝く傑作として名高い作品。もちろんレミーが参加しているのも大きいんだけど、一番洗練されているってのかな。ダラダラサイケデリック的な雰囲気でアルバムが作られていたのからこの「Warrior on the Edge of Time」ではマイケル・ムアコックのファンタジー作品をネタにしているだけあってトリップ系からファンタジー系への転換が行われているという感じ。まぁ、よくわからんけど確かにダラダラ感よりもちょっと細部に耳が行くというような面は増えたね。サイモン・ハウス…ハイ・タイドっつうバンドにいたバイオリン奏者兼鍵盤奏者によるメロトロンとバイオリンの効果も大きいし、レミーのベースもかなりグイグイ引っ張ってて、後のモーターヘッドを彷彿させるのもある。と思ったらCDのボーナストラックには最後の方に「Motorhead」というタイトルの曲が収録されていて、モロにモーターヘッドな曲。そうか、ここから始まったのか…と。

 さて、アルバムはツインドラムという変わった構成でして、聴いていても、「あれ?あぁ、そうかツインドラムってこういうことね」と聴き慣れないドラムの構成にちょっと驚く。どっちがリードドラムってんでもないみたいで、まぁ、一人でも十分にできると思うのだが、友達だからってことだろうか。もうちょっと音が良ければねぇ…と思うが、まぁこんなもんだ。

 ホークウィンドって掴み所がないのでなかなか取っ付きにくいけど、この辺は聴いてしまえばわかりやすいので最初は良いかも。多分、挫折する人の方が多いとは思うが(笑)。



Arthur Brown's Kingdom Come - Galactic Zoo Dossier

 ザ・クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンっつうのはご存じだろうか?ヴィンセント・クレインやカール・パーマーってのはそこから輩出されたメンツなのだが、もちろん御大アーサー・ブラウンのシアトリカル且つ時代を超越した大胆なパフォーマンスと音楽世界はいつまでも強烈なインパクトを誇っている。「FIre」のビデオを見たことのある人ならそのインパクトは承知の上だろう…。

銀河動物園白書(紙ジャケット仕様) ジャーニー(紙ジャケット仕様)

 そんなアーサー・ブラウンがザ・クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンを解体した後に創り上げたバンドがアーサー・ブラウンズ・キングダム・カムですね。その最初のアルバム「銀河動物園白書」が1970年にリリースされていて、ここから三部作という触れ込みで実際に三枚のアルバムがリリースされているんだけどさ、昔からモノの本などによると「名作!」とか「傑作!」とか評論されていて、気になっていたんだがなかなか手に入れられなくて結局入手したのは恒例のカウンターフィット盤での「ジャーニー」だったワケよ。それがまたドラムマシーンで打ち込んだ作品で、単発で聴いても一体どこが面白いんだ?ってくらいなものでしかなかったので、印象が良くなかった。まぁ、それでもやっぱりアーサー・ブラウンだから、ってことで記憶から消えていたファーストアルバム「銀河動物園白書」をCDが出たってことで聴いてみたのだな。

 「…。」。なんつうのかな…、シアトリカルってのか演劇性が高くてスペイシーというのか向こうの世界って言うのか…、プログレッシヴっつうのか…、ザッパ的なユーモアセンスを英国のセンスでやるとこうなるんだろう、ってな具合で、レコードの針が引っ掛かったような引っ掛けリズムが入っていたり、効果音はもちろんスペイシーに入り込んでいるし、楽曲構成はホントにどういう風に組んだのか意味不明だし、それでもバンドが付いてくるんだから楽譜でもあったんだろう。そういう意味に置いては稀代の天才とも言える人だ。リスナーとして楽しめるか、ってのはちょっと別だが、もの凄いってのはわかる。完成された音楽はこういうことを言うのだろう。それが面白いかってのはちょっと別。

 ん~、簡単に言うとステージと一緒に見るならば面白いかもしれないけど、音だけで聴くとちょっときついんじゃない?完全にハマり込める人は大丈夫だけどね。間違っても片手間に流して、とか何かしながらとかでは聴けない音楽世界で、じっくりと聴かないとわからない。そうするとこの繊細な音世界とかねらい所ってのがわかってくる。歌詞まで理解していればこのアルバムは相当に面白い作品。だが、そこまで進めないのであれば聴かない方が良いかなぁ…。酷評になっちゃうもん、多分。

 ん?自分?じっくり聴いたから凄いな…と思う部分が大きい。ただ、今欲しいのはそういうのじゃないから…ってのはあるけど。だからタイミング合えば凄いハマるな。



Atomic Rooster - Death Walks Behind You

 EL&Pのドラマーとして有名になったカール・パーマーの来歴ってのも割と有名だとは思うんだけど、そもそもアーサー・ブラウンのトコロにいたんだよね。そこから離脱してかの有名なアトミック・ルースターをヴィンセント・クラインと結成してファーストアルバムを制作…、このファースト・アルバムはその後も名盤として語られることも多い作品で、それ故にEL&Pという看板が付くと皆納得するというものだ。ファーストアルバム「アトミック・ルースター」は割と聴かれているような気がするけど、このアトミック・ルースターというバンドも実は相当奥が深いバンドでして、順を追っていかないとワケ分からなくなるというもんだ。いやぁ、メンバーの出入りが激しくて且つ再結成などもあるから深いのです。ジンジャー・ベイカーやデヴィッド・ギルモアなんかも絡んでくるし、英国B級路線のバンドのメンバーなんかはそこかしこに絡んでくるしね。

Death Walks Behind You アトミック・ルースター・ファースト・アルバム(紙ジャケット仕様)

 そのアトミック・ルースターのセカンドアルバム「Death Walks Behind You」です。1970年リリースの作品なんだけど、既に最初のアルバム「アトミック・ルースター」からはヴィンセント・クレインしか残っていないし、しかもギターが中心となったハードロック路線に変わっているし(笑)。ジョン・カンっつうギタリストが参加しているんだけど、もともとはヴィンセント・クレインのハモンドの強化ってことで加入させたらしいけど、結局マルチプレイヤーのニック・グラハムが抜けてしまった関係でトリオ編成のハードロックの方がやりやすいってなことだろう。鍵盤=ベースも兼ねて、その分歌とギターを任せてしまったが故に変則ではあるがギター中心のハードロックとなってしまったのだな。もちろんハモンドも鳴らしまくっているので重厚な音を出すバンドになったのだが、そういうのもあって今度は悪魔チックな「Death Walks Behind You」というタイトルで変貌をアピールしたのかもしれん。ドラムのポール・ハモンドは後にハード・スタッフに流れていくけど、思いドラミングでこの頃のアトミック・ルースターのサウンドってのはもう一皮剥けたら面白い音になってるんじゃないかと。そうじゃないところが楽しいのかもしれないが…。

 楽曲は鍵盤奏者がメインなだけあって、長い曲が多い、っつうか歌があって聴かせるなんてのはないから演奏だけでひたすら攻めてくるのが多いから長く感じる曲が多い。もちっとキャッチーに作れば良いのにただひたすら演奏で攻め込んでくるんだよ(笑)。もっともキャッチーにしているつもりはあるんだろうけどさ、歌も含めて一体となって攻め込まれている感じ。あぁ、B級的に近い肌触りだ…、いや、アトミック・ルースターはB級ではありません。このバンドも多数の亜流バンドを派生させているのだから…。

 …と言ってみてもジョン・カンのフレーズはかなりB級なセンスなのは否めないねぇ。ヴィンセント・クレインのメジャーなセンスからしたら面白いと思ったんだろうけど、今となってはちょっと、ね。自分的にはこういうセンスって凄く好きなんだけどさ(笑)。ポール・ハモンドもヴィンセント・クレインもセンス良いけど、バンドのフロントを担っていたのがジョン・カン。う~ん、だからこういうサウンドなのだ…。





The Nice - Nice

 そういえばグリーンスレイドとかレア・バードとか聴いている時に、鍵盤ロックって言えばEL&Pとかナイスだろうなぁ…なんて思っていたんだっけ。すっかりとコロシアム関連の方に流れていってしまい、その楽曲と演奏レベルの高さに熱くなってしまったので、そのまま進んでしまうところだったのだが、ちょっと前に戻ってギターレスの鍵盤ロックの代表格でもあるEL&Pはともかく、その前のザ・ナイスについては取り上げたことがないのでちょこっと聴いてみよう~。

Nice Five Bridges

 1969年にリリースしたナイスの三枚目のアルバムにしてセルフタイトルとなった「Nice」です。邦題はちょっと安直だろうという気がするのだが、まぁ、聴いた印象がそうだったんだろうね。やっぱりキース・エマーソンの存在が目立ち始めているし、っつうかそれなくしてバンドが成り立たないだろうから、ってのはあるが、割とリー・ジャクソンのベースも存在感たっぷりで面白いな。この二人の柱がナイスの肝だろうけど、キース・エマーソンってベーシストは好きだよね、きっと。リー・ジャクソンってこの後ジャクソン・ハイツっての作って何枚かアルバム出てるし、あんまり覚えてないけどまた聴いてみるかな…。

 さて、ナイスとしての三枚目にして「Nice」というタイトルでアルバムリリースなので自信ありきだろうが、その自信通りに完成度の高い楽曲群がアルバムを占める。スタジオ作品が4曲、ライブ収録が2曲ってことで後にEL&Pでも定番になる「Rondo」なんてのはもう最初からあのまま(笑)。ナイスもEL&Pも関係なくエマーソンの世界ですねぇ。スタジオ作品の方も、かなりハイレベルで面白いアプローチが聴けます。個人的にこういう鍵盤ってのはわかるけど好みではないので避けていたってのはあるなぁ…。なんでだろ?それでもライブ盤の方になると血が騒ぐんだよね。かっちょよいもン。多分躍動感が好きなんだろうと思う。これこそエマーソン!っていう走り方。ナイスでもこういうライブやってたってのがよくわかる作品。

 この後しばらくしてからEL&Pになるんだけど、まだまだクラシックとの融合や名作アルバム「Five Bridges」なんてのもリリースするんだから過度期の作品として楽しめる一枚だ。



Mogul Thrash - Mogul Thrash

 コロシアムの名盤「Valentyne Suite」の後にバンドを脱退し、クレム・クレムソンにその座を明け渡すコトとなったジェームズ・リザーランドはワウペダルを用いたアグレッシヴなギターをプレイすることでコロシアムの核の一端を担っていたのだが、やはりギタリスト的にはワガママ的な部分も多かったのだろうか、今度は自身が中心になったバンド、モーグル・スラッシュを結成して1970年にアルバムをリリース。

Mogul Thrash Mogul Thrash

 邦題は「炸裂!」だったらしいが、まぁ、「Mogul Thrash」で良いでしょう(笑)。その筋の人には見覚えのあるアルバムジャケットだったりする、かな?そうでもないか(笑)。いや、ジェームズ・リザーランドのバンドでブラスロックとも云えるサウンドを展開しているのでコロシアムの延長戦というかコロシアムをもっとすっきりさせてワウペダルのギターをギュインギュインと入れまくったアルバムってトコなんだけどね…、ひとつだけ圧倒的に異なることがあるんですよ。うん、ベースが凄いの。ここまで弾くか?ってくらいにラインで走りまくってて、それがかなり心地良いフレージングだったり、楽曲の流れをグイグイと引っ張っていたりしてとにかくタダモンじゃない。そういうのがよくわかるベースライン。

 だって、ジョン・ウェットンだもん(笑)。

 そうなんだよね、ジョン・ウェットンがプロとして最初に参加したアルバムとして名高い、のかどうかは別として、そういうアルバム。アナログの時はもちろん探しきらなかったのでCDになってから聴いたんだけど、はっきり言って、クリムゾンの時のジョン・ウェットンよりもベース弾きまくってる(笑)。対するリザーランドのギタープレイが稚拙なものに聞こえてしまうくらい突出したプレイぶりは後のジョン・ウェットンの才能を確認するには丁度良い音源資料。CD時代になってのリリースではボーナストラックやらなんやらと入ってたり曲順も違っていたりするのだが、並び方としては悪くない。CD最初のボーナスとラク「Sleeping In The Kitchen」からして何だこのベースは?と思うような曲で、そのまま本編に入ってもとにかくベースしか聞こえないじゃないか、っつうくらいなもんだ(笑)。面白い。ベース好きな人は聴くべしってトコ。いや、そうじゃなくてもこんだけ自由自在に弾けるベーシストはそもそも少ないし、そういうバンドも少ないので、正直言ってベーシストのソロアルバムでもここまで弾かないだろ、って。なので、是非笑うためにも聴いて貰いたいよ、これは。 コロシアム時代にもプレイしていた「Elegy」とか凄いよ。別の曲では「Easy Money」と同じリフが出てきたりとか(笑)。

 そうそう、書き忘れてたけどプロデューサーにはブライアン・オーガーが配されているので、演奏にも参加しているし、ジョン・ウェットンh「St.Peter」って曲で歌も歌ってます。楽曲はこの時代特有のロックの雰囲気をしっかり閉じこめたサウンドで、ブラスが多用されている上にベースオンパレードのアルバム。クリムゾン関連で何か入手するなら、コイツを探した方が絶対タメになりまっせ。





Dick Heckstall-Smith - A Story Ended

 更に英国ロックの重鎮達は発展する…、コロシアムのメンバーでもあり独特の笛吹奏者として名高いディック・ヘクストール・スミスもジャズメンらしく自身をリーダーに据えた作品を1972年にリリース。こういう風にソロを出すあたりは正にジャズの世界に習って、というところだろう。そして集まるメンツはもちろん勝手知ったる仲間になり、それは英国一流のミュージシャンになるワケだ。

A Story Ended Live 1990

 ディック・ヘクストール・スミスの1972年リリースの初ソロアルバム「A Story Ended」。昔はもう全然手に入らなくて見ることすらなかったアルバムでさ。90年代にCDでリリースされたのかな?SeeForMilesかどっかだった気がするけど、その時にも結局入手し損ねていたのでその後の再発まで聴けなかった。それが今じゃ普通に買えるんだからなぁ…良いよねぇ。その分興味が沸くとどんどん買い続けないといけないという出費の危険性も高いのだろうが(笑)。

 さて、そんな経歴の管楽器奏者の作品だからもちろんコロシアムと同じような作品とメンツになるワケだ。そしてこれまで実現したくてもなかなかできなかったポール・ウィリアムスというJucy Lucyのボーカリストもここに来てようやく参加したという、ある意味では次なるコロシアムの試作品でもあったのだろうか。ギターにはクリス・スペディングを呼んでるし、鍵盤ではグラハム・ボンドを招いている。そういう面々でコロシアムの再編ってのもあったのかなぁ…。

 それはともかく、もしかしたらコロシアムの音楽性の最終完成形なんじゃないかと思うくらいに素晴らしいアルバムの出来映え。ジャズロック?いやぁ~、ブルースロック?いやぁ~、R&Bロック?いやぁ~、どっからどう聴いても大英帝国ロックです。全て詰め込まれていて、もちろん歌メロのポップさも含めて、レッド・ツェッペリンにも負けないアグレッシッブで熱いプレイとテクニック。こんなに凄いアルバムが長い間聴けなかったなんて残酷すぎる! 60年代から70年代初頭のロック好きな人だったら間違いなく熱くなる作品だし、こんなのに最初に出会っていればもっと派生バンドへの取り組み具合も変わってきただろうに。今からでも遅くないです。さっさとこの「A Story Ended」に取り組みましょう。ロックの奥深さと初期衝動とこれでこそロックだ、というのがわかることでしょう。何と言っても英国重鎮達による一大セッションですから。

 「A Story Ended」…ジョン・ハイズマンのドラミングの捌き方…、クリス・ファーロウvsポール・ウィリアムスの図式、グリーンスレイドvsグラハム・ボンドなどなど一曲づつメンバーを見ながらワクワクできるアルバムって面白いよ。そしてこの人って他のバンドの時ってどうなんだろ?って思いを馳せて次のバンドを探しまくるのです…、これぞ英国ロックの奥深さ♪



Colosseum - Daughter of Time

 英国ロック史の中で目立たないけれど実は重鎮バンド、というかメジャーシーンで活躍しているよりも重要なバンドというものがいくつかある。古くはアレクシス・コーナーやジョン・メイオールのバンドなんてのは正にそんな英国ロックを産み出すメンバーの巣窟だったわけだし、ヤードバーズは言わずもがな、クリムゾンだってそんな類だ。もっともバンドとしてメンバーがコロコロ変わるってのが良いワケではないが、ある種スクール的になっているところはあるんだと思う。そういうバンドから巣立ったメンバーがそれぞれ活躍して英国ロック史に残る作品が幾つも生まれたというのは誇らしいことだろう。そんな中でも実は凄く重要なポジションを占めているコロシアムというバンドだ。

Daughter of Time Live

 まぁ、メンバーの出入りも激しいけどもちろんアルバムのレベルの高さも演奏のレベルの高さもハンパじゃない。それでいて活動期間は3年くらいという恐ろしく凝縮された経緯を持つバンド。2枚目の「Valentyne Suite」はコンセプトアルバムとしても有名で、名盤としても名高い。4作目のライブアルバム「Live」は正直言ってロック史の上位3位に入るくらいの凄いライブ盤なのだ。その間に挟まれた3作目が本作「Daughter of Time」なのだな。1970年リリースの非常にシンプルで高貴なジャケットを持つアルバムなのだが、バンドの来歴はともかくこの「Daughter of Time」に参加しているメンバーが凄い。

 ドラムはもちろんリーダーのジョン・ハイズマンだが、当然、以降にあちこちで名前を見ることとなるサックス奏者ディック・ヘクストール・スミス、グリーンスレイドというバンドで活躍するデイブ・グリーンスレイド、初期ルネッサンスに参加していたベースのルイス・セナモ、説明不要のギタリスト、クレム・クレムソン、そして驚くばかりのボーカリストにはそれまでのキャリア豊富、且つ後にアトミック・ルースターに参加する、そしてジミー・ペイジお気に入りのクリス・ファーロウを配しているのだな。ここから派生したバンドやメンバーの過去の経歴を纏めるだけで一大英国ロックファミリートゥリーが完成することだろう…。

 さてさてそんなコロシアムの「Daughter of Time」だが、とにかく濃い。演奏もアレンジもだが、圧巻はクリス・ファーロウのR&B的な快活で英国らしくない…というか圧倒的な歌唱力がバンドの全てを支配しているので、正直言ってバックばどんなに凝ったプレイをしてもアレンジを施してもひとつの歌モノの曲に纏まるという存在感。そして全くその存在感にヒケを取らないバンドの面々の演奏力も素晴らしい。クレム・クレムソンも一生懸命弾きまくっているし、グリーンスレイドも独特のトーンで楽曲を盛り上げているが全くクリス・ファーロウの歌声には敵わないようだ(笑)。ルイス・セナモのベースラインはこれまでのコロシアムのベーシスト、トニー・リーブスと比べるとやはり躍動感とクラシカルなランニングスタイルが得意なことからグリーンスレイドとの絡みが抜群。「Bring Out Your Dead」なんて曲はもうグリーンスレイドの一人舞台なんだが、もうナイスやEL&Pに全くヒケを取らない凄い躍動感と楽曲。ジョン・ハイズマンのジャズ仕様のドラムがこういう風に絡むとそりゃ圧巻だわさ。音楽的にはジャズもブルースもクラシックもプログレも一緒くたに入りまくった全く形容できないが激しいロックであることは確かだ。

 こういうバンドの存在感とか音の楽しみ方ってのが一番面白い。そして英国ロックの醍醐味を体現してくれている重要なバンドだというのも嬉しい。アルバム数少ないけど、その分たっぷりとそれぞれを楽しめるのも良いしね。この「Daughter of Time」を散々聴いてから「Live」を聴くと、もうねぇ、普通のロックとか聴いてらんないよ(笑)。



Rare Bird - Rare Bird

 ギターレス、ツインキーボードという特殊な楽器編成によるバンドはグリーンスレイドである種の完成を見た気がするが、その前に活躍していたレア・バードというバンドがそもそも同じ形態で活動していたのだ。レア・バードは面白いことにそんな編成でありながら…、というかこんなムーディな楽曲を繰り広げながらも70年には「Sympathy」という大ヒット曲を産み出しているのだった。

Rare Bird As Your Mind Flies By

 アルバム「Rare Bird」はその前年1969年にリリースされていて、その中にも「Sympathy」は収録されているのだが、アルバム全体を最初から聴いていると決して「Sympathy」がポップで売れ線だったというワケではないことに気付く。そもそもそういう傾向を持つバンドだったのだが…。

 いやぁ~、これももちろん久々に聴いているんだけど、こんなにムーディでドロドロだっけ?ドロドロっつうのかエッチィ感じに迫り来るんだよな(笑)。オルガンや鍵盤によるマイルドさもあるんだけど、メロディセンスもしつこいっつうのかね、エロっぽくてさ(笑)、仰々しいっていう感じ。まぁ、英国でしか出てこない音ってのは確実だ。プロコル・ハルムの「青い影」とムーディ・ブルースの雰囲気を足して濃くした感じです。ただ、小曲の軽やかさってのもあるので、その辺は牧歌的でほっとする。歌はベースを惹いているスティーブ・グールドが歌っているのかな、ハジケ切れないんだけど結構好きなタイプの歌声。ちょっとノビが足りないけど、ハマってるし。

 さてさて、このバンド、もちろん有名なグラハム・フィールドさんによるものなんだけど、次作「As Your Mind Flies By」にて金字塔をブチ上げた後脱退してフリップさん仲介によりフィールズを結成してアルバム一枚リリース。残りのメンバーも結構変化が激しく音楽性も激しく、一時はジョン・ウェットンも参加したとか…。VDGGのニック・ポーターも参加しているしね。VDGGの派生でもあるThe Long Helloというバンドはレア・バードとVDGGの融合体だし。割と肝となったバンドでもあるワケだ…。

 決してB級ではなく、しっかりとメジャーで活躍していたし音も確かなバンド。メンバーの技量もプロフェッショナルなものだと思うんだけど、やはり売れる、売れ続けるってのは難しいのか今では幻のバンド扱い。ただし割とCD等はリリースされているところが救い。「Sympathy」は聴いてみると面白いかも。



Greenslade - Spyglass Guest

 ある種70年代のロックバンドってのは歪んだギターありきというもので、それこそが王道とも思われたが、EL&Pの成功を機にギターレスによるロックの在り方というものも模索され続けてきた。もちろんEL&Pが最初というワケでもなくって、先のマンフレッド・マン・チャプター・スリーにしたってギターレスによるロックを確立していたし、エマーソンで言えばナイスだってそうだろうし、アトミック・ルースターだってそうだ。個人的に言えばギターの入っていないロックなんて…ってのは昔はあったけど、こんだけ色々なアルバムを聴いてしまうと、それがどうした?って気分になるから面白い。十分のハードロックを醸し出しているんだよね、皆さん。それこそが醍醐味だったんだろうが。

 さて、マンフレッド・マン・チャプター・スリーの項でギターレスによるロックバンド、そしてドラムにはアンディ・マッカロックが座っていたってトコロで、自分的には割と好みなアンディ・マッカロックの来歴でも面白いのでは?なんて思って、本日はグリーンスレイドです。凄く好きなバンドで、それこそギターレスなんだけど煌びやかでファーストからず~っと好きなんだよね。んで、アンディ・マッカロックさんのドラムだし、曲は軽快でキラキラしているし、いい流れじゃないですか…ってなことでグリーンスレイド♪

Spyglass Guest Greenslade

 ファースト「Greenslade」セカンド「Bedside Manners Are Extra」は既に本ブログにてレビュー済みなので続いての1974年リリースの三枚目「Spyglass Guest」です。生憎ギターレスバンドなんだけどこの「Spyglass Guest」ではゲスト陣としてクレム・クリムソンを迎えているんだが…、ついでにバイオリンにはグレアム・スミスを迎えているので、一気にコロシアムからハンブル・パイ、VDGGからストリング・ドリブン・シングなどなどへ繋がってしまう…、しかもグリーンスレイド人脈で言えば当然デイブ・グリーンススレイドの経由してきたバンド群とデイブ・ローソンの経由してきたバンド群など併せてたらキリがないくらいのファミリーツリーが出来上がります(笑)。クリムゾンの「リザード」に参加していたアンディ・マッカロックの経歴も踏まえたらそれこそとんでもないツリーだろうね。言い換えればグリーンスレイドというバンドはそれだけの度量を持ったバンドだった、ということだね。

 さて、その三枚目「Spyglass Guest」ではそれまでのロジャー・ディーンによるアートワークから一転してキーフのデザインに変更されている。残っているのはロゴのみ、ってことでジャケットからは中味が想像付かないのだが、まぁ、三枚目だから良いのか。しかしバンド内部ではグリーンスレイドとローソンが対立していたようで、楽曲クレジットもそれぞれ完全に分かれていて、演奏にも参加していないと言う始末。おかげでバラエティに富んだ作品となったのでこれまでとは一線を画したカラフルな作品に仕上がっています。個人的にはやっぱりグリーンスレイドの音色とフレーズセンスが好きだなぁ…。何かねぇ…、明るくときめいてくるような感触が味わえるんだよね。躍動感というのか高揚感が沸いてきてドキドキするっていう感覚。これはファースト「Greenslade」の最初からずっと味わえる楽しみ。ローソンのはちょっとマイナー的というか落ち着いた感覚で、英国らしい~って感じかな。この「Spyglass Guest」ではクレム・クリムソンのギターも入っているけどそんなに目立つ程でもなくって曲に合わせた程度でのプレイだからまぁ、味付けとしては成功でしょ。同じくグレアム・スミスのバイオリンはちょっと目立つが、違和感なく音に馴染んでいる。よほどグリーンスレイドというバンドのツインキーボードだけにこだわったファンでなければカラフルさが増した程度に聞こえるのではないかな。

 大作が減ってる。長くてもデイブ・グリーンススレイドの曲で8分半程度だから、コンパクトな仕上がりだけど聴きやすく、且つ個性を出しまくっているような印象。最後の「Theme For An Imaginary Western」はマウンテンで有名になり、コロシアムの「Daughter of Time」でもカバーしていた曲のようだ。このバンドで演奏されるには違和感のある曲だけど、さすがに好きなんだろうって言う感じがよくわかる…、そりゃ半分以上がコロシアム人脈になってるからな…。

 アルバムとしてはそんな案配だけど突出してグリーンスレイド作品が良いなぁ…。最後から二曲目なんて圧倒的にプログレッシブバンドの姿を打ち出して自由にそしてテンション高くプレイを楽しんでいる様子がわかるもん。トニー・リーブスのベースも走りまくっていてかっちょよい。凄いロックバンド的…と言うか、グリーンスレイドってこういうバンドだよな、って確認できるくらい最高の楽曲。うん、やっぱグリーンスレイドは面白いわぁ~♪



Manfred Mann Chapter Three - Volume Two

 テクニカル且つ大胆な、そして新鮮な音を展開していったバンドは他にも山のようにあって、メジャーシーンでは元より、元々メジャーだった人達でもアーティスト本能がそうさせるのか、どんどんと実験的な取り組み意欲的に進んでいくケースも見られた。プリティ・シングスやキンクス、フーなんてのはそんな代表のメジャー格でしょ。60年代のビートバンド達が脱皮した方向性はそれぞれだけど大成した物はあまり多くはないね・ムーディー・ブルースくらいかね、ガラリと変わって成功したのは。そんなバンドのひとつとも言えるマンフレッド・マン、これもビートグループ時代に出てきて売れていたので、今でもその路線のアルバムなんかが入り混じっていてコトを複雑にしている。要するに掴み所がなくてよくわからないんだよ…(笑)。

 それもそのはず、最初期はビートバンドとして、その後はチャプター・スリーとしてフリーフォームなジャズを持ち込んだ実験的なバンドとして、その後はプログレッシヴ色の強いアース・バンドとして活躍、その後もどうやらクラブシーンで人気を誇るバンドとしての側面もあるらしく、追いかけ切れていない…。そういえばかつてマジメにこのバンドの来歴を追ったことがなかったな…。と思ってWikiを見るが…、よくわからん(笑)。ただ、90年代に入ってからのバンドはマンフレッズっていう名称で活動していて主要メンバーのマンフレッド・マン本人は不在とか…、やっぱよくわからん(笑)。

Chapter Three Vol.2 Chapter Three Vol.1

 さて、そんなバンドなんだけど、ホントは凄く深い来歴があって追求していてもおかしくないんだけど、生憎60年代のマージービート系はハマり込めないので追求できてない…が、それでも超名盤として非常に気に入っているアルバムがあるんだよ。そう、もちろん「Chapter Three Vol.2」です。1970年リリースのチャプター・スリーのセカンドアルバムだから「Chapter Three Vol.2」なんですが…、凄まじいジャズ…っつうかフリーなロックを展開していて最初っから緊張感高まりまくりの超ハイテンションな作品。かと言って聴きにくいものでもなくしっかりと歌も入っていてメロディアスな旋律もあるので一般的にも大丈夫でしょう。ちょっと重くてハイかもしれないけど、クリムゾンがメジャーであるならば「Chapter Three Vol.2」も大丈夫。アルバム制作中にドラマーが交代していて、それこそアンディ・マッカロックがドラム叩いているので、クリムゾンとの共通項もあります(笑)。

 そういう話題よりもジャケットのインパクトよりも音のインパクトが超強烈で、マジメに聴いていると凄く疲れる。ハイテンションだからさ、聴いてても安らげないんだよね。こういうの好きでさ、それこそロックの醍醐味でして、何が来るんだ、次は?ってな感じでスリリングに聴ける音。管楽器がヒステリックに騒がれたりベースラインがとんでもなかったりドラムがもの凄く突出したりハモンドが宇宙に行ったりするんだけど、面白いことにギターレス。ジャズ~だからだろうか?全くギターレスが気にならないくらいにロックな世界で、わかりやすく言えばクリムゾンの「アイランズ」に近いかなぁ…。

 取っ付きにくさはあるかもしれないけど5回くらい聴くとハマるんじゃない?このテンションの高さは他にあまり類を見ない凄さだよ。まだファースト「Chapter Three Vol.1」を聴いていないからちょっとした楽しみもあるのだ。



主要主要

Eyes of Blue - In Fields of Ardath

 60年代末期頃になると英国のロックシーンが活性化してきて、雨後の竹の子のようにバンドを輩出してきたものだが、対するレーベルの方も正に青田刈り状態による契約の嵐。その中にはもちろん本当に才能に長けたバンドや人物によるプロフェッショナルなバンドも存在していて、後のシーンの源流ともなったバンドがいくつか存在する。有名なのはカンタベリーシーンでのワイルド・フラワーズとかですかね。そしてサイケデリックの洗礼を受けながらテクニカルな側面でもメロディの側面からでも、そしてその後の多数のバンドを輩出した源流とも言えるマイナーな存在のEyes of Blueなんてのを紹介♪

In Fields of Ardath Crossroads of Time

 アルバムは二枚リリースされているけれど、作品レベルが異常に高くニッチな世界では有名なものがセカンドアルバムの「In Fields of Ardath」でして、メロディだけ取れば非常にポップなんだけど、音は後の英国ロックに出てくるようなものが散りばめられていて、それがサイケデリックという括りでは終わらない世界に広がっている。1969年のリリースなのだが、当時は話題になったのかどうかもわからない。どうなんだろ?まぁ、面白いね、くらいだったかもしれないね…。

 ん~とドラマーは後にBig SleepやWild Turkeyなどを経由してGentle Giantのドラマーとして名を馳せるジョン・ウェザースさん、ベースはトニー・バンクスさんとFlashを組むことになるベネットさんっつうところだけど、やっぱあの超絶テクニカル集団のGentle Giantのドラムを務めることになるドラマーが在籍していたワケだから巧いです。メンバー全員ね。この頃のミュージシャンレベルからしたら相当なものだろうなぁと思う。

 そして音世界もかなり深くて…ブルースベースのものもあるけど、やっぱ浮游感漂う夢見心地のサウンドですね。サイケという括りでは収まらない…、アコギの深さと鍵盤の絡みのせいかな。ポップスと言っても良いような曲もいくつも収録しているし…なかなか掴み所のないのが正直なトコロ。それでも何度も聴いて制覇したいと思わせるバンドだもんね。まだまだだまぁ~、こういうのをきっちりと制覇できないとなぁ…。

Stackridge - The Man In The Bowler Hat

 今日は音楽好きの多くのファンはビートルズのモノステ箱+DVDで大いに盛り上がっていることだろう。もっともあちこちのブログで中味のレビューが書かれたりするのは全部聴き終えた頃だろうからもうちょっとかかるが(笑)。まぁ、今のブログの傾向からすると「買いました~」という報告系が多くを飾り中味についてのお話はあまり出てこないのかなぁという気もするが(笑)。相当に音が変わっているらしいけどどうなんだろね。どっかで気が向いたら聴くだろうけど、当分聴かないと思う…ほとぼり冷めた頃にひっそりと、ね。わからんけど(笑)。

山高帽の男 スタックリッジ

 ビートルズで賑わうのならば英国のB級路線を走っている今書けるのはスタックリッジです。うん、1973年にリリースされた3枚目のアルバム「山高帽の男」はジョージ・マーティンのプロデュースによる作品で、これまでのスタックリッジの音楽性を損なうことなく更に飛躍したポップさを打ち出した傑作。やっぱり本家本元のプロデューサーが付くとここまで見事に生まれ変わるものかと思うくらいに軽やかで煌びやかな音世界が出来上がっているので、聴いたことのない人は一聴の価値ありなんじゃないかと。特にビートルズで盛り上がってる今ならこういう傾向の音って聴きやすいじゃないか、と。グレードも低くないし。

 そういう形容詞をいっぱい付けて何とか世の中とバランスを保とうとはしているけど、実際にはもしかしたらビートルズよりも好きかもしれない。何かね、自分だけのポップバンドって感じでさ、ビートルズ聴かなくても同じようなセンスはこういうところでも聴けるんだよ、みたいな。まぁ、ELOなんかもそうなんだが…。それくらいに強烈に旋律も曲も彩りもしっかりとしたアルバムです。ただ、気になるのは一発で覚えきるくらいの激しく名曲らしいものが見当たらないという…致命的なんだけどさ、その辺がA級との差なんだが…、それ以外は持ってる(笑)。

 ほのぼのとしててね、殺伐とした雰囲気は一切なくって田園風景をそのまま表した作品。田舎のビートルズと異名を取ったらしいが、正に言い得て妙でして、そのまま田舎の風景がマッチする作品。巧いしね。



Gnidrolog - In Spite Of Harry's Toe-Nail

 フルートという楽器は時には凶暴にもあり、もちろん俗世では優しく憂いのある笛の一種なのだが、前者の凶暴性ってのはロックの世界でしか使えないだろうな。もちろん両面とも使えるので実は幅広い音色の楽器のひとつなのだが…。そんなことであまりにも大人しいフルートを聴いていると凶暴性の高いフルートを聴きたくなるものだ。そんなことで、名高いイアン・アンダーソンはちょっと後回しにして、マイナーなニドロローグで(笑)。セカンドの名盤「Lady Lake」は以前書いているのでそっちを見てくれると嬉しいけど、大好きでねぇ…。papini嬢のトコロでも取り上げられたばかりの素晴らしい作品だね。だからこちらでは今回はファースト「In Spite Of Harry's Toe-Nail」です。

In Spite Of Harry's Toe-Nail/Lady Lake Gnidrolog

 1972年リリースのデビューアルバム「In Spite Of Harry's Toe-Nail」なんだけど、昔はこれも全然見かけることなくって探し回った。結局CDになってからやっと聴けたという代物でさ。セカンドの「Lady Lake」もカウンターフィット盤で聴いててそこからCD出たから速攻で買ってって感じだったので、それよりも更に時間掛かったのがこのファースト「In Spite Of Harry's Toe-Nail」です。聴けた時はホントに嬉しかった。何がってさ、もちろん手に入れたってのもあるけど、音がね、全然裏切られなかったんだよ。期待通り、もしくは期待以上だったもん。セカンドの「Lady Lake」が叙情的且つ凶暴、更にメロディーセンスもばっちりで好みだったので、その準備段階の世界だろうと想像していたんだけど、聴いてみたら既にそのスタイルは感性されている。叙情性ってのがちょっと異なる方向にあったくらいで、凶暴性も美しい旋律も健在。時にはマグマのような展開になるし、それでもやはり英国のバンドらしくしっかりと情緒をわきまえた上品に高貴に楽器が鳴るってなもんだ。ボーカルにしても優しいハイトーンの声で、その姿からは全く想像できないほど美しい歌声と楽曲の数々は多くのファンを虜にするでしょ。主にプログレと呼ばれる世界の好きな人は必ず、ですね(笑)。

 うん、クリムゾンらしさもあるしマグマらしくもあるい、繊細で綿密に創り上げられているっていう意味ではジェントル・ジャイアント的でもある。小曲も大曲も聴かせるところが多くて面白い。ジャジーな展開もクラシカルな展開もあり、やはりロックなアプローチ。フルートやオーボエってのは全開で効果を発揮しているので、このバンドの武器のひとつ。フリーな要素と構築美が見事にミックスされた奇跡のバランスは唯一無二の代物で、もっともっと語られても良いレベルのバンドです。

 この後セカンドアルバム「Lady Lake」をリリースして消滅…、勿体ないなぁ。フルート奏者のナイジェルさんはスティーライ・スパンへ参加することとなるようだ。この人のクセってのがまた強くてねぇ…。こんなところでスティーライ・スパンとニドロローグが繋がってしまう大英帝国のロック世界に奥深さを感じるでしょ。

Harold McNair - Flute & Nut

 ちょっと変わり種をひとつ…っつうかもうこのヘンって変わり種ばかりなんだろうけど、ミュージシャン的に非常に類い希なる人を思い出したので…。いや、ここのところフルートが絡むものを多く聴いてたもんだから、フルートってこんなにポピュラーに登場する楽器だっけ?なんて思いながらあれこれ調べててさ。メジャーなのはもちろんジェスロ・タルのイアン・アンダーソンだけど、まぁ、ニドロローグとかあるなぁ…なんてくらいで、この辺のフォークとロックの融合らへん聴いてて、ほとんど入ってるから、フォーク系では当たり前なんだなと今更ながら意識した次第。そこで…

ザ・フェンス

 ハロルド・マックネアって人がいてね…。60年代から活躍しているフルート奏者でして、ドノヴァンの作品には多数参加しているってので有名らしいが、フルート奏者でソロアルバムを何枚もリリースしているってのも珍しいだろうから聴いてみました。70年代初頭にリリースされた作品が多い中、とりあえず「Flute & Nut」ってのを手に入れたので…。

 まぁ、ロックではないわな(笑)。正直言ってフルートジャズです。なんでこういう人に出会った?って我ながら自問自答するんだけど、もうちょっと広い意味ではマルチジャンルに跨るフルートプレイヤーっていうだけで、本人の趣味はこういうスタンダードなジャズでのフルートの存在ってなトコロなんだろうか。ただ仕事して来るものは断らないだろうから、ロックやフォーク畑から思い切りジャズな世界にも登場するというだけで、本人からしたら単にフルートを奏でる音楽ってことかも。正しいな。フルートが主役となるのってクラシックくらいだから、どうしてもそうなっちゃうんだろう。そこへロック目線から入った自分が聴いてみたっていうだけで、いや、音楽的には凄く上品でセンスもあり、室内楽とジャズっていう感じなので聴きやすいんだけど、ふとなんでこんなの聴いてるんだろ?って思うワケだ。まぁ、そんな流れだがこの辺漁って出てきたのでちょっと登場。

 そしたら面白いことにしっかりと英国アンダーグラウンドな世界にも繋がっていて、なんと、ヴァーティゴのあのクレシダの名盤「アサイラム」にゲストフルート奏者として参加しているじゃないか(笑)。世界は狭い…っつうかそういうモンなんだろうね。おかげでまたクレシダを聴く必要性が出てきた…。アマゾンでは「Flute & Nut」はないので…ってかこの人のってほとんど廃盤らしいが、唯一「ザ・フェンス」ってのがあったので一応。こちらはロック畑…っつうかマルチプレイヤー集団による作品だな。

Bread Love And Dreams - Amaryllis

 1970年代のアルバムってのは大体ジャケットが何となく中味の音を表していたという感じもあり、特に英国ロックではアートワークにも気を配るというバンドやアーティストが多かったので、自分のカンと実際の音の印象っていうのもひとつの楽しみなのだ。意外性のあるものもあるし、なるほど、ってのもあるし、何で?ってのもあれば単に楽しめるというものもあるが、どれもこれも面白い。そして今回のBread Love And Dreamsなんつうふざけたバンド名を持つバンドの作品だが…

Amaryllis Strange Tale of Captain Shannon and the Hunchback from Gigha

 Bread Love And Dreamsの1971年リリースの三枚目の作品「Amaryllis」。一体どんな音を想像するかね?時代的な点も考慮するとやっぱりどこかサイケデリックな感じを受けるジャケットなんだよね。もしくは結構アーシーな雰囲気なのかなぁ~とか想像を逞しくするので、そういうイメージで作品を買ったり聴いたりする…。

 いやぁ~、このバンドのこのアルバム「Amaryllis」はホントに裏切られた感の強い…というか期待と音が違いすぎたってモンだ。いや、アルバムの中味の音は悪くないです。やっぱり英国B級の好きな自分には全然楽しめる音なんですが、ジャケットで受けたイメージとは裏腹に中味は美しい男女ボーカルによるフォークなのですねぇ~。まぁ、三枚目ともなっているくらいだから割としっかりした音世界を紡ぎ出すバンドなワケですが、オトコ一人に女二人っつうバンドらしい。もちろんほぼドラムレスでアコギと歌とコーラスの世界でちょっとアーシーな感じは入っているね。

 面白いのは本格的な音ではなくって稚拙というのか未熟というのか薄っぺらい部分が見え隠れするので、なるほどなぁ~というのがわかるんです(笑)。好きでやってるんだ、っていうかさ。だからこんなジャケットになるんだろうし、音世界もどこか自信がない感じもあって、アナログだとA面全てを使うアルバムタイトル曲「Amaryllis」の組曲に気合いを入れているというのがよくわかるんだけど、途中どこに行くのか妙にロックしてしまってドラムも入って頑張って変化を付けているんだけど、あまりにも未熟(笑)。いや、アプローチは面白いんでキライじゃないんだけど、笑えるくらいにナイスですよ。それも一瞬のことで、やっぱり基本のフォーク路線に戻るんだが、このA面組曲のおかげでプログレッシブフォークの代表作としての異名を取ることになるのだな、この「Amaryllis」は。ジャケットの不思議さと音の面白さ、更にアルバムタイトル「Amaryllis」のメロウさがマニア心を擽るようだ(笑)。

 随分と早い時期に復刻CDが出てて、それを入手したんだけどその頃は全く手が伸びないアルバムだったな…。なんかもっと刺激が欲しかったからだと思うが、逆にジャケが大人しくて音がハードだと燃えたもんな…。所詮好みの問題か(笑)。アルバム全曲YouTubeで聴けるってのもこれまた凄い…。

Accolade - Accolade

 ゴードン・ギルトラップという英国のギタリストをご存じだろうか?日本では知名度がほぼ皆無に近い人なんだけど英国では相当の知名度を誇る、らしい。リチャード・トンプソンなんかも似たような部類なんだけど、ゴードン・ギルトラップも同じ類の人だ。そしてゴードン・ギルトラップの場合はバンドに恵まれなかったがためにロックシーンでもそこまでメジャーになることがなかったってことだ。バート・ヤンシュに憧れを抱いたギターの名手なのだが、あくまでもギタリストだったのでなかなか知られざる人になってしまったのかな…。かく言う自分も名前だけは知っていたものの作品に接触する機会がなくて見過ごしていたのが事実なのであまり大層なことは言えないのだが…。

Live at Oxford Poly 78

 そんなゴードン・ギルトラップがバンド結成してデビューした初々しい頃の作品「Accolade」…ってか「Accolade」ってバンドの一枚目です。CDになってるのか?どうか知らないんだけど、アマゾンにはないなぁ…。まぁ、CDになってなくてもおかしくはないけど、でもねぇ、やっぱり聴けるなら聴きたいじゃないですか。あ、自分もアナログ手に入らなかったので昔に手に入れたカウンターフィット盤です。だから偉そうなことは書けませんが…、だって聴きたいんだもん。邪道かもしれんが…。

 さて、その音なんだけど、冒頭からキレのよいアコギによる何とも不思議なサウンドが広がります。フルートなんかも入ってくるので英国的アコースティックを狙っている感は強いんだろうけど、ゴードン・ギルトラップのギターがシャープで鋭くてかっこよすぎる(笑)。歌のソフトさとか楽曲のソフトさを全てギルトラップのギターがエッジを立ててしまうという感じ。何だろうねぇ、こういう不思議な音ってのは。12弦だからってだけでもないし、そのヘンがバート・ヤンシュ指向なのだろうか?この頃多分20歳前後くらいっていうからやっぱり天才肌のギタリストだ。楽曲とか歌とかに耳が向かないのは問題だが、しょうがない…、それくらいにギターが光っている。

 …が、もちろん作品として、アルバムとして聴くのでそういう予備知識的なものをなしに聴くとですね…、1970年の作品でして相当しっかりとした出来映えのアルバムで、歌メロの旋律もモノ哀しく英国的なラインがゾクゾクと出てきます。やっぱそこかしこで聞こえるフルートってのが情景を巧く醸し出していて、バックはウッドベースみたいなのとアコギだからうるささは全くない。結構大らかな感じもあるしカントリーとか好きなんだろうなぁ~ってのもわかるけど、つぶさに奏でる音が美しくて、実は相当の名盤と呼ばれても良いんじゃないか?中には10分弱の曲や13分くらいの曲まで入っているんだから楽曲構成としてもしっかりと出来ているし、ダラダラな音が続く訳でもなくってしっかりと聴かせてくれる曲だしね。未だ見ぬ名盤ってことで記憶しておくには良い作品です。

 ゴードン・ギルトラップってその後は割とメジャーな活動もしていてリック・ウェイクマンとのコラボなんてのがウェブであちこち出てきた。何かの機会にこの人の遍歴も追ってみようかな…。ただ、たまに聴くからこういう音は凄さがわかるってモンだからな(笑)。



Frankie Armstrong - Lovely in the Water

 随分昔に一度だけジャケットを見たことがあって…、その時は妙~に艶めかしいジャケットだなぁ…、どんな音なんだろ?と疑問に思ったものに何の情報もなかったし全く何も知らなかったので買い控えたのだが、それ以来見たことはない。いくらだったんだろうなぁ…あんまり記憶にないんだけど、その内何かの本でこのアルバムが紹介されていて、見たことある気がするジャケットだ…と思い当たるのに時間はかからなかった。インパクト強いジャケット写真だったしね。CDだと金色の線が入ってるけどアナログではこういう余計なモノは一切なかった気がする。シンプルで素敵、という言葉の似合うアルバムジャケットだった…。

Lovely in the Water Till the Grass O'ergrew the

 フランキー・アームストロングという女性による1972年?の作品「Lovely in the Water」。この後も相変わらず英国民謡を中心に活動しているので思っているほど幻の女性というワケでもないみたいだけど、何となくこういうのは神格化してしまうなぁ、自分は。しかしCDがリリースされるんですねぇ…と感慨深いものがある一枚ではありますな。やっぱりオリジナルなシンプルなジャケットがよかったとは思うけど、まずは音が聴けたってことで感謝です。

 …蓋を開けてみると、これまた土臭いモロに英国民謡という感じのアカペラです、ほとんど。フルートがちょっと聞こえてきたりフォークが少々聞こえてきたりするものの、基本はアカペラ。土着的な歌がズラズラっと並んでいて、基本的に英国民謡なんだろうなぁ、これ。「The~」ってのが多いのも曲目並べると面白いけど。それでもですね、それぞれに歌い方を変えていたりするので、アルバム一枚通しても飽きがこないので不思議。普通にフォーク調に歌ってみたり、モロに民謡的に声を張って歌うのもあったり、優しい表情で歌ってくれたりと声一本でアルバムが出来上がってしまうのもそりゃそうかというくらいに多様なボーカルを聴かせてくれるんです。だから表情が多彩で面白い。ロックか?と言われるとそりゃ違うけど、こういう表現はロックに影響を与えていると思うよ。歌の表情って意味では絶対だろうし、こういうのからアレンジを施してロックに持ち込むジミー・ペイジのような輩もいたワケで…。いやぁ、フランキー・アームストロングという女性らしくない名前だけど、素晴らしい歌手です。こういうのとバート・ヤンシュとか組んだら面白いんだろうなぁ…。まぁ、そういう意味ではアン・ブリッグスとかペンタングルとかあるから似たようなものになっちゃうんだろうけど。

 ってなことで、あまりにも原点に回帰してしまった感のあるフランキー・アームストロングですが、リラックスするには良いっす。秋を迎えるのも良いっす。何も考えちゃいけません、っていう彼女の歌声だけの世界。



Amazing Blondel - England

 アコースティック中心に、それでもロック的側面を多分に持ったバンドが続いているが、その流れで~なんてコレクション漁りしていて、あぁ、これもどうだっけなぁ…、なんかお上品だったような気がするけど、別のアルバムにはポール・コソフが参加していた経緯もあるし、もう一度ちゃんと聴いてみますかねぇ…って感じでチョイスしてみました。

England マルグレイヴ・ストリート

 アメイジング・ブロンデルの4枚目の作品「England」でして1972年リリースのアイテム。割と有名なんじゃない?アナログ探してた時もすんなりと英国オリジナル盤を安価で手に入れられたからこんなもん?って感じだったけど、もしかしてオリジナルじゃなかったのかな?ちとザラついた手触りのジャケットだったけど。まぁ、それはともかく、タイトルからしてもう「England」ですからね、果たしてどんな音?って期待は持つでしょう。そして聴いてみると…、確かに「England」なんです(笑)。よくわかんないけど、宮廷音楽ってのか…、あちこちの解説なんかでは古楽器を使った宮廷音楽と評されていることを見かけるんだけど、まぁ、古楽器ってどの辺を指すのかよくわかってないので、書けないんだけど、確かに映画とかで見るような宮廷音楽的な印象で、フルートやらジグリールやアコースティックやらよくわからない音がかなり絡んでくる。実に聴きやすい作品で、気品の高さと尊厳を感じる音です。安易にそこらで聴いて良いというような代物ではなくって、きちんとターンテーブルの前に正座して聴く感じ(笑)。あ、どこかのお姉さんは常にこうやって聴いているようですが…。

 それで、音としては非常~にリラックスして格調高いサウンドなのでジャケットの雰囲気と共に素晴らしい音なんだけど…、正直言って物足りない。なんか刺激というのかエッセンスと言うのか、毒というのかロックらしさってのがないから別に流れている分には非常によくできているから良いけど、聴くってなるとちょっと拍子抜け。まぁ、それを狙ってのアルバムだったのかもしれないけどさ。そうだとしたら凄く成功している。レベルは非常に高くて誰にも真似できないけど、流れるだけっていう…。格調高すぎるのもロックの世界では大問題だとこういうのを聴いてみて思う。適度にスレてないとねえ…。

 とは言えども、時代を超えて聴く価値はたっぷりとあるバンドだと思いたいのでまだまだ聴く機会を持ちたい、と考えますな。どんな時に聴くのが良いのかわからんけど…。しかしアマゾン…っつうかこのCD今入手しにくいんだ?う~む…。



Hedgehog Pie - Hedgehog Pie

 トラッドフォークの世界とロックフィールドのトラッドフォークとは割と近似しているけどなんとなく線引きがあるように自分の中で分けている気がする…。フェアポートやスティーライってのはもちろんロックフィールドのトラッドバンドなんだけど、やっぱ純然たるフォークギターが中心になっているとトラッドフォークの源流に近いルーツバンドなんだろう、っていう感覚。ロックは進化すべきものだから純然たるトラッドに敬意を払いながらもエレクトリックのロックフィールドを持ち込むっていうのは正しい選択だし、実際に面白いから好きです。もちろんルーツも大事なのでそういうのこそトラッドフォーク、なんだろう。

Live

 さて、もう二十年くらい探しまくっていて今でも手に入れていない幻のアイテム…CDもリリースされていないと思うんだけど、そんなのがまだまだあります。その中でも最高峰に位置しているヘッジホッグ・パイというバンド。そのセカンドアルバム「Green Lady」ってのが欲しいんだけど見たことない。ヤフオクで出てるのを今検索したら出てきたけど、そうでもなかったら見ることないもんなぁ。ヤフオクキライだからやんないし(笑)。おかげで未だ見ぬ幻の名盤、だろう、というか名盤であってほしい(笑)作品は今回置いておいてだ…、ファーストアルバムの「Hedgehog Pie」はこないだ発見したのでようやく聴けたんです。ちょっと前にCD出てたらしいけど、毎日チェックしてないし…。そんでバンド名だけで驚いて狂喜してクリックしたらファーストの「Hedgehog Pie」だった…。あぁ…「Green Lady」聴きたいねぇ~。そういう楽しみもないとアカンでしょ♪

 んで、そのファーストアルバム「Hedgehog Pie」なんだが…、無茶苦茶良いぞ!! フォーク路線が強い感じなんだが、男女ボーカルがバランス良く入っていてさ、しかもアプローチがロックだからフォークだけでなくってフォークをベースにベースもエレキギターもフルートもピアノやフィドルもそこかしこで入ってくる。ただ、ドラムはほとんど入ってこないからそういう意味ではヘヴィロックにはならないんだが、面白い。これはセカンドの「Green Lady」がもの凄く期待できるバンド。シーンに登場したのは1974年なのでちょっと遅咲きなんだけど、良いじゃないですか。かなりケルティックナ旋律が入ってくるのでもしかしたらアイルランド出身者でも在籍しているのだろうか。若干知られた所ではDando Shaftのバイオリン奏者が参加しているらしいが…、ニッチな世界だ(笑)。

 この手のバンドってのはフォークにフルートやフィドルってのが鉄則でして…、いや、良い雰囲気出すんですよ。そんでもってこういう音でフォークギターが録音出来るってのも凄いんだよ。フォークの録音って難しいんだからさ…残響音とかソフトに残さないとカチカチの音に鳴っちゃうからこういう風には鳴らないし。思い入れのあるバンドだけど音自体の接触度はまだまだ低いのでこの季節にこれからヘヴィに流しておきたいねぇ~。そんでヘッジホッグ・パイに運を付けてもらってセカンドアルバム「Green Lady」も発掘できることを期待!

 残念ながら日本のアマゾンではこのファーストアルバム「Hedgehog Pie」も手に入らない状態なのでアメリカのアマゾンへどうぞ。日本で手に入るのはなぜかUK盤のライブアルバムだけらしい。これも知らないなぁ…気が向いたら聴いてみよう~っと。



 しかしYouTubeで検索したら「The Green Lady」の音が山のように出ているじゃないか…、聴きたいけど聴かないぞ…(笑)。

Fresh Maggots - Fresh Maggots

 一年の中で一番好きな9月が始まってちと嬉しい気がするんだけど実際はそんなこと一切関係なくてあまり楽しいことがここのところ多くない。まぁ、単純につまらないことばかりと言っても良いくらいに面白くない。幸せなのはロック聴いてる時と見ている時と何も考えずに自然と戯れている時くらいで、アルコールも最近は減っている…、いや、単に楽しく飲む相手が減ったと言うだけなのだが(笑)。一人で飲んだくれるほどヒマではないので、そこは全然OKなんだけど、やっぱ接点接触が減るってのは情報量が不足することでもあるし、刺激が減ることでもある。その分メリットもあって自分の時間が取れる、無駄なカロリーを摂取しないで済む、カネを使いすぎないで済む、ってなところだ(笑)。まぁ、いいや、そういう話は。

Fresh Maggots...Hatched

 夏と秋の間に聴くには実に手頃なエキセントリックなアシッドフォークなバンドをご紹介♪ 1971年リリースの唯一のアルバム…だと思うんだけど、Fresh Maggotsの「Fresh Maggots」。今のCDではボーナストラックと何と驚くことにライブバージョンまでも収録しているという代物で、自分のはCDではなくカウンターフィットのアナログだからその辺は聴いてない。どうなんだろ?ライブってかなり面白そうな気がするけど…。CD時代って便利だよね。そんなの発掘できるのも凄いけど、メンバーも今になって新たに印税が入るってのは嬉しい誤算だろうし。

 話逸れてるけど、夏と秋の間に丁度良いってのはですネ、基本アシッドなフォーク一本にアバンギャルドなフォークが重なってきて、そこに面白いことに思い切りマイルドに歪んだエレキギターがすんなりとトーンを損ねずに入ってきてエキセントリックなオブリガードなソロをカマしてくれるんですよ。そういう曲ばかりの二人組のユニットです。Fresh Maggots以外にこういう音を出しているバンドってのは凄く少ないだろうし、ほぼいないと思う。誰でも考えつきそうなんだけど、なかなかここまで思い切りできる人達はいないね。レコーディング技術の巧さもあるのかもしれないけど、この一体となったトーンは素晴らしい。しかもこのサウンドを奏でているのはキーフの美しいトーンのジャケットに包まれた二人の青年…19歳だとか…、の二人って、凄い。RCAからのリリースってのも期待を背負っていたような気もするけど、これで二人とも消え去ってしまった…。

 アシッドフォークな世界って色々あるけど、これほどシンプルにアシッドしてるのも珍しい。活動を続けても多分途中で消えたとは思うが、この一枚のアルバムはかなりの秀作として記録されているだけあって、大変よろしい。どこからどう取っても英国の雰囲気が出ているってのも素晴らしいし、楽器の音が少ないのも自身の表れか。



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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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