The Incridible String Band - The Hangman's Beautiful Daughter

 似たようなバンド名だと割と混同してレコードやCDを買ってきてしまうことも昔は結構あって、ただそれでもそこまで名前が似ていなかったことで救われていたのがThe Incredible String Bandというバンドで、前述のString Driven ThingとはまぁStringだけしか共通していないのでバンド名が被ることはなかったけど、どっちがどんなバンドだっけ?ってのはちと混乱したこともある(笑)。音を聴いてしっかり認識していれば全然異なるのでそんな混乱はないだろうが、まぁ、探している段階だとしょうがない、ってことで。

The Hangman's Beautiful Daughter インクレディブル・ストリング・バンド ライヴ・アット・ザ・ロウリー [DVD]

 そのインクレディブル・ストリング・バンドの三枚目「The Hangman's Beautiful Daughter」だが1968年頃のリリースなのかな。英国フォーク界では有名なジョー・ボイドさんプロデュースによるバンドってことで知名度は少々あるのではないかと…。そしてこのジャケットも結構見られたりすることもあるんだけど、オリジナルの英国盤は裏面にあるメンバー二人の写真の方だそうで、オリジナル盤まで探したことのない自分はあまり認識していないけれど、こっちの方が味のある雰囲気が出ているってのもある。

 中身はですねぇ…、フォークです。もちろん。ただし相当アシッドな雰囲気の漂うフォークでして、シタールやらタブラやらと変わった楽器がいっぱい鳴っているのでどこの国の音?ってくらいに不思議なサイケでアシッドなフォーク。ただ、ドラッグ系ではないような感じもするのは知性を感じられるから?いや、これに知性を感じるってのはヘンだろうけど、かなり練られてるもん。そういうスジ論がしっかりしてるから音としても飽きずに聴けるという面白さがあるんじゃないか。これだけ煌びやかなのに「SGT.Peppers...」的にならなかったのはクールなセンスではないかと思うし、どちらかと言えば「Satanic...」的な雰囲気だね。しかしまぁ、愉しい音を出していて、中には13分強にも及ぶ組曲まで入ってる。やっぱりその辺の影響は受けているな(笑)。

 まだまだ実はあんまりきちんと聞き込めていないバンドでもあって、深く書ききれない。なかなか見つからなくて、一番集めていた時期には手に入れてなかったのでかなり後になって聴いたアルバム、っつうかバンドなんだよね。だからちょっと記憶から遠ざかっていて、今回また聴いてみたってトコなのでちょっと思い入れも浅いしな…。ま、それでもまた聴く機会があっただけ良かった(笑)。

 そういえば、今年40周年記念と話題になっているウッドストックにも出演していたらしい…、記憶にないのか映画には出ていないのか今回リリースされたのか調べきってないけど、そういうバンド。さぞや雰囲気にはマッチしたことだろう…。



String Driven Thing - The Early Years (Mark Two)

 不思議な音を出すグループは英国に山のようにいるのだが、このString Driven Thingもそのひとつでして、それもまた不思議なことに1968年頃にデビューして次のセカンドアルバムをリリースするまでにまた4年ほどかかっているという…。しかもスモール・フェイセスじゃないけれど、ファーストアルバムで自らのバンド名を冠したのに、セカンドアルバムでも同じ自分のバンドの名前をタイトルにしているのでまたややこしい。…とは言えどもそもそもこのファーストアルバム「The Early Years (Mark Two)」自体の存在は自主制作だったと言うからメジャーシーンでその音源の存在が忘れ去られていたとのことで、まぁ、不思議はないのだが、それならばもちっとしっかりと区分けしたジャケットとタイトルを付けてもらいたかったものだが、自主制作時のものをそのまま使用ということで、これもやむを得ない事情…。

The Early Years (Mark Two) Studio '72: Live Switzerland '73 and Live London '95

 そんなString Driven Thingの最初の作品「The Early Years (Mark Two)」がちょっと前に発掘されてCDでリリースされたもの。まぁ、メジャーになってからの彼等の音ってのはこれまた面白くて狂気的なフォーク…、プログレッシブ・フォークと言う感じで結構鬼気迫るモノがあって好きなんだよね。だから、そんなバンドの発掘音源ってことで結構興味津々で聴いたんだけど…、ちょっと驚いた。狂気じみたフォークの音色ってのではなくって、もっと時代に合ったサイケデリックフラワーのカラフルなポップな楽曲をいっぱい詰め込んだサウンドでした。フォークっちゃあフォークだけど、この時代のポップスを模倣している感じで、バンドの個性とかってのああるとしたら、後に目立った歌声として出てくるポーリンという女性の歌声がコーラスで入っていてよりカラフルになっているってところか。

 う~ん、同時代のキンクス的に多様な音が入ってるな(笑)。この時代の自主制作って一体どんなレベルなんだろ?この「The Early Years (Mark Two)」だってしっかりストリングスやホーンなんてのも入ってるし、歌もミックスもしっかりステレオで録音されているんだから単に自分達の録音機材による自主制作とかじゃないのは確か。しっかりとプロデューサーも立てて制作されたプリプロダクションのレベルなんだろうと思うんだが、当時リリースされなかったのはやはり取り立てて売り文句も見つからなかったってことか。そんな幻の作品として聴くと煌びやかで楽しくなるサウンド♪

Tea & Symphony - An Asylum for the Musically Insane

 発見発見♪ 自分のライブラリからお宝を発見するのもこれまた愉し。整理しているハズが何故か全然想像しないところに入り込んでいて探せないってパターンは今に始まったことではないのだが、その分見つけた時は嬉しい(笑)。困るのは持ってるか持ってないかわからない時だ。もう一度買うハメになることはできるだけ避けたいし、しかし存在を忘れているから何とも言えない…っていう場合だね。まぁ、すっかり忘れてて発掘してしまったものはしょうがないんだけど…、やっぱ自分の記憶はアテにならないってこともままあります…。

An Asylum for the Musically Insane

 何がって?いや、こないだから見つからなかったこのバンド、Tea & Symphonyの「An Asylum for the Musically Insane」という作品。EMIハーヴェストカタログの中でも相当変わり者のバンドでして、随分昔にアナログのコピー盤で入手して聴いてたんだけど、不思議でさぁ。不思議っつうのか、聴いたことない音世界なんだよ。そのままに書いてみると…、基本アコースティックギター中心で、ドラムっつうよりもパーカッション的なのが入っていて、歌はオトコの歌なんだけど、歌っつうのか宗教的な旋律をなんとも印象的に歌っていて、どこかの宗教色はたっぷり入っていると思う。しかもどっぷりとトリップする世界観を詰め込んでいるので時代通り…1969年作品だから、丁度サイケフラワーの頃でして、更にトリップ的な音で、ある種の狂気がそこには見え隠れするという代物。それでいて非常~にポップなメロディだったりするので、これもまた不思議でして、テイラノザウルス・レックス的な要素でもちっと呪術的というのかな…。

 初めて聴いたときはかなり不思議な印象で、何回も聴いてしまって、何かコワイっていう印象を抱いていたんだよね。ただ、それでもコーマスと同じでなんか気になって何度も聴いてみてその世界を掴んでみたいっつうのがあったんだが…、やっぱり正常で普通のロック好きの自分には興味以上の対象にはならなかった。ここからトリップの世界の友達となる人もいるのだろうけどね。

 しばらしくしてパイレート盤なのかカウンターフィットなのかわからないけどセカンドアルバムらしきレコードも出ていたと思う。正規盤なのかな。白黒のヤツ。そっちはまだ聴いてないけど、どうなんでしょ?ネット上でも情報が結構少ないバンドだったり…と言うか、バンド名がTea & Symphonyなので探せない…(笑)。色々と情報はあるんだろうけど、どんな反応なのかってのもよくわからないね。そういう世界も英国ロック。そしてしっかりと面白味と深みは持ち合わせている「An Asylum for the Musically Insane」はタイトル通りちょっと狂気の入ったアコースティックな世界♪



Comus - To Keep From Crying

 アコースティックという楽器の持つ多様性というか深さってのもまた不思議なモノで、一般的にはアコースティックと言えばもちろんフォークな曲でして、うん、まぁ日本だとコードを鳴らしながら歌うフォークギターみたいなイメージか?アコースティックと言うからもうちょっと煌びやかかもしれないけど、まぁ、そんな印象だ。ところがここ最近聴いている音楽なんかも基本アコースティックでして、それがどれもこれも全く異なるカラーを聴かせてくれるってのが面白い。中でも最極右なコーマス♪見事なまでのセカンドアルバム「トゥ・キープ・フロム・クライング」がこれですね。

トゥ・キープ・フロム・クライング(紙ジャケット仕様) ファースト・アタランス~魂の

 1974年リリースの作品だけど、ファースト「ファースト・アタランス」が1970年リリースなので4年経過してからのセカンド「トゥ・キープ・フロム・クライング」。ただし当時のメンバーは三人残っている程度でその他はなんとも驚くことに…というか自然っちゃぁ自然なんだけど、Henry Cow、Gong、Esperantoの面々からチョイス。ヴァージンレーベルからのセカンドアルバム「トゥ・キープ・フロム・クライング」ってのもあって、その辺のメンツで気が合いそうなのが連んだ作品って意味合いも強いね。ただしコーマスってのはアコースティックな狂気を前面に出すバンドだったからその路線は基本的には変わらず鋭利なセンスは放っているし、狂気も大人になったけど相変わらず健在。ただし音楽性はヴァイオリンやフルートが欠落しているためヒステリックな狂気が鳴りを潜めてしまい、その分本質的な狂気が顔を覗かせているという感じか。この世界ってのはピンク・フロイドでは出来なかったもので、アングラな世界ではいくつか聴けるセンスだったけど、その最極右であるね、コーマスは。そんな音が詰め込まれている。

 どうしてもファースト「ファースト・アタランス」と比べてしまうんだけど、別物として捉えて聴けばかなり異色で鋭利な作品で、アシッドとかフォークとかいわゆるポップ性ってのはあまり見られない。が、ファースト「ファースト・アタランス」に比べてみれば圧倒的にポップ性は高い。スラップ・ハッピー的なポップさを持ち合わせているし、メジャーどころではケイト・ブッシュと共通する狂気が存在しているのも鋭いセンス。ヴァージンならではの音色とバンドってのもこの時期の特色で面白い。非常~に面白い。二枚しか出ていないバンドで、何回も聴いているんだけど今でも制覇しきれていないバンドだと思う。何か難しいというのか多分正常値で聴いているから理解の幅が決まってしまうんじゃないかと。ある程度トリップしてたら理解度は凄い速いのかもしれないけど、そうもいかないしさ(笑)。だからこの作品の奥底にある世界は共有できていないのかもしれな。とは言え、非常~に面白いし新鮮斬新な世界が聴けることには間違いない作品♪

 そういえば同系統の不思議なバンドにTea & Symphonyってのはハーヴェストから出ていて…、これも面白いくらいの狂気だったんだけど自分の部屋内で見つからない…、どこにあるんだろ?



9:30 Fly - 9:30 Fly

 英国の深い森の散策はいつ飛び込んでみても面白い発見がある。更に紙ジャケCDやリマスター盤のリリースによってとんでもなくレアなものまでCD化されてきて、しかも音だけ取ればオリジナル盤を上回るであろう音質にアップされていることも多い。それが良いかどうかってのは別として、売る側もCDが売れなくなってきているのであの手この手で売ることを考えるし、カタログは多い方がそりゃ有利だろう、と。リスナー側からしても嬉しい話なので別にその商法に騙されることは悪くないっつうか、ありがたい話なのだ。そうでもなければまずCDではリリースされることなかったであろうバンドのひとつがこの9:30Fly(ナイン・サーティ・フライ)です。

ナイン・サーティ・フライ(紙ジャケット仕様)

 ジャケットのイメージとバンド名でかなり損しているし、実際自分もなかなか手に取って一番で買うっていうことはなかったもん。やっぱね、虫とかクモとかってのはバンド名にするとそれだけで損すると思うもん。触りたくないっていうか…、まぁ、メジャーになればそれでも良いんだろうけど、ちょっとね、ね。んでジャケットも蜘蛛の巣にかかったハエで…、意味不明に9時半を示す時計でしょ?これはワケわからんよ…。そして当然なんだけど、今のネット時代に於いてもあんまり情報が出てきていない…、つまり紙媒体の時なんてもっと情報が少ないワケでして、一体どんなバンドなんだ?と興味はそそられるモノではあった。リリース当時はEmberと言うマイナーなレーベルからリリースされたものだから…。じゃあ一体何でこんなバンド知ってるんだ?と言われても困るけど、インパクト強かったからだと思う。

 んで中身の音のハナシ。メランコリックなフォークを中心とした幻想的なサウンドで、エレキギターはアクセント的に入ってくるくらいで基本的にアシッド…とも言えないけど、しっとりとした音。フォーク的サウンドの要素が強いけど、A面最後(CDで聴いてるけど(笑))の「Unhinged」って曲なんてかなりの名曲ですよ、これ。オルガンもメロトロンもフルートもあり。もともとマイケルさんとバーバラさんというウェインライト夫婦によるバンドらしくて、そのヘンが作品にも影響出ていて牧歌的な雰囲気すらあるのでほのぼのと聴けるってもんだ。歌はダンナさんの方なのでいわゆる女性歌モノって感じではないけど…。しかし楽曲によって実にバラエティに富んだ楽曲が多くて、B面に入ると更に顕著でして、ハードロック調なサウンドから一気にメランコリックなアシッドフォーク?ってなところに奥様のヴォーカリゼーションが入るとか…、いや、脱帽。ある意味David BowieやT.Rex的な傾向の見えるサウンドに相通じる。1972年の作品か…、ちょっと遅かったかなぁ…、でも相当面白い音を出しているので名盤の域に達してしまうだろうね、これ。もちろん本作品一枚で行方不明となってしまったバンドですが(笑)。

Mr.Fox - The Gypsy

 アーシーな雰囲気のフォーク…っつうかもうロックだな、これは、と言うのでジャケットが秀逸なMr.Foxと言うバンドを紹介しておこう。1971年リリースの二作目にして最終作、だと思うが、まぁ、簡単に言うと二枚しかアルバム出さずに消え去ったってとこですが、この二枚がこれまたユニークな音なのでよろしい。…一般的には受け入れられていない音であることは確かだが。

ジプシー(紙ジャケット仕様) Mr. Fox/The Gypsy

 バンドのいきさつ自体はあちこち調べてみればわかるので割愛するけど、ペグ夫妻が中心になって、というかもともとは奥様のキャロル・ペグさんの方が中心となっていたみたいだけど、そこに色々と絡んできて…ってことらしい。ダンナさんの歌も入ってるんだけど、特に何か凄いとか言うのではなくて、普通の歌なので作品をちょっとマイナスにしている気がするけど、その辺はご愛敬ということで、やっぱりキャロルさんの歌声が…というのもあるけど、この二枚目の「ジプシー」というアルバムでは最初から7分を超える「Mendle」という曲で、これがまたド~ンという重苦しい雰囲気で展開されるサウンドで、トラッド色もあるけどもっと深みのあるサウンドになっているのでちと変わってる。プログレというほどの展開はないんだけど、そういう世界に突入したがっているのかな、という雰囲気が出ていて結構心地良く聴ける。そして「The Gypsy」と題された組曲ではダンナの情けない歌声で始まる牧歌的な曲なんだけど、途中からドンドンとおかしな方向に進んでいって(笑)、妙~なリズムと延々と続くオルガンのロングトーンだけで進行したり…、そこから更に脳天気になったりまた落としたり…、さすがに13分もの曲ともなると何でもできます。アーティスティックとは言えるが、面白いかどうかってのは別、か。

 前半に大作が続いたのでアナログ時代のB面ではスタンダードにフォーキーな曲が続くが、このバンド結構太鼓使いなんだな、というのが目立つ。フォークなトコロにリズムがドラミング的ではなく太鼓的に用いられていてちょっと耳に付くポイント。その他はやっぱりスタンダードなトラッドに根ざした音だから、やっぱりA面の実験的な取り組みがユニークだったな。インパクトもあったし、何だろ、このバンド?ってのもあったからよかったのかもしれない。まぁ掴み所の無いバンドではあるが…。

 今ではファーストとのカップリングCD「Mr. Fox/The Gypsy」も出ているのでそれで良いのかなと思うが、何となくアルバムのAB面単位で切り分けて聴かないとちょっと混乱する、というか面白味が半減するかも。そういう意味で凄くアナログ的な音を作っていたバンドだもん。あ、レーベルがトランスアトランティックっていうレーベルロゴが凄く綺麗なトコロからってのはポイント高いです(笑)。

Mushroom - Early One Morning

 ここのところメジャーで王道バンドを取り上げてきたし、もちろんボウイやマーク・ボランだって大物だ。ただ、英国ロックの面白くて深いところは、こんな大物から一気にアングラの誰も知らないような世界まで何となく繋がってくるというか、アプローチが同じというか…、もちろんメジャーな人達ってのは才能豊かなんだろうけど、ビジネスセンスに長けていたという人もいるし、もう人それぞれ。才能があっても売れるワケではないのはどこの国も同じ。で、才能あるのを発掘してくる確立が高かったのが70年代の英国、だろうと思う。わからんが。

Early One Morning Early One Morning....

 …とここまで書いておきながらアイルランドのアーシーなバンドから紹介♪ なんか単なるフォークって気分でもないし、とは言え全くいきなりB級のブルースロックってのも違うので、なんかなかったかなぁ~とアレコレ…。うん、これなら面白いか、と引っ張ってきたのがこのマッシュルームってバンドの「Early One Morning」です。1973年の作品でもちろんこれ一作でシーンから消え去ります(笑)。しかもこの「Early One Morning」という作品、当時は自主制作だったようで、決してメジャーに出てくるようなバンドの方々ではなかったみたい。だからプレス枚数ももちろん少なくて、英国やアイルランドでも持ってる人が少ない、らしい。実際はわからん。

 しかしどこかの誰かがこのマッシュルームってバンドの音を気に入って、自分だけの秘蔵バンドって感じで抱え込む人が実は多かったようで、そこからこのバンドのこのアルバム「Early One Morning」が高価で取引されるアイテムになってしまったようだ。アナログ時代には軽く10万円を超える値段が付いていたこともあるようで、それなら安いっていう人も多かったらしい。全くコレクター魂は素晴らしい。何故かカウンターフィット盤も出回らず…、まぁ、オリジナルが手に入らなかったんだろうけど(笑)、CD時代になっても全然出てくる気配もなく、ホント最近なんじゃないか、この「Early One Morning」がCDでリリースされたのは。

 ってな経緯ばかりが有名でして、肝心の音は?となると、これがまた確かに自主制作のレベルではなくてかなり面白くてしっかりしてる。トラッドフォークとジグ&リールな曲調が多いんだけど、エレクトリック楽器もしっかり入ってくるので、不思議な感じ。フィドルなんてのももちろん入ってるんだけど、それら全てを何となくぼんやりとしたエコーの音像で包んでどこかアシッドな雰囲気を出しながら…ってこれは多分録音状態の問題だろうけど、これもまたユニークな雰囲気で、ゆったりと浸って聴ける音楽です。もしかしたら名盤的な音世界なのは確かなので、こんな自主制作アルバムが30年経ってもマニアに聴き続けられるハズだと思うくらいの雰囲気はある。実際自分も聴いてみて驚いたし、何回も聴いた作品だもん。もうちょっと涼しくなってからの方が気分的にはハマるが(笑)。

 ジャケットもチープながらインパクトあって良いよね(笑)。キノコ好きじゃないからあまり見たくないけど、面白いなぁと。これじゃどんな音が全然想像付かないっていうフラットさもユニークで、何の期待もしないで聴いたらとんでもなく良いっていう印象を与えられるジャケットだもん。狙ってないだろうけど、バンド名からしてそうなっただけと言いつつも結果はかなりの効果を発揮しているよ。あぁ、しかしこういう世界ってアルバムをず~っと聴いているとどんどんハマる。んでリピートしちゃうんだよな…(笑)。

Tyranosaurus Rex - Unicorn

 不思議なサウンドを奏でていた人の中にはマーク・ボランもいる。自分的に、って意味だけど(笑)。うんエレクトリックブギの王者、なんてイメージで植え付けられていたからど真ん中の作品を聴いてみてもそうか?ってな感じで、ちとなぁ…と思ったこともあったんで、その後にアシッドなフォークをやってるティラノザウルス・レックスってのもどうなんだろ?って感じだった。実際最初に聴いた頃は何やらよくわからん長いタイトルや妙~な雰囲気でフォークを奏でてフワフワした歌声が舞っているって印象しかなかったもん。この頃の音の良さを知ったのはもうちょっと後になってからだ。

ユニコーン 神秘の覇者
T. Rex - Colour Collection: T. Rex T. Rex - Colour Collection

 1969年リリースのティラノザウルス・レックスの三枚目、パーカッションのスティーブ・トゥック参加の最終作品。しかし、ギターと歌とパーカッションっていう組み合わせも変わっているよな…。この「ユニコーン」では4曲目の「Cat Black」に冒頭から美しいピアノが入っているんだけど、これはプロデューサーのトニー・ヴィスコンティによるプレイ…、そうそう、マーク・ボランってボウイと共にトニー・ヴィスコンティさんの元で大成した人なんだよね。だからなんとなく「ハンキー・ドリー」と音作りが似ているのだな。

 さて、そういうワケで、ピアノ、フォーク、パーカッション、冗談みたいなコーラスワークによって奏でられているサードアルバム「ユニコーン」だが、どう聴いてもメジャーな代物ではない。ただ、恐ろしくキラキラと光る音色の輝きと幻想の世界に住んでいる住人の浮游感が聴いている者を恍惚とさせる自然さがある。多分ね、エレクトリックな楽器が登場しないから人間的に自然に受け入れられるんじゃないか?優しいもん、このアルバム…っつうかティラノザウルス・レックスの初期作品はどれもそんな感じだから好きだね、今は。ロックかと言われるとちと違うけど、こういうのもありでしょ、っていう不思議な独特の世界。マーク・ボランの世界っていうのでもなくってティラノザウルス・レックスの世界…まぁ、同義ではあるけど、マーク・ボランになってからはやってないでしょ、こういうの。たまに出てくるけど。

 どの曲も2分から3分程度のもので淡々と進められるアルバムの進行なんだけど、時代が時代だから指輪物語の影響を思い切り受けながらどんどんと情景が変化していく様を聴けるのが面白い。何と言っても現世から逃避できる音世界というのが大きい。狙ってできるもんでもなくって、自然にそうなっているところが面白いしブギの帝王なんてならなくても十分に独特の世界を創り上げることの出来た人なんだろう。才能あるね。初期作品の中ではもっとも光り輝く傑作かな。



David Bowie - The Man Who Sold The World

 デヴィッド・ボウイという人は不思議だ。ジギー時代だけを見れば特にそうは思わないがそれ以前となるとやっぱり不思議な人という印象。マージービート全盛期に出てきてはいたものの全く売れずにそのまま消沈、マイムの世界を歩きながら今度は三人で活動、その間にイメージフィルムとした短編映画みたいなのにも出演している。まぁ、演劇的な要素に興味の方向が強かったのでそういうのがいくつか残されている。だから初期のボウイを漁るとそのヘンの若々しい姿が見られる。そしたら今度は「スペース・オディティ」で一躍スターに…、これはもうアポロ11号の月面到着時の影響だろうけど、歌詞はかなり意味合いが異なるのでどうなの?とは本人の弁。それでもボウイ自身の退廃的な生活は直らず、そのままセカンドアルバムとして、これもまた傑作「世界を売った男」がリリース。この時点で既に後のSpiders From Marsのメンツが揃いつつあることとなる…。

世界を売った男 ハンキー・ドリー(紙ジャケット仕様)
David Bowie - The Man Who Sold the World The Man Who Sold the World

 1970年リリースの「世界を売った男」。タイトルが凄いよね。お前は世界を持っていたのか?と問いたくなるような代物だが、内容がこれまた素晴らしくロックでして…、しかもこの時代特有のアングラさではなく明らかに一線を画したメジャーフィールドに鋭い破片を投げかけるような作品。洗練されていて且つ時代に沿ったアグレッシヴな演奏もこなしている。それは冒頭の飽きることのない素晴らしくロックな「The Width of Circle」の8分以上もの演奏からしてわかるでしょ。初っ端から8分のワイルドな音ってどうよ?ロックに目覚めてきたな~というか、まだまだアコースティックもいっぱい入っているんだけど、明らかにエレクトリックなロックの世界、それにしてもベースのミック・ウッドマンジーのブイブイさも凄い。そしてボウイが不思議なのはどれもこれもがデヴィッド・ボウイという名義で続けていることだ。これほどのバンド感を出しながらバンドはバンド、として扱っているのが凄い。時代的にはどう見てもバンドであるべきだし、メンツも実際そうなっているのにやっぱり個人だったんだよね。結果は正解だったワケだけど、センスが凄い。そんな風に冒頭三曲はグイグイとロックなプレイで進んでいくんだが、「After All」で一気にこの後もボウイが奏でていく美しくも妖しい、そしてメロディアスながらも鋭い独特の歌が聞こえてくるのだ。こういうのがボウイの個性かねぇ…。

 そうそうジャケットがさ、面白いことに日本盤、アメリカ盤、英国盤って全て異なっているのも不思議なんです。英国盤がオリジナルなんだけど女装してソファに横たわる姿はあまりにも倒錯的だということでアメリカでは見送られて、変わりにどうでもよいマンガチックなジャケットに差し替えられていて、中身の神秘性が全く損なわれてしまったというもの。日本は…、まぁ、この時代だからいつものことながら独自ジャケ路線だったんだろうけど、片足上げてモノクロのヤツね。まぁ、悪くない。昔は英国仕様のジャケットなんてのがレコ屋に飾られていて5万円とかの札が付いてたのを見かけてた…。

 さてB面…、「The Running Guns」から「Saviour Machine」なんてもう往年のハードロックと言っても差し支えないくらいの迫力満点のロック。ボウイの声が軽過ぎる感じでねぇ…、意外と聴かれないしライブでも出てこないからマイナーな曲だけど面白いんだよ、こういうの。英国的B級サウンドとも言うべきか(笑)。それは続く「She Shook Me Cold」にも引き継がれていくんだけど、単にそれぞれの楽器の個性が強くて纏まりきらないってのかな、自己主張が強いっつうのか(笑)、好きだねぇ~、こういうの。そしてタイトル曲「世界を売った男」となるが…、自分がボウイという人を聴くきっかけになった曲でもあります。あ、ニルバーナのカバーとは全く無縁でして、もっと前の話でね。もちろん「Let's Dance」とかあったからガキの頃から名前は知ってたけどマジメに聴く感じではなかったんだよね、ボウイって。やっぱソロだったからバンドの印象ないし。でもね、この「世界を売った男」を聴いた時にこれは面白い、って思ったんだよ。艶めかしいギターの音色と不思議な浮游感、そして軽いボウイの歌声で、サイケってんでもなくってさ、何というのかトロ~ンとしてるっつうか(笑)、聴いたことのない世界を持った曲だったから。そんでタイトルが「世界を売った男」でしょ?なんじゃこりゃ?ってね。

 ボウイのアルバム数あれど、「世界を売った男」は間違いなく上位3枚に入るアルバムのひとつですね。「ハンキー・ドリー」も恒例なんだけど、とにかく心の奥深くに入ってくるようなアルバムで普通のロックアルバムという感覚では聴いてない、不思議な人の不思議な作品。





Faces - Ooh La La

 スモール・フェイセスから大きく進歩?してフェイセスとなったバンド=ロンとロッドのキャラクターに持って行かれた感の強いバンドなんだけどね、ロッドのソロでの成功もあってバンドとしてはかなりギクシャクとした人間関係の中で行われていたレコーディングセッションがこの4枚目の「Ooh La La」という作品。っつうかこれでロニー・レインが脱退しちゃうんだけどさ、それもこのアルバムでロニー・レインが自分の作風をしっかりと見つめ直して、できるということがわかったからなんだろう、と思う。

Ooh La La ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ
Faces - Ooh La La Ooh La La

 体面上はFacesとなっているけど、実質は半分ロニー・レインのアルバムに近い…、いや、歌がロッドだからとてもそうは聞こえないけど、実際はそんな感じだ。言い換えるとロッドのスワンプ的歌声を発掘してしまったのがロニー・レインってことかもしれないな。ロニー・レインのこの後のソロアルバムとか聴いてるとわかるけどカントリー、スワンプ的な方向性のものが多いし、これもまた傑作なんだけど、そういうのがこの「Ooh La La」というアルバムで思い切り出てきててさ、元来のR&Rバンドっていうのから逸脱してきている。最初の「Silicone Grown」なんてのは思い切り3コードR&Rだけど、どんどんレイドバックしてきてるもん。B面なんてモロにそういう傾向が強くて、「Glad And Sorry」ってのがさ、ロニーが歌ってるからもう思い切りレイドバックしてるし(笑)。

 有名なのはアルバムタイトル曲ともなった「Ooh La La」だよね。ロッドが今でも歌っているから自分もフェイセスだったし、これは残ってるんだなぁ…なんて思ってたけど、実はこのアルバムに収録されているオリジナルバージョンはロン・ウッドの歌なんだよな。だからロッドは自分の在籍していたバンドながら自分で歌わせてもらえなかった曲をカバーしてるってことだ(笑)。なかなか面白い仕打ちになっていてロニー・レインも大笑いってとこか。ロン・ウッドからしてみたらやっぱりロッド歌う方が良いだろうってのはあっただろうから、こちらはしてやったり、か。

 この頃ロッドは天狗になっていたのもあって、あまりレコーディングにも顔を出さずに大物ぶっていたとか?フェイセスはバックバンド化するのかどうか?ってな瀬戸際だったみたいで、実際ロッドのソロのバックはフェイセスだったからねぇ…。独特のR&R色は消えているけど、新しい局面を迎えたフェイセスというバンドもこの後山内テツを迎えてライブアルバム「ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ」出しておしまいになっちゃったのも必然的かも。そしてロッドは大きくアメリカに羽ばたく、か。でも、この「Ooh La La」ってアルバム、実はかなり秀作なので、見過ごしていると勿体ないアルバムだよ。イアン・マクレガンのピアノが要所要所で良い味出してるし、ロニー・レインもベーシストとしても結構弾いていてハズせない。





Small Faces - Small Faces

 若くして才能を発揮して、若いが故にさっさとバンドを解散してしまった、もしくは抜けてしまったという人も多かった60年代末期から70年代。まぁ、何でも出てこいってなもんで売る側もどれが売れるか分からないからやる気のあるのを片っ端から…みたいなのはあったんじゃないかな。それでも多分圧倒的にその歌声に驚いたであろうスティーブ・マリオット。ルックスも良かったしね。そんなスモール・フェイセスってデビューが1965~66年頃で69年には解散してたんだから凄い短期間の活動ながら歴史に残ったバンドのひとつです。

スモール・フェイセス+21(紙ジャケット仕様) オグデンズ・ナット・ゴーン・フレイク +12(紙ジャケット仕様)

 そんなスモール・フェイセスのアルバムとしては…と言うか、そもそも60年代中頃なんてアルバムよりもシングルばかりだったので、シングルを纏めたのがアルバムという感覚からすると数え方が違うのかもしれないけど、スモール・フェイセスは特にそうなんだよね。デッカからシングルヒットをバシバシと出してて、ファースト「Small Faces」はそんな集まりだったけどセカンド「フロム・ザ・ビギニング」は既にイミディエイトに移籍が決まってから慌ててレーベルが売れると踏んで出したものだからファーストと曲も被るし…。

 そういった経緯があっての今度はイミディエイトから最初のアルバム「スモール・フェイセス」をリリース。同じセルフタイトルの作品がこれで2枚リリースされることになってしまって、話はややこしい。まぁ、それはしょうがないとして、中身は最初期の勢い込んだモッズなサウンドからはかなり渋めのアイドソウルな感じになってきてて、ガチャガチャとうるさく騒ぎ立てている様子ではなくなったかな。かなり楽曲のセンスがスマートになってクールです。良いねぇ~、こういうアダルトさ、っつうかクールさ、ってのかな。オルガンも良い味出してるし、アコギもばっちり入ってて、そこにマリオットの深みのある歌声だもん。曲がどうの、っていうんじゃなくて聴き惚れる。実際有名な曲ってこの中にはあるのか?「My Way Of Giving」くらいかなぁ…いや、個人的に何度か聴いてた曲で、このアルバム聴いてて、ハッとした記憶があるから。実際にシングルで売れたかどうかは知らない(笑)。

 1967年リリースか…、古いっつうか若いっつうかまだロックが出てきたばかりだもんなぁ…。同時代のフーやストーンズ、キンクスやビートルズと比べても全然遜色ない楽曲レベルと演奏だけど、そこからは時の運なのか、結局オリジナルアルバムは4枚でバンドはフェイセスに引き継がれるワケだ。



The Kinks - Arthur or The Decline And Fall of The British Empire

 CD屋さんを覗いて何を見るワケでもなく新譜コーナーではあれが出るのかこれが出るのか…、そしてまだやってたんだこの人ってのもあったりネットで探す情報とは全く角度の違う見た目で多数の情報が収集できる楽しさってのはあるんだが、中古のコーナーも一巡りすると同じようなときめきを得られる。でも最近の傾向としてはとにかくCDって山のようにありすぎる、ってことだ。同じタイトルでももう何回もリリースされてるじゃない?リマスターから始まって紙ジャケ、SHM-CDとかSACDやDVD-AUDIOなどなどと出る作品は決まっているからそんなのはとにかく何を手に入れて良いのか分からないくらいに同じモンがいっぱいある。そんで、CDの価値がどんどん下がっていてさ、数百円でこんなの買えるんかい?ってのもいっぱいあるから今からロックに目覚めた若者などは経済的には全然ラクに色々聴けるだろうな、とある意味羨ましい。まぁ、どれを選ぶのが適当なのかがわかりにくいってのはあるだろうが(笑)。

アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡+10 Picture Book

 さて、キンクスについても同じく山のようにCDがあって、もちろんそれなりに無くなっているから売れているんだろうけど、紙ジャケも何回も出たりしてるんだ…とあれこれ見ていて持ってるくせに欲しくなるという有様(笑)。いやいや、手を出してはいけません、持ってるんだから、と言い聞かせて楽しむに留まるが…、CDコレクションってのは家にあるよりも店で見る方が多いかもしれない。家のCDって全部見直すことないもん(笑)。そんな中で妙~に聴きたくなったのがこの「アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡」。昔は日本語タイトルが長すぎてよくわからないバンドだなぁ~なんて思ってたけど、とにかく名盤ですよ、今なら声を大にして言えるくらい聴いてるから(笑)。

 アナログ時代からキンクスは集めて聴いていて、その時はモノラル盤の再発を持っててさ、まぁ、この時代=1969年だからまだモノラルってもおかしくないか、ってくらいしか意識しなくて聴いてたので、それが刷り込まれていたんだよね。そこへCDリマスターによる洗礼を受けて全部入手して聴いているとさ、思い切りステレオでして…、冒頭の「Victoria」のギターイントロが左右から入ってくるってので驚いたもん。当たり前なんだけどさ、話として知っていたステレオ盤と実際に耳にするのでは大きく違うってことです。モノステの違いにハマる前に聴きたいアルバムが多かったから何枚も同じの買わなかったしさ。そういう意味では、まぁ、同じアルバムでも二度三度楽しめるのかもしれないが(笑)。

 え~っと、作品自体はとにかく名盤。名盤ってもわかんないから簡単に…、名曲が揃ってるってことです(笑)。いや、え~っと…、この頃の英国ではレッド・ツェッペリンも出てきて思い切りブルースなハードロックが台頭してきて70年代のフリーインプロヴィゼーションの熱いロックの時代に入るにも拘わらずキンクスのこの「アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡」ってのは全く英国的な情景を見させてくれる作品で、慣れるとどの曲も自然に口ずさんでしまうくらいのポップさを持った大英帝国の証とも言えるアルバム。かと言ってロック的ではないかというとそうでもなくって、「Victoria」や「Brainwashed」なんていうかっちょ良いロックナンバーも揃っている。一方では「マリーナ王女の帽子のような」とか「シャングリ・ラ」や「ドライヴィン」「ミスター・チャーチル・トゥ・セイ」みたいな涙モノの聴かせる名曲もあるワケで、じゃあ他は?って言うと英国ロックです、単に。名曲とまでは言わないけど、どう聴いてもしっとりと来る曲ばかり。10回聴いてこのアルバムの良さがわからなかったらキンクスとは縁がなかったと思った方が良いかもね(笑)。数回では絶対わからないけどさ。しかしまぁ、デイヴ・デイヴィスのギターセンスが全開している作品でもある。細かいけど味のあるギター弾いててさ、「Nothing To Say」とか「Arthur」とかのオブリギターが凄いもん。

 今じゃボーナストラックが10曲も入ってて…、もっともずっと追いかけているファンに取ってみれば凄くレアなテイクばかりを収録しているので嬉しい悲鳴でしたねぇ…。そのおかげで全部買い直したんだけど、ここまで出てくれると以降の紙ジャケとかはアイテム的に買うことはあっても聴くのはやっぱ最初のリマスターCDが多い。そういえばこないだ6枚組のボックス「Picture Book」もリリースされたな…。これもまたいっぱい入ってたな…。





Ray Davies - The Kinks Choral Collection

 一気に時代を飛ばしてついこないだリリースされたばかりのキンクスのフロントマン=キンクスそのもの、のレイ・デイヴィスのソロアルバム…と言うか企画盤「The Kinks Choral Collection」が気になったので…。キンクスってのは英国ロック好きにはやっぱりハマり込む所以が多いワケでして、避けられないっつうか、思い切りハメり込んでしまうバンドなんだな。そんで、レイ・デイヴィスのソロ作品にしたって、結局キンクスで聴けたあの何とも言えない心に来るメロディってのは全然変わらない芸風なので全く同義語として機能するんですよ。だからこないだの新作「Working Man's Cafe」ももう相当の名盤。天職の芸風ですね、こうなると。

The Kinks Choral Collection Working Man's Cafe
Ray Davies - Working Man's Cafe Working Man's Cafe

 さてさて、そんなレイ・デイヴィスの新作「The Kinks Choral Collection」はタイトル通りにキンクス時代の…、それも初期のパイ時代の名曲ばかりにスポットを当てているけど、そのセルフカバーアルバム。っつうかライブなのかな?BBCで企画されたものらしくて、65人のコーラス聖歌隊がバックの大部分を奏でながらレイ・デイヴィスが歌うという壮大な代物。はて、これはどんなもんだろうか?と気になったので早速聴いてみるワケだ。

 …そう来たか…(笑)。正にそのもの、でして、コーラス聖歌隊の渦に囲まれるレイの歌、しかし楽曲のメロディの良さは全く変わらず名曲は名曲なんだな、と様々なアレンジを聴いてみて思う。まぁ、バラード的、というかしっとりした曲調のものはそれなりの雰囲気を聖歌隊が盛り上げてくれるんだけど、ロック的な曲は全く面白いアレンジが施されている。ともすればクイーンのコーラスワーク…ってか「ボヘミアン・ラプソディ」のオペラパートみたいなのを思い出してしまってさ、それがまた「You Really Got Me」なんかで思うんだから面白い。そんなアレンジあり?ってのも大きいけど、もう45年くらい歌われているんだから今更アレンジ施して何やったっていいだろ、ってのもある(笑)。

 しっかりとソロでも新たな領域を広げて、更にこうしてキンクスの歴史を再構築するかのような活動ってのはやっぱり再結成に向けて人々の意識を向けているのもあるのかな。今更老いぼれが集まってやったところで、ってのもあるがキンクスの楽曲だったらある意味では英国トラッドと同じような位置付けで聴けるからロック的なパフォーマンスではなく、再演ってな感じで十分に面白いでしょ。

 そうそう、この「The Kinks Choral Collection」のジャケットなんだけど、どこかで見たような作風…と思ったらウィリアム・ブレイクの作品らしい。なるほど…、こないだ映画「レッド・ドラゴン」を見ていたから同じような印象の絵だってことに思い当たったんだな…。何故にコレを採用したのかわからんけど多分意味あるんだと思う。しかし、コーラス聖歌隊に囲まれたキンクス名曲の数々…、やっぱ名曲ばかりだなぁ…。





The Who - A Quick One

 レッド・ツェッペリンというバンドの経緯ってのは割と有名な話だけど、その手前の小話ってのはどうだろ?まぁ、知られている話だろうけど、きっかけはジェフ・ベックのセッションだったりしたらしい。ベックのファースト「Truth」に収録している「Beck's Bolero」ってのが母体でして…。ちなみにそのセッションのメンツはドラムにキース・ムーン、ベースにジョンジー、ギターにジミー・ペイジとベック、ピアノにニッキー・ホプキンスってなトコだ。凄いよね。この頃The Whoは一端解散していて、ジョン・エントウィッスルとキース・ムーンは一緒に何かやるか、みたいなことでして、ジミー・ペイジはジョンジーをスタジオセッションで知ってたから、後は歌かな、ってトコで、そこはクリス・ファーロウって話だったけど当時既に名が売れていたクリス・ファーロウは不参加、そこへThe Whoがレーベルから再度集まってやれ、みたいなことになって出戻り、残されたジミー・ペイジはツェッペリン結成へと向かうということだ。

ア・クイック・ワン+10 ア・クイック・ワン~コレクターズ・ボックス(紙ジャケット仕様)
The Who - A Quick One A Quick One

 そんなザ・フーが一端解散した後にリリースしたアルバムってのが1967年のセカンドアルバム「ア・クイック・ワン」。まぁ、この解散劇ってもあまり知られてないだろうし、ロジャーのケンカっ早いクセがなくなったら、ということで再度スタートしたものらしいので、若気の至りってとこだろう。その割には各メンバーが作った作品が粒揃いに並んだ秀作アルバムで、面白い仕上がり。ピートのワンマンぶりは全く出てこなくて曲作りの好きではないキース・ムーンやジョン・エントウィッスルも初の作曲をしている。もちろんロジャーも同じくだが、そういうアマチュア的な音ってのもバンド自体に勢いがあったかた許されたアルバムとも云えるか(笑)。どの曲聴いても演奏派手でしょ、これ?ポップでキャッチーなのも全員のセンスでして、唯一実験的な取り組みをしていたのはもちろんピート・タウンジェントのタイトル曲「ア・クイック・ワン」という組曲…ロックオペラのみだ。他は冗談に近い(笑)。

 とは云え、良い曲が多い。ジョンがその場で口ずさんだメロディから無理矢理作った「ボリスのくも野郎」とかサーフロック好きなキースの趣味丸出しの「I Need You」、ピートの初期の傑作「So Sad About Us」なんてのはどれもかっこよくて好きだ。何回も聴いたなぁ、このアルバムは。最初ザ・フーなんてこんなのばっかでどこがハードロックの王者なんだ?と思ってたけどさ、こういうのもその内良くなってくるってのは面白いでしょ。よくよく聴いているとどれも一筋縄ではいかないヒネりがあるんだよ(笑)。

 いまでは10曲くらいのおまけ付きが当たり前でア・クイック・ワン~コレクターズ・ボックスなんてのもリリースされてて、えらく拡張されているキライがあるけど、やはり最初はオリジナルなままで聴くべし。30分強くらいのアルバムでコンパクトに何回も聴くってのがあって、初めてボーナストラックが楽しめるってなもんだ。そこからモノステ違いとかバージョン違いとかあって、ようやくこのボーナストラックの価値に歓びを見出して聴く方が楽しいけどな。ま、いいけど(笑)。





Jeff Beck - Wired

 ストーンズのギタリストというカネになる仕事は実に魅力的だったことだろうと当時のベックの環境からしてみたら考えられる。丁度あれこれとバンドを組んでやってみたモノのなかなかコレと言ったメンツに恵まれなかったためかBB&A解体して、浪人生活していた頃にストーンズから声が掛かったというワケだ。時期的にはそんな感じなので、自分で何かやることが明確化していなかったらストーンズ加入していたかも。まぁ、試験に落ちただけなのかもしれないけどさ(笑)。アルバム「Blow by Blow」と前後する時期だからどうにもわからないけど、売れなかったらストーンズの路線もあったか?いや、勿体ないでしょ、この人をそんなトコロに縛り付けておくのは…ってもどうせすぐに抜けてしまっただろうけど。

Wired Jeff Beck with the Jan Hammer Group Live

 さて、そんなストーンズの後釜が昔の同僚ロン・ウッドに決まり、複雑な心境でもあったのかもしれないベックだが…、いや、あまり気にしてなかったと思いたいが、前作「Blow by Blow」でギタリストの教科書とも呼ばれる革新的なサウンドを世に放ったばかりで、今でも傑作として語り継がれているのだが、約一年ぶりともなる1976年に…すなわちストーンズとかが妙~にレゲエやソウル的なものにハマっている頃、ベックは新たなるサウンドの続きを産み出すべく果敢なる挑戦を続けていたのであった。それがこのアルバム「Wired」だ。

 路線は「Blow by Blow」と同じとも云えるけど、もっとロック依りかな。ギターが音を奏でて旋律のひとつともなっていた「Blow by Blow」に比べて更にエモーショナルにギターが歌っているとでも言うべき豊かな表現方法が広がっていて、正にエレクトリックジャズとの融合作として傑作だし、多分バックミュージシャン…と言ってもこの融合作のおかげで随分と名が売れてしまった人達だけど、彼等も相当新鮮な刺激としてベックとのセッションは楽しんだのだろうと思う。音を聴いていればわかるけど、そのぶつかり合いってのはかなり凄いし、プレイヤーが自由に音を出していて、決して楽曲ありきってのではなくってテクニックとプレイがあって曲があるという感じで、そこをベックのエモーショナルなギターが結びつけていくというような感じでさ、曲がどうのってによりもプレイヤー感覚として聴いているとスリリング。ジャズ屋にはこんなギター弾く人いないしさ。やっぱ今のプレイヤーでもそうだけど、ジャズ屋のギターはやっぱジャズ屋のギターなんだよ。ベックはやっぱロックのギターだもん。そういうのが面白いよなぁ、と。

 どの曲がどうっていうよりもアルバム全体で音のバトルを楽しめるってなもんで、流れとしてアルバムの中の曲が切れているというような感じなんだよね。ヤン・ハマーとなんて相当ウマが合ったのかライブアルバム「Jeff Beck with the Jan Hammer Group Live」まで翌年にリリースしてるくらいだからかなり充実した時期だったんだろう。そう考えるとベックって割と充実した時期が多いんだ…、と改めて気付く。うん、面白いな。ちょっと前まではベックの良さってのはなかなか理解しなかった自分が勿体ない(笑)。おかげで今たっぷりと楽しめているのもよかったんだが、そういうのも珍しいよね。しっかしまぁ、よく歌ってるギター…というか泣いて叫んでっていうギターで、やっぱフュージョンではなくロックしている色が強いアルバムがこの「Wired」だ。以降も基本ロック路線でチャレンジだけど、そういうのが確立されてきたアルバムかな。

 しかしアマゾン安い…安すぎるぞ…ってか、こんなもんで買えてしまうジェフ・ベックって凄い。1000円でお釣り来るもんなぁ…。その分Blue Spec CDにカネつぎ込むのかね。



The Rolling Stones - Black And Blue

 レッド・ツェッペリンが「プレゼンス」の録音を三週間で仕上げてしまったことは有名だが、もともとはメモ程度の録音予定が本格的な録音になってしまったということで、ミックスの作業などを考慮していなかったと言う。そこでジミー・ペイジはモントルーの同じスタジオを後から予約してあったストーンズのミック・ジャガーに二日間だけ融通してもらって急ピッチであの作品を仕上げたというのも有名な話。そのストーンズが同じスタジオで録音していたアルバムが「ブラック・アンド・ブルー」。

ブラック・アンド・ブルー Some Girls (Reis)
The Rolling Stones - Black and Blue Black and Blue

 同じスタジオながらもバンドが違うとこうまで音が違うのかというのは当たり前っちゃぁ当たり前だが、そんな身近な逸話があるので何となくの共通項を探してしまうじゃないか(笑)。まぁ、間違いなくツェッペリンの方がラフで音がでかくてロックだわ、ってのを感じたくらいか。それはともかく、この「ブラック・アンド・ブルー」期は有名な話でして、前任のミック・テイラーが突然脱退表明したおかげでレコーディングが滞っていたというものだ。次期ギタリスト候補にはジェフ・ベックやロリーギャラガーなどの名前が挙がり、実際にセッションしていたらしい。他数名のギタリストは実際に「ブラック・アンド・ブルー」のレコーディングにも記されているのもある。うん、まぁ、入社試験だからなぁ…。結局どこの世界も同じで顔見知りだったり知ってるヤツってのが…いわゆるコネってのが一番重要でして、ロン・ウッドになるワケだな。今となっては正解だったことは一目瞭然だが、そんな最初の作品です。っつうか、コレ、聴いてるとわかるけど、何かのセッションアルバムみたいな雰囲気を醸し出してしまっているのは事情が事情だからしょうがないんだろうか?それでもミックとキース主導ならば問題ないはずなんだけどな…

 何故に、って…、いや、最初の「Hot Stuff」からして誰これ?ってな感じでして、レゲエナンバーの「Cherry Oh Baby」なんてどこにストーンズ色があるんだ?ってなモンだ。アルバム一貫して声がミックじゃなかったらワケのわからないアルバムだったろうと思う。ところが、ミックの声なのは事実でして、特色のある曲を除けばもちろんストーンズらしいアレンジも聴けるのは当たり前か。顕著なのは、っつうか聴いててほっとするのは「Memory Motel」とかだね。まぁ、ストーンズらしいっつうトコロだし。何かね、ストーンズらしい曲とレゲエとかに影響されまくったのが交互に同居している感じで、当時の周辺の音楽の影響力ってのがよくわかる。レコーディングが1975年頃からだろうから、その前後くらいにこういうのが出てきたんだろう。クラッシュの連中がレゲエを血肉にしたのも多分似たような頃だろう。クラプトンがボブ・マーレーをカバーしたのもこの頃だろう。だから結構流行に敏感なストーンズのアルバムがこうなってもおかしくはない。ただ、今となってそういうアプローチは何だったんだろ?と思うとちと疑問だが(笑)。それでもそうやってバンドは生き残ってきたんだから良いと言えば良いのだろうが…。

 そんなワケで最近何度も何度も再発が試みられるレーベルの意図は別として、ストーンズのアルバムの順位の中では相当下の方に位置するとは思う「ブラック・アンド・ブルー」だが、アプローチの手法は消化の仕方なんてのを聴いている分には面白いでしょう。



Led Zeppelin - Presence

 70年代後半はロックシーンにしてみるとやや不安定な時期だったと云えるみたい。大物は大物で不振だったし新人ではあまりバンドが出てきていない。ただアングラな世界ではこのヘンから後に羽ばたくバンドが芽を育てつつあった時期ではあるが。そんな折りにヒーローとして出てきたのはヴァンヘイレンあたりとなるワケで、パンクからは完全に一線を画したテクニカルなギターヒーロー登場と言う訳だ。一方王道を走りながらもややどことなくマンネリ感や飽きが来た感じの大物バンド群はこぞって方向性を見失いつつあった。我らがツェッペリンも何となく暗い影を落としながら…、これは音や才能ではなく事故に見舞われてっていうのが多かった。1975年夏には日本公演を含むツアーリハーサルを行いながらもプラントの自動車事故によって敢えなく中止、ここでの車椅子生活と有り余ったエネルギーが次作「プレゼンス」の勢いともなるが。1977年ツアー終盤となった夏頃にはプラントの息子が急死という悲劇。この辺りからツェッペリン伝説も翳ってきた所か。

プレゼンス フィジカル・グラフィティ
Led Zeppelin - プレゼンス プレゼンス

 さて、そのプラントが怪我してリハビリをしている最中からジミー・ペイジは合流してせっせと曲作りに励んだようだが、走り続けていたツェッペリンがプラントの事故で止まってしまった時、他のメンバーは家族団らんの時間を持てたことで喜んだようだが、真のミュージシャンで脂の乗りきったジミー・ペイジはバンドなし、音楽なしでは生きられなかった人のようで、妙に凝りまくった作品が大半を占める。プラントもあまり余ったエネルギーの全てをぶつけてきており、まぁ、並じゃないレベルの作品を録りまくった。それがこの「プレゼンス」だ。勢いと技術とのせめぎ合いに基本的なリズムでの勝負も入ってくることで圧倒的な存在感を示したタイトル通りの作品。

 冒頭の「アキレス最後の戦い」からして10分半もの長い曲だが、これがプログレのダラダラとしたものではなく、思い切りハードでエッジの立った、そして複雑で緻密に詰められた結果の長さなのだから聴いていて驚くばかり。長いとかは一切感じることなく、そのテンションの高さと迫力、リズム隊の圧倒的な存在感の上によくもまぁメロディがついたもんだと感心するくらいのプラントの歌、もちろんどこからこういう発想が浮かぶのかというくらいに豊富なアイディアを詰め込んだジミー・ペイジの天才的センス。ジョンジーをして、「ジミー、キミの探しているスケールはこの世の中にはないんだよ」と言わせてしまったくらいヘンな旋律の上昇下降入り混じったフレーズが何度も登場する疾走感。イントロとエンディングにしか出てこない天才的なアルペジオ…。やっぱり勢いかなぁ、この曲は。こんなに複雑で長くて決まった感じの曲なのにライブでは更に自由にギターを弾いたりアレンジを加えていたりするのもさすがにツェッペリンと唸らせる。そういえば、終盤に差し掛かったころの「Ah Ah Ah」の所なんて普通では4回のところを5回で回していたり、前半でもリフを奏でる弦楽器隊に対してフレージングを間違って捉えたボンゾのミスもそのまま収録していたりして、聴けば聴くほどに味が出る。いや、結局最後は凄ぇ~で終わるんだけど(笑)。そして2007年12月10日のツェッペリン再結成ライブで登場した「For Your Life」。こちらは音の空間と新解釈ブルースとも云えるミドルな響きが心地良い曲。これももう圧倒的にボンゾの黒い音に影響を受けながら更にロックの音として持ち込んだ重低音なドラミングとリズムによる効果が圧巻な一曲で、シンプルな曲構成ながらも聴かせてくれる。こういう「待ち」ができるバンドって今はないし、当時もなかっただろう。希有な存在ですよ、やっぱり。それとアーミングを使っていることでわかるけどストラトで弾いてるんだよね、これ。その姿ってのはあまり浮かばないけどちょっくら驚いたもんだ。続いては一気にドタバタとした感じのする「ロイヤル・オルレアン」というこれもまた変わった曲で、そもそもツェッペリンってのは実はギターの音があまり歪んでいないので何でも対応できるんだけど、この「プレゼンス」というアルバムではそれが顕著に出ている。故にハードロックらしいハードロックってのがない。その中で「ロイヤル・オルレアン」ってのはこれもまたリズム重視で出来上がったもので、ソリッドな音でカチャカチャと鳴っているギターとやっぱりボンゾだな。プラントはこういうのキライじゃないからノリノリで歌っている感じでさ、スタジオセッションではかなり楽しんだであろう感じがする。あぁ、不思議な曲だ…カリプソとソウルのミックスなのかな、決して上手くはないジミー・ペイジのギターが絡むのも面白いが(笑)。そんな所でA面が終わり、圧倒的に「アキレス最後の戦い」のインパクトが強くて、続く二曲はそのインパクトと疲れを癒してくれる意味合いが大きいために空間の多い曲と疲れない曲になっていたのだろう。

 「プレゼンス」のジャケットはヒプノシス…って見りゃわかるか(笑)。不思議なオブジェクトがそこかしこで存在しているということ=「プレゼンス」という意味合いでもあるようだが、あまり好きじゃなかったなぁ、このジャケットは。どこかツェッペリンらしくないと言うか、芸術性もあまり感じられなくてね、よくこんなのジミー・ペイジがOK出したもんだと思うけど、今でも見ていて飽きないってのは凄い。好きじゃないけど中ジャケまで色々と見ていて何だろなぁ~と飽きないもん。ヒプノシスって大体そうなんだけど、多分考えても意味ないから考えないけど気になる(笑)。それよりもスワンソングのレーベルってかっこよいなぁ~とか、そっちに行っちゃうってのもあったかな。

 そしてB面はこれまたガツンと「俺の罪」というパクリともカバーとも言われるがどう聴いてもオリジナルだろう、これは。プラントとペイジでしか出来なかったであろう冒頭のユニゾンからして強烈、そこにリズム隊が絡んでくるんだが、これもまた凄くてメロディ隊とリズム隊が完全に別のことやってるみたいにぶつかり合って進められる。それが途中から一緒になるから面白い。この辺になると自分達の出来ることが相当レベル高くなってりうから単にギターフレーズに対してキメを打つリズム隊としても一風変わった取り組みをしているんだろうけど、それにしてもあり得ないだろってくらいのキメワザ。これもまたリズムな曲だが、プラントの歌も本領発揮とばかりに雄叫びを上げまくっている。そしてジミー・ペイジもここでは弾きまくったギタリストになっていて、最もツェッペリンらしい一面が出ている曲で、ハードロック的です。だが、やはりリズムが中心になっているからこの時期の特徴がよく出てきてるし、ギターの音色もかなり変化しているのもよくわかるし。そして「キャンディ・ストア・ロック」ではシャープでソリッドでドタバタしたツェッペリンらしいロックが聴けるね。もうちょっとこの曲ってクローズアップしてあげてもよかったんじゃないかと思えるくらいの出来映えでしてね、うん、ハードなギターの音に加えてしっかりアコギが入ってるから面白くてさ、三枚目のアルバムみたいにアコギ中心で考えてたら、この曲もアコギで出来ちゃったんだろうな、なんてのがわかるから勝手に想像できる。それでもこういうアレンジとノリにしたのはこの頃の勢いだろう。途中な曲を繋ぐパートがあるんだけど、そこが妙~に浮いていてプログレッシブな雰囲気を出しているのは自然ながらもひとつづつの音を無駄にしないでフレーズとして使っているかってのがある。しかしここでもリズム隊…ボンゾの圧倒的な存在感が目立つ。続くはこれもまた空間を利用した曲でA面の「For Your Life」に対抗したものか?それにしてもこういう普通のリズムの中で変拍子的に聴かせるフレージングってのが面白くてさ、ツェッペリンらしいよね。こういうの聴くとついコピーしたくなるし、どういう風になっているんだろう?っていう興味が沸くもん。しかし楽曲の重さに反比例してえらくキャッチーでメロディのある歌の旋律ってのもこれまた狙い通りなんだろうけど、さすがだなぁと唸らせる。アレンジを全く変えてしまったら何の曲かわからなくなるだろうけど、ポップに聞こえるだろうなぁとちょっと想像を駆り立てる曲かも。しかし…、かっこよい。こういう曲ってのも飽きないなぁ。終わったと思ったらまだまだ続くという曲構成もツボを突いてるしさ(笑)。そして最後の真打ち「一人でお茶を」。スローブルース…というだけでは言葉が足りなくて、アダルトな大人の雰囲気が漂うブルースをオシャレに解釈した曲で、ギターの音色やフレーズ、歌の感情表現などなど基本的にブルースを繰り広げていたツェッペリンならではの味わいが聴いて取れる素晴らしい作品。メジャーどころではあまり出てこないがディープなファンには圧倒的な支持を得る傑作。9分半にも渡るブルージーな空気の中には感情の起伏と音への表現、そしてギタリスト、ジミー・ペイジここにありと言わんばかりの弾きまくり姿も心地良い。こういう引っ掛かりのあるギターってのはこの人にしかできないでしょ(笑)。正に成熟したツェッペリンの最後のブルースソング。

 「プレゼンス」ってさぁ、初期のツェッペリンのアルバムほど取っ付きやすくないんだよね。だから最初は難しかった…ってか、リズム隊が強調されすぎてたからかもしれない。ギターに情熱を燃やして聴いている頃はやっぱ初期聴くからさ。でも、だんだんツェッペリンそのものが好きになってくるとあちこち気になって…、それで「アキレス最後の戦い」をバンドでコピーしてみて、その凄さと緻密さとかっこよさに内側から気付いたっていうかさ、聴いている時だけの感覚じゃなくてね、そういうのがあってからこのアルバムが凄く面白くなった。完璧なアルバムってのはそうそうないけど、「プレゼンス」はかなりその部類に近いよ。一生聴いても飽きないっていうのもあるし…、それは多分「フィジカル・グラフィティ」もそうだけど、ディープなんだよ。いや、面白いんだよ。楽しいんだよ。あぁ~、やっぱツェッペリンの世界は素晴らしいねぇ…。





Bad Company - Burnin' Sky

 一気に時代を進めてポール・ロジャースとサイモン・カークがフリーを辞めて紆余曲折、その後に組んだスーパーバンドがバッド・カンパニーというコトはもちろん有名な事実でして、最初のアルバム「Bad Company」は英米ともに大ヒットを放ち一躍花形に躍り出ることとなった。レーベルがレッド・ツェッペリンのスワンソングってのも話題のひとつだったし、そのおかげでジミー・ペイジはちょくちょくバドカンのライブに顔を出していたりしたそうな。全盛期のジミー・ペイジが全盛期のバドカンと一緒にやるんだから興味津々だね、これは。

バーニン・スカイ Desolation Angels

 さてさて、そんなバドカンの4枚目ともなった1977年リリースの作品「バーニン・スカイ」。ポール・ロジャースがハッピを着ていることで日本では話題となったようだが、時代は1977年、パンクが台頭してきてオールドロックをケナしまくった後、そしてアメリカではディスコとR&Bブーム到来ってなところにもちろんブリティッシュロックそのものを持ち込んでも上手くいかないだろうってことと、そもそも売れたいっていうのもあって初期からアメリカナイズされたサウンドを目指したバドカンだったが、ここに来て些か方向を見失い始めていると感じる作品とも云えるか。

 最初期のようなカラッとしたロックさはあまり持ち合わせておらず今こそアメリカを目指してっていう時代なのに思い切り英国的なジメッとしたミドルなテンポのロック「バーニン・スカイ」で始まるので、おや?っと思ってしまう。思い切りアルバム全編を象徴している楽曲でしてねぇ…、かと言って凄く心に響くか?と言われるとそうでもないのが困る。そしたらそのうちフルートが入ってきてさ、これは一体何のバンド聴いていたんだっけ?と思わせるくらいにバドカンらしくない。メル・コリンズだろうなぁ…、あ、そうだ、メル・コリンズが参加してるわ(笑)。この人も特徴ある人だけどこんなトコでも一番個性が出ているかもしれない。

 それ以降もバラエティに富んでいると言えばそうなんだけど、的がズレていてどこ狙ってるかよくわからん。単体で聴いていても、光るか?っていうとそうでもないし、秀作揃い…。ん~、なんか見失ってるなぁ~と言うのがわかる作品ってのと、ポール・ロジャースの多才ぶりが披露されたというのか…。この後バドカンを抜けてソロ活動していってもその多様な音楽性と抜きんでた歌唱力ってのがアンバランスでなかなかハジけ切れなかった人とも言えるか。B面に入って、最初の「Heatbeat」は快活な楽曲だけどちと抜け切れてないか…、でも悪くないな。ギターのミック・ラルフスにも元気がないのかな、もっと弾いてくれても良いのにね。でもB面の方がロック的には良い感じ。

 そんなバドカンの迷いの作品…にしては早過ぎる気もするな。まだ「バーニン・スカイ」って4枚目でしょ?勿体ない…と言いつつも正直言ってこれまでバドカンって2枚目くらいまでしか何回も聴いたってのなかったから、やっぱり面白味に欠けるアルバムではあったんだよ。ここに書く時って大体久々に聴くんだけど、こんなだっけ?ってのも多い。良い時も悪い時もあるけど、今回はやっぱり印象は変わらなかった。軽さもちょっと気になるけど、ガツン、っとロックが来ないんだよね。毎回そうじゃなくても良いけど、やっぱちょっと欲しいじゃないですか(笑)。

Free - Free

 ブルースロックと一括りで語られることの多いクリームやフリーだが、その実ブルースエッセンスを多分に含みながらも独自の解釈により楽曲としてはかなりオリジナリティを発揮していたところがその他大勢のブルースの模倣バンドとの違いではないかと。もちろん本人達はブルース大好きだし、しっかりと吸収してしまっているのでそこから離れることも難しいのだろうが、そういう基本を押さえながらも独自のグルーブとフレーズでファンを虜にしていた。それがロックってもんだ。

Free Tons of Sobs
Free - Free Free

 フリーの1969年のセカンドアルバム「Free」。クリームが解散する前後くらいに録音していてリリースされたアルバムなんだが、これがまたセカンドアルバムにしてかなり進化した渋めのロックになっているのだな。バンドとしてはフリーも68年から71年で一端解散してるしね。まぁ、20歳前後の若者集団だったからってのはあるだろうけど、その分残された音源には若さと気合いと熱気と才能に満ち溢れた音楽が詰め込まれている。このセカンドアルバム「Free」では既に最初期のブルースカバー的な作品から独自の解釈と新機軸となる音楽が聴ける。「I'll Be Creepin」はライブ向けのフリーらしいリズムとプレイによるもので、各人が遺憾なく才能を発揮した秀作。以降のライブでも定番的にプレイされるロックチューンだね。んで「Songs of Yesterday」はアンディ・フレイザーの軽快な、そしてユニークなノリのベースラインにメンバーが絡み、ポール・ロジャースのタメの聴いた歌が響き渡るというこれも特徴的な曲だなぁ。それで三曲目の「Lying in the Sunshine」ってのが曲者でして、うん、一般的なフリーに対する感覚からしたらこれ何?誰?ってなモンだ。美しきアコギ…多分アンディ・フレイザーが弾いているものとポール・ロジャースの哀しげな歌声で展開されるバラード…と言うか、フォークソングでもないし…、なんと言うんだろうね、こういうの。淡々とアコギと歌で迫ってくるだけで、感情的に揺れるというもんでもなくてフラットなんだよ。フリーにはこの後もいくつかこういう楽曲が出てくるんだけど、アンディ・フレイザー独特の持ち味のひとつ。この人多才だわ。んで「Trouble On Double Time」はまたノリの良い、それでもアンディ・フレイザーのベースリズムがグイグイと曲を引っ張っていく曲で、コゾフの活躍がイマイチ少ないのがちょいと物足りないけどしょうがないのかな。そんで、またまた美しいフリーの一面が聴ける「Mouthfull of Glass」。ベースとクリーンなギターとアコギの絡みにゴスペルのような鍵盤の音色が効果を演出したものでね、途中のちょっとズレていくようなコード進行が心地良い。コゾフの違った側面が聴いて取れるギタープレイも聴く価値が高くって、激しくブルージーに弾くだけのギタリストではないってことがよくわかる曲です。

 ここまでがアナログA面だったね。意外とブルースに根ざした曲はここまででほとんど出てこなくて、聴けてもコソフのフレーズくらいで、新境地に達していることもわかる。ただ、まぁ、ポール・ロジャースの歌声がアレだからどうしてもソウルフルなブルースに聞こえてしまうのはあるけど、アンディ・フレイザーがかなり才能を発揮した作品だから故にバラエティに富んだ作品になってるね。ジャケットは大胆な構図でして、いや、あまり調べてないけどどんな意味だったんだろ?そしてセカンドアルバムにしてタイトルにバンド名「Free」を持ってくるのも面白いな、と。ここで新たに自分達の音楽性を誇示できたってことかな。

 さて、B面一発目を飾るのはこれまたフリーらしい名曲の「Woman」。これはもうポール・ロジャースが絶叫できる曲だし、コソフも割と見せ場がある方だし、楽曲的にはA面の「I'll Be Creepin」と同様にライブ受けするロックチューン。すると「Free Me」のようにどこか宗教的にワンパターンなリフで展開する曲へと続く。こういう曲が成り立つのはやはりポール・ロジャースの歌唱力によるところが大きいのだろうが、楽曲センスそのものはアンディ・フレイザーによるものだな、これも。ってか、このアルバムのクレジット見ると全部「Fraser, Rodgers」なんだから当たり前か。どこか境地に達している人だよなぁアンディ・フレイザーって。そこに頑張ってコソフがナイスなソロを入れるんだけど、どっちかっつうとミュージシャンとして優れたソロを入れているだけで、ギタリスト的に発揮しているモンでもない。だからコソフはこの頃も含めてセッション活動っていうのが割と多くて、弾きまくっている傾向が強かったんだ。そしてちょっと明るめに「Broad Daylight」も聴かせる曲で、かなりシンプルに作られたものの様子で凝ったことが何もできていないという感じだ。いや、悪くない曲だけど、ちと飽きるかな、これは。光る部分があまりないんだよね。妙なのはコーラスワークが入っているのでフリーらしく聞こえないってとこか。そして最後は「Mourning Sad Morning」というこれもまたアコギによるバラード…だな。ただしフルートなどで色を付けてくるのでフリーらしさってのはあんまり感じられないんだけど、こういうのもフリーなんだ、っていうのが伝わってくる、かな。これもやっぱりコーラスとか被ってくるんだけどさ、やっぱり起伏がなくってフラットなバラードなんだよ。何なんだろね、この不思議さは。英国のトラッド的な影響ではあると思うけど、ここまでフラットじゃないから…。通常のロックに対するフリー独特のリズムと同じようにトラッドに対するフリー独特のリズム、ってところか。

 昔からアナログで聴いていたアルバムで、全然リマスター盤とかボーナストラック付きとかリリースされなくて安心してたんだけど、5枚組のボックスセットが出た辺りからにわかに活気付いて、一気に紙ジャケ、リマスター、ボーナストラック付きという最も買い換える回数の少ないパターンでCDが出たのでよかった。そのボーナストラックもとんでもなくたっぷり詰め込まれているので楽しめたしね。このセカンドアルバム「Free」ではいくつかのシングルバージョンと、未発表だった「Sugar For Mr.Morrison」というこれもまたヘンなベースラインから始まる楽曲に感動したし、コソフもワウペダル使いまくって弾いている曲だから、確かにこのアルバムにはマッチしなかったろうな…とか。もちろんその他のバージョン違いなんてのも面白いんだけど、所詮はオマケでして、本編をきちんと聴いていないと楽しめないものだ。例えばアンディ・フレイザーによるアコギだと知った「Mouthfull of Glass」とかね。「Trouble on Double time」なんて初期バージョンはまったく別の曲みたいなアレンジでコソフが弾きまくってるというもんだけど、こういうのも過程を知ると面白い。

 まだまだ何度も楽しめるフリーの深い世界。衝撃的なファーストアルバム「Tons of Sobs」と世界的ヒットを放った「Fire and Water」の間に挟み込まれた形で残されているセカンドアルバム「Free」だが、それだけに野心と実験がいくつも詰め込まれたミュージシャン的に楽しめるアルバムに仕上がってます。アーティストの成長ってのはこういう風に進んでいくのかな、と。



Cream - Fresh Cream

 クラプトンの若かりし頃の迸るギタープレイを久々に耳にしてみると、なんとも艶やかで味のある音色とトーン、更に感情の起伏がそのまま表れたプレイに驚く。そうだよな、こういうプレイがあったからこそ神と崇められ、白人ブルースギタリストの地位を確立していったんだよな、ということを思い出した。最近のクラプトンを聴いていても全然そういうのは感じないので、ほとんど耳にしないのだけどやっぱり60年代のクラプトンは見事なギタープレイヤーだ。そんなことを感じたので、一気に王道路線へと突き進むことに(笑)。

Fresh Cream Live Cream
Cream - Fresh Cream Fresh Cream

 クリームの1966年に発表したファーストアルバム「Fresh Cream」。以降クリームは1968年には暮れには解散してしまうので、スタジオアルバム数枚程度、そして本領発揮のライブ盤が何枚かしかリリースされていないのだが、2年半の活動の割には数多いリリース状況とも云えるでしょ。

 さてさてそれぞれ華麗なる経歴を持つ三人が新たな野望を持って組んだクリームで、セッションでは当然ライブとほぼ同じような構図でプレイされていたと予測されるがいざスタジオ録音によるアルバムデビューとなるとやはり無茶も出来ないよな、ってことで落ち着いたのがこのファーストアルバム「Fresh Cream」だろう。後のクリームの経歴を考えるとそれはそれは地味な音でして…なんて思ってたんだけどね。久々に聴いたら全然十二分にヘヴィーなクリームの世界だった(笑)。

 曲自体はコンパクトに纏めてあるから何となくポップなバンド聞こえてしまう感じがあったんだよなぁ…。どれもこれも2分から4分で押さえているからねぇ。「Cream - Fresh Cream - Spoonful Spoonful」はスタジオテイクでも十分に長いんだけど他がそうでもないからそういう印象だった。ところが今聴いてみるとそんなことは全然なくってしっかりと全員自己主張したアルバムでしたね…。こんなに迫力あったっけ?なんて思って聴いてるんだけど…、音の問題か?いや、ジンジャー・ベイカーのドラムはドタバタとうるさいし、もちろんジャック・ブルースのベースも縦横無尽に走り回ってるし、クラプトンも気合いの入った熱いプレイをたっぷりとカマしてくれているじゃないか。どの曲もそんな感じで、決して曲の長さとは関係のない、それぞれお自己主張をガッツリと聞かせてくれている…。おかしいな、こんなに熱いアルバムだっけ…?う~ん、甘かった(笑)。「Cream - Fresh Cream - Rollin' and Tumblin' Rollin' And Tublin'」の強烈なハープとギターとドラムの掛け合いはスタジオアルバムの域を超えてます、完全に。ベースレスでこういう曲が成り立つってことも凄いけど、それもこの三人でしかできないワザだろう。

 後のライブ盤でも出てくるような基本的なライブ楽曲がいくつか収録されていることでわかるように、「Fresh Cream」収録の曲ってのはクリームにとっても原点なんだろな。ブルースという枠組みをハズした音作りを意識しているというか、ブルースは既に血肉となっているのでそこから発展させた音を目指してという部分があるもん。それがそれぞれのバトルとなったのかもしれないけど、楽曲的にも不思議なものも多いから、やはり60年末の何でもあり状態が刺激になっているんだろう。曲だけ取ったらそんなに個性的とは云えないんだけど、あの演奏だからなぁ…。その辺が他英国B級バンドとの違い。テクニックではない発想というのか取り組みというのか…。

 この辺ってリマスター盤でデカいスピーカーで鳴らしたらもの凄く生々しく聞こえる音だろうなぁ…とちょっとやってみたくなった(笑)。そういう音こそがロックだしさ、体で感じるロックの音ってそうそうないしね。うん、ちょっと試そう(笑)。



Martha Velez - Fiends & Angels

 そういえば…、随分昔にその存在を知りながらもレコード探しをしていた頃にはほとんど見かけることなく、一回見かけた時にはアメリカ盤ジャケットだったがために、別のアルバムと勘違いして買わなかった…、それでも4000円くらいしかのかな。あとでアメリカ盤とイギリス盤で全然ジャケットが違うことが判明して割と悔しい思いをしながら、結局イギリス盤を見かけなかったような気がする。そんですっかり忘れ去っていたんだが、昨年かな、CDがリリースされるというのでちょっと話題になってたマーサ・ベレツ。手に入れて聴いて感動してたんだけどその内に書こう、ってすっかり失念してましたねぇ。この機会に書いておきましょう。

Fiends and Angels Fiends and Angels

 1969年リリースの「悪魔と天使」という意味での「Fiends and Angels」というタイトル。「友達と天使」ではないですが、割と間違えやすい(笑)。こうして見るとアメリカ盤の方がジャケットにインパクトがあるのは事実でして、うん、英国人なんですけどね、彼女。ただ中身の声を聴いてしまうと、アメリカ盤のジャケットのインパクトの方が正解だろう、っていう感じはするが(笑)。

 もうねぇ~、思い切り好みの音でして、そりゃまぁ、マイク・ヴァーノンのプロデュースによるものなので思い切りブルースに決まってるんだよ。しかも彼女はジャニスが脱退した後のThe Holding Companyにボーカルで加入のウワサもあったくらいの迫力絶叫系ボーカルのお転婆お姉ちゃんなワケで、聴いていて吹っ切れてて心地良い。マギー・ベルほどの凄みはないんだけど、それでもかなり面白い域に達していて正に60年代後期の英国ハードロックってなモンだ。あ、バックがね。

 そのバックなんだけど、これもマイク・ヴァーノンの力によるものだが、なんと思い切り全盛期のクリームの面々からクラプトンとジャック・ブルースを呼び込み、この二人にはジム・キャパルディのドラムと絡ませて思い切り激しく派手なブルースロックを何曲も展開してくれる。正直言ってマーサ・ベレズの歌声など全く耳に入らないくらいに二人の演奏に耳が行ってしまうんだな。やっぱりこの頃は凄いわ。それとマイク・ヴァーノン絡みなのでフリーのポール・コソフも参加しているのだが、これもまたジム・キャパルディやクリスティン・マクヴィのピアノなんてのと絡めて元々スワンプ系への参加が多いポール・コソフのこれまた全盛期のアグレッシヴであのタメが聴いたギターが聴けるという代物。それと何曲かではスタン・ウェブのブルースギターも聴けるので、当時のブルースギタリストとしてロック界に名を馳せようとしていたメンツが揃っている。なんともまぁ、豪華なアルバムになったことだろう。

 あまりにもゲスト陣が豪華なので肝心のマーサ・ベレズについて語られることは少ないんだけど、ミックスの問題も大きいよなぁ、多分。自分的にはかなり好きなタイプのボーカルで、もっとこういう弾けた音を歌って欲しいものだし、どんどん作品をリリースして欲しかったなぁ。何枚か他にもリリースされてるけど、そこまで追いかけていない…ってことはそれほど入れ込んでないってことか(笑)。

 いやいや少なくともこのアルバム「Fiends and Angels」については歌もかなり楽しめる作品です。まぁ、ゲスト陣が凄すぎるけど…。



Maddy Prior & Tim Hart - Summer Solstice

 トラッドフォークには進まないと言いつつも、やっぱりマディ・プライアさんの歌声が気になったのでもうひとつ紹介を…(笑)。いやぁ、ポップで明るいのもいいけど、やっぱり英国トラッドの原点に戻って質素に歌い上げるのも良いじゃないか、ってなことでマディ・プライアと相棒のティム・ハートがデュオ名義でスティーライ・スパン結成以前から発表していたアルバムの三枚目…かな?

サマー・ソルスティス(紙ジャケット仕様) Summer Solstice
Maddy Prior & Tim Hart - Scarborough Fair - The Best of English Folk The Best of English Folk
Maddy Prior - Collections - A Very Best Of 1995 To 2005 A Very Best Of 1995 To 2005

 「サマー・ソルスティス」っつう作品で日本語では「夏至」ってなモンですが…、ま、時期的には良いか(笑)。いや、それで、1971年のリリースなのでスティーライ・スパンでもうバリバリに重いフォークをやってるコトなんだけど、それとは全く相反する…と言うかもともと二人のデュオ作品ってのはこういう傾向なんだけど、純粋にフォークなんだよな。しかもマディ・プライアとティム・ハートが相互に歌うという素朴なもので、売れるとは到底思えないんだけど、基本的な英国トラッドフォークの男女混合ボーカル作品。スティーライ・スパンとは完全に別次元の作品なので、やっぱり重さに疲れたのかシンプルな原点に戻りたかったのかってのが出てるんだけど、もちろん悪くない。と言っても滅茶苦茶良いか?と問われるとそうでもないとは思うけど…、いや、よくわかんないんだよね。こういう世界ってどれ聴いても良いなぁ~って思うから、名盤かどうかと言われても多分そうなんだと思ってる、としか言えない(笑)。悪かったら40年も残ってないでしょ(笑)。

 ホントにシンプルなフォークです。歌声を聴かせまくる、ってな感じで歌い上げている。アカペラ曲まであるしね。それでもってこちらはリマスター紙ジャケシリーズとしてもリリースされているんだから面白い。マニアックと言えばマニアックだけど、リマスターの意味あるんだろうか(笑)?それと、調べきってないのでよくわからないんだけど、さっきアマゾンで見てたらアルバムジャケットが二種類あるんだよな…。どっちから米盤でどっちかが英盤だろうとは思うんだが…、よくわからん。こんなので二種類もジャケットがあるってのもこれまた不思議だけど、どちらも牧歌的でよろしいね。



Steeleye Span - All Around My Hat

 暑い夏なので英国トラッドフォークの道へと進むにはちょっとしんどい…が、何かこの系統で爽やかに聴いておきたいなぁってことで引っ張り出しました。うん、スティーライ・スパンです。マディ・プライアさんのクリスタルな歌声ですが、このバンドも最初期は英国トラッドの伝統にこだわり、且つドラムレスで異常に重いサウンドを出していたんだけど、アシュレー・ハッチングスがいなくなってからはどこへ向かおうか?ってな感じでアルバムをリリースし続け、そもそもみんなトラッド好きだし踊るのも好きだし、そういう路線で良いんじゃない?ってなことで思い切り明るく踊れるフォークバンド…っつうかトラッドベースのバンドになっていった…ようだ(笑)。

All Around My Hat 20th Anniversary Celebration [DVD] [Import]
Steeleye Span - All Around My Hat All Around My Hat

 そんなスティーライ・スパンの英国での最大のヒットアルバム、というかヒット曲「Steeleye Span - All Around My Hat - All Around My Hat All Around My Hat」を含む、いや、それをタイトルにまでしてしまったアルバム「All Around My Hat」。1975年リリースの傑作です。決してタイトル曲のポップさだけではなくって、アルバム全体がこの大らかな明るさと楽しさに満ち溢れているし、そこに美しくも重厚なコーラスワークやメロディラインが絡んでくるという正に他の国の人間には決して作ることのできない音の洪水は見事なものです。最初からもう正に英国の緑の中で朗らかに踊る淑女紳士の姿が目に浮かびます。

 そして素晴らしいのはそんなに英国然としながら、しかも世界的な一般人にはあまり浸透していない英国トラッドベースの歌と演奏のくせに思い切りポップで軽やかで聴きやすいという、実に面白い…というか多分自然な音なんだろうなぁ、こういうのって。人間的に。だから国籍とか問わずに聴きやすいんじゃないかと。日本の演歌って外人が聴いても聴きやすいメロディだろうし、それと一緒で英国のこういうメロディや音色も同じなんだと思う。12弦ギターやフィドルは笛の響きにナチュラルで軽やかなマディ・プライアの歌声…、そして踊りたくなるブギ中心のリズムで軽快に…。うん、これだけ素晴らしい音なのに日本では紙ジャケの再リリースにはなってないんだ?それどころかリマスターも出てないのか?ふ~む…、イマイチ売れないんだろうねぇ。もったいない。

 昔スティーライ・スパンに出会った時に、しばらくしてえらく気に入ったことに気付いてライブのビデオを手に入れて見たらさ、思っていたのと全然違う雰囲気でもの凄く明るく大らかに演奏して歌っていたワケよ。それまではレコード…しかも初期のしか聴いてなかったからもっと重苦しいものを想像していたんだけど、それが見事に野外の開けたところでのオープンなライブで、へぇ~って感じ。英国は深い…とその頃も思ったが、最後にはこの「Steeleye Span - All Around My Hat - All Around My Hat All Around My Hat」で踊って終わってたな。DVDも出ているじゃないか、と驚いた。うん、良い作品です。タイトルは「20th Anniversary Celebration」だそうで。



Sandy Denny - The North Star Grassman and the Ravens

 音楽ってのは季節も時間も天気も選ぶことがある。今の季節頃にはあまり聴きたいと思うことが多くないのかもしれない音楽ってのもある。やっぱり秋から冬にかけて聴いていたいなぁ~と思える音が自分にはあってさ、多分トラッドフォークとかってのは土地柄の音楽だから、どうしてもそういう時期を選んでしまうんだけど…、ちょっと前に紙ジャケシリーズで再発したもんだから、聴きたくなったなぁ…と思って、季節感を無視して手に取って聴いてしまいました♪

The North Star Grassman and the Ravens 2

 1971年リリースのサンディ・デニー最初のソロアルバム「The North Star Grassman and the Ravens」。もうねぇ、いきなり名盤ですよ、最初から。もっともストローブス、フェアポート、フォザリンゲイと活動した後のソロアルバムなので今更って感じもあるけど、それにしてもここまでの名演、名唄ってのはなかなかできないでしょう。環境的にもテンション的にも素晴らしく全てがマッチした傑作でして…、うん、電車の中とか暑苦しい時に聴くものではなくってエアコンの聴いた夜中にひっそりと聴くものです(笑)。

 フォザリンゲイの幻のセカンドアルバム「2」が発掘されたおかげでこの「The North Star Grassman and the Ravens」の位置付けがよくわかったんだけど、そもそもフォザリンゲイで出来上がっていた楽曲も多かったんだね。しかもメンツはほぼそのままにサンディ・デニーのソロアルバムで再度セッションってのは面白い。フォザリンゲイでは売れないだろうってことで解体させられたのが、結局メンツ一緒なんだもん。もっともリチャード・トンプソンという逸材をギターに配することで、思い切り幅が広がっていくんだけどさ。そのリチャード・トンプソンのギターがこれまたアルバム全編で素晴らしく響いていてですねぇ…、この人のギターはホントに個性的で心に染みます。そしてもちろんサンディ・デニーの何とも言えない綺麗な歌声がね…、これまた感動するんだよ。曲も素晴らしく良いし…、オリジナルもカバー曲も何も全てひとつの歌声と演奏で出来上がっているから全く違和感なく迫ってくる。素晴らしい…。

 アルバムジャケットも思い切り英国的だし、もうねぇ、言うことないくらいなんだけど、普通に聴くと多分ピンと来ない人多いと思う。割と攻略するの難しい人だと思うもん。自分もトラッドも含めてこの人には何十回となくトライしてトライして、やっとわかってきたのはまだ10年も経ってないかもしれない。それくらい深いけど、その分今後聴く回数は何かと多くなるんだろうなぁというアルバム。聴かないと、というよりも接して肌で感じないと損するよ、このアルバム「The North Star Grassman and the Ravens」は♪



Spriguns - Revel Weird & Wild

 英国の美しき調べに乗って聴ける音楽に浸っているとこの暑さもどうでも良くなってくる…、そりゃまぁ、エアコンの中で聴くから涼しいってことで云える話でして、外で聴くならもちろん異なる音になることは必至でしょう(笑)。そんなことで今度は少々毛色の異なる歌声と英国の調べってことで…、スプリガンスってバンドです。そう、マンディ・モートンさんが歌ってるバンドでして、基本的にトラッドフォーク路線なんだよね。ただ、ちょっとプログレ的展開があったり複合技が出てくるのと、やはり女性ボーカルってことでプログレファンから狙われるバンドとなってしまったってトコですか。

奇妙な酒宴(紙) Magic Lady

 バンド名をスプリガンス・オブ・トルガスからスプリガンスに短縮してからの一枚目となる「奇妙な酒宴」ですね。1975年リリースなので英国ロック的には少々遅めのシーン登場なんだけど、トラッドを背景に多様な音を重ね合わせてしっとりと聞かせる歌が多いバンドで、やはりマンディ・モートンの芯の通った歌声に信念が聞かれる。このファーストアルバム「奇妙な酒宴」ではそんなにプログレ色もしないけど…、まぁ、確かにバイオリンや何やらと多種多様の楽器が聞こえてくるのと、普通のトラッド一辺倒のバンドの音ではないのも事実。まだ未熟感は漂う作品ではあるけど、聞き込みたくなる面白さはたっぷりと落ち合わせた自然なアルバム。

 ジャケットがね、やっぱりトラッドらしくないんだよね。どこか黒魔術的な側面を持っているように感じるバンドだから…、ってのはやっぱり1978年に発表した「Magic Lady」という名盤の印象が強いからだろうか。後追いだとどうしてもそういう印象って持ったままなんだよなぁ。マンディ・モートンはサンディ・デニーの大ファンで、彼女に成り切りたくて歌を始めたようなものらしい。うん、なるほどねぇ…という歌い方なのは聴いた人は納得できるでしょう。しかし聞けば聴くほどに幅広い音楽に取り組んでいるバンドだということがわかってくる涼しげなサウンドです。



Babe Ruth - Babe Ruth

 今度は英国のお転婆娘的な歌い手で、個人的にはもっと売れて人気があってもおかしくないんじゃないかと思うことの多いバンド、ベーブ・ルースのボーカル、ジェニー・ハーンの登場です。いや、ホントにさ、楽曲も結構キャッチーで演奏力も割と高いし、様々な試みを行っているのでもうちっとメジャーシーンに出てきていてもおかしくないんだけど、何でかマイナーな位置付けで終わってしまったバンドなんです。個人的にはかなり好きなので実はアルバム順にひっそりと書いていたりするバンドです(笑)。

ベーブ・ルース(紙ジャケット仕様) Babe Ruth/Stealin' Home

 1975年リリースのバンドとしては三枚目となるセルフタイトルの「ベーブ・ルース」。うん、セルフタイトルにするだけあって、自信作でしょ、これは。ハジけていて伸び伸びとした演奏と歌がしっかりと聴けるし、良いアルバムですよ。これまでのアルバムではちょっとどっちつかずの部分、そうだね、凝ったハードロックなのかハードなプログレなのか、ソウルフルなものなのか…ってのがあったんだけど、このアルバム「ベーブ・ルース」では、しっかりと方向を見据えて制作している。その方向ってのは、面白いことにブラックでファンキーなリズムを取り入れてそこにお得意の泣きのブルースフレーズのギターを重ねているけど、バックはハモンドが鳴っているというものだ。それに加えてジェニーのソウルフルでハジけまくった歌がシャウトで入ってきて、ベースラインは明らかにR&B的なものを意識したフレーズが多い。さて、これをどんなジャンルと呼ぶべきなのかわかりません(笑)。ただ、ひたすらソウルフルにハードでやんちゃに迫ってくる音です。

 歌メロもねぇ、しっかりと作られているから中盤から後半にかけての楽曲群ではキャッチーなサビのメロディがいくつも聴けるし、覚えやすいです。特に「Jack O'Lantern」なんてのは最高に良くできている。面白い試みってことでは「Turquoise」っていう曲で、スパニッシュなのかな、思い切りスパニッシュで攻め立ててくるのでバンドの底力が出てきている。3曲目には何かスパイ映画の疾走感的なインストが入っていて、ちょっとユニークだしね。ロールしているバンドの音が心地良いんですよ、これ。ともすればフュージョン的にもなってしまうんだろうけど、しっかりとロックのフィールドで鳴っているのもマル。

 そんなことで女性の歌い手ってこともあるけど、バンドの方向性とか音色とかハード具合とかどれもこれもツボにハマる面白さがあるバンドの多分最高傑作だと思う。この後の「Stealin' Home」も良いけど、やっぱ「ベーブ・ルース」が過度期の作品でしょう。



Julians Jay Savarin - Waiters on the Dance

 英国70年代の艶めかしいお色気ボーカリストと言えば…、そういえば何人かいたなぁ…と記憶を呼び覚ましてみることに…、と何かいつも考えている路線とは異なる方向に向かっていってしまうのは何故だろう(笑)?まぁ、いいや、気分で変わるモンだからしょうがない。うん、ってなことで、そういえば、と真っ先に思い付いたのがキャタピラのアンナ・ミーク嬢なんだよね。お転婆でエロティックに歌うイメージなのでピッタリ~とか思ったんだけど、アルバムが「Catapilla」「Changes」の二枚しか出てなくて、両方とももうこのブログに登場してしまったので、アカンなぁ…と。んで、フュージョン・オーケストラのジル嬢の「スケルトン・イン・アーマー」も…もう書いたなぁ…。うん、じゃ、しょうがないのでキャタピラのアンナ・ミーク嬢の妹さんであろうレディ・ジョー・ミーク姫の歌う英国ロックの裏名盤「Waiters on the Dance」で書こう。

Waiters on the Dance A Time Before This

 1971年リリースのジュリアンズ・ジェイ・サヴァリン名義での作品「Waiters on the Dance」ですね。70年にジュリアンズ・トリートメントっつうバンド名義で「A Time Before This」をリリースしているんだけどメンバーがガラリと替わってしまったんで個人名義のソロアルバムにしたようだけど、結局ジュリアンズ・ジェイ・サヴァリンの作品であることに変わりはないんで、一緒くたにされることが多い。いやぁ~、あまり知られていないけどかなり良質なメロトロンとフルートをフューチャーした作品で、そこにオールドタイムでねちっこいブルージーなギターも絡むという不思議な音。更に歌はキャタピラで色っぽい歌を歌っていたアンナ・ミーク嬢の妹さんであろうレディ・ジョー・ミーク姫ってことで、声が似ているし歌い方も似ているので、もしかしたら本人かもしれないなぁ…。その辺は諸説色々あって詳細不明。

 これがまたホントにロックなアルバムでしてね、ギター好きにも大満足頂けるし、もちろん女性歌モン好きには持ってこいだし、プログレオタクにはメロトロン全開にハモンドも入ってるのかな、そして楽曲も起伏に富んだドラマティックなもので構成されているのでよろしい。決して王道に躍り出ることがなかったのはやっぱり垢抜けない歌声と音色のセンスかねぇ(笑)。やっぱB級的な空気が詰まってるもんな…。ただ、それは録音時の音の問題でして楽曲のセンスは相当なものでしょう。そこらのプログレバンドには負けません。

 ところでこのジュリアンズ・ジェイ・サヴァリンって人は元々SF作家でして、どうしてバンドを組んでこんなに素晴らしい作品を出していたのか不思議なんだけど、ハヤカワ文庫とかでも割と見かける名前なのだな。ユニークな経歴と職業の人です。そもそもコンセプトアルバムやストーリー展開をアルバムで行いたいということから三部作構想でアルバムリリースしたらしいけど結局この二枚目で終わってるんじゃないか?三枚目の存在は聞いたことがないもん。

 しかし良いねぇ~、やっぱりこういう世界が一番自分にしっくり来るな(笑)。暑い夏でもしっくり来るんだから面白いものだが、ロックらしいロックなんだよ、こういうの。






Curved Air - Second Album

 今からしたらあまり考えられないんだけど、カーヴド・エアーというバンドのシングル曲が英国で4位にまでチャートを登って売れまくったって時期があったらしい。1971年頃のお話らしいんだが、カーブド・エアーってそんなにポップだった時期があったっけ?なんて思ってみてもなかなか思い付かない。はて?と思うんだが、それを知った頃ってのはまだCD再発してなかったからカーブド・エアーなんて全然手に入らなくて、アナログでちまちま探して買ってたけどセカンドアルバムはオリジナルが変形ジャケットでリリースされていたことで有名だったので、変形ジャケットのが欲しくて買ってなかったんだよね。見つけても7000円くらいだったからすぐには買わなかったのもあるが(笑)。

Second Album Live
Curved Air - Second Album Second Album
Curved Air - Phantasmagoria Phantasmagoria

 そんなカーブド・エアーの「Second Album」というタイトルズバリの二枚目です。改めて聴いてみても全然ポップじゃないし、とても売れるアルバムとは思えない(笑)。シングルカットで売れたという「Curved Air - Second Album - Back Street Luv Back Street Luv」にしても全然キャッチーじゃなくてなんで売れたんだ?ってなくらい。そもそもこのバンドってもの凄く実験的要素の強いバンドだからヘンなんだよね。フランシス・モンクマンとソーニャ・クリスティ-ナ、ダリル・ウェイで全てが終わる、みたいなさ。ソーニャは演劇出身だからケイト・ブッシュと似てるかもしれないけど、そこまでのシャープさはなくってもっと艶めかしい人で…、いや、どの写真見ても色っぽいもん(笑)。まぁ、要するに艶で先にリスナーを惹き付けたアイドルみたいなもんだろうけど、その分バックの音楽家二名が好き勝手に実験的音楽を創っていったという、今で言うパフュームみたいなもんか(笑)。

 それ故にこの「Second Album」もアーティスティックな創りになっていてA面がダリル・ウェイの作品集、B面がフランシス・モンクマンの作品集。どちらにも言えるのがフランシス・モンクマンのギターよりも鍵盤、それもVSCシンセサイザーに比重が置かれているってことだ。ダリル・ウェイのエレクトリックバイオリンはもちろん妙~にアシッドな雰囲気を醸し出しているんだけど、そこにVSCシンセが絡むから余計にアシッドになるし、更にそこにソーニャの艶めかしいエロ系の歌声が絡むから、やっぱり普通じゃない音世界になるわな…、と。その分躍動感やポップ感やロック感ってのはかなり欠如するモノになるんだけど、きっとトリップしているヤツには心地良いアルバムだろう、ってなモンだ。芸術的すぎるアルバム、とも言えるが…。そして最後に13分弱にも及ぶ大作「Piece of Mind」を披露するんだけど、これがこの時期のカーブド・エアーというバンドを象徴している。名曲とは思わないけど、凄く雰囲気たっぷりムードたっぷりでアーシーな雰囲気を表現してくれている。マジメに聴いているとホントにどこかに行きそうな音世界だもん。絶対レコーディング中にあキメていたに違いないと思うんだけどどうかね?

 この「Second Album」までのカーブド・エアーが一番実験的だったね。シングルヒット「Back Street Luv」があったからこんなことも他のバンドよりも自由に出来ただろうし…、しかもレーベルはワーナーだったんだから余計に驚く。そんで次の「Phantasmagoria」で一気にバンドとして開花するってところかな。個人的にはやっぱりその後のライブアルバム「Live」が好きなんだけどさ。



Rennaisance - Turn On The Card

 女性の美しい歌声に囲まれると言うのは季節を問わずに心地良いものだなぁとつくづく思う次第です。そんなことで一足も二足も先に立派なマダムになっている美しき歌声を持つ女性の走りとも云えるアニー・ハスラム妃の属するルネッサンス。来歴はそこかしこで見てもらうとして、クラシカルな作風とロックの融合に対してアニー・ハスラム妃のクリスタルボイスを前面に配することでポップさとキャッチーさを打ち出してロックファン以外にも大いにアピールしていたバンド。作風では70年代後半頃まではプログレッシブと呼ばれる部類に属するサウンドで大曲を中心に演奏していたけど、徐々にポップ的な傾向へと進んだ…結果70年代後期から80年代には生き残れずに崩壊。21世紀になって再結成して奇跡の来日公演を行った記録は「ライヴ・イン・ジャパン2001」というCDで楽しめる。

運命のカード カーネギー・ホール・ライヴ
Renaissance - Turn of the Cards Turn of the Cards

 ってなことで、過度期でもありまた非常に充実していた時期のルネッサンスが1974年にリリースした傑作「運命のカード」です。ジャケットは見て分かるようにヒプノシスの妙~なセンスで、アルバムタイトルともリンクしているナイスな代物、裏ジャケではカードにメンバーが写っているのも憎い演出ですな。

 さてさて、あまりにも好きな作品なので語るに語れないんだけど(笑)、いや、なんつうかルネッサンスのやりたかったことって多分このアルバムに全て詰め込まれているんじゃないか、と。冒頭の「Running Hard」からして10分弱の大作で実に叙情的でクラシカルで且つロック的な疾走感と美しさに満ち溢れた作品でして、そこに歌メロがキャッチーに入っていたり音色も豊富に要所要所にしっかりとさり気なく置かれていて非の打ち所がない傑作。とても10分弱の曲とはおおえないほどのドラマ性がここにはある。ピアノの音色がそのドラマに起伏を付けているんだけど、バックのハットやベース音などがロック的疾走感を煽る…、いや、素晴らしい。そして次には3分程度の小曲「I Think of You」でしっとりと英国的に牧歌的歌い上げるという華麗さ。そしてA面最後を飾る「Things I Don't Understand」も10分弱の大作でやはりベースとピアノが曲の骨子を創り上げながらルネッサンスの影の功労者でもあったマイケル・ダンフォードの正式加入も大いに影響があるのだが、アコギの使われ方が顕著とも云える、正に組曲的クラシカルロックの最高峰。アニー・ハスラム妃の天上から降りてくるような歌声も素晴らしい。

 B面は美しきアコースティックな調べから始まり圧倒的な歌声で攻めまくる「Black Flame」。あまりメジャーな曲でもないようだけどメロディの秀逸さとアニー・ハスラム妃の起伏に富んだ感情的な歌声は実に感動的で終盤ではどこかゆりかごに揺られているような至福感すら味わえる不思議な楽曲ですらあるが、その壮大感はこれもまた見事なもの。更に続いて「Cold Is Being」はアルビノーニのアダージョに歌詞を付けて歌い上げた代物で、実に荘厳な雰囲気を醸し出した名演。この旋律はねぇ、ジム・モリスンの「」にも使われているので、そっちのも印象的だったからハッとするメロディだった。そして最後も10分弱に及ぶ超大作、そして超名作でもあるルネッサンスというバンドの集大成とも云える代表曲「Mother Russia」。ドラマ性や叙情性、そして哀愁性と欧州的センス、更に美しさや感動を与えてくれる何も言うことのない程に圧倒してくれる素晴らしき楽曲。10分弱では短いと思わせてしまうくらいの繊細で美しい音色と構築美で練られた音世界に身を委ねて…。終盤の壮大なコーラスワークから天上の歌声が降りてきて、更に大合唱へと雪崩れ込む様は他を寄せ付けない美しさと威厳を保った正に大英帝国的重厚さ。

 う~ん、久々にマジメにがっつりと聴いて書いた、って感じだ(笑)。何かね、やっぱ引き込まれるんですよこのバンドの音には。マニアさんからしたら全然大して聴いてないし、深堀もしてないんだけど聴く度にハマっていくし、それだけ答えてくれる音世界を持ったバンドなんだよね。アルバムジャケットから音から楽器から曲から全てがどこを取っても英国的でさ。

 それでこの時期のライブにはオーケストラを伴ってツアーを行って大成功を収めたということでライブアルバム「カーネギー・ホール・ライヴ」が1976年にリリースされている。これもまた素晴らしい名曲ばかりが収められた、しかもオーケストラ付きなのでたっぷりと堪能できるライブ盤…、またその辺は次回♪






Kate Bush - The Kick Inside

 こないだピーガブについてあれこれ見てたらケイト・ブッシュと一緒にやってる「Don't Give Up」のPVに出会ってさ、これがまた実に革新的な…と言うか演劇的なビデオでして、二人がず~っとキツク抱き締め合って交互に歌っているんだけど、歌うときは土台が回転してそれぞれの顔が見えるというもので、バックはデカい月というもの。面白いなぁ、と。そんで、ケイト・ブッシュも久しく聴いてないな…ってなことで、思い出しました。

天使と小悪魔(紙ジャケット仕様) 天使と小悪魔(紙ジャケット仕様)
Kate Bush - The Kick Inside The Kick Inside
Kate Bush - Lionheart Lionheart

 1978年リリースのファーストアルバム「天使と小悪魔」。日本盤と輸入盤ではジャケットが違っていたので些か混乱したんだけど、どうも日本独自のジャケットだったみたい。どうしてもこのピンクのタンクトップを着たケイト・ブッシュのどアップの方が印象が強いのだが、今のCDではリリースされていないのかな。まぁ、ウワサや伝承では15歳の時からデヴィッド・ギルモアにその才能を見初められていて、あまりにも若すぎるってことでしばし様子見してから待望のデビュー。もちろんギルモアさんもたくさん手助けしているらしいけど、ギルモアさんこのレコーディング時期ってピンク・フロイドの「狂気」を創った頃なんじゃないか?まぁ、創作意欲旺盛だった頃だってことで、良い影響及ぼしているのかもしれない。

 自分も随分若い頃にこの作品に出会って、何か妙な浮游感を味わったな…。キライじゃなかったけどポップスでもないし、ロックらしいロックでもないし、何だろ?、でも面白い…、みたいな感覚。凄く音楽的に色々なモノが詰まっている作品ってイメージでした。そこからウン十年の間には何十回もこの名盤「天使と小悪魔」を筆頭にケイト・ブッシュの数々のアルバムを聴いてその深さを楽しんでいるのだが、今聴いてもこの鮮やかな衝撃は軽く味わえる。やっぱりかっ飛んだ作品ばかりを連発していたケイト・ブッシュの原点です。捨て曲が全くないし、しかも普通に一般人でも聴ける軽さも持っている。同時に不思議なことにロック好きなディープな人達にも訴えかけるロックさもあるという…。この人はホントに独自の世界を築き上げてるよね。演劇から来てるから、演劇的な部分や喜劇的な音楽の創りを持っているのが特徴的なんだろうけど、そのお茶目なボーカリゼーションも独特の歌い方だしね。

 ユニーク、という言葉が似合う。彼女の異世界に入り込むとかなり抜けられなくなるし、音的な側面で聴いているとこれほどまでにたくさんの音色を使う作品もそうそうないぞよ、ってことにも気付く。どうしてこんな音がここで出てくるんだ?ってのに凝るとスタジオワークにハマる。でも、やっぱりケイト・ブッシュの歌声を単純に楽しむのが一番聴きやすいでしょう(笑)。きっと彼女はそういったことから曲それぞれが持っている演劇性を具現化したくてステージを練っただろうし、音色の世界に凝りすぎて「ドリーミング」を創ったんだろうし。そしてあまり伝え漏れてこないのが彼女のプライベートな側面。結婚して子供がいるのかな?どうなんだろ…。もう50歳前後だろうから素敵なマダムになっていることだろう…。まぁ、今や30年以上も昔となってしまったこの「天使と小悪魔」を聴いてみても全く色褪せていない名作なので、それで満足しよう。しかし「Kate Bush - The Kick Inside - Wuthering Heights 嵐が丘」の美しさは中でも群を抜いているかもしれない…、それくらい感動が溢れる曲です♪





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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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