Queensryche - American Soldier

 アルバムジャケットのインパクトが大きかったなぁ、これは。誰でも考えつきそうなジャケット写真だけどなかなかなかった。中味知らなくても何となく戦場の兵士が絡む作品なのかな、しかも重い音に違いないだろうな、と思わせるジャケットじゃない?まぁ、リアル過ぎるのがアメリカのバンドだろうな、とは思ったんだけど、次の瞬間バンド名見て納得した(笑)。クイーンズライクの新作でしたか…。全開のカバーアルバムの「テイク・カヴァー」ジャケットもガスマスクしたヤツだったから何か偏執的なところがあるのかもしれん…と。いや、クイーンズライクってあんまりよく聴いてないしそれほど知らないんだよね。だからもの凄く客観的に聴けてしまうし、ネットの意見なんかでもそうかなぁ~、と自分の感覚とは異なるものが多いからちょっとズレてるレビューになると思う(笑)。こういう時にはこういうのが好きな友人に反応を聴けば一発なのだろうが…な、ヒロシ君。

アメリカン・ソルジャー オペレーション:マインドクライム I&II -コンプリート・ライヴ
Queensr?che - American Soldierアメリカン・ソルジャー

 「アメリカン・ソルジャー」…12作目の作品らしい。そしてボーカルのジェフ・テイトが編み出したコンセプトアルバムってことで、兵士のインタビューをそのまま作品にしたらしいが、まぁ、正直云ってダイレクトで英語分かる訳じゃないから歌詞の中味そのものと作品は割と別物で聴いている自分的にはどっちでも良いんだけど、そういう背景であればやっぱり悲痛な叫びとか思い入れの強い歌い方とか、楽曲にしても重くなることは必須で、明るく楽しもうアメリカンロック、ってはならないだろう、というのはわかる(笑)。いや、ほんの冗談。

 どうやらここ最近のクイーンズライクの評判があまりよろしくなく、過去の遺産と名作を生み出した故にファンに過度な期待をさせてしまっているようなところから批判が多いっぽい。う~ん、わかるけどね。ただ、この「アメリカン・ソルジャー」という作品を聴いてみて、過去に思い入れの全くない自分的にはこの作品、よくできてるなぁ~と思ったのが素直な感想。確かに重いしメタル的かと云われれば多分違うな、って答えるけど、ポリシー持ったロックバンドの音だろ、これ、って思うけど。歌詞に重き置いているからか、楽曲による派手な構成や展開は多くはないけど、それでも緻密に練られたアレンジと音世界が凄いよ。コーラスワークにしても見事にセリフとか配役とか分けて展開しているしね。

 ただ、やっぱり深みと面白さが足りないから何度も聴く作品にはならないと思う。でも、こういう問題提起は必要でしょ。軽い音ばかりのアメリカではさ。あ、そんなことないか…、ダークでデス系ならアメリカもいっぱいあるもんな…、でもメジャーでこれだけ問題を提起できるって偉いんじゃないか。まぁ、音楽的にはそりゃファンのニーズは満たせないだろうが、スタンスはしっかりしてるってのが伝わってくるよ。





Heaven & Hell - The Devil You Know

 ここの所あちこちの気になるバンド群が新作を出していて、それこそここに書いておこうってのが山積みなのだが、何となくハマっていた音楽を聴き進めていくのもあって、モタモタとしていたのでちょっとストーリーラインを無視して様々な新譜を取り上げてみたいなぁ、と。まぁ、それでも偏っているので何となくわかる…ってな人もいるんだろうな(笑)。歳と共にますます何でも聴くようになってきたので新譜と云っておきながら実は数年前の作品とかもあるかもしれん…(笑)。

ザ・デヴィル・ユー・ノウ Dehumanizer

 まずはこのメンツでの新作リリースに驚いたヘブン&ヘル=ロニーサバスの新作「ザ・デヴィル・ユー・ノウ」だが…、マジにぶっ飛ぶくらいの完成度。70年代が黄金期と云ってもここまで完成度の高いアルバムってのはなかなかなかったぜよ、これ。恐ろしくレベルの高い悪魔的ヘヴィメタル。さすがトニー・アイオミさんのサバス節だ。そこにロニー・ジェイムズ・ディオの同じく悪魔崇拝趣味が重なるワケだから思い切りそのまま。

 全曲重低音の効いたミドルテンポクラスのヘヴィ名楽曲で占められていてキャッチーな歌メロなどはほぼ皆無…せいぜい「Double Of Pain」くらいだろうか、それだって決してキャッチーというワケではなしが(笑)。正に暗黒の世界に引き込まれるかのようなダークな雰囲気と旋律と何と云ってもトニー・アイオミさんのおどろおどろしいリフメイカーは健在です。なんと素晴らしいアルバムだ。多分数回聴いたくらいだとどの曲も覚えられなくてただひたすら重くて疲れた、という感触の作品だけど、これがまた何回か聴いていると心地良くなってくる重さなんだな。これぞ正統派ヘヴィメタル…、英国寄りの壮大さと尊厳も備えた見事なアルバムだった。

 「ザ・デヴィル・ユー・ノウ」…嬉しいよねぇ、こういうのが大御所から出てくるとさ。若いバンドも負けてられないってなるだろうし、決して老いぼれどもなどと宣われないレベルの気合い満点の作品だしさ。楽曲構成だって決して古い音の踏襲ではなくってしっかりと近代的な感覚での構成を持っていたり展開を持っていたりするしね。「Rock'n Roll Angel」なんてのが良い例でして、ちょっとひねってる。あぁ、曲のタイトルは軽いが、音は全く「エンジェル」なんてもんじゃないしましてや「ロックンロール」なんて軽いモンじゃないけどさ(笑)。

 音的には随所でクラシックギターの音色が効果的に入っていたりピアノがあったりするのが新鮮で、序章終章の所で使われるんだけどハッとする雰囲気があるね。しかしこの人達…ってかロニー・ジェイムズ・ディオって今年66歳なんだよ…、トニー・アイオミさんだって61歳だぜ?70歳近い爺さんがこんなの歌ってヘヴィメタルっつって君臨して、しかもこんな凄いアルバム作って…、どうすんだよ(笑)。66歳って皆さん自分の周りのお爺さんをみて下さい…、それがロニー・ジェイムズ・ディオです…。恐ろしいが凄い。



Phil Lynott - Solo In Soho

 ゲイリー・ムーアが失踪してしまったシン・リジィは当時ツアーを行っており、その頃色々なサポートを得ていた友人のミッジ・ユーロ(ウルトラボックス)にヘルプを頼んで日本を含むツアーを無事こなし、全くどうなることかというような状況下、スノーウィ・ホワイトに参加してもらうまでには多少時間がかかったみたい。なんか、このヘンの時系列的なのが気になったので調べてしまった…(笑)。

 1979年9月にゲイリー・ムーア失踪、そのままミッジ・ユーロにツアーギタリストとして依頼。10月以降にはフィル・リノットの初のソロアルバムとなる「Solo in Soho」のレコーディングセッション。これがまたシン・リジィのメンツはもちろん実に多彩なゲスト陣を迎えた作品なワケだ。そんで1980年の4月から「Chinatown」のレコーディングだったらしい。

 ってことは、録音開始はソロアルバム「Solo in Soho」が先だったけど、もちろんシン・リジィのことも忘れていたワケじゃなくてメンバーが見つかり次第速攻で活動開始って形にしたんだな、と。アルバムリリースで云えばソロアルバム「Solo in Soho」が1980年9月のリリースでシン・リジィの「Chinatown」が1980年10月ってことだからまぁ微妙なタイミングだな…。もっとも音楽性がかなり異なるのでそれはそれで良いのだろうけどさ。

Solo in Soho The Philip Lynott Album

 そんなことでフィル・リノットの悩ましい時期に録音されたアルバム「Solo in Soho」をついでに…。一言で言うとねぇ…、ソフトで優しいアルバム。シン・リジィでのあの毒々しいハードさは一切なくって、シン・リジィの最初期にフォークでやっていた頃に近い感覚で、歌い方も思い切りメロウだったり、ドラマを演じているかのような感じでもある。大体歪んだギターは入ってないしさ(笑)。

 参加している布陣はもちろんシン・リジィの面々にミッジ・ユーロ、マーク・ノップラーやゲイリー・ムーア、スノーウィ・ホワイトも参加してるからこっちが先で、そのままシン・リジィに参加させてしまったのかもしれんな。などなどの面々だけど、あんまりゲスト色は強くなくって…というか強いんだけど歌中心に聴いてしまうアルバム作りになってるから気にならないっつうか…、いや、多分聴いてないだけだ(笑)。しかしそれでもゲイリー・ムーアがギターを弾きまくる「Jamaican Rum」は素晴らしい…と聞こえるんだが。

 しかしミッジ・ユーロとフィル・リノットってのはよくわからん…。もっともこの人の場合不思議な関係が多いから何も言えないけどさ、ジョニー・サンダースの「So Alone」に参加してたりするし…。ソンで、まぁ、このアルバム「Solo in Soho」なんだけど、ソフトなフィルが出ているからと云ってもあのメロディセンスは健在で「King's Call」とか「Girls」とかは良いねぇ。売れたらしい「Yellow Pearl」はちょっとミッジ・ユーロの個性が出すぎていて聴きづらいけど…、こういうのってデヴィッド・ボウイ的な音だなぁ…とか考えたりしました。


Thin Lizzy - Chinatown

 ジョン・サイクスのゲイリー・ムーア好きは音を聴いていてもアリアリとわかるだろうし、その後のシン・リジィ加入からホワイトスネイクに至るシンデレラストーリーも知られた所。もちろん実力ありきの話だけど、恵まれた遍歴なんだろう。そして今ではシン・リジィの看板として活動しているってのを見ているとなんだかんだとジョン・サイクスにとっては一番思い入れの強いバンドだったんだろうなぁ、と。

Chinatown Renegade

 そんなシン・リジィがNWOBHM時代の幕開けを知る直前のアルバム「Chinatown」。1980年リリースだからギリギリなんだろうな。これ以降はプロデューサーも変えたりして圧倒的にメタリックな音作りになっていくワケだから、その辺はNWOBHMを意識したんだと思うけど、この「Chinatown」はまだ古き良き70年代ハードロックの名残が残された作品。だからメタリックというよりはマイルドなハードロックの音。そしてもちろんフィル・ライノットというメロディメイカーが健在で、例えそれがドラッグまみれだったとしても才能を無駄にすることなく作品に反映されているのだ。

 まぁ、ジャケットからしてちょっと取っ付きにくいっつう感はあるけどタイガース・オブ・パンタンの「Spellbound」だって似たようなモンだろ(笑)。まさかそこまでジョン・サイクスが影響を受けていて真似したということはないだろうけど、共通するモンはあるな。

 この時期のシン・リジィはと云えば、先のゲイリー・ムーアが再度失踪?したためにこの頃だと…ピンク・フロイドの「The Wall Tour」に帯同してデイブ・ギルモアの向こうを張ったギタープレイを聴かせていたスノーウィ・ホワイトがギタリストで参加した頃だ。その時の音は「Is There Anybody out There? The Wall: Live 1980-1981」で聴けるし。しかしこの人の思いきり正反対とも云えるバンドの選択って凄いよな。フロイドとシン・リジィってねぇ。器用な人です。そしてスノーウィ・ホワイトの得意とする爽やかなブルースフィーリングを持つギタープレイがこの「Chinatown」で生きているかと云われるとちょっと疑問でして…、まぁ、ソロとかではそんなテイスト出ていたりするんだけど楽曲全体からするとまだまだ出し切れていない気がするんだな。それでも結局次のヘヴィメタアルバム「Renegade」まで一緒に活動するんだから仲が良かったんかね。この時代に二つのビッグバンドを掛け持つってのは相当器用人ってワケだが…。

 さてさて、そんな遍歴はともかくこの「Chinatown」だが…、シン・リジィの作品群に入ると非常に地味な立ち位置に属しているんだけどこれがまた実は凄く良いアルバムなんだな。キャッチーなメロディってのはもちろんだけどツインギターもやっぱり面白いし、そういう意味ではスノーウィ・ホワイトのギタープレイってのが繊細で美しく旋律を紡ぎ出しているってのは大きいのかも。もちろんいつもの軽めのロックンロールブギ調ってのも変わらないからさ、ノリは問題ないでしょ。んで、何と云ってもここでのフィル・ライノットの歌が妙に良いんだよね。なんでだろ?いつも通りなんだろうけど、凄くマッチしていて一番揺さぶられるって感じ。割と捨て曲がなくって、全編楽しめる名盤なんです。有名なのは「Killer On The Loose」だけど、A面全て、B面も全部かっちょよい。ここに辿り着くのも時間掛かるかもしれないけど、辿り着くと凄く面白い作品だったなぁ。





Tygers Of Pan Tang - Spellbound

 ギターヒーローがどんどん出てきた時代だった…と云うよりもギタリストがとにかく目立ってかっこよくって花形だった。煌びやかで華があってさ…。NWOBHMのシーンそのものはクラブやライブハウスのアングラな所で繰り広げられていた、ほとんど陽の当たらない世界ではあったけどそこから出てきたヒーローは眩しいほどに輝いていた。その中の一人がジョン・サイクスだろう。シン・リジィの「Thunder and Lightning」に参加した最後のギタリストとしての側面が強いんだけどNWOBHMから見ればそれは過去との融合でしかなくってあくまでもタイガース・オブ・パンタンのジョン・サイクスなワケだ。

Spellbound Wild Cat

 ジョン・サイクスが参加したタイガース・オブ・パンタンの三枚目の作品「Spellbound」は凄い名盤として語られているし、実際に聴いてみるとこれがまた凄いんだな。今でも通じるレベルの高さと疾走感と泣きのギター。結局こういうのこそがHR/HMの原点だし、70年代から続く英国ハードロックの歴史の生き証人なのかもしれない。そして何よりも聴いていて思うのは日本でもシーンを形成していた1980年代前半のヘヴィメタムーブメントで聴かれたサウンドはほとんどこのタイガース・オブ・パンタンの「Spellbound」に近い世界なワケで、真似していたとかではなく同じようなものを聴いて影響を受けて自分達でプレイしたらほとんど同じような泣きのセンスだったりハイトーンの歌い方だったりギターヒーローになるべくギターを弾いたり、疾走感溢れるセンスになったんだと思う。英国人と日本人のセンスが似ているってことかもね。

 さて、この「Spellbound」だが…、全く疾走感溢れる作品だしジョン・サイクスも弾きまくっているし、何よりもギターサウンドが心地良いのとボーカルのジョン・デリルの歌声がハジけていて気持ち良いってのが一番。こんだけ疾走しているアルバムもあまりないので、そういう心地良さもあるね。キャッチーだけど全然キャッチーじゃなくって疾走している…。かっこよいな。ちょっと軽く感じる部分はあるけど、それがないとここまで走れないからしょうがないかね。しかしまぁ、聴いていて恥ずかしい部分はいくつかあるもののどのバンドにも到達できなかったひとつの金字塔をブチ挙げた作品であることは確か。聴いてみるとちょっと驚くよ、これ。



Girl - Sheer Greed

 バンドに於けるメンバーチェンジの遍歴ってのはもちろん上手くいく場合と全く機能しない場合があって、様々な要因によってその価値は変わるのだろうが、デフ・レパードに加入したフィル・コリンというギタリストは間違いなく双方にとって大成功の図式だったと云える。まぁ、そんなのはアチコチであってアイアン・メイデンに加入して顔役になってしまったブルース・ディッキンソンなんかもそうだし、シン・リジィ最後の加入ギタリストでしかなかったジョン・サイクスが今でもシン・リジィの名を使ってプレイしているとか(笑)。

Sheer Greed Access Denied

 さてさて、そのフィル・コリン(ジェネシスのフィル・コリンズと似ていて、またネットで検索してもこのフィル・コリンズがいっぱい出てくるのでなかなか情報を探しにくいのだ(笑))がデフレパ参加の前に参加していたバンド、ガール。そう、ガール…「Sheer Greed」、何ともまぁふざけたと言うのか、冗談みたいなグラムロック的なバンドでして、1980年に出てきているからちょっとキワモノ的でもあったかもしれんけどなかなか面白い音を出していた。そのサウンドの要はもちろんフィル・コリンだったんだけど、これがまたキャッチーで可愛らしい曲が多くて、その辺のセンスとデフレパのセンスが合致したが故に成功していったんだろう。

 それでこのガールだが、ボーカルには後のL.A.Gunsのボーカリストとして、そして一部では俳優として知られることとなるフィリップ・ルイスなのだが…、どっちかっつうと目立ちたがり屋なだけで取り立てて実力があるワケでもないこの人、パフォーマーとしては非常に面白かったようで、何となく好きだ(笑)。

 アルバムはだなぁ…、ポップでキャッチーなハードロックで、ありそうでない、というか…どこにでも転がっているというか…、いや、特徴はないんだけど面白い…こういうのをB級と呼びます(笑)。良い言葉で言えば退廃的、なんだろうけど、好きな人は好きでしょ、こういうの。NWOBHM勢の持つ金属さとはちょっと外れているから同じに語ってはいけないバンドだろうけど、一括りにされているね。しょうがないが。「Sheer Greed」のジャケットも気合いの入った艶めかしさだと思いません?



Def Leppard - On Through the Night

 NWOBHM出身ではない、と言い張るデフ・レパードの意地はともかく(笑)、アイアン・メイデンよりも更に違う形で世界を制したバンドってことではデフレパってのも挙げられるんじゃないかと。まぁ、自分的にはほとんど通ったことのないバンドのひとつでして、英国のバンドだとすらあまり思わなかったってのもあるんだが…。それでも青臭い時代のデフレパはきっと違ったんだろう、ってことでファーストアルバム「オン・スルー・ザ・ナイト」はちょこちょこと耳にしていたので…。それでもやっぱりちょっと違ったが(笑)。

オン・スルー・ザ・ナイト ハイ・アンド・ドライ(紙ジャケット仕様)

 1980年リリースなので、正にNWOBHM全盛期に出てきたバンドだけどデフレパの場合もメンバーチェンジがいくつか発生するのでここでのラインナップはとりあえずシーンに出てきたっていうだけのことかもしれないけど、そういったのもあるから音世界が後の世界を制するバンドとはちょっと違って、もちっとナチュラルなハードロック的でリフが、とかソロが、とかキメが、ってのでもない。流れるようなハードロックだし、コーラスワークもしっかりとしていて、更にキャッチーでウケやすいメロディラインで、最初からアメリカ進出を意識していた、っつうかアメリカに受ける要素を持ち合わせていた若者達による傑作かもしれない。当時まだ全員10代だったというから恐ろしい。

  特徴的な音か?と云われるとちょっと困るけど、シンプルな曲構成とキャッチーなメロディ…、心地良いほどに流れる旋律といういわゆる普通のハードロックなんだけど、何だろう?所々光るものが聞こえてきて、作品のレベルはかなり高いものに仕上がっているのだな。多分細かいところが凝っていたり拘っていたりするからだと思うし、それに演奏力も割としっかりしているので聴けるってのも大きい。そういう言い方しては失礼なのだが、10代でコレは凄いな。

 今のデフレパでこのアルバムからの楽曲を演奏していることはないとは思うけど、どうでしょ?大きく方向性も違うし、そもそもフィル・コリンいないしね。それでも埋もれさせるには勿体ない作品かな…、ちょっとアメリカ寄り過ぎるキライがあって素直に受け止められないけど、じっくり聴くとやっぱ英国か…ってのがあるからなぁ。ま、アルバムジャケットが地味ってのがちょっと不思議でして、後にヒプノシスを連発するバンドのファーストとは思えない(笑)。



Iron Maiden - Iron Maiden

 NWOBHM界で最も成功した、そしてハイレベルなクォリティの作品を生み出す能力を持ったバンド、アイアン・メイデン。ま、ステーヴ・ハリスの才能と執念によって一本のスジが通っているところが現代までも続いていて、それがまたかっこよいんだよね。そんなアイアン・メイデンが世間に衝撃を与えたファーストアルバム「鋼鉄の処女」こそがNWOBHMの最高傑作か。

鋼鉄の処女 鋼鉄の処女
Iron Maiden - Iron Maiden Iron Maiden

 1980年リリース…、その前にはシングル「Running Free」でメジャーデビューしているんだけど、スティーヴ・ハリスの執念っつうのはさ、恐ろしいまでのメンバーチェンジを繰り返しながらもひたすら自分達の音を追求する姿勢というのかね、そんなのがアマチュアの頃から繰り返されてたらしく、このファーストアルバム「鋼鉄の処女」の頃ですら結果論としては流動的なメンバーでの制作だった、ということだ。それでこのクォリティかい?う~む、恐ろしい…。

 簡単に片付けることの出来ないレベルの作品でして、今となっては相当キャリアの長いバンドになってしまったんだけど、英国ロック好きな人は必ず通ってもおかしくないバンドで、HM的な側面がクローズアップされすぎているので取っ付きにくい人でも多分大丈夫では?自分はアイアン・メイデンに辿り着くのって結構遠回りしました(笑)。イメージがね、ヘヴィメタルだったしどのアルバムにも登場するエディ君のおかげだとは思うけど、あまり飛びつかなかったんだよ。勿体ない(笑)。しかし、今はかなり虜になっているバンドのひとつです。どっからどう聴いても英国臭しかしないし、独特の美しいメロディラインや旋律なんてのはいくつもの曲で聴けることは周知の上だし、初代ボーカルでパンクエッセンスも入っているといわれるポール・ディアノの歌声だって、恐ろしく繊細だったりするし、何と云ってもアイアン・メイデンの最大の魅力である楽曲のアレンジと構築美の高さ、更にギターソロを含むギターの展開なんてのが炸裂しまくってます。

 冒頭の「Prowler」からして強烈なリフと展開、そしてギターソロ…インパクト絶大な名曲で30年近く経っても色褪せることなくその衝撃を与えてくれます。続いての「Remember Tomorrow」の正に大英帝国のバンドでなければ産み出されないであろう美しさはウィッシュボーン・アッシュの「King Will Come」に匹敵する、そして拡大解釈して発展させたスタイルで、ひとつの在り方を聴かせてくれる素晴らしく、人気の高い曲。そんでシングルとなった「Running Free」はパンク的、と呼ばれる所以でもあるくらいにシンプルに押し迫ってくるシャッフルな曲で、ここではドラムの生々しさがモロに浮き出てきて、そこにポール・ディアノの強引な歌が入ってくるというものだが、確かにシングル向けのシンプルな構成で、バンドの姿を上手く表している曲かも。そして何と云ってもアイアン・メイデンのひとつの側面を大々的にアピールして人気を得たスタイルの頂点でもある「オペラ座の怪人」こそスティーヴ・ハリスの意地の集大成。っつうか、コレ、思い付かないだろ、普通(笑)。その辺がジェネシスマニアのスティーヴィ・ハリスのセンスなんだろうけど、見事な楽曲で美しい。この美しさと繊細さを醸し出しながらバンドの主軸であるHM性を出して…、そしてアルバム全編に万遍なく蔓延っているベースラインの凄まじさが特徴的…。うん、個性の集団。サムソンで浮いていたブルース・ディッキンソンの歌声すらも後には簡単に織り込んでしまえるくらいの懐の広さを持つバンドなワケで、やっぱ色々な所で凄い、ってのを持っているんだよね。

 B面に入ってみればこれもまた美しい曲がひたすら並べられていて、完全に大英帝国という音世界が広げられている…。ここまで英国らしい音を出していると思わなかったので、聴いた時には結構驚いた。素直にHMバンドとして入ってみた人はセンスも良いし運も良い人だと思う。うん、出会えただけでも幸せなバンドでもあるが…。(…と友人ヒロシ君に言ってみる(笑)。)

 アナログ時代とはアルバムジャケットが異なっていて、現行CDではあくまでもCDでのジャケットが使われている…つってもパッと見ると大して違いがないように思えるのはこのアートワークセンスの素晴らしさか。アルバムジャケットをエディ君で押し通すバンドイメージ戦略も最初から貫いていることも見事。そしてアルバムが40分程度というのも聴きやすいし全く捨て曲はないし、録音された音も荒削りと云われるけど、もの凄く生々しいアナログな温かみのある音での録音だから聴きやすいんだよね。だから悪いところが見当たらない…。英国ロック史にかならず残すべきアルバムのひとつでして…、しかしスティーブ・ハリスのベース、すげぇな…。



Samson - Shock Tactics

 実に有象無象のバンドを輩出していた英国のメタルシーン創世期だったが、結局そのシーンからまともに残ったバンドってのはアイアン・メイデンくらいなもので、シーンの形成とサウンドの普及に一役買ったのみという哀しい結果に終わってしまっている。しかしアイアン・メイデンの成功というひとつの象徴はシーン全体に多様な結果を残したのも事実、らしい。知っての通りアイアン・メイデンってのは初期はメンバーチェンジが激しく、アルバムリリースごとにメンバーが異なるというくらいのものだったワケで、それぞれのメンバーの行った先のバンドもあれば元のバンドってのもあるからアイアン・メイデンのファミリトゥリーは膨大なものになっていく。その中のひとつにサムソンというバンドがある。一般的にアイアン・メイデンの声として有名なボーカリストが元々在籍していたバンドがサムソンなのだ。

Shock Tactics Head On

 1980年リリースの「Shock Tactics」という作品が一番評判が高く、確かにバンドとしての完成度も高いし、ボーカルのブルース・ディッキンソンもよく声が出ていてアイアン・メイデン的でもあるので、楽しめるものだ。しかしソングライティングの違いでここまで歌に差が出るモノかってのもあるが、この「Shock Tactics」というアルバムを聴いていると後のアイアン・メイデン時代よりもやっぱり若さが前に出ているって感じかな(笑)。グイグイ引き込まれる楽曲の違いもあるけど、強烈なインパクトの歌が全ての楽器に勝っているっていうのがアリアリとわかるので、バンド内のバランスも悪かったんだろう。そんな風に聞こえるバンドってのも珍しいけどね。

 さて、サムソンというバンド自体の話だが…、NWOBHMシーンに相応しい金属的な荒々しいサウンドで、楽曲はちょっと中途半端な感じが否めないんだが、それら全てをブルースが引っ張っていってしまっているというものだ。様式美的な楽曲を目指している風でもないし、パンクとの融合というワケでもないし、一本調子に攻めるというものでもない…。割と多様なサウンドを試しているという感じだが、やはりブルースに全て持って行かれているってのがな…。

 やっぱりどう聴いてもブルースの前歴確認レベルでしかなくって、それがまた納得出来すぎるくらいに強烈でした、ってなもんだ。結果、アイアン・メイデンの楽曲レベルはこの歌を非凡なモノにしてしまうくらいの素晴らしさってことで、なんだかんだとアイアン・メイデンってのはなるべくしてなったバンドだし、選ばれたモノ優れたモノが集められた集団となったワケだ。

 さて、サムソンというバンドだが、このアルバム「Shock Tactics」でブルースがアイアン・メイデンに加入してしまうので、そのまま消滅してしまったらしい。う~ん、それもしょうがないことだが、こういうB級の香りってのもなかなかよろしいね♪



Diamond Head - Lightning to the Nations

 今となっては珠玉の宝石が山のように眠っていたような80年前後のNWOBHM群を占めるバンドの数々…、中でも後になってからこれほど評価されることとなったバンドとしては最も名高いであろうダイアモンド・ヘッド。メタリカによるカバーが4~5曲くらいあって、それでオリジネイターとして名を挙げることとなったようだ。まぁ、メタリカのドラムのラーズはNWOBHMのマニアだからね。

Lightning to the Nations (The White Album) Lightning to the Nations (The White Album)

 ってなことで、名盤中の名盤の誉れ高いダイアモンド・ヘッドの1980年リリースの「Lightning to the Nations (The White Album)」だ。全く休む間もなく紡ぎ出されるヘヴィなリフの数々は確かにヘヴィメタルの名にふさわしい重金属サウンドで、ギターリフの変態性もさることながら、楽曲構成の面でも他のバンドとは一線を画している部分があって、ガラリと変わる展開を持っていたりするのが面白いね。ボーカルはよくZep的と言われるけど、出身地がバーミンガムってことでオジー寄りってことにしておこう(笑)。いや、聴いてるとオジーみたいな歌い方とか声のトーンとかが多いのでどうしてもそういう感じに聞こえてしまうんだよ。この歌声が特徴的でヘンな言い方だが、楽曲のノリを全て殺して独自の重さというのか雰囲気を醸し出すことに成功している…、成功?かどうかは疑問だが、まぁ、独自性が高いんだな。

 それにしてもここまでラフな音でのアルバムってのもなかなか巡り会わないってくらいラフ。きっちりと作っていたら面白くないだろうから、これで良いんだけど凄く迫力があって勢いがモロに出てくる。こういう音こそロックだな。もちろん音質もそれほど良いワケじゃないけど、生々しくてよろしい。確かに後にメタリカがカバーして有名にしていっただけのことはあって、スラッシュとは言わないけどかなりヘヴィで金属的な音がたくさん詰め込まれているね。

 …、ちょっと調べてたら何と昨年初来日公演を行っていたらしい。それにしてもダイアモンド・ヘッドについて書かれているブログやウェブ記事がこんない多いとも思わなかったので驚いた。メタリカ効果は絶大です。そしてそれだけファンを虜にするくらいの価値は十分に持っているアルバム「Lightning to the Nations (The White Album)」だと云えるしね。個人的にはこういうの聴いているとどうしてもバッジーに行き着いてしまうような気がするんだが…。



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Angel Witch - Angel Witch

 英国のバンドの面白さってのはポップスでもロックでもメタルでもインストでもそれらいさがにじみ出てくるところだ。英国人の美学と誇りってのがそういうのを染み出させるんだろうと勝手に解釈しているんだが、そのセンスに慣れると何を聴いても大体英国の音だ、ってのがわかるようになる(笑)。ヘヴィメタルにしてもそれは変わらず、改めて今更聴いているNWOBHM群だが、その名の通り英国のヘヴィメタル群なので、どれもこれもツボにハマるんですよ、全く。音そのものの好みというのを通り越して英国の音、という所で聴いていまっている部分はあるな。ま、HM好きだけど(笑)。

Angel Witch Resurrection

 その一連の中で悪魔主義的なモチーフを持ち込み、後のシーンに影ながら大きな影響を与えたらしいAngel Witchというバンドの最初のアルバム「Angel Witch」を聴いてみたが、どうしてどうして、かなり凄いじゃないか。アルバム裏面に写っているメンバーのショットがこれもまた不敵で、いつの時代だと思うような雰囲気も大変よろしい(笑)。

 音の方はだな、最初の「Angel Witch」というタイトル曲からしてかなりビックリなメタル音。メタリックな速弾きギターソロから始まり、キメの嵐で思い切りそれらしい雰囲気でスタートする心地の良いビート感が見事。歌メロもよろしくって、そうだね、どこかジューダス的かもしれないが…、サビがこれまた可愛くてさ、正に英国ですよ、こういうのは。更に示し合わせたかのようなギターソロと次なる展開という王道。いやいや、美しいじゃないですか。このヘンの展開はクイーンの影響も大きいんだろうと思う。即ちコーラスワークも見事に出来るというコトでして、がさつなLAメタル類とは大きくことなる美しさを持っているワケだ。

 アルバム全体を通しても勢いがあるしテンションが高い、というか高いまま維持してアルバムを貫いている。どこか日本のHMシーンを彷彿させるものだが、全く同じ時期に日本でも盛り上がっていたのだから日本のシーンも捨てたモンじゃない。そしてAngel Witchも確実に英国の文化を継承したバンドのひとつだな…。もっともこのヘンのバンド群はセールス面では相当苦しんだのでバンドの継続というのは大変だったと思うが、再結成とかしてるっぽいね。



Tank - Honour & Blood

 一口にNWOBHMというカテゴライズを言ってみても、その実もちろんなんだけど皆微妙に異なる方向を向いていて、似たようなバンドってのはあんまりないんだな、と。表街道の80年代イギリスと言えば第二次ブリティッシュ・インベーション全盛期=80年代ポップの全盛期ですよ。その水面下で起きていたのがこんなにヘヴィーな世界だったワケで、そりゃなかなか注目されないわな(笑)。

Honour & Blood Filth Hounds of Hades

 そんな中の一端を担っていたタンクの1984年リリースのアルバム「Honour & Blood」なんてのをどうぞ。もうさ、アルバムジャケットからして迫力満点で、正に中味の音をそのまま表している。イギリスのバンドとは思えないセンスでもあるが、とってもかっこよい。今聴いても凄い迫力でパワー満載。

 音的には非常~にモーターヘッド的要素が強いので単にヘヴィメタルという感じではない。もっともギターの流れるようなソロワークやリフなどはメタル的だけど、音の塊がぶつかってくる様がモーターヘッド的で、かなり近い。歌もハイトーンとかではなくってレミー的だから余計にそう聞こえるんだろうな。デビュー時にリリースされた「Filth Hounds of Hades」というアルバムではもっとパンク的というからどんなもんかと…。

 それでこの「Honour & Blood」という作品は初っ端の「The War Drags Ever On」からして凄い。この迫力満点の音圧で8分以上迫ってくるんだから溜まったモンじゃないって感じで、一曲目でエネルギー使います、これ。でも、飽きさせない骨っぽいもんを持っていて、面白い。ゴリ押しの中に美しいギターソロが舞っていて、独特の世界。そんな感じで全曲テンションの高いままモロにヘヴィメタルというサウンドをぶつけてくれるアルバムで、実は相当の名盤です。メロディの美しさ、ツインリードの面白さと旋律の美しさに加えて野獣のような歌声とゴリゴリのバンドサウンド、重低音好きな人は是非聴いてもらいたい音だよなぁ…、って知らなかったのは自分くらいなんだろうか?うん、良いモンに出会ってます。



Praying Mantis - TIme Tell No Lies

 NWOBHMといいう単語は知っているものの、実際にそこに属するバンドの音を聴くということはそれほど多くなかった。まぁ、有名なのはアイアン・メイデンとかデフ・レパードとか、せいぜいサクソンくらいなもので、その他多くはアルバム1枚で消えていってしまったとか自主制作でせいぜい頑張ったくらいというようなもので、ある意味英国のロックシーンの特性なのかもしれない。ヴァーティゴやネオンなどのレーベルが出てきた70年代のロックシーンと似たようなもので、そこまでバンドの数は多くなかったしシーンも長々とは続かなかったからというものだが、それでもやはり良いバンドはあるのかもしれない…。

Time Tells No Lies ベスト・アルバム

 ってなことからちょっと興味を覚えてプレイング・マンティスの名盤と呼ばれるファーストアルバム「Time Tells No Lies」から聴いてみることに。1981年リリースの作品で、後に語り継がれる程の名盤と言われ、更にNWOBHMの要素全てが集約されていると言われているのだから、これで大体わかるだろう、ってな理由なんだが…。

 なんてこった!驚くほどに素晴らしい曲ばかりじゃないか!

 ってのが感想でして(笑)、ホントにこんなに素晴らしいアルバムだったのかと驚いた。NWOBHMの要素がどうの、っていうよりも紛れもなく英国ロックの流れを受け継いでいて、英国的なメロディと空気感とセンスで出来上がっているアルバムなのだ。叙情的なメロディや哀愁漂う旋律などは正しくウィッシュボーン・アッシュ直系とも言えるもので、「Lovers To The Grave」っつう曲ではモロにそのままのサウンドが聴ける。そして感動できるくらいの完成度の高さというところがこのシーンの充実度を物語っているところか。後半のスピード展開も見事に美しくコーラスワークが展開されているし、素晴らしい曲だ。こんだけのものを聴かせられるバンドが眠っていたとは知らなかった…。

 もっとも他の曲について言えば疾走感溢れる曲もあるが、どこかハジけ切れてない感は否めないし、録音もそれほどよろしくないという残念な部分もあるが、それでもギターフレーズの組み立て方や楽曲構成や展開などはこの時期の他のどこを見渡してもあまり見られないモノが多く、ドラマティックに仕上げているところが早すぎた構築美だったのかもしれない。

 「Time Tells No Lies」…なんてこった、凄く良いじゃないか!アイアン・メイデンよりも傑出している作品かもしれんし、デフレパよりも面白いのは間違いない…。正しく英国のハードロックを継承したバンドで、正に直ぐ後にくるHR/HMの波を繋いだバンド。全盛期のウィッシュボーン・アッシュにクイーンのコーラスワークを加えてマイケル・シェンカーのギターを入れたものっていう表現でわかる?いや、それくらい面白い作品♪





Saxon - Denim And Leather

 SGギターの音ってこんなに面白かったっけ?ってなことを思い立ち、しかもHR/HM系でSGギターを使う人って言えばブラック・サバスのトニー・アイオミが大御所で、そういえば誰だっけなぁ…、あと白いSG弾いてるのがいたなぁ…、と記憶を紐解きながら思い出すと…、サクソンだ、サクソン。随分昔に聴いたことがあるくらいで何回も聴いたことないし、代表曲が何かってのも知らないのだが、何かギターの雑誌か何かでSGを抱えている写真を見たことがあったんだよな。それでどこかにあったようなアルバムを探す…。あった…。

デニム・アンド・レザー ホイールズ・オブ・スティール

 1981年リリースの4枚目の作品「デニム・アンド・レザー」。今でも名盤として語られているアルバムで、最初の曲「Princess of The Night」はメタリカもカバーしたことで有名らしい。まぁ、それよりも昔ならサクソンってのはヘビメタっていう印象だったのだが、今ここで聴いてみると、だ…。やっぱし思い切りヘヴィなメタルでして、最近そのヘンで聴くよりももっとキンキンした金属的な音でのメタルで、突き刺さる鋭さを持っている。それこそがNWOBHMの特徴なのか、一本調子で攻め立ててくる楽曲構成も疾走感たっぷりで楽しめるものだが、確かにメタリカがカバーしたくなるだろうよ、こういうのは。

 そしてギターの音だが、確かにSGサウンドだろうと思う。音を聴く限りはSGの音してるもん。まぁ、エフェクトとかかけてこうしてたらわかんないけど、素音だとしたらSGだよ、これは。だから余計に軽くてキンキンしている感じ…、そうかいいなぁ、こういう音。そしてサクソンというバンドの攻撃性もかっちょよいのだが、それ以上にこの「デニム・アンド・レザー」というアルバムの中にある美しき英国的情緒のラインに驚いた。うるさいだけ、って感じだったんだけど、しっかり英国入ってるじゃないか…、当たり前だけど、そういう風に聞こえたことがなかったので驚いた。さすがにン十年も経って聴くと耳が肥えていることがわかる(笑)。

 この辺ってデフレパとかメイデンが有名なんだよな…。サクソンもヨーロッパでは人気が定着しているらしいけど、やはり世界的ではなかったのかもしれん。ちょっと一本気な所が飽きる傾向にはあるけど疾走する勢いはさすがだ…。バッジー直系って感じかな…。



AC/DC - Let There Be Rock

 やっぱりロックってのは力強くノリが良く、そしてかっこよくあるべきだ。もう30年以上もそういうスタイルを全く崩さずにポリシーを持ってやっているバンドってのもたくさん存在しているのだが、中でもAC/DCの唯一無二さってのは根強い人気を誇っている。年輪と共にファンが増えていっているし、凄いのはファンが離れないっていうところだ。多くのバンドはどうしても昔が良かった、とかメンバーの誰それが、っていう不満があったりして最新作が常に強力っていうことが少ない。しかしAC/DCの場合は何故か時代と共にファンが増える一方なのだ。何故か、ってのは語弊があるな…。やっぱりどの時代のアルバムを聴いても一本気で変わらないAC/DC節が聴けるから、っていうバンドとファンの信頼感があるからだろうな。

Let There Be Rock If You Want Blood You've Got It

 1977年リリースの三枚目(?)となる「Let There Be Rock」を取り上げてみた。うん、ジャケットがね、好きなんですよ、これ。AC/DCって結構ナメたジャケットが多くて英国的…、いや、豪州のバンドってことなんだがまぁ、英国の血が多分に入ったバンドなので、良いじゃないか。そういう面もあってかシニカルな側面を持っているのも面白いし、なんつってもステージのバランスがしっかりと描かれているジャケットだと思いません?そしてお得意のアンガスのパフォーマンス♪ 

 もちろん中味の音にしてもまだまだ最初期と言っても良い頃なんだけど、全く変わってない。今もほとんどそのままの音作りだし、もちろんボン・スコットのソウルフルでシャウトする歌声が若々しくて艶っぽいんだけど、バックは全然そのまま。一般的にはちょっと地味なアルバム的な印象なんだろうけど、冒頭の「Go Down」から「Dog Eat Dog」とも一本調子の中にもちょっとした試み…、挑戦が見え隠れしていて、それは次のハイスピードチューン「Let There Be Rock」のイントロの序章でもあるかのようだ。この曲も全くシャープな曲でAC/DCらしいスリリングさを持ったハードな曲で歌に自信がなきゃできない曲だよな。そしてここまでギブソンSGギターの音色のエッジの良さを引き出すギタリストはあまりいないね。他のギターだとこのニュアンスは絶対に出ないもん。いいなぁ、SG…。そしてちょっとスケールの大きい「Bad Boy Boogie」も強烈な2ビートのリフがもうAC/DC的でしょ(笑)。しかしここまで攻め込んでいてサビを盛り上げないでギターソロに展開するってのもなかなか…、この辺が克服できた時に名盤「Highway to Hell」「Back in Black」ってのが出来上がってくるんだが、こういう未成熟なところを見れるのがファン的には楽しめるアルバム。だからちょっとイマイチっていう評価が下されたアルバムってのは楽しいものなんだ。

 そしてB面一発目の「Problem Child」も正にAC/DC的展開なブギナンバーで、しっかりとツボにハマる曲の展開が心地良いハードなナンバーでついつい頭を振りたくなる人気の楽曲…、そりゃそうだろ、これは。そして静か気に始まる意味深な「Overdose」…、こういう曲でもしっかりとSGノの若干歪んだ音でのアルペジオ的な音色は後の「Hells Bell」に繋がるのか…、いや~、かっこよいわぁ~、これも。正に必殺のブギナンバー。ちょっと重さと暗さを入れたらそれこそブラック・サバスの世界にも入れるが、そういう空気を持たないのが彼等の良さ。そして「Hell Ain't A Bad Place To Be」の往年のスタイルを模倣した典型的なAC/DCソングでエンディングを盛り上げてくれる…。もちろん最後は「Whole Lotta Rosie」でキマリ♪まったくロックアンセムになるべくしてなった曲だが、その実AC/DC以外のバンドがやるとかっこよく決まりにくいっつうのも面白い。彼等の独自さが思い切り出たナンバーでありながらAC/DCの中では異色の楽曲というのも事実か。

 ボン・スコット在籍時のひとつのピークでもあるこの「Let There Be Rock」という作品だが、今聴いても全く色褪せることなくガンガンのロックンロールしてくれるアルバム。1977年という時期なのでエアロスミスやキッス、そしてヴァン・ヘイレンなども出てきてNWOBHM勢の流れもあり正に時代はHR/HMに突入してきたが、頭ひとつどころか突出していたのがAC/DCだったと言うのもこの「Let There Be Rock」を聴いてみるとよくわかる。とにかくかっこよいのだ。ロックってのはこういうもんなんだよな…。





Olivia Newton John - Physical

 様々な要素が組み合わさってやはりオリビア・ニュートン・ジョンです(笑)。オーストラリア出身の世界的ヒットを放った歌手で、女優さんで、しかも映画「グリース」と「Two Of A Kind」ではジョン・トラボルタと共演している美貌の持ち主、映画「グリース」についてはジョン・トラボルタからの熱烈なラブコールによって共演が実現したとのことなんだが、その辺ってもしかしてビージーズの口利きがあったりとかさ、なんかそういうのもあったら面白いな、と。実際は全く知りません(笑)。

フィジカル(虹色の扉) グリース スペシャル・エディション [DVD]
Olivia Newton-John - The Best of Olivia Newton-JohnThe Best of Olivia Newton-John - Grease グリース

 ってなことで、オリビア・ニュートン・ジョンさんの「フィジカル(虹色の扉)」です。別にどれでも良いんだけど、PV見てたらやっぱりこれ、かなりおかしい、と思ったので(笑)。時代ですよ、これは。この頃のオリビア・ニュートン・ジョンはイメチェンを図っていたみたいで清楚なお嬢様というイメージからどこか肉体的なアピールが強くなってきたっつうか…それはエロさではなくってハジけ具合ってのかな、ちょっとアイドルにうんざりしてきたのかもしれない。そういうのがPVに出まくっていてMTV全盛期直前のものなのでチープさは否めないけど、やっぱ面白い。

 アルバム「フィジカル(虹色の扉)」全体感としてもアップテンポなアイドル路線もあるけど、ちょっとしっとり聴かせるのがあったり、映画出演も超えてアレコレあった後なのか、進化しつつある時期…、っつうか全盛期。以降はちょっと消え去っていったもんな…。70年代後半のディスコブームに乗って世界を制し、この手のスタンダードとして君臨して80年代前半までを駆け抜けたスーパーアイドル…、今聴くとマドンナとかもこういう路線から出てきたもんな…などと遠い目をして懐かしんでだりします(笑)。



The Bee Gees - Saturday Night Fever

 70年代後半のディスコブームってのは全然通っていなくて、もちろんその辺りにヒットした曲ってのは知ってるんだけど、ディスコってキライでさ(笑)。もちろん当時は音もキライなワケだが…、まぁ、それもこれも多分映画「サタデー・ナイト・フィーバー」のヒットのおかげだったんじゃないかと。ああいうのがかっこよいとされてきた時代もあったってことで、まぁ、ロックと通じる部分ってのは不良少年がやること見つけてスターになる、そこに好きな女が絡むってなモンで、ロックがダンスになっただけってのはあるが…。それにしても音がチープでいかん。ましてや時代はパンク以降なので、当然ながら軽く感じるしね。ただ、それも無視できない時代でストーンズにしてもキッスにしてもロッドにしてもディスコビートの曲をヒットさせたくらいだからね。

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ビージーズ - サタデー・ナイト・フィーバー サタデー・ナイト・フィーバー ビージーズ - Bee Gees: グレイテスト・ヒッツ  (Bonus Video Version) グレイテスト・ヒッツ

 その火付け役ともなったのがオーストラリア出身でアメリカ進出に成功したビージーズ。サントラ「サタデー・ナイト・フィーバー」では多数のバンドが収録されているけど、主要どころは全部ビージーズが持っていって、ヒットさせまくり。さすがに聴く機会が多かったモンなぁ、この辺。そういう意味では非常~に売れたし、皆が皆映画と音楽をリンクさせてその夢に浸っていた時代。ビジュアルがそれほど浸透する時代じゃなくって情報も遅れていたってのも売れた要素でしょう。だってさ、ビージーズのルックスって見たらがっかりしないか?ましてやあの「サタデー・ナイト・フィーバー」を歌っているグループでしょ?もっとかっこよいの想像すると思うんだよ。ところが、アレだろ?う~ん、姿が見えなかったが故に売れたって感じはあると思うモン。ま、全てがジョン・トラボルタのイメージに変換されたというか…(笑)。

 しかしこの冗談みたいなハイトーンで異常にリズミカルな楽曲を展開していく…、しかも一本調子でサビだけは的確に…、なんて見事なものだ。それまではこういうのってあんまりなかった曲調なのかな。EW&Fとかスライなんてのもあったから初めてってのではないだろうけど、見事に映画のイメージと合ったんだな。やっぱりビージーズって言ったら「サタデー・ナイト・フィーバー」ってなるからな。

 話逸れるけど、「サタデー・ナイト・フィーバー」って続編で「ステイン・アライブ」ってのがあって、こっちもビージーズなんだな。ちょっとハードな映画になっちゃってるけど、それは多分シルベスター・スタローン監督だからだろう(笑)。



Men At Work - Business As Usual

 オーストラリア出身バンドってどれだけ知ってるんだろうか?などとふと思い立ち…、ちょろっと調べてみると結構メジャーな人多いんだなぁ…、と。AC/DCは言わずもがな…ってもこのバンドってほとんど英国出身者なのだが(笑)。オリビア・ニュートン・ジョンにしても英国生まれのOZ育ちだけど、まぁ、オーストラリア出身と言われるね。んで、エア・サプライもか…。まぁ、ダメな音世界だが(笑)。それとカイリー・ミノーグ♪良い感じだね~。あとはビージーズなんてのもあるが、本日は更に軽快なメン・アット・ワークってのでどうかい?

ワーク・ソングス カーゴ

 アルバム「ワーク・ソングス」。正直言って二曲だけで世界を制したバンドなワケで、後のA-haみたいなもんか(笑)。ロックっていうのとは全然異なる世界の音なので、今更しっかりと聴き直すこともないバンドだけど、この軽快さが凄いと思う。全く引っ掛かるところのない音楽で、ポップでキャッチーで流れるのみ、正に消耗品サウンドなのでつまらなかったら即消えるってなもんだが、デビューアルバム冒頭にして世界を制したものだ。「ノックは夜中に」と云う邦題も大したものだが原曲は「Who Can It Be Now」。まぁ、聴けば知ってる人も多いだろうし、タイトルだけで「アレか…」って人も多いはずだが、割と下積みあってのバンドだったんだな、と。

 英国のニューロマンティックブームとポリスの軽快さの表面だけを乗せたバンドってのか、ここまで軽い音ってのが出せるんだというくらいに軽い(笑)。80年代の一環として聴けば何ら違和感はない音なんだけど、ちょっと前に骨太な音を聴いていたので余計にそのギャップが…(笑)。総じてオーストラリアの音は軽いのかもしれない…っつうかそういうのが世界に出てくることが多いんだろう。AC/DCだけが異質??

 ってなことで、季節的にはこんな音も爽やかでよろしいのではないでしょうか?う~ん、自分には全然合わない音だが(笑)。

Rick Springfield - Hard To Hold

 外人ってのは似たような名前ばっかりだな…、などと横文字に弱い子供の頃にはその覚えにくさに辟易している部分と、ややこしい名前と混同するものほど懸命に覚えようとするもので、おかげでそういうのはあらかた克服して記憶していた…・いや、別に自慢でもなくって、だからどうした?ってなモノなんだけどさ。よくあるじゃないですか、マイク・オールドフィールドとマイク・ブルームフィールドとかパティ・スミスとパティ・スマイスとかEL&PとELOとか…(笑)。そんな中のひとつでもあったし知ったのは80年代だけど、実はこの人の方が全然古くから活動していたという…。

ハード・トゥ・ホールド(紙ジャケット仕様) Venus in Overdrive
Rick Springfield - The Best of Rick Springfield ベスト盤

 リック・スプリングフィールド、オーストラリア出身のイケメンロッカー兼俳優な人で、最も売れたのはもちろん80年代だろうと思う。以降今に至るまで断続的に活動しているものの、やはり黄金期ほどのメジャーさはない。そういう点ではブルース・スプリングスティーンとは違うんだけど、うん、この人達も名前が似ていてややこしかった(笑)。音的にはかなり異なる人達なのだが…。

 アルバム…というかサウンドトラック「ハード・トゥ・ホールド」が1984年のヒット作でして、うん、この映画は見たことがないのでどんなのか知らないけど、アルバムのほとんどの曲をリック・スプリングフィールドが書いているので、ほぼソロアルバムとして位置付けられるものだし、しかもこの中から6曲のシングルヒットを放ったというモンスターアルバム。有名でかっちょよいのは一曲目の「Rick Springfield - The Best of Rick Springfield - Love SomebodyLove Somebody」だな。これもまた同じ時期にW.A.S.Pがやってたもんだから覚えるのもややこしくて(笑)。いや、それはもう全然別モノなんだが、リック・スプリングフィールドのこの頃ってデジタルサウンドとナマのハードなギターを組み合わせていて、しかも勢いが凄くてキャッチーな曲が多いので、割と特徴的だったりする。早見優がカバーした「Stand Up」なんてのもかっこよいしね。

 ライブの映像とかも結構格好良いし、もちろんルックスはばっちりで、実は曲もソリッドでかっこよいのでもっと残ってもよかったんだろうけど、どうにも栄光の後には不運が続いたようで、今やしょうがない話。昨年新作「Venus in Overdrive」をリリースしていて、これがまた渋い男になっていて女性心をくすぐるマスクですな…。音もリック・スプリングフィールド節満載のロック♪



Bruce Springsteen - Born To Run

 あまりハマって聴いたことのない音楽集…、ってのもブログにするのもどうかとも思うんだが、まぁ、こんな機会でもなければ一生聴かない可能性もあるわけで、結局音楽は好みのモンなんだよね。ただ、新しいモノや新たなる刺激は欲するワケでして、それは新旧どちらでもよいし、昔聴いてピンと来なかったものでも今聴けばまた変わるだろうし、色々なシチュエーションによって音楽が心に響く度合いは変わるのだ。これも歳を経てからわかってきたことで、昔だったらダメなものは一生ダメって言ってただろうしね(笑)。

明日なき暴走(紙ジャケット仕様) ライヴ・アット・ハマースミス・オデオン,1975

 さて、ブルース・スプリングスティーンの1975年リリースの三枚目にして頂点とも呼ばれる「明日なき暴走」という作品。なんとなくこのブログを読んでくれている読者の中の半分以上はブルース・スプリングスティーンを聴かないような気がする。うん、なんとなく。かっこよいんだろうけど暑苦しいから…ってな理由じゃないかと。自分自身そう思うしさ。ましてや「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」あたりでより一層暑苦しい姿を見ているので、そんなイメージが焼き付いているしさ。

 かと言ってロックじゃないか、と言われると全然そんなことなくてここまで丸裸にロックをぶつけてくれる人もなかなかいないくらい唯一無二の存在なんで、単純に好みの問題になるんだと思う。そういう印象をさっ引いて純粋にこの「明日なき暴走」というアルバムを聴くということで感じることは、やはり素晴らしい作品なんだ、ということ。赤裸々に歌い上げ叫び続けるブルース・スプリングスティーンの魂の歌声と疾走感溢れる演奏力は時代を超えて引き継がれていくことだろう。ナマナマしくて、いつの時代のティーンエイジャーが聴いても感動するでしょ、これ。名曲も多いし。歌詞がダイレクトにわかる人だったら尚更、だと思う。

 アラフォー世代では先の「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」あたりでブルース・スプリングスティーンを知った人が多いんだろうけど、同時に尾崎豊のスタイルが先にあったというのもあるかもしれない。全くのコピーだからね、尾崎豊って。ただ、わかりやすく日本語で表したってことでカリスマになってるし、もちろん本人の才能もあったんだろうけど。んで、ブルース・スプリングスティーンは今持って問題作や意欲作をリリースして話題を振りまいている。が、この「明日なき暴走」に込められた思い入れは二度と作れないだろう。全く金字塔を打ち立てた作品として非の打ち所がない作品。

 今ではその頃のライブアルバム「ライヴ・アット・ハマースミス・オデオン,1975」も出ているので好きなファンには涙が出るくらいの感動が甦ってくるんじゃないだろうか。



Billy Joel - 52nd Street

 毛色は異なるが割と聴かなかった部類にはまだまだたくさんのものがあるのだ。アレコレと好き勝手に書いているものの、その実割と偏った部類でしか音楽ってのを聴けてない。やっぱロックなんだよなぁ、好きなのは、と異なるモノを聴いていると思うことが多い。もちろん多様なジャンルを聴くんだけど、ルーツ探しの部分もあるし、ロックの根っこを知るってのも趣味だからねぇ。

ニューヨーク52番街 イノセント・マン

 ってなことで実はあまり通っていない人の一人にビリー・ジョエルがある。売れた「イノセント・マン」っつうアルバムがあるんだけど、「イノセント・マン」は黄金の80s時代に聴いているので普通にポップスとして聴いていたことはあるけど、その前の作品に手を出すほどは知らない。まぁ、「Honesty」くらいは知ってたけどさ。なので、その「Honesty」の入った名盤との誉れ高い「ニューヨーク52番街」ってのを…。

 昔々昔々…ピアノの上手い女の子がいて、音楽が人生ですみたいな綺麗な子でして、その女の子がビリー・ジョエルが好きでピアノを弾いていたんだよな。遊んでる時も何気なく弾いているんだけどやっぱ上手いな~って感じで、そういう人もいるんだ~っていう芸術肌を持った感覚ってのを認識してた。今は全くどうしているかしらないけどヘンな話はいっぱい聞いてて(笑)、まぁ、本筋に関わらない話になってしまうので、このヘンで(笑)。

 ま、とにかくそういうワケで、その子が好きなビリー・ジョエルの昔ってどんなんだろ?って聴いたことはあったなぁ。ただ、つまんなかったから…とは言わなかったけど(笑)、ほぼ聴いていない。そんで今ちょっと思い出したけど、聴いてみましたよ。「ニューヨーク52番街」というアルバム。もっとピアノだけかと思ったら割と複合的な音楽奏でているじゃないですか。どっちかっつうとR&B系な音作りで、この人って黒人の血が入ってるのかな?えらくハマってるし、ちょっと不思議な感じ。タイトなリズムと歌で始まって「Honesty」という名曲で心を掴み、またもや「My Life」というタイトでキャッチーな歌でテンポを戻すという感じで、一辺倒じゃないから面白いと思う。

 個人的にはもちろん何度も聴くことないし、ふ~む、ってなモンになっちゃうんだけど…、いや、これはね、深み問題と好みの問題なんです、恐らく。でも、名盤だ、ってのはわかるし、暗くないから良い。R&Bか…、割と苦手な部類だなぁ…(笑)。



Simon and Garfunkel - Bridge Over Troubled Water

 教科書に掲載される音楽というものは教科書を嫌いな生徒からしてみたらやはり受け入れにくかった。ロック=反抗的という図式の中で、教科書に載るような良質な「音楽」なんてのはロックじゃねぇ…みたいな(笑)。ま、その通りだと今でも思うけど、そしてジョン・レノンですらきっとそう思うに違いない。まぁ、そんなことで、ロックあたりに耳が傾き始めた頃に同時に音楽の時間に教科書に出てきたビートルズとかサイモン&ガーファンクルなんてのは毛嫌い度が非常~に高かったな。そういう背景もあるのでほぼまったくサイモン&ガーファンクルってのに手を出したことがない。甘いポップスだろ、ってな感じで見下してたし(笑)。

明日に架ける橋 サウンド・オブ・サイレンス

 1970年リリースのラストアルバム「明日に架ける橋」。そのまま誰でも耳にしたことのあるような名盤。名曲のオンパレードとしてアチコチでレビューされているりおおよそ批判的なことを見聞きしたことがない。それくらいに評価されているモンスターアルバム。その実サイモン&ガーファンクル解散の引き金ともなった作品でもあるらしいが、別にホモじゃないんだからいいじゃないか、二人が離れたって、とも思う。何かもうジャケットからしてキモくてダメなんだが…、いや、こういうことを直接書いてはいけない(笑。

 正直言って名曲「明日に架ける橋」ですら、今までほとんど耳にすることがなかった。もちろんどこかで流れていたりしたことはあったと思うが全然良い曲とか思ったことないしピンと来たこともないから普通にBGMとして流れていただけで、意識的に聴いたことがないんだと思う。で、まぁ、今は不得意分野への挑戦自虐ネタというシリーズなので(笑)、初めて、かな、まともにサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」を聴いてみたワケだ。もちろん全曲聴きましたが…、エコーかけすぎじゃね?天使の歌声ったって、こんだけエコーかけて楽器の奥に引っ込めてたらそりゃ天使にも聞こえるだろ、とか思ったのが最初。「明日に架ける橋」という名曲もなぁ、ちょっと今では仰々しく聞こえすぎる終盤のアレンジもちょっと、ね。うん、でも癒しを求めていたベトナム戦争後のアメリカという時代だからこそ受け入れられた楽曲、そして何かあると癒しを求める文化のアメリカには正にピッタリ。9.11同時多発テロ後には最後の歌詞が乗り物を連奏するからという理由で放送禁止になったというくだらない気遣いというか保身的弱さを路程しているアメリカ…、それでも市民はこの歌で元気づけられた、みたいなこともあって、よくわからん。が、まぁ、それだけの力は持っている曲だというのは事実。そしてアルバムとしても実に多彩なアレンジが施されているし楽曲も多様な形態なので良作でしょう。だから早いウチに聴いて知っておく方が良いと思う。そうすればこんなにヒネないで聴けたんじゃないかと(笑)。

 …。決して悪いアルバムじゃないし世論的にも素晴らしいアルバムなのだから、自分が異なっているかもしれない、が…、好きじゃねぇな~、これ。ロックじゃないし。もっとハートが熱くなるのが良いしもっと弱々しいのがいい。そう思ってるロック好きはいっぱいいるだろうけどね♪



Joni Michell - Blue

 70年代アメリカのシンガーソングライターの作品というのは先日書いたような感覚からあまり手を出すこともなく過ごしてきた。故に名盤だろうが何だろうがあまりタッチしていないし、聴いたとしてもその時響かなければ当然追求もしていない場合が多いのだった。ここの所自分の不得意分野への再挑戦ってことで自虐的に駒を進めているのだが(笑)、本日はどちらかと言うと初挑戦に近いジョニ・ミッチェル。

ブルー Clouds
Joni Mitchell - Blue Blue

 1971年リリースのこれまた名盤の誉れ高い「ブルー」。何でも当時の彼氏の名字が「ブルー」だったとか…。そういう所からしてちょっと…と思ってしまうのは偏見だろうと思うが、ねぇ。しかしジャケットは素晴らしい色合いでもう少し美人ならば…というのはあるが、よろしい。そして音を流してみてちょっと驚いた。フォークシンガーってのは知ってたし、ワイト島フェスティバルでのジョニ・ミッチェルくらいしか知らなかったというのもあって、大きく印象が変わったんだな、これが。ワイト島の時はピアノ弾いてる弱々しい姉ちゃんっつうかオバチャンだったので、なんか泣きながら訴えてて、ロックとかそういうんじゃなくって単なるピアノ弾く人だったんで、まぁ、出てくる音はともかく自分の聴く範疇外だったんで、ドキュメンタリーに登場する脇役でしかなかったもん。

 ところが、だ、こうして聴いてみると、へぇ~、こういう音世界だったのかと。まぁ、歌手だな。ロックとは無縁…、多分誰が聴いても良いなぁ~と思えるくらいレベルの高い音楽と歌声と感情の籠もったアルバムで、名盤です、間違いなく。心揺らすこと必至。だから一般論的には絶対聴いておいた方が良いと思う作品。多分歌詞も深いんじゃないかと思う。音色も自然な音が中心なので聴きやすいしね。声も美しいしルックスを除けばそりゃ売れるでしょ、ってくらいの素晴らしい作品です。キャロル・キングの「つづれおり」と匹敵するくらいのアルバムじゃないか。

 …。自分でも不思議なので、多分単なる偏見なんだけど、英国やその他国のトラッドフォーク的なものは非常に好んで聴くのだがアメリカのこういう世界だけは苦手。カントリーやブルースなど土着的な音はまだ大丈夫だけど、何でかわからんが、SSWのフォークの世界は苦手。それほど違いが大きいワケじゃないけど、不思議。誰か解明して下さい(笑)。



Neil Young - Harvest

 ついでだから結構不得意なジャンルの名盤なんてのをアレコレ挙げてみようかという自虐的ネタに突入…、GW終わりかけてるし、何かを無くした気分に浸るのも良いだろう(笑)。いやぁ、昔から名盤と呼ばれているものでもピンと来ないのが結構ありまして、自分の感性のズレだという認識だったんだけどね、まぁ、結局土地柄による好みの問題かと。それと、自分の性質とロックに対する希望と夢が合致してくれないと、っていうのはあるかな。いや、ロックってかっこよくないとダメなんだよ。抜けてるのは自分的にはイマイチ。美しくかっこよく、ってのがロック。だからこの辺の不得意分野ってのはそういうのが欠けていて幻想で終わっているというか、実現性がないというかそのままというか…。

ハーヴェスト <SHM-CD> アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ <SHM-CD>
Neil Young - Harvest Harvest

 大御所ニール・ヤングの名盤と言えば「ハーヴェスト」か「アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ」のどっちかと言われ、どっちも手を出したけど、そして何度も聴いたんだけど、確かにその抜け具合とか郷愁、哀愁、ノスタルジック、生身でさらけ出した弱々しさに宿る真実味など当然ながら通じるモノは多いし、歌手として、音楽としてはとてもとても優れたアルバムだし、心を揺さぶる音楽であることは間違いない。名盤と言われるはずだ。

 うん、音楽的なんだよ、相当に。あ、今は「ハーヴェスト」の方です。当時ヒットした「Neil Young - Harvest - Heart of Gold Heart of Gold」なんてリンダ・ロンシュタットとジェームズ・テイラーなんてのも参加していて、この頃のフォークシンガーブーム的な象徴でもある。非常に名曲と言われるのもわかる。けどちょっとなぁ…、白々しい暗さというか、ま、時代だな。アルバム全体的にはもちろんアメリカン…、ナッシュビルの録音らしいからそういう雰囲気はたっぷりと出ているんだけど、ここまで抜けてしまうとロックと違うんだよね、自分的に。もちろんそういう音楽もありで、カントリーとして聴いてみても良いんだけど、そこまでの覇気はない。多分その投げやり感や力の抜け具合=レイドバック的な音が好まれるのだろう。歌詞も相当に優しいらしいがそこまで追求したことはない。顔の恐さと歌声のギャップが激しいというのは知っているが(笑)。

 ディランはもっと覇気があったが一辺倒、ニール・ヤングは多彩で多芸だが音が弱い。なかなかアメリカのロックと呼ばれるものは難しいものだ。そういう気分に浸るときには染み込む音だろうから、タイミングによっては非常に心の友となる音楽だが、自虐的な自分はそういう時に激しい音を求めるし、もっと言えば中途半端な優しさなぞを求めずにトコトン自虐的に暗いものを聴くので、こういう救ってくれそうな音は聴かなかった…、やっぱ縁がないのかもしれない。

Bob Dylan - Blond On Blond

 詩人…、ま、やっぱディランかな。もっと色々な人もいるけど、ロックの中での詩人ってのはやっぱりジム・モリソンとかボブ・ディランとかになっちゃうんだと思う。まぁ、自分がそういう見識に乏しいのかもしれないけど、一般論ではそうだろう、と。一曲単位で見たらそりゃ色々あるだろうとは思うけどさ。

【Blu-spec CD】ブロンド・オン・ブロンド Blu-spec CD 追憶のハイウェイ61


 名盤過ぎてどうかとは思うけど1966年リリースの「ブロンド・オン・ブロンド」という作品。前作「追憶のハイウェイ61」でアル・クーパーとマイク・ブルームフィールドを引っ張ってきて永遠の名作を作った後の作品で、基本路線はフォークとロックとブルースの融合に独特のたっぷりの歌詞と歌い方を織り交ぜた作品で時期的にも悪いはずがない。あぁ、こういうのがディランなんだな、と納得するには丁度良いアルバム。これだけキャリアが長い人だと何を聴いて良いかわからないことも多いだろうし、時期によってはやはりハズレもあるワケだから、そういう意味ではベスト盤よりもこの辺の作品が良い。

 「ブロンド・オン・ブロンド」…、ハマる人は凄くハマるはず。歌詞を読みながら音世界に浸り、ディランの呟きと歌に身を委ね…という聴き方が心地良いハズ。この手の音を得意としない自分が聴いても名盤だろうなぁ、これは、と感じるし、やっぱり一気に聴けてしまうし、切々と歌い上げる歌にも説得力がある。

 ん~、何かあまりにも淡々と書いている自分が哀しい…。もっと熱くなれるものを持ったアルバムのハズなんだが…、得意でないというのはこんな時に寂しいね。まぁ、しょうがないか…。こういう素晴らしい作品をきっちりと押さえてレビューしきれないところが自分のワガママなのかもしれん(笑)。

 アナログ時代には二枚組としてリリースされていたものなので、非常~に長いアルバムです。そして抑揚はあるけどメリハリが少ないのでやはり長丁場を実感するアルバム。ただし聞き込めばどんどんと入り込める作品だ。そしてそこまでひたすら聴いたけど、得意ではないというロックリスナーもここにいることも事実だが…(笑)。



Lou Reed - New York

 ロックの歌詞というのはもちろん重視する部分もあるし、時代を歌っていたり政治を歌っていたり力強いメッセージがあったり、日常を反映するものもあったりするし、そもそもアーティストの個性がにじみ出てくる部分だからすんなりと聞こえなきゃいけないものだと思う。が、日本人が洋楽を聴く時にはそれらの要素がかなり削減されているのも事実、でしょ。音だけでロックを聴く人も多いはず。もちろん追求すれば歌詞も、ってなるけどそこまでネイティブな人は多くはないんじゃないだろうか。そこでディランとかルー・リードとかパティ・スミスとかブルース・スプリングスティーンってのは一辺倒な楽曲に歌詞で迫ってくるとなると日本での人気は不利に働く。今じゃ大御所扱いされているから歌詞も、っていう感じだけどさ。もっとも皆個性的な楽曲だったからとっつきやすい部分はあったんだろうけどね。

NEW YORK ルー・リード/ベルリン [DVD]



 パティ・スミスの重さにちょっと心地良くロックな気分になり、ニューヨークの退廃的な側面を垣間見たなと思って、やっぱり連奏したのはルー・リード。しかもアルバムは「NEW YORK」そのもの。1989年リリースの作品だから決して古くはない…ハズ。ん?20年前か…、ま、いいじゃないか。

 ルー・リードってのは70年代のソロ作は何度か聴いていたけど、以降はほとんど手出ししたことがない。この「NEW YORK」というアルバムにしてもリアルタイムの時には大して興味も持たず、あぁ、また出したんだ…、くらいのものだったし、ちょっと煌びやかだった80年代末期にはあまりにもグレーすぎた。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを深く知るにつれてルー・リードの音世界や詩の世界ってのはなんとなくそういうもんかとは思い始めたけど、この手の人達って歌詞優先だからなぁ、とやっぱソロは聴かなかった。ボブ・ディランが顕著な例だったし。

 と、まぁ、色々あったんだけど結局「NEW YORK」を聴いたし、今また久々に聴いている。

「大人のアルバム」だな。

 音はシンプルな演奏でフォークとエレキ、それが心地良く鳴っている中にルー・リードの歌というよりも呟きがミックスも大きく入れられているという作風で、名盤と呼ばれているもののようだ。確かに聴いていて飽きないし、深みを感じるので良いアルバムなんだろうとは思う。しかし、欲も悪くもルー・リード節なのだ。この辺がアメリカンな所なのかな…と思ってしまうのだが、単調というのでもないけど一辺倒。やっぱこの人の場合は声が抑揚ないし声域が広い歌手でもなく呟きと投げやりさが良い感じなので、そういうもんだ。

 ロックってのは深い。

 こないだ「ベルリン」のDVDが出たらしく、そっちのが気になるな。



Patti Smith Group - Wave

ウェイヴ(紙ジャケット仕様) Easter

 1979年パンクの女王と呼ばれたパティ・スミスがアルバム「ウェイヴ」をリリース。コレを機に一切の活動から手を引き主婦業に専念した。もちろんそんなこと後で知った話でして、なんかちょっとパティ・スミスもパンチがなくなってきたなぁ~、くらいにしか思ってなくって、やっぱり初期衝動が好きだったな~なんてね。一連のアルバムの中ではあんまり聴いた方じゃないアルバムがこの「ウェイヴ」という作品。まぁ、他のをたくさん聴いていたからかもしれないけど、ちょっと骨っぽさがなくなった感じがしたからだと思う。

 パンクの女王ったってこのヘンになるとちょっと違うんだよな。今冷静に改めて聴いてみると正しい王道ロックを継承したサウンドにこれもまた正しく継承した詩の世界を振り掛けたもので、どこにもパンクな要素は見当たらないのかもしれない。本人はそのヘンを否定しているのか肯定しているのかも知らないけど、多分語ったことないんじゃないかな。どっちでも良いというか…。特にこの「ウェイヴ」というアルバムは愛に満ち溢れていると言われるところもあるからか、音に余裕があるんだな。もちろんパティ・スミスが歌っているから独自のトーンにはなるんだけど、ドアーズ的な要素が強い感じ。ドアーズも後期はポップでキャッチーなの多かったから、そういう意味で通じる部分はあるだろう。

 最初から綺麗なラブソング、そのままで何か違うぞ?と思わせながらも聴かせてくれちゃう「フレデリック」。更に「Dancing Barefoot」と来たらこのアルバム好きです、って言わせてしまうだろうな(笑)。そしてお気に入りの「Rock'n Roll Star」だしね。この辺のインパクトが強いから他の曲がちょっと沈んでしまうくらい。ところがB面に進むと今度は深くて重い作品がズラリと並んでいて、やっぱパティ・スミスの世界は深い、と思わせる楽曲ばかり。名曲「Broken Flag」なんてのはその真骨頂。ただしパンクとかどうのというのではなく、ロックな楽曲として聴いてみて素晴らしいというものだ。

 うん、ここの所軽いパンク的な音を聴いていたから、この「ウェイヴ」を聴くともの凄く重く聞こえる。でも、そうだよな、こういう重さこそがロックの真髄で…、なんてまたもやその深さに痺れてしまった。普段から聴いていようとは思わない人なんだけど、聴いた時は響く。だから軽々しく書けないし聴けない。最後のリーディングを聴いているとやはり歌詞を追求したくなる。なんて深い人なんだろう…。

 圧倒的にA面のロックとB面のロックが異なったアルバムで、プロデュースのトッド・ラングレンも深くは突っ込まなかったと言われるこのアルバム。初期衝動とは異なるパンクよりも深いロックの真髄をこのハッピーなアルバムですら聴けるホンモノ。



Siouxsie and the Banshees - Hong Kong Garden

 X-Ray Spexのポーリー嬢がジョニー・ロットンに認められたパンクロッカーとして名高いのと同様に、セックス・ピストルズの親衛隊だったスージー・スー率いるスージー&ザ・バンシーズもこれまた有名なバンドだろう。ピストルズの親衛隊でもう一人有名なのはビリー・アイドルかな。それだけシーンに影響を及ぼしたのがピストルズだったということなんだろうけど、そのスージー&ザ・バンシーズというバンドもしっかりと英国していて、ピストルズの影響そのままの音でバカなバンドやるんではなくって、やはりセンスに敏感だったのか、もっとニューウェイヴ寄りの音を創ってシーンに登場。PILの影響かはたまたラモーンズの影響もあるのか…。

香港庭園(ホンコンガーデン)+16<デラックス・エディション>(紙ジャケット仕様) 呪々+3(紙ジャケット仕様)

 日本ではポジパンやゴシックパンクの部類で語られることが多いけど、結構音楽性が変化しているバンドなので一括りには云えないのも特徴的。そんなスージー&ザ・バンシーズの一番最初にシーンに出てきたデビューアルバムが「香港庭園」で、今はそのデラックスエディションがリリースされていてBBCでのピールセッションとシングルなどが纏めて収録されているのもありがたいアルバム。日本では「香港庭園」というタイトルで有名なアルバムか。

 音的には…、激しいパンクとかではなく、確かにシュールにストイックに…そして可愛らしくつっけんどんに歌われるひっそりと暗い世界=ニューウェイヴの走り、ゴシックパンクの色濃いニュアンスが出たアルバム。80年代初頭の英国の空気をそのまま表しているのかもしれないが、とにかく悲愴感に包まれた内側に向けたパンクとでも言うような音。しかし時代はそれでもこういう音を求めたらしく、根強いファンもいるし、当時もひたすら売れた気がする。

 ビートルズのカバーで「Helter Skelter」なんてのをやってるんだけど、しばらく何の曲かわからなくて、歌メロに入ってもあれ?ってな感じだけど、それくらい破壊して独自色を出したカバーをしているのも凄いのでかなりセンスは抜群な人達。ローランドのジャズコーサウンドが懐かしい。この辺からアヴァンギャルドに進んでしまうとメジャーシーンには帰って来れないのだが、案の定バランスがしっかりしていて、何をやってもしっかりと戻ってくるところがスージー&ザ・バンシーズの見事なところ。浮游感味わい、そして内なる世界を満喫するにはよろしいアルバム。「Overground」とか「Metal Postcard」なんてのはもう呪術的サウンドを取り入れて精神世界に訴えかけてくる代物。



X-Ray Spex - Germ Free Adolescents

 70年代オリジナルパンク時代に遡ってみると今聴いたら全然パンクに聞こえないっていうのも多い…。当時は過激だと思われたスタイルも時代の経過によって普遍化してしまったからってのはあるが、やはり時代のポリシーだったりしたんだろう。もちろん残るべきして残っているバンドはあるけど、一枚で消えていったのも多いし、そもそも短命で一気に生き急いで駆け抜けたというのもパンク。そんな中で一躍脚光を浴びながらも即座に消えていったエックス・レイ・スペックスというポーリー嬢、当時15歳くらい?の女の子中心のバンド。

Germ Free Adolescents Let's Submerge: The Anthology


 シングルもアルバムも1978年にリリースされた「Germ Free Adolescents」アルバムだけど、今は「Let's Submerge: The Anthology」というCDでほぼ全てが聴けるみたい。知る人ぞ知る、とまでは言わないけど結構ニッチな人なんじゃないかな。昔パンクにハマってた時に名前は聞いたけど音は知らなかった。その後ちょろっと何かで聞いた時はやっぱり声がダメで、あまり積極的には聴こうとはしなかったし。それでもマイケル・モンローの「ホワッチャ・ウォント」というアルバムでカバーされているのを聴いて、そんな凄い良かったっけ?と思って再度挑戦。

 生理的にダメな歌声なのは相変わらずなんだけど、一般的に音を捉えればかなり面白いのは間違いない。冒頭からサックスが入っていて、パンクバンドにサックスだから、なるほど面白い。ハノイ・ロックスの原点だってのもわかる(笑)。勢いも凄くて名盤として挙げる人も多いのもわかるくらいに若い。そして結構ポップなので聴きやすい。きちんととんがっているんだけど、その辺がやっぱり女の子の歌だし、アレンジも結構しっかりしているので普通にギャルパンク的に聴ける。

 多分当時はそういうのよりももっとシリアスにパンク的に聴かれたんだと思うけど、今聴いてみるとアンバランスさが面白いな、と感じるくらい。歌声がねぇ…、こういうのって苦手なんだよ。でも中味は割とかっこよいから何となく聴いてた。アルバム一枚で消え去ったのでその後がどうとかってのは知らないけど、リアルタイムパンクから生まれたバンドのストレートな一枚、そして何故かニューウェイヴ的ポップ要素を持っているのはやはりパンク~ニューウェイヴの流れは必然だったということか。


U.K. Subs - Universal

 英国のパンクでもちょっと変わり種っていうのはもちろんたくさんあって、シャム69なんかもそうなんだけど、1978年にシーンに出てきたUK Subsなんてのもちょっと毛色が異なる。既にピストルズが出てきて解散した頃なワケだからシーンへの衝撃はともかく、反動で誰でもバンドは出来る、っていうのがわかってしまったので猫も杓子もってなもんだ。そういう意味で面白いシーンが形成されたってのはあるが、UK Subsのそれは現代的にはスタンダードな流れとなったちょっとハードなパンク…、ハードコアの元祖的な音とも云える。

Universal Endangered Species

 アルバム…というよりはベスト盤でしか聴いてないんで、そいつを…。どれでも良いけど、今簡単に手に入るのは「Universal」や「Original Punks: Original Hits」あたりらしい。何故にベスト盤かと言うと…、確かにどれも聴きやすいし、メロディもしっかりしてるのでアルバム単位よりは楽しめるから。あんまりベスト盤って聴かないけどね。

 そのUK Subsだが、音はもちろんハードコアに近いパンクで、現代的な音を作っているのが特徴的で、もしかしたらこの世代なのでレインボウとかNWOBHMとかに影響を受けていたり同じシーンにいたりしたかもしれない。AC/DCだって最初期はパンクみたいなもんだしアイアン・メイデンも然り。だからゴチャゴチャのシーンだったんだろうな。そこで多分わかりやすかったのがUK Subsだったんだと思うが、ベスト盤聴いていると多分納得する。決してメジャーなセンスではないけど、悪くないキャッチーなメロデイ路線があって、ルックスの危険さをしてこの曲かい?というのも良いのだ。アルバムジャケットもどれもこれも危険な感じだし、よく知ってる。

 1981年リリースの「Endangered Species」がアルバム的には一番だ、ってなことをマイケル・モンローは何かのライナーで書いていた気がするが、多分そうなんだろうな。デビューからこの辺りまでのベスト盤に入るような曲はどれもUK Subsらしいサウンドで仕上がっていて面白いもん。



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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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