英国のフォークの奥の細道のその奥にある作品。そしてとてつもなく美しい音を聴かせてくれる、これこそ英国漁りの至福の楽しみとも云えるアルバム「Whistling Jigs to the Moon」を久々に聴いてみた。うん、Flibbertigibbetっつうバンド。いやぁ、これ書いただけでおぉ〜ってくる人はとってもマニアな方くらいだと思うので若干回りくどい説明はいるのかな。
そんなことでフロントのお二人が仲むつまじく、ひっそりと籠もって、更に南アフリカに移住したことで南アフリカでひっそりとリリースされたアルバム「Whistling Jigs to the Moon」、というか組まれたバンドがFlibbertigibbetってバンド。音はトラッド色の強いメロウキャンドル。あの浮游感というかサイケ感はないけど、流されるがままに心地良く気持ちを預けられる雰囲気は健在、そして恒例のダブル女性ボーカルによる天使の歌声もそのまま。見事にメロウキャンドルの継承としてもっとメジャーになってもよいでしょ、っていう作品だと思うんだけどなぁ。
そんなフェアポート・コンヴェンションを代表するサンディ・デニーに憧れて歌い始めたマンディ・モートン姫の率いるスプリガンスが1977年に放った二枚目のアルバム「Time Will Pass」を…。実はこの後の有名な三枚目の「Magic Lady」という作品、今だに入手してないことを思い出して(笑)、聴きたい聴きたいと思いつつすっかり抜け落ちてましたねぇ。それこそサンディに捧げるアルバムとして、またスプリガンスの最高傑作との呼び名も高いので聴かなければいかんですな。はい。
で、話は戻ってセカンドアルバム「Time Will Pass」なんだが、もちろんマンディ・モートン姫の歌声がバンドを制しているんだけど、トラッドフォーク類のバンドとはもちろん大きく異なったこれも明らかにフォーク色の強いロックバンド。しかも結構ポップでカラフルというのが面白くて、この辺は時代が1977年というのもあるのか、良くできてる。ただ時代はパンクからディスコへ行こうとしている時なのでもちろんセールス的には全く見捨てられたものであることは想像に難くない…。そしてこの「Time Will Pass」というアルバム、なんつうか、ギターの音色が割とサイケな雰囲気で、そして結構ドラマティックな展開があったり、しっとりと聴かせたりしていてポップス顔負けのアレンジが施されているので聴きやすい。まぁ、どこかプログレッシヴ的展開も見せるんだけど、時代的にそこまでは難しいワケで、ドロドロさではなくサラリとまとめられている。結構かっこよいロックなので嬉しいね。カーヴド・エアーほどのインパクトはないけど、その辺のよりはよっぽど良いよ、これ。
あぁ、英国らしいアルバムだなぁ…。ジャケットの雰囲気はもちろんだけど音もさ、モノマネから自身の音色を確立していくという感じでね、しかもそれが紛れもなく英国的な陰鬱度と共にしっとりと浸食しているんだもん。この辺はまだまだ浅く広い世界だけど、それでもこれだけ心地良く楽しめるんだからやっぱりこの深みは楽しい。そしてこのアルバムも全てが素晴らしい曲じゃないけど、良い曲がいくつかあって、例えば「Streets of Deny」とか「Sally Free And Easy」なんてのは多分ここのサイトに来ているロックファンは好きだと思うんだよね。良いんだよ、うん。
驚くことに1990年代末になってからすっかりおじさんとおばさんになってしまった元メンバー二人によるセカンドアルバム「It All Comes Back」がリリースされているようだ。もっとも一般的なファンはこれを認めるかどうか知らないが、基本的に変わらない音楽性っていうから凄い(笑)。いや、まぁ、そうだろうけどさ。
マギー・ベル。英国スワンプの女王と呼ばれたボーカリストで、古くはストーン・ザ・クロウズというバンドのフロントを張っていた女性で、その歌声はジャニスよりも太く、魂はジミヘン並み、とは言わないがかなりソウルフルな歌を奏でる人ですな。で、そのバンドが1973年にギタリスト感電死という悲劇を迎えるに当たってバンドは存続を頑張るモノのやっぱり解散に追い込まれたようで、その後すぐにマギー・ベルはソロ活動を開始。恒例のレコード会社の思惑なのかと思うけど、まぁ、それでも良いじゃないか。ってなことでニューヨークで録音したファーストアルバム「Queen of the Night」が有名。その後は英国に戻ってセカンドアルバム「Suicide Sal」というこれまた名盤が登場するんだけど…、なんてったってゲストにジミー・パイジがいたり、フリーの曲なんかもカバーしていたりしてなかなかマニアには喜ばしい作品なんだもんね。それが1975年のリリースなんだけど、その前の1974年にロンドンのレインボウで行われたライブの様子を収録していてあるのが二枚組のライブ盤「Coming on Strong」。
一枚目はストーン・ザ・クロウズの1972年のライブで、正に時代を象徴するかのようなフリーアドリブに覆われたブルースロックらしい混沌としたライブが入ってるんだけど、この良さはまた次回ってことで、二枚目に入っているマギー・ベルのライブ。これがまた面白い。この人曲作りにあまり比重を置いていなくて歌えれば良い人なのでガンガンとカバー曲が入ってくるのが嬉しいね。フリーの「Wishing Well」なんてのもかなりくだけて歌ってるし「I Saw Him Standing There」っつうビートルズお決まり曲とか、後はメドレーで色々な往年の曲のカバーがあって、これも聴き応えあるね。ポール・ロジャースもそうだけど上手い人はどんなの歌ってもやっぱ自分のものにしていて、違和感なく、そしてかっこよく聞こえるもんだ。
それからもうひとつ同じく今年になってからリリースされていたことに全然気付かなかったんだけど、フェアポート・コンヴェンションのその黄金時代のBBCセッションを丸ごとまとめた4枚組CD「Live at the BBC」がリリースされていたんだなぁ。これがあればこの頃の変化とかサンディ・デニーとバンドの素晴らしさってのは多分実感できるんだと思う。そんなにマイナーなバンドじゃないけど、あんまり情報が入ってこないってのはなかなか後が大変だ。もちろん国内盤なんてのは期待できないので当然英国盤ってことになるんだけどさ。このBBCセッション、かなり豊富な収録なので多分買うだろうなぁ…、三枚目とか凄く気になるもん。