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フレ

Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。

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No Doubt - Tragic Kingdom 

トラジック・キングダム リターン・オブ・サターン
No Doubt - Tragic Kingdom Tragic Kingdom

 レゲエ・スカの流れをロックに持ち込むと言った手法はもちろんポリスやクラッシュによって既に実践済みで、しかもかなり上手い融合傑作でもあったことで逆に同じような手法論では個性が出せずに単なるモノマネで終わってしまう可能性もあったものだ。しかし90年代半ば、アメリカのカリフォルニアからとんでもなく脳天気にロックとレゲエ・スカを合体させたバンドが登場。そして今ではセレブの代表としても顔が売れているグウェン・ステファニー率いるノー・ダウトだ。

 1995年リリースのセカンドアルバム、そして大ブレイクしたアルバム「トラジック・キングダム」。そっか、もう12年も前のアルバムなのか…。ついこないだじゃねぇかと思っていたのだが、そりゃぁグウェン姉さん結婚して子供作ってセレブしてるわな…。このバンド、新しく見えて実は結構キャリアが長くて苦労人だったりする。あの栄光の80年代をリアルで楽しんできた世代で、ギターのヤツだってバリバリにヘヴィメタギタリストだったりするし、バンド全員が80年代大好きだし…と。何てったって高校生の頃から一緒にやってる仲間らしいからねぇ。凄いわ。それでデビュー出来たのが1993年頃っつうから、まぁ大変だよね。よくそこまで持ったっつうかさ。しかも音楽的には完全に独自性を出しているっつうのもまた見事。

 その個性が思い切りハジけたのがセカンドアルバムの「トラジック・キングダム」なんだけど、最初からもう強烈なビートとレゲエ・スカを混ぜたようなビートで更にそこにはグウェン嬢の鼻にかかる可愛らしい歌声が被さってきてノーダウトサウンドの出来上がり♪ とにかくこのアルバムは名曲揃いで、どれもこれも滅茶苦茶ノレる曲ばかりでとにかく楽しめ!って感じ。もちろん唯一のバラード「Don't Speak」も素晴らしいんだけど…、いやぁ、最初はこの曲のPV見てからだからさ。マドンナがバンド組んだらこんな感じだよね、って思って。後で聞いたら結構紆余曲折あった頃のアルバムなんだね、これ。男女の恋愛もあり、兄弟とバンドの狭間もあり、苦労してるなぁ。

 しかし…やっぱ良い、これ。このアルバムに限らずこの後の三枚目「リターン・オブ・サターン」も今のところ最新アルバムとなる「Rock Steady」もガラリとサウンド変わるけど実に素晴らしい。なんだかんだとDVDも含めて全部制覇してしまっているバンド。英国の湿っぽさとは無縁な脳天気なカリフォルニアバンド、心地良いよ〜。

The Police - Reggatta De Blanc 

白いレガッタ アウトランドス・ダムール
The Police - Regatta de Blanc Regatta de Blanc

 パンクムーヴメントに乗って本当は実力のあるバンドなのに、それらしい顔してサラリと売れてしまった、とまでは言わないが頭を使った戦略で見事に世界のトップバンドになってしまったザ・ポリス。今は再結成ツアーを行って世界中を興奮の渦に陥れているという、そしてそれがまた生々しい皆が皆満足するようなライブだと言うから楽しみなもの。日本公演も噂されているけど決まったのかな?

 そんなポリスが1979年にリリースしたセカンドアルバム「白いレガッタ」。ファースト「アウトランドス・ダムール」はわざと粗っぽい録音と勢いを前面に出したことでパンクバンド的な売り方をしていったが、このセカンドアルバム「白いレガッタ」では本来のポリスの持つ味=すなわちスティングの才能とバンドの才能の融合がきちんと測られたバランスで出来上がったアルバムで、細かい部分を聴いているとよくわかるようにギターにしてみても一曲の間でどれだけ音が変わっていくことか。一聴するとシンプルに音をあまり重ねていないように聞こえるんだけど、その実エフェクトにより音をどんどん変えていくという細やかさはさすが。だからこそ聴くモノを飽きさせない音になっているのだ。それはベースにしてもドラムにしても云えることで、スネアドラムの音色ですらそうなんだからよく出来ている。

 それぞれの曲の持ち味となるとこれまた不思議なことに取り立てて名曲と言うわけじゃないんだけど、ポリスらしい曲が並んでいて、ライブでプレイされる曲はそれほど多くない…っつうか「Message in a Bottle」くらいじゃないか?まぁ、以降のアルバムに良い曲がいくつもあるからなのだが、一概にレゲエとの融合とも言えない独自のサウンドはひとつのジャンルを確立している。う〜ん、スチュワート・コープランドのドラムって凄く面白いよなぁ、このアルバムに限らずだけど。まぁ、三人とも個性的なので誰かってもんでもないが。

Big Audio Dynamite - Megatop Phoenix 

Megatop Phoenix This Is Big Audio Dynamite
 ゴチャゴチャな音として楽しめるモノってそりゃいくつかあるんだろうけど、そもそもパンクな流れでここまで来ているのでふと思い出したバンドがあった。クラッシュをクビになった後ミック・ジョーンズがドン・レッツと組んだワールドワイドな音を組み入れたダンサンブルなバンド、B.A.D。後期クラッシュの妙〜なダンサンブルな音をそのまま拡大解釈していったバンドという位置付けなんだけど、正直言ってなかなか着いていけなかったなぁ…。

 クラッシュ解散後に出したB.A.Dのファーストアルバム「This Is Big Audio Dynamite」こそがその音楽性をギュッと詰め込まれたものではあるんだけど、個人的にはこちらの第一期B.A.Dの最後のアルバム「Megatop Phoenix」の方が好きだ。それは多分ミック・ジョーンズが突如の病気に倒れて起死回生を懸けて復活して一気に創り上げたアルバムだからだろう。そういう悲愴感というのか必死感というのがやっぱりもの凄く魂の籠もったサウンドになるからだと思う。いや、音楽的にはダンサンブルでカラフルな、そして相変わらずカラッとしたごちゃ混ぜサウンドではあるので決して暗さも悲愴感も漂っていない、いつも通りのB.A.Dのサウンドに近いけど、でも一音一音に気合いが入ってるぜよ、これ。

 しかし1989年リリースの作品にしてはやっぱり最先端だったんだな、この後に流行することになるドラムンベースなサウンドも既に作られているし、一方では往年のロックの先人達のリフを拝借して、なんてのもあって敏感なセンスを持ってないと制作できない作品だよ。やっぱりThe Who好きねぇ〜て感じ(笑)。好みかどうかは別として政策能力は凄い。売れる売れないも気にしてないからそういう意味では面白いんだけどね。

 この頃元相方のジョー・ストラマーは初のソロアルバム「Earthquake Weather」を制作していて、意外なことに結構B.A.Dに近い音が出てきていた。このすぐ後くらいに今度はポール・シムノンが仲間内で作ったハバナAMというバンドの音は一番昔のクラッシュに近いモノだった。トッパー・ヒードンのソロアルバムはモロに民族だったし…。

 昔はこのバンドのアルバム、全然聴けなくて苦痛だった。ロックじゃねぇよ、こんなもん、って感じでね。音楽という楽しみ方じゃなくてロックという楽しみ方にこだわってたからかな。ゆっくりと色々なモノを聴くようになってからB.A.Dのやってたことってのがわかってくるようになってきたんだよね。そういう成長もクラッシュがあったからかな、なんて思う。う〜ん、やっぱりひとつのことにこだわっていてはいけないのだ、って。

Carbon / Silicon - Carbon / Silicon 

Last Post News

 今、ミック・ジョーンズはトニー・ジェイムズと共にCarbon / Siliconというバンドを結成してWeb上とライブでのみ活動しているようだ。トニー・ジェイムズという人、もちろん知っている人も多いだろうけどジグジグスパトニックの人ね♪ もっともその前はジェネレーションXに在籍していた人で、その前はロンドンSSというバンドでミック・ジョーンズと一緒にやってたことがある人なので古き友人とまた一緒にやってるというところだ。ある種羨ましい関係だよな。そうやって気楽に友達と好きなことをやっていけるってのはさ。

 アルバム云々っていう程聴いてはいないのでまずはこちらのオフィシャルサイト眺めて下さい。MP3でダウンロードできる曲もいくつかあるので、その辺で今の彼等の状況を楽しめればそれで良いのかなぁと。多分この二人が今一緒に活動しているってこと自体を知らない人の方が多いだろうし…。音的にはね、新鮮と言えば新鮮な音だけどやっぱり初心に戻ってっていうのかシンプルな曲が多いような気がするな。トニー・ジェイムズだって基本的にロックンローラーだしさ。

 何よりも頼もしいのはね、二人してレスポールJr.ダブルカッタウェイを持っているってこと。そんな何の音色もかっこもつかないギターで二人とも音を掻き鳴らしたってしょうがないだろ、とも思うんだけどそういうの超越しちゃってるんだもん。シンプルにロックを奏でる、そんな感じ。

 YouTubeも凄いなぁ、しっかりとそんな二人の活動のライブビデオまでもアップされているんだから。そこで見ることでバンドの状況がよくわかるかな、と。悪くない。商業ベースでのロックとは全然違うけど今の時代、こうしてWebとライブだけで活動できるってもんだ。どこまで食えるかってのは別だろうけどそういうミュージシャンも増えてくるんじゃないかな。気に入ればオフィシャルサイトから直接買う、みたいな感じね。ただ難しいこといっぱい出てきそうだけど…。ま、時代が答えを出すでしょ。

Sigue Sigue Sputnik - Love Missile F1-11 

Flaunt It Dress for Excess
Sigue Sigue Sputnik - 21st Century Boys: The Best of Sigue Sigue Sputnik The Best of Sigue Sigue Sputnik

 ジェネレーションXというバンドは実は後にとんでもないバンドを生み出すことになる。ま、ひとつはビリー・アイドルのソロ活動で話題になるギタリスト、スティーヴ・スティーヴンスの発掘によるものが大きいんだけど、それよりも何よりも当時日本語も多様されていたことで話題にもなり、そしてその奇抜なファッションとサウンドで一世を風靡したと言っても過言ではないジグジグスパトニックだ。

 これ、今聴いてももの凄く新鮮斬新なサウンドでさ、テクノ風のサウンドでもあるけど思い切りパンクスだし、ファッションはとんでもなく派手なロンドン風な衣装だし、本人達も言っていたようにスペイシーな空間を醸し出していたバンドでもあるし、とにかく全てが桁外れというか常識外れというか全ての根底をぶっ壊しているもの凄いインパクトを与えたバンド。

 アルバムっつうかシングルでのヒットの方が印象的なんだけどさ。「Love Missile F1-11」なんてホントに衝撃的で、そこそこ売れたもんだから余計に知識的に入ってきてしまって…、それを今聴くとまだまだ新鮮でさ、何なんだろな、これは。マーク・ボランのパクリタイトルでもある「21th Century Boy」にしても同じようなインパクトがあって…。未来都市を象徴するというので日本の首都圏の映像が使われているのは彼等の戦略か?映画「ブレードランナー」の影響たっぷりというのは疑いもない事実だろうとは思うけどさ。

 こんなのが出てきて売れちゃうんだからロンドンっつうのは凄い。たまにこういうのって出てくるんだけどさ、それがパンク畑の人間だったりすると余計にそう思う。まぁ、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドなんかもそうだけど、そういう時代だったのかねぇ。

 懐かしいのでビデオ二つ置いておこう〜。



Generation X - Generation X 

Generation X Valley of the Dolls
Generation X - Live At Sheffield Live At Sheffield

 立ち振る舞いやインパクト、そして攻撃的な姿勢などパンクスと見られがちな傾向というものはいくつかの特徴があるのだが、後にスターとなるビリー・アイドルが最初にシーンに登場したのはそんなパンク風バンドのジェネレーションXだったことは最早ほとんど知られていないんじゃないだろうか?まぁ、別に知らなくても害はないので良いんだけどさ(笑)。

 1978年にアルバム「Generation X」でデビュー。もう英国ではパンクなんてのは既に下火で誰も見向きしなくなりかけていた頃なのでそれはそのままこのバンドの人気にも反映されていた。だからどこかマニアックなバンドという印象があって、決してメジャーなパンクバンドの部類には入ってこないのだ。そもそも音を聴いてみるとわかるんだけど、これがまた実にキャッチーでマイルドな、そして見事にThe Whoをモチーフにしたサウンドばかりが詰め込まれていて、これでパンクはないだろ?っていうくらいの代物だ。いや、全然かっこいいし悪くないんだよ、これ。逆に凄く新鮮でポップで、しかもこの格好でこれをやるのか、というくらいにギャップがあって面白い。難を言うのであればあまりにも一辺倒な楽曲しかできなかったバンドというくらいか。いや、大きな問題ではあるが。

 ファーストアルバム「Generation X」では既に有名曲「Kiss Me Deadly」が収録されているので聴いてみるとわかるんだけど、これが最高傑作、かな。「Ready Steady Go」とかも可愛くて好きだけどね。いや、それを言うと全部そんな感じで面白いんだが…。とんがってないんだもん。まぁ、でもかっこよいよなぁと。セカンドの「Valley of the Dolls」ではかなり失速した感もあってやっぱりファーストに軍配が上がるんだけど、バックのメンバーの問題なのかな。トニージェイムズとビリー・アイドルだけで持ってたバンドだからなぁ。バンドは三枚のアルバムをリリース後解体、ビリー・アイドルはソロ活動で大成功を手にし、トニー・ジェイムズはジグジグスパトニックとかかなぁ、今はミック・ジョーンズとやってるみたいだけど。

 英国パンクもあまり深みまで落ちる前にシーンが下火になっていったのでB級バンドが出てくるまでもなかった。そもそもヘタクソの集まりだったんだからB級っていったら聴けたもんじゃなかっただろうなぁ(笑)。ま、それでも色々いたけどさ。その中でこのジェネレーションXっつうのはパンクの美味しいところをきっちりと知っていたバンドかもしれない。センスは良いね。

 しかし昔はこのバンド全然手に入らなくって探すの大変だったなぁ。名前を知った時はちょうど全てが廃盤でさ、どれもこれもクソ高くて、たかがパンクバンドに高い金出して買えるか、と思ってたから余計に見つからなかった。ようやく見つけたのがセカンド「Valley of the Dolls」だったなぁ…。懐かしい思い出。

The Damned - Machine Gun Etiquette 

Machine Gun Etiquette Music for Pleasure

 パンクバンドは短命なモノ、それはセックス・ピストルズだけの話ではなくってザ・ダムドにも云えた話だったことはそれほど有名なことではないのかな。パンクバンド最初のシングルをリリースしたザ・ダムドではあるが永遠のパンク名盤として挙げられるであろうファーストアルバム「Damned Damned Damned」をリリースした後、全く売れなかったセカンドアルバム「Music for Pleasure」をリリース、その即座に失速していって一旦解散している。とは言ってもまたメンバーが再度合流することで早速ながら1979年早々に再結成を果たしている。そこでインディーズに居を移してリリースされたのが三枚目の「Machine Gun Etiquette」だ。

 もともとビート感については他のバンドよりも圧倒的に強烈で、もっともパンクらしいビートを奏でていたバンドなだけあって、このアルバムの最初の曲「Love Song」でも相変わらず強烈なビートを弾き出していてそれだけでファン的には満足できるんだけど、驚くことにこのアルバムから既に音楽的に相当進歩していてっていうのか、もともとそういう方向性があったと言うのか「Plan 9 Channel 7」のような疾走感の中にもきちんとしたメロディが流れていて、単なるビート一辺倒ではなく、そしてどこか荘厳とした雰囲気をも持ったサウンドはダムドの特徴でもある。最後の「Smash It Up」についても同じ事は言えて、その流れがあるからこそ名盤「The Black Album」へと繋がるのだ。

 そんな狭間に位置した三枚目の作品「Machine Gun Etiquette」だがこれがまた聴いているとなかなかよろしい。アルバムのジャケットは国によっていくつか種類があるみたいだけど、まぁ、センスを語るほどのものじゃないな(笑)。今じゃボーナストラックがたくさんついたCDがリリースされているからそっちを入手するのがお得だろう。

 80年代を迎えようとしていた多くのパンクバンドがそれなりに変化していった中、割とスムーズに変化を遂げたのがザ・ダムドかもしれない。独特のファッションについても個性を出していたし、それは非常に印象深いモノだったし、ライブの映像を見ていたりすると存在感バッチリだしね。うん、結構好きかな。


The Jam - Setting Sons 

Setting Sons All Mod Cons
The Jam - Setting Sons Setting Sons

 英国パンクの波に乗って出てきたバンドの中にザ・ジャムというのがある。まぁ、別に説明せんでもいいんだろうが…。The Whoの流れでThe Jamなワケで、パンクとはそれほど意識することもなく出てきていたのか、たまたまポリシー的に同じだったから時代的に受けたのか、いずれにしてもシーンに出てきて成長して行くに従って音楽的幅の広がりを見せてくれたバンドでもあった。それは単にポール・ウェラーの趣味によるトコロが大きいのだが。

 さて1979年にパンクの大物達があれこれと問題作をリリースする中、ある種早々に成熟仕切ってしまったザ・ジャムというバンドの円熟期のアルバムとなる「Setting Sons」。ファンの間でもこのアルバムかその前の「All Mod Cons」かが名盤と言われていることが多いようだ。自分的にはファースト「In the City」なんだけど、まぁ、それは置いといて(笑)。

 確かに成熟しているというかゆとりすら感じさせる程のアルバムの出来映えで初っ端からThe Jam的ビートとコーラスによって聴くモノを惹き付けてくれるアルバム。でも、今になって聴くとちょっと若いかなぁという気がする。もちろんこのアルバムが作られた時ポール・ウェラー21歳くらいっつうからしょうがないけど、深みがちと足りない。うん、今改めて聴くと、だけど。小手先の部分では凄く凝っていることもしていたりトータルアルバム的に聴かせたりしてくれるんだけど、ちょっと子供だまし的な面もある…。何だろ?多分自分が年を重ねてしまったせい。作風的には悪くない。英国の王道の先輩諸氏のアルバム従ってThe Jamのビートもきっちりと出しながらの作品だから。

 でも、なんだかんだ言っても凄く英国らしいバンドだよね。このアルバムも裏ジャケなんて凄く英国的だしさ、音も軽快な英国ビートで…うん、思い入れがあんまりないだけにじっくり聴かなくなった作品かもしれない。好きな人は好きだろうなぁと思う。最後の最後に「Heatwave」のカバーが入っていて、これが妙に浮いている。なんだかんだとこのアルバム全ての曲がこのカバー曲に勝ててないのかな。ま、でも「Smithers-Jones」のストリングスアレンジによるロックは好きだけどね。

 同時代のバンドはクラッシュが「London Calling」、ストラングラーズが「The Raven」、ダムドが「The Black Album」だからなぁ…。


Public Image Ltd - The Flower of Romance 

The Flowers of Romance Second Edition

 セックス・ピストルズの幻想は後に続く世代に任せるとして自身はさっさと次なる野望と実験に向けて動き始めた。そもそもシド・ヴィシャスが参加した時点でセックス・ピストルズは単なる幻想と化したことを何よりも理解していたのはジョニー・ロットン=ジョン・ライドンだったのかもしれない。いや、多分そうだろうな。だからこそさっさとセックス・ピストルズを崩壊させて、しかもその年の内に新たなる野望を抱いた、そしてまた別の破壊的なバンドでもあるP.I.Lを結成する。ここで顔を出すキース・レヴィンだが、元々クラッシュのメンバーでもあり伝説のロンドンSSのメンバーでもあった。

 そんなP.I.Lの問題作、というか最高傑作、というか何これ?っていう作品が1981年にリリースされた「The Flowers of Romance」という作品。ノレないビートを中心に創り上げられたとしか思えない程ノレないサウンド(笑)。ジョン・ライドンのお経のような歌声から始められるこのアルバムは最初から土着民族的な音の嵐で、リズムにその傾向が顕著。しかし、しかし、だ、そこにもの凄く新しいエッセンスが投入されていることで最先端のロックへと進化させているのが凄い。多分それはジョン・ライドンのお経のようなメロディではあるんだけどただ単にお経を唱えているワケでもなく、そこはさすがに元祖ロンドンパンクス、滅茶苦茶熱い魂が込められているのだ…。

 それにしてもよくもまぁこんな音がアルバムとして、しかも1981年という時期にリリースされたものだ。とても売れるとは思えない作品だが、それもこれもジョン・ライドンという名前に委ねられるトコロが大きかったに違いない。作風的には多分トーキング・ヘッズとか一緒にされやすいのかなぁ…。まぁ、This Heatとかもあるけどさ、そういう印象で、とても一介のパンクス上がりの人間が作った作品とは思えないほど洗練された新鮮なサウンドだ。これだから英国の奥深さは面白い。

 ジャケットはかなり秀逸なもので、昔から気にはなっていたアルバムだけど、どんな評を見てもあまりロック心を刺激するような書き方ではなくって、アフロリズムに云々とか宗教的メロディ云々とかそんなんだったから手を出すのは遅かったな。ちょっともったいないことしたかなぁとは思うけど、まぁ、聴けただけ良し。コレ、多分若い頃に聴いたら好きになれないアルバムだと思うもん。こういうのに耳が行くセンスってなかなか難しいと思うしさ。ポップグループとかで慣れてれば良いんだろうけど、じゃなきゃ結構キツイんじゃない?今はもちろん自分も全然平気で聴けて楽しめるけどさ。

The Stranglers - The Raven 

レイヴン(紙ジャケット仕様) メニンブラック(紙ジャケット仕様)
The Stranglers - The Raven The Raven

 ロンドンパンクなんてのは一瞬のお祭りに近かったものだと、後になって歴史が証明していることは事実であるがそれでもまだそこに夢を見るということも重要で、だからこそまだまだパンクのリスナーでもあるんだよね。まぁ、プレイしている本人達からしたらそのままやり続けるワケにもいかなかった状況もあって、変化していくことを余儀なくされたものだ。故にクラッシュは新たな音楽性を採り入れてパンクは音楽性ではない、アティチュードだ、と言い切った。ダムドはどんどんとニューウェイヴの旗手となってルックスから何から全て変化することで乗り切っていった。ジャムはそもそもパンクというかモッズだったワケで、その後の活躍は十分に世に知れ渡っている。ピストルズはP.I.Lと名を変えて斬新なニューウェイヴサウンドを打ち出した。ここでも革命的なサウンドだったことでP.I.Lは重要なバンドとして語られることとなる。

 そして唯一無二の存在とステータスを維持し続けたのがストラングラーズ。もちろん変化していくし、その変化たるや他のバンドとは比較にならないくらいの変化だったりするんだけど、そのスタイルが妙に骨っぽい。アルバム「レイヴン」をきっかけに一気に内省的になった、と言われるが、リリース当時の1979年でこそ理解されにくいもので、そこから十年以上も理解されにくいままだったが、時を経てくるとこのアルバムの深みがだんだんわかってくるものだ。今ではストラングラーズの代表アルバムには必ず入るという地位まで確立してしまった。

 音的にどうか?別にパンクじゃないし、ヘタしたらロックとも云えないのかもしれない。ただカラフルに多様な音色を散りばめて淡々と、確かに内に向けて呟かれている音が中心。ただ、その音の一音一音が繊細で意思を持った音色に聞こえてくるくらいシュール。このアルバムは誰かに聴かせるとか誰かと聴くとかには不向きな、一人で闇の中でじっくりと向き合って聴くサウンド。最初は取っ付きにくい。それは間違いないね。でも聴いているとどれもこれもが名曲に思えてくるから不思議。そしてどこか大陸的な香りが漂っていて気分が大きくなってくる。決して明るい気分ではないけど(笑)。不思議だよな、それでもどこか夢見れるというかさ、いいんだよなこれで、みたいな気分になるんだもん。

 過去にはネズミを仲間に加えていたストラングラーズが新たにカラスを仲間に引き込んだ傑作、ジャケットも大胆なものだけど、音も斬新。激しさを求めて聴くなかれ、自己鍛錬との戦いになるから(笑)。どっちかっつうとプログレファン向きのバンドだよな…。

Dead Boys - Young Loud And Snotty 

デッド・ボーイズ登場!!~ヤング・ラウド・アンド・スナッティ ウィ・ハヴ・カム・フォー・ユア・チルドレン

 芸術的、知性的側面の強いと言われる初期ニューヨークパンクからは発展した、今度はロンドンパンクに影響を受けて誕生してきたUSパンクの波というものもある。もっともその大半はシンプルな音から更にカオスな世界はコアな世界に進むこととなりシンプルなロンドンパンクの勢いをそのまま音として影響されているバンドというモノは少ない。まぁ、その当たりに進むとあんまり興味がなくなってしまうからねぇ。ハードコアパンクってほとんど聴かないし。面白いのはあるの知ってるけどもう飽きるよなぁ。

 さてさて、そんなことではあるが中でもスティーヴ・ベイダーズ率いるデッドボーイズの音は本人のセンスもあり、相当に洗練された初期パンクサウンド、ともすればニューヨークドールズに追随するかのようなサウンドを持って世の中に出てきた。1977年デビューではあるがその実それこそCBGBでは鍛えられまくっていた下積み時代が長かったようだ。ちょこっと聴くとアメリカ的っていうのをあまり感じることなく軽快で一筋なロックンロールを激しい勢いでプレイする初期ロンドンパンクに近い音で、なかなか良いのだ。

 このスティヴ・ベイダーズってのが曲者で、この跡にはパンクスの大御所連中と一緒に組む「Loads of New Church」ってバンドがあるんだが、そこではポップセンス満開で実はかなり才能豊かな人だったという。それこそハノイ・ロックスのマイケル・モンローはこのバンドの大ファンで、自身のソロ作品などによくカバー曲を入れていたしね。なかなかマニアックなセンスした人です(笑)。今や故人ではあるのが残念だが、結構あちこちで作品を聴くことができるのでマニアックに楽しみたい人はお薦めだね。

 デッドボーイズ自体はアルバム二枚だけしかリリースされずに解散したけど、最初のアルバムである「ヤング・ラウド・アンド・スナッティ」はシンプルにお薦め。考えることも悩むこともなくスカッとノレる名盤ではあるな。「ニューヨークのセックス・ピストルズ」と呼ばれていたくらいシンプルな音。