The White Stripes - Icky Thump

Icky Thump

 The White Stripes新作。

 The White Stripesってドラム的にVelvet Undergroundかな、と。いや、そういうこじつけはまぁ、いいんだけど、White Stripesってのはどこか退廃的な雰囲気を持っていながら赤黒白のトーンで派手派手しいカラーリングだったりする。なかなか不思議な二人組だよね。

 そんな二人組がデビュー10周年ともなる2007年に新作「イッキー・サンプ」リリース。相変わらずのThe White Stripes節なので最早多くを語る必要もないのだろうが、相変わらずのセンスが炸裂していて正直言ってかなりかっこよい(笑)。この人のギターってのは決して昔でいう音の良いギターなどではなくってどっちかっつうと安っぽい音ですらあるのだが、その音と曲と演奏とドラムがマッチしてるっつうかね、これでレスポールなんかの綺麗な音じゃダメだろうな、と思うし。音圧を出すためにも粒の粗い音のするギターが良かったのかもしれないな。

 そして音の方だが、初っ端の「イッキー・サンプ」はアルバムタイトルにもなっているだけあって凄いインパクト。相変わらずワイルドなギタフレージングに予想できない曲展開とギターソロ。このソロってのがまた曲者でエグイ音してて切り込んでくる。この辺のインパクトはジャック氏の圧倒的なセンス。次の曲は割と可愛らしいんだけどやっぱりワイルドなギターサウンドは健在…って言ってると全部そうなるからな(笑)。

 この人達の弱点っていっぱいあるんだけどそんなのを補って余りあるセンスってのがファンを惹き付けてるんだろうな。MTVとかで結構特集とかやっていてPVとかいっぱい見たんだけど、PVの作り方も結構凝ってて面白い。そういうテンではビジュアル面もかなり重視されていて、結局総合的に良いアーティストなんだよね。狙ってるのかな、やっぱ。でも音がこれだけしっかりしていると何やっても大丈夫って感じ。しかしさ、ギターとドラムだけのアルバムなのに良い、ってのはどうなんだろうな。そんなので6作目くらいでしょ?聞けばレコーディングなんて毎回数週間で終わってしまうらしいし(笑)。ジャックのデモでほとんど終わりだもんなぁ…、そりゃそうか。

 そんな新作「イッキー・サンプ」なんだけどThe White Stripesの真髄が更に進化しているという証明でもある期待を裏切らないアルバムだね。ホーンセクション入れたりってのもあってアメリカ的な楽しみがいっぱい詰まってるので、早速よく聴いてるお気に入りっす。

Velvet Underground - White Light/White Heat

White Light/White Heat The Velvet Underground The Velvet Underground & Nico

 Velvet Undergroundと言えばファーストアルバムの剥がせるバナナジャケットがアートワークとしてもそして音楽としても有名で、その作品ではまだ真の意味でのVelvet Undergroundを語ってはいなかったものだ。聴かせるということをテーマに置いた部分もあり、だからこそニコをボーカルに迎えて作品に華を添えている部分も大きかったことだろう。しかしニコは即座にVelvet Undergroundを離れて活動することとなり、ウォーホールの趣味的な面が強かったVelvet Undergroundというバンドそのものはさっさと注意を払われなくなる、そしてそれこそが彼等をアンダーグラウンドの帝王に仕立て上げた根本かもしれない。

 そんなVelvet Undergroundが最もアンダーグラウンドな、そして世に放つ問題作としてリリースしたアルバムが「White Light/White Heat」ではないだろうか?ノイズと混沌、しかもそれは英国の洗練されたものではなくニューヨークの過激なもので言い換えれば品がない音なのだ。しかしその品のなさが英国のロックミュージシャンには新鮮且つ斬新な音に聞こえたことで衝撃を与えていた。代表的なのはデヴィッド・ボウイに於けるVelvet Undergroundへの崇拝度合いだろう。今でも「White Light/White Heat」かデヴィッド・ボウイの代表的なカバー曲でライブでも歌われているものだ。

 このアルバムではまだミュージシャンとしてはよちよち歩きを始めたばかりとも言えるルー・リードと圧倒的音楽経験豊富なジョン・ケイルがその志向性の赴くままにぶつけ合ったアルバムで元祖アヴァンギャルドとも呼ばれる化学反応を見せている。音楽として聴くにはあまりにも未熟な作品だが、Velvet Undergroundの名に恥じないアルバム。特に「Sister Ray」の17分ものエゴのぶつけ合いについては一般のリスナーを絶縁するかのようなものなのだが、不思議と聞いていると心地良くなるのだから人間の本質ってのは怖いものだ。そうでもなければこのアルバムやVelvet Undergroundというバンドがこれほどまでに伝説に残るものにはならないだろう。だからこそ今でも名盤と呼ばれるんだろうな。ある意味恐ろしい話。

 音的には特に書ける代物ではないです(笑)。でも、Velvet Undergroundってバンドの真髄を知るにはコイツだろうな、と。次の三枚目「The Velvet Underground」ではジョン・ケイルが脱退してしまったのでこんなに前衛的なサウンドではなく、もっともっと全うに評価されているのだが、このセカンドアルバムは強烈に一般的評価ができない代物なのだ。だからこそ面白い…、う~んVelvet Undergroundに毒されてる?な(笑)。

Nico - Camera Obscura

Camera Obscura Desertshore The End

 完璧な暗さを表現したアーティストとしてニコを挙げておきたい。いや、別に他に何人か思い付くんだけど、どことなく混沌としていて且つ激情的でもあるが、やたらと暗く、更に言うならば独自の世界とサウンドを打ち出した人でもあるから。もちろんヴェルベット・アンダーグラウンドのファーストアルバム「The Velvet Underground & Nico」に参加した歌姫としてのニコは一番有名な時代なのだろうが、そこに取り憑かれた人は多分以降のソロアルバム収集に走っているのではないだろうか。最初のソロアルバム「Chelsea Girl」はもちろん素晴らしいニコの世界を築き上げてくれたし、そのポップな歌メロと淡々としたバックのサウンドは新たな世界でもあった。しかし初期のソロ作品から離れていき、ニコの人生も波瀾万丈あった頃になるとニコの作品にはかなりの変化が生じてきた。またセールス的にもこだわることなく独自性の強いアルバムが続々とリリースされていたのだった。

 中でも名盤と呼ばれる「The End」は以降のニコの作品全体に通じるシンセサイザー音に乗せた地下の水道管とも呼ばれた歌声がハーモニウムと共に鳴り響くもので実験的アルバムにしてはかなり成功した作品じゃないかな。シンセサイザーってもかなり初期型なのでそんなに多彩な使われ方じゃないけど、一般的な使い方ではなく鍵盤を押しっぱなしにして一方ではミニマル的に音がリフレインしている中ニコのメロディだけが淡々と変わっていく、みたいな感じでこれまではこういったサウンドを聴いたことはなかったなぁ。そしてタイトル曲はもちろんThe Doorsの「The End」のカバーで、ある意味ジム・モリソンの歌う「The End」の本質だけをひんむいて裸にして歌われているのがニコのバージョンかもしれない。こっちのほうが赤裸々というのか生々しい印象がある。それはニコの人生観がしっかりと出ているものだろうし、ジム・モリソンがハタチそこそこの頃に歌う「The End」よりも人生経験を積んだニコが歌う「The End」の方が切実だということだろう。恐ろしくもハマりまくっている凄い選曲。

 う~ん、やっぱり全編通してドーンと重くて暗い。シンセの音自体はそれほど暗いモノじゃなくて明るめの音色なのだが、音使いなのか声なのかひたすら暗くハマれる人のアルバム。80年代に入ってからもず~っとこの調子でアルバムがリリースされていくのでダメな人はダメかもね。結構面白かったりするので「Desertshore」とか「Camera Obscura」とかいくつか聴いてみるとハマるよ。他にもライブとかあってそれはそれでまたどよーんってなるんだけど、迫力は凄い。始めて映像見たときとかやっぱ驚いたしね。鍵盤向かって一人でやってる、みたいな感じでさ、客なんてどうでもいい、っていうか…、うん、凄い人だ。DVDも今ではいくつかリリースされてるみたいで幸せな時代♪

Van Der Graaf Generator - Pawn Hearts

Pawn Hearts H to He, Who Am the Only One The Least We Can Do Is Wave to Each Other

 1971年には既に自身の世界を築き上げていた非凡なるオトコ、ピーター・ハミル率いるVan Der Graaf Generatorの凶暴さもまた英国プログレッシヴロックのひとつの側面。特に活動休止する手前の作品「Pawn Hearts」は素晴らしく激しく音楽的にも上質なアルバム。この人の場合バックがどうであれ、吐き捨てるようにそして叫ぶように歌うのでそのエネルギーの出され方がリスナーを捉えるだろうし、嫌いな人は嫌いだろうと思う。特に1971年の作品ともなればまだまだピーター・ハミルも若かりし頃でロックそのものも黎明期なワケで、そこへ凶暴性を持った、そしてテクニックも持ち合わせたこれだけのバンドが出てくるのだから面白い。ともすればその他大勢のB級バンドに埋もれてもおかしくないものなんだけど、そこはやはりアルバム数枚を経ての完成度というメジャーグラウンドでの勝負ができたことの違いか。

 この「Pawn Hearts」、iTunesでクレジットを見るとCD一枚で3曲しか出てこない(笑)。まぁ、組曲だからそれで正しいんだけどCDだからこそ細分化したクレジットでもよいと思うのだがこの大胆なチャプター振りは多分自分のCDが古い規格だからだろうなぁ。初っ端の「Lemmings」の叫び声とメロディ、オルガンの凶暴性と効果音、どれをとってもこれぞVan Der Graaf Generatorと言わんばかりの傑作で前作「天地創造」もしくは「核融合」とも違ったある種の完成度を見せている。続いての「Man-Erg」は出だしこそピンク・フロイドのような雰囲気もあるんだけど、やっぱりVander Graaf Generator的、というかピーター・ハミル的な説得力のあるメロディラインと破壊的な展開に持ち込まれるという実にロックらしい、そしてドラマティックですらある曲展開で美しい旋律が耳を惹く。全くどんな書き方してるんだか、ハチャメチャな書き方ではあるが実際聴いているとそう思うんだよ、ホント。あ、どこかデヴィッド・ボウイ的な部分もあるなぁ…って多分それは英国人の持つ独特のメロディセンスのためかな。

 うん、このアルバムは名盤と呼んでも良いと思う、っつうか多分そう呼ばれているだろうが…、あらゆる音楽を聴いてきた中でもかなり素晴らしい作品だし、Van Der Graaf Generatorとしての傑作であることは間違いないね。個人的にダントツだったのは「Still Life」なんだけど、それとは違った意味でこのアルバム「Pawn Hearts」は面白い。

Gong - Gazeuse!

Gazeuse! Expresso II Downwind


 カンタベリー系アヴァンギャルド路線にハメ込むには少々無理があるんだが、まぁ、流れ的によろしいとしようじゃないか(笑)。いや、ゴングの話。どっちかっつうとピエール・ムーランのゴングなんだけどさ。時期的にも1976年以降のジャズ・フュージョン化した頃の作品だったりするので少々カンタベリーのジャズロックとは違うんだけどさ、根がカンタベリーだったハズのバンドなので、逆にここまで変わるモノかと思うくらいの意味合いでは良いかな。ゴングの遍歴ってのはデヴィッド・アレンから始まってもの凄いことになってるんだよね。簡単に言うとデヴィッド・アレンが率いるゴングっつうのと、このピエール・ムーランが率いるゴングが同時期に活動していたりするのでややこしい。そしてジリ・スマイスの率いるマザー・ゴングっつうのも出てきているのでゴング・ファミリーの活動についてはちょっとマジメに取り組まないとワケのわからん世界になってしまう。故にどのアルバムが…なんてのも一口に言えないものなのだ。

 初期のゴングを代表するラジオノーム三部作も素晴らしいユートピア精神溢れる代物だが、ここではそれ以降のピエール・ムーランのゴングを代表する1977年リリースの「Gazeuse!」なんてのを書いてみよう。いやぁ、アラン・ホールズワースが参加しているアルバムでね、アラン・ホールズワースの流れの時に出そうと思ったんだけど音が見つからなくて飛ばしてしまったんだな。で、たまたま見つけたのでここで登場ってことだ(笑)。しかし、誤解してはいけない。このアルバムはアラン・ホールズワースのギターを聴くためにあるものではなく、高尚なアンサンブルと浮游感に覆われたジャジーな空間…というか、はっきり言って木琴とピアノのアンサンブルが美しくてねぇ、そこにパーカッショナブルなものも入り込んでくるという美しい音を奏でる作品なのだ。「Percolations : Part I & Part II」なんていう10分オーバーの曲聴いているとやっぱりテクニカルでカンタベリーチックな音だなぁと言うことがわかるんじゃないかな。あまりにもピエール・ムーランのパーカッションなセンスがよろし過ぎて、下手したらビル・ブラッフォード並みにアチコチのバンドを渡り歩けたくらいのセンスとテクニックを持ってるもん。ソフト・マシーンにビル・ブラッフォードが入ったら…こうなる、って感じかな(笑)。

 そんなゴングの多分傑作だと思う。昔からジャケットはよく見たけどフュージョンチックなのであまり聴かなかったんだよね。ところがまぁ、色々と聴いているうちにこういうのもありか、と聴くようになるものなのだ。以降の「Expresso II」も同様にかなり気合いの入った良い作品だし、その後の「Downwind」もモロに趣味が出た作品だね。ただ時代が遅すぎたかもしれん(笑)。

Caravan - Waterloo Lily

 ソフト・マシーンと同じバンドをルートに持つCaravanも1972年には既に多様の変化をし始めていた頃で、こちらはキーパーソンでもあったデイヴ・シンクレアが脱退してしまうという事態に陥っていた頃だったのだが、カンタベリーバンドの常なのか、それでも大きなサウンド変化にはならないというか相変わらずカンタベリーらしい音を出したままと言うか、全くガラリと変わった面もあるのだが、バンドの歴史としては良い方向に変化していったというユニークな展開。それこそがCaravanの面白いところで、やっぱりこのポップさは侮れない。

Waterloo Lily グレイとピンクの地+5 夜ごと太る女のために+5
 「Waterloo Lily」1972年リリースの4作目、前作「グレイとピンクの地」が初期の傑作として名高く、そしてこの後にリリースされる「夜ごと太る女のために」がかなりの傑作だったためどこか埋もれがちなアルバムではある。まぁ、ジャケットからして少々地味なのは確かだが、サウンド的にはそんなこともないんだよね。もちろんデヴィッド・シンクレアのいなくなった穴をスティーヴ・ミラーが埋められたとは思えないんだけど、しっかりと埋められているところもあって、悪くないしさ。一応Caravanのアルバムの中では最もジャズ寄りのサウンドと言われているんだけど、それはスティーヴ・ミラーの特性のおかげではある。が、さすがにソフト・マシーンを聴いた後では全然そういう雰囲気を感じるものでもなくってもっと音楽的に昇華させるための鍵盤楽器の美しさを引き出しているというような感じで、一方まだパイ・ヘイスティングが全開とまではギターを弾き切っていない面がこの後を知っているともどかしいかな。しかし前作に比べると楽器の演奏レベルがグンと上がっているように感じるのは気のせいかな、二曲目の「Nothing At All」っつう曲ではあのロル・コックスヒルとフィル・ミラーがゲストで参加しているのでそのせいかもしれないけど(笑)。パイ・ヘイスティングの相変わらず美しい「Song By Signs」なんてのはモロにCaravanって感じの小曲で、あぁやっぱりカンタベリーっていいなぁって思う瞬間。

 なんだかんだでやっぱりこのアルバムも名作だと思うよなぁ。ポップなメロディの曲はないけど音的にはしっかりとCaravanの世界だし、デヴィッド・シンクレアが不在というのも相対的には大きな問題になってない、と思う。いたらいたで違うんだけど自分的には許せるなぁ、この世界をきちんと出してくれるんだったらね。そう思えるアルバム。

 ちなみに中ジャケはとんでもなく強烈なお姉ちゃんの絵なのが表ジャケットとギャップがあって面白い。こういうユーモアセンスも喜ばしいな(笑)。

Soft Machine - Fifth

 アヴァンギャルドサウンドから遡ってみるとカンタベリーにまで行き着く、そしてカンタベリーの中でもやはり最前衛的な音を出していたのはやっぱりソフト・マシーンだよな、と思い出すのだ。ソフト・マシーンの遍歴はアルバム毎に見事にサウンドもメンバーも替わっていくもので、そういう意味ではキング・クリムゾン的かもしれない(笑)。が、サウンド的には全く正反対とも言えるもので激情的なシーンが全くと云って良いほど聴かれないのがソフト・マシーンで逆に激情的なアンサンブルを重要視していったのがキング・クリムゾンとも言える、かな。

Fifth Live in France <Just Us

 その長いバンド歴史の中でも真ん中に位置する、「Fifth」だが、全作品中最もジャズに近づいた作品と云われる。しかししっかりと根はロックなのだなぁ、聴いているとね、そう思うワケよ。確かに面子的にもエルトン・ディーンのサックスを筆頭にマイク・ラトリッジのオルガン、ヒュー・ホッパーのベース、ドラムはフィル・ハワードとジョン・マーシャルによるものでフリージャズ的な要素が強い…と括って言ってしまっては元も子もないので、フィル・ハワードの叩いているA面はかなりフリージャズのエッセンスが強くて、こちらはエルトン・ディーンの真骨頂とも云える一曲目の「All White」がもの凄く心地良い。かと思うと続いての「Drop」ではやはり聴き慣れたマイク・ラトリッジのオルガンが心地良く鳴ってミニマル的な要素も強い従来型ソフト・マシーンと言った音だ。…と言うか次作あたりまで続くソフト・マシーン的な音、だな。こういうの好きだからソフト・マシーンってなんだかんだで良く聴くんだよね。ヒュー・ホッパーとマイク・ラトリッジはどちらかと言えば展開を決めたジャジーな音が好きらしく、一方のエルトン・ディーンはあくまでもフリーフォームなスタイルが好きなようで、そのせめぎ合いがこの時期のバンドのバランスを危うくしているという見方もあるし緊張感を煽っているってのもあるか。しかしこの後ベーシストとして参加することとなるロイ・バビントンがダブルベースでゲスト参加した「As If」はかなり激しいバトルの繰り広げられるインプロ中心の曲でベースが見事に歌っているし、サックスも素晴らしい…、そしてソフト・マシーンらしいマイク・ラトリッジのオルガンが美しく冷たく淡々と鳴っていていいなぁ~と思わせるよ、ホント。この時期のソフト・マシーンは結構好きだなぁ…。

 アルバム「Fifth」がレコーディングされたのが1971年から72年頃で1972年にはアルバムリリースされている。そして72年にフランスで行われたライブ「Live in France」が突如として1995年にリリースされて、驚きのあまり速攻で買ってしまったのだが…。これはドラムにジョン・マーシャルが参加しているヤツで、アルバムほどの鋭さはないけど「5」の曲中心でライブが丸ごと収められているのでマニア必聴のアイテムだね。ソフト・マシーンってのはホント時期時期で音が違うのでそれぞれのライブ音源ってのも聴けると面白いし、当時この頃のライブなんて他では聴けない代物だったからなぁ、刺激的だった。

 それとこの時期にエルトン・ディーンは自身のソロ作品「Just Us」もレコーディングしていてこちらもほぼ同じような面子で録音されているので兄弟作品として聴いておきたいね。こうなってくると全くジャズメンと同じようなセッションで誰がリーダーか、ってだけの違いになってくる(笑)。

Henry Cow - Unrest

 70年代末、英国ではパンクムーヴメントが勃発し、更にニューウェイヴと呼ばれる波が到来してきたころ、かつてから活動していたバンドの影がどんどん薄くなっていった。しかし時代の流れとは全く相見えないところで活動していたバンドにとってはそれこそ何処吹く風、と言わんばかりに傑作を密かにリリースしていたりする。アヴァンギャルドな音世界にとってはそれは日常のことでもあり特段意識するようなことでもなかっただろうが刺激にはなっていたんだろうな。しかし古くからおなじような音楽手法を採り入れていたバンドはやはり存在しているモノで、その中のひとつにヘンリー・カウというバンドがあるのだな。

Unrest In Praise of Learning Leg End

 あのヴァージンからのリリースで、当時から前衛的と呼ばれていたハズ。ヴァージンレコードってのはえらくニッチなサウンドを奏でるバンドを発掘してリリースしていったレーベルだし、そもそもマイク・オールドフィールドの「Tubular Bells」だって売れたのが不思議なくらいのサウンドだしね。ま、そんなことでヘンリー・カウのアルバムデビューは1973年。活動歴は1978年頃までじゃないかな、多分。人脈的なところが結構複雑で、ドイツ人ボーカルのダグマー・クラウゼで有名なスラップ・ハッピーとほぼ混合編成のバンド形態になることもあって、また音楽的にもかなり近似していたところもあるので両者を切り分けるのは難しい時代もある。共作でリリースしているアルバムもあるし、ライブではお互い入り乱れていたみたいだし、なんかよくわかんない世界(笑)。

 で、このヘンリー・カウ、今じゃいくつも発掘アルバムが出てるけどシンプルに一作目から三作目までは靴下ジャケット。並べてみるとなかなか面白かったりするのでついつい音はともかく集めたくなるものだったのだ(笑)。その中でも一番傑作なのはセカンドの「Unrest」かなぁ。うん。でも、やっぱり相当のアヴァンギャルドな音なので一般的にオススメするものではない、と思う。This HeatやPop groupなんかとは違ってもっと温かみのあるコミカルな、そして不思議感と浮游感のあるカンタベリー系独特の雰囲気は持っている感じのアヴァンギャルド。プログレって言われる延長線上に位置してはいるんだけどこの発展性は面白くて、認識によるんだろうけど後に出てくるノイズ・アヴァンギャルド系のサウンドの走りでもある元祖じゃないかとも言えるしさ。しかし、まぁ、それらとは大きく異なってるのは使われる楽器の数々。ちょっと聴いているだけでもピアノやサックスやその他もろもろの音が聞こえてくるんだけど、やっぱりヴァイオリン、オーボエなんてのも使われているんだね。で、重要なのはリンゼイ・クーパーフレッド・フリスっつう奇才がいるってことだな。この人達って確かソロ作でも出していると思ったけどもう、現代音楽フリージャズの境目あたりの筆頭でね、よくわかんないけど奇人だよ、聴いてると。

 そんなヘンリー・カウの作品、ジャケも良いがライブも凄い。白熱っつうのとはちょっと違う、もっとクールな、という方が良いかな。リフレインに乗せたミニマルミュージック的志向を持つやっぱりカンタベリーの血が入っている浮游感はよろしい。

This Heat - This Heat

 アヴァンギャルドサウンドってのはもの凄くマニアックな世界でどんな評論を見ても滅茶苦茶かっこよく「名盤」とか「世紀の傑作」とか書かれていて購買意欲をそそるんだよね。しかもそれが全然手に入らなかったりするから余計に聴いてみたくなるし。で、多くのモノを無理して入手するんだけど結局アヴァンギャルドな音だからさ、何回も聴けないワケで、正直それがかっこいいもの、かどうかもわからないんだけど探して苦労して手に入れたという思いの方が強いから「名盤」ということにして持っていることに満足する傾向にあるアルバムが多い(笑)。

This Heat DeceitQuiet Sun

 This Heat。このバンドもそんな類のひとつでアルバムは割と早めに入手したものの音を聴いて決してピンと来たバンドではないな。電子音のノイズから始まっていきなり二曲目、しかもよくわからん攻撃的というのか呪術的というのかアクの強いサウンドで迫ってくるもので始めて聴いた時はワケ分からなかったな(笑)。…とは言えども、だ、プログレやらなんやらと聴いていき、カンタベリーサウンドにも親しんでからその先を漁ろうとするとこのバンドの名前が出てくるんだよ。簡単に言えばケヴィン・エアーズとディス・ヒートは繋がってしまうという英国ロックの恐ろしい構図なワケ。キーポイントはドラムのチャールズ・ヘイワーズ。元Quiet Sun、即ちロキシー・ミュージックのフィル・マンザネラのセッションバンド、みたいなもんだけどかなり傑作というのかこれに近いような即興的ジャズ的アヴァンギャルド的要素を含んだアルバム「Quiet Sun」を一枚リリースしている。で、このバンドにはビル・マコーミックっつう元マッチング・モウルの人も参加しているワケさ。ね、繋がったでしょ(笑)。

 しかしこのディス・ヒートっつうのはいいアルバムだったんだろうか?一握りの人間にとっては相当な衝撃を与えたバンドであることは間違いない。俗に言われる言葉に「King CrimsonとSex Pistolsの間を埋めたバンド」として称されることがあるように言い得て妙な部分があってさ。ノイズ+混沌、そして攻撃性…、うん。悪くはない。が、一般的な音楽をいうのとは大きく異なる衝撃だということは書いておいた方がいいかな。

The Pop Group - Y

 1976年に英国で産声を上げたパンクロックの波は瞬く間に世間を騒がせ、そしてくすぶり続けていた若者をあらゆる意味で刺激した。しかしそのシーンは正に一瞬にして崩壊の道を辿ることになり、その姿勢だけは生き続けたもののサウンドとしての確立には至らなかった。しかしそれでも今年でパンク生誕から30年以上経過することになり、偉大なるムーヴメントだったと言うことが証明されているワケだな。そしてその波は多方面に波紋を及ぼし、新たなジャンルと手法をプレイヤー側にも提示したものだ。ニューウェイヴと呼ばれるものからノイズ・アヴァンギャルドの世界、そしてハードコアパンクなどなど攻撃性を持ったサウンド、革新的なサウンドはパンクにカテゴライズされてきた。そういう意味で少々損をしているのがザ・ポップ・グループというバンドだ。

Y ハウ・マッチ・ロンガー

 バンド名はポップ・グループだが、やってる音は超前衛的なサウンドでもありいわゆるパンクロックとかロックらしい音楽ではない。ただ、姿勢が間違いなくパンクであり彼等はロックの人間である。この辺がレコードだけを聴いて判断していかなければいけない海の向こうの世界の現実とのギャップなんだよな、日本ってのはさ。もちろんそれでも伝わるところが凄いんだけどさ。このバンドも得体の知れない部分が多かったし更に数年の活動のみだったということもあって完全に伝説扱いになっている。CDの方も全然再発されなかったのでプレミアものだったしね。ちょっと前に再発紙ジャケされたみたいだけど。

 音楽的に言えば…、カミソリのようなエッジの立ったギターサウンド、氷のように冷たくアバンギャルドなピアノ、非常にテクニカルで印象的な旋律を刻むベース、その他ノイズ。でも歌があるものについてはポップ・グループの名に恥じない聴きやすいメロディを持った歌だったりするんだな。一般的には決して受け入れられない音だし、音楽というものでもない。攻撃的な、刺激的なサウンド。ファーストは「Y」と言うもの。セカンド「ハウ・マッチ・ロンガー」はそれに更に輪をかけたサウンドの凶暴性を持った最高傑作。そして崩壊。

 しかし紙ジャケなくなったらまたこんなプレミアなのか、このCD…。やっぱマニア向けなんだな(笑)。

Psychic TV - Dreams Less Sweet

 アヴァンギャルドサウンドっつうのは何のためにやってるのか…、リスナーのことなどさほど重要視していないしやっぱり演奏する側のワガママと意思の強さなんだろう。それが凄いことに才能のある人間の音だったりすると芸術に昇華するというのも不思議なのだが、この分野のサウンドの主の代表格には有名なジョン・ケージがいたりする。それからやっぱりドイツのカンとかそれに近いものがあるし、我が日本では灰野敬二裸のラリーズと言ったところか。マイナーならば突然段ボールや非常階段なんてのもそういう部類なのだろうが…。それらの原点でもあるバンドはと言えばやはり英国のスロッビング・グリッスルというバンドでそこから派生したと言うか独立していったカリスマのジェネシス・P=オリッジ率いるサイキックTVというバンドもある種一世を風靡したのかもしれない。

Dreams Less Sweet Origin of the Species, Vol. 2
Psychic TV - Essential Industrial Masters Essential Industrial Masters
Psychic TV - Origin of the Species Origin of the Species
Jamie Clarke's Perfect - Psychic TV - EP EP

 サイキックTVとの出会いは何故かリアルタイムだったりして、別に興味があったワケじゃなくってパンクってどんなん?みたいに漁ってた時期に被ってくるんだよね。その頃の雑誌とかでは今のパンクはこれだ!みたいにサイキックTVが取り上げられていたりして、しかもアルバムがこの「Dreams Less Sweet」なんだよ。だから当時貸しレコで借りてきてたような気がする。よくこんなもん置いてあったよな(笑)。いやぁ、もちろんさっぱり理解できなくて無駄金払わされた~って地団駄踏んでました。

 その中味はと言えば、アヴァンギャルドだからさ、当然効果音と呪文みたいなもんで、曲なんかではないのだ。その昔のスロッビング・グリッスルでは工業ノイズとかテーマが決まってたからまぁそれはそれでっていう感じだけどこっちはもう完全に儀式のための効果音、ってのだからかなり危ない。でもこのアルバムが一番まともに音楽的価値を語れるもので、他はそのレベルまで達する以前のお話らしい。しかも怖いことにこのセカンドアルバムは確かCBSからリリースされていたような気がする。ファーストもどこか大手レコード会社からのリリースだったし、まぁ怖いもんだよなぁ。80年代初頭のバブリー期とは言え、もの凄い挑戦だったと思う。そしてもっと怖いのはこういったサウンドと形式にハマり込んでいく輩が割と多くいたってことだ。90年代に入り時代が病んでくるとここらから影響を受けたミュージシャンが今度はカリスマになっていく…。う~む、やっぱりヨーロッパの伝統は深い。

 そして今、彼等のCDを手に入れるのはかなり至難の業らしい。進行形の彼等はライブアルバムをひたすら垂れ流しているが、どんなライブなのか?雰囲気だけで引っ張れるものなのか、なかなか気にはなるもんだが…。サウンド的には初期はひたすらノイズ系なのだがハウスサウンドと出逢ってからは完全にアシッドハウスの世界に行っているのでサウンドには大幅な変化が生じているようだ。


The Good, the Bad & the Queen - The Good, the Bad & the Queen

 ちょっと前に元クラッシュのポール・シムノンが久々に音楽シーンに復活ってことで話題になって、というか自分的にはそうやってこのバンドの印象を捉えたのだが一般的には元ブラー、ゴリラズのデーモン・アルバーンが久々に組んだプロジェクトってことで話題になったのかな。他の面々も結構有名な面子が揃っているようでそれなりにサウンドも期待されたようだ。

The Good, the Bad & the Queen
The Good, The Bad & The Queen - The Good, the Bad and the Queen The Good, the Bad & the Queen

 大体がバンド名決まってない、っつう感じでそもそもアルバムタイトルしか記載されていないってことらしいが、結局「The Good, the Bad & the Queen」がバンド名になってしまったらしいん。果たしてどんなものなのかと新譜がリリースされた時点で気になっていたので聴いてみた。うむ、これはかなり意外なサウンドで、ロックか?と言われるとかなり疑問…というかもの凄い雰囲気だけで作り込まれたアルバムって感じで強烈なビートや激しいギターなんてのは全くなくって、淡々と湿っぽい音にポール・シムノンのあのスカダブベースが絡むという不思議な音で最初は何だこりゃ?って感じなんだが何回か聴いているとかなり心地良くなってきてBGMには最適な音になってくる。デーモン・アルバーンは元々メロディラインには定評があったようなのでその辺はしっかりしているけど、サウンドは今までに聴いたことのないような作品にしあがってる。ただ間違いなく英国の音。70年代アングラの雰囲気もあるのかなぁ…、こういうのが自然に出てくるんだから英国の風土ってのはまったく面白い。

 ポール・シムノンとデーモン・アルバーンって年の差20くらいあるんじゃないか?よく一緒にやってるよなぁと。それで何回かこのバンドとしてのライブもやたみたいでこういう音をライブでやるとどうなるのかちょっと興味あるけど決してライブでは面白いもんじゃないだろうと想像が付く(笑)。ちょこっと聴いたくらいじゃ絶対にわからない音世界が広がっているこのアルバム、っつうかこのバンド、かなり良い感じだね。ビートルズ的なのかもしれない。

Scorpions - Humanity Hour, Vol. 1

 やっぱり80年代ハードロック(当時の言葉ではヘヴィメタルだが…)を散々聴いて育った世代からするとこの辺の音ってのは染みついているモンなんだろうなぁ。先日オジー・オズボーンの新作を聴いた時にも思ったけどすんなりとカラダに入ってくる音でさ、一般的には結構ハードだったりすると思うんだけど、かなりすんなりと入ってくるんだよね。それまでブルースとか色々な音楽に親しんできたからあんまりハードなの聴かなかった時代もあったんだけど…。

Humanity Hour, Vol. 1

 そんな思いをまたしても抱いてしまったのがスコーピオンズの復帰作「Humanity Hour, Vol. 1」。特別に思い入れのある程のバンドじゃなかったけど、そりゃもちろん聴いていたワケで本ブログにも何回か登場してるけど、日本盤が6月20日にリリースらしいので先に入手して聴いてみました。

うわっ!スコピ節バリバリ!!

 という感想だね。滅茶苦茶ハードというのではなくってやっぱりメロディアスで叙情的な曲が割と多くて、もちろん楽曲はハードなんだけど綺麗。そこがスコーピオンズのスコーピオンズらしいトコロでさ、やっぱりドイツの、ヨーロッパのバンドなんだよねぇ。相変わらずのクラウス・マイネの歌声が少々衰えた気もするけど文句なし。気持ち良い声なんだな、この人ってさ。で、もちろんルドルフ・シェンカーとマティアス・ヤプスのハードなツインギターはがっちりと決まっていて、多分ギターとかあんまり変わってないんじゃないかなぁ。器材も含めてそんなに最新の音ってワケじゃないように聞こえるしさ。マティアス・ヤプスは多分器材変えてるかなぁ…。ルドルフ・シェンカーは昔よりも粒が細かくなった感じかねぇ。しかし相変わらずドライブした曲がいいな。メロディーを中心としたハードロックバンドって今あんまりない、でしょ?知らないけど(笑)。いや、ポップじゃなくってね、まぁ、ヨーロッパのバンドならそうかもしれないけど、スコーピオンズの場合はそれでいてアメリカ市場にアピールする洗練されたセンスがあったりするから面白いよ。そして相変わらずの名作バラード炸裂、ってのもスコーピオンズらしい。いいなぁ、久々にぶちかまして欲しいね。

 往年のバンドがこうして20年も経ってからシーンに再度咲き誇るってのは時代の流れかね。それなりに活動していたんだろうけどやっぱりメジャーシーンに来てくれないとわかんないし…、そういう時とタイミングってのは面白いもんだね。スコーピオンズなんて全然気にしなかったのに情報が入ってくるワケだし。そしてそれがまたかっちょいいときたもんだ。老人バンドの新作と侮るなかれ、凄くハードにドライブした美しいロックが聴けまっせ~。

Roy Buchanan - When A Guitar Plays the Blues

 ロイ・ブキャナン。キャリアとしては相当古くまで遡ることとなる人で、エルヴィスのバックでギターを弾いていたジェームズ・バートンと仲良くなってしまうくらいなのだ。50年代後半からは既にプロとしてツアーに明け暮れたりレコーディングに参加していたりと割とマルチに弾けるギタリストとして重宝されたようだ。そのギタープレイはマニアには絶賛されることが多く、クラプトンあたりも60年代にはこぞって見に行ったらしい。そんな来歴からかロックとの絡みも幾つか発生していて、ブライアン・ジョーンズ没後にストーンズの誘われた話なんかは有名なところ。結局ミック・テイラーが参加したことを思うと当時ロイ・ブキャナンに声がかかっていてもおかしくはないでしょ。ストーンズはこの頃巧いブルースの弾けるギタリストを探していたワケだしね。そして驚くことにジェフ・ベックの名曲「Steve Booke - Rewired: Tribute to Jeff Beck - Cause We?ve Ended As Lovers (Steve Booke) 哀しみの恋人達」のクレジットにロイ・ブキャナンに捧げるというモノがついたおかげで大ブレイク?一般のロックファンにこの人は何者だ?と波紋を投げかけたのだった。

When a Guitar Plays the Blues Street Called Straight Roy Buchanan

 で、前説とはまったく無関係なアルバムなんだけど1985年リリースのコイツ「When a Guitar Plays the Blues」がなかなか面白いのだ。いやぁ、最初期の二枚はアメリカ的なサウンドで割とごっちゃごちゃになったような音楽なのでドクター・ジョンとかデヴィッド・リンドレーあたりにも通じるんだろうなぁってのがあるんだけど、個人的にこのアルバムの一曲目でやられたのでご紹介♪

 初っ端の「Roy Buchanan - When a Guitar Plays the Blues - When a Guitar Plays the Blues When A Guitar Plays The Blues」に尽きる。ロイ・ブキャナン独特の個性とも言えるバイオリン奏法が駆使されまくってエコーもたっぷりで雰囲気バリバリのイントロに導かれて、テレキャスの線の細い、それでいて腰のある単音での刺さりまくるような音色が耳に入ってきて感情溢れまくりのギターフレーズが炸裂~みたいな感じでね、モロにゲイリー・ムーアのギターと被るんだよ、こういうの。まぁ、ジェフ・ベックなんかも同じ類になるんだけど、みんな泣きのギターフレーズだけで曲を創り上げてしまった人達だから被るんだと思う。しかしコレ、バックってシンセドラムなのかな、人間臭さを感じない音だしギターともイマイチ合ってなかったりするしさ(笑)。ちょっと前に出した「Roy Buchanan - Sweet Dreams - The Messiah Will Come Again メシアが再び」っていう曲もロイ・ブキャナンの代表作なんだけどね、やっぱり似たようなフレージングで泣けるしね。そして二曲目以降もかなり多様なサウンドを聴かせてくれていて、「Stevie Wonder - ベスト・コレクション - 迷信 迷信」みたいなノリだったり、ああ、この辺もギターフレーズとしては凄く魅力的♪ この人ってテレキャスメインなんだけどそれでいてピッキングハーモニクスとか平気で使うから面白くてさ、だからロックギタリストにも人気があるんだろうな。早弾きも平気でやっちゃうしこのアルバムではライトハンドみたいなのもやってくれちゃってるんだもん。

 これ、ロイ・ブキャナンの復帰作だったんだよね。この後ブルースの名門アリゲーターレーベルから後二枚出すんだけど、それでおしまい。残念だなぁ。また初期の作品みたいなのを作ってもらいたかったしね。ロック系とのセッションとか色々と絡みが楽しみな人だったのにねぇ。YouTubeには彼のそんな名曲をやっているライブ映像があるので久々に見たけどやっぱかっこいい。感動するもん。

メシアが再び


When A Guitar Plays The Blues

David Lindley - El Rayo-X

 ライ・クーダーと並んでマルチで不思議なギターを弾く人と言えばデヴィッド・リンドレーですかね。あまり詳しい来歴は知らないんだけど、ジャクソン・ブラウンのバックで弾いていて有名になってきた人で、日本人的には「化け物」として名が通っているらしい(笑)。いや、アルバムの邦題がそうだったために付けられたあだ名がその由来です。聴いてみると確かに化け物って言うフレージングが数多くあるのであながち間違いではないニックネーム。そんなデヴィッド・リンドレーについて少々…。

El Rayo-X Win This Record Very Greasy

 1981年のこのアルバム「El Rayo-X」がソロ最初のアルバムで翌年のセカンドアルバム「Win This Record」と共に人気の高い一枚。うん、で、この人の音楽志向ってのが面白いジャンルというのかミクスチャーというのかアメリカンな完全に垢抜けてカラッとした音、更に何というのか脳天気っつうかレゲエ的なロック的な土着的なボンゴ的な民族音楽的な明るさが全面を占めていて当然ギタリストとしての部分もあるんだけど、それよりも作品の鮮やかさっつうのが打ち出されている。だからソロアーティストとしてのアルバムとしてきちんと評価されているし、一ギタリストのわがままアルバムじゃないってのがよろしい。

 これからの季節にはぴったりな一枚なんだけどたまたま聴いててね、ああ、幸せな一日だなぁ~と思うもん。アメリカの土着的なサウンド志向のものって奥が深いなぁと感じるワケでさ、普段英国的なものの方が聴くこと多いのでこういう全く正反対のサウンドにぶち当たると好みか好みでないかというよりも、その音楽の持つパワーというかエナジーをね、感じるんだよ。こういう音世界って何がルーツなのか、どうしてこういう音世界になったのか、そしてこの細かいところでのフレージングというかテクニックに優れたギターの音…、アメリカ音楽は広い。

Ry Cooder - My Name Is Buddy

 自分の中ではドクター・ジョンと同じような位置に属している人がもう一人…、ご存じライ・クーダーさん。映画音楽を手がけることで有名だし、70年代にはいくつものそれらしい名盤を発表してきた人でそれらはルーツ音楽と言われたりブルースと言われたり、要するにアメリカ音楽的なサウンドだったりしたのだが「Boomer's Story」以外はそれほどピンとこなかったんだよね。若かったからなのかな。最近では全然聴いてなくって映画も別に音楽だけを意識して見ることもないからあぁまたライ・クーダーなんだ、なんて思ってたくらいでさ。こんな流れにでもならなきゃ多分聴き直してはいない人かもなぁ。

My Name Is Buddy Boomer's Story Crossroads: Original Motion Picture Soundtrack

 で、せっかくだから新作「My Name Is Buddy」が出てたなぁと思い出して聴いてみるのだが…、凄く良いじゃないか(笑)。自分でも驚くことにかなりハマった。アメリカンルーツミュージックと言われるだけじゃなくってしっかりとストーリーが出来ているアルバムで、それがしかも赤い猫っつうのが可愛らしい。乾いた感じの明るいサウンドで、バンジョーやピアノなどアメリカンな雰囲気たっぷりに攻め立ててくる作品ばかりでどこか「Boomer's Story」のようなモノ哀しい部分もあるし、この人の歌って何か哀愁があって好きなのかな、聴いてたらノスタルジックになってきた。あれこれ調べてみるとジム・ケルトナーとか実の息子さんとかヴァン・ダイク・パークスとか参加しているみたいでさすがにアメリカの音楽界の大御所になるべき人はゲスト陣が面白い。しかしそんなゲスト陣に支えられている作品じゃなくってしっかりとライ・クーダー自身の音が詰め込まれているアルバムになってるからかなり名作になっていると思うよ、これは。久々のソロ作っていう気合いの入り方もあるんだろうけど、2007年にしてまだ新作でこんなに素晴らしいモンを出せるっつうのが本当の音楽家なんだな。アメリカンルーツ系サウンドだけどそれくらい楽しめる。

 ライ・クーダーってスライドギターの名手ってことで名前を聞いたのが最初だったかな。その後映画「Crossroads」のサントラをやってるってことでまさかあのスティーヴ・ヴァイの強烈なギターは弾いてないだろうということだったがそれ以外は大体がこの人のプレイってことで、改めて感動した記憶がある。んで最初に買ったのが「Boomer's Story」でね。いや、これ昔よく行ってたジャズバーでかかるんだよ。そこで知ったんだけどね、いいなぁ~って。懐かしいな。そんな懐かしさをまた楽しませてくれた新作アルバムに驚いた(笑)。

Dr.John - Gumbo

 いわゆるロックサウンドからかなり逸脱してきてはいるジャンルなのだが、この人の存在自体がかなり不思議な位置にあって、割とブルース系統の絡みもたくさん出てくるので、まぁ、やっぱりアメリカンルーツミュージックを受け継ぐべき代表的な人なんだろうなぁと漠然と思っている。それこそケイジャンとかアメリカ南部のルーツミュージックを基礎とした作品を出している人なのであまり多くを知っているワケじゃないので悪しからず~。

ガンボ no image

 ドクター・ジョンの1972年の傑作「ガンボ」。ニューオリンズサウンドというのかその辺のをゴッタ煮にして彼独特のしゃがれ声でスパイスをふるった作品。なんつうのかな、民族的なサウンドがベースにはなっているけどやはり現代風味がまぶしてあるおかげで聴きやすくなってる。でも音楽の方は全くこの人以外ではあまり耳にすることの多くない土着的サウンドで、今ならどこかの1000円CDとかでアメリカンカントリーとかケイジャンとかってので売ってるかもしれないけど、そんなに原始的なのじゃなくってね、やっぱ継承者の仕事でもあるわかりやすさをきちんと出しているってもんだ。ニューオリンズってジャズやソウルの街ってイメージなんだけど、確かに黒っぽい香りのするサウンドの骨子にドクター・ジョンならではの白人らしさがあって、だからこそ伝えやすくなっている。そういう意味ではホワイトブルースが出てきた時と同じく白人が黒人の音を出すことで白人に広げていく、みたいなもんだな。そのせいか以降民族音楽的な分野っていうのはあらゆるロックの世界で広がっていって、融合が始まるワケだからさ。そういう意味ではストーンズの「悪魔を哀れむ歌」ってのは早かったんだろうね。

 明るく楽しい音、そしてジャケットからも想像できるように広大で壮大な音。ジャズともブルースとも言えないけど音からするに言いたいことは同じなんだなぁと痛感する。もっともかなり明るく仕上げているんだけどね。そんなサウンドも新たなる楽しみになると幅広がるねぇ…。ピアノってこんな風に弾けると楽しいだろうなぁ。

Michael Bloomfield - Blues Gospel & Ragtime Guitar Instrumentals

 同じくバターフィールド・ブルース・バンドの看板ギタリストだったマイク・ブルームフィールドだが、1969年までは正しくギターヒーローに相応しい活動とギタープレイを聴かせてくれていて、名盤「Super Session」と「フィルモアの奇蹟」については最早言うまでもないだろう。しかしこの人もそれ以降はどんどんとアメリカ人的なサウンドを追求していく傾向にあり、やはりカントリーやケイジャン、ブルースゴスペルやラグタイムなどと言った多様な音楽を奏でていったのである。

Blues Gospel & Ragtime Guitar Instrumentals The Gospel of Blues If You Love Those Blues, Play 'Em As You Please

 「Blues Gospel & Ragtime Guitar Instrumentals」。多分、全くメジャーではない作品で、CDがリリースされたのは1993年、もちろん彼の死後にリリースされたものなんだけど上手く纏め上げてあってさ、インストものばかりを集めたもので、しかもそれが全てブルースとは離れた音楽ばかり収録しているので一気に彼の違う側面を聴くことのできるもの。そして何よりもとってもリラックスして聴ける作品として仕上がっているっつうことが重要なんだよな。正にブルースゴスペルから始まって軽いブルース的インストゥルメンタル、そしてどこか気怠さの漂うラグタイム…、巧いなぁ、ギター。ホントに。やっぱりギターを教えていただけのことはあってマルチに多様な音楽を弾きこなせるし、ギター雑誌の教則本への提供までしていたのでさすがに見事なプレイ。この辺が独りよがり的じゃなくって良いな。そんなこと知らなくてもこの作品はギターインストものとして多彩なジャンルを楽しめるもので、全曲ギターでコピーできたら多分相当巧いギタリストになれる(笑)。

 エルヴィン・ビショップと同じようにアメリカンミュージックへの回帰をしているんだけどその取り組み方が全く異なっていて、マイク・ブルームフィールドの方はルーツに忠実に立ち返って探求していくというような感じで、編集盤ながらもこの作品を気怠い午後に流していると心地良いので結構流れている回数が多い作品。この人の場合、他にも色々と怪しげな作品が出ていてなかなか満足できるものは少ないんだけど、この編集盤はホント、凄く良い。あぁ音楽っていいなぁ~って思うもん。ライ・クーダーとかもそうなんだけどね。

Elvin Bishop - The Best Of Elvin Bishop

 ポール・バターフィールド・ブルース・バンドという稀代なバンドでは歴史的なギタリストを二人輩出しているとして有名だが、そのうちの一人でもあるエルヴィン・ビショップ。残念ながらなかなか彼のソロ活動時にスポットが当たることがないのもこれまた事実だろう…、と言うか、個人的にあんまり興味がないからなのかな(笑)。そんなことで久々に彼のソロ活動を聴き直してみた…。

Best of Elvin Bishop Struttin' My Stuff Big Fun

 アルバム的にはどれが有名なのかあまりよく知らないのでとりあえずベスト盤を流してみたのだが、バターフィールド・ブルース・バンドの頃に聴かれたエモーショナルなギターフレーズ、マイク・ブルームフィールドを相手にバトルを繰り広げていたあのブルースギターというのは一体何処へ行ってしまったのか、もっとカントリーというかアメリカンな爽やかさの風に飲まれていってしまい、総毛立つようなギターの旋律などはまったく聴かれない。もちろん曲によってブルースベースのフレーズも出てくるが、どちらかというとケイジャンとかカントリー的な使われ方、音楽性も正にアメリカの南部的なものが多く、多分彼がやりたかった音楽はこういう方向だったんだろうなぁ、と思わせるモノだ。バターフィールド・ブルース・バンドで皆が夢見た姿はあくまでもあの時代のワンシーンだったと思わざるを得ない。ま、かと言ってソロ時代なってから奏でている音楽が悪いかと言われると別にそういうもんでもなくって、モロにアメリカンな、アメリカ風土を映し出すようなサウンドというのはなかなか聴けないものでもあるのでここで聴けるのはそれはそれで楽しめてしまうのだ。いや、多様な趣味だから受け入れられるだけかもしれないけど、悪くないね、こういうのも。好んで聴かないけど流れているといい感じ。ビール飲みながら、っていうカントリーな雰囲気だね(笑)。

 この人がギター弾く時の笑顔ってのがすごく爽やかで、それがそのままサウンドに出ている。だからバターフィールド・ブルース・バンド時代の瞬間が逆に異常なことで、それ以降が彼の本来の姿。そう思って聴かないと肩透かし喰らうサウンドだからね。アメリカのルーツ音楽、だな。

Robben Ford - Butterfield/Bloomfield Concert

 ブルースを満喫した週末も終わり、いよいよ梅雨にもはいるのかと思いきやまたまた晴れやかな日々になっていくのか…。さて、1960年代半ばに登場したバターフィールド・ブルース・バンドは最初の二枚のみ名ギタリストの共演盤として圧倒的に有名且つ後世にも影響を与えたアルバムだったが、その後はあまり振るわなかったためポール・バターフィールドその人はドラッグに溺れていき、あまり恵まれた生活ではなかったようだ。それもまたブルースマンと言ってしまえばそれまでだが、なかなか難しいものである。そんなバターフィールド・ブルース・バンドに敬意を抱き、トリビュートアルバムをリリースし、更にはライブショウを収録したアルバムまでリリースしてしまったギタリストがいる。ロベン・フォードだ。

Butterfield/Bloomfield Concert A Tribute to Paul Butterfield

 古くは70年代初頭からその名を知られつつあり、どちらかというとジャズやフュージョンの世界に近いギタリストとして名を上げていたのだが、どこかロック的なアルバムもリリースしていてなかなか宙ぶらりんな立場でのギタリストではあった。しかし近年では更に発展して味のあるブルースギタリストとして活動しており、正にバターフィールド・ブルース・バンドに捧げたアルバムなんてのを出していて、これがまた良かったりするのだ。当然初期の作品だけでなく割と色々なアルバムからチョイスしてあるのでそういう意味ではやっぱり好きな人は好きなんだなぁという選曲で、結構渋い。だが、バターフィールド・ブルース・バンドに捧げたオマージュとしてはやっぱり昨年リリースされたライブ盤の方だよなぁ。これ、かなり良いかも。ライブだから余計に味があるんだろうけど、しっかりとホンモノのブルースマンしていてさ、まぁ音は結構近代的なバキバキした音だけどそれもオリジナルがそうだからかもしれないし(笑)。うん、大胆な選曲もコチラは見事。バターフィールド・ブルース・バンドに捧げる音ってのも勇気いることだけどそれをサラリとファンにも文句言わせない音でやってるくらいだから面白い。

 そもそもこの人、ラリー・カールトンやチック・コリアあたりと比較されるような人でサックスも吹く人。何とかっつうアルバムのジャケットでレスポールとサックスが一緒に写ってるのがあって、結構かっこよかったもんな。ルックスもかなりかっこよくってちょっとマニア向けだけどオススメなギタリストさんの一人だね。ロベン・フォード・イン・コンサートっつうDVDもオススメ。

Paul Butterfield Blues Band - East West

 テキサスブルースの激しいスタイルとは異なるモダンなスタイルのシカゴブルース、どちらもブルースというサウンドの核とも言うべき代表的なスタイルの二つなのだが、好みが分かれるところなのかな。個人的にはもちろんどちらも好きだけどロックな気分の時はどうしてもテキサスブルースに傾く。逆にBGM的に気楽に聴きたい気分の時はシカゴブルースかな。まぁ、聴いていると結局ハマってくので一緒なんだけどさ。そんなシカゴブルースを間近で体感し、そのまま黒人の入り浸るトコロで物怖じせずにブルースを吸収しまくった子供達のリーダーを取ったのがポール・バターフィールドだった。そして同じトコロにはマイク・ブルームフィールドという稀代のギタリストがいた、ってのも凄いんだよな。

East-West East-West Live

 そんなバターフィールドバンドが1966年にリリースしたセカンドアルバム「East-West」。ファーストはかなりモダンなシカゴブルースを継承する白人ブルースバンドという印象でもちろんロックファンにも大いに受ける作品だったんだけど、このセカンドアルバムは時代の流れもあってかかなり実験的な要素を持ったアルバムだね。決してブルースに依存しているだけの作品ではなくって、個お後にやってくるサイケデリックムーヴメントを予期するかのような東洋的サイケデリックタッチの雰囲気が漂う。もちろん純然たるシカゴブルースの模倣作品も多いので全然楽しめるんだけど、それだけじゃない発展性が面白い。代表的なのはジャズの世界では有名なキャノンボール・アダレイの有名作「Work Song」なんてのをカバーしてたりね。そしてマイク・ブルームフィールドとエルビン・ビショップと言う素晴らしいギタリストが二人も揃ってるおかげでギターのバトルとハープのバトルが楽しめるのもこのバンドの醍醐味で、更にその楽しみはこのアルバムのタイトル曲で激しく交錯するんだなぁ。まぁ、もっともっとって期待する人はこのライブ盤「East-West Live」をオススメになるんだけどさ。うん、ブルースからちょっと逸脱した傾向のあるこのアルバム、時代の産物だね。

 1966年ってさ、ビートルズが日本に来た頃でしょ?まだポップなことばかりしていた頃で、ストーンズも然り、フーだってそんなもんだっただろうし…、そんな時にアメリカではこんなバンドが出てきていたってことで、まだまだアメリカの音楽の方が刺激的だったって頃なのかなぁ。もっとも他にはそんなに刺激的なバンドがないってのがアメリカの面白いところだけどさ、こうした比較をしてみると大きな違いがわかるよな…。やっぱ本場だもん。

Albert King & Stevie Ray Vaughan - In Session

 クラプトンもミック・ジャガーもキース・リチャーズも黒人ブルースに憧れて自らが徐々に大物になっていく過程でそのファーザーであるホンモノの黒人ブルースマンとセッションを行うようになり、そして大御所となったブルースマン達は後に彼等がいなけりゃとうに乞食になってた、と語っている。そしてアメリカでももちろん悪魔の音楽ブルースに憧れた若者が当時から少数ながら存在していて、その一例がポール・バターフィールドだったりマイク・ブルームフィールドだったりする。そして実は70年代初頭からそんな黒人ブルースマンのひしめくスタジオに出入りしていたテキサスの少年がリトル・スティーヴィーと呼ばれていた白人だ。そう、スティーヴィー・レイ・ヴォーンその人です。

イン・セッション Blues at Sunrise: Live at Montreux

 そのスティーヴィー・レイ・ヴォーンがデビュー直後くらいに既に大いなる影響を受けたブルースマン、アルバート・キングとラジオ番組の企画モノながらもセッションした「イン・セッション」、しかもアルバムとしてリリースされているのは実に喜ばしいことだ。ボウイの「Let's Dance」でアルバート・キングみたいに弾いているヤツは誰だ?と話題になし、その後すぐに当の本人とのセッションなワケだから面白い。しかし今聴き直して見てもこのセッションは素晴らしい魂が漲ってるね。アルバート・キングのトーンと奏法は一発でそれとわかるもので、指でのピッキングが優しくマイルドに音を鳴らしているし、そしてまたあのいやらしいビブラートも良いのだなぁ。一方でもちろんそれほど出番が多くないスティーヴィー・レイ・ヴォーンだが、いやぁ、しっかりと乾いたサウンドで存在をアピールしているね。バッキングで聴けるフレーズなんかもなかなか芸が細かくて聞き逃せないところが普通のブルースマンとは違うトコロだね。ジャケットはダサいけど中身は結構な熱いセッションが詰め込まれている一枚。貴重なセッションだ。

 クラプトンは若い頃にフレディ・キングとのセッションで腕を磨き、BBキングとのセッションで成熟させた。スティーヴィー・レイ・ヴォーンはもちろん数々のセッションに参加していたけど、まともにこうして残っている音源はそう多くない。あ~、ブルースっていいなぁ。朝聴いても夜聴いても落ち着く音楽。心を委ねられるっていうのかね、そういうサウンド。

 バーボン一杯奢って♪みたいな感じかな(笑)。しかしYouTubeって凄いな、この時の映像ってあるんだ…。

Eric Clapton & B.B.King - Riding with the King

 自分の曲を昔から憧れていたミュージシャンが取り上げて弾いてくれるというのは果たしてどんな想いだろう?プレイする側はどんどん持ってこい、ってなもんだろうけど、それにはそれなりのモノじゃなきゃ取り上げないだろうし、やはり光るモノがないけりゃ相手にしないだろう。しかしブルース界のキングと神と呼ばれる男達の競演アルバムでその夢が実現してしまった若者がいる。それがドイル・ブラムホール二世だったりする。云わずと知れたクラプトンとBBキングの共演アルバムとなった記念碑的作品にプレイヤーとしてだけではなく曲の提供者になっているのだ。

Riding with the King Deuces Wild

 もともとはBBキングの古い楽曲に再度スポットを当てていこうという趣旨の元だったが、クラプトンの大好きな「Key To The Highway」などいくつかわがままな曲を入れ込んでいったものだが、普通それだけで満杯になろうというものだがどういうワケなのか、先のドイル・ブラムホール二世のオリジナル曲が二曲ばかり取り上げられている。しかもBBキングとクラプトンの味がたっぷりついているのでそれはそれは極上の作品になっているのだが、そもそもそれにマッチした楽曲じゃなきゃ取り上げないだろう。そして意識して聴いてみると、確かにアルバムの流れにはピッタリ当てはまっているし他の楽曲と並べられても何ら違和感がない。「Marry You」と「I Wanna Be」なのだが、後者などは見事に古き良きR&B的コーラスを据えたものでまさかこれが新曲とは思えないような曲なんだな。素晴らしい。しかし面白いのはこの二曲、ドイル・ブラムホール二世の1999年の作品「Jerrycream」に収録されている曲で、ここでは至上の二人にカバーされたという見方でもいいのかな。まぁ、いずれにしても凄いことだし、若きドイル・ブラムホール二世にしてみればさぞや嬉しいことに違いない。

 そしてこのアルバム、深く語る必要もないくらいに素晴らしいブルース作品で、クラプトンの個性とBBキングの一発必殺の個性がぶつかりあったもので、ステレオで左右に分けられた一貫した録音も面白いものだ。もちろんフレーズも別物だし声も違うけど、一番はギターの音色一発。昔ならBBキングが一発弾いたらみな消し飛んでしまうくらいのパワーだったんだけどさすがにこの頃のクラプトンはそんなことでは消し飛ばないくらいのプレイを持っているのでスリリングに楽しめるものだ。ジャケットからして楽しそうだしさ、真っ先に飛びついて買ったもん。やっぱこういうスリリングな瞬間がブルースの面白いところですな。多分何度も録音したとは思えないしさ。その分ライブ感も良いしね。ちなみにバックはクラプトンバンドのお馴染みの面子で揃えられているし、そこにドイル・ブラムホール二世も参加している…、っつうかその前後にはもうクラプトンと仕事してるしね。

Doyle Bramhall II - Welcome

 そのドイル・ブラムホール二世について少々興味を覚えたので幾つか調べて聴いてみたのだが…、どうやら1992年のアーク・エンジェルスの前に1988年にスチュー・ブランクと言う人の「Under The Big Top」という作品に参加しているのが最初のレコーディングセッションなのかな。その前ではジミー・ヴォーンのセカンドギタリストってことでファビュラス・サンダーバーズのツアー用員として参加したこととかあるらしい。そんなことでダブル・トラブルとは旧知の仲だったようだ。そこからアーク・エンジェルスになっていくんだな。しかし多彩なゲスト参加で名を広めていくのは2000年を超えてからなのでそれまでの何年間はやはりバンド活動やソロ活動で頑張っていたみたいだね。

ウェルカム Been a Long Time Bird Nest on the Ground
Doyle Bramhall II & Smokestack - Welcome Welcome
Bramhall - Jellycream Jellycream
Doyle Bramhall - Bird Nest On the Ground Bird Nest On the Ground

 ソロデビューは1996年、アーク・エンジェルスの時と同じゲフィンからのデビュー。その前の1994年には父親のドイル・ブラムホール「Bird Nest on the Ground」に参加している。自分的にこの人何者?って思ったのはロジャー・ウォーターズの「In The Fresh」でのDVDを見た時かな。日本公演は同行していなかったので見てないけどまんまギルモアのフレーズをコピーしていた若者でしかも左利きだから目立つんだけど歌も歌うし板に付いてるし、こんなのできる器用な人がいるんだなぁ、世界は広い、って思ったんだよ(笑)。で、後で聞いたんだけどこのオトコ、クラプトンとBB.キングとのジョイントアルバムに楽曲提供とギターで参加してるってことで何者なんだろ?って。まぁ、そっからはあんまり出逢わなかったんだけど…、とは言え、クラプトンの毎回の作品に何かしら関わっていることからそっちで有名になってきたのは風の噂に聞いていた。

 話を戻そう。で、結局ソロ作品は三枚くらい出しているんだけど、2001年の三枚目の作品「ウェルカム」を聴いてみた。うん、こうやって自身の個性を出したアルバムとなるとやっぱり音楽的な好みってのはわかる。古いの好きなんだねぇ(笑)。モダンな作風だけどやっぱりブルースからの影響が大きい感じでオールドロックファンならば嫌いではないリズムと音だろう。いくつかモロにレイ・ヴォーンっつうかジミヘンみたいなのもあって、好感が持てる作品かな。まぁ、それよりもダブル・トラブルのアルバム「Been a Long Time」の方が面白い気もするが(笑)。

Arc Angels - Arc Angels

 1969年にジョニー・ウィンターのデビューアルバムでベースを弾いて同じくメジャーデビューしたトミー・シャノンだが、ディスコグラフィーを見ていくとこの頃にジョニー・ウィンターのバックでアルバム数枚弾いた後しばらくメジャーシーンには浮上してきていないようだ。そして突然スティーヴィー・レイ・ヴォーンと一緒にダブルトラブルというリズム隊としてメジャーに再度登場、これが1983年のお話しなのでざっと十年くらい地道に活動していたってことだね。多分メージャーとかなんとかあんまり気にしないで好きにベースを弾いていられればいいっていう人なのかな、流浪的で羨ましいなぁ。そういう人生も楽しいだろうしね。そんなトミー、というかダブルトラブルを上手く使おうとしたのが当時先鋭若者ギタリストだったチャーリー・セクストンで、なんとこの二人と共にアーク・エンジェルスというバンドを組み、アルバムをリリースしているのだ。

Arc Angels Been a Long Time ピクチャーズ・フォー・プレジャー

 メンバーにはもう一人職人的天才肌を持っているドイル・ブラムホール二世がフロントに立っているのだが、当時は全く無名で何者?って感じだったんだよな。やっぱチャーリー・セクストンのブルース挑戦バンドって感じで見てたもん。しかしドイル・ブラムホール二世がこれだけメジャーになってくるとそうだっけなぁ…と改めて聴き直してみるんだけど、まぁ、まだまだそんなに個性的ではないんじゃないかな。ちなみにこのアルバム大抵どこの中古屋さん行っても安値で見かけるのでいいかも。ブルース、っていうジャンルには収まらないっつうかそこまでハマり込めていない作品だと思うんだよね。多分それはチャーリー・セクストンのギターのせいかもしれないけれど、ロック的というのかちょっと違う。一方でドイル・ブラムホール二世のギタープレイとか歌とかはどうかと言うと、これもやっぱりブルースしまくってるってのとはちょっと違うかなぁ、ただ二人ともフレーズ的にはブルースフィーリングを出しているのでそこに向かおうとしているのはわかるんだが(笑)。若さが邪魔なのかな…。

 そんなアルバムだけど普通に聴くとかっこいいのはかっこいい。ただ少々飽きるだけだ。どこかかっちりとしてしまったダブルトラブルのリズム隊ってのはあんまり面白いものではないしフロント二人が一生懸命頑張っているのをサポートしている親父二人っていう図式に見えてしまうんだよね。別に悪いモンじゃないけど…、案の定アルバム一枚で解散。それからチャーリー・セクストンは放浪の旅へ進み今では何処へ?って感じ。ドイル・ブラムホール二世は数々のセッションに参加し、ロジャー・ウォーターズのライブで抜粋されてその後クラプトンと一緒にプレイして天才の片鱗を開花させているようだ。2001年にはダブル・トラブルの二人を中心とした新作が出ているんだけどその中にアーク・エンジェルスとしての新曲が収録されている。もちろんオリジナルメンバー全員参加♪このアルバムは結構骨太で面白い作品みたいね。

Johnny Winter - Second Winter

 白人によるブルースのスタイルっつうのはそれだけでひとつの個性的なジャンルになってるし、それも英国人の場合とアメリカ人の場合では似て非なるスタイルに進化していったというのも面白い。英国ではやっぱり間接的に影響を受けていってそれを見ていた連中がまた影響を受けて…みたいな流れだったので進化の過程で英国らしくなっていったんだな。アメリカの場合はモロに酒場でやっている黒人ブルースメンのライブを目の前で見ていた盗み、自分のものにしていった変わり者の白人連中が世に出てきて、しかも若いのでエナジーを強烈に受け止めて発散するというエネルギッシュなスタイルに仕上がっていったわけだな。とりわけテキサスブルースに代表されるそのアグレッシブさは個人的にもの凄く好きなんだけどね。

Second Winter ジョニー・ウィンター
Johnny Winter - Deluxe Edition: Johnny Winter Deluxe Edition: Johnny Winter
Johnny Winter - The Progressive Blues Experiment The Progressive Blues Experiment

 んなことで同じような流れでメジャーシーンに躍り出てきたのがジョニー・ウィンター。1969年アルビノ種、そして100万ドルのギタリストとして話題になった超絶ギタリストなんだけどね。この最初期でベースを弾いているのが後にスティーヴィー・レイ・ヴォーンのダブルトラブルでベースを弾いていたトミー・シャノンってことでこの人実はそんな古くからブルースシーンで活躍していた人なんだと改めて驚いた。もちろん年食っても出来るジャンルだから不思議はないけど、そう考えるとレイ・ヴォーンって凄い恵まれた面子だったんだなぁ。さてさて、このジョニー・ウィンターなんだけど、ファースト「ジョニー・ウィンター」のちょっと垢抜けないブルースアルバムよりもセカンドの「Second Winter」の方がロックファンには好まれるだろうね。ブルースっつうよりもブルースロック、どっちかっつうとギター弾きまくりのギタリストアルバムでブルース云々はルーツの話でそれを訴えかけているモンでもない。ただただ弾きまくってるアルバムで、凄い心地良いよ、これ。もっともっと聴かせろ~ってくらいに弾いてるからさ(笑)。スタジオアルバムでここまで弾きまくるってのはあんまりないかもしれない。丁度過度期っつうのかロックの世界がどっちに向かうのか誰も分からない時期で激しいロックがどんどん出てきていた1970年のリリースだからこういうのアリだったんだろうな。この人の場合カバー曲でも何でも自分のモノにしてギャラギャラと弾きまくるっつうのも常識的なのでこのアルバムもそんなカバー曲がいくつか入ってる。バンジョーやサックスを絡ませたご機嫌なナンバーなんかもあってホントすっきりと楽しめる作品だな。

 それとアナログ時代にはこのアルバム…、っつうかこのアルバム以外に見たことないけど3面盤の2枚組アルバムなの。要するに2枚目のB面に溝が掘られていないっつう珍しいリリース形態だったね。レコードってホントにビニールでできてるんだって思ったもん(笑)。もちろんCDになってからは一枚に収録されちゃうんだけどね。

 そうそう今じゃレガシーエディションなんて2枚組CDがリリースされてて、ボーナストラック2曲はともかくディスク2の1970年4月のライブは相当熱いライブで初っ端のギターの何とも言えない音色から始まり弾きまくり。やっぱこの人は弾きまくらないと気が済まないんだなぁと感心しながら耳を傾けてしまうよね。こんだけ弾けたら気持ちいいよな、そりゃぁさ(笑)。

The Road To Memphis


 ブルース発祥の地となるデルタ地帯のメンフィス。広大なテネシー州を端から端へと駆けめぐるドサ回りバンドを元に描かれていくドキュメンタリー。クライマックスはかつてメンフィスのブルース界を支えてきた男達の共演イベントなワケだが、何というのかな、ブルースって面白い。まずドサ回りをやっているボビー・ラッシュだが、知名度は正直云ってほとんどないし、いわゆるクラブからクラブへと回っていくバンドで、好きじゃなきゃできないよなぁって思うようなものだし、それでもやっぱり一国一城の主なわけで、バンドも喰わせてるんだよね。どこまでも続けていくしかない仕事なのかなぁって云うのが見ていて辛いというか、あまりにも先行き見えないなぁって。でも楽しそうに歌ってるから、羨ましいかな。

 そして本作の準主役…と云うのか、昔は大物ピアノプレイヤー、今は引退して20年、今回メンフィスに戻ってきて再びブルースを奏でることとなったロドニー・ゴードン。う~ん、名前知らないんだけど、15歳でキャディラックを買ったっていうんだから相当売れたんだろうな。50年代のメンフィスでは「ビール通り」っつうところがあって、ここにジャズやらブルースやら、いわゆるクラブ、パブが立ち並んで朝まで音楽を奏でていたという所らしいが今では跡形もなく、時代の変貌を見せつけられる。そしてB.Bキングも故郷に戻りメンフィスを堪能するようだが、どこか活気がない。ライブシーンや再会シーンでは活気があるどころかもの凄いパワーと素晴らしい音を聴かせてくれるんだけど、やっぱ故郷ってのは良い思い出も悪い思い出も甦ってくるからかな。分かる気がするけど。

 そしてアイク・ターナーとサム・フィリップスの再対面。エルビスについての論理とサンスタジオの当時の姿勢など、チェスレコードと同じく白人黒人関係なしに想いを掛けている人間達が集まったからこそ素晴らしい歴史が刻まれたと改めて実感するシーンだ。そういう意味では広範囲B.Bキングがフィルモアでライブを行ったときの感動を語るシーンも時代の産物、正に60年代終盤のロック黎明期と重なる。

 あまりにも映画的で寂しかったのがロドニー・ゴードンがその後すぐに亡くなってしまったことで、出来過ぎじゃないかと思うくらいのタイミング。映画であんなに明るく楽しそうにブルースを歌っていた人が突然という感じで、最後によい思い出できてよかったな、というのはあるけどさ。人はいつ死ぬかわからんから一瞬一瞬を楽しむってのも大切だよね。それからB.Bキングのギターの迫力に喝采。更にアイク・ターナーのピアノではなくギタープレイの凄まじさも新たな発見だったなぁ。やっぱブルースは深いっ。

Lightning In A Bottle



 2003年ブルース生誕100周年記念としてアメリカではかなりの盛り上がりを見せたイベントとなったが、まずは映画が何本も制作上映されたこと、そしてエアロスミスを筆頭にブルースに忠実なアルバムが話題を賑わせたこと、そしてその集大成としてニューヨークのラジオシティで十数組のアーティストが一堂に会してライブを行うこととなった。当然ながらこのイベントそのものもフィルムに収められ、広く世間に知れ渡ることとなったのだ。故に本作品に収録されているものは単純に生のライブシーンとインタビュー、そして古いフィルムやビデオを織り交ぜたドキュメンタリーに仕上がっているワケだ。

 もちろん若手が育ってこなければいけないので最初の方などはあまり知られていないミュージシャンが出演しているのだが、それだって普通に聴いたら結構凄い歌を歌っていたりするワケで、流石にこのようなイベントに出演するだけのことはあるなぁと素直に感動。悪いがスティーヴン・タイラーとジョー・ペリーの出演よりも最初の方に出てきた連中の方がよっぽど通じるモノがあったな。ま、そりゃしょうがないんだけどさ。後ねぇ、やっぱり白人のブルースはこういう中に入ってしまうとちょっとダメだね。軽くなっちゃう。ジョン・フォガティだって、まぁ、ブルースをそのままやってたワケじゃないけどやっぱカントリーだもん。ボニー・レイットもやっぱり軽くなるし。まぁ、オマケみたいなもんだけどデヴィッド・ヨハンセンなんて例外だよな(笑)。面白いけど。一方ではもの凄い存在感と圧倒的なカリスマ性を見せたソロモン・パークの歌唱力とパフォーマンス性に驚くばかり。昨今のヒップホップやラップ系の成金趣味なんぞ可愛いモノで、元祖とばかりに派手に、そして実力ももちろん伴った素晴らしい歌声で場をモノにする。う~ん、最初の方でBBキングが「お前さんみたいに歌えたらギター弾いてないよ」みたいなこと云ってて、何のことかと思ったらそういうこと。そのBBキングもオーラスの出番でもちろん圧倒的な貫禄とギタープレイで会場を盛り上げていた。やっぱすげぇな、このくらいのキャリアを積んだ人達は。時代が違うから、そういうところ生きてきた人達ってのはやっぱ凄い。しかも人種差別ありの中から来てるから余計だよな。

 後はね、やっぱり最大のヒットはバディ・ガイバディ・ガイがジミヘンの「Red House」やるんだけど、驚いた。ジミヘン亡き後、ジミヘンみたいにギター弾ける人なんていないと思ってたらここにいた。完璧にジミヘンを超えるギターを弾ける人。バディ・ガイ。多分、ジミヘンのフレーズをちょっと真似して歪んだギターで好き勝手に弾いてくれる場を提供してあげて、バディ・ガイが本気でギター弾いたらジミヘン以上にジミヘン的ギターが聴けるハズ。この映画の中での「Red House」はそれを証明しているし、だからこそその後に出てきた何とかっつう女が「Voodoo Chile」をやるに当たってバディへのゲスト出演を強靱にお願いしたっての分かるもん。これはホント目から鱗が落ちた気分だった。そっか、後継者は無理だけど先駆者にジミヘンを真似させればできるよなぁ。だって、そこからのルーツなんだもん。そう思った。あ、パブリック・エネミーのパフォーマンスも初めて見たけど、なんだかんだで好き嫌いはあるけどやっぱり凄く上手いなって思ったな。曲の持っていき方とかパワーはもちろんだけど、ウケてもおかしくないし古い連中にも訴えかけるモノはあるんだな、ってのも認識。好きになるかっていうのとは別にそう思ったかな。

 やっぱこういうセッションっつうかイベントっつうのは見所満載で面白いな。出来れば4時間くらいにまとめてくれればもうちょっと色々な人を見れたのになぁと思う。でも面白い。彼等、歴史だもん。

Godfathers and Sons


 反抗的なラップバンドとして有名な、そして若年層に人気のあるパブリックエネミーのチャックDが大好きなアルバムがマディ・ウォーターズの問題作と云われる「Electric Mud」という作品で、チャックDはこのアルバムのことでチェスレコードの創始者の息子であるマーシャル・チェスと連絡を取り、物語は始まる。物語っつってもドキュメンタリーだからそのままなんだろうけどさ。で、面白いことに35年も前のこの作品を録音したバンドの連中をもう一度集めて何か面白いことをやろうということで話が盛り上がり、ブルースの街、シカゴで二日間のレコーディングを行うこととなり、そこには新たなる刺激としてのチャックDとココモというラップシンガーが参加した全く新鮮な「I'm A Hoochie Coochie Man」が出来上がるのだった。

 所々で挟み込まれる回想シーン代わりのフィルムやビデオ映像は目が飛び出るようなものばかりで、それだけでも十分に感動的なのだが、例えばココ・テイラーなんてのは当時を振り返りながら語ってくれるというのもやっぱり感動的だよね。そういうのって生々しくってさ、別に英雄伝だったり夢物語だったりするだけじゃなくて、すごく貧乏なことだったり決して有名だからと云って素晴らしい人ってワケでもないってのもあって人間模様を感じる。しかし、そんなフィルムでも結構昔から色々見てたり漁ったりしてたから見たことないのはそんなにないだろうなんて思ってたけど、甘かった。マディのスタジオセッションのシーンなんての見たことなかったし、ハウリン・ウルフのだってそうだ。でもって、結構探して見つからないままにしておいた、マイク・ブルームフィールドが動く映像ってのを見たのも驚いたなぁ。PBBBのサム・レイがシカゴブルースフェスティバルに出演してドラムを叩き、そして歌うなんてのも驚きだったけど、その時に流れたPBBBの当時の映像なんて残ってたんだね。凄く驚いたわ、ホント。是非20分モノでもいいからリリースしてほしいくらい。そういえばこのフェスティバルではあのアイク・ターナーが何とかっつうピアノプレイヤーに影響を受けて音楽を始めたらしいんだけど、その張本人とのセッションが実現していて、感謝感激涙溢れていたってのも印象的だった。そんなに時が流れてから一緒にできる時が来るなんて本人も思ってなかっただろうから…できればアイクのインタビューでもやってほしかったね。

 こうして映画でドキュメンタリーで書かれるとチェスレコードってのはこだわりがあって凄かったんだなぁというのがわかる。あの時代に白人二人が黒人ばかりをプロデュースしているんだからとんでもないことだよ。それで本人達は凄く純粋で気にもしてないし、ブルースに取り憑かれてるしね。息子のマーシャルったってもういいお爺ちゃんなんだけど、良き時代に育った良きプロデューサーだよね。でもしっかりとその後ストーンズのマネージャーやったりと色々経験してる。で、最後、やっぱり卓の前にいると自分が甦ってくるっていう職人気質を語る時の目はやんちゃな子供そのもの。好きなものに本気で集中して取り掛かれるってのは幸せなことだよな。羨ましいね。

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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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