Nirvana - Unplugged In New York


 1980年代はいわゆるポップスの全盛期でもあり、また裏街道ではLAメタルが台頭してギタリストがこぞってヴァン・ヘイレンの真似をして早弾きに命を懸けるみたいな時代だったが、当然アンダーグラウンドではソニック・ユースに代表されるようなガレージ的ノイズ的サウンド=パンクの血を引くサウンドを演奏するバンドも細々と出現していた。もちろんアメリカでのお話。ここにイギリスの話を混ぜると大変ややこしいことになるので、それはまた今度書くとして。まぁ、実に色々なバンドがあったようなんだけど、表舞台は派手派手に見えていたこの世界だけど、地下に潜ってプレイしているシーンはそれなりに魅力的なワケだ。誰しもがヒーローになることを夢見て…。

 1991年、そんなバンドのひとつがメジャーデビューした。それはニルヴァーナと呼ばれるバンドだった。70年代英国ロック好きにはニルヴァーナと云えばアレを思い浮かべるのだ…、そうキーフのジャケットが美しいあのバンド♪ …が、ここではいわゆるグランジサウンドの雄とも呼ばれたアメリカはシアトル出身のバンドのことを指す。念のため(笑)。で、だ、アルバムリリース後しばらくするといきなりシングル「Smells Like Teen Spilit」という思いっ切り立てノリのパンクともガレージサウンドとも云える、またはその融合とも呼べるグランジサウンドの筆頭作として後に祭り上げられた曲が全米を駆け巡ることとなるのだ。アルバム「Nevermind」も売れに売れた1,000万枚突破。もちろんフォロワーやモノマネバンドは山のように出てくるのだが、やはり筋金入りは違った。このアルバムに詰め込まれていたサウンドと最小限の3人というバンドが奏でていたのはテクニックなど無縁のロックが本来持つパワーを表現したもので、この大ヒットを機に早弾きギタリストはシーンから完璧に消え去り、ケバいメイクをしたお化粧メタルバンドなんてのも一掃し、ともすればヘヴィメタルと云うジャンルそのものをも吹っ飛ばしてしまったという恐るべしパワーを持つものだったのだ。まともに残ったのってメタリカくらいじゃない?若者はグランジかラップのどちらかを聴く、みたいな風潮になるくらいの社会現象である意味では76年の英国に於けるセックス・ピストルズの登場と同じくらいの衝撃だったのだろう。

 ん~、で、自分?えらく冷静に見てたような気がする。好みじゃないサウンドだったってのもあるけど、どいつもこいつもニルヴァーナみたいな感じで絶対聴かね~もん、みたいな感じ。ま、それでもあれだけ売れてればあっちこっちで耳にするわけで、それなりに曲とか知ってたんだけど、改めて聴いてみると、う~ん、やっぱパワーも凄いけど結構メロディとかもしっかりしてたりするのかな、なんてのも思う。そうだね、「Unplugged In New York」って云う恒例のMTVアンプラグド出演時のCD聴いてるとその辺が生身でぶつかってくるから、ああ、アーティストだなぁって思う。ボウイの「世界を売った男」もそのままのアレンジで演奏していたりするので「へぇ~」って感じだし。

 …やっぱ書かないといかんかなぁ、今やあまりにも有名なカートの自殺。正直全く何とも思わなかったし、奥さん子供残して死ぬなんてのはロックのヒーローでもなんでもないよな、ってのが先。今でも別に共感しないし。ただなぁ、そんだけ繊細なヤツはシーンに出てきちゃいかんのだよなぁ、そもそもアングラなトコでしか生きられない人だったみたいだしさ。病んでるアメリカの若き犠牲者だと思う。そう思って聴くとこのアンプラグドのアルバムは響く…な。

Metallica - S&M

S&M シンフォニー&メタリカ S&M(特別版) メタル・ジャスティス(紙)
 メタリカについてはデビュー時からもちろん知っていたバンドではあるが、当初から自分の聴く範疇外の音楽だと認識していたので全く聴かなかった。「One」と云う曲で初めてPVを作った時にテレビでそれを見て、その映像が結構衝撃的だったので改めてメタリカというバンドの名前を聞いたくらいだが、その時のアルバム「And Justice For All...」を聴いてみても全くピンとこないままで相変わらず範疇外のバンドとして認識していた。ようやくメタリカというバンドを多少なりともまともに聴くようになったのはここ最近、2000年を超えてからの話なので大したことは知らないし、全部聴いてもいない。が、さすがに20年もヘヴィネスな世界の王道をやっているだけあって、骨太なサウンドとよく練られて創り上げられた音の壁と曲には結構な感動を覚えるモノもあるのだった…。

 …と、まあ、一生懸命あまり知らないよ、ってことを先に書いているんだけど、ホントそのまま。やっぱりさ、スラッシュとかその辺ってのは3曲くらいが限界なので、マジメにアルバム全部を聴いてどうのこうのと云えるほどの耳は持っていないので、アルバムまとめて聴いたことないんだけど、たまたま友人がメタル好きなので頼んだ。「俺が聴きそうなものだけ集めてベスト盤作って♪」って。まぁ、趣味志向を知らないと無理なんだろうけど、そういうワガママ聞いてくれたのでラッキーでした。そっからメタリカを聞けるようになったんだよな。ヒロシちゃん、ありがとう♪

 とは云うモノの、邪道な聴き方してるので一番聴く、というか聴きやすい作品が「S&M」っていうメタリカがオーケストラと一緒に演奏してるライブ盤。それだけで意外だったので興味が沸いたのもあって、聴いてみた。まだ、DVDは見てないんだけど、音だけね。曲はともかくオーケストラとメタリカって凄い組み合わせで、正直合ってるかどうかわからんけど、やっぱり伝統的なヘヴィメタルの流れを汲んでいるのか、クラッシックとの融合は相性いいんだな、と。オーケストラの方がよくやってるな、って思うけどね。あの爆音を相手に生音の美しさを入れていくワケだからさ。ま、そういう試みはパープルもやってるし、そもそもプロコル・ハルムムーディーズの十八番なんだけど、あ、インギーもソレ系の人だもんな。あちこちにあるんだけど、このメタリカとの共演盤が一番驚いた。あのうるささがちょっと引っ込んで、オーケストラの美しさが出てくるから聴きやすいのだよ。ヘヴィなファンからすると、そうじゃねぇ、とか云われそうだが(笑)。

 うん、好きなのはさ、最後の三曲なんだよ。さっきのベスト盤でもそうだったんだけど、この最後の三曲って凄いなぁ、と。「One」は昔から好きで、テーマがテーマだからもの凄いな~って、んでもって曲の盛り上がり方が凄くてスネアのダカダカダッ、ダカダカダッ、ダカダカダッ、ダカダカダカダカ、ダカダカダッ、ってところから燃えてくるもんな。間違いなく金字塔の作品だよね。で~、もって、ECWの…ではなくって、「Enter Sandman」。これも王道の美しきアルペジオから始まるどちらかというとメロディーを持ったロックチューンで、重いけどうるさくない良い曲。で、最後。…と云うかファーストの最初の曲で、未だにこいつを超えられないのか、名曲になっている「Battery」。いや、やっぱ初期の作品だから凄い早いしパワーも凄いんだけど、ここにオーケストラが被ったときの上昇フレーズとか美しく昇華するんだよ。元歌も好きだけど、ここでのストリングスの音との調和はかなり良い。うん、多分俺の聴き方が邪道なんだと思う(笑)。

 DVDも出てるのは知ってるんだけど、全部見ている自信がないから買ってない(笑)。最後の三曲だけでお腹一杯なんだもん。でも、さすがに20年経っても第一線でいるだけあって、紆余曲折あってもバンドとしては一流の音なんだな、と感じたね。今ゴミみたいなバンドも20年くらい経って名前が残ってたら一回くらいは聴くようにするつもりだけどさ。そういうバンド既に幾つかあるし…(笑)。

Kiss - Detroit Rock City

Destroyer Love Gun ALIVE 2 (REMASTERED)

 ニューヨーク・ドールズ、1973年デビュー。エアロスミス、1973年デビュー。キッス、1974年デビュー。こうして見るとこの頃って結構良いバンドが並んで出てきた時期なんだなぁと感心。どのバンドも活動停止して復活、しかも大々的にって感じだけど、キッスは正確には再度メイクキッスになったってことで再生♪ 復活アルバムもリリースしたけど、それはまあご愛敬ってことで、もちろん売上げ狙いの作品なのでまともに語るものでもなかろう、と勝手に解釈しているが(笑)。だってライブでもそんなのほとんど演奏しないワケで、彼等はプロとしてファンが望んでるモノを正確に理解していて、そのパフォーマンスと楽曲を提供しているんだよな。だから古い曲と往年のパフォーマンスと花火で観客を楽しませてくれる一大芸人バンドになっているのだ。素晴らしい。

 確かMTVのアンプラグドシリーズでの出演だか何だかがオリジナルメンバーキッス再結成のきっかけになったんじゃなかったっけ?で、最初にメイクキッスに戻った時はもうそれだけで往年の、というか寝た子を起こすキッスフィーバーが起きてしまって、実はアメリカンエンターティメント上必要なバンドとして認識されて今日に至る、みたいな…もう10年くらいそんな状況でしょ?70年代のあの状況を知らない世代からしてみるとメイクキッスがあのパフォーマンスをまたやるんだ、っていうだけでタイムトリップできるワケだし、知っているファンは思い出せるし、幅広い世代に受けたワケだ。もちろん自分も最初はたっぷりと楽しんだひとり♪ 2001年にはそのままのスタイルでオリジナルメンバーで来日!ってことだったのでワクワクしながらチケット取ったら結局直前にピーター・クリスが不参加になって、エリック・シンガーで来日。ま、上手かったからいいけどさ。それで東京ドームで何度もビデオで見た1977年「ヤングミュージックショウ」のパフォーマンスが目の前で繰り広げられててさ、うわぁ~ホンモノだ~って喜んでた。火吹きもあるし、ジーンは宙を舞ってるし血反吐吐いてるし、サイレンは鳴るし紙吹雪ももちろんあって…なかったものと言ったらエースのギターが燃え上がって宙を舞うシーンくらいじゃないか?メイクしてるから歳取ったなぁってのは気にならなくってその辺はよかったな。

 んなことで、来日公演レビューしててもしょうがないんで、さわりアルバムを書いておこう(笑)。う~ん、どれでもいいんだけど、やっぱオープニングを飾ったインパクトある、そして単純にかっこいいっていうリフで攻め立ててくる「Detroit Rock City」だな。最初の自動車の音からしてえらく生々しい音でデトロイト、って雰囲気だし、それに続いて鳴らされるリフは簡単そうに聞こえて結構難しいんだけど、これまたヨシ。んでもってソロがソロらしくて、キッス!って感じだよな。このアルバムは結構聴いた。多分最初にキッスを聴いたのがこれだったんだと思うけど、だから故に結構聴いた。「Love Gun」とかも同じ流れで、まぁ、そのヘン行くと当然「Alive」「Alive2」になるんだけどさ。

Aerosmith - Done With Mirrors


 何と言っても再結成バッドボーイロックンロールバンドで一番の大成功を収めているのはエアロスミスだろうな。自分がリアルで知った時は丁度再結成第一弾「Done With Mirrors」をリリースした頃だったので、結構聴いた。昔の作品と併せて一気にエアロは聴きまくったって感じだったんだけど、もちろん昔の作品の方がかっこよくってさ(笑)。そうこうしてたら「Parmanent Vacation」が出て、一気にスターダムに昇ってってしまったんだよな。懐かしい…。

 で、どれにしようかと思ったけど、まずエアロファンでも取り上げないであろう「Done With Mirrors」がいいな。久々に、ホント十何年ぶりくらいに聴いたけど、いやぁ、何がしたいアルバムなのか凄く中途半端で良いかもしれんなぁ、と。今となってはこんな宙ぶらりんなアルバムを世に出すことなんて出来ないだろうし、もしかしたらこのまま出してても売れてしまって「傑作」とか云われたりするのかもしれないので、一般的な評価なんぞ全くアテにならんのだ(笑)。うん、このアルバムさ、1985年にリリースされているんだけど、その前にエアロが崩壊していて、ジョー・ペリーは自分のプロジェクトでアルバム何枚かリリースしててさ、そのファーストアルバムのタイトルが「Let The Music Do The Talking」だったハズ。そう、まんまこの「Done With Mirrors」の一曲目に入っている曲そのもの。ジョー・ペリーバージョンとの聴き比べも面白いかもしれんけど、まぁ、やっぱりスティーヴン・タイラーの歌が入ってるからエアロバージョンの方が圧倒的にかっこいいのも事実なんだが(笑)。ジョーバージョンもなかなか捨てがたいっつうか苦労してるっつうか…。正直云ってこのアルバムでバリバリのロックチューンってのはこの曲だけって感じなので、この一曲で「お~、エアロ復活!」って喜んだ人も多かったと思うんだよね。まだ、自分たちで作曲してるからどこか抜けた感じの曲も多いしさ(笑)。曲中に「Draw The Line」のリフを織り込むなんてのもあって、結構余裕あったのかな。それこそがエアロらしいんだが…。そうだね、何というのか、このアルバムは全体的にビート感が同じような曲が多くて、そういう意味で飽きる。が、これが結構後期エアロらしくて、今でもこんなリズムでやってる曲はいっぱいあるから、単純に駄作とは云えないし、これで復活が本格的になったって云う意味合いも重要だけど、また往年の曲っぽいのが出来てきてるんだな。「Shame On You」とかもうちょっとハジければ、とか思うのもあるし、でも「Shela」なんてその後のエアロには必ずありがちな曲で、スティーヴン・タイラーの必死に歌ってる叫び声がシリアスで良い。ジョーも結構ギター弾いてるしね。「Gypsy Boots」だってアメリカンロックって感じで、これ、結構良いな。「She's On Fire」なんてスライドバリバリでなかなか…、結構この時って原点回帰しようとしていたのかな、泥臭いサウンドがかなり出ているからもしこの後売れなかったらもっと渋いバンドになっていたかもしれん。しっかしまぁ、どの曲もドライブ感グルーヴ感ってのがなくって、それがロックらしくないっつうか聴いていて辛いんだな。

 んなことで辛辣に書いてるけど、これがあったから今のエアロがあるワケで、「Parmanent Vacation」からの「Dude」が売れて、更に当時くだらねぇバラードだなぁと思っていた「Angel」が全米大ヒットになってしまって復活。続く「Pump」ではもう超大物王道ロックバンドだったもん。この時の日本公演行きました。目の前をジョーとスティーヴンが走ってって、感激したなぁ。

Motley Crue - Dr.Feelgood


 初期にはやっぱりケバケバのメタルバンドって云うイメージでシーンに飛び出てきたんだけど、実は結構単純なロックンロールパーティバンドだったんです、ってな感じで「Dr.Feelgood」や「Girls, Girls, Girls」なんかでハジけたのを聴かせてくれるんだけど、ドールズ、ハノイと同じく一旦メンバーがバラバラになって解散こそしなかったけど、落ち目の状態だったのがここ最近オリジナルメンバー復活で、一気に人気も取り戻して新作ライブアルバムDVDをバンバンリリースしている商売上手になったバンド…否、ロックンロールバンド。

 確かにケバいヘヴィメタだけど、グラム的なメイクと悪魔主義を匂わせる雰囲気というだけで中味は結構シンプル。ま、初期はサウンドもかなりヘヴィメタって言い方もあるけど、今聴けばかわいいもんさ。で、やっぱ個人的には「Theater of Pain」「Shout At The Devil」なんだが、この流れで書くならやっぱ「Dr.Feelgood」だろうな。初期のヘヴィメタ悪魔路線からドラッグの暗さを断ち切って心機一転明るくて派手なロックンロールバンドとしての意欲作、且つファンには一番人気の高い作品で、タイトル曲がこれまた結構な出来映え。もっとシンプルでも良かったんだけど、結構重く始まりながらもノレるリフをメインとしたモトリー流ロックンロールって感じかな。まぁ、ヴィンスの声がハイトーン過ぎるのがちょっと普通のロックンロールバンドとは違うが、まあ、良いでしょ。で、人気の「Kickstart My Heart」とかね、メタルから流れてきたファンでもしっかり楽しめる曲調は見た目のパーティバンドとサウンドとのギャップ(?)が面白いんだな、これが。ビデオとか見るとよくわかると思うけど、バイクにお姉ちゃんにロックンロールってのをそのままやってるんだからある意味凄い。

 最近リリースされた二枚組再結成ライブ盤には「Shout At The Devil」の曲がいっぱい入っているのでやっぱ彼等もその時代が一番充実してたんかな、と思わせるけど、こいつもやっぱりかっこよい。みんなジジイになればなるほどロックしてくるってのも面白いけど、バカに出来ないパワーがあるんだよな。もう20年以上のベテランバンドになっちゃうんだからそりゃそうか。ハノイ・ロックスとの因縁もそれくらいだなぁ…。

Hanoi Rocks - Twelve Shots On The Rocks


 往年のバッドボーイロックバンド達も続々と復活してドールズも新作出して、やっぱりかっこいいなぁってことで何度も聴き返してるんだけど、ピストルズだって再結成ツアーやってたし…。中でもハノイ・ロックスの再生誕は嬉しかったな。何年か前のサマーソニックで来日した時はまだアルバムリリースには至らなかったと思うんだけど、まさか新作出すとは思わなかったのが新作リリースしてきて、しかもそれが滅茶苦茶ハノイらしくてかっこよくってさ、こちらも再生誕とは言いながらマイケル・モンローとアンディ・マッコイしかオリジナルメンバーがいない状態での再生誕だったのでかなり不安だったんだけど、ドールズ然り、ハノイ然り、相変わらずのロックンロールで迫ってきてくれてホントまたハマった。

 「 Twelve Shots On The Rocks」ってタイトルもかっこよく決まってるし日本盤のジャケットも何か毒々しくっていいんだな、これが。ヨーロッパ盤のももちろんいいけど、ハノイは何故か日本好きなので昔からどのアルバムも日本盤だけジャケットが違うので面白い。「Two Steps From The Move」だけじゃないかな、世界統一ジャケットになってるのは。これも良いけどね。ま、でも「 Twelve Shots On The Rocks」はホントに冒頭のSEからギターのハーモニクスで迫ってくる最高のロックンロール「Obscured」が凄くかっちょいいんだよ。シングルカットされた「People Like Me」もキャッチーでちょっとマイナー調のロックンロールでしっかりとハノイらしくってばっちりだし、カバーの「Delirious」はマイケル・モンローが昔エルサレムスリムのアルバムでやってたような気がするけど、ハノイ版の方が圧倒的にかっこいいのだ。が、しかし今調べたらそれはデモテイク版の方だった…、何で持ってるんだろ?ま、それから「In My Darkest Moment」みたいな臭いロックバラードもハノイらしくって、マイケル・モンローの得意技、サックスプレイがしっかり響いて涙チョチョ切れる傑作だし。これライブでも良かったなぁ。マイナー調のロックンロールって言えば「A Day Late, A Dollar Short」や「Watch This」なんてのがモロ好み♪ こういう味は日本とかヨーロッパのバンドじゃないと出せないだろうなぁ。イギリスでもあんまり聴かない旋律かな…。それからブルース…っつうかスライドギターをハープで迫ってくる泥臭い酒場で流れてきそうな雰囲気たっぷりの「Gypsy Boots」もアンディらしくていいな。とにかくさ、どれもこれもかっこよくって捨て曲ないんだよ、ホント。

 でさ、このアルバムリリースしてから早速日本公演があって二回行ってきた。その後の作品「Another Hostile Takeover」をリリースした時も二回くらい行ったんだけど(笑)。いやぁ、滅茶苦茶テンション高くて、一時間半のロックンロールパーティを満喫してきたもん。ロックバンドでこんなに衣装変えるのってそうそういないぞ、マイケル、って感じ(笑)。でも、ステージは凄くパンキッシュなんだよな、彼等は。最後は「I Feel Alright」なんだもん。ライブアルバム「All Those Wasted Years」ほどヒドクはなかったけど、かなり滅茶苦茶。マイケル、ドラム叩いてたりさ、お祭りで…。でもかっこいいライブだった。ロックンロールってこういうもんだよ、ってのを改めて思いだしたもんなぁ。最近そういうのばっかかも(笑)。



Sex Pistols - Never Mind The Bollocks


 書いていそうで書いていなかったバンド、セックス・ピストルズ。ニューヨーク・ドールズを仕掛けた若き日のマルコム・マクラレンが今度はロンドンで磨きを掛けた仕掛けを演じて世紀の大成功を収めたのが言うまでもなくセックス・ピストルズだ。それを知った時、この両者のバンドの類似点が実にたくさんあることが見えてくるので面白い。文化も違うし国も違うところでのバンドなのだが、仕掛け人が同じだと似るものなんだなぁと実感した次第なのだった。若かったなぁ(笑)。

 ピストルズって正直云って最初のアルバム「勝手にしやがれ」が最後のアルバムなワケで、まぁ、せいぜい「ザ・グレイト・ロックン・ロール・スウィンドル」くらいまでがオリジナル、かな、として認めているんだけど、その二枚以外は聴いてないのでわからん。が、それほど聴く必要のあるアルバムだとは全然思ってなくって、もちろん若い頃には聴くべきなんだけど、年取って何度も聴かないなぁ。でも、スティーヴ・ジョーンズのギターは結構好きで、パンクバンドの中にいて白のレスポールカスタムってのはかなりかっこ良いよね。ベースはやはりグレン・マトロックの方が良いワケで、シド・ヴィシャスの自虐的な面がピストルズ=パンクの概念でもあるけど、グレンの頃はもっとまっとうにかっこよかった。もちろんシドのインパクトは絶対なんだけど、キャラクターやファッションに注目が行ってしまったんだよな。ま、それもありだが。音楽的に語る必要はあまりないと思うけど、初っ端の「Holidays In the Sun」が一番かっこいいんじゃないか?パンクっつうか、ドールズよりも直接的なロック。ジョニー・ロットンの自虐的な歌も象徴的と云えるけど、まぁ、「Anarchy In The UK」や「God Save The Queen」、「EMI」や「Liar」…、あ、結構かっこいいのある(笑)。やっぱちゃんと聴こうよ、これ(笑)。楽器の音も結構斬新だったりして、なかなか良作だ。

 ちょっと前にP.I.Lを聴いててさ、調べてたらP.I.Lって1978年にファーストアルバム出してるんだよな。1978年だぜ?まだパンク全盛期、っつうか普通にパンクバンドが出てきた頃に既にピストルズは解散してて、ジョン・ライドンはニュー・ウェイヴ的なバンドを始めてたんだよ、コイツ結構アタマ良いよ。パンクス的には裏切り者に近いけど、まぁ、今なら許す(笑)。いや、だからP.I.Lはダメだったんだよなぁ、ず~っと。ピストルズもそういう意味で裏切り者バンド、ってのと最初で最後のパンクバンド、みたいに両面あるから厄介。ファッションはともかく、当時の英国の時代背景とか労働者の叫びとか不況とか知ってて歌詞を見ていくとパンクってなるほど、って思う。日本の環境下ではパンクはわかりにくいんじゃないかなって思うけど…。で、話は逸れるけど映画「ルード・ボーイ」を見ているとわかるわけだ。「パンク:アティテュード」ってのでも「D.O.A.」とかでも良いけどね。全部DVD出てるし、妙にパンクって崇められてたりするから資料的に豊富で幸せかな。

New York Dolls - One Day It Will Please Us To Remember Even This

モリッシー・プレゼンツ・ザ・リターン・オブ・ザ・ニューヨーク・ドールズ オール・ドールド・アップ
 ロックンロールなんてのは狂気の沙汰だぜっ!ってのをショウとして最初に体現していたバンドのひとつであるニューヨーク・ドールズ。ちょっと前に元ファンクラブ会長を務めていた元ザ・スミスモリッシーがメルトダウンフェスティバルを開催するに当たっての目玉バンドとしてニューヨーク・ドールズの再結成を要請したことが始まりだった。…とは云えオリジナルメンバーの大半を失っていたドールズの再結成なんてのは誰がアテにするのだろう?そんな疑念もあって、ドールズのフロントマン、デヴィッド・ヨハンセンは再結成話に悲観的だったらしい。「正気じゃないね」って呟いていたらしいからなぁ。

 ところが、だ。そのライブをこなした後、自信が着いたのか、ツアーを行うことにした矢先にオリジナルメンバーのベーシスト、アーサー・ケインが他界。時を計ったようなタイミングでの訃報にバンドはぐらつくものの、元ハノイロックスのサミ・ヤッファをベーシストに迎えて再度復活。これでオリジナルメンバーはギターのシルヴェイン・シルヴェインとヨハンセンのみとなった…。しかし、ベースのサミ・ヤッファだって既に伝説と化しているハノイロックスの、正にドールズ直系バンドのベーシストだったワケで、ぴったりの人選だし、本人も憧れのドールズでベースが弾けるだなんて思いもしなかっただろう。それで2004年には日本公演も実現して、にわかフィーバーを醸し出した再結成ドールズ。ついでにその頃だとハノイロックスも再生誕していて、正にバッドボーイズロック復活!の兆しだった。

 そして驚くことに、そのままの勢いが持続していて今年初っ端からスタジオレコーディングするとのウワサは聞いていたものの、まさか本当に新作がリリースされるとは…。そして、出来上がった作品が「 One Day It Will Please Us To Remember Even This」というアルバムだ。話題としてはイギー・ポップのゲスト参加などだが、正直云ってどうでもよろし。このアルバムを初っ端からデカイ音でガンガン聴くべし♪ すげぇロックンロールが詰まってるからさ。オープニングからサミ・ヤッファのドライブするベースラインってのがかっこいい。そしてどの曲聴いてもキャッチーて毒々しいロックンロールのオンパレード、ギターの音も確かにドールズの歪み具合とフレーズは健在で、ジョニー・サンダースでなくてもしっかりとその血は脈々と受け継がれているのだ。そしてちょっと声に張りがなくなったけど毒々しさは相変わらずのヨハンセンの歌声も渋みを帯びて正にロックンロールパーティそのもの。涙チョチョ切れるバラードっぽいのも安っぽいロックバンドらしくていいね、こういうの。今の時代こういうロックバンドがいないんだよ、みんな凝ったこと考えすぎだしやりすぎ。ロックはこれでいいんだよ、そう思わせるほどのパワーに満ち溢れた作品で、決してニューヨークドールズの名に恥じない相変わらずの三枚目のオリジナルアルバムと云える快作♪

Pink Floyd - The Dark Side Of The Moon


 云わずと知れた本家本元「狂気」。1973年リリースの化け物的な売れ行きを博している、今でも多分売れ続けているアルバムだと思うけど、こういう作品が全世界的に売れてしまうということそのものが狂気じみているような気もする。もっともそれくらいに完成度の高い作品だと言うことは別にここで書くまでもなく、世界の売上げとその知名度が証明しているでしょう♪

 確かに「狂気」と題されるだけあって、ロジャーの偏執狂的にクリエイティブなこだわりが表れていて、且つギルモアのアレンジセンスの良さが融合した傑作、そして更に印象深いのがそこかしこで鳴らされる効果音が最大限まで人間の心理を突いてくるという使われ方。冒頭の心臓の音から始まり、鐘の音なりベルの音なり…。ギルモアの浮遊間のあるギタープレイもその一部と同化していることで効果音と楽曲が見事に融合している。ソロでのエフェクト音のみならず、粘っこい歪んだギターカッティングなんかもその一部を構成しているしね。この辺は「Making of...」のDVDを見ると意外な発見を見ることが出来てかなり面白いことは間違いない。こいつら変態だ…って思うはず(笑)。

 個人的な体験を書いていこう。最初に聴いたのは多分19歳くらいの頃だから、まだバリバリにロックンロールをやろうとしていた頃…、暗くてかったるいこの手の音楽はあまり好みではなく、やはりストーンズやZep、Whoなどの王道が好きだったワケで、ただ、その中でもクリムゾンの凶暴性は非常にそそられるモノがあったのでそっちが先。フロイドは「炎」が先で、その後にコレ。「Money」の7拍子のポップさに不思議感をそそられて、それと同時に無理矢理8ビートに持っていかせながらのブルースロックバリバリのギターソロがかっこよかったのでOK。サックスという楽器があるのも好み的にOKだったワケさ。そうこうしているウチに当然最初から聴くようになるワケで、納得。一人で静かにハマって聴くバンドなワケね、と。そしたらハマった(笑)。後半の美しさなんてのがギターで出来ていることに驚いてなぞってみたり、エフェクト音の出し方を探ってみたり…。ただ、そうしているウチに作品そのものの作られ方や効果音に興味が向いてきて、構成そのものを考えてみたりして何度も何度も、そして今でも異なる角度で聴けるアルバムかな。

 ロジャー抜きのフロイドが「狂気」を再現してライブを行い、それは丁度今、「Pulse」と云うDVDでリリースされたばかりだ。もちろんビデオ時代からあるワケで、一応見た、が、どこにも狂気は宿っていなくて美しいフロイドサウンドが演奏されている。ロジャーのDVD「In The Flesh ... Live」でも一部収録されているが断然こちらの方が迫ってくるモノはある。今回ロジャーはそれをアルバム丸ごと演奏しているワケだが、恐らく結構な迫力じゃないかな、とロジャー好きな自分は勝手に思っているのだが…、まぁ、どっちもどっちだろうか。

 いずれにしても20世紀最大のロックアルバムの位置に変わりはないし、SACD-Hybridでリリースされたことでまた新たな聴き方、音の鳴り方が喜ばれているようで、永遠にリリースされ続けるんだろう。名作っつうのはそういうもん。うん。いいなぁ、やっぱこのアルバム。時間経つの忘れるっつうのが問題(笑)。

Roger Waters - Dedicated to Syd, My friend

イン・ザ・フレッシュ ザ・ウォール~ライヴ・イン・ベルリン~ In the Flesh Live
 現在ロジャー・ウォーターズはヨーロッパツアー中で、しかも今回はフロイドの名作「狂気」を丸ごと演奏するという触れ込みで宣伝され、実際に「狂気」が丸ごと演奏されているようだ。ライブは恒例の「In The Fresh」から始められ、アンコール最後の最後も「Comfortably Numb」なので2時間以上ものセットが「The Wall」の間に挟み込まれていて、前半はその中に「炎」の大部分も組み込まれているワケで…、残りは「Animals」とソロ作からという豪勢なセットリストになっているみたい。

 去る7月12日、ロジャーはイタリアのルッカという所でライブを行う予定になっていたが、当然この日になって初めてシド・バレットの訃報を知ったのだと思う。果たしてロジャーの胸にはどんな想いが去来したのかは全く予測できないけど、ある種感慨深いモノがあったとは思う。なぜ、こんな話を書いているのかと言うと、この日のロジャーのライブの様子は前半部分だけながらもラジオで収録放送されていたのだが、それを友人より入手してようやく聴いたからだ。もちろんラジオ放送からの録音CD-Rなので素晴らしい音質なんだけど、そこには「炎」収録曲である「Shine On You Crazy Diamond #1-4」「Have A Ciger」「Wish You Were Here」が演奏されていた。もちろん普通に聴いていれば聴いているだけで終わるのだが…、普段邪魔なMCをほとんど挟まないロジャーが、「Wish You Were Here」のイントロギターが被ってから「シド・バレットに捧ぐ」みたいなことを言ってから歌が始まるんだよ。多分「炎」を歌う段になったあたりからやっぱり沸々とそういう気持ちが出てきたのかな、なんて憶測してる。心なしか歌がもの凄く説得力を持って迫ってくるようにも聞こえてくるもん。「How I wish, How I wish you were here…」。う~む…。そして驚くべきタイミングなのだが、このツアーの幾つかではフロイドのキーボード奏者でもあったニック・メイソンがスペシャルゲストで「狂気」を演奏することもあり、正に今日のライブはニック・メイソンも一緒にプレイしていたと言う。

 だったらギルモアさんもさぁ…どうせ二度とフロイドやらないって言ってるなら、せっかく良いタイミングがあったんだからリック・ライトと一緒に参加するなんて離れ業もアリだったんじゃない?なんて思うんだが、まぁ、イギリスだったら可能かもしれなかったがイタリアじゃしょうがないか…。故にロジャーとニックはこの「Wish You Were Here」で見事にシドを追悼したとも言えるワケで、ホントに感情移入してしまうよ。ただ、さすがにプロだから、そのために全く異なるというものでもないってのがさすが。常にハイレベルな音楽を提供しているので、こういう時だからと言って何かが異なるワケではないのだ。うん。聴いている側の思い込みかな。

 そんなコト考えていた土曜日でした♪ あ、一応サンプルファイル置いておこうっ!ロジャーが喋った部分だけね。正確な解読できたらコメント欄に書いてくれると助かります♪

 サンプル ------->>

Kate Bush - The Dreaming


 音楽を聴いていて初めて狂気を感じた作品と云えばケイト・ブッシュの「The Dreaming」だな。偏執狂とも云えるんだけどざ、とにかく何かが宿っている作品であることには間違いない。1982年発表というから割と新し目のアルバムではあるんだけど正に全身全霊を捧げて制作したようで、4作目にして金字塔を打ち立てたワケだ。このアルバム発表後精神病院に入院したというまことしやかなウワサが流されたのも頷けるくらいの完璧な出来映え。

 技術的な側面でも当時の24トラックレコーダーを3台シンクロさせたアナログ72トラックを実現、そのうち26トラックがボーカルトラックに使用されたらしいが…、まぁ、そんなことよりも聴いてみればわかるんだけど効果音やら楽器音やら歌声やらを含めてもステレオの高性能をフルに使っているとも云えるくらいに空間のアチコチに音が飛び交っていて、是非ともSACDでもDVD-Aでもいいけど5.1chサラウンドあたりでリミックスリマスタリングされたものを聴いてみたいものだ。シド・バレットのような自然な狂気とは全く異なる作り込まれた狂気の美しさの方が聴いている側の気が狂いやすいかもしれない。う~ん、このアルバムには狂わされてもいいかな、って思わせるところもまた怖いんだが(笑)。

 歌詞についても相当独自の世界観を醸し出していて、普通に和訳の歌詞カード読んでるくらいじゃワケ分からない事ばかりだし、そこはネットで細かくその真意を伝えているところでも探して読んでみると良いかも。かなり英国的な書かれ方されているらしい。ちなみに二作目の「Lion Heart」での「おぉイングランド、私のライオンハート」というフレージングが凄く英国的で好きなんです。…それはそれとして(笑)、この「The Dreaming」、ジャケットのケイトからしてかなりイッてるでしょ?中味はホントにね、一曲づつ語るのがアホらしいくらいに多重人格を演じているのかそのままなのか、歌声だけでも何種類も使い分けているし、そのバックで流れているサウンドは実に凝っていってほとんどクラッシックか劇場音楽の世界で、これをロックと呼ぶのかどうかも実は疑問なんだよな。アヴァンギャルドミュージックだもん。いわゆるバンドの音ではなくって、ケイトの描きたい世界が見事に描かれているので普通のポップ音楽なんかとは完璧に異なるのだが、なぜかその世界での名盤として云われることが多い。これはこれで独立した世界だよね。前作「魔物語」まではまだロックの世界かなぁという感じはしてたんだけどさ。

 そういえばケイトってデヴィッド・ギルモアが発掘してきた秘蔵っ子だったんだよね。確か1973年頃には一度ギルモアの自宅スタジオで「Passing Through Air」とかをレコーディングしているってことなので…、ん?確かフロイドの「狂気」が1973年の3月にリリースされているから、その後の夏なんだ…なるほど。好き嫌いは別としてもっともギルモアの才能が満ち溢れている時代に引っ掛かったワケか…、納得。

 今となってみれば結局彼女は別に狂気に犯されていたワケではなくって普通のママさんをしているらしいので、ちょっと安心と幻滅。こないだの新作「Aerial」でもやっぱりケイト節全開だったのでまだまだ美しき才能は果てしなく堪能できそうだね。

Nico - The End


 1974年7月1日、悪魔の申し子達が一堂に会してとんでもないイベントが行われている。奇跡的にもこのライブはレコードとしてリリースされているのだが、CD時代になりいつかはロングバージョンでのリリースを期待したいと待ち望んでいる作品のひとつでもある。ケヴィン・エアーズ、ニコ、ジョン・ケイル、ブライアン・イーノという主要な面々に加えてオリー・ハルソール、マイク・オールドフィールド、ロバート・ワイアットあたりがサポートを固めている「June 1, 1974」というアルバム。

 で、今回はそのアルバムでもなくって、ニコという変わったアーティストを書いてみたい。シド・バレットから始まりケヴィン・エアーズ、ロバート・ワイアットという英国カンタベリー路線の流れからすると少々異質であり、最も知られているのはもちろんヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファーストアルバムだろう。この人、実はドイツ人で女優だったんですよね。だからそこかしこで見られる写真には滅茶苦茶キレイなのとすごくアンダーグラウンドな感じのと両方あるワケ。女優時代にはあのアラン・ドロンの子供を産んでいたり、ドアーズのジム・モリソンとも恋人だったり、まあ多様な遍歴を重ねて生きていった人です。音楽的には俗称「地下の水道管」と呼ばれる歌声で、ヴェルヴェッツ以外のソロ作品を聴くと納得すると思うけど、凄い存在感なんだよな。一般的にロックファンが入りやすいのは邪道ではあるけど「(Live) Heroes」というアルバム。何でって、王道カバー曲がたくさん入ってるので聴きやすいし、それでいて全く別のニコの世界をしっかりと出しているのでとっつきやすいかな、って。自分もそういう理由から入ったしね。ドーンとした雰囲気のまま進められるボウイの「Heroes」、正に地下の水道管としか呼べない雰囲気で歌われるジャズスタンダードの名曲「My Funny Valentine」、本家よりも圧倒的な存在感で自分のものにしてしまったとも云える滅茶苦茶雰囲気のあるヴェルヴェッツの「All Tomorrow's Party」、同じくヴェルヴェッツの作品ながら最早誰も超えられない世界に入っている「Femme Fatale」、最後にはこれ以上はないくらいに盛り下がる、徹底的に暗くなる云わずと知れたドアーズの「The End」…。しかしどれもこれもが完全にニコの世界で歌われているので、間違っても明るいアメリカンロックが好きな人は聴けないのだが(笑)、やっぱりこの人はヨーロッパの民族なのだなぁと思うアレンジ。シンセサイザーなんかもあるんだけどそれが全然時代の進歩を感じさせない効果音にしか聞こえてこないから凄いんだよ。ちょっと前のライブアルバムだと「Do or Die」ってのもあって、こっちは「Waiting For The Man」も入ってる。

 スタジオ盤だと、どうかなぁ、ファーストの「Chelsea Girl」がメジャーでもあるけど、個人的にはやっぱり1974年リリースの「The End」かな。いや、どっちもどっちなんだけど、暗さのインパクトで後者。実にたくさん作品がリリースされているので一概に云えないけど、全体的にドーンとした曇り空の元で聴いているようなものが多くてハマるとハマる。そしてどれもこれもがニコでしかあり得ないアルバムに仕上がっているのも面白いな。ヴェルヴェッツよりもソロ作の方が名曲は多い。ま、そりゃそうか(笑)。

Comus - First Utterance



 シド・バレットの奏でていた狂気と呼ばれる世界は普通のサウンドと紙一重の部分が大きく、だからこそ故にそれはホンモノの狂気だったとも云えるが、英国にはサウンドで明らかに狂気を表現できてしまうバンドがいくつか存在していて、それらは今では恐らくシーンに出てくることすらないと思われるが1970年前後の時代ならばロック界では何でもありの世界だったが故に、まず売れることのないであろうバンドですらも平気で世に出てきていたし、更にそれが今となっては幻のアルバムとしてだったり、コアなマニア向けのバンドとして有名になっていたりして、なかなか変な図式にもなっているが、少なくとも面白い、興味深いサウンドを自由奔放に奏でていたということは云える。まぁ、そういう土壌を創ったのもピンク・フロイド=シド・バレットだったりもするワケなのだが…。

 1970年前後、レコード会社各社はこぞってカネになるロックバンドを買い漁っていたが、大手のレコード会社では自身のレーベルで実験的なバンドをリリースするには少々控えめな面もあり、傘下の独自レーベルを運営して、そこから実験的なアルバムをリリースしていく手法が増えてきた。そのため英国マニアの中ではどのレーベルがどの会社の傘下なのかということまで把握していないとアーティスト間の交流などがよくわからなくなることもあるので結構重要なキーワードだったりする…ってそんな話はマニアックなだけなので先に進むが(笑)、キンクスで有名なパイレーベルが先のような理由で持ったレーベルが「Dawn(ドーン)」と呼ばれるものだ。ま、そんなに有名なバンドが在籍していたワケでもないけど、一癖も二癖もあるバンドがいくつか揃っていてその筋には重宝するレーベルのひとつ。中でもとりわけ異彩を放っていたバンドがコーマスと云うバンド。アコースティックな狂気を前面に打ち出したファーストアルバム First Utteranceを聴いてみれば一発。ま、ジャケットからして気持ち悪いんだけどさ。

 美しいと云えば美しいアコギが中心なんだけど、狂気が宿っているかのようなバイオリンやフルートの音色…、最初の「Diana」からして英国以外にあり得ない妙な女性ボーカルが絡み合ってくる、ある意味ポップかもしれないな。スラップハッピー的な部分もあるかな。そしてそんなバンドなのに二曲目「The Herald」では12分以上も続く美しき組曲的サウンドでプログレっちゃあプログレだけど、なんつうか室内楽っつうか、そんな感じでこれはそんなにヒステリックな部分はなくってキレイかも。3曲目「Drip Drip」…始めのギターの音色から結構なテクニックが見えるんだけど、やっぱり変。ちなみにこのバンド、歌詞が相当ヘンなので英語の得意な方は訳してみるとその狂気の世界がよくわかるらしい。これはある意味ピーター・ハミルみたいな感じではある。ま、これも11分くらいなのでこの辺りが真骨頂かな。

 う~ん、実に久々に聴いたんだけど、今聴くと…結構面白いな(笑)。ヒステリックな面と美しい音色を奏でる部分が同居していて、しかも楽器は全て生系だからそのアンサンブルが実に面白い。もっと狂ったような作品っていう印象だったんだけど、耳が肥えてきたのか、面白いぞ、コレ。で、調子に乗ってセカンドアルバムを聴くが…、やっぱりファーストのような何でもアリ的なスパイスは薄まっていて、ちょっと普通を目指してるって感じ。多分ヴァイオリンがないからっつうのとドラムが前に出てきてるからかな。それでも普通のバンドからしたらかなりユニークな作品だよな。

 ちなみに今はこんなバンドながらも不思議なことに二枚セットになったものにシングル曲とかが加わったボックスセット「Song to Comus: The Complete Collection」というものがリリースされているらしい。そして普通のアルバム買うよりもこっちの方が安いみたいなのでせっかくなのでボックスセットを手に入れる方が良いんだろうな。ヘンな時代になったものだ。

Robert Wyatt - Rock Bottom

Rock Bottom Theatre Royal Drury Lane
 元ソフトマシーンという肩書きすらも今や遠い昔、今のワイアットのファンはそのことを気に掛けない世代が増えているのではないだろうか。80年代を風靡したラフトレードレーベルから作品をリリースしたことで新たな世代へ訴えかけたカンタベリーの重鎮。その世代に知られているのかどうか…彼が半身不随の人生を歩んでいるということを。

 ソフトマシーンからマッチングモウルと遍歴を重ねたワイアットだが、とあるパーティの席上で酔ってそのまま5階だか4階だかから落下してしまい下半身不随。ドラマーの道は絶たれてしまったが、彼の作曲のセンスと歌声の優しさを知る仲間達の助けもあり、1975年に発表したアルバム「Rock Bottom」が何と言ってもワイアット作品中最高の出来映えでしょ。もちろんドラマーとしての素晴らしさを収めた作品はソフトマシーンマッチングモウル、他にもいくつかのセッション物、例えばシド・バレットなどいくつもあるし、歌の良さを聴かせてくれたのはソフトマシーンマッチングモウルで経験済み。だからこそそのまま埋もれなくてよかったなぁと思える作品で、ワイアットのユーモアセンスと何と言っても優しさっつうか温かさみたいな、すごく人間味に溢れる作品になっているのが美しくて万人に聴いてもらいたいくらい素晴らしい作品。

 「O Caroline」や「Moon In June」と云った名曲と肩を並べる作品としては「Sea Song」かな。曲調が似てるってのもあるんだけど、この人のこういう曲ってのはホント淡々と歌われるんだけど、凄く優しさがにじみ出ていてさ、後半はもちろんグチャグチャになるんだけど、やっぱキレイで凄いなぁ、繊細な人なんだろうなぁとつくづく思う。このアルバムは復帰第一弾ってのもあるから余計に感情移入して歌われているんだと思うけど、カンタベリーの美しさ満載。もちろんアルバム制作を手伝ったメンバーってのはリチャード・シンクレア、ヒュー・ホッパーに加えてマイク・オールドフィールドと云うようなメンツなので、ま、カンタベリーになるでしょ。しかし最近のCDではアルバムジャケットが変わってしまていて、どうにも馴染みがなくていかん。オリジナルは白いヤツだったんだけどな。

 そして昨年、驚くべき歴史の記録がリリースされて寝た子を起こす騒ぎになったのがこの年の9月に行われたカンタベリー一派によるロバートワイアット船出記念ライブ「Theatre Royal Drury Lane」だ。参加メンバーがこれまた強烈で、デイヴ・スチュワート、ヒュー・ホッパー、マイク・オールドフィールド、ジュリー・ティペッツ、フレッド・フリス、ニック・メイソンなどなど…、これまた凄いライブ演奏が繰り広げられていて、ジュリーってのが凄い。残念ながら完全収録ではないけど、ワイアットの優しいだけではないロックな歌が聴けるし、アドリブプレイで聴ける旋律もやっぱこんなメンツなだけあって強烈。オフィシャルリリースに感謝感激の一枚♪

Twink - Think Pink

シンク・ピンク ネヴァー・ネヴァー・ランド+4(紙ジャケット仕様) S.F.ソロウ+7(K2HD/紙ジャケット仕様)

 シド・バレットがソロ作で世間を賑わせた後、一旦シーンから遠ざかるがその後偶然に出会った元デリヴァリーのジャック・モンクとバンド結成の話になり、そこでアングラロック界の変人として有名なトゥインクをドラムに従えてスターズというバンドを組んだ。いくつかのリハーサルを行い、そこにはピンク・フロイド時代の「エミリーはプレイガール」も演奏されていたと伝え聞くが、更にはデモ録音も行い、何とギグを三回ほど行ったようだ。もっともそのギグはライブの様相にはならなかったくらい酷かったらしいが…。しかしここではデモ音源が残されていることがしっかりと伝えられているので、何かの機会にでもリリースされればと思うが恐らくこれだけシドの未発表音源がリリースされまくった今、まだ出てきていないと言うことは多分存在しないのかなぁ。

 で、そんな状態のシドとバンドが組める人ってどんな人、ってことでこんな人です。アルバム「シンク・ピンク」が最初のソロ作品になるんだけど、ドラマーとしてはサイケデリックシーンで結構活躍していたのであちこちで名前を見かける。Tomorrowやサイケの真骨頂とも云える時期のPretty Thingsなんてのはそうだね。まぁ、アンダーグラウンドの帝王的な存在で、Pretty Thingsに在籍している最中に「シンク・ピンク」という作品をレコーディングしていて、もちろんプリティ・シングスやデヴィアンツ、ジュニアーズ・アイのHonkやTレックスのスティーヴ・トゥック達が参加した超サイケデリック…というかクスリの音楽なんだろうな、きっと。シドならこの世界がくっきり見えるんだと思うけど、トゥインクも近いところにいたんだろうなぁ。1970年にリリースされて、英国ロックの幻のレコードとして祭り上げられてきたんだけど、CD時代になって再発されてようやくまともな値段で聴くことができて、嬉しかったんだけど、これがねぇ…ん?って感じ(笑)。決して人には薦めませんが、ある意味アングラってこういうモンだよな、ってのがわかるし、傑作であるとは思う。迷作、とも言うか。

 この後トゥインクは解体したデヴィアンツの面々、即ちミック・ファーレン以外のメンツと有名なピンク・フェアリーズを結成するのだ。ま、これもアルバム一枚しか続かなかったんだけど、インパクトは絶大だったな。早すぎたパンクだよ。あまり語られないけどさ。で、ホークウィンド…これもアシッドバンドだな(笑)、それからシドとのスターズなワケだ。

 まぁ、アングラの帝王ってのはやっぱりあって、でも今でもきちんと生きてて気まぐれにアルバム出したりしてるんだから恐れ入る。周辺の人間は結構向こうの世界っつうか死んでるのもいるんだろうけど、トゥインクはその辺妙にビジネス的に頭働くミュージシャンだったのかもしれない。作品だけ聴くととんでもなかったりするけど…。ジュニアーズ・アイやらスティーヴ・トゥックなんてのはデヴィッド・ボウイとも絡むし、そういえばボウイもメジャーすぎるアングラの人なんだもんな。トゥインクの歴史は深い。

Kevin Ayers - Joy Of A Toy

Joy of a Toy Shooting at the Moon Bananamour
 正常な世界の人間にもシド・バレットの感性と共感できる人物が身近に存在していたことは非常に希有なことかもしれないが、その音楽性を今になって聴いてみれば妙に納得できてしまう。やはり類は友を呼ぶと云うか英国は広いと云うか…。60年代末期のUFOクラブに集結していた面々の中でも傑出していた存在のソフトマシーンから音楽性の違いで脱退していたケヴィン・エアーズとシド・バレットのバンド結成は今や幻で終わってしまったが、その断片がケヴィン・エアーズの「Joy of a Toy」のリマスター再発盤のボーナストラックとして「レリジアス・エクスペリエンス(朝に歌えば)(シド・バレット・セッション)」として収録されているので、こいつも聴き所。

 で、ケヴィン・エアーズの作品だが恐らく全く性格的には異なるハッピー主義のヒッピーであるケヴィンの音楽性と狂気の縁に追いやられているとイメージされているシド・バレットの音楽性に実に共通点が多く、なるほど一緒にやることにした理由もわかる。ケヴィン・エアーズも初期ソフツの中では煌びやかなポップ性を醸し出していたが、それを更に強調したかのような作品が「Joy of a Toy」で黄色いアルバム。オープニングは「Joy Of A Toy Continued」。「Continued」の意味はソフツのファーストアルバムに「Joy Of A Toy」(もちろんケヴィン作)が収録されているからだと思われるが、う~む、まったく楽曲的に共通性がないというか、あまり根拠も意味もないような気もするのだが…。いずれにしてもケヴィンのソロ作の冒頭を飾るこの曲こそケヴィンのポップさを語るに相応しい名曲。誰でも口ずさめる「ら~ら~、らららら、ら~ら~ら~。」ってのが良い。丁度シドのアルバムでの曲名が不思議なものが多かったのと同じようにこの人の作品も妙なのが多い。「ぶらんこの少女」とかさ。これもねぇ、ソフツの面々がバックで演奏してると思うんだけどやっぱそれらしくてカンタベリーなんだろうな。あ、中ジャケにね、少女ではないんだけどブランコに乗った女性の写真とケヴィンがギター弾いてるモノクロ写真があるんだけどさ、コレってやっぱ女性は「レディ・レイチェル」の「歓びのオモチャ」なんだろうか?深そうだよな、こういう見方するとさ。他にも同時代のヴェルヴェッツの音楽性ともリンクしてしまう曲調の「狂気の歌」とか傑作「汽車を止めろ」とか…この曲、聴いてると何かホントに汽車が走っているかのような疾走感があって見事に音で世界を表現しているのに驚くよ。途中からの脱却具合も見事見事で笑っちゃうくらいに最高。しかし「エリナーを食べたケーキ」ってどんなん??でもね、聴いてるとそういう曲調なんだよ、こういうセンスってシドに相通じる部分、あると思うんだよな。そしてその「レディ・レイチェル」は重いメッセージをきっちりと伝えようとしているのか、ケヴィン独特の不協和音と反復メロディが世界を創り出していて、その熊内悪さが心地良い…ってわかるかなぁ、面白いんだよね、効果音や和音の使い方が普通じゃない(笑)。この辺から単に脳天気なだけではない、どちらかというとシリアスなサウンドが前面に出てくるんだけど「オレ・オレ…」なんてのは相当実験的で興味深い…こういうのをこのポップな作品の中に織り交ぜてしまうところもセンスだな。オリジナルアルバムの最後の曲はアコギで掻き鳴らされる「この狂おしき時」。う~ん、シド的な作品。

 やっぱりケヴィンならではの意欲作となったファーストアルバムなんだけど、次作「Shooting at the Moon」でも名曲「May I」があるので外せないし、以降はやっぱり多種多様な楽曲を手がけていくことになるけどこの辺の初期作品は何でもありだから面白さが倍増だね。ジャケットもさすがなものでしっかりしてるし。永遠のヒッピー、まだまだ日本に来てライブで楽しませてほしいね。

Pink Floyd - Wish You Were Here

Wish You Were Here The Dark Side of the Moon The Piper at the Gates of Dawn

 1973年ピンク・フロイドは究極の実験的サウンドを纏め上げたアルバム「狂気」をリリースするが、これが超ウルトラ大ヒット作となってしまい、単なる実験的サウンドを奏でるバンドというワケにもいかなくなってきた矢先、新たなるアルバム「」の制作に入る。そこで数々の試行錯誤があった中、ロジャー・ウォーターズは素直な気持ちをそのまま吐き出すこととした。「あなたがここにいてくれたら…」、そして一瞬だけ光り輝いていた友人シドバレットを狂ったダイアモンドに見立てて「Shine On You Crazy Diamond」という組曲を完成させることとなった。

 ピンク・フロイドのアルバム数あれど、やっぱり「狂気」「「ウォール」「アニマルズ」が好きなんだよね。今回の「」についてはシドへのラブコールと云うことなんだけど、ロジャーって不器用な人だと思う。しかしこの「Crazy Diamond」の組曲は実に感動的な曲でさ、アルバム最初から流すともうその世界。リック・ライトの奏でる英国的な鍵盤のイントロを打破するかのように鳴り響くギルモアの透き通ったストラトギターの単音が心地良いエコーと共に切り込んできて盛り上がっていく、そこだけで感動なんだよね。半音進行を混ぜた不思議なトーンでさ、しかもそこで弾かれるギターってモロにブルースなワケで、それでもこのバンドプログレバンドって云われるワケで、何のこっちゃ(笑)。いや、でもここでのギターって良い味出してるんだよね、ブルースのフレージングなんだけど「らしさ」が消えてるの。だから美しく昇華しちゃうんだよね、不思議。リズムがハネてないからそうかもしれないけどさ。そしてロジャーの訴えかけてくるような歌とコーラスが最高。このアルバムでのこの二人の息の合い方はやっぱ歴史を創るだけあってホント凄い。涙もの。

 この大曲の後はどうしてもこじんまり聞こえてしまうんだけど、敢えて無機的な印象で創り上げられている「Welcom To The Machine」は以前からのフロイド的サウンドを継承している音だね。で、「Have A Cigar」はロイ・ハーパー絡みなんだけど、それはともかく音が強烈。やっぱピンク・フロイドだよなぁって。単体だったらかなり印象に残る曲のハズなんだけど、この作品に入っているとどうしてもそうは聞こえないってのが勿体ないかもしれない(笑)。で、シドをモチーフとした「Wish You Were Here」…ロジャーの叫びをそのままぶつけた、アコギで勝負した裸の一曲って感じだよね。これ、ネイティブで英語が理解できる人はかなり強烈に響くんじゃない?

 やっぱシドってロジャーにとっては一生精算できない間柄だったのかな。「炎」リリース当初はシドだけのことを書いた作品ではないと言っていたものの、ロジャーのライブの背後に使用されるこの曲のスクリーン映像はシドがはっきりと現れ、消え去っていくのだから悪あがきはやめて素直に受け入れることにしたのだろうか。多分ロジャーはコレを機に一曲リリースしてくると思う。フロイドでってこともあるかもしれないけど…。まぁ、願ったりの部分はあるが、かと言って真剣に聞き込むかってのは別モンだからなぁ。ファンってのはわがままだ(笑)。

Syd Barrett - Shine On You Crazy Diamond

帽子が笑う不気味に その名はバレット オペル


 2006年7月7日死去。ピンク・フロイド伝説から40年経過してようやく肉体の崩壊が訪れたようだ。そのニュースは7月12日に世界中に流れ、ブログ界では山のような賛辞と賞賛、そして追悼のメッセージが飛び交っている。

 シド・バレット

 世間一般的な面について語る気は毛頭無い。が、やはり向こう側の住人だった人間の作る音楽は一見普通よりも普通に聴けてしまうもので、しかし紙一重の差で狂気が宿っていることは聴いているとわかるものだ。まずジャケット…当時のシドの部屋で撮影されたようだが、ヒプノシスが到着するとシドが床をオレンジと紫のストライプに塗り分けて待っていたと云う。

 …狂気。

 歌詞の世界には手を出していないが、多分まともではないのだろう。しかし60年代サイケデリックムーヴメント時のバンドであればこのような歌詞は乱発されていたのではないだろうか、もちろん独創性はあるがそれだけではないだろう。やはりアコギの音で聴かれる狂気に畏怖の念を覚える。後に英国からコーマスと云うバンドが生まれるのだが、このバンドの狂気も相当のもので、アコギなのだ。アコギの狂気は恐ろしい。そしてもちろんのことながら歌声。いや、ごくごく自然でさらりと呟いているような歌なのでいわゆるサイケフォークの世界だが、やはり狂気。

 何なのだろう?

 そう思うことが多くて怖くて何度も聴かなかった。思い入れはあまりない。だが、恐れ多い作品で今でも制覇できていないアルバム「帽子が笑う不気味に」。今久しぶりにきちんと聴き直しているが、やはり妙な気分になる作品。ソフトマシーンの面々が参加している「No Good Trying」「Love You」あたりはそういう聴き方で聴けるからまだサイケ調に聴いていけるが…、他はシドのアコギにギルモアやロジャーがバックを乗せていった録音方法と聞く。ロジャーが降りるワケだ。しかしソフツの、特にロバート・ワイアットのドラミングは絶品。

 他人事ではなく自分たちの周りに狂気に追いやられていった人を見たことがあるだろうか?幸か不幸か見たことがある。きっかけは些細なことだったりするが、もちろんシドがどの程度の狂気に追いやられたのかはわからない。音楽を捨てるってのは別に狂気だからというものでもない。表現手段としてもう終わってしまっただけということもある。そして単にドラッグで廃人=やる気のない人間になっただけという捉え方もできて、というか現実的で一瞬だけ光り輝いた人生の反動なのかもしれない。

 …不明

 狂気に追いやられる人種を目の前で見ていると狂気が見えてくる。どうしようもないくらい近い距離でも手の施しようがないものだ。ロジャーの気持ちは人間として相当のものだったろう、それは彼の後の作品からもわかるが、一体どれくらいのリスナーが同義として捉えて聴いていることだろうか?単なる伝説、美化された神話になってはいないか?別に構わないのだが…。

 …訃報

 彼は既に精神が天に召されていた人間であり、ロックの神話の中では肉体のみが存在していたがそれが崩壊してしまった。しかしロックの神話では彼はもう35年近く前に消え去っていた伝説なのだ。そしてレコードだけが残される。恐らく永遠に語り継がれていく狂気の宿った伝説と共に残されていくことだろう。

 …狂ったダイアモンド 否 クレイジーダイアモンド

Rest in Peace

Prince - Black Album


 JB、スライ、Pファンクの全てを吸収し、自身の才能と諸先輩を支えたメンバーをも自分の手元に呼び寄せて相変わらず孤高の道を歩む人間嫌いのプリンス=現代に於ける唯一のブラックミュージック継承者。ウソか真か、年間に数枚以上のアルバムが簡単に制作できるくらいの曲を書きまくってしまうそうで、そこからどんどんとそぎ落としていきアルバムという形に絞り込んでいくのが彼のやり方らしく、ボツになってしまう曲の中にはそれこそかなりの秀作もあると伝え聞くが、やはり作品というものへのこだわりがあるため、そういったものはあまり巷には流れ出てこない。ま、いくつかそういう寄せ集め的なアルバムも出ているんだけどね。「The Vault」「The Hits / The B Sides」なんてのはその辺からのものらしい。

 で、ここでプリンスを取り上げたのは彼の才能の中にはもちろんファンクという指針もしっかりと存在しているのだが、あまりそれを前面に出しながらというものは多くなく、どれもがミクスチャーサウンドとして表現されているのだ。しかし、1987年名作と呼ばれる「Sign 'O' The Times」の後、「Lovesexy」の前にリリースされると発表されていた幻の「Black Album」というものがあり、当時リリース一週間前になってプリンス本人が発売中止の以降を伝えて一般市場には流通しなかったというアルバムが存在した。もちろんその後にはきちんと「Lovesexy」という作品がリリースされたのでファンはそういうもんだと思っていたんだろうが…。実際にお蔵入りとなったこの「Black Album」はもちろん関係者筋からの流出によりブートレッグ市場の格好のターゲットとなり、何度となくリリースされていたので自分もそこで手に入れたことがある。しかし1994年には遂にオフィシャルでリリースされたことによりこの市場からは姿を消したのだが、問題はその中味だ。

 「Lovesexy」で見せた明るい未来とは裏腹に「Black Album」ではややダークな世界を繰り広げていて、そしてここで登場する理由もここにあるのだが、滅茶苦茶ファンクなのだ。そう、プリンスにしては珍しくグリグリしたサウンドがいくつか収録されていて、これこそプリンスに求めていたサウンドっていう感じで、ロックアルバムとなった「Purple Rain」の次に多分好きなのが「Black Album」かな。まぁ、「1999」も良いんだけどさ。しかしそれでもプリンス流の音になっていて70年代ファンクのああいう気怠さってのはなくって、ドラムマシーン?に合わせたサウンドなのでグルーヴというかはミネアポリスサウンド中心だけどベースグルーヴが結構効いているって感じ。それからセリフみたいなのでひたすら攻めてくるってのはモロにPファンクがモチーフだよな。そういう面白さがたっぷりあるアルバムなので取っ付きにくいプリンスのアルバムの中でもこの「Black Album」は割と普通に聴ける作品で良い。しつこくないんだよね(笑)。中でも「2 Nigs United 4 West Compton」が一番かっちょいいお薦め曲♪

Sly & The Family Stone - Stand!



 ファンカデリックがストーンズをファンクにしたバンドだとしたらスライ&ザ・ファミリー・ストーンは当然ビートルズをファンクにしたバンドとも言える関係にある両バンドだが、黒人ってことでやっぱりブルースもそうだし、ソウルもR&Bも最近のラップやヒップホップも含めて衣装やアクセサリーにカネを掛けて派手に見せるのが好きなんだよな。もちろんスライなんかも当てはまっていて、それどころか派手が歩いてるっていうくらいに派手なのもパーラメントあたりと双璧を成している。

 さて、スライの名盤は数あるモノの今回はやっぱりファンクグルーヴ&ポップ性が同居した、そして最高傑作と呼ばれる「暴動」ほどの暗さと重さを持ち合わせていない、明るく楽しめる作品の代表格として「Stand!」が良いかな。初っ端のタイトル曲からえらくポップだなぁと感じる反面グイグイとベースのグルーヴに引っ張られていく進行がやはりスライだなぁと思わせるね。「Don't Call Me Nigger, Whitey」ではそのグルーヴの上に結構エグイギターが始終鳴っていて、もちろんこの辺のワウペダルによる混沌とした効果も絶妙。んでもって次はこれまたスライらしいというか、単純に楽しめる「I Want To Take You Higher」で、こういうのファンクっつうのかな、ブラスセクションの使い方とかもゴージャスで良いしハープなんてのもしっかり入ってて何でもあり♪ それからメロウな歌をしっとりと聴かせる「Somebody's Watching You」へ。ソフトなサウンドでウケるだろうなぁってのよくわかるもん。ダメな人はダメなサウンドってのもわかるが(笑)。しっかりとしたメロディと技術的にしっかりとした演奏が心地良く広がってくる名曲。続く「Sing A Simple Song」は一変して見事に求めているファンクソング。やっぱりひと味違うスライのサウンドはこういう曲でもしっかりとアピールされてくるし、コーラスとギターの使い方が良いんだよね。でもってまた軽めのサウンドの「Everyday People」へと続くが、こういう曲の並べ方ってのもやっぱ考えてるんだろうな。そして、これまでの名曲群も何のその、やっぱりJBのカバーともなる「Sex Machine」のスライ的解釈=14分もの対極へと仕上げ直してしまう技量が素晴らしい。もちろんぱっと聴いたら何の曲かわからないアレンジになっているんだけど、JBとは全く異なる気怠いグルーヴ感を打ち出したどっからどう切ってもスライ流。JBが歌で持っていくとしたらこっちはグルーヴで攻めてくるみたいな感じだね。ちなみに歌はないのでカバーっつうかモチーフにしてるみたいなモンだけどね。このアルバムにコレ入れるか?みたいな実験的サウンドで、時代の成せる業かもしれん。

 確かにパーラメントやファンカデリックなんかと比べると優等生的ポップ的なファンクだなぁと改めて連続して聴くと思うんだけど、やっぱこの後の「暴動」で一気にダークな面を出していることでバンドのバランスが取れたのかな。そして歴史になっていくんだけど、以降こんなファンクバンドってのも出てこないのでやっぱり時代の産物というのもあるかな。

James Brown - Super Bad


 ファンクの帝王ジェームズ・ブラウン。苦節多き才人だが、最も脂の乗っていた時期と云えば1960年代後半から70年代初頭頃、ブラックパワーを見せつけた時、即ちマーチン・ルーサー・キング牧師暗殺期の代弁者としてその人を一気に背負ってステージに立った頃が世間に対しての存在感を示した時期。そして音楽的にはこれ以降、69年から72年頃が絶好調だった時期であり、その背景には新たなるバンドJB'sの存在が欠かせないのであった。

 この時期のJB'sはバンドメンバー総入れ替え事件の時の勢いそのままを維持しており、中には若干20歳前のブーツィー・コリンズがいたワケだ。兄貴のキャットフィッシュ・コリンズもギターで参加しているのだが、やっぱりブーツィーのリズム感とグルーヴは唯一無二のものを持っていて、JBの歴史の中でも最もメジャーとなる「Sex Machine」が書かれた時期もこの頃だ。そして「Super Bad」という傑作を世に放ったのもこのメンバーでの頃で、やっぱり勢いに乗っていると違うモノだ。ブーツィーが在籍した期間は大して長くないが、JBは大層可愛がったと云われているし、ブーツィー側もできることは全部やってしまって、窮屈になってきたとのことで離脱しているので、ブーツィーには少々狭い世界だったようだ。そんな奇跡のような瞬間を記録しているのが先のアルバム「Super Bad」でもあるが、やっぱり「Love Power Peace : Live At The Olympia 1971」というライブ盤が個人的にはナンバーワンだなぁ。これ前も書いてるんだけど、改めて聴くとブーツィーのグルーヴもJBのノリも全てが最高で素晴らしい。通常のスタジオ録音じゃ絶対に再現できないライブ感が収められていて、なんでこれが長い間未発表だったのかねぇ。

 この辺以降JBは少々シーンから消えかかっていくので、やっぱり最絶頂期だったんだろうな。もっとも映画「ロッキー4」のサントラでの復活などで伝説英雄的に扱われることが増えてきたのでお役目満了という感じではあるんだけどね。こないだも日本に来てすげぇライブをやってたみたいなので、まだまだ現役なんだな。ん?入院したとか?ま、それでもさ、やっぱJBなんだよ。かけ声一発でノリに乗れるファンクな人手もちろんソウルバラードなんかも歌える…やっぱファンクの帝王という異名はそのまま♪ベスト盤とか入手するなら「Super Bad」とかの時期が入っているのが良いよ。多分ブーツィーの存在がよくわかるから。

Parliament - Mothership Connection


 Pファンク軍団総帥ジョージ・クリントン率いるパーラメント、中でも元JB'sのブーツィー・コリンズをメンバーに加えてからの勢いたるやその筋では相当なブラックパワーだったと云う。もちろんエンターティンメント性が高く、黒人音楽が一方ではシリアスなテーマを投げかけている中、単純に楽しむという要素だけを抽出してアピールしたこのバンドはそのド派手な衣装やステージングが話題を呼び、またアルバムの完成度や演奏能力の高さも当然手伝ってひとつのジャンルを形成した主要なバンドどなるのだ。

 元々ファンカデリックと同じメンバー構成で作られたバンドで、ファンカデリックがエディ・ヘイゼルのギターを全面に出したロックサイドのバンドだとするとパーラメントはファンク一色に染め上げたバンドで、そのグルーヴたるやもの凄いものがある。4枚目のアルバム「Mothership Connection」を機に一大ファンクコミカルオペラバンドとしての側面を全面に打ち出しながらパフォーマンスを魅せていくが、その根幹にある演奏能力の高さが何といっても彼等の売りで、どのアルバムを聴いても独特のファンキーさを持ち合わせているので、あまりその手のサウンドが得意でないロックファンでもとりあえずのベスト盤でも聴いておくとかなりタメになる。そしてこの「Mothership Connection」という作品、隙がない。最初から最後まで強烈なグルーヴがアルバムを支配していて、その世界のハマってしまうとずーっと聴いてるんじゃないかと思えるくらいによく出来ているんだよね。次作「The Clones of Dr. Funkenstein」も同じ路線で面白いんだけど、ま、この辺がパーラメント全盛期ってトコなので当然ながらけだるいファンクグルーヴに乗せられながらダラダラと楽しめる。

 ちなみに自分の中での「ファンク」っていう言葉=音楽の定義って、ず~~~っとジェームズ・ブラウンの「ウッ!ハッ!」っていうかけ声と共に繰り出される16分音符のチャカチャカカッティングギターが鳴らされて見事にグルーヴしていくサウンドだと思っていたんだけど、いくつもファンクの名盤と呼ばれるものを聴いているとどうにも違うんだよね。そんなのはたまに演奏されるだけで、基本的にはけだる~~いグルーヴがず~っと続いているっていう作品がメインで、皆が皆すごいファンクだって云うので、多分そういうもんなんだろう。しかしブーツィー・コリンズのベースはホントにかっちょよくてグルーヴしてるっていう単語がぴったりの人で、普段あまりベースの音なんて気にしないんだけど、この人のは気になる。JBのとこでやってた時から気になるベースですげぇ上手かったんだもん。ま、そうは云ってもブーツィーの抜けた後のパーラメントの「Live: P-Funk Earth Tour」というライブ盤も素晴らしいんだけどね。

Ruth Copeland - I Am What I Am


 ファンカデリック周辺では唯一の白人アーティストとして名高い、しかも美人♪ …はともかくもの凄い声量で迫ってくる歌姫、ルース・コープランド嬢をご存じない方が多いと思うが、この人こそは正にグレース・スリックとは云わないがかなりヒステリックでロックなシンガーなので一発で気に入った人の一人。これもどこかのレコード屋行ったら流れていて、速攻でそのアルバムを買った一枚なんだけどね。まぁ、アルバム二枚しかリリースしていないんだけど、そのバックバンドってのがファンカデリックだったのさ。

 この流れで書いているんだけど実はこの人イギリス人の女性シンガーで、歌声を聴くとモロにベーブ・ルースのボーカル、ジェニー・ハーンとよく歌い方が似ている。お転婆娘のはしゃぎ声って感じ。これがまた凄い良いんだよねぇ。んでもってバックはエディ・ヘイゼルのとんでもないギター、完璧なロックエモーショナル発散系ギターなので驚きの一枚。あ、云っているアルバムはセカンドアルバム「I Am What I Am」っていうヤツで、驚くことに7曲しか入っていないんだけど、これ以上はもうお腹一杯っていう位に素晴らしく熱気の籠もったサウンドが詰め込まれているので文句なし。

 一曲目「The Medal」の美しいピアノから始められる正に英国的な歌メロと美しき声が重なり合いながら静かに始められるが、普通よりもかなり長めのドラムフィルインに導かれて一気にハードなドライヴィンサウンドへの突入、これはも強力なグルーブ感でたまらんし、エディのギターがこの時期の英国ギタリスト達の先を行っている面も大きく、ジミヘンの再来とも云われるワケだ。続く「Cryin' Has Made Me Stronger」はスワンプ的な楽曲でこちらもピアノの静かな音色から始まり味付けとしてワウギターが効果的に使われているが、もうルースの歌声だけで引っ張っていく曲で、その歌唱力に涙あるのみ。後半のゴスペルチックなコーラスワークも見事なモノで楽曲としての盛り上がりは最高に素晴らしい。そして美しくもパワーの溢れるコーラスワークを武器とした「Hare Krishna」へと続くが、これもオルガンによる幻想感を醸し出しながらもルースの情感的な歌声で曲のレベルを飛躍的に上げている素晴らしい作品。これも終盤の盛り上がりが凄いなぁ。ガラリと雰囲気の変わる「Suberban Family Lament」はモロにこの時期のファンカデリックって感じのサウンドでルースも一生懸命歌っているので面白いんだけど冷静に聴くとちょっとファンカデリックに負けてるかな(笑)。この辺やらせたらやっぱ凄いな。

 そして本作の目玉一発目「Play With Fire」。もちろんストーンズのアレね♪ま、はっきり云ってこれがストーンズの曲とかミックの歌の方がとか云うのは全く感じることなく単にすげぇ~って聴けることは間違いないね。アレンジも全く違うし、完全にオリジナルにしちゃってるし、なんてったって演奏力も歌唱力も全然違うんだから比べてもしょうがない。しかしこのアレンジは凄いよ、中盤から恒例の如くハードなグルーヴへと展開していったりするんだけど、エディのギターがもう凄いんだよ、完璧。この人イギリスでロックやってた方が大成したんじゃないか?そして「Don't You Wish You Had」はもうギターのリフとカッティングから始まる曲でなんというかエッジの立った細かい芸の効いたギターフレーズが職人芸を感じる見事な音色。ドラムの音も凄く良いよなぁ…この時代の英国的サウンドが出てるもん。アメリカのバンドなのに不思議だ。これももうエディのギターフレーズに尽きる。中盤のソロでは少々音が細い気もするけど見事に飛翔するようなスペイシーなサウンドでジミヘンを彷彿とさせるプレイを聴かせてくれ、しかもそれがいやらしくないってのがね、サスガ。そして本作の目玉♪「Gimmie Shelter」。そう、これもストーンズの名曲よ。こっちはアレンジ変えようがなかったんだけど、エディのファンキーなギターとハードにドライヴするギターと両方が入っていて、歌はリサ・フィッシャー以上に凄いのでストーンズファンは要チェックの曲だよ。はっきり云ってこいつを超える「Gimmie Shelter」はあり得ない。歌だけじゃなくってリズムもロックと黒いのの中間で、ギターも最高で、こいつだけを何十回と立て続けに聴いていたこともあるくらいかっこいい。バックが、とか女性ボーカルがとか云うのは全然関係なくてこれこそロック。素晴らしい。近年のストーンズでの同曲はこのアレンジとインパクトを参考にしているんじゃないかと疑うくらいに曲の迫力を最大限に引き出している傑作。

 …ん?なんか熱く書いてたらこんなに長くなってしまった(笑)。いや、その前のファーストアルバムも良いんだけど、ちょっとソフト過ぎるよ。このセカンドアルバムの方がやんちゃなロック姉ちゃんで良い。しかしこの人この後どうしたんだろうなぁ。ちなみにCDでは2in1になってるのでお得みたい。う~ん動いている映像なんてのがあったら見てみたいものだ。

Funkadelic - Maggot Brain


 ジミヘンの再来としてブラックサイドからは最も認知されているであろうギタリストがエディ・ヘイゼルという変態だ(笑)。後にPファンク軍団として名を馳せることとなるファンカデリック/パーラメントというバンドのギタリストなのだが、この人のジミヘン的ギタープレイをたっぷりと聴くならファンカデリックが良いね。しかも初期のドロドロとした時期なんてのはデビュー仕立てのジミヘンがあの勢いのままバンド・オブ・ジプシーズのサウンドで弾きまくるっていうのを更に飛翔させたようなサウンドなので面白い、っつうか興味深い。

 アルバム的にはやっぱ「Maggot Brain」近辺のがヘンに黒っぽくなくてかなりロック的で良いかな。タイトル曲の美しきギターのアルペジオからギターソロが鳴りまくる、しかも滅茶苦茶エモーショナルにそれが鳴り響くんだからたまらんよ、ホント。普通だったらなんか声量のある黒っぽい歌が入っちゃうトコなんだけどこのバンドではそれがなくってギターだけで飛翔しちゃうんだもん。この一曲目からおぉ?すげぇぞ?ロックじゃねぇか?って思うしさ、ま、ジミヘン的ギターっつうか、気分がジミヘンと同じなんだよな、だからフレーズとかはそんなに似ているワケじゃなくてかなり独自の感情で弾きまくってるんで、こういうの気持ち良いのよ。もちろんそれに追随するバンドも素晴らしいからさ。もうね、ここからぶっ飛ばされるんだけど、もちろん名盤として名高いだけあって収録されている曲がどれも面白い仕上がりになってるんだけど、もうちょっとファンクギター中心のが多いと嬉しかったんだけどな。ま、これは好みの問題♪

 それと、この1971年9月12日にミシガン州で行われたライブの模様を収録したライブアルバムもかなりノイジーなライブで熱い。ミックスが最悪なのでせっかくのスペイシーなギターが埋もれてしまっているのだけど、聴いていると実にとんでもないことをいっぱいやっていて、まだまだ売れない頃のファンカデリックなだけに好き勝手にやっていられるライブの様子が記録されているから聴いていてロック的で気持ち良い。ある種デッド的な面もあるかな。初っ端の「Alice In My Fantasies」なんてタイトルとは裏腹にかけるアルバム間違えたのかと思うくらいにウルトラハードな歪んだギターで迫ってくるので驚き。それともちろんのことながらギターのカッティングのリズム感ってのがもの凄くて、こればかりは白人がいくら頑張っても無理なんだけど、そんなのが目白押しでノリも熱くて実に面白い。やっぱこの手の人達はライブ盤が良いね♪

Stevie Salas - Stevie Salas Colorcode


 1980年代のジミヘン再来がレイ・ヴォーンだとしたら1990年代のジミヘン再来と言われたのが例えそれが一瞬であったとしても、新たなる波風を運んできた瞬間があったスティーヴィー・サラスではないだろうか。80年代中期からPファンク群の使用するスタジオで寝泊まりしていたことから…ってもちろんそういう環境下に自分を持っていったこと自体が凄いのだが、ジョージ・クリントンから声掛けしてもらいプロへの道が開けていくこととなる。その後ブーツィ・コリンズとも出会って参加していくことでPファンク連中との接触から多くを吸収していったようだ。以降もメジャーなところではロッド・スチュワートのツアーなどに参加したりしているそうだ。

 そしてようやくソロデビューとなったのが1990年となったので、結構努力家と云うか実力派なんだろうな。最初のアルバム「Stevie Salas Colorcode」はジミヘンを彷彿させるかのようなトリオ編成によるバンド形態で、ま、ジャケットはちとセンスないのだが、カラフルでファンキーなサウンドを聴かせてくれる。もちろんそこにはジミヘンらしき音というのはそれほどなくって、どっちかっつうとPファンク的なサウンドの方が強いんだけど、とにかくこの時代にこれほどまでハネたギターというかリズムで弾く人はいなかったのでかなり強烈なノリが印象深いね。最初の「Stand Up」を大音量で掛けてみればわかるんだけど、とんでもなくハネてるよ。ある種ジミヘンやレイ・ヴォーンが独自のリズムを作り出したように、彼も独特のリズムを出していたような感じで、それはPファンクのものなのかもしれないけど、やっぱロックのテイストで成り立っているので面白い。

 結構日本では人気があって、日本限定CDってのが多かった。ライブ盤とかミニアルバムとか…普通の作品でも日本限定パッケージとかでさ。ま、でも「Bootleg Like A Mag」とか「The Electric Pow Wow」あたりまでは聴いたかな。あ、その前に「Hardware」つう、バディ・マイルズとブーツィ・コリンズを迎えて制作されたアルバムもあったな。これも結構良かったんだけど、ちょっとバックのノリとサラスのギターの軽さが合わなかった感じがして、そうやって徐々に離れていってしまったね。最近出た作品も結構ハネのりで面白そうな感じみたい。しかしまあ、初期のサラスはかなり新鮮で純黒人ではないけど黒い人のロックを自然に聴けたっつうのがあったな。

Stevie Ray Vaughan - Texas Flood

Texas Flood Couldn't Stand the Weather ライヴ・アット・モントルー 1982 & 1985

 ジミヘンフォロワー多しと云えども、今まで見た中ではどれもこれもがやっぱりモノマネレベルばかりでジミヘンの真髄というものに近づいた人はいなかったように思えるが、唯一独自性とジミヘン性を持ち合わせた天才ギタリストがいた。

 スティーヴィー・レイ・ヴォーンだ。

 もちろんジミヘン云々は関係なく、彼自身がとんでもなく素晴らしいブルースギタリスト、ミュージシャンと言うことは皆が皆承知していることだろう。1982年モントルージャズフェスティバルで行われたブルースナイトに出演していたレイ・ヴォーンと彼のバンド(オーティス・ラッシュの曲から拝借したらしい)ダブル・トラブルは見事に白熱したプレイを繰り広げていて、その模様は今ではDVD「ライヴ・アット・モントルー 1982 & 1985」としてリリースされているので正に歴史の目撃者になれるのは幸せなことだろう。なぜなら、このライブを見てぶっ飛んだデヴィッド・ボウイが速攻でレイ・ヴォーンに次の自分のアルバムへの参加を要請し、それは「Let's Dance」というアルバムで実現することとなり、奇しくもボウイ最大のメガヒット作品となったために、シングル「Let's Dance」で聴けるエグイギタープレイは実に多くの人に聴かれることとなり、一躍その筋にはスティーヴィー・レイ・ヴォーンという名前が広まったのだ。この時同時に衝撃を受けた人の中に名プロデューサーとして名高いジョン・ハモンドもおり、即座にファーストアルバムが制作されることとなり、その録音はもちろんトリオ編成による普段の下積みライブ一発録音による、文句なしの傑作が完成し、時代はニューロマンティックスMTV全盛期の1983年6月にリリースされるのだ。

 「Texas Flood」と題されたこのアルバムには当時のシリアスなロックファンが求めていたサウンドが全て詰め込まれていたと言っても過言ではない出来映えで、往年のロックに必須であるブルーステイスト…どころか伸びやかなエモーショナルブルースギターがバリバリに奏でられ、且つスピード感に溢れた一言で言うと「かっこいい」ロックソング満載でジミヘンを彷彿とさせるそのプレイはテクニック的にも最高峰に近いものだった。う~ん、かっこつけて書いてもダメだな(笑)。とにかくこのファーストアルバムは何度聞いてもコピーできないくらいのロックスピリッツとギターフレーズが揃ってていて、どれもこれもが本当に痺れるよね。個人的にリアルタイムで入ったのはセカンドアルバム「Couldn't Stand the Weather」からで、ファーストアルバムと共にひたすら聴きまくったなぁ。セカンドアルバムも一曲目の「Scuttle Buttin'」の初っ端のギターフレーズなんてヴァン・ヘイレンよりも早いギターフレーズ弾いてるぞ、コレ。アルバム的にはもちろんセカンドアルバムの方が余裕もあるしサウンドの幅も広がっていて結構ゴージャスな感じで良いね。

 蛇足なんだが…、レイ・ヴォーンが不運なことにヘリコプター事故で亡くなったのが1990年8月27日なんだが、自分は確かその日時にとあるライブハウスでライブをやっていたんだよな。それで結構鮮明にその辺のニュースを聞いたのを覚えているんだよね。ま、別にブルースやってたわけじゃないから関係ないんだけどさ。しかしレイ・ヴォーンって白人なのに往年のブルースメンやジミヘンと一緒に語られても全然違和感ないし、ジミヘンのブルースメンとしての側面もきちんとフォローできていて、魂でギター弾いてたもんなぁ。白人でこれだけ弾ける人っていないよ。あとはね、やっぱライブのビデオが一番いいな。

Jimi Hendrix - :Blues

Blues Blue Wild Angel: Live at the Isle of Wright ジミ・ヘンドリックス スペシャル・エディション

 1942年シアトルで生まれたロック界の超人と呼ばれた男、ジミ・ヘンドリックスだが、世代的なものや彼の生い立ちからすると当然ながら本場アメリカでのブルースの洗礼を、というよりも好んで往年のブルースメンとのセッションを望んで家を出ていった若者の一人だったことはあまり知られていない。マディ・ウォーターズとのセッションに応募し、そこでの採用を断られ、ハウリン・ウルフとのジョイントではウルフから罵倒され、ことごとく自分が愛してやまないブルースの先輩達とのジョイントを打ち砕かれたジミヘン、20歳前後の頃からの苦労である。

 ジミヘンがシーンに出てきたのは1966-67年頃だから24-25歳頃なので、下積みが7-8年はあったようで、その頃に実に多くのブルースメンと出会っているようだ。アルバート・キングB.B.キングアルバ-ト・コリンズバディ・ガイや後に一緒にプレイすることになるビリー・コックスなんかもこの頃に出会っている。当時の音楽シーンを考えてみればわかるように、この頃の黒人ギタリストが顔を出せるトコロと云えば恐らくブルースかソウル、R&B関連のトコロしかなく、ジミの場合はブルースだったはずで、当然そのような先輩達のいるところでギターを弾いて素直にそこで羽ばたいていくという考えになるはずだ。誰も黒人ロッカーとして名を売っていこうなどと思わないわけで、純粋なブルースプレイヤー、もしくはディランにも影響を受けたプレーヤー程度だろう。だからジミが後に多種多様のブルースソングのカバーや改作バージョンをプレイすることや、彼のギターが素晴らしいブルースを奏でることについては至極当然の成り行きであり、決して突然変異のロッカーではないワケだ。もちろん英国に渡りジャズドラマーとロック・ベーシストと一緒にバンドを組み、ブルースとディランと英国ロックを融合させたサウンドを生み出したことは彼の功績だが、根本はブルースメンなのだ。

 …とまあ、そんなワケでこの単なるブルースメンとしてのジミヘンを垣間見る側面として相応しいアルバムが「Blues」だろう。1994年にリリースされているわけで、もちろんジミヘンは知らない編集盤だが、ことある毎にスタジオでもライブでもブルースセッションを好んで録音していたジミのプレイをかき集めた作品、そう、単なる編集盤ではなく作品として仕上げられているところは好感を覚えるね。カバーソングだけでなくジミの作ったブルースも一緒に収められており、それがまた完璧にジミヘン流サウンドとして出来上がっているので全く遜色ないところも彼が著名ブルースメンと肩を並べて語られてもおかしくないだろうと云うところだ。ここでは先に挙げたアルバート・キングの「悪い星の下に」やマディで有名な「Catfish Blues」「Manish Boy」、エルモア・ジェイムズの「Bleeding Heart」なんてのがオリジナルを超えてプレイされているんだけど、やっぱ凄いアグレッシヴなギタープレイだなぁとつくづく感心。これじゃ魂吸い取られて死んでもおかしくない~ってくらい飛翔しちゃってる。個人的にはやっぱ「Red House」が凄く好きでねぇ…、イントロから痺れちゃうんだよな、まったく。もちろんオープニングを飾る「Here My Train A Comin'」のアコギバージョンなんてのは初めて聴いた時から衝撃的で、こういうのって聴いたことなかったからさ、今でもいないんだろうけど…、やっぱ偉大なるブルースメンなんだな…と。

Otis Rush - I Can't Quit You, Baby


 シカゴブルースの中核を担ったオーティス・ラッシュこそがウィリー・ディクソンの起死回生を果たすプレイヤーであったことは割と有名な話だが、1950年代中期にはまだまだ新興レーベルだったコブラの気合いの入ったバックアップ体制と共にディクソンも気合いを入れてプッシュしまくったブルースプレイヤーなのだ。生まれは1934年ということなので先のバディ・ガイなどと同じ世代のブルースメンなのだがイメージ的には結構古い人という印象があるのはやはり50年代から活躍してきたイメージがあるからだろう。

 そのコブラレーベル時代の作品はシングルバージョンやその別バージョンも含めて「I Can't Quit You Baby」というCDに全てがまとめて収録してあるので大変有意義なパッケージで手に入れることが出来るのがお得♪手を変え品を変え、いくつものジャケットでリリースされているのでどれも入手して見るべし。何というのかな、ギタープレイそのものもえらく現代的だったりするんだけど、エコーの音やバック全体のサウンドなどかなり凝った音をしているのも特徴的で、まあ、時代的にロカビリーが流行した時期でもあるのでその音に近いと言えば近いのかな。それにしてもこの人は歌が良いね。ブラスなんかもしっかりと入っていて最初からゴージャスなプレイヤーなんだ~っていう出方も実にモダンでシカゴ的かもしれん。

 しかしこの人の真髄はこの50年代の録音に限ったことではなく、もう一枚、いやもう半枚と云うべきか、チェスに素晴らしい録音を残しているので、こいつを忘れてはいけないのだ。そもそも初めてオーティス・ラッシュというギタープレイヤーを聴いたのは「Door To Door」というアルバート・キングとのカップリングによるアルバムなのだ。残念ながら一緒に収録されてはいるが、共演しているわけではないので、いわゆるB面がオーティス・ラッシュでA面はアルバート・キングなのだが、どう聴いてもB面の方がかっこよい(笑)。「All Your Love」ってのはもちろんクラプトンがジョンメイオールのアルバムでプレイしている、どころか今でもプレイしているアレだ。心地良いエコーと共にこのアルバム「Door to Door」に収録されているバージョンも素晴らしい出来映え♪そして極めつけは「So Many Roads」だろうなぁ。魂をはき出すかのような歌声ももちろんながら、エモーショナル感たっぷりのオブリギターについてはもう全てのブルースギタリストがコピーしたくなるフレーズの連発で、ソロに入る部分までもが実にかっこよくって、もちろんソロもエグい一発って感じで気合い満点の最高のプレイ。こんなの聴いてたら誰でもギター弾きたくなるわな、って思うよ。結構不器用なギター弾くんだな…。

Willie Dixon - I Am The Blues


 レッド・ツェッペリンにハマっていると当然の事ながらそれぞれの楽曲のクレジットを楽しんだり、元ネタ探しをしたりと色々と深みにハマる土壌はあるのだが、その中でも結構不思議だったのはウィリー・ディクソンというブルースメンの楽曲として語られる「I Can't Quit You, Babe」「You Shook Me」とベン・E・キングのものと云われている「We're Gonna Groove」だ。もちろん「Lemon Song」なんてのも摩訶不思議な曲ではあったんだけどある程度解決策があったのでこれはヨシとして(笑)、いや、ハウリン・ウルフのトコで出てますので…。で、ベン・E・キングのものと云われているだけで実は全然関係のない「We're Gonna Groove」ってのはまあそういうもんだとほっといて、ウィリー・ディクソンという作曲家に目が向いたワケだ。

 通常クレジットを見れば大体その原曲をプレイしているミュージシャンが書かれていたりするのでそうやって元ネタ探しをしていたのだが、ウィリー・ディクソンという人は基本的ないわゆるブルースプレイヤーではなく作曲家、アレンジャー、時にベーシストといった裏方よりの人だったのでどうしても原曲探しに行くと異なるブルースメンにしか出会わない。「I Can't Quit You, Babe」であればオーティス・ラッシュの名盤になっているし、「You Shook Me」はマディもあるけどアール・フッカーってな具合。なるほどね、ってことで1970年に突然自身が作曲した有名な(後に有名になる)作品をアルバム一枚に収めてリリースした「I Am The Blues」っていう自信の表れとしか思えないタイトルのアルバムを出す。こいつがまた凄くて、もちろん60年代のロックミュージシャン達がこぞってカバーしたような曲や、それこそこの後に皆がカバーするような曲を(もしかしたらこれをカバーしてみな、かっこいいぜ、ってな意味かもしれないが)収めたナイスな作品。嬉しいねぇ、こういうリリースは。アレンジやブルース的なセンスっつうか深さってのは会えてあまり出していないのか、結構サラリと聴けるサウンドになってるのも聴きやすいかもしれないね。何てったってシカゴブルース界の超大物裏方さんだからそれくらいの読みでアルバム出すくらい余裕でしょ(笑)。

 マディやハウリンの裏方さんと云えども実に色々とメジャーな曲を作っているのには驚く。ブルースってのはどちらかと云うとプレイヤーの個性が浮き出てくる面が大きく、楽曲そのものは二の次と云った感があったんだが、この人の作品は見事にそれを裏切っており、やはり楽曲なのだと云わんばかりに披露している。「Back Door Man」と言えばドアーズ、「I Can't Quit You Baby」はもちろんオーティス・ラッシュ…ウィリー・ディクソンはコブラとも仕事をしていたってことなんだろうな。それからもちろんZepのカバー(パクリ?)が有名、あとはリトル・ミルトンかな。「Spooonful」は云わずと知れたハウリン・ウルフ、そしてクリーム、クラプトンだね。「I Ain't Superstitious」はベックがファーストでやってたね。「You Shook Me」ももちろんZepだけど、これはアイディアレベルからマディと一緒に創り上げて、その後アール・フッカーがフレーズだけパクっていってっていう経緯もあるようだ。で、「I'm A Hoochie Coochie Man」はハウリンのヒット曲、そしてストーンズのカバーが有名、同じく「The Red Rooster」もハウリン・ウルフとストーンズ、ちとマニアックにクラプトンってとこか。マディの出世作「I Just Want To Make Love To You」もディクソンの作品。う~む、やはり凄い経歴だ。こんな感じでチェスレーベルに多大な貢献をしたディクソンはやっぱりロックに近い系譜を持っている人で楽しめるね。そんな経歴を一気に纏め上げたボックスセットもあるので気合い入れて聴くのも良いかも(笑)。

Buddy Guy - Drinkin' TNT Smoking Dynamite


 シカゴブルースの大御所となった今でも現役バリバリのブルースメンがバディ・ガイだが、ここ最近の活動においてもかなりアグレッシヴにギターを弾いており、あちこちのロック畑のバンドなんかと気楽にセッションしたりしている。モダンと云えばモダンな彼のストラトキャスターによるブルースギターは確かにロック魂をくすぐるものがあり、時代的にもロックと共に生きてきたブルースサイドの代表とも云え、そういう視点で追いかけていくと非常に面白い。

 …で、昔まだブルースなんて深く知らない頃にレコード屋で漁っていた時にBGMとして流れていたブルースがえらくかっこよくて、一体誰だこれ?ってな衝撃を受けてレジ周りを見回すと「Drinkin' TNT Smoking Dynamite」というライブアルバムが飾ってあったのだ。速攻で購入してそれはそれはひたすら聴きまくりまして、そのフレーズ一音一音を聞き込みながらたっぷりと楽しんでたね。クレジットにベース、ビル・ワイマンとあったのも何となく聴きやすいかなってのもあったんだが。アルバム的には1974年のライブ盤で、ジュニア・ウェルズとの黄金コンビによる傑作ライブなので悪いはずがない。今でもよく聴くんだけど、正にシカゴブルースって感じのサウンドが流れ出てくるし、いわゆるギターだけのブルースとは異なりハープがこれでもかというくらいに出てくるので、多分この辺のサウンドってのはポール・バターフィールドあたりにはもの凄い影響を与えたんだろうなぁと思う。もちろんマイク・ブルームフィールドもこのような状況を目の前で生で見ていたとのことなのでその影響度合いは凄いものだろう。かくしてそんな二人がシカゴという広い街で運命的に出会ったのも時間の問題だったことだろう。そしてバディ・ガイのギターだ。積極的にアグレッシヴに聴いているモノを惹き付けてやまないプレイはちょっと聞けばすぐにハマってしまう魅力を持っていて、ギターのトーンから弾き方、指の使い方なんてのも聴いていて見えてくるくらいに音に反映される素晴らしい技量なのだ。もちろんバディに限ったことでもないけど、やっぱ凄いよな、って。曲の合間に弾かれるオブリガードのギターだってグッと胸に来るサウンドだしさ。やっぱブルースって良いなぁって思う。しかしこの人のギターってこうやって聴くとテキサスブルースにも通じるものあるんだなぁ。B.B.キングとテキサスブルースの中間って感じかな。しかしアマゾンで見つけたら今はジャケットが変わっているんだなぁ…、オリジナルはもっとシカゴっぽくて良かったのに。

 紹介したアルバムが1974年のものと新しい作だったんだけど、彼自身は1936年生まれだからもちろんモロにチェスレコード立ち上げ時にはシーンに近いトコロにいて、マディ・ウォーターズと一緒にバンドをやっていた経験もあるという、やはり大物になるべく人だったみたい。ちなみにリトル・ウォルターも一緒だったので、マディのバックってのは凄いメンツだったんだなぁと思う。そんな初期の経験の後1960年代初頭にはチェスレコードに多くのカタログを残しており、それらを纏め上げたモノが「I Was Walking Through the Woods」というCDにまとめてあるのでコイツもお薦めしたいね。ま、でもやっぱ彼はライブがいいなぁ。1965年のライブなんてどう?

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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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