The Monterey International Pop Festival


 1967年6月16~18日、カリフォルニアのモンタレーで行われた多分世界で最初の大がかりなロックフェスティバルとなった「モンタレーポップフェスティバル」にはここのところ書き連ねてきたバンドがほぼ総出演しており、サイケデリックサウンド、ヒッピー文化、フラワームーヴメント、ドラッグ文化などが集約されたイベントとなり、その歴史に於ける一ページの意義は大変重要な、そして象徴的な祭典として永遠に語り継がれる財産となっているのである。

 出演者にはジミヘン、ジャニス、ザ・フー、ジェファーソン、S&G、ママス&パパス、キャンド・ヒート、バターフィールドBB、エレクトリック・フラッグ、クイックシルバー、バッファロー、バーズ、そしてブッカーT&MGs、オーティス・レディング…。どれもこれもが名演と呼ばれるに相応しい演奏を行っていて、単独でライブアルバムがリリースすることができるのなら半数近くがリリースするんじゃない?それくらいに時代の空気を捉えたサウンドと映像が残されている。音だけならちょいと昔にリリースされた4CD盤が一番強烈で、ジャニスの出番は全部収録しているし、個人的に嬉しいのはバターフィールドも結構収録しているところか。バーズもそのまま入ってるしジェファーソンだってそうだ。オーティスはもちろん全曲収録に近いし、フーも全曲収録、ジミヘンも当然。だから凄く熱い編集盤で、もっとプッシュされていてもおかしくないCDなんだけどね、なぜかあまりプッシュされない。

 …と思ったら3枚組DVDがリリースされて、これまた豪華な編集で発売されたので堪らん。映画バージョンはともかく(…と言っても永らくこの映画バージョンですら見れなかったのだが)、ディスク2では単発でリリースされていたジミヘンとオーティスの単体でのライブ映像をカップリングしたもので、衝撃的にかっちょいい。特にオーティスっていう人がどんなに凄いのかってのをまざまざと見せつけてくれる強烈な映像だね。これでオーティスはソウル界から一歩飛び出たファンを獲得することになる。で、問題はディスク3のお宝映像集。ここには映像では見ることのなかった正に宝石のような当時の映像が収められていて、動くマイク・ブルームフィールドや当時のバターフィールドってのが凄く嬉しい。ザ・フーに至ってはかなりの部分がこれで表面に出てきたことになり、彼等のライブの凄さが…、ジミヘンとインパクトを争った彼等のやり方が浮上することになったのだ。だからジミヘンはギターに火を点けるパフォーマンスを行い、ザ・フーに打ち勝ったのだった。ジャニスはまだまだ新人だったにも関わらず、とんでもなく激しいパフォーマンスを見せつけてくれたおかげで一気に時代の寵児となり、一方ではジェファーソンが王道を見せつけていた姿も印象的。

 う~ん、やっぱりこの時代のこのイベントは果てしなく熱い。ローラ・ニーロとかタイニー・ティムってのもいてさ、今でも名前を聞く人ばかりが出演していたってのもさすが、って感じだしね。そういえばストーンズのブライアン・ジョーンズがジミヘンを紹介するんじゃなかったかな。イギリスでは知名度を上げていたジミヘンの凱旋帰国イベントってことでそんなコトをするってことになったらしい。で、バックステージをジミヘンとブライアンが二人で歩く姿を捉えた写真があってさ、これ、かっこいいんだよな。

Big Brother & The Holding Company - Cheap Thrills


 60年代花のサンフランシスコを代表する歌い手と言ったらやっぱりジャニス・ジョプリンに行き着く。フラワー・ムーヴメント、ヒッピー文化、セックス・ドラッグ&ロックンロールの旗手となったあまりにも有名なブルースの女王。その存在を知らしめたのは1968年発表のアルバム「Cheap Thrills」からだが、ここではまだBig Brother & The Holding Companyという名義でのリリースで、彼女の存在をクローズアップしたものではなかった。しかしアルバムを一聴すればわかるように彼女の圧倒的な歌唱力と魂が全てを支配しており、シスコサウンドやドラッグの影響、ヒッピームーブメント的な音というものは特に感じられず、純粋にブルースを追求した、そして新たなるムーブメントに取り組みサウンドが打ち出されていることに言及した記事は多くない。まあギターの音色自体はこの時期のシスコサウンドと同じなんだけどね。

 アルバム「Cheap Thrills」は実況録音編集盤なので冒頭のアナウンスの下りからライブ会場にいるような錯覚を起こしてアルバムを聴けるのが良い。「Combination Of The Two」は冒頭いきなり洗濯板を鳴らす音がリズムを刻み、サム・アンドリューの軽快なギターが切り込み、コーラス部隊から歌が始まり真打ちジャニスの叫びからロックンロール開始、みたいな感じで、かなり特殊なサウンド。ジャニスの歌声だけでなくロックサウンドとしてもかなり革新的な音だったんだよな。「I Need A Man To Love」でもサイケデリック調なギターサウンドがオープニングを飾るんだけど、それよりもベースのリズムがもの凄く心地良い…。曲の盛り上がり方もかなり良質の出来映えで、そこにジャニスとコーラス部隊の掛け合いが入るワケだから見事に出来上がってるよ。ここでのギターソロの音色も乾ききったサウンドで、かなりクラプトン的って感じもするんだけど、なかなか曲にマッチしていて良いね。そして真打ち「Summertime」。散々ギターでコピーしたんだけど、ロック界はもちろん出てこないスケールで始まるフレーズが心地良くって、その流れからジャニスのかすれた声が入ってくるってのがもう最高で、ギターのオブリガードもひとつひとつが曲に色を添えていて実に素晴らしい名曲名演名唱。ギターソロも最高だしさぁ…聴かないと損する曲だよな、これ。続く名曲「Piece Of My Heart」も骨格は「Combination...」と同じようなアレンジになってるんだけど、何というのか、曲中を通してすごく温かい空気が流れていて、ゆとりというのか余裕と言うのか、非常に愛が溢れるサウンドと歌い方…、多分ジャニスの歌唱力がこの空気感を出しているんだろう。後半のかすれた叫び声のところが心打つポイントかな。スタンダードブルースになぞらえた「Turtle Blues」は伝統のアコースティックブルースを実現した曲で、こういう曲がいわゆるシスコサウンドとは大きく異なる面だろう。「Oh, Sweet Mary」は逆にシスコサウンド的側面の強い作品で、かなり独特のサイケ色が出ているね。ジャニスにはあまり関係のない曲で、バンドのメンバーが自己主張するために収録してあるかのような印象だ。そして「Ball And Chain」だ。冒頭から強烈なブレイクとエグいギターサウンドがその存在を主張していて、一瞬で雰囲気を沈めたところでエモーショナルな歌が入る。その後の曲展開と共にジャニスの歌声が一緒になって感情を表現していく様は見事の一言に尽きる。そして最後の最後でのジャニスだけの歌声によるエンディング…、涙無くして聴けない瞬間かもしれない。

 アルバム「Cheap Thrills」だけでなくこの時期のライブ録音音源は他にも「Live At Winterland 1968」「In Concert」に収録されているのでもっともっとジャニスの迫力を堪能したい人には絶対にオススメ。やっぱライブでの彼女は凄いってのを体験できる迫力を持っている。もちろんBig Brother & The Holding Companyの記念すべきファーストアルバムっていうのもジャニスが歌っているので彼女の来歴を知るには必要な一枚になるね。

Quicksilver Messenger Service - Happy Trails


 フラワームーヴメントの代表バンドの一員としてはあまり挙げられることもなく、どちらかといえばマニアックな存在ですら有るクイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスというバンド。1968年にデビューアルバム「Quicksilver Messenger Service」をリリースするものの彼等の本来の姿であるライブでの熱気が上手く収録されずセールス的には不発だったようだ。まぁ、ファーストアルバムからそうそう簡単にはいかないんだろうけど…後になってそれほどひどくもなく、バンドの本来の持つサウンドとして捉えられる傾向もでてきたいみたいだけどね、個人的にはまあ、時代を反映していて面白いんじゃないかな、程度は思ってるけど、ちょっとチープだよな(笑)。

 で、このバンドと云えばやはり「Happy Trails」「Shady Grove」なんじゃないかな。ファーストアルバムの反省点を元にセカンドアルバム「Happy Trails」ではいきなりライブ録音によるアルバムリリース、そして邦題が「愛の組曲」っつうんだけど、何せ曲名が凄い。「Who Do You Love」から始まり「When Do You Love Part.1」「Where Do You Love」「How Do You Love」「Which Do You Love」そして「When Do You Love Part.2」へと流れるんだけど、コレ面白いよな、発想が。でもって音も凄くデッド的と言ったら変だけど、心地良いギターの音色が中心となっていて、ブルースフィーリングはあるんだけどあまりしつこくなくってサラリと聴けるんだな。こういうサウンドは好きだなぁ。名盤と呼ばれるだけあってどれもしっかりした楽曲なのでちょっと退屈になりそうな部分もあるけど、心地良いサンフランシスコサウンドを聴けるのは間違いないね。

 サードアルバム「Shady Grove」になるとあのニッキー・ホプキンスが参加してきて、サウンドがガラリと変わる。フリーフォーム的なサウンドからピアノ中心になったサイケサウンド、でも何かポップみたいな曲に彩られていてある意味異色なアルバムなんだろうなぁ。普通に聴くとかなり面白いアルバムだとは思うけど。最後の「Edward, the Mad Shirt Grinder」ってのが一番気合い入った曲かな。面白いよ。

The Byrds - Mr.Tambourine Man



 1960年代半ばにフォークロックという新たに定義づけられるサウンドの代表格となったバンドにザ・バーズが挙げられる…と言うよりも彼等こそがフォークロック=ビートルズ+ディランを実践したバンドと位置付けられる。もちろん似たような指向性を持ったバッファロー・スプリングフィールドも同時期にシーンに登場し、この二つのバンドは見事に融合を果たして俗に言うCSN&Yとして一時代を築き挙げることになるのだが…。

 改めて聴くと狙い通りのサウンドを創り上げたバンドだったんだなぁと実感する。そしてこのバンドの面白いのはアルバムを重ねる毎に大きくサウンドが変化していくところだろうか、徹底できない背景があったのかもしれないし、アメリカの血が音楽をどんどん根深いところに持っていってしまうのか、カントリー方面に走ることになるので、これはこれで別に悪くないのだが、バーズである必要性が薄れてきたという面もあるかな。それはさておき、まずはやっぱりファーストアルバム「Mr.Tambourine Man」が一番初々しくて明確にサウンドの方向性が打ち出されており、正にビートルズ(笑)、と言った感じだね。コーラスワークなんかはコチラの方が上手いかもしれないけど。ロジャー・マッギンの12弦ギターがサウンドをカラフルにしていて、この十数年後にイギリスで大流行するニューウェイブサウンドと何ら変わりはない音を出しているってのは面白い。音楽は回り回るモノなのだ。

 セカンドアルバム「Turn! Turn! Turn!」でこの路線は極みを見つけることになり、まあ、時代が時代だからサイケデリックサウンドの名盤としても語られることもあるのかな、個人的にはファーストの方が良く聴くけど、あまりにも聴きやすいのであんまり聴かない(笑)。で、たまに聴くと美しいなぁ、と思うんだけどさ、やっぱ何か残るモノが少ないのか、サラリと聴けてしまうところが英国ロックとは違うよな。もちろんそれでも良い作品であることには変わりない。

 しかしこういうのって新しい挑戦でクリエイティブな発想だったんだろうな、と思うし、今でも色褪せてない作品だからやっぱり凄い。そんな雰囲気のままフラワームーブメント突入だもんなぁ。しかし四角のサングラス、かっこ良い…。

Buffalo Springfield - Buffalo Springfield


 サマー・オブ・ラブと呼ばれた花のサンフランシスコからウェストコーストサウンド周辺へと文化は広がりを見せていくが、中でも後に有名となるミュージシャン群が集まったバッファロー・スプリングフィールドは時代と共に消え去った伝説のバンドとして今でも語り継がれる存在となっている。云わずと知れたスティーヴン・スティルスニール・ヤング、リッチー・フューレイ、ジム・メッシーナと云った著名なメンツで結成されたこのバンドは1966年にファーストアルバムをリリースし、初っ端の「For What It's Worth」からリスナーを圧倒したと伝え聞く…。

 確かになぁ、この曲はサイケデリックムーヴメントの中にあっても不思議のない何か不思議な力を感じるサウンドで、ツェッペリンのロバート・プラントなんかはこの辺に凄く影響を受けているのでZepのライブでは一時期この曲がメドレーの中に組み込まれていたりしてね、そこから漁っていったっていう邪道なんだけどさ。オリジナルを聴くと、さすがにプラントが影響を受けるのも納得っていうくらいのものだ。セカンドアルバム「Buffalo Springfield Again」は一般的に名盤の領域に入る傑作と云われる。自分的にはそんなでもないんだけど、雰囲気は大変よくわかる。ま、でも昔聴いた記憶だったので今改めて聴いてみるとちょっと印象異なったのは事実。

 ただねぇ、個人的にはニール・ヤングがダメなので基本的にダメなのかもしれん(笑)。いや、声がね…。スティーブン・スティルスは「スーパーセッション」でのイメージだからまたちょっと違うんだけど。残りのメンバーによるポコってのは聴いたことないんで何も言えないんだけどさ。しかしこのバッファロー・スプリングフィールドってのは実験的精神旺盛で音数は少ないし、それでいてコーラスワークがしっかりしていて、で、何と云ってももの凄くアメリカ的なサウンドってのがウケたんだと思うし、今でも好きな人は好きなんだろうなぁ、と。

 オリジナルアルバムは3枚しかリリースされていないけど、ボックスセットやら何やらでやっぱり根強い人気…っつうかニール・ヤングの人気によるトコロも大きいのかな。もうちょっと大人になったらどっぷりと浸かることがあるかもしれない…、かな?

The Grateful Dead - Live / Dead


 1960年代末、サンフランシスコではフラワームーヴメントが沸き起こり、ヒッピー文化が最先端となったいわゆる幸せの幻想時代となるが、先のジェファーソン・エアプレーンと共に時代の寵児となり、その精神思想が歴史を築き上げて超ユートピアファン層を獲得し、更にそれが世代を超えてひとつのアイコンとなった英雄的なバンドがグレイトフル・デッドだ。グレイトフル・デッド…美しいバンド名だ。そして街で見かける数々のシンボルマークともなったデッドのイラスト、どれもこれもが一見おどろおどろしい面を持ったもので、そういった周辺状況を見ているととても手を出す気にはなれないバンドなのかもしれない。ある意味宗教団体のようなものだから。

 そんな深い意味を知るまでもなく、単純にロック名盤として語られた雑誌を見たことから17歳の時に初めてデッドのアルバムを聴くこととなった。ファーストアルバム「The Grateful Dead」だ。そして17歳にこのアルバムはあまりにもヘヴィー過ぎた。サイケデリック的アーティスティックな面が養われていない時期にこのようなドラッグ思想に支えられたアルバムはまともに聴けたモノではなく、以降二十年近くグレイトフル・デッドと云うバンドは封印されたままだったんだな。ことある毎にデッドヘッズと呼ばれるマニアやコレクターなどに出会い、彼等はコミューンを形成してネットでも盛んに交流をしている。そして新参者であろうが古くからのファンであろうがごくごく親しみやすい環境を作っていて非常にオープンな姿勢のファンが多く、そして明るいのだ。何を自慢げにするでもなく、デッドを押し付けるでもなく、ごく普通のロックファンとしてもちろんアメリカの良き時代の理解者として接してくれる人が多かったのだ。そこから受ける印象は決してデッドのおどろどろしたイメージではなく、またドラッグまみれな幻想を持ったイメージでもなく、かなりさわやかな印象さえ受けるものだった。

「ん? でもデッドだろ~?(←17歳の記憶が甦る…×××)」

 が、多数のうわさ話や情報過多になってきた昨今、そしてデッドの後継者とも云われるPhishという集団によるユニークなハロウィンの試み…、などなどと状況も情報も変わってきた頃にふとデッドに再挑戦してみようという気になったのであった…。

 聴いたアルバムは「Live / Dead」。いやぁ~~~~~驚いた。何という素晴らしいアルバム!インプロビゼーションでのみ構成されたと云っても過言ではないくらいのライブ即興バンドの醍醐味を一気に味わい、且つ驚くことにそれが全くストレスを感じないさわやかな浮遊感に包まれたサウンドがスピーカーを奏でている。英国のインプロバンドだったら絶対に疲れてしまうであろうあの瞬間が皆無なのだ。ベックの「Blow By Blow」のような湿っぽさはかけらもなく、プログレバンドのようなハマり度もなく、ただただひたすら心地良い音色が空気と共にカラダをすり抜けていく、そんな美しいサウンドなのだ。そしてそれこそがユートピアの世界、ヒッピー思想なのかもしれないしドラッグサウンドなのかもしれないけど、実に美しくて驚いた。心底驚いた。スタジオアルバムの名作と呼ばれる「Aoxomoxoa」もいいけど、やっぱりライブでその本領を発揮する。時代の象徴ともなったフィルモアウェストのライブを収録した「Fillmore West 1969」も絶品だし、ハマっていくとどんどんとこの時期の音源が山積みにリリースされており、更にコレクター間での音源も自由に解放されているので正直キリがない世界だ。しかしハマる人の気持ちがよくわかる素晴らしいバンドで、これを聴かずして一生終わることなくって良かったのかなぁとも思う。

 改めて、偉大なる死、グレイトフル・デッドを褒め讃えたい。そして英雄ジェリー・ガルシアに冥福をお祈りします。グレイトフル・デッド。

Jefferson Airplane - Surrealistic Pillow


 アメリカで起きたヒッピームーブメント=フラワームーブメントは恐らくこのジェファーソン・エアプレーンのアルバム「Surrealistic Pillow」によって一般に広がったのではないかと思うくらい売れに売れたらしいいわゆるフラワームーブメントの代表作として語られることが多い。もちろんバンドとしても最も熟成しつつある時期だったので、ムーブメントがそうさせたのか才能と運の成せるワザなのか…結局は以降80年代に至るまでず~~~~っと名前を変えつつも生き続けたのだからやはり才能なんだろう。

 時代は1967年初頭、紅一点のグレイス・スリックというハートで歌を歌うボーカルを迎えて、男とオンナのコーラス体制ができあがり、それがバンドのパワーに拍車を掛けているし、アルバム「Surrealistic Pillow」では歌詞や曲のタイトルからしてかなり不思議な…トリップしたものが多い。例えば、一曲目は「おかしな車」と言う曲なのだが、車という単語も内容も全く関係ない歌詞だったりするらしい。そんなのが散りばめられているんだけど、曲的には初っ端からかなり心地良いサウンドでなんかなぁ、トリップっていう気分がよくわかるんだよ(笑)。基本的にはアコギサウンドっつうかカントリータッチというのか、そんなんでアメリカ~って感じなんだけどさ。で、なんつっても「Somebody To Love」だよ。リズム感バッチリの「 When the truth...」という歌声で始まって、妙にギターサウンドがエコーたっぷりのフラワームーブメント的な音で、そこにヒステリックなグレイスの歌声が被さってくるから堪らないし…、やっぱサンフランシスコサウンドの原点なんだよな、これ。その他の楽曲も基本的にはフォークサウンドが中心でエレキっつっても効果的なファズギターを使用っていうくらいなので、まだまだ時代を感じさせる音なんだけど、何だろうね、この熱気は。ドラッグ感覚たっぷりって云うんだろうか?多分やってる側がドラッグたっぷりなんだと思う(笑)。ちなみにこのアルバムのタイトルはあのジェリー・ガルシアが呟いた一言から取られたらしい。

 この翌年にそれこそ「Sgt.Pepper's...」に逆影響を受けて制作されたのが「After Bathing At Baxter's」なんだけどさすがに成熟期のバンドなだけあってこちらも名曲はないけど名盤の名を欲しいままにしているね。もちろんこの時期のライブを収録した「Bless Its Pointed Little Head」は聴いて損しないアルバム。ラストの即興演奏が特に心地良いんだけど、この辺はさすがにサンフランシスコサウンドだよなぁ。

Frank Zappa - Absolutely Free

アブソリュートリー・フリー(紙ジャケット仕様)
 奇才フランク・ザッパによる「Absolutely Free」という作品をご存じだろうか?マザーズとのバンド形態による彼のセカンドアルバムとして1968年にリリースされているのだが、歌詞の検閲等で遅れていたため、作品そのものは1967年暮れには出来上がっていたようだ。聴いてみるとわかるようにこのアルバムでは様々なコラージュやらエフェクト音がそこかしこで使用されていて、その音使いはまるで「Sgt.Pepper's,,,」のそれと酷似している部分も数多くあり、どちらが模倣か、と論じられることも多い。その結論を導き出したのはこれもまたフランク・ザッパ本人から、アルバムリリースという形で回答されている。

 アルバム「We're Only In It For The Money / 俺たちは金のためにやってるんだ」という作品がそれだ。元のアルバムジャケットを見れば一目瞭然、見事に「Sgt.Pepper's,,,」をパロディ化している。…って1968年のリリース当初は怒りをおそれたMGMが全然別のジャケットでリリースしており、このパロディジャケは中ジャケとなっているのだが…。そのジャケットもいくつか変更されていて、後ろに立っている人達の目が黒線で消されているものから現在は全てきちんと見えるモノになっている。また、ライコがCDでリリースしたバージョンではドラムとベースが1985年当時のメンバーの音に差し替えられており、知らずに聴いても些か違和感がある作りになっていたりするのだ。現在のCDはオリジナルに差し替えられているので問題ないんだけど…、とまあそんないきさつが色々あるんだけど、この「We're Only In It For The Money / 俺たちは金のためにやってるんだ」という作品、ご丁寧にフランツ・カフカの「流刑地にて」を読んでから聴け、とのことで国内盤にはその「流刑地にて」が付けられている(笑)。

 ま、ビートルズにパクられたのをパロディしながら、実は自分が感じていたコト=日本人強制収容所の違憲性とレーガン氏(後の大統領)の強権性を強く批判することをカフカの「流刑地にて」になぞらえていたワケだ。ちなみにその時代、周りはヒッピー・ムーブメントやらフラワームーブメントやら…そりゃ、ウッドストック前だからね…、そんな時にマジメもマジメ、大まじめにザッパはそれを訴えていたのだ。ちなみにザッパはドラッグも大麻もやらない人で、極めて純粋な音楽家で奇人なだけである。もちろんサウンド的にも最高にザッパ節が聴けるので早い時期から自身の方向性をしっかりと見ていた天才なんだよな。

 そうそう、そのセカンドアルバム「Absolutely Free」なんだけど、これも凄く面白い作品でコラージュやら何やらとファーストアルバムの凄さを軽く凌駕しているんだけどあまり聴かれない作品です。が、既にパクりの嵐に加えてどんなジャンルの音楽とも一線を画す素晴らしきメロディを創り上げていて聴いているとどんどんハマるんだなぁ。やっぱ「Sgt.Pepper's,,,」はこれを真似ているとしか思えん(笑)。ちなみにコレもオリジナルアナログ時代とCDでは細かいところがアチコチといじられているようで、あちこちのザッパのサイトで書かれてます♪

 う~ん、イギリスのサイケデリックサウンドの完成型は実はアメリカのヒッピームーブメントにあるってのは有名だけど、実はヒッピーでも何でもない単なる奇人変人扱いされる天才音楽家の手によって見事な作品が創られていたってコトですかね。だからフランク・ザッパは止められません(笑)。受け付けない人は受け付けないと思いますけど、歌詞カード付きの日本盤を入手してどんなんが来ても聴き通すぞ、っていう意思さえ有れば絶対に面白い人です、はい。

The Rolling Stones - Thier Satanic Majesties Request


 ビートルズの「Sgt.Pepper's...」アルバムは各方面に影響をもたらし、その影響を受けたバンドの数々がこぞってサイケデリック色とコンセプト性を持たせたアルバムを制作することとなった。中でも当時双頭バンドとして祭り上げられていたストーンズの「Thier Satanic Majesties Request」は思わず「ストーンズよ、お前もか」と言いたくなる面もあるんだけど、さすがにストーンズの作品だけあって今でも異色の輝きを放っている。

 アルバム冒頭「魔王賛歌」から摩訶不思議なサウンドが鳴り響き、えらくキャッチーでポップな歌が始まるというもので、いわゆるストーンズらしさなんてのはほとんど見えてこない…もちろんそこかしこにあるんだけど、今じゃもう誰もわからないと思う。見事に逆回転やら効果音やらあまり使われることのない楽器を持ち込んでいたり、もちろんインド系旋律も…ま、これは今回初めてというワケじゃないけどさ。やっぱブライアン・ジョーンズがいた時のストーンズはカラフルで囚われることのないサウンドが魅力的だったんだよ。アーティストとしてのブライアンとロックンローラーのミックとキースの違いは大きい。で、このアルバムが初めてのセルフプロデュース作品と云うからこれもまた面白い。こんなのが最初からできたら凄く自信付くだろうし。

 話戻すと、そんなことでアルバム全編に渡っていわゆるストーンズらしからぬ音作りばかりで面白くて、もちろんブルースの影響なんてのは皆無に等しくてカラフルサウンドに徹している。「魔王賛歌(二部)」なんて何だよこれ?って曲…っつうかコラージュサウンドだしさ。その後のB面最初に配された「She's A Rainbow」がとてつもなく素敵な音色と曲で一番好きかなぁ。当たり前って言えば当たり前だが。あ、これのストリングスってZepのジョンジーがアレンジしたんだよ…そういうのってやっぱ才能と運命なんだろうな、面白い。「2000光年の彼方に」もライブで聞いたことあるから好きな曲だな。もっともアレンジが全然違うのでこういう雰囲気じゃなかったけど。そういえば、アナログ時代のアルバムではジャケットが3D仕様でリリースされていたのも結構面白くてなかなか高かった記憶がある。CDではこないだの紙ジャケで初めて3D仕様がリリースされたみたいね。まぁ、それもこれも含めてストーンズの全アルバム中で最も異色なアルバムだろう。

 んなことで、この1967-68年頃ってみんながみんなサイケに染まってた時代で大物バンドと呼ばれている連中でも同じ波を受けているってのが面白くて、他にもクリームとかジミヘンなんかも結局そこら辺から変わってきたってのあるし。それだけ「Sgt.Pepper's...」の影響力が凄かったってことだ。

The Beatles - Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band


 サイケデリックロックを世に知らしめた一枚として圧倒的に名高い名盤として君臨しているビートルズの「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」。まぁ、今更って気もするんだけど、やっぱ凄いわ。ビートルズのサイケ趣味は「Revolver」から顕著になっていたので…、と言うかそっちの方がモロって感じなんだけど、世間に与えた影響は相当大きかったんだろうと思う。普通は時勢の流れからバンドがいくつか出てきてシーンを形成するんだけど、ビートルズの場合はビートルズが時流を作ってしまうので、ここから始まったっていう言い方も過言じゃないんだろうな。

 で、何が凄いんだろう?音のカラフルさならTomorrowやThe Moveだって負けてないし、ポップさだってそうだ。ホントにサイケな雰囲気だったらThe NiceとかPink Floydだって相当のものだ。この「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」だけが突出しているのは何故?ビートルズの名前をハズして聴いた時にどんな点なんだろうか?エフェクトだって他にいくらでもサイケデリックなサウンドを出すバンドは存在しているしね。

 多分、ホントにラリった世界を音で表現しているからなんだろう、と思う。

 その才能があったんだろうなぁ。他のバンドの場合はその世界を一生懸命作ろうとして、カラフルなサウンドやエフェクトで効果を表現しているんだろうけど、このアルバムの場合は世界を創り上げていてその中にいるんだよな、多分。外から表現した音楽と中から表現した音楽の違い、なのかな。シド・バレットのソロアルバムも本当の狂気を中から作ると一見普通にしか聞こえないけど何か恐ろしく研ぎ澄まされた狂気を感じられるじゃない?それと一緒で、ドラッグ体験を中から表現している、そしてそれを技術的に才能的に音楽で表現できて、しかも楽器もエフェクトも効果音も音楽理論もよく知っているから生まれたLSDアルバムなんだろう。…あんまり分析したって意味ないんだけどね。

 ビートルズを意識的に聴いた初期体験がこの「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」だった。ラジオで唐突に冒頭の「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」から「Lucy In The Sky With Diamonds」が流れてきたんだけど、えらくかっこよくってすぐにレコード探しに行ったなぁ。でもビートルズだからなぁ、と疑ってたんだよね。何せ教科書に出てくるようなバンドだったからロクなもんだと思ってなかったし(もちろん「Let It Be」のこと…)。でもジョンはそういう人じゃなかったから良かったけどさ(笑)。で、このアルバム聴くと「何これ?」って感じでトータルコンセプトアルバムって意味がよ~くわかる作品でさ。「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)」…「Reprise」だよ?こんな収録の仕方をしていたバンドを聴いたことなかったからこの持ってき方に結構感動したもん。しかも最後が「A Day In The Life」でしょ?途中の「Within You Without You」のモロにインドなサウンドも衝撃だったけど、「A Day In The Life」の感動的なことと言ったらありゃしない。素晴らしい音楽数あれどもこの曲の美しさに敵う曲はそう多くないって思ってるからさ。

Apple - Raibow Ffolly - Skip Bifferty


 サイケデリックの宝庫となる60年代末期には各レーベルがこぞってサイケバンドを世にリリースし始めた時期で、その数の多さにはコレクター見地からしてみるととてもじゃないけど追いつけないくらいのものがあり、なかなか大変な世界…だから楽しいのかもしれないけどね♪

 で、中でもバンド名からして「え?」って感じの「Apple」というバンド。世の中ではMacのAppleとビートルズのAppleレーベル競争はあるものの、この「Apple」と言うバンド名にが誰も文句を言わないという、実力主義の世の中を表している事例だね。これが、実はかなりメロディーが良くってツボにはまる泣きがあるんだけどね。この頃のサイケはカラフルで面白い♪また、Rainbow Ffollyというバンドも同時期に出てきたカラフルサイケの名盤で実にユニーク。ま、ジャケからしてサイケなので言わずもがなってのがあるんだけどさ。他にはスキップ・ビファティっつうバンドも面白いなぁ…。あかん、まあマニアックになりすぎてるかもしれん(笑)。いや、でもこの辺はサイケの名盤でそのアプローチスタイルが面白いのでオススメかな。

Tomorrow - Tomorrow


 トゥモロウと言うバンドは実に英国的で、当時のサイケデリックロックシーンの中でも突出した、というかハイレベルなサイケ感を出していたバンドで、実に素晴らしいアルバム「Tomorrow」を発表している。もっとも今ではCD一枚に全ての楽曲を収めた超ボーナストラック収録のディスコグラフィー盤とも呼べるアイテムが簡単に入手できるから良い。オリジナルアルバムでは12曲だったのに今やCD一枚で25曲も入ってるんだからお得だよな。

 で、今でもサイケのオムニバスなんかでは収録されていることの多い「My White Bicycle」を筆頭とする全編サイケ…、そうだなぁ、効果音の使い方とか逆回転とか、もちろんインド系のシタールチックな音とかたっぷりと入っていて、要するにそういう表現力というかアイディアが上手い。「My White Bicycle」はやっぱ素晴らしい出来映えで、音の定位が途中で渦巻くのも正にサイケだし、ベルの音やら何やらと意表を突くくらいの音が万華鏡のように表れてくるのでトリップするよね。基本的に軽快なリズムと軽いメロディーで淡々と進められるポップさが豊富で聴きやすいサイケなので英国的で良いねぇ。時代だ…。

 後付けの説明にしかならないんだけど、このトゥモロウというバンドには後のイエスで有名になるスパニッシュギターの名手スティーヴ・ハウがギターで参加しているんだけど、そんなのは全く片鱗も見られないところが面白い。もちろん音を効果的に鳴らすという役割では徹底しているのでそれも彼のセンスなのかもしれないけどね。あとは「S.F.Sorrow」からプリティ・シングスにドラムで参加することとなるサイケの達人、トゥインクもこのバンドからメジャーなキャリアがスタートしているよね。あぁピンク・フェアリーズもサイケパンクの王道だしなぁ。でもこのバンドでは一応キース・ウェストがフューチャリングアーティストになっているってのが頼もしい。彼は早く才能を開花させすぎて、結局大いなるメジャーアーティストになれなかった人なのだ。でもこのアルバムのほとんどの曲はキース・ウェストが作曲しているワケで、バンドのアレンジ能力ももちろん、プロデュースもその筋のサイケマニアでは有名なマーク・ワッツなのでそりゃ~面白いぜよ。バンド各人の後の有名度よりもこの時のキース・ウェストとマーク・ワッツの才能の方が素晴らしいと言える傑作♪

Traffic - Mr.Fantasy


 サイケデリックの象徴には多数のバンドが語られるがどれも短命に終わることが多く、一時のムーブメントとして捉えられることが多い。もちろんその中にはホンモノのサイケな連中もいるんだけど、商業路線とは異なることは昔も今も変わりはなく、マニア…と言うよりも好き者好きの連中が多いのでその後の人生がどうなっているのが分からない連中が多い(笑)。しかし、そんな中でもしっかりとポリシーを持ってサイケデリックシーンを活用して出てきたバンドもあり、だからこそ英国のサイケシーンってのは面白いんだなぁと思うんだけどさ。

 スティーヴ・ウィンウッド率いるトラフィックというバンド。ファーストアルバムは「Mr.Fantasy」と言うタイトルでリリースされ、ジャケットからしてサイケデリックな色合いがぷんぷん匂ってくるんだけど、もちろん才覚有る連中の集まったバンドで、意図的にサイケデリックシーンを利用して躍り出てきたっていう見方の方が正しいんだろうけど、それでもしっかりとシタールチックなサウンドを創り上げてしまうっていうセンスはさすがに音楽集団。ウィンウッドの独特の歌声はそのタイトルもサイケな「Coloured Rain」という曲でようやく納得できる歌声を披露してくれるが、バンドの印象としては少々時代に感化されすぎなのかな、っていう面もある。もちろん曲作りもよく出来ているんだけど、後のトラフィックを聴くと狙ったなぁってのは良くわかると思う。アルバム的にはサイケシーンを表しているのはファーストアルバムだけど、作品としての良さ…っても好みなんだけど、セルフタイトルを冠した「Traffic」が好きだね。ようやくちょっとだけ本領発揮で黒い面も見えてきたしさ。双頭バンドだからなかなか難しかったみたいだけど、60年代末期からシーンに登場するにはそれくらいの実力は明確になっていないとダメだったんだろう。

 英国サイケデリックシーンにはバンドのメジャーマイナー問わずほんの数年の間だけだがシーンを彩った瞬間があり、それがまた見事に多数の個性を生み出している。面白いよね。

The Crazy World of Arthur Brown - The Crazy World of Arthur Brown

Journey
 サイケデリックの波はアメリカで起きたヒッピームーブメントによって引き起こされ、そのまま英国に輸入されることとなるが一方の英国では独自のサイケデリック文化が形成されつつあった。UFOクラブという有名なライブハウスでの模様はアングラの帝王でもあったピンク・フロイドが日夜実験的な演奏を繰り広げており、その模様はシド・バレット在籍時の唯一の映像となるビデオにもしっかりと収められており、ソフト・マシーンと共に築き上げてきたライティングショウとも相見えて英国サイケの象徴となった。そこではジョン・レノンやミック・ジャガーの姿も見られ、英国アングラシーンの重要さを見せつけることとなっていた。

 その中でも圧倒的なパフォーマンス性を誇っていた一人のアーティストをご存じだろうか?名をアーサー・ブラウンと言い、自身のバンド、The Crazy World Of Arthur Brownを率いて数々のショウを行っており、その突出性は後のロックシーンに大きな影響を及ぼしている。古い映像では「Fire」というものがもっともメジャーな曲で、頭の上で火を燃やしながら「Fire~チャチャチャ~」と歌う姿は一度見れば一発で印象に残るくらいの衝撃。しかも顔面は銀ラメで塗りたくっているんだから、もうエンターティンメントでしかありえない、でも音楽は凄くマジメだったりする。後にEL&Pのドラマーとなるカール・パーマーも在籍していて、鍛えられた面は大きいだろう。そして当時圧倒的人気を誇っていたThe Whoのピート・タウンジェンドが彼等のファーストアルバムをプロデュースしており、同じポリドール系列だからとは言えども才能を認めたからこそのプロデュースだろう。アルバム全体を通してエネルギッシュなパフォーマンスが容易に想像の付くサイケデリック…と言うには少々エナジーが有りすぎるくらいのサウンドを奏でており、アーサー・ブラウンの際立った才能が目立つ作品になっている。もちろんアルバムジャケットでのインパクトも絶大で、当時のリスナーには相当の衝撃があったんじゃないかなと思われる凄い作品。DVD映像付きででもリリースすべき傑作…でしょう。

 このスマッシュヒット以降はキングダム・カムというスペーシーロックなバンドを組み、何枚かアルバムをリリースした後もソロ作を発表するが、このファーストアルバムほどのインパクトはもちろんないのでちょっと残念。ただ、キングダム・カムの三枚目は硬質なリズムマシーンの上で繰り広げられるサウンドの作りがアンマッチで面白く、ジャケットの良さも手伝ってプログレマニアからの名盤として語り継がれている。

The Pretty Things - S.F.Sorrow


 コンセプトアルバムという作品はいくつもリリースされており、もちろんそのパイオニアとなったバンドがどれなのかはなかなか議論にケリが付かないのだが、プリティ・シングスの「S.F.ソロウ」という作品もその狭間に位置している作品だろう。アルバムリリース自体はザ・フーの「Tommy」よりも早かったもののそれを世に知らしめる役割を担うレコード会社の方が難色を示していたため売り出されなかったという不運もあり、一般的知名度を獲得することなくこの「S.F.ソロウ」という傑作はサイケの名盤として語られることとなったのだ。同様にキンクスの「Village Green」も売り手側がそういう売り方を考えつかなかったためにこれもまた「Tommy」のロックオペラ論に全ての話題を持って行かれてしまったようだ。もっとも本人達がそんなことを気にしていたのかどうかは知らないが。余談だがザ・フーのピート・タウンジェンドはキンクスのファンだし、プリティ・シングスもリアルで聴いていた人だ。

 さて、このアルバム、「S.F.」と付くが「セバスチャン.F」という人の「S.F.」なのでいわゆるサイエンス・フィクションの意味ではない。即ち「セバスチャン.F.の悲劇」というストーリーアルバムなのだ…。

 それまでブルースロックバンドだったプリティ・シングスにサイケデリックの波が訪れ、ドラマーにはあの、トゥインクが参加し、より一層のサイケ色に拍車がかかるわけだが、このトゥインクって人もまたロック史を飾るに相応しい人物なのでいずれまた…。で、1967年にこの作品「S.F.ソロウ」 をリリースしたが、モロにサイケデリックなジャケットと音に包まれたアルバムで、さすがに英国と舌を巻く曲の作りとメロディーセンスは凄いなぁと実感するし、中でも5曲目の「風船は燃えている」って曲での正に60年代を象徴する熱い演奏はライブでの盛り上がりであれば凄いんだろうなぁと想像されるかっこいい作品で面白いなぁ。もしかしたらこのバンドの演奏って他のどのバンドのよりも良いのかもしれない。でも売り方が下手だったんかな。そりゃ、まあ、ディック・テイラーの運命がそのままバンドの運命になっているような気もするが(笑)。ちなみにこの人初期ストーンズのメンバーでベースを弾いていた人です。

 そんなプリティ・シングスの作品だけど、次作「Parashute」もサイケ調の作品でなかなかの快作。やっぱ英国の60年代出身のバンドは実力が違うよな。「S.F.ソロウ」 と比べるとちょっとさっぱりしちゃった感じがあって、混沌さがないのが時代を反映していると思うんだけど、それでも楽曲のレベルは相当なもので、これは英国ロック好きだからそう聞こえるのかもしれないけど、どこからどう切り取っても英国的なメロディやサウンド、コラージュも含めて興味深い曲ばかりなので良い。ジャケットも相当ヘンだからなぁ。あ、気持ち良く聞こえるのはもちろんドラッグ向けのアルバムだからでしょうね。サイケだし、時代だもん。

 ちなみに1977年頃になるとZeppelinのSwan Songレーベルからのアルバムリリースとなり、「Savage Eye」なんてのがヒプノシスのジャケットでリリースされているんだけど、ここでのプリティ・シングスは見事な英国ハードロックバンドに生まれ変わっているので驚き(笑)。メンバーの変化が絶え間なく行われているバンドだったからだろうけど、彼等なりに時代を生き抜いていく術を一生懸命模索していたんだなぁと思う。

 ちなみに1999年かな?メンバーが再結集して、ギタリストにあのデイヴ・ギルモアを迎えて「S.F.ソロウ」 の再演をしたんだけど、CDとか出てるのかな?まあ、ギルモアさんだから出さない可能性もあるけど、そんなトコロで今でも当時のアーティストネットワークが繋がっているっていうのは面白いなぁと思う。

The Moody Blues - Concept Albums

童夢
 60年代、あらゆるバンドがシーンに台頭してきて独自のカラーを持ち出すことが生き残りの命運となっていたが、ムーディ・ブルースほど自身のバンドの方向性を変えたバンドもそうそう多くはない。デッカレーベルからデビューを果たしたビートバンドというグループから始まり、もちろんその頃の作品を好きな人もいるのだが、方向性模索の最中にデッカレーベルよりクラシックとロックの融合体バンドを持ちかけられて話に乗ったのがきっかけでビートバンドから一躍プログレッシブロックの籏出となった「Days of Future Passed」というオーケストラとの融合を果たしたロックバンドのアルバムをリリース。当時かなり画期的だったみたいで、相当ヒットしたらしい。アルバムの中味は「1日」というテーマを順に音楽化しているというコンセプトでなかなかユニーク。「サテンの夜」が良い曲とはとても思えないんだけど、それは好みか(笑)。

 で、それはともかくとしてここで自身のオリジナリティを築き上げたと認識したメンバーは7作目「Seventh Sojourn」に至るまでとにかくコンセプトアルバムを一貫してリリースし続けたのだ。そして面白いことにリスナー側としては先のセカンドアルバム「Days of Future Passed」から7作目「Seventh Sojourn」までのアルバムを全て通してひとつのムーディー・ブルースというトータルコンセプトアルバムじゃないかと思うようになっている。ま、要するに6年がかりで制作されたアルバム毎がそれぞれ繋がっているような感じで一大絵巻物語になっているっていう感じなわけだ。これは凄い。中でも6作目の「童夢」というアルバムは完成度の高さが評判になりかなりの傑作として取り上げられることが多い。個人的には3作目「失われたコードを求めて」というコンセプトが非常に気に入っていて、もちろんドラッグ体験によるそれぞれのイメージが音楽として表現されているのだろうけど、ストーリーの持ち込み方がやはり英国的で「指輪物語」に通じるモノがあるので非常にファンタジックに思えたトコロに魅力を覚えたね。このコンセプトは次作「夢幻」へも持ち越されていて、決してアメリカ人では作り得ない程内省的なサウンドが並べられている。

 ムーディーズのプログレ期の作品はどれも荘厳で重々しい空気感を持っていて一気に聴くのは大変ヘヴィな気分になるのだが、それぞれの歌詞を眺めながらどっぷりとハマれる時間があるならば喜びの空間を与えてくれるサウンドだ。CD時代になり音もクリアーになった今ならば更に楽しめるような気もするのでたまの休日に楽しんでみたいものだ…。

Jethro Tull - Thick As A Brick


 18世紀の農学者の名前から命名された英国切っての不思議バンドの代表格ジェスロ・タル。そのサウンドは変化に変化を重ね、そして発展していく常に先進的な挑戦を進めていくバンドというのが事実なんだけど、反面なかなかファンを獲得しにくい面もあって、それぞれのアルバム毎にファンが付くというような形が彼等の面白さを物語っている。同じようにカメレオン的に変化していく人にデビッド・ボウイがいるが、メジャー路線のポップセンスを持ちながらのカメレオン的変化と、英国的創造型サウンドに徹した面の強いタルの場合ではそのあたりはやっぱり異なる。一般的にプログレッシブバンドと語られることの多いタルだが、実際のトコロは、彼等は唯我独尊の世界を持っていて、音楽家、なんだよな。

 60年代末期、ロックが混沌としてきた時にクリームが頭ひとつ抜けて時代の籏出となって今でも伝説化している。その後はZeppelinがその穴を埋めて70年代を制覇した、ってのが通説なんだけど、実はその隙間にジェスロ・タルがその栄光の座を仕留めていた時期があったのだ。それくらいにこのバンドの奏でるサウンドとインパクトには影響力があったのだが…。

 プログレッシブなサウンドだけではないタルだが、やはり人気が高くて個人的にも大変気に入っているのは「ジェラルドの汚れなき世界」「A Passion Play」かな。どちらもアルバム通して一曲(もちろんアナログ時代はA面B面で一曲づつというような分け方だが…)しか収録しておらず、そのドラマ性には心踊りする躍動感と音の繊細さが世界を創り上げていてあのフルートの響きが耳に残る強烈なリフレインとしてアルバムの印象を深めてくれる。「ジェラルドの汚れなき世界」は「文学促進創案協会が主催した詩のコンテストで優勝に輝いたジェラルド・ボストックという8歳の天才少年による社会批判的な詩をジェスロ・タルが楽曲化した一大傑作」ということらしいんだけど、正直言って歌詞の奥深さまで追求したことはない。今のところはサウンドだけで十分に楽しんでいるし、しっかりと英国的なアコースティックギターによる美しさも織り込まれていて、後に彼等のサウンドの核となる英国フォークの伝統は既に十分に聴ける面もある。そうそう、アルバム「Songs From the Wood」ではその英国トラッド・フォークを起点にした心温まるサウンドをアルバムで展開しているのでこいつも好きだな。

 翌年1973年にリリースされた「A Passion Play」は難解な作品と云われ、なかなか認知されにくい面ももっているんだけど、今のところ聴いていても直ぐに歌詞に反応できない日本人としては歌詞の内容が如何に難解であれどもサウンド面での印象の方が強いのだ(笑)。「ジェラルドの汚れなき世界」から更に綿密に構成された感のある「A Passion Play」も凄く好きだな…。歌詞はね、実は昔研究したんだけどさっぱりわからなくて挫折。でも音が良いから今でも十分楽しめる傑作だね。

Blodwyn Pig - Ahead Rings Out


 宙ぶらりんバンド…結構いるよな。ジェスロ・タルというバンドは割と有名で、好きな人も多いだろうよ思うけど、ギタリスト、ミック・エイブラハムという人が初代タルのギタリストなんだよね。で、彼は凄くブルースが好きで、タルの音楽性に対して不満をいっぱい募らせていたみたいで、結局脱退してします。そして彼がやりたいことを実現したバンドがブラッドウィン・ピッグというバンドです。

 もちろんそれなりの話題性はあったし、タルの知名度も有ったワケで、何枚かのアルバムをリリースしているけど、往々にしてそういったバンドは最初の作品くらいしか評価されないんだよな。アルバム「Ahead Rings Out」はそんな彼等の気合い一発のファーストアルバム。エイブラハムがやりたかったブルースロックを見事に体現しているんだけど、あまりにもディープ過ぎたのかな。以降の彼等の評価はなかなか難しいものがあった様子だよね。ギタリスト的には凄く全うしているプレイなんだけど、やっぱり求められていることが異なったんかな。それでもタルファンからは絶賛されていたんだと思うけどね。

 そしてセカンドアルバムも発表されたけど…みたいな(笑)。ん、でもライブ盤とか凄く想いは入ってるから熱いのはよくわかるし、それがエイブラハムのストレートなところなんだろう。商業主義とは別に人として楽しめる部分は多いかな。だからブルースに捧げながらも思い悩むエイブラハムの心意気には感動するよね。ちょっと不器用なのかもしれないけど。

Spiders From Mars - Spiders From Mars


 宙ぶらりんなロックバンドってもちろん世に出てくることが少ないんだけど、最高に宙ぶらりんなバンドがある。これも知らない人の方が多いんだろうけどね。Spiders From Marsっていうのがある。名前だけ見るとメジャーで、そう、David Bowieのアルバム「Ziggy Stardust」の対等にも出てくるあのバックバンド。ミック・ロンソンはソロでボウイと決別してやっていけるって思ってスタートした。残りのメンバーは同じ気持ちからかSpiders From Marsって言う名前でやっていけるって思ったらしい。で、結局アルバム一枚はリリースしたんだよね。それがSpiders From Marsの「Spiders From Mars」。クモを全面に持ってきた情熱の赤を押し出した作品。

 それから約25年後…Five Yearsではなかったんだが…、今度はデフ・レパードの面々が実はボウイのジギーアルバムが大好きで、このSpiders From Marsの残党と一緒にバンドを組んで、ミック・ロンソンのトリビュートを記念してライブ活動を開始した。それがサイバーノウツというバンド。曲はほぼ全てボウイのあの時代のカバーばかり。もちろん物足りないのはあるけど、思いは伝わるカバー作品。ミック・ロンソンも微笑ましく見てたんじゃないかな。彼のトリビュートはもっと豪勢なメンツでライブが行われたけどね。もちろんSpiders From Marsも参加しているさ。「The Mick Ronson Memorial Concert」って作品は面白いよ。なぜかどういう間柄かロジャー・ダルトリーが参加しているしクィーンのロジャー・テイラーも参加しているし、もちろんイアン・ハンターも参加しているしね。

 そんな宙ぶらりんなバンドだけど、ボウイの近くにいてボウイを感じていた連中が奏でる音だから聴いちゃうよ。それがロックだから。…なんてね。でも面白いよ。

British Lions - British Lions


 英国の獅子、ブリティッシュ・ライオンズというバンドをご存じだろうか?バイオレンスロックンロールバンド、モット・ザ・フープルの残党メンバーと英国B級バンドメディシン・ヘッドの融合体として遅れ馳せながら1977年にシーンに登場したロックンロールバンドだ。メンバーの名前を言っても多分誰も興味ないだろうからなぁ…、ま、モーガン・フィッシャーが在籍したってことくらいがせいぜいメジャーな話なのかもしれない。ただ、B級なのかも知れないけど、英国のプライドを十二分に感じるに値するバンドの心意気は伝わってくるんだよね。単なるB級バンドだったら興味持たないからさ。

 ケイト・ブッシュは「おぉイングランド、私のライオンハート」と歌い上げ、その名曲を世に知らしめているが、英国人にとってブリティッシュ、もしくはイングランド…、まあこれは戦国の歴史の名残だけど、英国に於ける獅子=ライオンというシンボルは国の紋章にも表れているように崇めるべき生き物なんだろうなというのがロック界の節々からでもわかってしまう。それくらいの冠を被せてくるバンドというのはある種英国民を敵に回す可能性のあるバンド名だったんじゃないかな。でも時代的にはパンクムーブメントが起こり英国女王をバカにする歌が蔓延し、だからこそブリティッシュ・ライオンズというインパクトのある名前を付けたのかもしれない。ジャンルは全く異なるが同じく1977年にアルバム一枚をリリースしたイングランドというバンドがある。これも遅咲きの名盤一枚となるが、英国そのものをネーミングとしたバンドで何となく当時の英国の風潮として立ち上がれ、的な面が働いていたんじゃないかな。貴族階級と労働者階級の違いなのかもしれないけどね。英国の歴史は複雑だよなぁ。

 で、このブリティッシュ・ライオンズというバンドだが、ストレートなロックを奏でるバンドでバドカンあたりを好む人なら絶対大丈夫だし、演奏ももちろん悪くないので結構良いよ。アルバム的にはバンド名を冠したオリジナルファーストアルバム「British Lions」がジャケットもサウンド的にもインパクトを与えたアルバムなんだけど、1982年にはちょっと怪しいんだけどお蔵入り音源だったんじゃないかなとは思うセカンドアルバム「Trouble With Women」がリリースされている。こちらは未聴なんだけどさ。で、これまた後年になってから、何でだろ?わかんないけどリリースされたのがBBC音源とかの寄せ集め「Live & Rare」っつうブートレッグまがいのオフィシャル盤。もちろん彼等の歴史を知る上では重要な資料なんで、リリース自体は喜ぶべきものだよね。

 あ~、またマニアックに書いてしまった。ま、でもね、こういうあぶれバンドってまだまだあるからさ。お楽しみに♪

Babe Ruth - First Base

Babe Ruth - First Base (1972)
ファースト・ベース

 ベーブ・ルースと言うとやはり思い出すのはホームランを714本打ったアメリカ大リーグのヒーローを思い出す人が多いだろう、そしてそれは彼が白人のヤンキーだったからという人種差別の偏見の元に英雄化されている面が大きいのだが、それはともかくとして英国ロック界にもその名をどういう経緯で使用したのか、多分ひねくれ者的見地に基づいて命名したと信じたいんだけど、プログレともハードロックとも言えないジャンルの狭間で個性を出していたバンドがあったのだ。アラン・シャックロック率いるバンドで紅一点のボーカリスト、ジェニー・ハーンのエネルギッシュな歌声とバックのハードでブルージー且つほどよくアレンジされたサウンドでファンを魅了するパワーを持っている。

 アルバム単位で言うと彼等の名義では5枚の作品がリリースされているが、アラン・シャックロックが絡むのは3枚目の「Babe Ruth」までで、1975年にアルバムリリースし、これからという時の脱退劇となったようだが、背景はよく知らない。ただ、彼の経歴というのはこの後、マイク・オールドフィールドロジャー・ダルトリーのソロ作などにも絡み、その音楽センスは業界の中ではかなり知れ渡っていたようで、その才能が再び陽の目を見たのはThe Alarmという80年代のパンクというかニューウェイブというか、これまたジャンルの狭間を生きるバンドのスタッフとして才覚を現してきたことだろう。そんなベーブ・ルースと言うバンドの初期三枚は実にヘヴィーなロックを叩き出していて、もっともっと世に知れ渡ってもおかしくないサウンドだ。ボーカルのジェニーの歌声はジャニスのようなしゃがれた面はないが、英国ロック界の中に於いてもかなりの声量とパワーをもった図太い歌声でバックのハードな演奏に実にマッチしている、というか負けていない声だ。特にファーストアルバム「First Base」は収録曲数が少ないながらもザッパのカバーを独自解釈でハードなナンバーとして演奏する力量を見せてくれたりするので侮れない。先の三枚目の初っ端の「Dancer」ってのも凄くかっちょよくってハード路線が好きな人には絶対ハマる楽曲だね。

 ジャケットを見てもわかるように「First Base」ロジャー・ディーンの作品、セカンド「Amar Caballero」ヒプノシスの作品と売り側も結構気合いを入れて売ろうとしていたんだと思う。ちなみに4枚目からはバンドのキーマンであったアランが脱退して後のホワイトスネイクを支えたバーニー・マーズデンがその任務をこなすことになり、彼もここで才覚を発揮していたようだ。以降5枚目では看板ボーカルのジェニーも脱退してしまい全く別形態のバンドのような素振りなんだけど結構初期と作風が似たアルバム「Kid's Stuff」なんてのをリリースするので面白い。最近ではベスト盤「Grand Slam: The Best of Babe Ruth」ってのが出ていて、このジャケットのジェニーの姿がたまらん…。そんなバンドでジミながらも結構かっこいいんだよなぁ。

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Status Quo - Hello!


 英国で国民的人気を誇るステイタス・クォーだが、日本ではほぼ全くと言って良い程に人気がない。そして自分自身もそうだし、大してマジメに聴いたことがないのも事実なのだが…、そうも言ってられない状況になってきたので(いやぁ、リクエストがあったのでこれはやっとかないとなぁと言うだけですが)、ここぞとばかりに聴いてみました。なるほどなぁ、昔聴いた感じと今聴く感じとは大きく印象が異なるモノだと実感、時の流れを感じさせます。フォガットを書いた時にハードブギバンドとしての王道を行くバンドとして書いたんだけど、やっぱりそれは合ってたかな(笑)。一般的にブギ一筋の王道バンドと語られるステイタス・クォーではあるんだけど、こっちの方がまだ可愛い。どっちかっつうとシャッフル系なんじゃないかな…、ってまあ解釈の問題で大差がないカテゴリというか括り方ではあるんだけどさ。

 デビュー初期はサイケデリックバンドの一員としてシーンに登場してきて、しばらくそんな中途半端な路線だったものの70年代に入るとヴァーティゴレーベルと契約し、正に全盛期に突入。…ん?またヴァーティゴか(笑)。で、この時期の作品「Piledriver」「Hello!」「On The Level」と言ったあたりが一番かっちょ良い時代で、ノッてるね。もちろんそれぞれに特色があるし、バラードなんかもあったりするんだけどいわゆるブギ一筋と言われるのもこの頃から。どっちかっつうとロックンロールなんだと思うけどね。シャッフル調のロックンロール。だからゴキゲンなんだけど、かなり軽めに聞こえるトコロがフォガットなんかとは大きく異なるかな。以降はこの軽さにポップさが同居してくることで一般的認知度を獲得しており、ここらへんからは多分英国に於いての長寿バンドとして、または軽快なロックンロールを奏でるバンドとして知名度を上げているんだと思う。ストーンズはオリジナリティが強かったが、このバンドはもちろんオリジナリティもあったんだけど、それでもカバーソングの使い方が上手かったんじゃないかな。ストーンズももしかしたらそうなのかもしれないけど、サラリとありとあらゆるジャンルのカバー曲を彼等のノリでプレイしてしまうスタイルは素晴らしい。そしてそれがカバーだとは気付かないようなレベルにまで持ち上げてしまう独自のサウンドというのも凄い。「All Around My Hat」なんてのも英国ではかなり知名度の高い楽曲だが、元々は英国フォークバンドのSteeleye Spanの曲なのに彼等が演奏すると不思議とクォーサウンドになってしまっていたりする。それにはオリジナルバージョンでメインボーカルを務めていたマディ・プライアーが参加しているにもかかわらず、だ。

 んなことで、クォーの面白さを体感するには上記3アルバムはともかくながらこれだけキャリアの長いバンドなので適当なベスト盤が一番取っ付きやすいだろうし、今から全アルバムを丁寧に聴いていく必要がどこまであるのかな、って感じなのでベスト盤をオススメするね。

Juicy Lucy - Juicy Lucy


 英国ブルースロックB級バンドでエグいサウンドと言えばもうひとつ…ジューシー・ルーシーってのがある。英米混合バンドなのでなかなか純英国的泥臭さとは異なるんだけど、ま、スワンプな感じで良いでしょ。ちなみに初期はばあのヴァーティゴレーベルからアルバムがリリースされていて、彼等のファーストアルバムはヴァーティゴレーベルの第二弾リリースに位置している。しかしながらこのバンド、メンバーがかなり流動的で、アルバムリリース前に名乗っていたMisunderstood時代からアルバムリリース後バンド解散期に至るまで毎度毎度メンバーが替わってるというのも実態の掴みにくい要因かな。

 サウンド的にはもちろん粘っこいブルージー…というか何でもあり的なしつこい音で、黒人ボーカリストであるレイ・オーウェンの歌がやっぱりバンドイメージを決定してしまう面は大きいかな。もっともアメリカ人のギタリストでそれなりにその後も名を知られているグレン・キャンベルのサウンドが重要ではあるんだけど、しかしエグイなぁ。やっぱりこのファーストアルバムが一番エグくて良い。ちなみにジャケットも凄くて、こないだ日本で紙ジャケでリリースされた時はもちろん見開きオリジナル盤に忠実だったようで、フルーツの女体盛りというこれまたいやらしいジャケットで面白いんだけど、アメリカではこれが認められずに別ジャケットでリリースされたみたい。ま、そりゃそうか。

 セカンドアルバム「Lie Back And Enjoy It」サードアルバム「Get A Whiff A This」あたりになるとちょっとこのエグさがなくなってきてしまってあまりマジメに聴いてないんだけどね。以降は全然知らないのでコメントできず(笑)。

Black Cat Bones - Bared Wired Sandwich


 フォガットのメンバーとして名が知られているロッド・プライスの在籍していたバンドが英国ブルースロックB級バンド、Black Cat Bonesで、1970年にアルバム一枚をリリースしているが、このバンドはフリーのポール・コゾフとサイモン・カークが在籍していたと言うことで知られているらしいんだけど、その音源はもちろん出ていないみたいなので何とも言えないね。それでもその話が信じられるくらいのヘヴィーブルースロックサウンドを聴かせてくれる。

 まず、ジャケットが面白いよね。原題「Bared Wire Sandwich」邦題「有刺鉄線サンドウィッチ」ってことで、まあそのままの訳なんだけど、ジャケットもそのままのイメージで意味はよくわからん(笑)。中味はホントにヘヴィーなブルースロックで、ロッド・プライスのギターがかなりエグく鳴っている楽曲が多い。コレ、写真とか資料がなさすぎるんだけど多分レスポールのサウンドだろうなぁ。後のロッド・プライスのギターもそうだし、それよりもこんだけエグい音はそうそう出せないだろうしなぁ。でもこの人コゾフの後釜でギター弾いたんだろうか?流動的なメンバーだった可能性高いよな。しっかしどの曲でもこのえぐいブルースギターのサウンドが曲を割って入ってくるのがハマる人にはハマるサウンドだね。結構好きだな。楽曲のレベルやバンドとしての云々ってのはさすがにB級だし、ホンモノのブルースに近いワケでもなくって、この頃のフリー系のブルースサウンドだからいいね。「Please Tell Me Baby」のギターなんて音ホントに合ってるのか?ってくらい浮いてるもん(笑)。ま、どの曲もそれはあるんだけどさ(笑)。

 しかしこの時期のデッカ/デラム系はヘンなバンドいっぱい出してきたよなぁ。このバンドもデラム/ノヴァレーベルからのリリースで一時期は幻のアルバムとしてアナログレコードが超高騰価格になってたしね。

Foghat - Live


 Savoy Brownの初期メンバー三人が脱退後に結成した英国の誇るハードブギバンドFoghatにはあのロッド・プライスが主要メンバーとして参加しており、知る人ぞ知るタイトでかっこいいバンドとして君臨した…こともある。ロッド・プライスっていうギタリストはついこないだ亡くなってしまったんだけど彼のギタープレイはかなり光り輝くモノがあったのでもっともっと活動の場が広がっていたら、と思う。もともとはあのBlack Cat Bonesのメンバーの一員として活躍したこともあり、そういう意味ではFreeのポール・コゾフの後釜を務めてこなしていたってことなんだよね。

 Foghatと言うバンドはどちらかというと活動の場を完全にアメリカに置いていたため、アメリカンバンドとして聞かれることが多いし、実際バンドのサウンドはかなりアメリカナイズされた音で、アメリカ人が好みそうなロックをやっていたのも事実。それは彼等の代表作ともなっている「Foghat Live」を聴けば一発でわかるし、このブギー感はもしかしたら史上最強かもしれない。T-Rexのブギあたりとは雲泥の差があるグルーブ感を持っているね。で、このライブアルバム、曲数が少なくてCDデジタルリマスター盤あたりで70分くらいに拡張したバージョンがリリースされても良いと思うんだけどね、出てないのかな、と思ったらあった(笑)。コレね。ブギの最高峰とも言える「Fool For The City」で幕を開けて、初期の彼等の得意技でもあった古いブルースナンバーのハードブギバージョンの筆頭とも言える「I Just Want To Make Love To You」…そうストーンズなんかもやってるアレなんだけどさ、凄い解釈で面白いんだよな。この辺はベスト盤あたりでも聴けるんだけどチャック・ベリーの「Maybelline」とかもえらくかっちょいい解釈でやっててさ、その辺で驚くのはこのライブ盤でも入ってるんだけど「Honey Hush」だね。Savoy Brownでもやってる曲なので同じかなと思ったら大間違い。なんと、日本のサンハウスばりにパクりの上手いトコロで、「Train Kept A Rollin'」のバッキングに独自解釈の歌詞を被せたもので、面白い。途中の展開なんかは独自なんだけど、こういうアイディアが良いなぁと。実はもっともっとメジャーになっていくべきバンドだったし、サウンドもやっぱりオリジナリティのあるものなので割とオススメ感あるなぁ。ブギってどんなん?ってのをきちんと実現しているし、わかりやすいし、キャッチーな部分もあってハマれると思うよね。

 活動歴自体は長いのでアルバムもたくさん出てるんだけど、これがまたさ、どれも変わらないサウンドポリシーなので70年代だけが良いんでもないところが凄いところ。大音量でコレ聴くと腰が動くな(笑)。う~ん、やっぱこれくらいハードなサウンドじゃないと物足りないわ。

Savoy Brown - Getting The Point


 英国三大ブルースバンドと呼ばれるフリートウッド・マック、チッキン・シャック、続けてサヴォイ・ブラウンが挙げられる。そういう意味ではピーター・グリーン、ジェレミー・スペンサー、スタン・ウェッブに並び表されるのはキム・シモンズだね。本来の意味でのファーストアルバムは別にあるんだが、結局メンバー全員総入れ替えってなってるし、その脱退したメンバーは後のフォガットというブギバンドを結成することになる。今回それはおいといて(笑)。そのサヴォイ・ブラウンの実質上のファーストアルバムとなる「Getting The Point」が代表作として挙げられるんだけど、昔から先入観でイマイチ聴く気にはならなかったアルバム。理由はいつも通り単純(笑)で…ジャケットが意味不明だったから。やっぱジャケットの持つインパクトは重要だよなぁ。これでこんなに渋いブルースバンドって言われてもなかなか手を出さないと思うんだけどね。

 で、中味はどうかと言うと…、これまた渋いモロのブルースで悪く言えば全くオリジナリティがない…とは言わないけどさ、いや、もちろんいくつかの楽曲に於いては凄く個性的なリズムやリフだったりするんだけど、基本的なトコではモロのままなんだよね。それともちろんギタリスト的には凄くタメになるし、絶対コピーしてフレーズを確認すべきアルバムなのでその辺はオススメしたいし、聴いているとこの時期の英国ブルースを志す若者達からの絶対の支持者はフレディ・キングなんだなとヒシヒシと感じるくらいにそれらしいフレーズが散りばめられている。ま、BBキング的なトコもあるけど、やっぱフレディ・キングの影響は大きいよな。その辺は凄く素直に聴けるトコなんだけど、聴いていて物足りない。何がって…なんでこんなに早くフェイドアウトしちゃうんだろ?って曲が多くて、もっともっと弾きまくって感動させてくれれば良いのに…、この辺がクラプトンとのこだわりの違いなのかな…。凄いいいフレーズをビシバシ決めてるんだけど熱いバトルにはならなくって、それが英国的で面白いと言えば面白いし、本場ブルースを好きな人からすると物足りない。…その背景に、この1968年リリースという時代だからまだ3分間ポップスの概念も残っていて、売れるためには短めの曲を…ってことでフェイドアウトでメンバーが納得してたとしたらちょっとなぁ、魂売ってるかなぁと深読み。

 ちょっと意地汚く見てる面はあるけど、サウンドと内容はモロ黒人ブルースのまんまなので興味深い。が、やっぱりどこか何か土着ブルースとは大きく異なっている、って感じるのは偏見かな。もっともっといっぱい聴かないとダメかもしれん、うん。

Chicken Shack - 40 Blue Fingers, Freshly Packed and Ready to Serve


 後のフリートウッド・マックで活躍するクリスティン・パーフェクトはマックのジョン・マクヴィーと結婚してクリスティン・マクヴィーとして有名なのだが最初は同じ英国ブルースロックバンドのチッキン・シャックに参加しており、その才能を開花させていたようだ。それにしてもこのバンド=チッキン・シャックってのは実に認知度が低い。普通に英国ロックが好きでもあまりこのバンドをきちんと聴いている人も多くはないだろうと思う。自分も含めて、です。その理由は大きく…と言うよりも単純にアルバムが手に入らなかった。ただそれだけ。初期の作品はブリティッシュブルースレーベルとしては有名なマイク・ヴァーノン氏率いるブルーホライズンからのリリースだったんだけど、そのマニアックぶりからかこのレーベルのアルバムってほとんど手に入らなかったんだよな。英国B級バンドの方がまだよっぽど見かけることがあったように思うし、実際再発なんかもあったんだけどチッキンシャックはなかなか出なかったし、そうこうしているウチに聴かないまま終わってしまっていたのが現実。

 昨年紙ジャケでリリースされたみたいなので今なら簡単に手に入るようなので早いウチに聴いておく必要があるよなってことで今の流れからして手を出してみることに…。やっぱどうせならファーストからだろう、ってことで「40 Blue Fingers, Freshly Packed and Ready to Serve」から挑戦。しかし、このアルバムジャケットを見るだけで万単位の値札が付いていたことを思い出してしまうし、「O.K.Ken」なんてついぞアナログを見かけることはなかった…。それだけにこの二枚への期待感がもの凄いものがあったね。で、「40 Blue Fingers, Freshly Packed and Ready to Serve」だが…、驚くまでにシンプルなブルースロック。ギターのスタン・ウェッブがフレディ・キングばりのギター弾きというのは聴いていたが、いやぁ、ここまで見事にどブルースなファーストアルバムだとは思わなかった。ちょっとはオリジナリティあるだろ?って思ってたんだけど、それはほとんどがクリスティン・パーフェクトの手がけたモノらしいのでちょっと違うんだよなぁ。これじゃ売れないだろ、とか思うんだが当時の英国では結構評価されたアルバムらしい。そりゃ、セカンドアルバムとか出せるんだからそこそこ売れたんだろうね。

 まあそんなことでまんまブルースって感じはそのままで、歌もモロに黒人のモノマネ、ピアノの入りやブラスなんかもモロって感じなのでまっとうに評価できない部分はあるけど、英国らしさってのは…、線が細いことかなぁ。まったく同じようにやってもその辺はどうしても出てきてしまうことなんだな。繊細っつうかさ。その分スタン・ウェッブのバリバリのギターが楽しめたのはお得かな。こうして聴くとクラプトンと大差ないギタリストばっかなんだけどなぁ、でもやっぱ何かが違うんだろう。その辺のブルース好きな人にはお勧めできるけどヘヴィーブルースが好きな人にはちゃちな音にしか映らない可能性あるな。個人的にはフレディ・キング好きだからこういう模倣を聴くのも割と好き。あ、名作はちなみに「O.K.Ken」らしいです(←未聴)。

Fleetwood Mac - Live At The BBC


 60年代後期にイギリスではブルースが空前の大ブーム(?)となり、ブルースを基調としたありとあらゆるバンドがゾクゾクとシーンに登場してきた。もちろんジョン・メイオールのところやアレクシス・コーナーのところの卒業生とも言うべきメンバーが中心となり、その周辺の仲間を集めて結成されたバンドは実に数多い。ストーンズなんかも結局その辺からスタートしているし、フリーなんぞは典型的な例でもある。あ、クリームもか。時代的には67年頃となるが先のジミヘンなんかもイギリスに渡ってきてムーブメントに火を付けた面もあるんだけどね。

 BBC音源に拘るつもりもなかったんだけど、まああんまり聴いてなかったのでちょっとマジメに聴いてみようってことで手を伸ばしたのがフリートウッド・マック「Live At The BBC」。バンド名はPeter Green's Fleetwood Macとなっているんだけど、もちろん70年代半ば以降のポップチューンを飛ばしたフリートウッド・マックとは同じバンドでありながら別メンバーで構成されているんだよっていう意味合いなんだろうな。もちろん後になってそう呼ばれるようになっただけでしょう。しかしこのバンドもよくメンバーが入れ替わっていて、結局オリジナルメンバーはミック・フリートウッドだけなのかな?う~む、どっかのハードロックバンドみたいだけど(分かる人偉い!)

 さて、このBBC音源はデビュー直後からピーター・グリーンの在籍していたギリギリの70年夏頃までの音を捉えていてなかなか聞き物。改めてピーター・グリーンエルモア・ジェイムズばりのギター弾きってのを実感した。スライドを使うっていうだけでなくってトーンとかも凄くそっくりでフレーズよりもそういう音の出し方がエルモア・ジェイムズばりでさ、でもこれってジェレミー・スペンサーなのかな?後にサンタナのカバーで有名となる「Black Magic Woman」が収録されていないのは物足りないけど「Oh Well」なんてそんなピーター・グリーンのブルースギターバンドとは思えない曲で凄く浮いている、突出した楽曲で面白い。全体的にはディスク1よりもディスク2の方がよりブルージー且つオリジナリティがあって良いな。一部後のメンバーとなるクリスティン・パーフェクトも歌で参加しているのでハッとするんだけど、まぁ、後の奥様ですからねぇ。この辺のブリティッシュブルースバンド連中の人間関係もちょっと面白いところ。

 英国ロック好きからすれば初期のフリートウッド・マックは大変面白いバンドなんだけど、バンドとしてはもちろん後期の方に焦点が集まり、それこそが良かったことだろうと思うけど仙人ピーター・グリーンにとってはなかなか良い思い出のないバンドになっちゃったんじゃないかな。その後の彼のソロ作品あたりを聴くとこれもまた違うよなぁと思うんだけどさ。

Jimi Hendrix - BBC Sessions


 「BBC Sessions」と題されるアルバムはメジャーなアーティストにとってはほぼリリースされている美味しい音源集の一つで、こいつがリリースされるってのはある意味メジャーなんだっていう言い方もあるかな。まぁ、それだけでもなくってなかなか表に出てこないバンドのライブ盤ってことでリリースされることもあるので、何とも言えないところではあるか。パトゥーとかソフトマシーンのBBCライブアルバムとか出てるもんな。決してメジャーなバンドとは思えないし(笑)。

 で、Zepの余波を受けてヘヴィで迫力あるサウンドが聴きたかったので久々にジミヘン♪スタジオアルバムでは少々物足りないのでこの「BBC Sessions」ってのは丁度スタジオ盤とライブ盤の中間に位置するのでなかなかよろしい。収録されている時期がほとんどが1967年ってことで、この頃のBBC音源では基本的にナマで演奏した後オーバーダビング等を施させてくれるので、結構ナマライブだけじゃないことが多くて、アーティスト側からしてみてもスタジオ盤では実現できなかった、いわゆるライブ感を出しながらちょっといじるっていうのができて、結構みんな重宝してたみたい。ジミヘンももちろんそういうとこはオタクな人なのでちょこちょこと被せたりしてるみたい。んなやり方だから、結構ライブでも丁寧に弾いているし、何となく物足りない部分も補完されているから聴きやすいし、しっかり熱気も持ってて良い♪

 それにしても最初の「Foxy Lady」からして思うんだけど、やっぱ宇宙人。時代を考えなくて今コイツがラジオで流れてきても多分ぶっ飛ぶ。オリジナリティとはこいつのためにあるんじゃないか?って思うくらい独特でさ。無節操に演奏しているジミヘンなのでこのアルバムには多数カバーソングなんてのも入ってるんだけど、どれもこれもがジミヘン的解釈でさ、特に「Killing Floor」はノリといいフレーズといい、最高にかっちょよい。アルバムでは聴き慣れない曲も数多く収録していて、そのどれもがどこか聞き覚えのあるものばかりってのはやっぱりジミヘンらしさってのが出てるからかな。しかし改めて通して聴いているとやっぱこの人ブルースマンだ。どれ聴いてもブルースだもんなぁ…。でもバリバリのロック。う~ん、またブルースロックにハマりたくなってきたぞ(笑)。

 しかしジミヘンのBBC音源ってあちこち多数出ていて、何枚も手に入れたけどやっぱこいつはかなりの決定盤だよ。中途半端な収録じゃないので年代順に入ってるってのもやっぱ聴きやすいし…。しかしよく出演してたんだな。

Led Zeppelin - BBC Sessions


 1971年4月1日、英国のBBCでは実に歴史的な価値のあるライブを放送し、それは現代に於いてもしっかりと語り継がれる音源として35年間重宝されてきた。もちろん日本のFMでも放送されたことでその音源はかなりのハイクォリティで市場に出回り、またカセットテープに録音して楽しんでいた人も多いだろう。この35年間多少編集されることはあったが何度かFMで再放送されていて、自分自身もその再放送版を録音して何度となく聴いていたのだが、1997年になり唐突にCDでリリースされることになり実に驚いたものだ。そう、云わずと知れたレッド・ツェッペリンの「BBC Sessions」である。

 この二枚組CDはディスク1が1969年初期のBBC音源でまとめられていて、ディスク2には先の35年前の1時間以上にも渡るライブを収録していて、さすがにラジオで聞き慣れていた音源からは些か編集されているものなんだけど、いや、音圧とかはさすがにジミー・ペイジのマスタリングだけあって迫力を増している。CDがリリースされたから聴いたっていう人もいると思うんだけどやっぱ昔から聴いていたライブなのでその音の差は結構大きいんだけど、もちろん超全盛期のZepのライブともなればそのパワーがどこまで発揮されているのかっていう聴き方にもなっちゃうよね。この半年後には伝説の初来日公演も行われていて、その日本公演は正にZep史に於ける名演とも言われるくらいのテンションだったワケで、そんな時期のライブが悪いはずがない。アルバム的には三枚目をリリースした後で、どちらかと言うと4枚目を発表する直前の頃になるが、冒頭のアナウンスから唐突に始まる「移民の歌」は後の1972年のライブを収めた「How The West Was Won」で聴ける完成型とはまだまだ異なるスタジオ版に近い形で演奏されているが、プラントの雄叫びがあちこちで聴かれるさすがの一曲。そしてすぐに始められる「Heartbreaker」のあのイントロ。大体バンドで「移民の歌」をやった後は「Heartbreaker」が直ぐ続くってのが定番になっちゃうくらいにこの曲順はピッタリの選曲で、途中バッハの「ブーレー」を交えたギターソロは特筆モノ、しかもギターが良い音してるんだよなぁ。「貴方を愛し続けて」にしてもかなりおとなしいバージョンで演奏されていて、これほどプラントとペイジの感情によって曲が変化するモノもないだろう、ここでは弾きすぎないペイジとエモーショナルたっぷりのプラントのハマり具合が面白い。で、次の「Black Dog」では最初のイントロが「Out On The Tiles」バージョンで、「狂熱のライブ」を聴き慣れていると違和感があるのかもしれないが、アルバム発表前のプレイのため2番の歌詞がまだスタジオ盤とは異なっているのがわかる。それに後半部のあのギターリフの4度ハモり音がまだ弾かれていないのも違和感があるかな。もちろんラジオ放送用と言うのもあるのかギターソロがそれほどヘヴィに弾かれていないという気もするんだけどね。しかし曲がリリースされる前から既にエンディングパートとかライブ用に出来上がっているくせにスタジオ盤ではフェイドアウトにしたってのはセンスだろうなぁ。

 あ~、長い(笑)。書くとマジメに書いちゃっていかん…。まだ4曲目だよ(笑)。さて、お決まりの「幻惑されて」は18分半にまとめられているんだけど、1969年「スーパーショウ」での演奏(DVDで見れるヤツ)が最高にかっこよい「幻惑されて」だと思うんだけど、そこから更に拡張されつつあるバージョンが聴ける。やっぱリズム隊も凄いよなぁ。こんなに長い曲なんだけどハマれるってのが演奏力の凄さかな。そして新曲、永遠の名曲がレコードでリリースされるよりも先に本ライブで世界の放送されるってのもZepらしい。まだ完全にライブバージョンとしてのアレンジがなされているわけでもないのでまあ良いんだろうけどね。「天国への階段」。後のライブ盤を聴くと完成されたバージョンなんだけど、ここではまだまだ未完成なライブバージョンで面白い。もっと美しくキメられるべきところがどことなくスタジオ盤に忠実に演奏されていてさ、別に楽曲の良さには影響を及ぼさないんだけどまだ1本のギターでどうやるか、ってのが決まっていない状態で面白いね。もちろん最高の曲です。「カリフォルニア」「That's The Way」というアコースティックな楽曲をこの短い時間のノリノリのライブ放送の中に持ち込むのもZepらしいし、多様性に富んだZepの音楽性をきちんと誇示している。ライブとして聴いた場合の曲構成も先の名曲の次ってのが上手いよなぁ。良い曲だよなぁ。実に英国的。で、「胸いっぱいの愛を」となるんだけど、まだまだ未完成に近いというか1971年のバージョンではこんな感じっていうメドレー付きで、CDでは些か編集されているのが残念だけど、まあ大した影響はないでしょう。このギターソロはいつ聴いても鳥肌が立つよ、ほんと。で、最後の最後、「Thank You」。名曲。ペイジのギターが凄くエモーショナルでコードストローク一個取っても情熱があるもん。美しいジョンジーのオルガンも名曲を光り輝かせているところで幕を引く。

 ここ最近ライブ盤をリリースしているジミー・ペイジだけどやはり1970年代初期のプラントがまだ勢いに任せて歌っていた時期のライブの方が多いってのはバンドとしてのパワーを最大限に発揮できているっていう事実から何だろうなぁと思う。聴いていてもやっぱ気持ち良いし圧倒されるモノがあるもん。ディスク1のBBC音源もいずれ書きたいんだけど、凄いパワーでさ、やっぱり英国ハードロックの頂点はZepになるんだよなぁ。

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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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