All About Eve - Road To Your Soul

All About Eve - Road To Your Soul (1989)
Road To Your Soul

 美術館って最近は行けてない。昔は割とちょこちょことと行ったりもしててなんとなくの感性を磨いていたのもあったんだけどな。何がどうってほど詳しく好きなワケでもなくて、なんとなくアルバムジャケットという世界から入ってみて、絵画の芸術ってのも面白いな、本物ってどういうんだろ、って興味程度から。海外にもちょこちょこ旅行で行った時も博物館とか美術館ってやっぱり見てくるし、その延長で日本国内でもどっか行ってアレば見たりしてたしさ。まぁ、詳しくないしただ単に見てて面白いってだけの楽しみなので何も語れることはないんだが、刺激にはなってた気がする。

 All About Eveとホリー・ワーバトンの関係もあって、セカンドアルバム「Scarlet & Other Stories」が知られている。そこはもうウチのブログにも登場しているので、今回はこのセカンドアルバムからシングルカットされた「Road To Your Soul」のジャケットもホリー・ワーバトンの作品だってことなので登場させてます。これまでの合成チックからするとちょいとアート的になってて作風がやや異なる気がするんだけど、1989年の作品だからそういうのもあったのかな。All About Eveもジュリアンヌ・リーガンの美貌と耽美的な作風でニューウェイブからプログレリスナーまでを魅了してしまっていて、オールドファンにはヤードバーズのクリス・ドレヤが絡んでいるってのもあったからか、オールマイティなリスナーからの愛を一気に背負っていたとも言えるのか、珍しいバンドではある。冷静に聴いてみてもどこが凄かったんだ?って思う部分はあって、普通にロックバンドなだけで、女性が歌っているって話なのだが、やっぱりムードとかなんだろうなぁ。自分的にもこういう世界観に出てくる女性像ってのは好きだし、舌っ足らずな歌い方もソソられるのは事実。

 このシングル「Road To Your Soul」ではセカンドアルバムの冒頭にもなっているから取り立ててって話じゃないけど、今は拡張バージョンも出ているようで、ボートラ行きになってる。んで、結構な勢いと思い切りの良さで気持ち良い歌い上げていながらも叙情的な感性を全面にだした実にそれらしいサウンドに仕上がっている傑作。この一極で起承転結が出来上がっているもので、All About Eveここにあり、的な楽曲で良作。もちろんこのアルバムも見事な作品なんでね、ルネッサンスにはない瑞々しさがたっぷりと聴ける時期。




Danielle Dax - Inky Bloaters

Danielle Dax - Inky Bloaters (1987)
Inky Bloaters

 絵画やジャケットなんかを手がける芸術家達はレコードジャケットやCDジャケットという作品はどう思ってたんだろうか。自分の作品がそのミュージシャンやバンドの音とマッチしている方がそりゃ良いのだろうけど、そこまで聴いて作品を合わせていったなんてのはあまり耳にしたこともないから、バンド側が選んでいくのだろうな。それだと絵を書く側からしたら自分のイメージとは違う音なんてのも出てきたりするんじゃないかな、なんて余計な事を思ってしまってね。それが巨匠になっていくと余計にそういうギャップ感が合ってはいけないんじゃない?みたいなさ。ギーガーにしても誰にしてもそういうのあったんじゃないかなぁ。今回のホリー・ワーバトンにしてもそれはあったんだろうか?なんて事も頭をよぎりながら色々とと着手してみる…。

 ホリー・ワーバトンと言えばDanielle Daxが一番メジャーな関わりなんじゃないだろうか、ってくらいにはほぼすべての作品で関わっているんでこの人の売れ方で知られていったと思う。Daniel Daxの1987年3枚目の作品「Inky Bloaters」なんてのを聴いているんだけど、まぁ、早い話がケイト・ブッシュがもっと常人のロックに近づいて降りてきて歌っているようなモンで、それはそれで新しい取り組みです…ってか当時からしても結構インパクト強いアーティストだったと思う。当時はあんまり思わなかったけど今聴いてるとものすごく歌がしっかりした人だったんだって事に気づいた。サウンドはアヴァンギャルド的ポップでもあってバックの音がバンドらしくなってるのもあるから、聴きやすいんだけどね、ところどころで超アヴァンギャルドやってて面白い。それも明るく突き抜けていくトコにあるから気持ち良いのかもしれない。

 基本的な音の上に被さってくる効果音やノイズ、ひたすら繰り返されるフレーズのループ感による高揚、さすがノイズバンドから出てきただけあるアヴァンギャルドな姿勢は不思議だけど心地良い。この心地良さに気づくとそういう世界を楽しめるのだろうから、やっぱりその意味ではマニアック。ただしダニエル・ダックスという美女が奏でるってことでキャッチーさを増していてポップにも寄っているんでウケが良い。上手く出来ている。今にして楽しいアルバムだなぁと感じている次第…。






Dolores O'Riordan - No Baggage

Dolores O'Riordan - No Baggage (2009)
No Baggage

 ここで挙げられるバンドや歌手以外にも色々と候補になるアルバムがあって、そういうのも聴いたりするんだけど、やっぱり好みじゃないなぁとか、面白味がないなぁなんてのは聴いてても書けてない。そのまま書けば良いのだろうけど、好きじゃないのに書くのも気が乗らない、っつうか何でそんなこと書かなきゃいけないんだ?ってのもあるから割と無かったことにすることも多い。敢えてそれでも書いてるのもあるんで全部が全部じゃないんだが、何となくそこまでして聴いてもしょうがないし…やっぱり聞く以上は面白いトコロを見つけたいし楽しみたいワケで、無理してそれを探すのはもっと後だったり他の人にやってもらえれば良いかと。だからまぁ、ここは自分の忘備録的要素が強いのと良けりゃそのヘンで思い出してくれれば、とかそんなノリになってきてる。ただ、それでも自分で思い出したり新しいのに出会えたりするのは面白いからね。

 Dolores O'Riordanの2009年リリースのソロ名義二枚目の作品「No Baggage」。ご存知The Cranberriesのフロントボーカル女史として名高いドロレス・オリオーダンですね。残念ながら2018年1月に他界してしまったのはつい最近の話でまだまだ生々しい訃報として記憶に残っている。その時からまたじっくりクランベリーズの時代のから全部聴き直したいな、って思ってたんだけどなかなかそれも出来てなかった。ココに来てようやくソロアルバムに着手してて、このアルバムだ。今回が初トライだったんで良い機会…と思ったらさ、これがまた無茶苦茶良いアルバムで、もっと早く聴いておきたかった、って思った作品。好きなんだろうね、こういうケルティックエッセンスありながらもポップでキャッチーでちょいとロック的なサウンドながらも優しく歌ってくれている、ってのが。The Corrsなんかもそうだけどこういうの聴きやすいしスッと耳に入ってくる。多分それはもう多くの人がそう思うポップさだから当然なんだろうが、ここのトコロそういうの聴いてなかったから余計にすんなり聞こえてきてね。

 何と言うのか、随分贅沢と言うか豊かな、ゴージャスな、余裕のあるゆとりのある作品という感触で、だからこその愛のあふれる作品に仕上がっているというのか、なかなか出会うことの少ないこの雰囲気が堪らなく愛おしい。どうやったらこういうのが出来上がるのかって不思議に思うんだが、そこが見事。アルバムを何度も聴きたいって思わせる作品だもん。捨て曲なしの充実したアルバムで満足度が高い作品。素晴らしい。




Juana Molina - halo

Juana Molina - halo (2017)
ヘイロー

 ひとつ新しい扉を開くと次から次へと新たな飛びたが開いてゆく…、音楽の世界でもちょっとしたチャレンジをきっかけにゾクゾクと新たな世界が広がっていくことは多々ある。もちろんそれは自分が知らなかったというだけで普通にその一報からは好かれていた世界だったのだろうけど、その扉ってのはなかなか開かなくて、というか見つけなくて知らないままだったりするだけだ。今回はテルミンスタイルから始まって、ならばってところで出てきたのがどういうワケだかアンビエントなエレクトニカの世界…ってのかな?よくわかんないけど手を付けたことがないから斬新でマジマジと見入ってしまった次第。

 Juana Molinaという女性の、見ていたのはスタジオライブ映像なんだけど、2017年リリースの「halo」というアルバムのプロモーションだったんだろう、きっと。この手のを知らない人は映像見ることをオススメします。アルバムだけ聴いててもよく分からないんで。自分の音だけで聴いてたら別にそんなに気にならず、ふ~ん、ってくらいだったと思うんだが、映像見てて、こういうのって有りなのか?でも音楽と言えば音楽…どころか高尚な部類にすら入る音世界じゃないか、ってのあるが、でもさ、みたいな自己矛盾との葛藤もあって見入ってた。大体ドラマーがドラムマシン叩いてるとか、ギターもループサウンドがバッキングになってるとかいじるのがミキサーのつまみとか何でそんなんありうる?とかね。ところがフアナ・モリーナその人の歌声はとんでもなく美しくてジャストに音が出てきて見事なアンビエントな歌声…ってのもヘンだけど、言うならばSlapp Happyみたいなもんか。いやはや驚くばかりの構成とライブで、目からウロコ的に見入った。

 冷静に見ればそりゃそうか、なんだけど、こういう音作りでのライブとかは考えられなかったからね。それでいてギターのフレーズや音作りなんてのはもう自分的にはヴェルヴェッツなんだが、そうとも言い切れず、現代の実験的アーティストとも言うべきところなのだろう。それでもキャッチーに出来上がっているから進展している。ヴェルヴェッツの革新性を今時のデジタル楽器、さらに時代性、見事なに出来上がっている芸術に恐れ入る。まだまだ知らない世界の面白さはたくさんありそうだ。




Carolina Eyck - Tarnow: Theremin Sonatas

Carolina Eyck - Tarnow: Theremin Sonatas (2015)
Tarnow: Theremin Sonatas

 アーティストの活動がかなり変わってきているのは当然のことなのだろうけど、これが一般的な活動だ、みたいなのがネット時代にはなかなか出来てこなくて、各自創意工夫をしながら活動している感じ。昔ならそういうのは事務所なりが路線を敷いて手伝っていったりしたのが、今じゃアーティスト自らが発信する事で直接的にリスナーを獲得していく、面白いもので熱意がなけりゃ知られることすらないってのはある意味では昔の原点に戻っていってるとも言える。だからリスナーの心の響くものはシンプルに売れるし聴かれる。もちろん商業主義だってよければ売れるんだけどね。特殊な環境下のアーティストは結構大変だろうなぁなんて思いながら色々と楽しませてもらっているのだが…。

 Carolina Eyckっていうドイツの美人さん、演奏楽器は何とテルミン。ちょこっと流れてきた情報で知ったんだが、テルミンでこれだけ知名度あって美人さんでしかもボイスもあるからどうやってるんだろ?って興味津々で見てみれば何か驚くばかりに普通に音楽になってて音階までしっかり出ている。テルミンってこんなに多様な対応出来たんだっけ?って不思議なものを見る聴く感じでズブズブとYouTube漬けになっていって、Carolina Eyckの魅力にどっぷりとハマってしまった。アルバムがどうの、とか曲がどうの、ってのよりもテルミンってものがこんな風に使われるのか、ってのが大きくて、しかも当然それを身に着けてからクラシックとのアンサンブル、ポップとのアンサンブルに自身のボイスや他の楽器との組み合わせなど色々とチャレンジして発展させていってる。鍵盤楽器なんかと一緒にやるってことは音階が絶対的になるってことで、どこにも調律性のないテルミンでそれを正確にやるってのは正に楽器と一体化していなければ無理だし、見事なものだ。そしてテルミンの音色もかなりマイルドなアナログ音で、耳に優しいサウンドだから聴きやすい。

 今のところの最新シングル「Reja」では新たにボイスとの絡みと自身の多重コーラスの面白さを重ね合わせたポップス界への進出とも言えるスタイルで、一般リスナーのつかみには最適だろう。こういうアーティストはどんどんとシーンに進出して新しい試みを楽しませてくれるべきだ。合わせて他のビデオなんかでも本人がYouTubeに色々とアップしていて楽しませてくれる。ここでケイト・ブッシュとか出てくるのはやっぱりアーティスティックな証拠か、あんだけの音域のモノをテルミンで出来ちゃうのも驚き。古いモンばかりでああだこうだじゃなくて新しいチャレンジをどんどんと楽しむのも良いね。








Auri - Auri

Auri - Auri (2018)
Auri

 自分にとって知りたい、知っておきたいという情報が勝手に流れてくるように仕向けておきたいんだけど、なかなかそれが出来なくて余計な情報ばかり入ってくる。大抵の情報ってのはそういうものだけど、その中に欲しい情報もちゃんと混ざっててほしいなぁとは考える。でも、そのための努力してるかってぇとさほどしていないんだからしょうがない。今回はそんな中からへぇ〜ってな情報を感じ取ってたどり着いた作品で、普通だったら知らないまま埋もれてったのかも、って思う。そこから新たに発見した世界ってのもあるし、ひとつのきっかけが色々と波及して広がるってのは面白いものだ。

 Auriというフィンランドのユニットの作品「Auri」。フィンランドのNightwishのブレインでもあるツォーマスと彼の奥様ヨハンナ・クルケラをボーカルに従えて味付けはNightwishの盟友トロイを入れてのフィンランドの情景を映し出した心落ち着く作品が仕上がった。元々ヨハンナ・クルケラはフィンランドでそこそこ知られたアイドルってか歌手で、ユーロビジョンにも出演していくほどの音楽英才教育なセンスのある女性で、その歌声が実に透明感あって美しく聴いていて惚れ惚れする。英国のフィメールシンガー達とはまた一線を画す透き通り方と優しさを実感できる歌声とでも言うのかな。やや角が丸いというのもあるかもしれないが、かなり興味深い作品。トロイは英国人だからそのセンスもあるのかもしれないしツォーマスは彼女の歌声と世界観をしっかりと実現しているようだし、ホント天才だな、って思う。こういうのもしっかりとハイレベルに仕上げてくるし、プロ中のプロ、なんだろう。

 作品は当然ながらヨハンナ・クルケラの歌声を中心した牧歌的な…、フィンランドの哀愁とか情景が思い浮かぶような世界観で明るいわけじゃないけど心落ち着く、休まるというような雰囲気。愛が溢れているというほどの嫌らしさはなくて祖国への恋慕みたいなトコかな。そこにトロイが色々な楽器で色を添えて雰囲気を変えてくれる。時にはコーラスで参加しての男女ボーカル曲もあったりして大活躍。それだけツォーマスの信頼が厚いミュージシャンなんだろうね。久しぶりにこういうのを味わえてじっくりとアルバムまるごと聴いて堪能してしまった。そしてヨハンナ・クルケラの歌声が大変気に入ったので他の作品も探して聴いてみようかなと。これからも夫婦でのマイペースな活動になるのだろうけど楽しみに聴いていきたいユニット。




Nico - Live Heroes

Nico - Live Heroes
Live Heroes

 年を取ってくると新しい事、刺激的な事ってのが少なくなる。これはもう経験からしてしょうがないんだが、例えば食べたことのない食べ物に出会う、とかさ。聴いたことのない音楽や見たことのないストーリーの映画に出会うとかでも良いんだけど、そういうのが減ってくるんだよ。んでも、同じ時間分で新しいものがたくさん生産されているんだから何かあるはずで、それを探すというのもしなくなる。確率が少なくなっているからだろうからね。ただ、そういうのを求めないと面白くないし、それは多分絶対にあるハズ。もちろん世界中をって意味でもなく周囲の手が伸ばせば届く範囲でって程度でさ。あれば良いよな…。

 Nicoの1982年のライブアルバム「Live Heroes」。もちろんNico存命時にリリースされているから本人もリリース意思があったんだろうと思うライブアルバムで、昔は何でも聞ければ良かったからレコード見つけては買ってた中の一枚。曲目見るとほぼベスト盤?みたいな感じだったんで、ライブ編集盤だろうけど、いいや、ってな感覚だったな。ニコにしてはコンパクトに聴けたライブアルバムだったんで、演奏のチープさはいつものことながら圧倒的なニコのパフォーマンスは健在、しかもこの時期にしては結構ロック寄りなスタンスで取り組んでるような感触もあって聞きやすかった。基本的にはライブ編集盤なんだけど、当時のバンドをバックにして新たに録音し直しているのもあって、若手のポストパンクバンドなんかを上手く使っていたようだね。使っていたというか、仕立てられていたと言うか…、若手バンドからしたら伝説のシンガーだもんな…、超えられるハズもないし一緒にやれるだけで幸せだったんだろうけど。

 アレンジは基本的にこの時期のニコ特有の無機質でアンビエントなサウンドの中でのあの地下の水道管と呼ばれた歌声が響き渡る。不思議と突き抜けて響いてくるのがこの人の歌声の不思議なトコロ。魅惑的でもあるし、そのあたりは近年のマリアンヌ・フェイスフルと同じようなものかもしれない。しかしどうやってこんだけ重く暗い楽曲を作り上げて一緒に演奏しようという会話になるのだろう?やってて楽しいか?って思うような曲もあるし、不思議なものだ。とは言え、芸術的感覚からすれば立派にポップスの世界。カバー曲に引っ張られるけど、実はニコの世界でしかないアレンジ、見事です、いつでも。




Marianne Faithfull - Give My Love to London

Marianne Faithfull - Give My Love to London (2014)
Give My Love to London

 情報を発信する人、受信する人、それぞれ皆が皆どちらにも成り得る時代、やってみればいずれも分かるものだが、相変わらず一方通行的な人も多いようだ。発信側はもちろん一方通行になりがちではあるけど、受信側も自身の意思だけを勝手に表明=反論だけで持論があるワケではない、ってな事もあってだからこそ人間は切磋琢磨して補い生きているんだ、とも言えるし面倒くさいとも言える。だから何もしないって選択も賢いのかもしれないけど、それは世界に参加しないって意味でもあるかな。別に参加しなくても良いし、自分もどっちかっつうと参加しないタイプ。ロックに関してはこうして発信してる事もあるけど、人間の思考の交錯って難しいなぁって思う。

 Marianne Faithfullの2014年のアルバム「Give My Love to London」。何とロジャー・ウォーターズやニック・ケイブ、レナード・コーエンなんかが楽曲提供していてジャケットに見られるマリアンヌ・フェイスフルがホントに今の時代に歌っているアルバム。マジか…知らなかった。こんなヤサグレたおばあちゃんになってたとは…。しかもこのジャケット、タバコの煙が人生を物語ってるってのか…、切なくなるジャケットだよ。英華と堕落、死と生、全てを経験して今のこの悟り切った表情と姿、美しい、という一般的な単語からはかけ離れるけど、美しいと思わせる表情です。決してロックな人生を歩もうとしていたワケじゃないけど、ひょんな事からアイドルになりロックとの関わりを持ってしまったが故に人生が全く読めないものになってしまった人、そんな印象。それでも今でも生きてこんな姿をさらけ出している、それもマリアンヌ・フェイスフルという女優・歌手の人生か。そういった悟りがこのアルバムの歌でも表れていて、こんな歌声だっけ?ってくらいには誰かわからないくらいのしゃがれ声での歌。上手いとか可憐とかじゃなくて人生そのものが声に出ている感じで、狙ってなかっただろうけど、ものすごい個性的で心にズシズシと響きまくる歌声。

 ロジャー・ウォーターズの曲なんかは面白くて、ピンク・フロイドってかロジャーそのままの曲で、こういうのしか出来ないんだよなこの人ってくらい隠しようのないロジャー・ウォーターズ節、それをまんましゃがれ声のマリアンヌ・フェイスフルが歌っている、というかカバーしているみたいな感覚に陥るくらいの曲で見事、ロジャー、って感じ。他の曲でも不思議なことにロジャーはまったく絡んでないんだけど、マリアンヌ・フェイスフルの人生観がそうなのか、重くて暗いトーンが漂っている。決して暗くないけどね。聴いててず〜っと後期のNicoを思い出してた。ニコもこういう感じで退廃的なサウンドやしゃがれ声でのアルバムが多かったし、そういえば女優からヘロインへの堕落って点も同じか。なるほど。それにしてもあのマリアンヌ・フェイスフルの今がこれほどズシリと響くとは思わなかった…。見事なアルバム。


The Pretenders - Loose Screw

The Pretenders - Loose Screw (2004)
Loose Screw

 最近の音楽市場に於けるCDの売り方や音楽の売り方ってのはもうオールドリスナーに対してひたすらに希少価値を武器に同じようなものを売りつける手法がメインになっていて、それはもちろんリスナー側にとっても悪いことのない、どんどんやってくれ、カネはどんどんつぎ込むぞ、みたいな意思も確立されてきているので大いに歓迎なのだが、ど真ん中のバンド以外でもそういうのが出てくるモンだから追いついていくのも結構大変だし、追いかけていくのも大変だ。先日のクリムゾンみたいにそこまでするか、ってくらいのもあればデラックス・エディションをひたすらリリースして全て買い直させるってのもあるんだが、いずれにしても嬉しいお話なのでレアなソースはどんどんと出してほしいと思う一人です。

 The Pretendersの2004年の作品「Loose Screw」。う〜ん、全然のノーチェックだったな…、と思って初めて聞きました。何やら初めてプリテンダーズの路線が変わった感じのする一枚ってことで、レゲエが取り入れられててちょいと珍しい感覚が味わえるってことらしいけど、確かに聴いてみるとレゲエなリズムをフューチャーしたサウンドが多くて、なかなかThe Clashらしくて良いかも、なんていう自分なりの慣れた感があったからか、全く抵抗もなく聴けてしまった。それよりもそのレゲエなスタイルの踏襲による変化ではなく、相変わらずのクリッシー・ハインドの歌声の切なさとか声の良さ、そして何よりも独特のセンスのあるメロディラインの良さが浮き出てきた。レゲエ的なリズムにすることでリラックスして歌えているのか、随分メロディが強調された曲が多くなってる感じ。元々が切な気な声質だからこういうのやっても明るくなるはずもなく、ちょいと胸キュンな感じのメロディになるのは新たな発見だったんじゃないか。

 そういえばプリテンダーズも初期作品がデラックス・エディションとして数枚のCDでレア音源や映像をパックにして再発されていてさ、そのデモやらライブやらがこれまた希少価値高くて嬉しくてね、結構楽しんでた。あぁ、こういう感じに作られてたんだ、とかライブにしても割としっかりしてたっていうのもあったしさ。この辺のアルバムになるとそういうのはあまり残ってないだろうけど、昔のはソースがたくさん残ってるんだろうね。まだまだ楽しみ。そしてこのアルバムもかなり快適に聴いていられるサウンドなので、ちょいと考え事したい時にはお供してもらおうかな。






Taylor Swift - Reputation

Taylor Swift - Reputation (2017)
REPUTATION [CD]

 11月はなんとなく気になるバンドやアーティストの新作が幾つかリリースされるみたいで、そりゃスゲぜ楽しみだぜ、ってほどのバンドはないんだが、出すんだ、っていう感じに気になるのはあるから楽しみがあって良い。新作の情報を知るってのもだんだんと難しくなってきているのか自分のアンテナ感度の問題なのか、情報網張っててもなかなか気づかない場合もあって、昔からこれは割と悩みどころ。それでも追いつきながら聞けてるからまだ良しなんだと思うが。知らないのも多いのかなぁ…。ハーフモノだと知らないのは多いか。

 今や世界的アイドルに成長したTaylor Swift、久々の新作アルバム登場ってことでリリースされた「Reputation」。もうジャケットからしてアメリカの今をときめくオンナ的なスタンスで子供時代は終わってます、ってな感じで貫禄がついてきたしねぇ、どんだけワガママな女王様になってるんだろうか、とも思うがアメリカってのはそういう成功のチャンスがある国なんだ。カントリー好きな片田舎の女の子がこんだけのスターになっちゃうんだからさ。このブログになんで彼女が登場するんだ?って話ですがね、いや、初期の出だしの頃にフラッと聴いた時は若い女の子がギター弾きながらカントリー歌ってて、それがしかも自分の曲です、ってな話で、こりゃ面白い世界だな、って。んで、作風がポップとカントリーの合いの子で、そこに可愛い女の子の声だったからポップに聞こえるんだよね。こりゃアメリカなら受けるだろうなぁ…と、その後雨後の筍のようにいくつも同じような女の子たちが出てきたけど、ここまでの圧倒的アイドル路線ではなかったからさ、その意味ではテイラー・スウィフトってのは路線を商業主義にしてカネが勝ち取って成功しているアイコンではある。ピュアにやって出てきた女の子達はそこまでにはならないワケだからさ。

 その分一般的なリスナーやいわゆる世間的には露出も多くなってキャッチーでもあって受けた。4枚目あたりからカントリー路線は大幅に鳴りを潜めて最先端ポップサウンドを奏でるアイドルに成り代わり今に至る。今回のアルバムもどうかなぁ…、このジャケットからしてもっとモダンでオシャレになったんだろうなぁ…と想像はしていたけど、案の定。最初期に聞けたピュアなカントリータッチの音はひとつもなく、メロディ的にも明らかに異なりアレンジも最先端の先くらい。故に聴く価値なし、と肩を落としたのだった…。あのピュアなカントリータッチはいつ聴けるんかなぁ…、もっと人生の波乱があってからじゃないと無いんだろうなぁ…、などと淡い夢を追ってみたら見事に敗れ去った一枚。








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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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