The Jam - All Mod Cons

The Jam - All Mod Cons (1978)
オール・モッド・コンズ

 誰もが皆誰かの音楽の影響を受けていて、そうなりたいそういうのがやってみたい、自分ならこうだ、ってのが色々あって、更に才能がそこをプッシュする形で初めて自分自身の音楽的なモノってのが出てくる。それは新しいものになる事もあるだろうし、所詮は何かをなぞるものでしかないのかもしれない。面白いことに才能のあるミュージシャンって大抵はそれほど多くの音楽を聴いてなかったりする。才能があるってのはそういうことだからさほど他人の音楽を聴いてそこから吸収するなんてことをしなくても自分の音楽が出てくるんだろうね。もちろんそうじゃなくてコレクター気質な人もいるんで一概にとは言えないけど、たくさんの音楽を聴いてオリジナリティを探すのではなくって、何かのきっかけで音楽を始めて勝手にオリジナリティが確立されるのがミュージシャン。…意味不明だ(笑)。

 The Jamの1978年サード・アルバム「All Mod Cons」。パンクシーンの流れにノッて出てきたバンドと思われがちではあるけど、元々はモッズバンドとして確立していこうとしていたのは有名な話。モロにThe WhoやThe Kinks、SMall Facesからの影響を受けてて、そのまんまのサウンドをちょっとソリッドにした形で出している、それが若気の至りとパンク的アプローチが強かったから丁度シーンで受けたって事だ。とは言え、しっかりと独自性を打ち出して生き残っていった数少ないバンドのひとつだし、今じゃポール・ウェラーって言えば大御所ミュージシャンの一人なワケで、まぁ、そこからThe Jamを思い出す人も多くはないんだろうけど、それくらいThe Jamよりもポール・ウェラーの方が有名になってしまったってことで、良かろう。

 さて、この三枚目のアルバム「All Mod Cons」では相変わらずの尖ったパンク的エッセンスに包まれたビートの聴いたサウンドが繰り広げられており、そのスタンスはデビュー時からあまり変わっておらず、どころかむしろソリッド感が増してThe Jamって個性がどんどん出されているかのように思える。それでいながら英国ロックさながらの風味はしっかり出しているからししっかりとそこに根を張っているのも分かる。要するにロック的なアルバム、ってことでカッコ良い。面白いのはそれだけじゃなくてきちんとチャレンジもしていたり、正に英国ロックと言わんばかりのメロディラインを打ち出したロックもあったりして、そりゃ好まれるわな、ってニヤリとしてしまう。ある種全然昔と変わらないロック魂そのまま、自身の曲をオマージュに入れ込んでみたり逆回転やったり、色々と楽しんでるなぁ…。


The Damned - Music for Pleasure

The Damned - Music for Pleasure (1977)
Music for Pleasure

 英国人が一番最初にパンクなるものに触れた瞬間って大抵はダムドだったんじゃないだろうか。ピストルズやクラッシュってのはその後に出てきているし、もちろんピストルズのセンセーショナルな言動がテレビを賑わせたことでパンクって…みたいなイメージを強烈にしたのは間違いないだろうが、音として一番最初に聴いた妙なサウンドってのは多分ダムド。音楽シーンに敏感であればあるほどダムドを最初に聴いたんじゃないだろうか。そして「何これ?」ってなったんじゃないかなぁ…と勝手に想像。その勢いや適当さ加減、それでいて妙に尖ったスタイルと元々ロックが持っていた反抗心みたいなのが思い切り出ているというのかね、それこそロックだよ。

 The Damnedの1977年にリリースされたセカンドアルバム「Music for Pleasure」。これにて翌年に一旦ダムドは解散している。恐ろしく短命なパンクバンドだったが再結成までの時間も早かった。やっぱり適当と言うか考えてないっつうか、勢いだけって感じなのか、とにかくそれでも英国ロック史では音楽的にも重要な役割を担っていくことになったんだからこの後の復活劇は良かった出来事と見るべきだろうし、実際自分的にもその辺のダムドって好きだからね、良かったんだよ。んで、一方このアルバムをリリースした時のバンドの状態はあまりよろしくなかったようだ。そもそもプロデューサーにシド・バレットを要請したってさ、どうしんだよ、ってな話だけど、それ自体はダムドらしい。結果的にはニック・メイソンになってしまって、しかもその流れからロル・コックスヒルまで参加するという英国ロックの歴史でこんな融合を果たしたことはまずないだろうし、これからも多分無かろうと思う。パンクとプログレがくっついてんだぜ?

 それ自体は驚きだけど、中味は明らかにパンクが勝ってる(笑)。いや、プログレ的にパンクを処理しようとしても無理だからさ、結果的にパンクエッセンスが出ちゃうんだよ。それを制御なんて出来ないもん。最後の「You Know」くらいかな、ロル。コックスヒルのサックスが出てきてるからちょいと落ち着いたロック的に聞こえるのは。他はもう相変わらずのダムド節。全体的にレベルアップしてるってのもあるんだが、粒ぞろいになっちゃった感が強くて飛び抜けた曲が見当たらないのがちょいと残念。聴き込んでいくとなかなか練られてるしエッセンスはしっかりパンクそのものというのは分かるんだが、キャッチーさが足りなかったか。んでもさ、案外ギターが生々しくって良い音してるんだよね。ヘンに処理されてないからこれはこれで好きなサウンドです。


UB40 - Live

UB40 - Live
Live

 今の時代にどういうサウンドが流行っているのかってのは実はなかなか分かりにくい。特徴的なのがひとつふたつなら分かるのかもしれないけど、水面下では色々なことが同時進行で起きていて、後にそれがシーンの始まりだった、なんてこともあるから今って時代の水面下なんてのを知らないと分からない。それはもちろん昔も同じで、その時はシーンを作ってるなんて思ってなくて色々なことを組み合わせてやってただけだ、面白いからやってただけだ、みたいなもんかもしれない。ロックやポップスとレゲエの融合なんてのはそのひとつで、昔からそういうのはあったけど、もうちょっと本気で混ぜてったのが70年代後半からなのだろう。それが2トーンやスカって形で出てきていたんじゃないかと。

 UB40の1982年のアイルランドでのライブを収めたアルバム「Live」。既に何枚かアルバムをリリースした後のライブで相当に盛り上がっていたんだろうなぁってのは分かる雰囲気のライブ。それにしても随分リラックスした感じで良いな…、このリラックス感が気持ちよくて皆レゲエってのに走るんだろう。UB40の場合はロック側の人間から聴くと思い切り黒いレゲエしてないから聴きやすいし、その分間口が広がってるのが売りで、ポリスやクラッシュってのはもっとロックに近いから、UB40の方がレゲエに近い。それでもまだポップス領域にあるから随分馴染みやすいのはいいね。それにしてももうちょっと夏に近い時期にこの辺に入りたかった(笑)。

 時期的には表舞台ではThe Clashがアメリカ制覇中、The Policeも世界制覇中という時期、UB40はもちろんそこまでの舞台には立たなかったが、その分英国のリスナーの心を掴んでいたようだ。このライブアルバムではバンドが元来持っているスタイルそのままをさらけ出していて、ホーンセクションも含めてのフルライブで聴いて楽しむと言うよりはその場に参加して楽しんでいればというような思いが強く出てきてしまうようなアルバム。何だろね、これ、聴いてても気持ち良いけど参加してたかったな、っていう感じ。多分演奏も見たいんだろうし、ノッてもいたい、っつうのか…分からんね。ただ、ひたすらこれ流してるとトリップしてくるんだもん(笑)。


The Lords of New Church - Is Nothing Sacred

The Lords of New Church - Is Nothing Sacred (1983)
Is Nothing Sacred

 古くからスーパーバンドなんて言葉があって、どこそこの著名な人達が集まって組んだバンドって事なんだが、そのウリ文句で成功したのはあまり聞いたことがない。せいぜいポール・ロジャースのBad Companyくらいだろうか、という印象。他にもあるけど商業的にもバンド的にもってのはなかなか見当たらないんだよね。そりゃさ、そんだけの強者集めたら凄いけど個性も強いから成り立たないってのもあるだろうし、エゴも出るだろうから圧倒的な天才に着いていくみたいな構図じゃないと厳しいんじゃない?なんて凡人は勝手に想像するんだが。

 The Damned解散で再結成時にはバンドに戻らずにパンク界でのスーパーバンドとなったThe Lords of New Churchを組んだブライアン・ジェイムズ、ボーカルにはDead Boysのスティーブ・ベイダー、ベースにはSham69のデイブ・トレガンナという布陣での1983年リリースのセカンド・アルバムが「Is Nothing Sacred」。肩書の通りのバンドであれば素晴らしきパンクバンドのハズだったんだが、どういうワケかそうはならず、ポストパンク的なスタイルを実践、それはちょいとゴシック調でもありメロディアスでもあり、The Damnedの中後期あたりと共通項もあるスタイルになるのかな、特にこのアルバムなんかはドラムが80年代初頭のあの音だからむちゃくちゃポップスに聞こえるワケで、普通に聞いたら単なるポップチャートに入ってくる音を出すバンドなんだな、っていう感触。肩書なんて何の役にも立たない感じのポップバンドサウンド。いや、実験的な要素はたくさん盛り込まれているし、確かにポストパンク的なスタイルでもあるし、スティーブ・ベイダーの歌だからかっちりってワケでもないし、ロックエッセンスたっぷりなんだけど、録音の問題なのだろう、本来のバンドの音を殺してしまっているかのような音は聴いていると結構キツイ。好みの問題だろうが、もうちょっと何とかしてほしかったなぁ…。

 気を取り直して音から音楽、内容へと耳を切り替えてみるとこの時代にはこういうサウンド出すバンドは確かに無かったのかもな、と。ただ、これでリスナーを取り込むってのもなかなか難しかったんじゃないだろうか。3枚位はアルバム出てるからそれなりに売れたんだろうけど、買っていた昔からのリスナーは多分こういう音は求めていなかったんだろうし、どうにも難しい。もっとパンクロック連中らしい音でストレートにやってくれりゃ良かったのにな、とも思うがそれじゃ新しいバンドにはならなかったのだろうし、どうにも…ってなトコだ。



The Damned - Live Shepperton 1980

The Damned - Live Shepperton 1980
ライヴ・シェパートン1980 【オリジナル日本盤LP再現紙ジャケット仕様/K2HDマスタリング+HQCD/完全生産限定】

 キャリアの中でベースからギターへの転身とかドラムからボーカルとかギターとか色々と転身して続けていく器用な人が何人もいる。そもそもどんな楽器もある程度出来てるという基本的な才能だったり、音楽表現者として備わった能力があるからこそそれでも通じるのだろうけど、なかなか出来ることじゃない気がする。マルチプレイヤーって人もいるが、どっちかっつうと演奏家という側面が強くてプレイヤーとしての探求みたいなのは深くないというか、最低限の演奏なんだろうな。もちろん天才肌なんだろうけど。

 The Damnedの1980年のシェパートンでのライブアルバム「Live Shepperton 1980」。バンド的には一旦解散してて、その後再結成という事でメンツを揃え直したけど、ベースがアルジー・ワールドになってる、ってことはギターはキャプテン・センシブルになったってことで、この人もともとバンドの中でベース弾いてたんだよね。もちろん元がギタリストだったのは演奏聴いてりゃ分かることで、なるほどこれで思い切り出来るハズだ、ってな感触はマジマジと感じるトコロ。んでパンクという枠組みからちょいと外れていったアルバム「マシンガン・エチケット」をリリースした後のライブを収録したアルバムなので、ダムドもどうなんだろうなぁ…なんて思ってたけど、とんでもないライブアルバムです。この後ゴシック路線に入るんで、おとなしめなのかと思いきや、パンクどころかNWOBHMの一環なんじゃないかっつうくらいのスピードとパワーで怒涛の如く攻め立ててくるライブ。有名な作品なんかもそのままパワーアップしてプレイされているので、物凄い事になってる。ハードコアパンクへの布石とも言えるのかな、元々演奏力の高いバンドだったからこういう音を出しても演奏的には上手く出来るからなんだけど、「Neat Neat Neat」の後のラットのドラムソロなんて、パンクバンドのそれじゃないからさ、ジミー・ペイジに認められただけの事はあるプレイもナイス。

 ビートルズの「Help!」なんて何だこりゃ?ってなくらいになってるしね、ネタ的に面白いからやってたんだろうけど、今じゃそれよりもオリジナルのダムドの曲のパワーアップさの方が頼もしい。そして「Smash It Up」や「Plan9 Channel7」あたりの後のゴシック調の楽曲のライブプレイもここではもう圧巻のパンクスタイルでの演奏だし、とにかく勢いありまくりのライブで多くのパンクバンドが独自路線を歩んでいった中で、この時期だけを切り取れば確実にThe DamnedというバンドはNWOBHMに接近していたとも言えるだろうか。だからこそのアルジー・ワードのTankというバンドが出来上がったのだな、と納得。









Public Image Limited - Paris Au Printemps

Public Image Limited - Paris Au Printemps


 ロックってのは実に色々な表現の仕方があるものだ。魂込めて吐き出すのも一つの方法だし、ひたすらに内向的に絶望感を煽っていくのもひとつ。そこらヘンの好みというのが音楽形態に表れてきてリスナーを選ぶと言う感じだけど、聴く側はそこまで意識していないから好みというだけでの基準になるのかな。もうちょっと音楽的見地の高い人はそうでもないんだろうけどさ。多感期にそういうのを聴くとシリアスなのとくだらないのが判ってしまうんじゃないかな…、ってかシリアスなのに出会ってしまうとそのシリアスさに気づいてしまうというかね、感性にもよるか。

 P.I.Lのライブアルバム「Paris Au Printemps」。1980年リリースのパリでの二日間のライブの編集アルバムだけど、それなりにキャッチーな曲なんてのはひとつもなく、ただただひたすらにストイックにアバンギャルドに実験しているバンドの進行形をそのまま記録しているもので、商業的見地はまるで入っていないというアルバム。それだから故に売れてしまうというか、ジョン・ライドンらしいというか、パンクの行き着く先にはこの手の妥協なしの路線をひたすら突き進むしかないと言うか…。芸術肌なんだろうね、基本的に。だから敏感な音をも察知して作り上げているし、そもそも作り上げるってことが出来る時点で芸術肌でしょ。自分がこういうのやりたいって見えてないと他のメンバーに伝えられないワケだし、それで出てきた音が自分が狙っているモノであるならばそれはもう完全に芸術家。しかも今まであまり聴かれる事のないサウンドだったりすればそれはもうあれみたいなこれみたいな、じゃなくてオリジナルな頭の中を伝えるしかないんだから見えてないと出来ない。そのセンスが凄いと思う。

 そしてこのライブだ。観客なんて思い切り無視ってくらいにストイックな感触、しかも「ダマレ」ってな発言で観客との距離を思い切り開けて、やりたいことをひたすらに実験的に展開している。うん、思い出してみればドアーズのライブもこういう雰囲気はあったな。そしてP.I.Lというバンド出来には最初期のオリジナルメンバーでのライブってことで貴重な瞬間の記録、そもそも「METAL BOX」の曲とか不可能だろ(笑)。しかしこういうのもしっかりとパンクだもんな…、更に言えば、パンクの発展系のくせに思い切り知性を感じるというのも不思議な話で、こういうロックの側面に惹かれるリスナーの気持ちは良く分かる。感受性高いんだろうなぁ…。



The Stranglers - Feline

The Stranglers - Feline (1983)
Feline

 熱い魂を叩きつけるかのようなロックのエネルギーとパワーが好きだ、というところからすると真逆に位置するこのニューウェイブあたりの路線、そんな魂なんぞどこ吹く風、ひたすらに陰鬱に自虐的な方向へと突き進む内向的なエネルギー、と言ったところか。そのいずれもが人気を博しているし、どちらも同じくらいの人気がある。ただ、大抵は何れかに属することが多いし、両方をバランスよく好むという人間もそうそうはいないだろう。はて、自分はと言えばやっぱり当然前者になるんで、底が浅いというか所詮ミーハーと言うか(笑)。

 The Stranglersの1983年作品となった「Feline」。これまでからレーベルも移籍してますますヨーロピアンエッセンスが強くなってきたとも言える作品で、昔の初期パンクのバンドです、なんて雰囲気はまるで残っていない。かと言ってポップバンドとも言えず、ニューウェイブですね、とも言えないユーロピアンな雰囲気が漂っているアルバム。ってかストラングラーズ自体がそういう存在になっていて、日本じゃもう全然下火だったけど英国ではこの時期の方が人気があるというお話なので、やっぱり大きくセンスが異なるんだろうなぁと思う。日本でこんなんが人気出るとは思えないもん。それでも聴いていると確かに美しくデカダンでユーロピアンな雰囲気の中、メロディアスな歌が流れてきて、それも媚びを売るものではなく悲嘆的なスタイルに近いか。歪んだギターなんてのはほぼ聴かれないというのも特徴的。

 一方では80’sと呼ばれる第二次のインベンションが怒っている中で真逆のロックシーンとしてこんなのが受けてたってのは面白い。さすがに表舞台に乗り込む程の無鉄砲さではなかったところは救いだが、どう思って見てたんだろうね。ちょっとそっちに寄れば乗れたんだろうと思えるだけにちおいと興味ある。それはともかくとして、この音、知的なセンスがバリバリと感じるものの、ロック的に好きか?ってなるとなかなか「うん」とは言えないかな。ただ、ストラングラーズってこういう進化があるから面白いし、ストラングラーズらしいからじっくりと制覇していくバンドかな、なんて思ってますね。



Wire - Pink Flag

Wire - Pink Flag (1977)
ピンク・フラッグ

 ポストパンクって一体何だったんだろ?なんて今更ながらに思う。次世代パンクって意味合いなんだろうけど、ま、その通りか。ただ、スタイルとしては結構幅広かったからか自分がそういうのを聴いた頃って何かピンと来なかったんだよね。その時に聴いたのって多分Alien Sex Fiendとかなんだろうけど、それが悪かったんだろうか。そもそもがこういうのを聴いてたらもうちょっと興味持って取り組んだかな。ニューウェイブと共にイマイチな世界だったからほぼシカトしてたけど、もったいなかった。

 Wireというバンドの1977年のファーストアルバム「Pink Flag」。既にパンクが崩壊して、っていう話は今なら言えるけど当時はまだそこまででもなかったハズで、しっかりパンクエッセンスは音楽シーンに残っていたと思う。そこに対して初期パンクと同じ時代にこの音で殴り込んだというのはかなり衝撃的だったんじゃなかろうか。それでも歴史的にはさほど残っていないというのはそのインパクトが薄かったということにはなるのだが、どうだろ、ちょっと手法が違ったらシーンへの影響は大きかったんじゃなかな、なんて思う。最初の曲はちょいとニューウェイブ的な感触もあるから正にポストパンク的なバンドなのか?って思うけど、すぐに3分に満たない勢いのある曲で占められた楽曲が続く。21曲で30分というサイズは聴くものをちょっと驚かせる。

 ソフトマシーンやフロイド絡みのマイク・ソーンのプロデュースと言うことでもしかして?なんて思うけど、それは音が整っているというメリットだけで、決してそれらのバンドの作風が用いられているというものではなかった。しかし短い曲が多い中でバリエーションには富んでいてポストパンク史に残す金字塔とまで言われる程の作品として仕上がっているのはその通りかも。案外聴きやすいサウンドの秘訣なんかもあるだろうし、ミュージシャン気質の高いバンドでもあったようだ。カバーしているバンドも結構あるしなぁ…、日本での知名度は低いんじゃないだろうか。



Gang of Four - Entertainment

Gang of Four - Entertainment (1979)
Entertainment

 パンクロック創生期は分かりやすかった。何がしたかったのか、だからああいうのをやったんだ、みたいなのもシンプルだったし、そのパワーとか勢いってのはその時代背景じゃなきゃ出来なかった事だったろうし、だから故に生まれたスタイルだったし、と納得感満載なんだが、その初期衝動のあとのスタイルとして進化していったポストパンクや何とかパンクやニューウェイブなどなどは別の話だろうと。初期パンクがレゲエとくっついたようにニューウェイブはファンク的なのとくっついている事も割と多そうだ。妙な組み合わせだなぁとは思うけど割とそれがクールに決まったんだろう。

 Gang of Fourというバンドの1979年の最初のアルバム「Entertainment」。これもまた最初にして最高傑作と言われているアルバムで、センスはパンクロック的なエッセンスだけど、やってるのはどこかファンクな世界とポップな攻撃性。だから聴きやすいしハマりやすいという性質を持っている。全くウィルコ・ジョンソンのギタースタイルを我が物にしてしまったアンディ・ギルという才能の持ち主がこのバンドの命綱でもあり、この傑作をバリエーション深いものに仕上げている。ギターのカッティングの鋭さも天下一品。こんだけの鋭いカッティングを持つ男はそうそう見当たらない。その意味でもきちんと聴いておくべきアルバムかも。

 こういうのをニューウェイブとして扱ってたから聴かなかったんだよな。全然ニューウェイブな音じゃないじゃないか。しっかりとパンクロックな音だし、その発展系だし、ナヨナヨなニューウェイブというジャンルと一緒にしてほしくなかったなぁ…。そうすりゃもっと早く聴けたのに。結構そういうのがあるんだろうと思う。ただ、それでも巡り合って聴けたってのは良かった。オルタナティブ・ロックってのもまた違うけど、ロックの進化って単語が付いていかないってのも事実だし、正にそんなのを実感した見事なロックアルバム。



Killing Joke - Killing Joke

Killing Joke - Killing Joke (1980)
KILLING JOKE

 自分にとってのロックってブルース色があるかないかってのはまずひとつの基準にはなる。プログレ系になるとそれは別の話になるんだけど、他のものは大抵そのあたりから派生していく。パンクやニューウェイブ、パブロックなどはその系統に属していないので自分的には別の路線にある音楽とも言えたかな。今はそうでもないけど、昔はそういうのがひとつの基準だったから、そこを徹底して聴いていったってのはある。だから故にブルース色が入っていないロックの世界は新鮮に聴けるってのあるかな。面白いと思うかどうかは別として。

 Killing Jokeの1980年デビューアルバムにして金字塔となった「Killing Joke」。とにかく昔から知ってたけど、聴いちゃいけないんだって思わされた宣伝文句もあって聴いたことなかった。ポストパンクの金字塔とも言われてあまりにも呪術的とも言われてたし、ジャケットからしてヤバそうな雰囲気だしね。まぁ、そこまで話題にならなかったのが一番の要因だけど、確かにKilling Jokeって日本だとかなり知名度低いし人気もさほどでもない。アルバム紹介では出て来るけど、一般的な評価としてバンド名が挙がることはほとんどないもん。自分もその多数の日本人の感覚と同じでシーンに置いてそんなに重要なバンドだという意識はなかった。

 さて、この「Killing Joke」というアルバム、デビュー作にて金字塔、なるほど、確かに。インダストリアル系と言えばそれまでだけど、無機質な中に歪んだギターを冷徹に入れ込み、正にインダストリアルなサウンドを作り上げることに成功している。こういうのはどうしたら出来上がるのだろうか?単に音色の違いだけでもなかろうし、ギターやベース、ドラムだって普通に弾いているだけだからバンドでこの通りやったら普通のロックバンドの音になるんだろうと思う。それでも、このアルバムではそんなイージーな音には仕上がっていない。やっぱりボーカルの重さ、カリスマ性によるものだろうか、明らかに普通のサウンドとは一線を画している。こういうのってホント、80年前後あたりから出てきてる音で、馴染みがない。だから故に新鮮な響きを持って聴けるし、パンクのスピリットはそのまま生きている。実にロックだな、ってのを感じる攻撃性、何気にかなり気に入ってしまった世界観…、いいな、これ。



 | HOME |  »

プロフィール

フレ

Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


ロック好きの…別館リンク


ブログ検索


最新記事


カテゴリー


最新コメント


最近のトラックバック


カレンダー

05 | 2018/06 | 07
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去ログ+

2018年 07月 【1件】
2018年 06月 【24件】
2018年 05月 【31件】
2018年 04月 【30件】
2018年 03月 【31件】
2018年 02月 【28件】
2018年 01月 【31件】
2017年 12月 【31件】
2017年 11月 【30件】
2017年 10月 【31件】
2017年 09月 【30件】
2017年 08月 【31件】
2017年 07月 【31件】
2017年 06月 【30件】
2017年 05月 【31件】
2017年 04月 【30件】
2017年 03月 【31件】
2017年 02月 【28件】
2017年 01月 【32件】
2016年 12月 【32件】
2016年 11月 【30件】
2016年 10月 【31件】
2016年 09月 【30件】
2016年 08月 【31件】
2016年 07月 【31件】
2016年 06月 【30件】
2016年 05月 【31件】
2016年 04月 【30件】
2016年 03月 【31件】
2016年 02月 【29件】
2016年 01月 【32件】
2015年 12月 【32件】
2015年 11月 【30件】
2015年 10月 【31件】
2015年 09月 【30件】
2015年 08月 【31件】
2015年 07月 【31件】
2015年 06月 【30件】
2015年 05月 【31件】
2015年 04月 【30件】
2015年 03月 【31件】
2015年 02月 【28件】
2015年 01月 【32件】
2014年 12月 【31件】
2014年 11月 【30件】
2014年 10月 【31件】
2014年 09月 【30件】
2014年 08月 【31件】
2014年 07月 【31件】
2014年 06月 【30件】
2014年 05月 【31件】
2014年 04月 【30件】
2014年 03月 【31件】
2014年 02月 【28件】
2014年 01月 【32件】
2013年 12月 【32件】
2013年 11月 【30件】
2013年 10月 【32件】
2013年 09月 【30件】
2013年 08月 【31件】
2013年 07月 【31件】
2013年 06月 【30件】
2013年 05月 【31件】
2013年 04月 【30件】
2013年 03月 【31件】
2013年 02月 【28件】
2013年 01月 【32件】
2012年 12月 【32件】
2012年 11月 【30件】
2012年 10月 【31件】
2012年 09月 【30件】
2012年 08月 【31件】
2012年 07月 【31件】
2012年 06月 【30件】
2012年 05月 【31件】
2012年 04月 【30件】
2012年 03月 【31件】
2012年 02月 【29件】
2012年 01月 【32件】
2011年 12月 【31件】
2011年 11月 【30件】
2011年 10月 【31件】
2011年 09月 【30件】
2011年 08月 【31件】
2011年 07月 【31件】
2011年 06月 【30件】
2011年 05月 【31件】
2011年 04月 【30件】
2011年 03月 【31件】
2011年 02月 【28件】
2011年 01月 【32件】
2010年 12月 【32件】
2010年 11月 【30件】
2010年 10月 【31件】
2010年 09月 【30件】
2010年 08月 【31件】
2010年 07月 【31件】
2010年 06月 【30件】
2010年 05月 【31件】
2010年 04月 【30件】
2010年 03月 【31件】
2010年 02月 【28件】
2010年 01月 【32件】
2009年 12月 【32件】
2009年 11月 【30件】
2009年 10月 【31件】
2009年 09月 【30件】
2009年 08月 【31件】
2009年 07月 【31件】
2009年 06月 【30件】
2009年 05月 【31件】
2009年 04月 【30件】
2009年 03月 【31件】
2009年 02月 【28件】
2009年 01月 【32件】
2008年 12月 【32件】
2008年 11月 【30件】
2008年 10月 【31件】
2008年 09月 【29件】
2008年 08月 【30件】
2008年 07月 【30件】
2008年 06月 【30件】
2008年 05月 【31件】
2008年 04月 【30件】
2008年 03月 【31件】
2008年 02月 【29件】
2008年 01月 【31件】
2007年 12月 【29件】
2007年 11月 【30件】
2007年 10月 【29件】
2007年 09月 【28件】
2007年 08月 【31件】
2007年 07月 【30件】
2007年 06月 【29件】
2007年 05月 【30件】
2007年 04月 【30件】
2007年 03月 【26件】
2007年 02月 【27件】
2007年 01月 【20件】
2006年 12月 【31件】
2006年 11月 【30件】
2006年 10月 【31件】
2006年 09月 【30件】
2006年 08月 【31件】
2006年 07月 【31件】
2006年 06月 【30件】
2006年 05月 【31件】
2006年 04月 【30件】
2006年 03月 【31件】
2006年 02月 【28件】
2006年 01月 【31件】
2005年 12月 【31件】
2005年 11月 【30件】
2005年 10月 【20件】


リンク


RSSフィード


全記事表示リンク

全ての記事を表示する


QRコード

QR

Click! Click!


格安sim mineo!

Free Spirit
全曲フリー!

Welcome to the Blackout
ボウイ1978アールズコート!

アズ・ロング・アズ・アイ・ハヴ・ユー

Live in Japan

Our Country: Americana Act II

The Blues Is Alive & Well

Live At Town Hall 1974. 2CD Set

Appetite for Destruction [Deluxe Edition][2CD]

Sexorcism
Sexorcism

Led Zeppelin Live: 1975-1977
Led Zeppelin Live: 1975-1977

THE DIG Special Edition キング・クリムゾン ライヴ・イヤーズ 1969-1984 (シンコー・ミュージックMOOK)
THE DIG Special Edition キング・クリムゾン ライヴ・イヤーズ 1969-1984 (シンコー・ミュージックMOOK)

Klipsch 革製ネックバンド型Bluetooth イヤホン X12 Bluetooth Neckband Black KLNBX12111
Klipsch 革製ネックバンド型Bluetooth イヤホン X12 Bluetooth Neckband Black KLNBX12111

ゼンハイザー ヘッドホン オープン型 HD 599【国内正規品】
ゼンハイザー ヘッドホン オープン型 HD 599【国内正規品】

ヒプノシス全作品集【2000部完全限定】
ヒプノシス全作品集【2000部完全限定】

麗しき70年代ロック・スター伝説 8ビートギャグ リターンズ
麗しき70年代ロック・スター伝説 8ビートギャグ リターンズ

ブリティッシュロック巡礼
ブリティッシュロック巡礼

フリー・ザ・コンプリート 伝説のブリティッシュ・ブルース・ロックバンド、栄光と苦悩
日本語訳版出てたんだ!


Click!!


Powered By FC2