The Clash - Pearl Harbour ‘79

The Clash - Pearl Harbour ‘79
パール・ハーバー’79(紙ジャケット仕様)

 ロックを聴くようになって長いけど、最初の頃=ガキな頃にレコード屋さん行ってしげしげと眺めて買った、または何かで見て、知ってどうしても聴きたい、欲しい、って思ってアチコチ探し回って買ったってレコードはやっぱり思い入れがある。しかもそれで中身が無茶苦茶カッコ良かったら最高だ。そうそう巡り合うこともなかったそんな機会だけど、The Clashの「パール・ハーバー’79」は自分的にそういう最高の一枚だった。時代的にはちょいとズレていたのでリアルタイム感はなかったんだけど、まだこのレコードが新品で売ってたから良かった。中古でこの状態で出てくるのもあったんだろうけど、そんなの知らないから近くのレコード屋全部覗いて探していた一枚だったんだよね。きっかけは多分ロックな先輩のトコでThe Clash聴いて凄く欲しくなって、それは多分セカンドの「」だったんで、同じのじゃなくてちょっと違うのがいいな、って思ったんだと思う。んで、このレコード、全面に厚紙な帯ってのか、一枚くるりと厚紙で巻かれているのでレコード屋の棚に入ってても、分厚くて目立つしその分丈夫だし、なんか特別感があってさ、しかもシングルまで付いてるんだからなんて豪華なレコードなんだ、って感じ。もちろん「パール・ハーバー’79」なんてタイトルもイカしてたしカッコ良すぎ♪

 実態は1977年にリリースされたThe Clashのファーストアルバム「白い暴動」の曲順が異なっていて幾つかのシングル曲が加えられたアメリカリリースバージョンの国内盤で、このピンクの熱い帯をズラすとあのジャケットが出てきます。こういうジャケが印刷されてるジャケットでなくて、これはあくまで太い帯なワケで、と。もちろんそんなの外してたら破れそうだったんでちょっとしかズラしたことないけど(笑)。だから自分のThe Clashとの最初の邂逅がこの「パール・ハーバー’79」なんだよね。もうね、ひたすらに聴きまくった。最初からカッコ良いから音がどうのとか気にしなかったもん。どうやってるんだろ?とかこういうコードなんだ、とか…、当時もうギター触ってたから一生懸命音探しながらさ、それでもなんかやっぱ違って出来ないし、パンクなんだから簡単なハズなんだが、どうもこういう感触で弾けない。ヘンなの、なんて。まぁ、とにかく捨て曲なしどころか初期の傑作名曲ばかりが詰め込まれてて、今聴き直しててもやっぱり凄くかっこいい。これを二十歳すぎくらいのガキが作ってやってたんだ…ってのがホント、驚き。「Clash City Rockers」のシンプルだけど強烈なインパクトを放つリフ、「反米愛国」の堂々とした反米なサビとメロディ、「Complete Control」の美しい寂しさすら覚える秀逸なコーラスメロディ、大好きだ、これ。裏から入ってヘンな「白い暴動」(笑)、この勢いの中で妙なレゲエ感が心地よい「ハマースミス」、叩きつけるようなサビが当時の熱気を伝える「London’s Burning」、問答無用に体制批判している「I Fought The Law」、イギリスオリジナル盤のオープニングを飾っていた実質くクラッシュのアルバム一発目の「Janie Jones」、勢いを叩きつけていくスピード感満載の「出世のチャンス」、シンプルだけど非凡なセンスが感じられる「What’s My Name」、さすが英国と言わんばかりのメロディとバンドのイメージをも打ち出したメッセージが強烈な「Hate And War」、こんだけレゲエを全面にこの時点で出してきたのは他にはないだろってくらいにベースラインとツインギターの辛みがよろしい「Police and Thieves」、ガレージサウンド満載ながらもスタンダードにロックをやっている感の強い「Jail Gutar Doors」、いつだって最高のThe Clashサウンドの代表とも言える、秀逸なメロディとまんまガレージな音と瞬間的になる美しいクリーンなギターの音、そんな組み合わせがかっちょよい「Garageland」。

 アルバムはこんな感じで流れていくので全く時間の流れを感じさせないスピーディな展開に呑まれていくんだよなぁ。今聴いたってそんだけ流されていくんだからさ、しかも一曲づつが短いから聴きやすいワケさ。アナログだったから途中の息継ぎがあるのも余計にそれを感じさせるのかもね。絶対アメリカ盤のファーストの方がカッコ良いと思う。んで、しかも「Groovy Times」「Gates of The West」ってシングルが付いててさ、当時の、だから1979年頃のクラッシュのシングルだからこのアルバムで聴ける最初期の勢いあるサウンドからは既に大人になってしまっているので、全然違う印象を持つのは間違いないだろうけど、それでもその時のクラッシュの最新の音を一緒に届けようということで付けられていたワケで、ありがたくその恩恵を享受していた。が、当時は何かおとなになってるなぁ…という印象しかなかった(笑)。どちらの曲もかなりスタンダードなロック、アコギまで入ってるから普通のロック的でやはりアルバム「ロンドン・コーリング」あたりに入ってて良い感じだもんね。時系列に入ってるシングル集あたりで聴くと違和感なく聴けるんだけど、こういう所で聴くとちょいと大人しいのは当たり前ではあるか。

 そんなカッコ良いクラッシュの「パール・ハーバー’79」を久々にフルで満喫。何か自分の若い頃の熱いロックへの想いが再燃してきたもん(笑)。





The Police - Ghost in the Machine

The Police - Ghost in the Machine (1981)
ゴースト・イン・ザ・マシーン

なかなか一般の方の…、いや、そんなにロックを聴くってんでもなくて普通程度に音楽を聴くくらいとか、興味がそこにはまるで無い人たちなど、のことだけど、そういう方々との会話のほうが世の中的には多くて、専門職種であればそうでもないのだろうけど、一般人を装って生きているので、どうしたってそういう人たちとの会話が多いワケです。その中で、ちょいと誰かの名前が出てくると結構驚く。その辺の名前って知られてるんだ…とかね。こないだはそれがスティングの名前で、ポリスじゃなくてスティングの方だったんで、そういう知名度になってるのか?って。何でそんなの知ってるんだろ?ソロで爆発的に売れたとかあったっけ?なんて色々考えたりしちゃったんだが…。

 この冬にスカやレゲエってんでもないけど、流れ上そうなってるんでちょうど良いかってことでThe Policeの1981年の4枚目の作品「Ghost in the Machine」。これまでの作品はシンプルに3人で奏でたレゲエ風味なパンク的エッセンスを持った楽曲が特徴的だったのが、ここに来てもっとワールドミュージック的な域にまで発展したと言うか、ホーンや鍵盤なんかも入れたりしてトリオ編成のソリッドさを活かしつつも要所要所でサウンドの幅を広げたという感じだ。それこそがこの後の「Synchronicity」での大ヒットに繋がるのだろうけど、その手前の作品としては納得感の高いアルバム。当時は結構かったるいなぁ…って感じに聴いてたけど、不思議と飽きることはなかった。あまり好んで聴かなかったけどさ。今聴いてもそれは同じで凄く面白いようには感じないけど、このソリッド感とか唯一無二なサウンドだってのは変わらないし、深みをシンプルさが同居しているのもやっぱり不思議。

 アメリカでも結構売れたアルバムだし、もちろんその波は日本にも来ていたんだろうけど、そんなに売れてたイメージはないなぁ…、ポリスのアルバムの中ではどちらかと言えば地味な部類だと思ってたし。でも、全然そんなことないなぁ、やっぱ。深いし、聴いていくとどんどんとヒートアップしていくユニークな作りのアルバム。そしてやっぱり一線を画しているのはアンディ・サマーズのギターセンスだし、スティングのベースラインであり、コープランドのヌケの良いドラムなど、うん、どれも飛び抜けてたバンドだったんだな。やっぱりカッコ良いわ。



The Pogues - Peace & Love

The Pogues - Peace & Love (1989)
Peace & Love

 軽くパブに行った時は大抵ギネスを飲む。普通のビールからしたらちょい高めな価格設定ではあるけど、まぁ雰囲気を味わうってのもあるしいいじゃないかと自分を納得させながら飲む。マイルドな味わいで飲みやすいけど重みがあるってのかな、日本のビールってキレ味がどうのってのが多いけど、真逆なのは気候のせいか。アイリッシュパブって結構あちこちにあるんだなぁとつくづく街に出ていると思うが、軽く一杯ってのにはちょうど良いし、仲間と明るく過ごすってのにも良い雰囲気だし割と好きだね。まぁ、相手がいりゃ誰でも楽しめるんだけどさ。

 アイルランド系にハマっている今日此の頃、何となくは知ってるけどそんなにたくさんのバンドを知ってるワケじゃない、けど好きな類の音だから機会あれば聴いていたいなと思う。良い機会だからちょっと掘り下げてみようかな、なんて気もしてるけどどこまで続くか(笑)。アイルランドの酔いどれパンクバンドとして知られているThe Poguesの1989年の作品「Peace & Love」。一般的に全盛期と言われる時代のアルバムになる…、そういえばこの頃良く見かけたジャケットだ。その頃は全然興味なくって聴いてもいなかったからジャケットの記憶が残っている程度だけど、いつしかそういうのも聴くようになってきてアイルランドの面白さにはハマるんだけど、今改めて聴いてみると確かにパンクじゃないしアイルランド民謡的な側面の方が強いから世界に出てきた時は面白く取り上げられただろうなってのも分かる。大体ギター歪んでないからそもそもロックやパンクというカテゴリになるのか?って具合だけど、歌がパンクなんだよな。バックの音はパブで生演奏でやってるようなアコーディオンやフィドルなんかで彩られた陽気な民族音楽のビートが効いたような感じでアコースティックな部類に入るんじゃないか。

 旋律が良いんだろうね。シェインの退廃的な歌い方も味があるけど、明るいくせにちょいと切ない感じのメロディとか見事にアイルランド以外の何者でもないって楽曲、多分どんな楽器で演奏してもこのヘンは変わらないだろうからアイルランドロックってのが出来上がる。根本的な所で土着的な旋律が出来上がってるっつうか…、ちょいと前にバイオリン系を取り上げていたくらいにはフィドルの音色が好きなので、そもそもこういう音が好みってのはあるが、楽しめるシロモノだ。こういうのでギターが熱く鳴ってたら面白いだろうなぁ…、それが「Black Rose」なのかもしれないけど。パッとすぐに入れるバンドじゃないだろうけど、音楽にハマった人ならこういうの面白く感じるんじゃないかな。





Jean Jacques Burnel - Euroman Cometh

Jean Jacques Burnel - Euroman Cometh (1979)
Euroman Cometh

 バンドに二枚看板は必要か?もちろんないよりある方が何かと良いはずだ。ただ、ぶつかることも多くなるので難しい部分ではあるか。今時のバンドで二枚看板のトコロなんてさほどないだろうからあまり気にすることもないのだろうけど、昔は多かった。ストーンズやビートルズを筆頭に二枚看板が当たり前ですらあったものだ。徐々にバンドをやる奴も増えてきたから二人の天才が同じバンドの中に留まるような事はほとんど無くなって来ただろうけど70年代くらいまでは結構あったよなぁ…、80年代でもあるか。ここで面白いのは2枚看板がそのまま同じバンドの中でやってるならバンドの音としてはそのままのレベルがキープされるから問題ないのだが、片っぽがいなくなった場合、そのバンドの主導権はどっちが持っていたんだ?ってのが赤裸々に分かってしまうのだな。それはそれで面白いけど。

 The Stranglersの屋台骨ジャン・ジャック・バーネルはバンド全盛期の1979年にソロ・アルバム「Euroman Cometh 」をリリースしている。確かにバンドの中心を担っていた人物だからかバンドとはかなりかけ離れたニューウェイブな無機質的サウンドを繰り広げて、しかもドラムマシーン使っての作品、硬質的でこれもまたヒュー・コーンウェルと共通するが冷徹なサウンドを展開している。ただ、ヒュー・コーンウェルの方はThe Stranglersの延長線的な音だったことに対し、こちらのジャン・ジャック・バーネルの作品はバンドの表層からの音という印象か。骨の部分はそのままなんだろうけど音楽的なトコロではこの二枚看板のどちらがバンドを引っ張っていたのか何となく微妙に分かってしまうところだろうか、好みの問題でもあるが。どうしたってそういう目線で聴いてしまうリスナーが多い中、リードベースという側面からはまったく変わらずのベースを聴かせてくれているし歌にしてもそのままだからひとりストラングラーズな音なんだな、これ。装飾する音が違うだけでね。

 ギタリストには後々のストラングラーズに参加するジョン・エリスがここで出てくる。かなり相性良いのかな、マッチしたギターをここでも弾いてくれてるし、この音世界にもきちんとマッチしているみたい。それにしてもここで聴ける音はこの後のニューウェイブ世代には受けるだろうなぁ…、どうにも苦手な部類なので好んで聴く音じゃないけど、ストラングラーズのジャン・ジャック・バーネルだもんな、やっぱり聴いておかなきゃ、ってのが大きかった。






Hugh Cornwell - Nosferatu

Hugh Cornwell - Nosferatu (1977)
Nosferatu

 自分のやりたい音を追求するためにバンドから離れてソロアルバムを作ったりするってのはあるんだろうけど、やっぱりバンドのフロントマンなんかがソロアルバム作っちゃうとどうしたってバンドの音に近くなるってのもある。そんなに全く違う音を出すってこともないし、本人はその違いが大事なのかもしれないけど聞いている側からするとさほど変わらないじゃないか、なんてのも多いし、まぁ、自己満足なんだろうな、なんて冷めた見方をしている人も多いんじゃないだろうか。でも、ミュージシャンってのは大抵ソロアルバムとか別プロジェクトってのをやりたがるし、実際そうやってリリースしてくる人が今でも多いし、そういうものなのだろう。

 1977年、the Stranglersが全盛期だった時にソロ・アルバム「Nosferatu」をリリースしたヒュー・コーンウェル…のみならずジャン・ジャック・バーネルもなんだけどさ、ソロアルバムを出し合ったんだよね。そりゃさ、期待しちゃうんで聴くんだけど、どうにも大きくThe Stranglersと変わった気がしないんだがなぁ…ってのが適当に聞いただけの感想。うん、適当に聴いただけだとね、そんな印象だけど、そりゃま、バンドらしい音じゃなくって確かに楽器と歌中心になってるデジタルな冷たい世界観なんだけど、この頃The Stranglersもそういう方向やってたし、それをもっと推し進めたような感じかな。後のDepeche Modeになるような音だから最先端だったのかもしれない。ドラムにはCaptain Beefheartのトコからロバート・ウィリアムスを拝借、クレジット見るとほとんどの楽曲にイアン・アンダーウッドも参加しているから、ザッパのトコロからのメンバーを借りてきたって事になるんだが、それはそれでなかなか凄いことだ。当時The Stranglersってのは英国のパンク勢のひとつのバンドでしかなかっただろうし、そこでこんだけ知性的な世界が出せてるからこそこういうのが成り立ったのか。

 クールだよ、これ、ホント。でも、ソロアルバムで何でやってるのか…、バンドメンバーの力量の問題?ジャン・ジャック・バーネルがイヤだったとか?じっくりと自分自身だけで作り上げたかった?色々あるんだろうなぁ…と思いつつ。聴いているとこの冷たい世界、やっぱりあまり特異とする世界じゃないな。




Joe Strummer - Earthquake Weather

Joe Strummer - Earthquake Weather (1989)
Earthquake Weather

 著しい音楽性の変化に着いていけるファン、着いていけないファン、ファンを失わずに進化させていくミュージシャンもいるから、その上手さってのも技量の一つになる。デヴィッド・ボウイなんかは変化そのものがキャラクターとしての売りになっていたし、30年変わらずというパンク系のスタイルだってある。ただ、やっぱり音楽をやっている以上はある程度の幅で進化したがっていくものなんじゃないかな。だからソロアルバムでやってみたいとか新しい息吹をバンドに持ち込むなんてことするワケで、長くなればなるほどそういうのが難しくなっていくのだろうけど。一方のファンはそれに着いて行けなけりゃ簡単にサヨナラだし、お気楽なものだ。

 Joe StrummerがThe Clashの消滅から数年後、初のソロアルバム「Earthquake Weather」をリリースする、ってのはリアルタイムで知ってたし体感もしてたけど、そりゃもちろん半分は期待、半分はきっとダメダメ路線だろうなという予想をしていた。パンク一辺倒な音をやってきた人でもないし、そのスピリッツに変化は無いけど手法はどんどんと進化してってるバンドだったし、終盤の作品なんかはもうなんじゃこりゃ?って状態だったしね、その延長線だったら終わってるな、って思ってて…、実際リリースされると同時に聴いたけど、お蔵入り。数回も聴かずにお蔵入りした気がする。その頃はもっと刺激的なのを求めてたし、こんなに軽い音を求めてもいなかったし、もっと尖ったストレートなのを欲してたしね、いくらジョー・ストラマーの音でもどうにもなぁ…って感じだった。それは世間的な市場にも現れていたようで、まるで売れ行きが芳しくなかったらしく、そのままシーンから消えていってしまった。難しいよね、こういう音楽ビジネスってさ。熱狂的なファンを持っていればいるほどどういう風に音楽を作っていけばいいのか分からなくなることもあるだろうし。

 アルバム「Earthquake Weather」は今聴けばかなりの快作で、後のメスカレロスに通じる音楽性は既に出来上がっている。ところがジョー・ストラマーの方もまだ尖ってる部分あるからあそこまでマイルドにゆるゆるにはならなくてちょっとトゲがある…だから中途半端にThe Clashらしさも感じちゃうし、でも物足りないしというような作品に聴こえちゃうワケ。実際はそんなの気にしてなくって、やっぱり色々なあのヘンの音をミックスして自分のフィルター通してゆるくやりたかったんだろうって思う。完成形はメスカレロスのだろうけど、あそこまでは時間かかったね。一方のB.A.Dなんかはさっさともっと思い切り舵を振り切ってやってたから羨ましかったことだろう。そんな事を考えながら久々に聴いてて、全然悪くないけど、これ、っていう曲やメロディも見当たらないってのも残念で、その辺りの作りこみがもうちょっと出来たら良かったんじゃないかなとかアレコレ…、いや、結局これで良かったんだろう。The Clashのリスナーにはこういう音は少々早すぎたってだけで、新しいものとのミクスチュアそのものはロックの概念だし、それを実践していた第一人者でもあるしね。




Big Audio Dynamite - This is Big Audio Dynamite

Big Audio Dynamite - This is Big Audio Dynamite (1985)
ディス・イズ・ビッグ・オーディオ・ダイナマイト(25th Anniversary Edition)

 レスポール・スペシャルTVダブルカッタウェイの使い手の一人だったミック・ジョーンズと言えばもちろんThe Clashなのだが、The Clashは割と書き尽くしてしまっているのでちょいと視点をズラしてのBig Audio Dynamiteに進んでみようか…ってほど知ってるワケじゃないんだけど、The Clashでジョーと喧嘩別れしてそのままバンド離脱した後に、The Clash時代に映画監督でもあったドン・レッツを軸にして作り上げた新たなるバンドがBig Audio Dynamiteなワケで、その来歴から知っていればThe Clashの音を想像して聴かなかっただろうけど、何せ何の情報もないまま、単にミック・ジョーンズが新しいバンドを組んでレコード出したぞ、って話しかなかったから当然ながらThe Clash路線を期待しちゃうワケよ。ところがどっこい、そんなもんどこ吹く風、己のやりたい新たな音楽世界を切り開いていくぜ、ってくらいなもんでブチかましてくれた。

 1985年リリースのBig Audio Dynamiteのデビュー・アルバム「This is Big Audio Dynamite」。まんまそのまま「これがB.A.Dだ」ってタイトル。言われてみればそうか、そういうことか、と今ならわかる。当時から何十年もまるで理解しなかったりしたくもなかったし認めたくもなかったし、無かった事にしてたからようやくミック・ジョーンズに言えるもんね、やっとやりたかった事がわかったよ、って。そりゃさ、The Clashの後期の音を聴いたり見たりしてればわかるけど、ダンサンブルな音やレゲエ、スカ、ダブにラップなんかも先んじて取り入れてホントにミクスチュアーなサウンドを出していたワケじゃない?「Combat Rock」なんてのもそんな路線で、自分的にはイマイチなアルバムだけど一応パンクロックチューンも入ってたから良かっただけで、それがなかったらやっぱりこういうのに近い音になってたんだろう。そもそもギターにこだわりなかったんだろうから、ギター中心の音というロックにする必要がなかったのだろう。単純にリズムを楽しみ様々な音楽の面白さを取り入れて仕上げていった新しい世界がB.A.Dなんだ、って音だ。

 確かに英国からしか出て来ないであろう軽さとミックス具合、あまりにも上手くミックスしすぎててミック・ジョーンズの存在感はまるで皆無になってしまうのだが、それを出しているのがミック・ジョーンズだから良いのか。この時奇しくもThe Clashも同じような路線に走ってて、別にバンドが分割される必要すらなかったんじゃないか?って思える節すらある。ジョー・ストラマーからしたらミック・ジョーンズのやってることって自分が思い描いてたのとほとんど同じようなもので羨ましかったんじゃないかな。The Clashの看板背負ってる限りここまでの音は出せないけど、バンドを離脱したミック・ジョーンズがB.A.Dだったからこそここまでメーター振り切ったミクスチュアーな音が出来たって部分もあるだろうし、なるほど、今にして思えばそういう見方もあるな。

 そしてこの「This is Big Audio Dynamite」というアルバムの音、それでも好みかどうかって話になるとやっぱり好みじゃないな。ただ、聴いていると面白さはあるし斬新なアプローチだから大したバンドだなって思うよ。でもさ、ギターがもっとガツンと鳴ってこそのロックだろ、ってのがあるからミック・ジョーンズがここまで魂売らなくてもってのがあるかなぁ…、複雑だ。音楽クリエーターとしての才能を出して来たってことだけど、そんなに才能あったんだろうか?なんて思う部分もある。




The Stranglers - La Folie

The Stranglers - La Folie (1981)
La Folie [Explicit]

 出前って今は形を変えてしっかりとあるもんなんだな。いや、デリバリーって言えばそりゃそうだけど、先日あまりにも外に出るのも面倒なので何か出前なるものが近場にないだろうか?なんて探したらさっさと色々と出てきて、1500円くらいから配達してくれるのな。混んでるとアレだけど空いてりゃ30分くらいで温かいものをそのまま持って来てくれるんだからありがたい。普段外食しててそんなに美味いとは思わなかったけど、家で食べると美味いんだな、やっぱり。弁当の倍以上の値段だけどそれなりの価値と楽さはあるなぁと改めて痛感。寒い時期はクセになりそうだ…。

 1981年リリースのThe Stranglers6枚目の作品「La Folie」。未だにきちんと制覇出来ていないけどきちんと制覇したいバンドのひとつである自分にとってのThe Stranglers。パンクのカテゴライズから出てきてるけど全然音はパンクサウンドなどとは異なる知性的且つデカダンなサウンドで鍵盤のピコピコが不思議だったという印象で若いころは思ってたけど、それこそが味、ってか骨太なロックサウンドでしかあり得ない音世界、ロックと言わずして何と言うか、とも言わんばかりのパンクスピリッツが通っているバンド、うん、何書くんだっけ?

 あぁ、「La Folie」です。中期ストラングラーズの始まりと言うか、初期ストラングラーズの終焉と言うか、より一層デカダンでユーロな方向に進んでいるもののポップ的メロディへの接近が当時はファンを戸惑わせていたそうな…、こんな大人な音が出てきたらそりゃ困るだろうなというのはわかる。ここから入った人はこの深さが好きなんだろうし、ボウイ的でありつつジャパン的なトコもあり、でもこのベースは相変わらず独特の音とフレーズで確かに一人浮いているのかもしれない。鍵盤のきらびやかさとは裏腹な骨太な音。そしてヒューの歌がまた無機質でグレーに染めてくれる声で、一方のヒューは艶やかな歌声、「Golden Brown」でその浮遊したSlapp Happyにも歌わせたいというくらいの曲が世界でヒット、まるでストラングラーズらしからぬこの歌がバンドをイメージ付けたのかもしれないが、それはそれで妙なポップバンドとしてありかも。恐ろしく深みのある楽曲で、どこからどうしてこういうのが出てきたんだ?ってくらいなものだ。悲しくも美しい名曲。

 やはり深い。深みのあるバンド、そして芯のあるバンド。一枚づつきちんと制覇して聴いていかないといけないなぁ…、毎回聴く度にそれを意識しているんで、それなりには聞いているんだけど、まだぼにゃりとしたイメージでしか音を捉えられない。わからないんだけど、このアルバム、かなり充実したアルバムなんじゃないだろうか。

R.I.P Bowie




The Damned - Grave Disorder

The Damned - Grave Disorder (2001)
Grave Disorder

 やることがあると忙しいし、無きゃ無いで何かやり始めるから時間はあっという間に経ってしまうし、結局ヒマだ〜、何かやることないかな〜なんて思う時は未だ来たことがない。普通の生活をしている人達を想像するに、仕事して通勤して、休日は家族サービスしたりしてるんだろうけど、そりゃ人生早く終るだろうななどと勝手に思う。もちろん好きなこと出来る時間に好きなことするんだろうけど、そうそう簡単にそれが出来る時期もあれば出来ない時期もあったりして簡単じゃないんだろうなぁと。自分なんかはそういう時間すべてが好きなことやりたいことやってるから忙しいだけで、まぁ、誰しもが同じく忙しいって事だ。それでも趣味に時間をどれだけかけれるか、がキモですな。

 The Damnedの2001年の快心作「Grave Disorder」。The Damned名義では9枚目の作品らしいが、ここではデイヴ・ヴァニヤンとキャプテン・センシブルの二人が再度融合してThe Damned名義で発表している作品ってことで期待されたものだが、いやいや、どうして、期待どころかそれ以上に英国アングラ風味ロックを聴かせてくれてて、The Damnedと言うバンドの懐の深さが見えてくる作品に仕上がってます。あのおバカなパンクバンドの影は全く見当たらず、かと言ってデカダンな雰囲気を前面に出したゴシックなムードだけでもなく、上手くあちこちのロックを融合させた音で、ある種The Damnedらしくないとも言えるけど、幅の広いバンドとして聴いた時のこのアルバムの深さは他に類を見ない個性が溢れてていいんじゃないの、って感じだ。

 自分的に聴きやすいからなのかな。そんなに追いかけてたバンドじゃないけど、デイヴのスタイルは好きな部類だし、ゴシックやデカダンなムードも好きだしね、出しゃばらない楽器群と言うのもバランス取れててなかなか良い仕上がり、そして何よりもアルバムの楽曲が強力なのばかりで普通に聴いてて捨て曲はもちろん無いし、それどころかここに来てどんどんと更に深みを出した展開をも繰り広げているという欲の深さ。デイヴの奥さんをコーラスに迎えて…コーラスってんでもない気がするけど(笑)、ストイックなリズム隊とアルバムのムード、かなり良いです。The Damnedを聞いている人向けというよりはThe Damnedを知らない人向けかも。




This Heat - Deceit

This Heat - Deceit (1981)
Deceit

 カンタベリーシーンの浮遊感ってのは今でもあるのかな?もう全然追いかけてないからあまり耳にすることもないんだが、あるとしてもかなり変化した形なんだろう、きっと。今度ちょっと探してみようかな。それとは別にまるで違う形態に進化しているもののカンタベリーシーンからの登場という出自だけが語られることの多い、チャールズ・ヘイワードとニール・マーレイ、いや、どっちもそんな風に語られる事の方が少ないのだろうし、既に別世界で名を成しているからそっちの方が知られているだろうからここでわざわざそんな取り上げ方ってのもしなくてもいいんだけど、流れ上行きがかり上…ね。

 チャールズ・ヘイワードが参加した多分漠然とずっとこういう音世界への情景はあったんだろうと思われる完成形…のひとつとして思えるThis Heatのセカンド・アルバム「Deceit」。1981年リリースだからほんの数年しか続かなかった衝撃的なパンクの流れを超えてポストパンクムーブメントへと一気に移行してしまってからの作品、そもそもQuiet Sunの時にもこういう破壊感と言うか硬質感はあったから、その辺でモヤモヤと思いはあったんだろう。それが具現化したのが衝撃的なファーストアルバム「This Heat」になる。そしてセカンド・アルバム「Deceit」はさすがにちょっとはコマーシャル的な方向もあったのか、やや聴きやすくなっている気がする…のは歌が適度にあるから、か。それでも全然ポップじゃないのだが(笑)。

 この頃の英国の裏シーンって退廃的で破滅的なのが幾つも出てきてて、その中ではしっかりと存在感を放っていたバンドだろうと思われるし、そのサウンドも斬新でシーンから注目を浴びていたハズ。PILが提唱していたメタルミュージック的な側面と破壊性、パンク的なアプローチの中に見える知性、着実に自分達が「創っている」感あっただろうなぁと思えるチャレンジ的な試み。カンタベリー出身のチャールズ・ヘイワードがやりたかったサウンドだからカンタベリーシーンの音というのにはまるで当てはまらないけど、そんなきっかけからこういうアプローチに興味を持つ人もいるのかな。自分的には実験精神性は好きだけど音楽として普段聞くか、って言われるとそうでもない音世界かな。



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Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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