My Bloody Valentine - Loveless

カテゴリー: 80s New Wave

 音楽の進化は速い。年々速くなっていくような気がするので最近の音楽はよくわからないものも多くなってきている。殊にラップ系から発展してきたモノは多分全然わからないと思う。しかしそれは自分達が若い頃も起きていたことで、今に始まったことではない。自分が周辺の環境に合わせていけていないだけなんだろう。そして80年代から90年代にかけての英国のメインストリームのロックにしても音の変化は著しくって、表では80sポップスが黄金時代、裏ではザ・スミスを筆頭としたニューウェイブ系からマンチェもんへの変化、その隙間にはマイ・ブラッディ・ヴァレンタインというノイズとカオスをポップの世界へと押し上げてしまった偉大なバンドもあった。

Loveless Isn't Anything

 「Loveless」1991年リリースのセカンドアルバム。ミニアルバムなどがあるから正確に何枚目って言われても困るけど、多分二枚目で、アルバムとして制作したのは多分ラストアルバム、だと思う。再結成したのかな?正直言って最初はどこが何が楽しいバンドなのかよくわかんなかった。メロディらしきものはあるけど基本的には轟音ギターの壁によるノイズに気怠いグルーブというだけで、おいおいこんなんでポップっつうか?みたいなさ。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドが引き合いに出されること多いけど、そういうレベルを超えて単なるノイズじゃないか、みたいな部分もあったもんね。

 ところが、最初から最後まで聴いていくともの凄く心地良くなってきて、その音世界にハマれる。要するに客観的に音楽として聴いてはいけないもので、音楽と同時に存在していないといけない作品なんだよね。難しいけどさ。そういう音楽の聴き方をできるバンドというかレコードとかって多分凄く少ないのでなかなか理解しにくい。それを知っている人は世の中で言う問題作とか難解な作品とか非常にアンダーグラウンドなものでも割と平気に聴けるんだよね。マイブラの場合はその領域に近いバンドなので、本来はこんなに売れるべきものでもないけれど、それが売れたんだから相当センスが良いんだ。

 このセカンドアルバム「Loveless」は発売時に結構期待していて、どんなんかなぁ〜と楽しみだった。期待以上の音を出してきてくれたからかなり聴いたもんね。でも曲目とかリフとか全然記憶に残ってない(笑)。サウンドそのものを楽しんでたからだろうなぁ。音楽って進化するんだなぁ〜と、結構不思議に思ってたし。久々に聴いたけど、やっぱり刺激的で新鮮な音だったので嬉しい。ここから発展したのがThe MusicだったりOasisだったりするだろうし、割とシーン全体に多大なる影響を与えたバンドだと思う。

 今度の7月14日に久々にCDが再発されるらしい。ちとタイミング的に早かったけど良い機会だからオススメしまっせ〜。

The Smiths - The Queen Is Dead

カテゴリー: 80s New Wave

 英国ロック史に於いてひねくれ者の象徴とも呼ばれる人物は何人も思い付くんだけど、中でも言われるのはレイ・デイヴィスやピート・タウンジェンドなどが筆頭。まぁ、英国人皆がヒネくれてるんだけど、その中でも、という言い方なので相当なものなんだろう。そしてそのひねくれ具合があまりにも極端だったことでバンド自体が売れたというのが多分ザ・スミスなんじゃないかと。楽曲だけ取ればかなりセンスの良いニューウェイブの象徴のようなサウンドで今でもファンは多いし、まだまだこれからも歴史に残る部分が大きいだろう。そしてそこに乗っかるモリッシーの恐ろしいまでにひねくれた歌詞がこのバンドを楽しいものにしているようだ。

ザ・クイーン・イズ・デッド(紙ジャケット仕様) ミート・イズ・マーダー(紙ジャケット仕様)

 1986年のザ・スミスの4枚目となる「ザ・クイーン・イズ・デッド」は多分この手のアルバムの中では最高峰に位置するとも言われており、まぁ、確かにそうなんだろうなぁとは思う。しかしこのサウンドにこの歌詞で、このメロディってホントにチグハグで歌詞気にしなければなんて明るいポップスなんだろうと思うくらいだけどねぇ。自分的には最近でこそこういうのも聴くようにはなったけど、基本的にはどこが面白いのか昔からわからないんだよ(笑)。バンドのセンスっつうかギターのセンスとかはわかるんだけどバンドとして見たらどこがいいんだろうなぁ…と。それでもこのアルバムは今でも売れているし名盤なんだよね。んで聴いてるけど、わかんない。まぁ、自分の感覚とは違うんだろう(笑)。

 いやいや、それでまたしてもトライしているんだけど、センスの良さは認める…、多分歌がダメなんだろうと思う。ライブパフォーマンスとか見てると薔薇を持ってダラダラと歌うので思い切りふざけていて、そういうのはキライじゃないけれど、なんだろうねぇ…。かっこよさがないんだろう。じゃ、聴くなよ、って話だけどさ(笑)。うん、流れです。ちなみにザ・スミスのアイテムはかなり揃っているので聴くのには困らない。ただ、自分に合わない…、うん。CD一枚聴いているとダレてくるし、集中して聴けないなぁ…。やっぱまだダメだ(笑)。なので好きな人、どこが良いのか教えて下さい…。アンバランス感?ま、好き嫌いだからこだわるモノでもないけれど、やっぱり自分だけ違うんかんぁと重うと何がだろう、って気になるだけです(笑)。

The Pop Group - Y

カテゴリー: 80s New Wave

 1976年に英国で産声を上げたパンクロックの波は瞬く間に世間を騒がせ、そしてくすぶり続けていた若者をあらゆる意味で刺激した。しかしそのシーンは正に一瞬にして崩壊の道を辿ることになり、その姿勢だけは生き続けたもののサウンドとしての確立には至らなかった。しかしそれでも今年でパンク生誕から30年以上経過することになり、偉大なるムーヴメントだったと言うことが証明されているワケだな。そしてその波は多方面に波紋を及ぼし、新たなジャンルと手法をプレイヤー側にも提示したものだ。ニューウェイヴと呼ばれるものからノイズ・アヴァンギャルドの世界、そしてハードコアパンクなどなど攻撃性を持ったサウンド、革新的なサウンドはパンクにカテゴライズされてきた。そういう意味で少々損をしているのがザ・ポップ・グループというバンドだ。

Y ハウ・マッチ・ロンガー

 バンド名はポップ・グループだが、やってる音は超前衛的なサウンドでもありいわゆるパンクロックとかロックらしい音楽ではない。ただ、姿勢が間違いなくパンクであり彼等はロックの人間である。この辺がレコードだけを聴いて判断していかなければいけない海の向こうの世界の現実とのギャップなんだよな、日本ってのはさ。もちろんそれでも伝わるところが凄いんだけどさ。このバンドも得体の知れない部分が多かったし更に数年の活動のみだったということもあって完全に伝説扱いになっている。CDの方も全然再発されなかったのでプレミアものだったしね。ちょっと前に再発紙ジャケされたみたいだけど。

 音楽的に言えば…、カミソリのようなエッジの立ったギターサウンド、氷のように冷たくアバンギャルドなピアノ、非常にテクニカルで印象的な旋律を刻むベース、その他ノイズ。でも歌があるものについてはポップ・グループの名に恥じない聴きやすいメロディを持った歌だったりするんだな。一般的には決して受け入れられない音だし、音楽というものでもない。攻撃的な、刺激的なサウンド。ファーストは「Y」と言うもの。セカンド「ハウ・マッチ・ロンガー」はそれに更に輪をかけたサウンドの凶暴性を持った最高傑作。そして崩壊。

 しかし紙ジャケなくなったらまたこんなプレミアなのか、このCD…。やっぱマニア向けなんだな(笑)。

Psychic TV - Dreams Less Sweet

カテゴリー: 80s New Wave

 アヴァンギャルドサウンドっつうのは何のためにやってるのか…、リスナーのことなどさほど重要視していないしやっぱり演奏する側のワガママと意思の強さなんだろう。それが凄いことに才能のある人間の音だったりすると芸術に昇華するというのも不思議なのだが、この分野のサウンドの主の代表格には有名なジョン・ケージがいたりする。それからやっぱりドイツのカンとかそれに近いものがあるし、我が日本では灰野敬二裸のラリーズと言ったところか。マイナーならば突然段ボールや非常階段なんてのもそういう部類なのだろうが…。それらの原点でもあるバンドはと言えばやはり英国のスロッビング・グリッスルというバンドでそこから派生したと言うか独立していったカリスマのジェネシス・P=オリッジ率いるサイキックTVというバンドもある種一世を風靡したのかもしれない。

Dreams Less Sweet Origin of the Species, Vol. 2
Psychic TV - Essential Industrial Masters Essential Industrial Masters
Psychic TV - Origin of the Species Origin of the Species
Jamie Clarke's Perfect - Psychic TV - EP EP

 サイキックTVとの出会いは何故かリアルタイムだったりして、別に興味があったワケじゃなくってパンクってどんなん?みたいに漁ってた時期に被ってくるんだよね。その頃の雑誌とかでは今のパンクはこれだ!みたいにサイキックTVが取り上げられていたりして、しかもアルバムがこの「Dreams Less Sweet」なんだよ。だから当時貸しレコで借りてきてたような気がする。よくこんなもん置いてあったよな(笑)。いやぁ、もちろんさっぱり理解できなくて無駄金払わされた〜って地団駄踏んでました。

 その中味はと言えば、アヴァンギャルドだからさ、当然効果音と呪文みたいなもんで、曲なんかではないのだ。その昔のスロッビング・グリッスルでは工業ノイズとかテーマが決まってたからまぁそれはそれでっていう感じだけどこっちはもう完全に儀式のための効果音、ってのだからかなり危ない。でもこのアルバムが一番まともに音楽的価値を語れるもので、他はそのレベルまで達する以前のお話らしい。しかも怖いことにこのセカンドアルバムは確かCBSからリリースされていたような気がする。ファーストもどこか大手レコード会社からのリリースだったし、まぁ怖いもんだよなぁ。80年代初頭のバブリー期とは言え、もの凄い挑戦だったと思う。そしてもっと怖いのはこういったサウンドと形式にハマり込んでいく輩が割と多くいたってことだ。90年代に入り時代が病んでくるとここらから影響を受けたミュージシャンが今度はカリスマになっていく…。う〜む、やっぱりヨーロッパの伝統は深い。

 そして今、彼等のCDを手に入れるのはかなり至難の業らしい。進行形の彼等はライブアルバムをひたすら垂れ流しているが、どんなライブなのか?雰囲気だけで引っ張れるものなのか、なかなか気にはなるもんだが…。サウンド的には初期はひたすらノイズ系なのだがハウスサウンドと出逢ってからは完全にアシッドハウスの世界に行っているのでサウンドには大幅な変化が生じているようだ。


All About Eve - All About Eve

カテゴリー: 80s New Wave

 ゴシック系一派からメジャーシーンに出てきたと言う割についたファンは英国伝統のトラディショナルフォークやプログレファンだったというなかなか幅広いファンを獲得することになったオール・アバウト・イブというバンド、まぁバンド名は「イヴの総て」なワケでそれだけでそそられるものがあるのも事実だが、この事実の裏には更に驚くべきことが眠っていたりするのだ。だから故にオールドロックファンも気になってしまうバンドということで実に幅広いファン層を取り込んでいる。そして奏でる音は実に心が癒される音世界のため一般のリスナーでも普通にリラックスして聴けるのだから凄い。

All About Eve Scarlet and Other Stories
All About Eve - All About Eve All About Eve
All About Eve - Scarlet and Other Stories Scarlet and Other Stories

 何と言っても個人的なオススメではファースト「All About Eve」セカンド「Scarlet and Other Stories」に限る。まずはどちらのアルバムもプロデュースをしているのは元ヤードバーズのポール・サミュエル・スミス。うん、初代ヤードバーズのベーシストが1988年に送り込んだバンドのひとつなんだよ。これ以外でメジャー所で彼のプロデュース作品が陽の目を見たことってあんまりないのでまず驚き。そしてファーストアルバム「All About Eve」の美しいジュリアンヌ嬢の艶めかしい姿をジャケットに据えているのだが、そのジャケ写を撮ったのが記憶が正しければ同じく元ヤードバーズのクリス・ドレヤのハズ。どちらもヤードバーズのベースを務めたことのある二人がそんなところで90年代を迎えようとしている時代に繋がっているってのはなかなか嬉しいことではないですか。

 で、肝心の音の方なんだけど、これがねぇ、もうゴスとかなんとかではなくって完全にアニー・ハスラムとかそういう世界に繋がってくるし、アコースティック調のギターにベースにドラム、そしてジュリアンヌ嬢の歌声なので売れる素地は完全に出来上がっているんだよ。出てくる音も静かでメロディの綺麗なものばかりなので聴きやすいしね。ただ、面白いのは歌メロだけ取ってみるとアレンジ次第では完全にゴシック調やパンク的な方向ってのは向かいやすいラインなんだよね。今で言えばどこかエヴァネッセンスみたいなメロディなんだもん。耽美的というにはあまりにもポップ過ぎる感じで一般的な音なのでちょっと違うんだけどさ、同じ時期に英国のシーンに同じような出方で出てきたバンドなので並べておこうかな、と。結構天使の歌声的な声はしているよ。そんなに上手くないけど(笑)。ただ音は凄く透明感があって綺麗で、この頃のニューウェイブとも取れるサウンドもある。どこかアニー・ハスラムのソロとかMaggie Reilly - ROWAN マギー・ライリーのソロとかそういうのを思い浮かべる世界。

Joy Division - Closer

カテゴリー: 80s New Wave

 1976年に産声を上げたパンクの波は一瞬にしてその攻撃性を他のジャンルに譲り、即座にニューウェイヴとしての音楽性を発揮してきた。外に向けて発散するパンクの攻撃性は同時に自身に向けて内部に発するエネルギーの封じ込めという手法にも使われることとなりそれが陰鬱な英国の空気と相まって新たな音楽を産み落としていったのだ。先日のバウハウスなども同じような時代に同じコトを進めていたバンドで、それはゴシックサウンドとしてナルシストの世界へと導かれていくこととなったが、同時代に更にシリアスだったバンドにジョイ・ディヴィジョンというバンドがある。別段有名なバンドでもないのだろうが、その筋にはカリスマのバンドだ。バンドに在籍していた人物が死ぬことで伝説化することは往々にしてあることだが、このバンドもその例にならうトコロは大きいのだろう。…が、そんなことを気にしないで聴いた時、果たしてどんなバンドなのだろうか?そう思い久々に聴いてみる。

Closer アンノウン・プレジャーズ

 やっぱり暗い。

 とことん暗い。

 それがジョイ・ディヴィジョンのセカンドアルバムにして名作と呼ばれる「Closer」という作品だ。ただ、歌詞を抜きにして聴いてみるとパンクの持っていたスピリッツを内側に向けていることはよくわかるだろう。演奏も大したことはないのだが、無機質なドラミングによるリズムが淡々と音を刻み不思議と心地良いサウンドを提起してくれているのだ。単純な曲調は正にパンク的ではあるが、そこにのっかるイアン・カーティスの独特の暗さを持つ歌声は繊細な心を持つ若者には響きすぎるのではないだろうか。彼はこのアルバムをレコーディング終了してアメリカツアーに出ようという矢先に部屋で首つり自殺をしてしまう。残されたバンドメンバーは仕事をこなすこととなるが、それがそのままニューオーダーというバンドになり、それなりに売れていくのだから面白い。そしてジョイ・ディヴィジョンは歴史を閉じることになる、というかこのアルバムのリリース時にはいないわけだからラストアルバムなんだよな。しかし音的にはかなり新鮮サウンドだったことは間違いなくて、後の英国から生まれてくるバンドに大きな影響を及ぼしていることは一目瞭然。多分ザ・スミスあたりには多大なるインパクトだったんだろうと思うが。

 ファーストアルバム「アンノウン・プレジャーズ」はもう少しロック的な要素が強くて理解しやすいところにあるし、ジャケットの印象も強い作品。まぁ、どっちが良いかと言うのは難しい選択ではあるんだけどね。セカンドの暗さっつうのがこのバンドの真髄であることは間違いないわけで…。はぁ、ちょっと浮き上がれない音だな…。

Bauhaus - In the Flat Field

カテゴリー: 80s New Wave

 耽美系として語られる4ADレーベル、その源は当然ながらコクトー・ツインズのメジャー化によるものでイメージが固定されているが、それ以前にも当然レーベルとしての歴史があり、元々はベガーズ・バンケットレーベルから独立してできたレーベルということもあり、実験色が強い傾向にあるのは当然のことだろう。そしてもちろん耽美系ということに留まらず実験的なバンド、それも実に英国的な側面を持ったバンドに特化したレーベルのような気がするのだがどうだろう。

In the Flat Field Press the Eject and Give Me the Tape スカイズ・ゴーン・アウト(紙ジャケット仕様)

Bauhaus - The Sky's Gone Out The Sky's Gone Out
Bauhaus - Mask Mask
Bauhaus - Crackle Crackle

 そんな中にかなりとんでもないバンドがひとつ混じっていた。バウハウスだ。リアルタイムの頃は全然そういう音に興味がなかったしルックス的にもなんとも思わなかったので通っていないバンドなのだが、英国漁りに辿り着いてくると新たに聴くモノとして出てきたのがこのバウハウスだった。もちろんファーストアルバム「In the Flat Field」なのだが聴いた時に最初に思ったこと…、日本のイロモノバンドって全部このパクリじゃねぇか、って。歌い方も音もスタイルも効果音もファッションも。みんな知っててやってるのかな。知らないでやってたらそれは本能ってことになるんだけど、ってことはそういう本能を持ったヤツが同じテーブルにいるってことか?まぁ、いずれにしてもオリジナリティがあってやってるワケじゃないってことはよくわかった(笑)。もちろん売れりゃいいんだが。

 う〜ん、それでも音楽歴的に言えば決して突然変異ではないワケだよなぁ。1976年ピストルズが出てきて77年にはもうPILでしょ。一方ダムドもサードアルバムあたりからはこんなゴシックサウンド的な音に向かって行ったワケで、バウハウスが出てきたのが1979年だからダムドと同じ時期か。英国のパンクの行き先のひとつにこういうサウンドがあったんだろうな。そう、ゴシックサウンドと呼ばれるんだけど、なんというのか淡々としたロマンティストが上手くもない歌声で歌い上げる…というかシャウトするっていう手法に近いんだけど…。ただ、ひとつだけ言えるのは「かっこいい」。ルックスのみならず音のナルシスト度合いも格好良く決まっているので、伝説的なバンドになっているんだろうな。オリジナルアルバムでは最初の歪んだベース音から入る「Bauhaus - Crackle - Double DareDouble Dare」なんてのが最高にかっちょよいし、それ以外でもベースはもの凄く重要な音を占めていてラインを歌わせているのだ。ともすればビート系になりそうな楽曲をベースがシュールに留めているような印象すらある。

 このバンドで有名なのオリジナルバージョンよりも格好良いと言われることの多いカバー曲の存在。ボウイの「Bauhaus - Swing the Heartache: The BBC Sessions - Ziggy StardustZiggy Stardust」にしろT-Rexの「Bauhaus - Swing the Heartache: The BBC Sessions - Telegram SamTelegram Sam」にしろとんでもなくクールでシャープなサウンドを奏でているし、ピーター・マーフィーの圧倒的存在感による歌は彼等のヒーローを超えている…のも納得する。

 バンドはこの後親レーベルに持って行かれるので4ADからのアルバムリリースはファーストだけなんだけど、移籍してからの「Press the Eject and Give Me the Tape」「スカイズ・ゴーン・アウト」なんてのもかなり面白い作品で、こういう世界が好きな人はハマるんだろうなぁ。

This Mortal Coil - It'll End in Tears

カテゴリー: 80s New Wave

 80年代に入ってから始動した4ADレーベルがその勢いのままに所属バンドの歌姫達を一堂に会するというスペシャルなバンド構想ができあがった。レーベルの創始者であるアイヴォ・ワッツ氏が画策し、ひとつのユニットを創り上げて、なんとアルバム一枚だけではなく三年間に渡り三枚もの作品を作り出したという正にインディーズ上がりのレーベルの小さい単位だからこそ出来るファミリービジネスっつうか、そんな感じで良い。端的に耽美系と呼んでいるものの、その音楽性にはそれぞれのバンドの特性があるのはもちろんなんだが、このthis Mortal Coilというユニットではそれらが上手くひとつに結びついている感覚になる。歌メロも当然美しいだけでなくバックの音もひとつひとつが実に凝ったサウンドに仕上がっているしそれらはまるで朝焼けの水たまりに濡れた葉っぱから滴が一滴だけ垂れてきて、ポチャンっと水面とぶつかった時に跳ねる滴のようなサウンド…う〜ん、よくわからんな(笑)。

It'll End in Tears Filigree & Shadow Blood
This Mortal Coil - It'll End in Tears It'll End in Tears
This Mortal Coil - Blood Blood

 1984年リリースのファーストアルバム「It'll End in Tears」が一番完成度が高くて人気が高い。以降1987年のセカンド「Filigree & Shadow」1991年のサード「Blood」と続く。ここではファーストの「It'll End in Tears」を取り上げておこうかな。

 やっぱりコクトー・ツインズのエリザベス嬢が歌う二曲目の「Songs To The Siren」が一際輝いているように聞こえるなぁ。雰囲気と言い音のエコーといいもちろん彼女の歌声が圧倒的なんだけど、最高に美しい、正に堪能してしまう美学っつう感じでね。そこには音楽的ルーツってのがあるのかもしれないけれど、ヨーロッパの文化から受け継がれたヨーロッパ人としての伝統が根本に存在しているワケで、もっと言い過ぎる形で言えば、クラッシックの巨匠達が学んでいた室内楽の雰囲気を80年代のエレクトリック鍵盤により空気だけを上手く持ち込んだ、そんなヨーロッパ的な音。

 ロックとは何?みたいな議論も呼んでしまうくらいにロックからはかけ離れた世界にある美しい音世界。ただ、やっぱりロックなんだよな、何でか知らないけど(笑)。多分意思の問題だろうね。聞き手側にそれを意識させる何かを持つアルバム、それは多分作り手のポリシーというか魂なのかもしれない。別に全く熱い部分ないアルバムなんだけどねぇ。まぁ、そんなの語ることもないだろうから普通に聴いてりゃいいけどね。リラックスして静かに目を閉じて明かりも消してただただ音世界に身を任せる、そんな贅沢な聴き方じゃないと理解できない作品なんだよな。

Dead Can Dance - Into the Labyrinth

カテゴリー: 80s New Wave

 生きていくと現実逃避したくなることが多い。それは嫌なことや忘れたいことに直面した時なのだが…、簡単な手法としては酒を飲むっつうのがある(笑)。まぁ、これはほとんど全ての日を通じて実践しているワケでおかげで一日のウチ何時間かは記憶が曖昧になることで現実逃避する。他には甘ったるい空間を過ごすという至福の時もあるが、これはなかなか難しい…。そしてもうひとつ甘美なる音世界に身を任すってこと。ただしこれも完全に一人の世界に入っていないといけないので現実的な時間に束縛された環境下でどこまで入れるのかという問題はつきまとうのだが…もちろんiPodなどで電車の中で聴くワケにはいかない音楽だから、当然ゆったりと聴く心構えも必要。4AD系の音は一括りにしてしまっているが当然中味はそれぞれが個性的で特色の強い音世界を紡ぎ出しているのだから、聞く側も心して聴かないと何聴いてるのかわからなくなってしまうのだ(笑)。

 「Dead Can Dance

Into the Labyrinth Serpent's Egg Dead Can Dance
Dead Can Dance - Into the Labyrinth Into the Labyrinth
Dead Can Dance - The Serpent's Egg The Serpent's Egg
Dead Can Dance - Dead Can Dance Dead Can Dance

 バンド名からしてかっこいい。そして響きも良いし覚えやすい。最初期はどこかポジパン的なイメージで出てきたもののすぐに独自の世界観に目覚めてひたすら古楽室内楽的なサウンドに突き進んでいったバンドで、絶対にロックではないのだが、凄くロック的な面も持ち合わせている恐ろしくもデカダンなバンド。一般的に耳にすることはまずないと思うんだけど、漁ると結構色々出てくるので面白い。そしてバンドは1984年にデビューして以来今でも現役で活動しているのでアルバムリリース枚数もなかなかのもの。

 割と取り沙汰されるアルバムとしてはファースト「Dead Can Dance」、それから1988年リリースの4枚目「Serpent's Egg」辺りかな。で、まぁ、部屋の中を探してみたんだけどどうにも6枚目の「Into the Labyrinth」しか見つからなかったのでこいつで書こう(笑)。いやぁ、まったく、どこがロックなのか(笑)。宗教音楽っつうのか、深夜のしっとりした雨が降る夜に白装束で神社に籠もるような姿を想像する実に美しくも恐ろしく素晴らしい音世界。ギターだのなんだのっつう楽器はもちろん存在していなくてひたすらパッカッシヴな音と効果音、そしてリサ・ジェラルドっつうこれまた美しい女性の歌声とブレンダン・リーっつう人の声ばかり。正に耽美的というには相応しいんだけど…ある意味こういうのをマジメに毎日聴いている人ってのはちょっとコワイかもしれん。ただ現実逃避は間違いなくできるし、ハマるとコワイ世界。でもねぇ、聴いているとやっぱり美しくも正しい英国的なメロディーを持つ曲がチラホラ聞かれるし、やっぱり英国だなぁというのは多い。「Dead Can Dance - Into the Labyrinth - The Carnival Is Over The Carnival Is Over」の美しい展開とか「Dead Can Dance - Into the Labyrinth - Tell Me About the Forest (You Once Called Home) Tell Me About The Forest」なんてのはハッとするような曲で良いよなぁなんて思うもん。

Cocteau Twins - Treasure

カテゴリー: 80s New Wave

 天使っているのかな。唐突にワケのわからんこと書いてるが…(笑)。もちろん象徴としての天使って意味で良いんだろうけどさ。昔「天使とデート」っつうエマニュエル・ベアール主演のストーリーがすごくくだらない映画があって、一発で惚れたんだけど、そういうイメージなんだろうな。自分に今まで天使って人いたかなぁ…、と思ってみる…うん、いるな(笑)。そうか、天使っているんだ(笑)。そんなくだらない話はどうでも良いのだが、音楽の世界にも「天使の歌声」と呼ばれる美声の持ち主ってのは何人かいるワケで、人によっては思い出す歌手が違うんだろうね。まぁ、キャッチフレーズの問題だからいいんだが…。

 何度も書くんだけど1980年代序盤ってのは音楽シーンが目まぐるしく変化した時期で、ポップスの世界ではMTVの台頭でそれこそ様変わりをしていた時期。英国に於いてもメジャーシーンで活躍していたポップスターの名は何度かこのブログでも取り上げたんだけど、全く同じ時期、同じ英国のアングラシーン…ってもメジャーに出てきているのもあるけど、いわゆるニューウェイブ系のアングラシーンも実に革新的な世界が繰り広げられていて、こちらは表の華やかさとは全くかけ離れた世界が存在していたのだ。

「耽美系」

 今書けばそういう言い方になるのかな。いわゆる4AD系のサウンド。4AD=レーベル名なんだけど、ひとつのジャンルを確立しているのだ。自分もそれほど詳しくないけど改めて聴いてみるとこんなのもウケていたんだ…とかなり不思議になる音。いくつかあるので日を追って順に書いていこうかな、と。

Treasure
Cocteau Twins - Treasure Treasure
Cocteau Twins - Victorialand Victorialand

まずは代表的なものとしてコクトー・ツインズがあるよね。アルバムでは最高傑作と言われている1984年リリースの「Treasure」って作品が完成度高いみたい。音的な説明だとねぇ…、歌は正に天使の歌声と言われるエリザベス・フレイザー姫のケイト・ブッシュのような美声がアルバム全編を覆っていて、且つディアマンダ・ギャラス的な多重録音による効果と深〜いエコーをかけたエフェクトに彩られたなんともまぁ艶めかしい歌なワケで、決してポップではないけれど、どこか聴きやすいホントにまどろむ歌。バックの音は機械的なドラムマシーン的な音でリズムがゆっくりと叩かれて、他はもう効果音みたいなもんで、コレをロックとするかどうかっつうのはちょっと別の話なんだが…、詩的に書いてみると、明るすぎない三日月夜に湖を見ながら濡れた木々から滴り落ちる滴が月明かりと交わる…そんな雰囲気の音。…わからんよな(笑)。