David Gilmour - Live At Pompeii

David Gilmour - Live At Pompeii
LIVE AT POMPEII [2CD]

 バンドが分裂するとこういう事にもなるのだなぁ、と言うのは他のバンドでも知ってたけど、ピンク・フロイドの両名に於ける分裂劇とその後の歩みは他のバンドのそれとは結構違う気がする。結果的に今となってはロジャー・ウォーターズの演じる世界観とデイヴ・ギルモアが演じている世界観が中味は異なれども出てくる音には大差ない状態になっている、即ち音楽的な面ではまったく分裂した意味がなかった、という事だ。もちろんそれは両名ともファンとも知っている事だろうし、ロジャー派だ、ギルモア派だ、などと睨み合っていた時期もあったが、今では時間さえ合えばライブへのゲスト出演すらするという間柄にもなっているようだ。何とも微笑ましい話だけど、もう再結成ってのはあり得ないからそのままの形で進むのだろう。それにしても同じような雰囲気を醸し出すライブを二人が別々の所でやってるってのが冒頭の文になるのだな。

 David Gilmour の2016年のポンペイでのライブの模様を収録した一大スペクトラムライブショウ作品「Live At Pompeii」がリリースされた。もちろんピンク・フロイド時代からの思い入れもあるし、時代を経ての文明の発展もある。そしてレーザー光線も多用した最先端のステージ作りとコンセプト、それにギルモアが築き上げてきた音世界によるスペクトラム、もちろんピンク・フロイド時代の曲が大きくショウを盛り上げているし、雰囲気を生み出しているのは当然だが、ここまで大きく成功させたのは素晴らしい。作品として見ていても長老となり果てているギルモアが気持ち良さそうに伸び伸びと歌い遊びギターを弾き、また他にも幾つかの楽器を遊んでショウを楽しんでいる。もちろんコロシアムの中はピンク・フロイド時代とは異なり、超満員の観客で埋まっている。素晴らしい。

 ピンク・フロイド時代の曲はピンク・フロイド以上に丹念に作り上げられているし、自身の曲にしてもそういう雰囲気に似合う形で演奏されているかのように見える。いや、もうそのままなんだろう、ギルモアの世界はこういう世界なんだという感じ。昔から聴いていると、この世界は虚構、ショウアップされている世界とも思えるけど、もうここにしか行かないんだろうな。対するロジャーは自身をそのまま持っていくとこういう世界観になる。中味はまるで違うけど、手法としてはギルモアと同じようなものになっちゃう。もちろんロジャーは俺のものだ、って言うだろうけど(笑)。どっちが演奏しても名曲郡は名曲だし、演奏だってプロ中のプロが演奏しているんだから遜色ないしさ。だからこの二人が一緒にやればもっと凄いのになぁ、なんてマジマジと思うんだが、そうはならない。ン十年経っても同じ世界観でのショウを続けているという…、変えられないか。もうね、とやかくも何もないんだけど、単純に凄い世界だなぁ…と浸れる。そういう作品。






John Wetton - Caught in the Crossfire

John Wetton - Caught in the Crossfire (1980)
コート・イン・ザ・クロスファイアー(紙ジャケット仕様)

 ロックの世界でもいつしか渡り鳥と呼ばれるくらいに様々なバンドに参加しては脱退し、それでいてキャリアはきちんと形成していった人々も多い。コージー・パウエルやドン・エイリー、ケン・ヘンズレーやジョン・ウェットンなんかもその類に入るのだろう。ブラッフォードやサイモン・フィリップスなんかもそんなトコロかな。こういう方々がソロ活動した時ってどういうのがやりたかったんだろう?って素朴に疑問を抱くのだが、大抵は大きく、かなり大きく期待を外される事が多い…。

 John Wettonの1980年リリースのソロ名義でのアルバム「Caught in the Crossfire」。何とメンツはフリー/バドカンのサイモン・カーク、ジェスロ・タルのマーティン・バレ、AWBのサックスメン、ジャケットはヒプノシスという揃いも揃ったメンツでの録音。誰がどう聴いても期待させるのだが、出てきた音は…、そう、Asiaで聴かれるあの音のプロトタイプとも言うべきサウンドで、全くの肩透かしを食らうのだ。Asiaがあんだけ成功しているからそこから入った輩は気にいる作品なのは間違いなかろう。しかしなんでそういう音が出て来るのかは全くわからん。こういうのなら簡単に作れるししかも売れたら好きな音楽を更に探求できるんだからこういう路線もハイレベルではあるし、やってみるか、なんてトコロだろうか?ソロ名義でやっちゃうんだからなぁ…。

 昔プログレにハマってた時にソロアルバムあたりまで手を出しててさ、しかもこの直前はU.K.だったんだからバリバリにベース弾いてたワケよ。んでソロアルバムのメンツ見てサイモン・カークでしょ?こりゃもしかしたらマーティン・バレもいるからブルースベースなのもあったりするんじゃね?なんて思ったりもしたけどね。ただ、全員カネは無かった人達だろうから、この路線へのチャレンジも見ておきたかったのかもしれない。売れはしなかったとは思うけど、Asiaで飛躍しちゃったからこの路線も悪くなかったのは確かだろう。それにしても…、だ。



King Crimson - Heroes (Tribute to David Bowie)

King Crimson - Heroes (Tribute to David Bowie)
ヒーローズ~トリビュート・トゥ・デヴィッド・ボウイ

 王道ロックを聴き漁るには実に贅沢な環境が揃っている現代、それに加えて現役で進行中のバンドも幾つかあるのだからジジイになったとは言えどもそれなりの作品や面白い試みってのもリリースされてくるし、もうライブアルバムとか怒涛のようにリリースするのも当たり前になってきて、一時期のアングラものなどでライブを一生懸命探して聴くなんてのも減ってきただろう。こんだけオフィシャルが色々出してくれればそりゃリスナーも満足だしね。そんな試みを先陣を切って進めてきたのがキング・クリムゾン、今回は意外と言えば意外、あると言えばある音源をリリースしてきた。

 King Crimson「Heroes (Tribute to David Bowie)」。もちろんライブでの演奏による収録だけどね、かのロバート・フリップ卿がボウイの「ヒーローズ」にイーノと共に参加していたのは有名な話だろうけど、クリムゾンのイメージからボウイってのはかなり異なった方向にあったからどんなんだろ?ってな興味は引いたと思う。その答えがあの「ヒーローズ」で、なるほど、と唸らされるものではあった。見事に三者三様のセンスが合体したヨーロッパ的な曲に仕上がり、その後名曲として演奏されてきた。ボウイ亡き後、この遺産をまさかロバート・フリップ卿がKing Crimsonというバンドで引き継ぐとは思わなかったが、それがここで実現。言われてみれば今のメンバーにはいないけどエイドリアン・ブリューだってボウイと絡んでたし、割と接点のあるバンドだったとも言えるか。まぁ、往年のリスナーにとってのクリムゾンってのはジョン・ウェットンとかブラッフォードだからちょいと異なるが…。

 そのクリムゾン版「Heroes (Tribute to David Bowie)」、恐ろしいほどに気合の入りまくったロバート・フリップ卿のレスポールでのロングトーンによるあの効果的なサウンドが強烈で、終盤になればなるほどにこの気迫が狂気とも思えるほどに暴走し、真髄を刺してくる。なんだこの気迫は。多分本人普通に弾いてるんだろうけど、曲として出てきた時には素晴らしい効果として発揮している。バンドの演奏の完璧さも確かだから故、そこにはボウイの「ヒーローズ」のカバーという概念よりは明らかにKing Crimsonの「Heroes」としてプレイされている姿が聴ける。恐るべし。このミニアルバムには他にも今のクリムゾンのライブ曲が入ってるのでもちろん聴くのだが、70年代のあの狂気の曲がここまで洗練された知的な音楽として演奏されていることに少々驚きを覚えるものの、なるほど知性あるメンバーで的確にプレイされており、十分に楽しめた。なかなかユニークなバンドの進化形態と言えるだろう。久々に接した近代クリムゾンの姿だが、実に高尚な世界へ入っているバンドになっているし、ロックというものもきちんと体現しているし、怖いものなしだろう。素晴らしい作品に感謝。







Roger Waters - Is This The Life We Really Want?

Roger Waters - Is This The Life We Really Want? (2017)
イズ・ディス・ザ・ライフ・ウィ・リアリー・ウォント?

 ピンク・フロイドがビートルズ並みの評価を得るとか万人に聴かれるバンドになるなんて想像もしなかった。当の本人達だってそうだろう。アルバムごとにそりゃカラーは違うけど決してポップス的に聴ける音楽じゃないし、実験精神旺盛なプログレッシブな代表バンドでもあるし、それがどうして世界各国で万人に聴かれるバンドになったのか。しかも年を追うごとにその評価は高まる一方で、世界レベルでの人気の高さは日本では考えられないほどに高い、だろう。クイーンとかZeppelinってのは分かるんだけどピンク・フロイドがそこに入るのはホント不思議。「Echoes」とかみんな聴いてられるんだ?とかね。

 Pink Floydの頭脳と言われるようになったのか…、Roger Watersの2017年期待の新作「Is This The Life We Really Want?」。正に「死滅遊戯」から25年、途中「サ・イラ」もあったし、「トゥ・キル・ザ・チャイルド」もあったけど、フルサイズでのオリジナルアルバムという意味では25年ぶりになるようだ。それでもその間どデカいツアーは何度も行っていて、ライブツアー収入No.1の座に上り詰めるほどに大きなツアーとセットリストを組み上げて活動している。CDが売れない時代にこれほどの大型のツアーでガツンと聴衆の度肝を抜くというショウは他のアーティストには真似出来ないレベルでもあり、それこそロジャー・ウォーターズの世界=すなわちピンク・フロイドの進化系、2017年の世界までを広げている。アナログ時代からデジタルになり、器材も技術も最先端のものを活用しての「The Wall」の再現などいつでも新鮮なショウを楽しめるんだから凄い。ノスタルジックにライブやってますってだけじゃそうは出来ないワケだから、そこにもこだわりがあり、その途中で幾つかの新曲が登場することもあり、それらも含めて本作「Is This The Life We Really Want?」には収録されている。しかもすんなりとアルバムのテーマに沿ってあるべき場所に落ち着いてしっかりとその存在感を出して鎮座しているものだ。

 アルバムに針を落として…って針じゃないけど…、アルバムを聴き始めてみれば分かるように、これはもういつものロジャー・ウォーターズの作風、世界そのままで音楽的な面からは大きな進化変化、実験意欲などはさほど見られることなく、淡々と歌詞とその重さの雰囲気を伝えていく作風そのままだ。とは言ってもロジャー・ウォーターズ以外でこういう作風を聴くことはあまりないので、独自路線ではあろう。ファンからしたらいつも通り安定のロジャー・ウォーターズ節で、最先端の何とか、みたいなのを取り入れた音楽という形にはなっていないので安心だ。効果音にアコースティック、オーケストラ、ドラマティックなアルバムの流れ、どギツイ風刺を込めた歌詞、相変わらずの戦争批判と権力批判、現実の世界への目の向け方と逆側からのものの見方による歌詞、以前にも増して文章から単語の羅列へと変化してきている歌詞の作り、それでいてきっちりと思いを伝えていく鋭い単語の選択。はっきり書けば、決して聴きやすい音楽ではないしアルバムでもない。ただひたすら重い雰囲気が歌詞と共に伝わってくるアルバムだ。「The Wall」の途中あたりと同じ雰囲気を持っていて、そこにはヒットソング的なチューンが存在していないため、流れとして重さが増してくる。

 いいね。好きです。これぞロジャー・ウォーターズの作品。全く裏切られることなく深みにハマれるアルバム。プログレッシブでもポップでもなく、ロックの重鎮が生み出した正にロック的なアルバム。迫りくる狂気と自身の不安さを同居させてリスナーに訴える、世間との距離感、ひとつの共同体、昔と違っってロックスターが何かを言ったトコロで世界が影響されることなないだろうけど、それでもロックというものが持っているアジテーションをして訴えたかった内容が詰め込まれている。間違いなく一人でじっくりと頭を項垂れて聴いていくべきアルバムです(笑)。





King Crimson - Discipline

King Crimson - Discipline (1981)
Discipline: 30th Anniversary Edition

 食わず嫌い、なバンドやアルバムってのが昔から多いと自分で認識してる。だって、ロックなんて見た目でカッコ良い!って思えるかどうかってのもひとつのロックらしさだから、見てくれがかっこ悪かったらありゃダメだ、ってなって聴かないってのもあるしさ。逆に好きでも見てくれがあんなんなの?ってのが分かると萎えたりする。マウンテンなんてのはそうだ。レスリー・ウェストのあの巨体を見たことなかった時は良かったけど、見たらありゃロックじゃねぇ、って感じ(笑)。仲間と飲んでて言われるのは「自分はポールが好きじゃない」ってぇと「何で?」ってなる。「うん、顔がキライ」って言うと「じゃ、しょうがない」って納得される。うん、ロックだろ?(笑)

 King Crimsonの1981年の再結成後初作品「Discipline」。クリムゾン聴き始めてからン十年以上経つけどこれ、最初からダメでさ、この頃の3部作なんてのは全部聴いてない、多分。聴いたかもしれないけどダメだった。何度か挑戦しようとした記憶もあるけど、歌とギターのトーンとクリムゾンらしからぬって所でダメだったんだよね。90年代に復活したクリムゾンは好きなんだけどさ、80年代のは全然ダメ、だから無かったことにしてた。今回ザッパの所でエイドリアン・ブリューが出てきて、そうかこの人もいたな、と思い出したので、ザッパの次の仕事として参加していたのがクリムゾンだったのか、と。んで、ブリューって、ザッパの所だと、歌手じゃなくて芸人なワケで、それもギター変態も含めての芸人で、それがクリムゾンで生かされるってのはクリムゾンに笑いの要素を持ち込んだって事なんだよな、と。それをフリップ卿が願ったかどうかわからないけど、ギターの芸人の方は明らかに絶妙なアンサンブルを形成しているから面白かったのだろう。その分芸風発揮の方はリスナーには好まれなかった、ある意味パンクだったワケだ。見事にその姿勢にうんざりした方でしたが…。

 んでね、ああいうのもありとして聴くならどうなのかと思って久々に手を出してみた次第。「Discipline」。冒頭、やっぱうんざりする。しかしこれを耐えると次は耳を引く音色とフレーズが満載で、おぉ〜、さすがじゃないですか、とちょっと取り戻す。んで、その次、「待ってください」じゃねぇと。待てねぇよ、これ、さっさと消えろ、くらいにしか思えなくてじっと耐える。そこまで耐えると次は往年のややゴツゴツしたハードなクリムゾンが出て来るので徐々にテンション挙がってくるのだが、歌が…、要らねぇ…、要らねぇよ…、ってな感じか。それでもギターやスティックを含めた鉄壁のリズムに囲まれたサウンドはこの頃では新しい音楽だったし、聴いたこともない世界だったことだろう。なるほど、一部のリスナーから名盤だと言われるのもわからんでもない。自分が好きかどうかってのは別だけど、でも、ちょっとそうなんだ、って思ったのはある。そりゃそうだよな、あんだけのミュージシャン達が集まって作っててつまらないもん目指すってことはないんだろうし、ポップスに魂売ってたワケでもないし、じっくり聞けば楽しめるトコはあるだろう。う〜ん、深いなぁ、クリムゾンは。





Pink Floyd - Cre/Ation - The Early Years 1967-1972

Pink Floyd - Cre/Ation - The Early Years 1967-1972
アーリー・イヤーズ・クリエイション

 Pink Floydってのは取っ付きにくいバンドのハズだ。ところがいつの間にか普通にロックファンなら聴いていておかしくないはずのバンドになっていて、英国や世界各国でもビートルズと同等扱いのレベルのバンドになってしまっているようだ。何でだ??そんなにみんな簡単にフロイドの世界って理解出来ちゃうのか?ってのがまず不思議。実はそこまで広く普及しているんじゃなくて好きだっていう人が増えてる、ってだけなのかもしれない。それでも不思議だけどさ。初期フロイドからサイケやってる頃までのなんてそんなに聴けるかね?分からんなぁ…、それでも27枚組なんていう化け物ボックスをリリースしちゃうんだからそれなりの商業的見込みがあるワケだし、何か凄い。

 んで、今回はその27枚組からの抜粋版2枚組の「Cre/Ation - The Early Years 1967-1972」なんてのを。先行リリースされてたんだけど、まぁ、今じゃ27枚組も手に入るし、どうせ買う人は両方買ってるだろうし。そもそも27枚組なんて買う人、マニアしかいないでしょ。だったらこっちも手軽に買えちゃうし、正に手軽だし。ちょいと収録曲が中途半端な感じあるから、プロモの意味も含めているのだろう。それでも結構な演奏が聴けるから重宝するんじゃない?BBCのはともかく、「原子心母」の70年のライブで4人のみでの演奏…、あのテーマメロディとか入ってないから新鮮さはあるけど、物足りなさ感倍増(笑)、それでもあのままだから凄い。やはりおかしい、この人達。続いての「Echoes」セッションの抜粋版で、これまた見事にあの世界観がこの時点からしっかりと映し出されている作品として緊張感も含めて聴き甲斐のある一曲で、このあたりからかな、さすがの蔵出し音源集、みたいに思えたのは。見事にミックスしたり音も作られてて聴きやすくなってるのは当たり前で、音の古さを感じさせないところも凄い。

 27枚組の方はどうなんだろ?もちろん聴き甲斐のあるソースが揃っているようで魅惑的ではあるけど、まだ手出ししてないでいる(笑)。まぁ、時間の問題だろうけど…。昔ほど真剣にアレがどうのとかいう感覚で聴いてないからコレクトしていく意欲もさほど強くはないし、それでも聴いてみて驚きはある方が嬉しいし、さてさてどうしたものか。それまではこの2枚組でもじっくり聴いている方がコンパクトでわかりやすくて良いのかも…、なんて負け惜しみ。





David Gilmour - Live in Gdansk

David Gilmour - Live in Gdansk
Live in Gdansk (Snyp)

 ピーガブとケイト・ブッシュがアーティスト的に割と近い関係にあって、幾つか共演したりしている。一方でケイト・ブッシュってのはピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアが発掘して育ててデビューさせているという経緯がある。しかしながら面白いことにピーガブとギルモアってのはオープンに共演してます的なのは写真程度しか見たことがないので、奇才二人の共演ってのはなかなか難しいのかもな、などと思っていながらそういえばこれ見たいんだった…。

 2006年のライブツアー千秋楽のポーランドのライブを収録したDavid Gilmourソロ名義の「Live in Gdansk」ライブアルバム。見ていると実際は半分Pink Floydをやってるようなモンだからそういう見方になっちゃうんだけどさ、映像の方ね、見かけはそりゃ年取ってるけどもう音は芸術的な域にまで達したギルモアフロイドサウンドの究極の姿かも、ってくらい完璧に仕上がってて、その圧倒的な完成度の高さに驚くばかり。こういうのが当たり前なのかもしれないけどさ、ロジャー・ウォーターズにしてもギルモアにしてもやはりピンク・フロイドっていう芸術集団を担っていた方々はステージや音、芸術性にこだわったスタイルってのが変わらないもんなんなだと。一時期はギルモアフロイド、ロジャー抜きのフロイドって…ってのあったけど、こうなってくるとそれももう超越してて芸術音楽としてのレベルの高さにただただ脱帽。狂気からダイアモンド、そしてエコーズなんてのはもうホント、圧巻です。

 盟友リック・ライトが鍵盤で参加していたツアーで、映像でも見れるけどちょいと感動的だったのはやはりふたりのコーラスワークで、しかも「Comfortably Numb」ではロジャーのパートをリックが歌っててさ、他の人が歌うより説得力あるもんね。明らかに二人フロイドを見せてるライブで、ギルモアのギターと歌をクローズアップしまくってて、ソロ曲は元よりやはりフロイド曲を聴いてしまうよね。当時は前衛的な音楽として知られていたフロイドサウンドが40年経過してもこういう形で芸術的な音楽として今でも脚光を浴びて演奏されるってのは凄いよな。実際聴いてて見てて惹き込まれるし、今の機材だともっと進化したフロイドサウンドなんてのも出来上がっちゃうし、そういうのも実験している感じはあって何気に今でもチャレンジしている姿が聴ける。

 ポーランドという国の雰囲気だろうか、このサウンドと硬質なポーランドの雰囲気と妙にマッチしていて拍車をかけてのライブの完成度を高めている感じだ。いやはや、それにしてもエコーズが凄い…。





Robert Fripp - Exposure

Robert Fripp - Exposure (1979)
Exposure

 ヨーロッパの音楽に傾倒していったBowieさんが名盤をリリースしまくっていった頃、その雰囲気を作り上げていたのはもちろん稀代の音師、ブライアン・イーノだったのだが、その脇でその不思議な前衛感覚を音にしていくギタリストとしてロバート・フリップ卿という人物がいたのだな。そこでこの二人の化学反応を持ち込みながらもらしさを失わない強力なサウンドが出来上がったのだが、一方でクリムゾンの音は実に好みで聴きまくってるのだが、ソロ活動系になるとほとんど着手していなかった自分もいた。参加メンバーに食しをソソられなかったのとやはり前衛的な音が中心だからだろうという勝手な予想からだった。

 1979年にリリースされたロバート・フリップのソロ名義の「Exposure」。いや、もっと早く聴いておくべきだったと後悔した一枚。いつものことながらそれでもこうして耳にできた、聴いたってことで良かったな、というのはあるけど、ここまで「Red」時代のクリムゾンの延長線にある曲があるとは思ってなかった。ダリル・ホールと仲良くやってたってのが自分的にはすごくマイナスだったんで、こういう路線とは考えなかったもん。あ、それはもうダリル・ホールとの共作のお話じゃなくて、それ以外の曲のクォリティとピーター・ハミルの旋律の歌声による所が大きい。ダリル・ホールとの共作は全く面白味もなくなんでこんなのをやりたがったんだろ?と首を傾げる普通にポップス領域の曲調ばかりだ。それなりに試みはあったんだろうけど、ここで今さらフリップ卿がやる必要はなかったんじゃないかね、って気がする。

 ところがその辺以外の曲について言えば不思議な雰囲気と旋律とアグレッシブなあのギタープレイが楽しめる、もしくはフリップらしいギターの旋律が走りまくる、さらに攻撃的なスタイルが多くのクリムゾン信者を納得させる歪んだギターサウンドが聴ける。そうそうダリル・ホールの歌らしいけど「NY3」なんてボウイの「スケアリー・モンスターズ」とほぼ被る取り組みだし、こうして実験的な音は成功へと変わっていくんだなというのを聴ける一例。そういう意味でこのアルバムは価値が高いはずだ。さらに「Mary」でふと女性ボーカルが透き通って出て来るとなんだっけ?くらいに不思議な感覚に襲われる…、ソロアルバムの自由度ってこういう所にあるんだろうなぁ…曲は「風に語りて」的だからおかしくないし。そしてピーター・ハミルと一緒になっての歌とかさ、どちらも自身のバンドじゃあり得ないワケで、だからこそのこういうセッションを楽しんだんだろう、その切実な雰囲気な曲と楽しみが同居している様が聴けて面白い。

 じっくりと何度も聴ける作品じゃないけど楽しめるアルバムで、クレジット追いかけながらなるほど、ってな楽しみ方になるかな、作った時なお話を色々と調べていると結構難産だったらしくポップスター事務所からあれこれと出してくれるな的なクレームが多かったとか…、今なら出せる音ってのもたくさんあるらしい。ブロンディのデボラ・ハリーが参加してるヤツとかね。



Pink Floyd - Pulse

Pink Floyd - Pulse
Pulse [DVD] [Import]

 ピンク・フロイドと言うバンドは不思議だ。もちろん大好きなバンドのひとつなのだけど、初期のサイケデリック路線時代が割と長くて、「狂気」以降に方向をビシッと定めた音楽性が出てきて、ロジャー脱退で自分的には満了。音楽性は基本的にブルースだけどサイケや感覚的な実験音楽要素が強い。普通はそういう音楽ってのはニッチなもので一般的に人気が出るのとは違っていることが多いのだが、どういうわけかピンク・フロイドのは最初から一般的人気を博していたという…。日本でも1970年に有名な箱根アフロディーテでの初来日公演が行われててそれはそれはもう伝説のライブが繰り広げていたらしい…、今度その断片も27枚組ボックスセットで出てくるらしいので楽しみだ。そしてピンク・フロイドってのはなぜか世界中で大会場を埋め尽くすバンドになってて、今でもロジャー・ウォーターズは馬鹿でかい規模のショウを引っさげてのツアーが成功する一人だし、もしピンク・フロイド名義で二人がやってたら確実にどこもそんなの軽く埋まる。

 そんな不思議なバンドだけど、自分的にはアルバム「Final Cut」からはほぼノータッチで、映像での「Pulse」は見てもいなかったんで、ここでちょこっと見てみようかなと思ってね。それでも22年前の英国アールズコートでのライブだから…、いやいや、ちょっともう二昔前の音と光のショウの映像ですか。まぁ、大会場でプレイするロックバンドって結構きちんと分かってしまうことがあって、どんだけロックだと叫んでいても大会場になるとミュージシャンらしくきちんとしたショウに徹底してしまうバンドとやっぱりロックなままだ、ってのがはっきりする。ギルモアのピンク・フロイドってのは明らかに前者で音と光のショウ、すなわちエンターティンメントとしての要素が強く出てしまっているので、どうにも根本的に熱くなるってことがない。凄いなとか綺麗だなとかはあるけど、むやみに熱くなるってロック的なのはない。ストーンズなんかのライブは今でも熱くなるでしょ?それが顕著なのはザ・フーだけどさ。まぁ、バンドの性質が違うからってのはあるけど、特にこの「Pulse 」は自分がそういう理屈を認識する前からちょっと聴いて全然ダメだったんで…。

 その論理だとロジャー・ウォーターズがいれば違うって話だけど、うん、そうなんだよね(笑)。まぁ、その話はもう今は昔になってしまっているので、既にひとつのアーカイブとして映像を見て、時代を思えうとやっぱりとんでもなくスペクタルなコンサートショウをやってるってのが分かる。綺麗に美しく聴かせる、それが音と光のショウだ。ロックのライブではない。でも、ピンク・フロイドってのはそういうのでも良いんだ、一般的にそれでも十分に通じるバンドになっているのだ、今でも。そういうのが分かってくるとこのライブもじっくりと楽しめる。当時の新曲群は前半で、後は名盤達からひたすら演奏して満足度の高いショウを提供している完璧さ。さすがだよなぁ…。



King Crimson - Live At The Marquee, London, August 10th, 1971

King Crimson - Live At The Marquee, London, August 10th, 1971
Live At The Marquee, London, August 10th, 1971

 先日の現役アメリカ大統領の広島訪問とスピーチがアチコチで話題になっていたけど、実にまともなものを見た、と言うかメディアが偏向していなかったからだろうか、最近は近隣諸国のアジア的思想に基づくものが多かったからか結構毒されている部分あったけど、太平洋を超えてくるものはやっぱり西洋的な雰囲気があるということだろう。何かひとつの重みが取れて次への方向性がきちんと見えたのは良かっただろうと素直に思う。そんな事を思いながらも聞いているのは全然関係のないモンだったりするんだが(笑)。

 ボズ・バレルって元々ボーカリストでした、バドカンではもうベースとコーラス程度しかなかったけど、そもそもはBoz Peopleってバンド組んでたくらいだから早くからその才能が知られていた人で、セッション時にクリムゾンの連中と絡んでしまったことで参加、当初は歌だけだったけどジョン・ウェットンがなかなかベースで参加しないのもあってベースを爪弾いて遊んでいたところからベースを始めてそのままベーシストになっちゃった人。元々の音楽的才能があったからこそベースラインも歌っているし、リズムもしっかりしているのだろうか。才能に秀でた方なのだろう。実際King Crimsonにいたのは数年にもならないレベルだけどアルバム「Islands」に参加して、1971-72年のジャズクリムゾン時代のライブツアーに参加していたので演奏している音はかなり聞ける。King Crimsonのコレクターズ・クラブってのはライブ音源をひたすらリリースしているオフィシャルレーベルで、こんだけリリースしてくれたら嬉しいよなぁってくらいに出してて、しかも音良く直してるし昔散々漁ってたアングラは何だったんだ?ってくらい。もっとも元がそっちの音源で、それをオフィシャルで使ってるんだから大したもんだが…。

 1971年8月10日…、昔は8月9日と言われていたけど10日なんだろう、ロンドンのマーキーでのライブ「Live At The Marquee, London, August 10th, 1971」、こんな良い音であったのか…、自分のテープはボロボロの音だったんだが、と記憶を辿りつつ聞いているけど、まだボズ・バレルも参加して間もないころ、バンドもまだ刺激を楽しんでいる頃でフリップ卿が見事にバンドをまとめて率先しているし、バンドも多分新しい試みにワクワクしながらプレイしている感じがあって後のライブに比べると一番良い時期のライブとも言えるんじゃないか。バレルにメル・コリンズ、イアン・ウォーラス、良いメンツです。混沌としたジャジーなアプローチに浮遊感のある、そして緊張感のあるプレイ、この時期ならではの旋律、ライブってのは生々しく変化していくし、クリムゾンの場合はインプロで鍛え上げていく過程も楽しめる。やはり英国的な雰囲気を醸し出しているメル・コリンズのフルートやサックスが心地良い。

 久々に聴いたなぁ、クリムゾンのライブ。しかもこの時期なんて全然手に取って聴く事なかったから相当前に聴いて以来だ。スタジオ盤の印象が強いんだけどやっぱりライブ盤聴くとこっちのが良いなぁ…ってかさ、こんだけのライブだったのか、っていうのがこの「Live At The Marquee, London, August 10th, 1971」。いいの出してくれます。





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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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