The Kinks - Preservation Act 2

The Kinks - Preservation Act 2 (1974)
Preservation Act 2

 レイ・デイヴィスの天才・奇才ぶりは当然キンクス時代から世間には知られていたものだけど、一般的にはRCA時代に入ってからは更にマニアックな世界に走っていったという認識のようだ。もっともそれはその通りだろうし、作品を聴いていてもマニアックなんだろうなぁ、とは思う。そのマニアックさってのは何が?ってトコなんだが、ひとつの事柄に執着した作品に仕上がっていることからマニアックと言われるワケで、ストーリーやテーマは実にシンプルなものなんだが、知らないと分からない、みたいな書かれ方しててさ、そういうモンでもなくて別に曲だけ聴いてて楽しめりゃ良いじゃないか、とも思う。もちろん中身知ってりゃ更に楽しめる部分は多いけどね。

 ってなことで久々にThe Kinksの世間的扱いが実に低い作品の1974年アルバム「Preservation Act 2」、前作「PRESERVATION ACT 1」の続編なのは当然ながら、そもそも論としては「The Kinks Are The Village Green Preservation Society」の主役達の拡大解釈物語はツラツラと書かれているものだ。この「Preservation Act 2」では更にバージョンアップしてナレーションまでもが入っているので一大絵巻、正にレイ・デイヴィスの演劇・喜劇ぶりが炸裂している時期の作品。当時の評判は両極端だったようだけど、確かに好きな人にはとことん面白い世界観。にわかに聴いている程度のリスナーには鬼門とも言われるあたりかな。先日もさほどキンクス好きってワケでもなく、それなりに聴いてますみたいな人と話してたらRCA時代はちょっとまだ避けてます、みたいな事言っててね、そりゃそうか、と久々にそういう実感を味わった。もっともそんなKinksの話が出来ること自体がほぼありえないんだからどっちにしても楽しいお話だったが。そんな風に思われているであろうこの「Preservation Act 2」、自分は好きでしてねぇ…。この喜劇っぷりがわざとらしくて好きだし、それでいて曲はしっかりと面白いのは面白いしロックしてたりするし、中にはふざけてるのもあるけど、それもキンクス、自虐ネタもあるし、時代はグラムロック全盛期、キンクスもグラムするぜ的なステージも見事だった。この時期はもう「Preservation」しか演奏しない、ってくらいのライブが繰り広げられていたみたいだし、もっとこの頃のライブアルバムを出すべきだと思っているリスナーの一人です。

 昔はアナログ2枚組で聞き辛いなぁってのあったけどCD時代になって、ずいぶん聴きやすくなったな、と思って今じゃiTunesでそのままサラッと聞けちゃうんだからそんなに長々したアルバムじゃないんだろうな。じっくり聴いちゃうとひとつの演劇をまるごと聴いてる感じで、キャッチーな曲も多数あるし、実にバリエーション豊かでレイ・デイヴィスの恐るべし才能をこれでもかってくらいに突き付けられる。ホント、天才。それでいて名曲も多数、どころかほぼすべて名作。多分単発でこういうのが流れてたら気になるんじゃないかってレベルの曲ばかりが入ってる。どうしてこれが世間的に好まれない?マニアックだから?そりゃそうだけど(笑)、まっとうに聞こうぜよ。ただ、まぁ、多才すぎてロックという枠内だけで収まらないアルバムではあるか。




Ray Davies - Our Country : Americana

Ray Davies - Our Country : Americana (2018)
OUR COUNTRY: AMERICANA

 先日ジェームズ・コーデンのCarpool Karaokeにポール・マッカートニーが出てて、これがまた実に素晴らしい愛に溢れた番組に仕上がってて、その演出やポールの姿勢に感動したのだが、皆さんやっぱり人生の総決算に入っているんだろうなという印象もあった。ビートルズ縁の地を振り返る、とかパブで突然ギグやって地元で楽しんだり、そりゃそうだよな、もう70歳半ば頃だろうし、いつ訃報が入ってもおかしくないんだし、と思ってたけど、番組見てたら何かね、こんだけ人を感動させる人って数える程もいないんじゃないかと。好き嫌いは別として人間国宝なのは確かだ。

 The Kinksのリーダーでビートルズと同じ時期に活動していて、今なおソロアルバムの新作までリリースしているというレイ・デイヴィスは自分的にはポール・マッカートニーを超えるレベルの天才だと思ってる。ソングライティングや市の作り方や彼の見る世間へのものの見方なんかも含めて世界的に数少ない天才音楽家だろ思う。まぁ、個人的にそう思っているというだけなので異論はあろうが…。そのRay Daviesが放った新作「Our Country : Americana」。前回の「Americana」の続編ってか、一緒に出来上がっていたんじゃないかなぁ‥、そもそもが自身がアメリカに来てからの回想録を書いてて、その自分でのサウンドトラックアルバムというものなんだが、その発想が凄くね?70歳半ばでその発想力想像力だよ?回想録を書く、までは分かるとしても、その回想録に沿ってアルバム2枚作っちゃうんだよ。しかもそれはやっぱりアメリカというフィルターを通したサウンドに仕上げていながらもしっかりとレイ・デイヴィス節のシニカルなものでメロディラインも相変わらずのレイ・デイヴィス節。そこに「Oklahma USA」なんて昔の曲もしれっと入れておいて古くからのファンを惹き付けちゃう。んで、聴いてみればそれはまったく別のアレンジが施された楽曲に仕上がってて、今夏のアルバムのトーンにマッチさせているという不思議。どこまで行っても天才的なレイ・デイヴィスのマジックにどんどんハマッていく。

 アルバムとして聴いてしまえば、ずいぶんと軽やかで多分レイ・デイヴィスならギター一本でこんだけ作って出来ちゃうだろうなっていうくらいには軽い感じで仕上がっているけど、出てくるメロディが好きだからねぇ。アレンジはアメリカ的にしてるのと、面白いのはこの人昔からそうだけどモノローグってのか?曲中、曲間で語りが入ってアルバムを演劇仕立てにして物語を紡いでいくというスタイル。「ストーリーテラー」で日本に来ていた頃もだし、その前の「Preservation」の頃なんかも同じような事やってたからそもそも演劇的なの好きなんだろうけどね、それがそのまま今でもやっていて実に個性的だったりするから面白い。この回想録って日本語版出てないだろうなぁ…。デジタル本だったらページ単位でGoogleさんに訳してもらおうか(笑)。うん、全曲聴いてみるとね、いつしかキンクスの昔の世界観とオーヴァーラップしてきて、中盤くらいまで行くとかなりどっぷりと味わえてしまって楽しい。この楽しさは多分相当ヘンな人ならではの楽しみ。いや、やっぱこの人、好きだ。天才。レイ・デイヴィスだからね、物語あっての音楽、これはあそこの話を演奏しているんだな、とか情景を思い浮かべてのサントラだからホントにそうやって聴いたらもっと楽しいんだろうよ。いや〜、面白いわ、これ。さすがレイ・デイヴィス。

 そういえばまたキンクスやる、みたいな発言を最近してたみたいで、それも多分総決算なんだろし、見たいかと言われるといもうどっちでも良いやって気がするが、レイ・デイヴィスが現役で頑張ってるの見てると多分カッコよく見えちゃうんだろうなぁとか色々…。





Roger Daltrey - As Long As I Have You

Roger Daltrey - As Long As I Have You (2018)
AS LONG AS I HAVE YOU

 ネームバリューのある人の作品が新しくリリースされるってのは気にはなるけど、やっぱりたいていそういうのはジジイどころかもう終わってるだろって人が多いんで無邪気に喜ぶワケでもない。その中でもバリバリの現役感を持ったアルバム、新作をリリースしてくる人もいれば、今の自分はこういうもんだ、っていう作品をリリースしてくる人もいる。そりゃ商売だしアーティストだから色々な表現があるのは当然だ。リスナー的にはそれも踏まえて聴くのは聴くんだろうね。んで、ああだこうだと思うワケだが、その作品がどういう風に評価されていくのかはもっと跡にならないと分からないかも。リリース当時、という話で言うならばそりゃ過去の栄光が大きければ大きいほどその差は大きいに決まってる。まだそこまでの回数をすべての人が聴けてないんだから。

 ご存知The Whoのフロントマン、Roger Daltreyが2018年にリリースした快心の作品「As Long As I Have You」。いや、快心のって書いたのはですね、冒頭の、そしてアルバムタイトルにもなっている「As Long As I Have You」って曲がさ、もうとんでもなくぶっ飛んでてこの親父、いやジジイ、スゲェ!って思ってしまったからですね。アルバム全体として古き良き音楽をカバーしているので、曲そのものの良さは50年代からずっと評価されてきているものだけど、それでもそんな楽曲群を取り上げて歌っているところで再度命を吹き込んでいると言うのか、アレンジにしても歌にしても見事に蘇っているし、実にパワフルに仕上がってる。されに言えば自身の独自の音楽性なんてのは基本的には持っていないロジャー・ダルトリーだと思っていたんだけど、それがしっかりとロジャー・ダルトリー節になってるという意外な個性。もっともそれはThe Who的、とも言う話になるのでそれがロジャー・ダルトリーの音楽性なのか、ってのはちょいと違うのだろうが、少なくともリスナーが一番聞き慣れているロジャー・ダルトリーのスタイルそのままのアレンジに仕上げている。だからはっきり言って名盤です。そりゃだって古き良きポップス…というかR&Bっつうかその手のはもう曲として折り紙付きだし、それをロジャー・ダルトリーが歌ってるんだもん。アレンジはThe Who的だし。

 んでさ、その「As Long As I Have You」ってLed Zeppelinが最初期のライブで毎回取り上げていた曲でね、それで良く聴いて知ってたから、ここでロジャー・ダルトリーが冒頭に持ってきて歌うって、どういうアレンジなんだろ、って興味津々だったんです。ところがこれがまた当然Zeppelinとは異なるアプローチとゴージャスなアレンジでしっかりと仕上げていて、新たに感動したんです。それが冒頭だから以降の曲も当然原曲知ってるワケじゃないけど、安心してロジャー・ダルトリーの、そしてThe WHoをイメージしながら聞けちゃうワケ。それでも何ら違和感なく、どこが70歳過ぎたジジイの歌なんだ?完全に現役のシンガーの迫力ある熱唱形ボーカリストの作品に仕上がっているじゃないかと。やっぱり侮ってはいけない、このヘンのジジイは。拍手喝采の名作です。






The Who - Live At The Fillmore East 1968

The Who - Live At The Fillmore East 1968
LIVE AT THE FILLMORE

 アンダーグラウンドで出回っていたソースがオフィシャルからリリースされるという事がいつからか割と行われるようになってきた。もちろんリスナーの一人としてはオフィシャルからアーティストなりプロデューサーなりがきちんとスタンスを理解してリミックスやリマスタリングを施して出してくるのだから生々しいアングラ音源とは異なり作品としての側面が強調されるものとなり、それは即ち商品価値を持つレベルのモノになるってことで期待しては購入していた。やっぱりね、どんだけアングラで知っててもオフィシャルになったら入手して聴き比べたりするんですよ。それによってマスターテープからいじってるんだ、とかやっぱりイコライジングレベルか、とか色々とオフィシャルでの苦労加減を知るっていうのも楽しみのひとつだし。

 The Whoのとても良く知られた1968年のフィルモア・イーストでのライブが今回「Live At The Fillmore East 1968」としてオフィシャルリリースされた。ソースそのものはアングラで古くから知られているもので、それなりに音の良いものも出てきていたので目新しさはさほどないが、その音の作り方ってのはやっぱり生々しいアングラモノとは一味違った、しかも今時の機材でのリマスタリングだからね、当然良くできてる、って思ってるけど、やっぱり時代が時代の代物だからここまでなんだろうなっていう音であるのも確か。んでもさ、ジョンのベースがこんだけ聴けるってやっぱりうるさかったんだろうなぁ…とかキースのドラムだってどんだけドタバタシャリシャリ鳴らしてたかってのもよく分かるし、そもそもThe Whoってのはとんでもなくうるさいバンドだったんだから音源として記録出来たってこと自体が奇跡なのかもしれない。だから物凄く音が割れないようにして全ての音を録ってたんだろうなぁ、と。まだ精々4トラックの時代で、ライブ録音なんて本気でやらなきゃ2トラックがいいところでしょ。それをどんだけの音に仕上げるか、だったんだもんな…、そりゃそうか。

 このライブ音源ってこの頃既にライブアルバムをリリースする構想があって、それ向けに録音してたから残ってたって話。何らかの理由でライブアルバムは見送られたらしいけど、多分ピートの作曲能力の高さからライブアルバム出すまでに新作まるごと出来上がるくらいの曲が仕上がったじゃないだろうか。まだまだ駆け出しの頃のThe Whoと勢い有りまくりの頃のピートだし、だからこそ「Tommy」だったワケで。うん、まだ「Tommy」なんて無かった頃のライブで、スタジオ盤だととってもおとなしく聞こえる楽曲郡がこんだけうるさく恐ろしいまでに暴れまくっている曲に変貌していて、どんだけのライブバンドなんだってのをマジマジと知ることになるだろうライブ。挙句アングラでも出てきたことのない長尺版の「My Generation」の30分以上のジャムセッション、いやはやどんだけThe Whoの事を知ってるとか好きだとか言っててもこんだけのライブを聴いちゃうと圧倒される。もちろんここで始めて初期The Whoのライブに接する人はライブ全編とにかく圧倒されまくること間違いないだろう。それくらいに世界を制するライブバンドと言われたThe Whoの凄さを味わえるぶっ飛びの一枚。スゲェ…。




Pete Townshend - Who Came First

Pete Townshend - Who Came First (1972)
WHO CAME FIRST

 外の世界ではスマホが活躍しているけど、実際モノを買うというシーンが発生するのは外なのだろうか?やっぱり家の中でのスマホ使用時なんじゃないだろうか?電車の中ってのは多いかもしれないな。でも、それくらいだろうなと想像してるが、いつも買うってなモノだったらちょっと待ち合わせ時間中に買っちゃう、はあるだろう。ウチのサイトのような感じだとそういうのは少ないだろうと。もっとも普通にアマゾンリンクへの一ステップにしてくれる方がありがたいのだが、アプリ全盛の今、それはなかなか難しいんだろうなぁ。いずれにしてもその辺ってスマホ対応画面の作り込みをどうするかになるんだけど、これがまたなかんか…ってな事でアレコレ思案中。

 久々にピート・タウンジェンドのザクザクで快活なギターを聞いたら実に気持ち良かったので、The Whoとはちょいと違うトコロのピート・タウンジェンドを聴いてみるかってことで、1972年リリースながらも70年前後のデモ作品の寄せ集めとも言える実質的ファーストソロアルバムとなった「Who Came First」を。基本デモテープ=ピート・タウンジェンドが全てを演奏しているというものがベースになってて、この人の場合The Whoの作品も全て自宅で全部自分で演奏して多重録音してメンバーにそれをやらせるというスタイルなので、大多数の完璧なデモテープがあるわけですね、そんなアルバムも出てることで知られているけど、その最初のリリースがこのアルバムかも。一曲ロニー・レインが参加しているんで、普通にこの頃には友人だったのだろう。それ以外は基本ピート・タウンジェンド一人モノ。それでこの出来栄えですが、って疑うくらいに見事。ドラムも自分で叩いてベースも、ピアノも自分で演奏しての独演だからね、機械使ってのデモじゃないからね、まだ。だからアレンジも完全にほぼそのままだし、歌までそのまま。画期的なアルバムリリースだったとも言えるが、興味は更にThe Whoで未使用となった楽曲の多数収録、とその後にThe Whoでリリースしたことでその差を楽しめるというあたり。

 ステージ上ではあんだけワイルド感ありながらもここで聴けるように繊細で丁寧な音作り、天才が故に一人で篭っての緻密な一音一音を作り上げて積み重ねていく作業が垣間見れるというあたりはマイク・オールドフィールドとの共通するオタク感。凄いなぁと思うのは出来上がる音が全部見えていてそれを着実に積み上げていくという作業が出来ること。曲って誰でも浮かぶと思うけど、それをそのまま再現できるか、ってのが難しくて頭の中にフラッシュした音がそのまま出てきたらどんだけ素人でも凄いことになるんだが、そうはならないのが現実、そこを積み重ねられるのが努力部分で、それを超えて初めて天才なんだもん。その意味でピート・タウンジェンドはやっぱり天才的だった。作品の善し悪しとは別にアーティストとしての試みみたいなトコロを測る最初のアルバムだったんじゃないだろうか。




The Kinks - Sleepwalker

The Kinks - Sleepwalker (1977)
スリープウォーカー+5(K2HD/紙ジャケット仕様)

 音楽的に天才だな、って人は割といるのかもしれないがその方向性ってのはそれぞれ異なっていると思ってて、当然ながら作詞作曲に長けた天才、メロディやフレーズやアレンジなんかも含めて作り上げるトコロの才能って意味での天才もいれば、音楽理論的なセンス、理論も全て熟知していながら音感もあってそれらも駆使して作り上げていける天才なんてのもある。もちろん各楽器を演奏するのにテクニック的に天才という人もいれば感覚的に音楽が全て理解できてしまう人もいるのだろう。多分そういう人達が集まっている中でバンドが組まれたりする場合ってのはそりゃもう基本から違うワケだから出て来るものが悪いはずがない。バンドの歴史を取ってみると、最初は友達バンドでしかないけど、そのうちその才能の差にきづいて辞めていく、んで後任はそういう世界の人だからある種の天才が入るってなるとバンドが一気にレベルアップしていく、なんてことがある。だからバンドは続くわけで、そういう反応がないとどうしてもうまく機能しなくて停滞する…。

 1977年のThe Kinksがアリスタレーベルからリリースした実にアメリカ市場向けな一枚が「Sleepwalker」だ。個人的には無茶苦茶好きなアルバムのひとつで捨て曲がない。ここに登場したのは一応アンディ・パイル繋がりってことでしてね、そう、この人キンクスにも参加してたんですな。ところがこのアルバムでもベース弾いてるのは一曲だけで、その前のアルバムは参加していないという事で、見事にアルバムとアルバムの間のツアーしか参加していないという始末。その前も後もジョン・ダルトンがベースを弾いているということで都合よく参加させられたのか、サポート的に入ったってことなのか、色々な仕事してればしょうがないですな、と。

 そういう側面はあるもののキンクスのアリスタレーベル一作目としてここまで洗練されて垢抜けたアルバムが仕上がるとは誰も思っていなかっただろうけど、実にシンプルで格好良いアルバムになっている。正に天才の作ったアルバム、と言わんばかりのメロディセンスに溢れた作品。アメリカ市場向け、と言いながらそのメロディや曲調は明らかに英国風味なマイナー節が多くてどこがアメリカ向けなんだ、って思う部分もあるけど、音の作り方なんだろうなぁ、どう聴いてもアメリカ向け。でも曲は英国そのもの、という面白さ。このアルバム聴いて泣けない人もいないんじゃないか?ってくらい。いや、思い切りロックなんだけどね、染み入るメロディってのがホントに心に染みてくるから困りモノなんです。それこそがキンクス=レイ・デイヴィスの真髄でさ、そんなのがそこかしこに仕込まれてる。それを支える弟も見事だし、メンバーもそりゃ素晴らしいです。隠れた傑作と思っている作品のひとつ。

R.I.P Jim Rodford






The Who - Maximum As & Bs

The Who - Maximum As & Bs
MAXIMUM AS & BS [5CD]

 大物バンドになるとマニアってのが勿論たくさんいて、こんな時代だからマニアの交流なんてのも世界中で行われているし、だからこそ誰かが気づいた疑問に対して数多くのマニアが意見を述べるみたいな構図にもなり、そこから新たな発見が数々行われる、それをレコード会社もある程度は参考にしてマニア向けのニッチなアイテムをリリースしてくるというのも割りとある気がしている。何がマニア?って話になるんだが、まぁ、一般的に自分も好きだし結構マニアだよ、なんて言っていられる人は多分マニアではない(笑)。まだまだ知らない事だらけなんだよ、って言ってるのが一番怖いかも。モノラル・ステレオバージョンのち外からミックス違い、バージョン違い、国ごとのプレスによる違いやプレスミス、左右反転からアルバムジャケットの色違いやロゴ違いや型番まで、マトリックスもあるしレーベルもある。オフィシャルだからと言ってもミスクレジットや収録された中味が異なっているとかオリジナル何とかって書いてあるのに異なってるとかそういうのを整理して認識しているのがマニアだ。いや、別にそれが良いというんじゃなくて、そういうのが聴いてると気になってくるもんなんだそうです。うん。

 The Whoの5CDセット「Maximum As & Bs」なんてのがリリースされていた。何かと思ったらハイ・ナンバーズ時代のデビューシングルからThe Who名義での最後、と思われるシングル「Be Luckey」までのすべてのA面B面が網羅されているボックスセットってことだ。曲だけ見れば普通にThe WHoを聴いているリスナーなら大抵持っているだろうし聴いているんだろうって話。シングル集「ザ・シングルス」や「Who's Missing」や「Two's Missing」「レアリティーズVOL.1&2」なんてのも出ているくらいだから特別に目新しいマニアが喜ぶような音源は入っているようには思えない。とは言え、最後の「I Can't Explain (2014 Stereo remix)」ってのが気になってね、1965年のシングルなのにステレオバージョンか…、元ソースが2chか4chで録音されてたんだろうけど、そこからのミックスできちんと出せてるってことはオーバーダビング時にギター被せたとかじゃなかったってことかな、なんて妄想を色々しながら聴くのだ。う〜ん、ステレオだ…、ってYouTube漁ってると色々な年代でのステレオリミックスバージョンがあったからあちこちで出てたのかな、自分的に知らなかっただけかも。それでもワクワクしながら聴けるってのは良いね。たかだシングルをまとめただけなのにこんだけ楽しめるのも面白い。こういうコンセプトで聴いたことがなかったというだけなんだが、それもアイディア次第か。

 改めてThe Whoの楽曲群とバンドの質の高さを認識した次第。どの曲もアイディアに溢れていて常に時代のちょっと先をやっているような感じで、そりゃ今聞けばアレだけど、それでも同時代のバンドとはひと味もふた味も違うセンスがガンガン出てくる。もちろん演奏のぶっ飛び具合もそれを助けていて、キース・ムーンとジョン・エントウィッスルのぶっ飛び感がものすごい。他のバンドじゃ絶対に出てこないもん、こういうの。それでいてピートのセンス…、いやはや同時代のバンドがかわいいブルースをカバーしているのに、彼らはコレだよ。まじまじと5枚をまとめて聴いてしまったのだった。



The Who - Tommy Live At The Royal Albert Hall

The Who - Tommy Live At The Royal Albert Hall
トミー ライヴ・アット・ロイヤル・アルバート・ホール [Blu-ray]

 ジジイ共、スゲェなってののひとつがまたまたリリースされていた。もういい加減いいんじゃね?って思うんだけど、続々とライブをリリースしてくるのがThe Who。ストーンズなんかだと一応今でも新作をリリースしてのツアーだったりライブだったりするからセットリストやステージなんかも凝ってて現役的な活動というのはあるが、The Whoになるともう新作出してもしょうがないし、かと言ってベストヒットライブってのもうなかなかなので、「四重人格」と「Tommy」中心のライブというのがThe Whoの強みとなっていて、それも何度も何度も繰り返してツアーが組まれている。さすがにもういいんじゃね?ってつくづく思うけど、それごとに映像やCDがリリースされていて、どんどんジジイになっていくピートとロジャーがクローズアップされって、ドラムのザックだって90年代の頃はまだ若かったんだけど、今じゃ立派なオヤジ、それでもライブを見ているとぶっ飛ぶくらいのパフォーマンスとプレイを繰り広げてくれるんだから脱帽だ。

 The Whoの「Tommy Live At The Royal Albert Hall」。2017年春の、と言うか毎年春の恒例ティーンエイジカンサートラストライブで「Tommy」を繰り広げたってことでその模様を丸ごとパックしたライブショウの映像化だが、久々に見ても見かけも歌も演奏も対して変わってないな、ってのが最初印象。ベースがピノ・パラディーノじゃなくて若者ってのが少々似つかわしくないけど、さほどの影響はないか。それにつけても「Tommy」の楽曲のクォリティの高さは改めて聴いていてもハンパないな。全部耳タコくらいに聴いているんで全部分かるんだけど、それでもいちいち感動的なまでのプレイがあるもん。やっぱりライブパフォーマンスの強さだよね、ピートがどんどんと繊細なプレイになっていってそれでもワイルドに腕を振り回したりジャンプしようとしたりしてて、もう70歳半ばの爺さんがやることじゃないだろ、と。んでもロックスターなんだよ、やっぱりオーラが漂ってるし、ステージを仕切ってるし。この二人はもうアレだね、若い頃よりもジジイになってきてからの絆がものすごく強いよね。最後に二人で肩組むシーンってのは毎回泣ける。

 今回は鍵盤も入れて「Tommy」を再演しているんで補助的な音も幾つか出されているみたいで、弟のサイモン・タウンゼントの気合も含めてテンションはかなり高い。下手したら昔のトミーライブよりもテンション高いかも。このイベントももう17年続いているというからそれなりに成果はあるんだろうか。オアシスやフーが中心になってるから結構な金額が集まるんだろうし、毎年の収入源にもなっているのかも。そんな理由でもこうしてライブが見られるのはやっぱりありがたいわ。ジジイ共何してるんだ、ってのあるけど見るとやっぱカッコ良いんだもんな。また色々な「Tommy」を聴きたくなってきました(笑)。



John Entwistle Band - Left for Live

John Entwistle Band - Left for Live
Left for Live-Deluxe

 ベースの音は好きだ。いや、当たり前なんだけどバンドやってると自分がギター弾いてて、他はドラムと歌とベースなワケじゃない?んで、ドラムは叩くものだから音の変化ってのはあるけど、ちょいと違うし、歌は歌ってるだけだからもちろん別物で、ベースだけが弦楽器でギターと同じ類のモノだから何やってたって耳に入ってくるし、同じような部分だからいろいろわかっちゃうしさ。細かい音のトーンの違いとかピックアップ替えてるのとかも分かるし、まぁ、そういうモンだからCDとか聴いててもベースの音ってのは好きで勝手に耳に入ってくる。あぁ、そういう意味では歌が一番耳に入ってこないんで(笑)。

 John Entwistleのソロバンド名義でのライブアルバム「Left for Live」。1998年の自身のバンドのツアーからの作品で、唐突に何でまた、って話だけどさ、ベースの面白さとか凄さを実感してしまったトコロで、ジャック・ブルースってのもあったけど、ジョン・エントウィッスルの凄さってのはThe Whoだと1/3でしかなくって、それが実は普通のトコロ行って弾くとぶっ飛ぶくらいに凄い存在感があるという人ってのをライブで実感してたので、ソロバンドの方が派手にベース弾いてるだろ、って話。案の定自分のバンドでのライブだからそもそもあの音でブイブイ弾いている。ジャコパス的なああいうスタイルとは大きく違うけどさ、んで、こんだけ弾いてるってのはロックの世界でも珍しいし唯一無二なプレイヤー。それを普通の曲の中でずっとやってるんだからなぁ…、もちろん他にもそういうベーシストはいるけどこの音もどんだけメタリック?そして弦は金色だし、ホント変わった人なんだよな。

 トリオ編成のバンドで、歌もギターのひとに任せてるから自分はほとんどベース弾きっぱなしというスタイルで、もちろんThe Whoでの自分の曲は歌ってるみたいだけど、基本それも弾きっぱなし。やりたい放題のアルバムで面白い。掛け合いとかじゃなくてやりっぱなしなんだもん。それでもこういうフォーマットでプレイしてて、The Whoでは出し切れていないベースプレイヤーという部分をこういうトコロで発散していたんだろう。面白いのはこの人、The Whoのライブがあった日の夜中に自分のソロバンドのライブを同じ街でブッキングしてたりするんだよ。どんだけベース弾くんだ、って感じ(笑)。





The Who - The Who By Numbers

The Who - The Who By Numbers (1975)
The Who By Numbers

 70年代のロックバンドの作品の評価なんてもう今や大差ないシロモノだと認識すべきだろう。当時こうだったああだった、っても知ってる人の方が少なくなっていってるだろうし、これからの世代にとってそれはあまり意味を持たない戯言でもあろう。貴重な歴史の証言として知識的には入ってくるのだろうけど、それがそのまま今の時代に当てはまるワケじゃないし。でも、面白いことにそんな事言ってても、結局その時と大差ない程度の評価が付けられることも多いんじゃないかな、ってのもある。結局良い作品は良いと思われるし、イマイチなのはいつまでもイマイチと言われるのだ。時代を先取っていたりすると評価は変わるのかもしれないけど、そうそうあるもんじゃないしね。

 The Whoの1975年作品「The Who By Numbers」なんてのは当時から地味なアルバムとかイマイチとか言われつつ、好きなリスナーが隠れた傑作だとか色々と書かれたりしてるのを見ててね、どこか地味で佳作なんだ?って思いもするワケです。音の派手さやパワフルさがレコードの録音からは感じられないのは事実あるけどライブバージョンなんかを聴ける曲はとんでもなくぶっ飛びなパワーを出す曲だし、そっち聴いてからの月極として聴くとこのアルバム、凄く曲が揃っててThe Whoらしいアルバムじゃないか、なんて思いもする。まぁ、本質的には悩めるピートの作品ってのが正しいんだけどさ(笑)。この時点で既に方向性を見失うってのはあまりにも時代を速く生き抜き過ぎたのかもなって気がするが、言葉を変えると妙にノスタルジックな風味を感じるアルバムとも言える。今でもThe Whoってのはこれより前のアルバムまででライブをこなしていけるし代表曲はそっちの方が多いし、好まれてもいるからこのアルバム以降はどうにもパッとしなかった、ってのはホントだ。フラットに聴いててやっぱりそう聞こえるもん。

 このアルバムさ、歪んだギター中心で作ったら結構ハードにドライブしたんじゃないかな。ライブ聴いてるとそう思うけど、アルバムはほとんど全てがアコギとかクリアトーンで弾かれているんだからそりゃパワフルなロックとは離れてしまうわさ。だからアコースティックアルバムとして聴いてみれば何ともカントリータッチにアレンジしてみた作品にも聞こえるし、その分歌メロの良さを再確認出来るように作られているとも言える。あぁ、だから自分的にはあんまり好きじゃないんだ(笑)。こういう方向性でバンドが進んでいけるとは思ってなかったとは思うけど、ひとつの作品としてはあったんだろうね。次の「Who Are You」なんか聴いてると更にどこへ行きたいのかな、なんて思うから正に迷走、やっぱり生き急いだバンドだったんだろう。その犠牲者がキース・ムーンだったのかもね。

 などなど色々言いつつもやっぱりそこかしこでカッコ良さを実感するアルバム。この才能はさすがにピート・タウンジェントだし、ジョン・エントウィッスルのベースだし、ロジャーの歌だからこそだし、キースのドタバタ劇だって相変わらずだ。このクラスのバンドの作品はやっぱり凄いよ。一番凄いのはこのアルバムで最もハードなのがジョン・エントウィッスルの曲ってことかもな。







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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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