The Darkness - Pinewood Smile

The Darkness - Pinewood Smile (2017)
PINEWOOD SMILE

 先日自分チに転がってるガジェットを整理しててiPod shuffle 2GBってのを発掘。2cmくらいのあの小さいヤツね。今じゃiPhoneにある程度の音がもちろん曲名もバンド名も分かる形で入っているし、常にそれを持ち歩いているんだから今更iPod Shuffleって別で持つ必要も無いだろう、って思うし、事実要らないと思う。ただ見事にそれが使えるからさ、壊れてないし別に2GBが少ないとかもないし、逆にラジオ的に聴けて面白いのかも…なんて専用機ならではの特性を活かして使ってみようかな、なんて。大して重くもないしかさばらないし、ちょっとクリップ止めしとけば良いだけなんだしね、ってことでFreeやPaul Kossoff、Rodgers関連を全曲入れて2GB弱、ランダムにひたすら聴いているという始末。それとは別にiPhoneでも聴くしiMacでも聴くし、自分的にはそれぞれのライブラリって全部バラバラだから聴くガジェットによって入ってるものが全然違うし、入れた時の気分だから懐かしい自分に出会えることも多い。今回のiPod Shuffleも5年位前に入れてた音がそのまま残ってて、なるほど…って味わったしね。

 The Darknessの2017年5作目のアルバム「Pinewood Smile」。全くエゲつないジャケットを考えるものだ。あんまり見ていたくないアルバムジャケットだから聴きたくもなかったんだけど、そうもいかないわな…ってのはクィーンばりのスタイルでデビュー時から世間を賑わせていたバンドの新作ってのもあるが、何と言っても本家クイーンのドラマー、ロジャー・テイラーの息子がThe Darknessのドラマーとして参加しているのが本作なワケだ。もっとも音だけ聴いてその変化とか類似性がはっきり分かるモンでもないし、そこまで個性的なドラミングが売りだった人でもないから分かんないけどさ、ただ、やる側も聴く側もその事実は意識するよ。これまでより一層クイーンらしく感じてしまうし、フレディだったら確かにこうやって歌うだろうなぁとかこういう曲も普通にあっただろうな、とかね、妄想も入るし。

 ただ、やっぱりThe Darknessのボーカルという声なのでいつまでもクイーンって話でもない。しっかりと個性が出てきていて存在感を確立してきている。じゃなきゃ5枚もアルバム出せないわな。結構悩んだり困ったり考えたりしたと思うんだよな、ここに来るまでにさ。でも、結果的に上手くすべてを作用させてプラス方向に活かしたサウンドやバンドの個性、声質もテイラーの加入も、それでいてきちんとハイレベルな音楽を届けるという使命を全うしている。おそらく英国人の誰が聴いてもニヤリとするだろうし、何か言うだろうけど、それでもこれはThe Darknessだよ、って言って、へぇ、って通じるくらいにはなっているバンドになってるハズ。良い作品、見事なレベルの高さ、結構な傑作、ですね。




Black Sabbath - California Jam 1974

Black Sabbath - California Jam 1974
California Jam 1974 + 3 bonus tracks

 1974年のカリフォルニア・ジャムと言えばディープ・パープルとEL&Pという印象が強くて他に誰かいたんだっけ?って調べてみれば何とブラック・サバスとかEW&Fなんてのが。カリフォルニアとサバスという組み合わせの妙に違和感を覚えつつも、品質管理にうるさいブラック・サバスの視点からすると多分こういうフェスもののライブってオフィシャルリリースされていないのだろうな、なんて想像はしていたけど案の定、ただし最近はこの手の古いもので権利関係が曖昧に見えるようなものはアマゾンで「California Jam 1974」としてリリースされていたりするので、探してみるとあるのはあるんだな。まがい物ではあるんだろうけど、聴けないより聴けた方がありがたいってなもんだろう。もちろんYouTubeにもあったりするけどね。

 Brack Sabbath出演はトリのEL&P、Deep Purpleの前となる夕方あたりか。それでも物凄い大観衆の前でのチープなステージでのプレイ、出てきた瞬間からメンバーの若さにおののく。オジーが動いてる…、そんな感じ。トニー・アイオミのヒゲが無い、とか。カリフォルニアって土地柄でこの手の音が受けるとも思えないんだけど、映像で見ていると爽やかなファッションに身を任せたメンバーがステージでちょっとハード目なのをやってる程度にしか見えないので、別に大半の聴衆はブラック・サバスのおどろおどろしいイメージを持つことは無かったんじゃないだろうか。知ってているようにも思えないし、ちょっと歌がヘンなうるさいバンド、ってくらいだろう。そう見るとバンドってのは如何にイメージを演出するのが大事かってのがわかる。逆にそういう戦略を描くとイメージとしては売りやすくなるってことだ。そんなのに一足早く気づいて実践していたのがBrack Sabbathでもある。

 さて、この「California Jam 1974」、結構な曲数をプレイしてまるまるのステージをやったようだけど、YouTubeで見つけられた映像は4曲のみ、それでもオープニングから知ってるひとには嬉しい全盛期オリジナルメンバーでの演奏で、青空の下でっていう設定さえ除けばそんな時のブラック・サバスの貴重なライブなのだ。それにしてもオジーの動きとリズムと歌のチグハグ感の凄さは若い頃からなんだなぁ…、ヘンだもん。絶対ヘンだもん。それにしても声がよく出ている、当時の人気ぶりが納得できるライブ、こんな歌い方するヤツもいないし、アイオミのギターもやっぱり個性的で上手いし速いし…、もうちょっとファッションがなぁ…ってくらいだ(笑)。


Deep Purple - California Jam 1974

Deep Purple - California Jam 74
California Jam 74 [Blu-ray] [Import]

 歌が上手いバンドってのは普通に受け入れられやすいし、バンド感と言うよりも聴きやすさが入ってくるのかな。ロックの世界でも素晴らしく歌の上手い人ってのが何人もいるんで、そういうのをホント目の当たりにすると凄さに痺れてしまう。ポール・ロジャースとか生で聴くと素晴らしく歌が上手いの分かるしさ、素人でもアレ、ハンパない上手さだ、って感じるもん。ただ、それだけじゃやっぱ受け入れられなくて、そこはスター性だったりカリスマ性だったりその存在感の強さみたいなのがボーカリストとして大きくなっていくための必要条件なんだろうな。そんなことを強く感じだのがこれ。

 Deep Purpleの有名な「California Jam 74」のライブ映像。いや、あんまり興味なかったから昔々にチラリと見た程度で、全然ギター目立ってないしなぁ…って忘れてたんです(笑)。何回かリリースされてるみたいだけど別に素晴らしい画質になったとか何かがあるワケでもないし、普通に流してたんだけど、そっか、ってな事で見てみた。全員若い(笑)。それが最初の印象なんだが、こんだけリッチーが前に出てこない、と言うか映像的に目立って映ってこないってのはどうなんだ?Deep Purpleって不思議でさ、別にリッチーのバンドじゃないんだもんね。だからギターが目立たなくても不思議はないんだけど、どうしてもリッチーのギターの印象があるからこうして映像的なアイテムになった時にギターヒーロー的なカメラワークになっていないのはちょいと面白い。明らかにグレン・ヒューズのバンドになってる。デヴィッド・カヴァーデールの若々しい歌声とステージ慣れしていないぎごちなさ、それに比べてのグレン・ヒューズの胴に入ったスタイルは圧倒的にバンドを制覇してしまっている、少なくともステージ上では。ルックスも派手でカッコ良いしベースも派手で歌は上手いしステージでも動くし、ど真ん中って感じ。その辺リッチーは繊細というかいつも通りなんだが、昔ほど派手派手でもないし。

 ここでのカヴァーデールってまだまだ無名のシンガーでしかないんだよね?それでこのライブか…、凄いタフじゃなきゃ出来ないわ。だからこそのこの後のカヴァーデール産業が出来上がるんだろうけど、今普通に見てても音だけならヒケを取ってないし、凄い歌い方。ただ、個性的かってぇとそうでもないし、そこはもうグレン・ヒューズの方が圧倒的だし、なかなか悩ましい時代だったんだろう。収録されている楽曲もこの頃の曲ばかりで、そりゃそうだけど、イマイチ地味感漂うしなぁ…、第二期の派手さが良くも悪くもパープルにイメージを作りすぎたのか。ま、そんな流れであっても結局は最後の最後のギターぶっ壊しパフォーマンスでライブのすべての印象を作り変えてそこに持ってってしまう所はやっぱりリッチーのエンタメバンドと言うべきなのかもなぁ…。やっぱりこのインパクト凄いもん。


Thin Lizzy - Renegade

Thin Lizzy - Renegade (1981)
Renegade

 先日アイルランドの街並みが中心となった映画を見てて、あぁいいなぁダブリンなぁ〜、なんて思いを馳せながら楽しんでたんだけど、そういえばその映画の中でもThin Lizzyの名前やフィル・リノットの銅像が映ったりしてて、そうだなぁ、ダブリンだもんなぁ…、お国のヒーローだもんなぁ…とか色々と思ってしまった。んで、最近Thin Lizzy聴いてないな、って事もあって久々に登場。

 Thin Lizzyの1981年リリース作品「Renegade」。ギタリストはスコット・ゴーハムとスノーウィー・ホワイトという地味な編成で、それが故に割と黙殺されつつあるアルバムとの印象はある。ってか自分でも結構そうだったし、ほとんど手を伸ばして聴いてたって記憶がない。どうしても中期の派手なのか初期のアコースティック系なのとかになってって、後期のはそもそもあまり手を出さなかったってのはある。ジョン・サイクスになると、それはそれで別物として手を付けるってのはあったから、その狭間に位置するこの辺はホント、回数少なかったな。そんなことを思いつつも流していくんですがね、これがまた実に素晴らしく欲出来ているアルバムで、これぞThin Lizzyじゃないか、ってくらいに最後の最後まで哀愁漂うロックが詰め込まれてた。鍵盤にダーレン・ウォートンが参加してしばらく経つが、このアルバムの初っ端からして鍵盤ありきのサウンドで、どこかこれまでのThin Lizzyとは違う、やや冷たい感触も漂う雰囲気になってることに気づく。それでも、この「Angel Of Death」のクールなスタイルはThin Lizzyが元々持っているアイルランド的な気質がなければ成り立たなかったであろう独特のハードロックサウンドと言えるのでは?この時点でもまだまだ新たな野望とスタイルを追い求めていたフィル・リノットの挑戦が垣間見れる快作。

 一番響くのは最後の「It’s Getting Dangerous」ですかね、これでもかっつうくらいの哀愁メロディが奏でられるこれもまたThin Lizzy特有のスタイルの曲ながらも名曲。地味に目立たないけど、数々の名曲群の中に入れても良いだろうよ、ってくらいの作品。もっともアルバム全体が実は素晴らしいんでもっともっと聴かれて欲しいって思うんですがね。自分でもそれに気づいていなかったんで、コレを機に多分よく手を伸ばすアルバムになるんじゃないかな。この枯れ具合と寒さと疾走感はこれからの季節もそうだし、年頃的にも好ましい感触だしね。いや〜、情けないなぁ…、この素晴らしさを実感しないままに過ごしてたなんて…、と猛省中。やはりThin Lizzyの作品に駄作はない。最初から全部じっくりとまた聴いて楽しもうかな、なんて思い直しているトコロだが、まずは、コイツ、丁度今3回目を聴いてるくらいにはこのセンチメンタルな世界観が気に入っている(笑)。


Tank - Tank

Tank - Tank (1987)
Tank (24bt) (Dig)

 The Damnedから派生したのってThe Lords of New ChurchとTankになるワケだが、どちらもバンドとしてのステータスを確立していったってのは元のバンドにある程度の力量のあるメンバーが参加していたという事で、バンドそのものもそれなりに力量のあったバンドだったってことになる。これがクラッシュやジャム、ピストルズなんかだとそうはならないし、その意味でもThe Damnedというバンドはパンクと呼ばれつつも一番奥深いセンスを内包していたバンドだったのかもしれない。

 The Damendでベースを弾いたことのあるアルジー・ワードが主役となって結成したバンド、Tankは1981年に産声を上げ、そのモーターヘッド的スタイルがNWOBHMという時代性にマッチして、その筋での重要バンドの位置を確立していった。今聴いてもTankのサウンドは腹の底から力が湧いてくるようなサウンドで、メタルでもないしパンクでもないし気骨のあるロックというトコロだろうか、とにかく気合の入る音を出していたのだ。そのサウンドは一貫して変わることなく、どこかで軟弱になつこともなかったし、迷いが生じることもなかった。つまりこれ一本で行きていくぜ、的なバンドだったってことで、その意味ではパンクだったのかもしれないが、今回のアルバム「Tank」は1987年にリリースされていて、5枚目の作品となったアルバムだ。キャッチーな曲など必要ないからこのゴツゴツなスタイルが大いに気に入っているのだが、特に顕著になってきたのはアルジー・ワードの歌うメロディの美しさと言うのか、哀愁ある男臭い歌メロが妙に染み入る。そこがこのTankの愛されるトコロなんだろう、確かにハードなスタイルの音の中にあるにもかかわらず、歌だって男臭いくせにメロディーが良いというのは反則だろ(笑)。

 どうにもジャケットが締まらないのと、前作から3年ほど間が開いているというのもあって、人気のないアルバムみたいだけど、上手くすればこの時代でもヒットする可能性はあったのにな。時代はメタルからハードロックへとシフトしていた頃だし、男臭いのもメタリカを筆頭に受けていた時代だし、そこにこういう音が紹介されていれば飛びついたリスナーも多かっただろうになぁと素人的に想像出来る。ただ、レーベルの倒産危機なんかがあってバンド活動を停止してしまったという逆方向の要因があったみたいで、一旦ココでTankは活動を停止している。勿体無い。Tankのアルバムはホントに最初からここまでどれもガツンと気合の入ったアルバムばかりなのでいつもは聴かないけどたまに聴くと気合入って良いんだよ。このアルバムなんてバラードもあるしさ、評判よりも圧倒的に良い内容を誇るアルバムです。

Ian Gillan Band - Clear Air Turbulence

Ian Gillan Band - Clear Air Turbulence (1977)
鋼鉄のロック魂(紙ジャケット仕様)

 英国B級的バンドのメンツももちろんミュージシャンなのでそういった前歴を経験しながらしっかりとメジャーシーンにも名前が出て来る仕事もしている。そういつトコロでそんな名前を見かけるのは結構面白くて嬉しくなってくるモノだ。別に仕事だからアレだけどさ、ああいうアルバム出してた人が認められてそんなトコロで才能発揮出来てるんなら良かったな、とかそれなら面白いセンスが聴けるかも、とかね。

 Quatermassは伝説のトリオハードロックバンドでしかも鍵盤中心でいながら、の様式美的ハードロックバンドで、アルバム一枚リリースしての解散だったけど今でも根強い人気のあるバンドだ。そのメンツのウチの二人がイアン・ギランのバンドに参加している。バンドの中心人物でベースを弾いているジョン・グスタフソン、それにドラマーのミック・アンダーウッド。前者はイアン・ギラン・バンドで、後者はギランで。今回はIan Gillan Bandの1977年リリースのセカンド・アルバム「Clear Air Turbulence」ってことで、ベースはジョン・グスタフソン、いやはや初っ端からもう何じゃこりゃ?感満載のファンキーなハードロックが展開されるんだけど、そんなベースラインをいきなり弾いてくるか、っつうくらいの面白い作品で単純にハードロックをやって金切り声で叫ぶばかりかと思いきや、随分とけったいなサウンドを出してきたイアン・ギラン、なかなかに驚くべし才能を聴かせてくれている。

 ハードロックばかり聴いていたリスナーに対してのこのアプローチはかなり驚かせたことになるのか、好みじゃねぇ、って一言で切り捨てられたかってトコロだろうけど、随分と音楽的には高尚な世界に駒を進めていった感じで、その中心はジョン・グスタフソンとも言える。うん、こういうセンスの人、結構アチコチでいるんだよね。嬉しい限り。それをコントロールしていったイアン・ギランももちろんチャレンジャーだし、ユニークなスタイルのバンドに仕上がってて、実力派集団の醍醐味が味わえるあたりは頼もしい。





Ritchie Blackmore's Rainbow - Ritchie Blackmore's Rainbow

Ritchie Blackmore's Rainbow - Ritchie Blackmore's Rainbow (1975)
Ritchie Blackmore's Rainbow [ORIGINAL RECORDING REMASTERED]

 日本のハードロック・メタルシーンって概ねレインボウからの影響下が大きいと思ったのはもちろんレインボウを聴いてからの話で、それまではそれこそ日本独自解釈によるメタルシーンみたいに思ってた部分あったんだよね。Zeppelin系列みたいに思うのはなかったからやっぱりレインボウってのは取っ付きやすいバンドだったんだろうと。確かに誰が聴いても、カッコ良いな、って思える曲が多いし、それこそがレインボウの強みなワケだし。

 …ってことでまだ書いてなかったのか、って思ったRitchie Blackmore's Rainbow名義の1975年リリースのファーストアルバム「Ritchie Blackmore's Rainbow」。所詮はELFにいたロニー・ジェイムス・ディオが欲しかっただけの話でシングルからアルバムへと発展させて、その時にELFのメンバーの仕事を重要視したディオの以降を組み込んでバンド形式にしていたけどその実力差は明らかで…みたいな話らしい。実際そうだったんだろうとは思うけど、アルバム聞く限りでは割と多様性に富んだ曲をバンドとしてこなしているあたり、ELFも器用なバンドだったのだろう。それが故に個性が出せなかったのかもしれないが、こうして才能あるミュージシャンはどんどんと同類の人種と融合していくのもまた面白い。その分確実に名盤が生み出されていく率が高まるのだから。

 このアルバムも傑作佳作揃いで、一発でカッコ良いな、って思うのはカバー曲ながらも「Black Sheep of the Family」だろう。そもそもこれがDeep Puprple脱退の理由なんだろうけど、こんだけカッコよく出来たらやってみたいと思うだろうね。ディオの歌声にしてはちょいと軽めになってしまうけど、元々がQuatermassの作品だもんね、凄いセンス。そしてここでのリッチーのギターはソロイスト的なところは控えめで楽曲中心と言うか、曲に合ったソロを展開している方が中心でさすがに自分のバンド的にコンポーザー的な面を出したのか、ギタリスト的にはちょいと寂しいかも。んで、ヤードバーズのカバーで終了するけど、それもこういうカバーとはね…、なかなか普通に英国バンド的にごった煮センスも入ってて面白い。

 このアルバムでロニー・ジェイムス・ディオを獲得して、ELFの面々にも義理立てして、いよいよ本格的にプロのメンツを揃えて快進撃を続けていくのが次作「虹を翔る覇者」からで、その序章としてある種方向性も無視して自身の趣味的に好きなことをやっていたアルバムでもあるか。





Black Sabbath - Mob Rules

Black Sabbath - Mob Rules (1981)
Mob Rules

 バンドってそこまで変化進化してっていいの?いいの、ってのは当然リスナーが付いて来れば良いのだろうけど、一つのバンドがメンバーを変えて音が変わっていって、それでもブランドだけは同じで、看板で売っていく、、みたいなさ、実際をういうの多いから十分通じるんだけど、昔はそんなの皆認めなかったっつうか、どんな良い作品出してもその時点でポリシー無いし裏切られた感が出てくるから売れない作品になるし、駄作と評されてしまうことが多かったんだよね。うん、分かる。

 Black Sabbathの1981年リリースの「Mob Rules」はロニー・ジェイムス・ディオ参加の二枚目のスタジオアルバムだ。そもそもオジーが抜けて、そこにレインボウなディオってどういうバンドになるんだ?と期待半分の中リリースされたのが「Heaven & Hell」で、同じバンド名でやるモンかね、これ?ってくらいの変化があってファンを驚かせたのだが、その流れの二枚目のアルバムとも言うべき作品で、ドラムもビル・ワード抜けてるし、かなりバンドが崩壊時期に近づいている中、今聴いてみれば見事に70年代からのサバスを継承した、それでいてディオの悪魔主義的な歌のスタイルをマッチングさせている素晴らしきアルバム、更にギーザー・バトラーのこれでもかと言わんばかりのベースプレイも素晴らしく際立っているアルバム。ミドルテンポの曲が多いから当然各楽器の目立ち具合もしっかりしてて自己主張がはっきりと出ている。当然ディオも負けていないし、トニー・アイオミも相変わらずのトーンでブレないサバスをやっている。

 確かにこっちがディオ編成最初のアルバムだったら地味で中途半端な作品、ディオが勿体無いなんて声が出てきただろう。それを思うと「Heaven & Hell」というまるでサバスらしからぬ作品が先に出てきたことでのこの「Mob Rules」が生きていると言えるか。そもそもオジー時代の末期も行き詰まってた感はあったワケだし、と思うと色々と符号することもあって、なかなか単に音を聴いているリスナーという視点だけでは分からなかった事が見えてきて、妙に納得したりすることもある。そんなのも含めて聴いててね、かなりの力作でちょいと戻ったなぁ…というのが単純に微笑ましい作品。





Iron Maiden - Somewhere in Time

Iron Maiden - Somewhere in Time (1986)
Somewhere in Time

 都心部がガラガラになり道路からは車が溢れ、長距離電車や飛行機は満員御礼と民族大移動が開催されるこの時期、じっくりとロックを聴いていた方が人生のためかも?とは思わないけど動けないんだからどうしようもないしな…と元来の怠惰性が行動を制御している…、ダメだねぇ(笑)。ちょいとガツンとしたモン聴きたいし、ベースのカッコ良いのも続けたいな、ってことで当然思い付いたのがスティーブ・ハリスですね。

 Iron Maidenの1986年作「Somewhere in Time」。時代的にバブリーな中、シンセやデジタルが出始めて普及してきた頃、ついにメイデンまでもがその並に捉えられたか、と当時はその音色や楽曲のセンスが悪評でもあった部分はあったけど、やっぱりアルバムそのものは全盛期の作品のひとつでもあるワケで、素晴らしい作品が揃っている。どこから聴いてもメイデンらしい、メイデンじゃなきゃ、というフレーズが炸裂しまくってて聴けば聴くほどに名作感が出てくるというアルバム。自分的にはこのギターの音色はちょいと好きではないけど、それ以前にこのかっこよさが響くので、良いかと思える次第。

 それにしてもスティーブ・ハリスのベースの目立ち具合ってのは以前からそうだけど、この手のバンドとしてもかなり珍しい部類に入るよね。ところどころでバキバキと自己主張してくるし、当然クリエイターだから曲の流れを思い切り司っているラインで弾かれている訳で、それに加えてランニング的なお遊びも入ってくるという正にベース中心に聴いていても楽しめるアルバムに仕上がっている、とも言えるか。それはこのアルバムに限らないけど、改めてベースを聴いていくとそう思う。これだけメジャーなメタルバンドでギターの存在感がここまで薄いのはあまり見当たらない気がする(笑)。

 今思うと相当に新しいことにチャレンジしていた時代でもあったのかな、と。NWOBHMの筆頭格だったことで既にそれまでの時代とは異なるバンドではあったけど、パンクとプログレッシブな要素を持ち込み、このアルバムあたりでは更にデジタル・シンセとの融合も果たして本質を変えずにバランスのよい味付けをして時代性を取り入れていくという器用さ、聴いている側はそういうのも含めて本質がブレてなければ楽しめるし、なんとも見事な采配と舌を巻くのみ。だからこそ今でも名盤として挙げられる一枚なんだろう。





Budgie - Nightflight

Budgie - Nightflight (1981)
Nightflight : Expanded

 ロックバンドって基本的に長続きしないもんだったんだ。メンバーはすぐ変わるし、音楽性も勢いだけで出てきてたのも多いから3枚目くらいから持続性が無くなってきてどこ向かうんだ?的なのも多いし、仕事として捉えているバンドはメンバーを変えて継続するんだけどなかなか上手く馴染まなかったりと実に水商売的要素が大きく、ましてやアルバムという作品が残るモンだから評価がいつまでも誰でもが出来てしまうし、やっぱり大変だろうなと。

 Budgieの1981年リリース作品「Nightflight」。もうこの頃Budgieなんて誰も見向きもしなくなってた頃、NWOBHMの波があったことで時勢に合わせた作品をリリースしてBudgieここにあり、の姿を出して盛り返したのがこの頃。古くからのバッジーファンからすると賛否両論に分かれる「Nightflight」だけど、まずはジャケットが全盛期的じゃないですか。んで期待の音だけど、始めに書いておきたいのは、このアルバム、曲順が違ってたら評価が違ってたんじゃないかと言うところ。オープニングにこの大作、と言うかアコースティックなアルペジオから始まるメロディアスでドラマティックなの持ってきてどうすんだ、と。曲そのものは自信の一曲ってだけあって、最後の最後まで、特に最後の展開なんて鳥肌モノなので自信作ってのは分かるけどさ、オープニングにするにはドラマティックすぎた。これはA面ラストかB面ラストだろうよ。

 そんな事を思いつつも一度聴いてしまうとこのオープニングは実にアルバムを期待させる曲になる。シビアなのは以降の曲にそこまでのインパクトが無いってことか。鋼鉄魂満載のバッジー時代からしたらちょいと時代に迎合しすぎた音ではあるけど、それでも結構な気合の入った作品なのは確か。センスも相変わらずのB級だしね。ただ、器用になっちゃったかな、ってのが出てて、魅力が半減したかも。そんな事本人達意識していないだろうから、これはもう生きていく上の弊害だろうし、過去があるからこのアルバムの評価が変わるだけで、単発で見ればそれなりに良いアルバム、じゃないかと思いたい。あぁ、もう一度最初の曲を聴こう…。

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Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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