The Sea Within - The Sea Within

The Sea Within - The Sea Within (2018)
THE SEA WITHIN

 ストリーミングサービスでの音楽聴きってラクで良いな、と思ってたんだけどやっぱり音質のよろしくなさが耳障り、と言うか作品の評価にも影響してしまうくらいのモノだし、流して聞く程度なら良いんだけど何かやっぱりイヤフォンで直接耳に音が入ってくると気になるんだよね。Spotifyってあっても320kbpsまでしかないし、その意味ではYouTubeでなんかは192kbps程度が最高レベル、故に普通にCD買って聴いているレベルからしたら全然音が足りない。じゃ、ストリーミングでCDクォリティってDeezer HiFiってのがあるけど、これがまたどんだけライブラリあるか分からんしさ…。だったらCD買えよ、ってのが一番普通に良いお話。何だかんだと元に戻るモンなのだな。

 The Sea Withinなる多国籍セッションバンドの2018年デビューアルバム「The Sea Within」。フラキンにトランスアトランティック、その手の著名セッションマンなんかが関わって出来上がったバンドってことでそのスジではそれなりに話題になったみたいだ。そりゃそうなんだろうなぁとは分かるものの、自分的にはこの辺のバイネームまで追いかけきれていないから、なるほどフラキン中心でテクニシャンなんかが集まってきたバンドなんだな、という程度の認識で聴く。ジャケットがそれらしい雰囲気あったからきっとシリアスに暗めでテンション高いのあるんだろうな、っていう期待感。聴いてみると、そこまでのテンションの高さじゃないけど、もちろん美しく綺麗にまとまっていて実験的な部分もありつつの割と普通にロック的なアプローチでのプログレ風味バンド、ってなトコか。

 大きく異なるのは多分ボーカルの野性味かな。計算され尽くしたものを歌い上げているんでもなく、しっかりと人間らしさの伝え方みたいなのが曲とマッチして発散されているから人間的に引き込まれる。それこそ必要なロックの部分だし、曲がどうあれ、そういう個性でバンドにリスナーを引き込んでくれるのは嬉しい。冷静に言ってしまえば軽すぎるかな、っていうサウンドの作り方は感じるし、キャッチーかもな、なんてのもある。ただ、それぞれが本家のバンドの方ではやりきれないっって音をやってるんだろうから、微妙なトコでの個性が出されているはず。どこまで続くんだろ?って思うけど、センス良いから続けてほしいかな。



Nosound - Allow Yourself

Nosound - Allow Yourself (2018)
ALLOW YOURSELF

 今でもロックの世界に於いて新しい試み、新しいサウンドの算出ってのは普通に行われている。誰がどんな形でかは分からないけど、人間の本能として新しい形を生み出すという行為が行われているのだろう。そりゃ常に同じようなものばかり出てきたら面白くない。よくリスナーは好みの傾向のバンドをいくつか探し出しては聴いて、音楽性が変わるとああだこうだと言う話があるのだが、好みとしてのその意見は当然だろうし、そういうモンだ。ただ、だからと言ってミュージシャンが新しい試みを捨てたら単なる商売人の一人ってことになる。全てそうでもないんだろうけど、ミュージシャンだしさ、芸術家なんだからチャレンジあるのみ、でいてほしいものだ。実際はいろいろあるのだろうけど。

 イタリアのシュールなバンド、Nosoundの2018年作品「Allow Yourself」はその新しさ斬新さ、チャレンジ精神ってなモノが詰め込まれているっても過言じゃない。元々がプログレッシブなバンドだからそりゃそうだけど、それだけでもなくって周囲のあらゆる音楽の影響を受けて自分の作品に取り込み、さらにそこで幅を広げている。その吸収の仕方も見事なんだろうなぁってくらいに上手く取り込んでいるから、これまでのNodoundのスタイルからの進化として受け入れてしまうサウンドに仕上げているのだな。エレクトリックやポスト的なものを取り込むことで機械的でもありつつ、それでもプログレッシブな繊細さを打ち出した不思議なサウンド。イタリアだから仰々しいアレンジや叙情性なんてのは普通にあるんだからそういうサウンドとの融合すらが難しいと思われたものを見事に重ね合わせている。

 これまでの作品も好きだったけどね、ホント、暗くて重い…、重さはそこまではないけどじっくりと向き合わないと分からない音だし、聞けば聴くほどに深さが見えてくるアルバム。センス良いんだよねぇ、このバンドは。ジャケットもこれまで外すこと無いし、アルバムも常に進化していながらも自分たちらしさは常に残っているし、音の美しさはどれも共通で、綺麗なんだよね。だから芸術的な作風になる。ロックだぜ、ってんじゃないけどセンスの良さに惚れるバンド。







Riverside - Wastland

Riverside - Wastland (2018)
WASTELAND [CD]

 日々の情報収集って既に何を目的としているかなんてのも分からなくなっているくらいに様々な情報が入ってくる。それでもヌケモレあったりして、そんなのがリリースされるのか、とかそんなの出てたのか、なんてのはしょっちゅうある。別に急いで誰よりも早くそれを聴きたい、なんてのはそうそうないので、後からじっくり聴いたって別に構わないんだけど、リリースされたのも知らなくて、ってなると勿体無いってのがあるからさ、やっぱり聞けるなら聴いておきたいし。だからいろいろな情報をチェックしている。今回はいつものブログ仲間のphotofloydさんのトコロで知ったこの新作話。

 Riversideの2018年7作目のオリジナルアルバム「Wastland]」。数年前にギタリストがお亡くなりになられて、バンドもどうすんだろ、ってのもあったし、だから新作リリースされた、ってのは素直に嬉しかった。好きなんですよね、このバンド。21世紀にもなってこんなシリアスなバンドが出てくるのか、ってくらい、しかもポーランドからってのが余計に染み入るじゃないですかってのもあってさ。それじゃなくても音楽的にスタンス的に好きで、ライブ盤なんかあんだけシリアスにやっててそこでフロイドのフレーズ出すか、って苦笑いしちゃうし、面白い。そんなRiversideの新作、そうかぁ…とちょっと感慨深く聴いてみた。するとオープニングからアカペラでどう捉えて良いんだろう?って思いながら心の準備をしていた。そこから続けられる楽曲郡は一見以前のRiversideと何ら変わらない雰囲気ではあるものの、どこか優しさなのか緩やかさ感なのか、緊迫感からちょっと引いた感触が残る。それは続く3曲目に入ると顕著に表れてきて、牧歌的ですらあるリラックスした雰囲気が場を支配する。当然ながらそのまま進みはずもなくその後はこれまでのRiverside的緊迫感と圧倒的迫力で長尺な楽曲によってバンドのポテンシャルを圧倒的に見せつけてくるんで、バンドの方向性がどうのって程のものではないのだが、アルバムという単位で聴いた場合、本作はこれまでのRiversideの持つ緊張感からやや離れた印象は否めない。

 だからと言ってどうなんだ、って話にはなるんだけど難しいなぁ…。そういう成長もあって然るべきだろうというのは理解するしいつまでもあのテンションを維持したバンド活動ってのも15年選手になってくると難しいだろうし、何よりもポーランドという国自体も安定しているから、妙な緊張感を持って生きていく必要もなくなったから、という環境の変化もあるだろう。時代が生んだバンド、という見方をするならばもうあのテンションのバンドにはならない。しかし、今はそういったシリアスな曲や演奏をする気分じゃない、っていうならばまたあのRIversideに戻ってくることだろう。本作のクォリティはこれまでの作品と何ら変わらず素晴らしいものだし、聴いててつまらないなどと思うモノのハズもなく、圧倒的に楽しめる見事なプログレッシブ・ロックだ。そう、プログレッシブなんだ、と思っているからこそ次の作品にも期待したいし、バンドの進化も気になる。何だかんだと言いながらも既に数回聴いていて、その圧倒的な楽曲レベルに脱帽しているし、演奏力の高さにもホントに感激している。それでいての文句なのだから期待値、として思っているんだろうね。

 やっぱ凄いわ。あのテンションだけがRiversideじゃない。こういう作風での取り組みもRiversideなのだ。





Wicked Minds - Visioni Deliri E Illusioni

Wicked Minds - Visioni Deliri E Illusioni (2011)
Visioni Deliri E Illusioni

 イタリアンロックの栄光が70年代のごく一部の時期でしか存在しなかったのは実に残念で、あの時代のあのバンド郡達のあの演奏力と発想力とアレンジ力、そしてイタリア独特の情熱的なイズムをも注入したマインドは実に奇跡的な産物だった。時代の変革の波にあってそのまま存続できなかったので歴史的にやむを得ないのだろうが、それでもその精神と受け継ぐべきバンドも出てきてはいるし、世界各国でもあの頃のイタリアンロックへの望郷を語るバンドも出てきている。それだけインパクトを放っていた時代とバンドだったんだよなぁ。自分的には若かりし頃にユーロロックの一貫で聴いていったんだけど、やっぱり物凄く仰々しくて粘っこい独特な音世界だなぁと割と気に入っていたりもしたもんだ。

 そのイタリアのWicked Mindsというバンドは本来70年代の英国ハードロックをオマージュとした回顧バンドのひとつではあるが、2011年に突如として自国イタリアのあの時代のロックバンドの曲のカバー集を独自解釈で展開した作品を「Visioni Deliri E Illusioni」というタイトルでリリースしている。ジャケットもどことなくキーフを彷彿させる雰囲気がなかなか乙なもんだが、それに加えての中身、例えばムゼオ・ローゼンバッハやレ・オルメのオリジナルボーカル達が自分たちの曲でそのまま歌っているという快挙、即ちバックがWicked Mindsなだけで本人出演ってワケだ。これね、結構聴いてて盛り上がりますよ。あの楽曲群が最新の音でカバーされて本人歌ってるんだからさ、再録なワケでしょ、いやはやなかなか…、しかも結構攻撃的なサウンドに仕上がってるし、それでいてオリジナルのバンド郡達が持つ破壊力や粘っこさみたいなのは普通にあるし、何とも素晴らしく見事なカバー集になってます。カバーできるモンなんだ…ってのがまず驚きなんだけど、これがまた見事でね。

 カバーしてるのはこんな感じ、Trip (1), Osanna (2), Balletto di Bronzo (3), Delirium (4), New Trolls (5), Le Orme (6), Nuova Idea (7), Dietro Noi Deserto (8), Circus 2000 (9), Museo Rosenbach (10), Quella Vecchia Locanda (11), Gleeman (12) で、ソソられるでしょ?ってか多分その筋では知られているんだろうな…。面白いのはオリジナルに忠実ではあるんだけど、当然ながらバンドとしてのアルバムの統一感が何故かあるという事実。こんだけバリエーションに富んだ作品をカバーしてるのにね、そのヘンがWicked Mindsというバンドの凄さなのかも。こういうきっかけからバンドそのものに興味持つもんな。いや〜、ずいぶんと楽しめる作品に出会えて良かった。






Lewis and the Strange Magics - Velvet Skin

Lewis and the Strange Magics - Velvet Skin (2015)
Velvet Skin

 R&Rそのものはもう進化しないんだろうか、新しいバンドでR&R色強い、もしくは新しいスタイルのR&R的バンドってのはほとんど聞くことがない。だからと言ってR&Rが終わったとは思いたくはないけど、多分終わってる。だからレトロなバンドなんかでもウケるんだろうし、ともすればトリビュートバンドだって今は結構な人気を博しているし、人々はR&Rを求めているのに新しいR&Rが出てこないのはちょいと寂しい限りか。

 Lewis and the Strange Magicsというスペインはバルセロナのバンドの2015年リリースの「Velvet Skin」。見事なまでにLate 60'sのサウンドを再現したスタイルのアルバムで、だからと言って何かのバンドみたい、と言い切れるほどのコピー感は無くって、割とオリジナルではある。でも雰囲気やアプローチや音色、使ってる楽器やコード展開なんかはもうLate60'sそのままという不思議。オルガンやエコーやレスリーなんかがそう感じさせるのだろうが、それでも不思議。曲によってはストーンズだけど、ちょっとサイケだし、何か違うかなぁ…みたいな面白さがある。なかなかこういうのを作ろうと思っても作れないから見事な才能だよね。

 この時代を知らないリスナーばかりの時代だから新しさはあるだろうし、60年代の焼き直しだよと言われても適度なオリジナル加減はきちんと入っているからその意味では新しいワケで、きちんとファンが付いて来ると良いんだけどな。ちょいと前に二枚目のアルバムもリリースしているからそれなりに活動できているのだろう、自分的にずっと聞くというのはないだろうけど応援していきたいバンドではある。








P.F.M - Storia Di Un Minuto

P.F.M - Storia Di Un Minuto (1972)
Storia Di Un Minuto

 最近はウチのブログもアクセス数減ってきてアマゾンのCDなんかももうなかなか売れていかないし、ロックは終わってるなぁ…としみじみと実感するのだが…、まロックが終わってるからそういうワケでもなく自分のトコロに面白味がないってのとCDって媒体が売れなくなったことが大きいのだろう。それでダウンロードなら売れてるか、ってぇとそんな事もなく、じゃ皆どうやって音楽、ロック聴いてるんだ?って言うとさ、YouTubeで気軽に、ってのも多いだろうなぁ。そこで良けりゃ買うが、それで満足しちゃったらそれで良いか、って具合。コレクションするという楽しみは結構失われつつあるのだろうか…、様々な変化の波に揉まれながらも今でも普通にロックを聴いているような輩がここには集まっているのだろうと思いたい。自分もそうだけど(笑)。

 P.F.Mの1972年の本国イタリアでのデビューアルバム「Storia Di Un Minuto」。イタリアなんだよなぁ、このバンド、って思うくらいには最初から洗練されている印象も強いし、実際に世界デビューした時もかなり洗練されていたし、なるほどプログレファンから受け入れられるはずだと思う歌心がある。叙情性にしてもドラマの作り方にしても音の盛り上げ方なんかも見事に英国風な影響はたっぷりと感じられるので、聞きやすいのかもしれない。その分イタリアン的な風味ってのは突然出て来るヘンな展開だったり、音色のチグハグさだったり繊細さから突如として展開される構成だったりと現れてくるのが妙に引っ掛かる。それが面白くてまだまだ若いP.F.Mな感じが聴けるとこがユニーク。

 それでも随分とレベルの高いアルバムが最初から出てきたもんだ。時代もあって思い切りプログレ感ある曲が多いのが好ましい。名作「Photos of Ghosts」に流用される曲もいくつか入っているからかなんとなく聞き慣れている感もあった。ただ、今となってはこの芋臭さというのか、田舎感がバンドの面白味だったのか、なんて思いもする。あのP.F.Mをイメージして聴いても外れないけど、ここまでだったんだ。ってのはちょっと思うんじゃないかな。




Arti e Mestieri - Quinto Stato

Arti e Mestieri - Quinto Stato (1979)
Quinto Stato

 歳を取るとヘンになるヤツが多いのか、年末だからそういうのをよく見かけるのか外食しててもヘンなジジイがいるし、アチコチで妙に常識はずれと言うかわがままそ言い放題なジジイに遭遇する。そりゃ色々あるんだろうけど、人に迷惑かけたり不快な思いをさせるのは人間よろしくないぜよと思うワケだ。色々な人間と人生があって画一的に何が正しいとかわからない時代にはなってるけどさ、自分的にはそう思うのだな。だからと言って自分が常に正しいワケでもないんだが、少なくともマシでいたいなとは思う。

 イタリアはトリノのバンドのArti e Mestieriってのはアルバム「Tilt」でイタリアン・ロック好きな方々にはそれなりに知られた存在であろうし、単なるユーロリスナーでもアルバムは聴いているようなバンドだが、そのArti e Mestieriって1979年に三枚目のアルバム「Quinto Stato」ってのをリリースしていたのは知らなかった。そこまで追求していなかったのと、この頃のイタリアン・ロックバンドってどれもこれも数枚リリースするかどうかって状況だったからそんな後にリリースしてたなんて思わなかったのが大きいか。ともあれ、へぇ〜、ってなことで今回聴けたんでなるほどそりゃ面白いわ、なんてフムフム頷いてしまったアルバムでしたね。

 妙に音が…フュージョン?って思っているトコロに暑苦しくて巻き舌で図太い声のボーカルが入ってきて、何か妙なもん聴けてる…、何だろ?あぁ、フュージョンに歌が入ってるからだ…、しかもこんな暑苦しいのが入ってるから余計にヘンなんだ、ってことに気づいたアルバム。半分くらいは歌なしなのでフュージョンそのものになるのだが、それでも音はロック。ユニークなアルバムに仕上がってて、名盤と騒がれるようなアルバムじゃないけど、力強さとか迫力なんてのを感じる秀作だろうね。イタリアン・ロックによる変異は英国のロックと似たような進化はあるものの、やっぱり独特の文化目線による進化系で面白い。問題なのはそこまで情報整理がしきれていないってトコロとまだ見ぬバンドが多いからよく分からんってのもある。

 それでも、このArti e Mestieriのテクニカルなプレイとアンマッチな歌声はヘンに聴く気を起こさせる組み合わせで、それは多分バックの演奏陣営のユニークさなんだろう。面白い方向に進化したんだなというアルバムで、ジャケットも、ねぇ…。


Formula 3 - Dies IraeAlbum Completo

Formula 3 - Dies IraeAlbum Completo (1970)
怒りの日  (紙ジャケット仕様)

 ロックバンドがツアーをやって世界中を回っていてもきっとどこがどんな街で、何がどうだった、なんてのはあまり覚えていないんだろうな…ってよりも、そこまで街を見れたり観光できたりなんてそれほど無いんじゃないかな。有名だし。それでも勿論幾つかは訪れたりするのだろうけど、どんだけ記憶に残ってるのかな。勿体無いと言えば勿体無いけど仕事でのツアーだからそりゃそうか、って部分もあるし、大物であればわがまま許されるトコロはあるだろうけど、なかなかそこまでの人も多くはないか。若い頃なんかだと全然そんな余裕が無いままにツアーしてるからただひたすらプレイしてただけでどんな街かなんてのは全然わからなかったって誰かのインタビューでは読んだことがある。ミュージシャンってのも大変だなぁ…と。

 イタリアン・プログレ、と言うよりもイタリアン・ロック創世記のバンドとして絶対に外せないFormula 3の1970年デビュー作「」。バンド名が表すようにドラム、鍵盤、ギターの3人で編成されたバンドで、ベースレスだ。実際にこの「Dies IraeAlbum Completo」を聴いてみればわかるけど、ベースの音は入っていない。にもかかわらず、とんでもなくヘヴィで重たくてぶっ飛んでるハードロックというのは実に興味深い。もちろんそれは鍵盤、主にオルガンでのヘヴィなサウンドとギターの重厚感による重さがあるからで、ベースいたらもっとヘヴィでバリエーション豊かになったんだろうけどね、これはこれでとんでもなくぶっ飛ぶアルバムなのでこの素晴らしき世界を楽しんでもらいたい。

 イタリアン・ロック的な旋律はそれほどでもないけど、熱さってのはそのままイタリアでね、んでもこんだけヘヴィにやろうっていう感覚が凄くて、メロディアスでもないし、展開がどうのってんでもない。ただただヘヴィに繰り広げられるバンドの音、しかもハードロックそのままでしかないサウンド、だが奇想天外な曲がバンバン迫ってくる。一体どこからどうやってこんなんが出てくるんだろ?実に奇抜なアイディアを豊富に持ち込んで、3人で出来得る事を詰め込んだヘヴィサウンド、物足りなさもあるけど、この音そのものは素晴らしい。

Quella Vecchia Locanda - Quella Vecchia Locanda

Quella Vecchia Locanda - Quella Vecchia Locanda (1972)
クエラ・ヴェッキア・ロカンダ(紙ジャケット仕様)

 凶暴なサウンドってのが存在する。パンクなんかの凶暴ってのとは違ってさ、クリムゾンの凶暴さってのは知られているとは思うけど、ほんとに荒々しく凶暴なサウンドで、音で犯されてるって昔は言われたもんだけど、それくらいにサウンドが凶暴なバンドのアルバムってあるんだよね。面白いのはそう言われるサウンドになるには大抵フルートやバイオリンってのが入ってきてて、そいつらが通常のロックサウンドに別の角度から凶暴さもメロウさも与えられるって事だ。鍵盤も一部あるかな。んで、これがまた激しいロックが好きな人間からすると結構な好みで、この激しさはロック聴いてる気分になるし、実際かっこよく感じるから好きな音になるのだ。

 Quella Vecchia Locandaの1972年のデビューアルバム「Quella Vecchia Locanda」は正にその若さと勢いが凶暴なサウンドとして出てきているアルバムで、その凶暴さの一端を担っているのは確実にバイオリンの暴れ具合であろう。オルガンのヘヴィさはギターのハードさももちろんあるけど、輪をかけての凶暴さはそこにある。ところが一方では当然のように美しくクラシカルな静かな音の調べ、それはフォークギターとコーラスワークで奏でられる美学なんてのも普通に出てくる。そのときもメロトロンやバイオリンがムードを駆り立ててのサウンドになるのだから、その変幻自在さはバンドの器用さにも繋がる。歌声はと言えば基本的に歌が上手いワケだからしっとりと歌えばそりゃしっとりするし、暴虐に歌えば迫力満点の凶暴なサウンドのフロントに相応しい歌にもなりうる。しかしこのバンドの魅力はやっぱりぶっ飛んだ迫力だね。

 今にして思えばそうでもないのだろうけど、アバンギャルド的に様々な音楽のミックス、それもイタリアというフィルターを通っているからクラシカルな要素も入ってのジャズやロック、そこの凶暴さが加わっての美しさ、セカンドの「Il Tempo Della Gioia」のジャケットがインパクト強くて紹介されることも多いからあっちのイメージの方が強いけど、ファースト「Quella Vecchia Locanda」はもっとシンプルにハードなロックが聴ける、そんな作品。よくぞこんな作品を作り上げたものだ、と讃えたいほどに自分の好みにハマってくる音です。


Metamorfosi - Inferno

Metamorfosi - Inferno (1972)
Inferno (Mini Lp Sleeve)

 体系的にイタリアン・ロックを並べてじっくりと研究したことがないので、どうしても単発的にバンド単位で聴いて反応してしまうので、どこかで年代とジャンルとバンドメンバーとか並べ立てて整理しないと頭に入らないのかな。今更頭に入れるってモンでもないけど、聴いてて単純に良いとか格好良いだけじゃなくて、背景がああだからとか時代的にとかそういうのも絶対あるから知識的に取り入れて聴いていると納得感あるんだよ。英国のシーンからの影響もあるから同時代のバンドはその辺だったとかも含めてね。だからハードロック中心だったりとか鍵盤ありきとかさ、作風にも影響しているだろうし。もっと知ってると面白いだろうのはイタリアそのものの歴史的背景とその時のご時世、シーンにあった音楽なんかも意識するとなんとなくイタリアン・ロックが出来上がった背景が見えてきてサウンドのバックグラウンドが分かりやすくなる。そうすると面白くなる、はず。

 Metamorfosiというこれもイタリアのバンドで、アルバム数枚リリースしていたのでそれなりに活動時期があったとも言えるか。多くが単発のアルバムで終わってることを思えば大したものだ。1972年リリースの2枚目「Inferno」では初期のギタリストが脱退したことでダサめのハードロックバンドから逸脱して、良質な鍵盤プログレバンドへと変貌しての名盤と称される作品に仕上げている。この辺を聴いていて思うのはボーカルがカンツォーネってのかな、上手いんだよ。本気のボーカリストっていうのが多くて、それはイタリア語に騙されているのか巻き舌がロックに似合うのか、オペラティックな歌声で、このバンドではバリトン的な歌声なので余計にそのクラシカルな声楽的なイメージを持ってしまい、それだけで迫力と言うか貫禄が漂う。その声量も楽器陣営にはまったく引けを取らないものだし、ロックでこの手の歌を持ち込んでいるのはそれほど多くないワケで、大いなる武器だったことだろう。

 楽曲はギターがない事で鍵盤が大いに活躍しまくってて、そもそもアルバムがダンテの云々なので荘厳なものに仕上げていてベースと硬質な鍵盤で畳み掛けるような構築美な音作り、よくぞここまで仕上げるものだ、ってくらいには凝ってる。きちんと威厳も醸し出しながらのロックへのアプローチ、いや、ロックそのものだけどね、新しい息吹を与えているサウンドは毎回書くけどイタリアのこの時代の産物。今のイタリアはもっとこなれているだろうし、ここまでコテコテなのはなかなか見当たらないだろう。この手の音が好きな輩には結構な名盤と取り沙汰される作品のようで、事実聴いていて凄いなぁ…ってアルバムだしね。


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Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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2006年 06月 【30件】
2006年 05月 【31件】
2006年 04月 【30件】
2006年 03月 【31件】
2006年 02月 【28件】
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