Dolores Keane - Night Owl

カテゴリー: Ireland

 アイルランドのシンガーによる楽曲はフォークとも現代音楽とも民謡とも区分けできない世界が存在している。エンヤなんてのもその筆頭なのだろうけど、90年代に入ってからもゾクゾクとそういう中間点での音楽を奏でて歌っている歌姫達が出てきていて、なかなか日本のメディアで紹介されたりするものでもないんだけど、アイルランド系の音楽って結構好きなのでちょこちょこ情報入手していると素晴らしい世界に出会えることもある。というかほとんどが素晴らしいものなので、何かで目にした時には大体手に入れていると言った方が正しいかも。

ナイト・アウル Tideland

 ドロレス・ケーンという女性シンガーについても多分同じ理由で、どこかでヨーロッパで一番歌の巧い女性シンガーとして紹介されていたのと、それがアイルランド出身ということで気になったのだと思う。ところが全然別のトコロでフォークシーンを研究していたら同じ名前に出逢った。デ・ダナンというバンドのシンガーだったとのことで、ならば気になるので…、ってことで聴いてみることに。1997年リリースの本作「ナイト・アウル」から自身のプロデュースによる作品となり、これがドロレス・ケーンの表現したかった世界なのか、とマジマジと聴いてしまった一枚。

 一言で言うならば実力派シンガーによるシンプルな歌世界。哀しい曲は哀しく、周りと合わせる曲は周りと合わせて、民族的なものは民族的に、そしてカバー曲は原曲に忠実に、そのどれを取ってもドロレス・ケーンというカラーをしっかりと打ち出した、最初に聴いたキャッチコピー「ヨーロッパで一番歌の巧い女性歌手」というのはまったく頷ける声を聴ける。基本的に明るくないので、ノリでごまかせるようなモノじゃないからホントに巧いです。巧いっても感情表現も全部含めてという意味なので、聴いていて心地良い。涙流す曲もいくつもあって、素朴な歌とアコースティックで出来上がっている曲なんて、見事だなぁ〜と感嘆するのみ。

 自分は日本盤で手に入れたんだけどどうも今アマゾンとかにあるのとジャケット違うんだよね。まぁ、別に良いんだけど、何となく日本独自ジャケットのアルバムだったのかな、と嬉しくなる。いやいや、そんなマニアックな話に行く前に、ドロレス・ケーンの歌世界、ちと試してみて下さい。アイルランドの香りたっぷりの静かなアルバムです。

Irish Drinking Songs

カテゴリー: Ireland

All The Best Irish Drinking Songs: 20 Great Favorites Irish Beer Drinking Favorites

 大人になるとイヤ〜なことがある時ってアルコールに逃げれるという策があって、飲み過ぎなければそれは割と功を奏することもあり、また次の日にしょうがないから頑張るか、みたいなことがしょっちゅう(笑)。そんなアルコールの日々には日本だと居酒屋ってのがメジャーなところなんだけど、それは国によって異なる。まぁ、欧米ではパブなんてのが一般的なのかな、とも思うが特にそれはパブリッシュという言葉から生まれた酒場でして、コトの発端がどこなのかは知らないけれど音楽と密接なパブってのはやっぱりヨーロッパ圏に顕著で、英国やアイルランドというところが有名ではないかな。他の諸国のパブ状況がどうってのはよく知らないので書けないけど、もちろんいろいろあるんだろうなぁ、と。何でまたそんな話かと言うと、ブルース聴いてて、アルコールの話になって、ならばパブで流れる音楽、しかも生演奏で、ってのはやっぱりアイルランドの「Drinking Songs」だろう、と。いや、単なる民族音楽に近いんだけど、そこかしこで勝手に演奏が始まるというから面白そう。色々と安いCDもあるので参考に「All The Best Irish Drinking Songs: 20 Great Favorites」「Irish Pub Songs: 22 Good Time Favorites from the Emerald Isle」「Irish Beer Drinking Favorites」「50 Favorite Irish Pub Songs」などなど…。

 自分でもいくつかCDを持っていて、別に目的があって入手したワケでもないけど、何となく面白そうだなぁ〜と。ジグやリールを中心とした脳天気な、正にパブで飲んでる時に聴くにはぴったりの音。日本の居酒屋ならさしずめ浪曲ってとこだろうか(笑)。アイルランドのバンドがこういった音楽を基盤に持ちながらロックやポップスを奏でるのはごく自然なことだと思うし、一方ではこういう音ではなくもっと伝統的なケルト旋律への追求っていう方向性もあるんだけど、この両者は方言こそ違うが音階や旋律ってのはかなり近いと思うんだよね。有名なのはシン・リジィの「Whiskey In the Jar」だよね。この手の編集盤には大体入っているくらいの有名定番曲だけどあんな風にロックになるワケだし。もっとも他にも思い切りロックになるじゃないか、って曲も山のようにある。

 アコーディオンにフィドル、全音階の旋律によるメロディと大合唱コーラス中心の明るいリズム。ほぼ世界の反対側に位置する日本でこんなもの聴いてるってのも彼等は想像しないだろうけど、是非一度本場に行ってみたいねぇ。いいなぁ〜、こうやって騒げる人達は。気質だろうな。静かに飲んでいたい、って人は別の場所へ行けってことだろうし、そういう文化なんだろう。かと言って好んでそういうトコロに行ける人間かと自問自答するとなかなか難しいが(笑)。

 しかしこういうの聴いてると凄く気分が明るくなってくるから面白い。騙されたと思ってチャレンジしてみると結構ハマるかも(笑)。

 アイルランド、割と望郷の地です。

U2 - Vertigo//2005: Live From Chicago

カテゴリー: Ireland

 普段はほとんど全くテレビというものを見ることがないのだが、たまたま流れていたCMで「U2のヴァーティゴツアー2005、ライブ・イン・シカゴをFOXで放映します!」なんてのが流れていて、へぇ〜そうか、って思い、そういえばそのライブって持ってたっけ?日本公演って確かヴァーティゴツアーだったから似たような曲順だったっけかな…などといい加減な記憶を頼りに探してみるとやっぱりあった(笑)。これってヴァーティゴツアーだったっけ?えらく古いように感じるけどな…一人勘違いしながらDVDプレーヤーで再生することに。

Vertigo//2005: Live From Chicago Elevation Tour 2001: Live From Boston (2pc)
Vertigo//2005: Live From Chicago

 「かっこええ〜」

 なんたるかっこよさだ、これは。クールな大人のロックのかっこよさっつうか熱い少年のような魂の触れ合いとでも言うのか…、両方が同時に存在しているU2のステージ。既に完成されたスタジアムクラスでのショウバンド、いややっぱりロックバンド、そして毎回パフォーマンスと演出が多数組み込まれているエンターティナー。そして一人の政治家としてもステージや会場をフル活用する活動家でもある、か。あまりメッセージ色が強いのは好きではないけど、受け止める側の問題だから、ということで押し付けるワケでもなくメッセージを発信しているのだからこれもよし。言っていることは至極当然の事でもあるから。

 いやぁ〜、しかし名曲ばかりだな、このライブ。初っ端から心地良くノレるし、続いてはヒットナンバー「ヴァーティゴ」だから一気にヒートしてるし、そんなのが続々と出てくる。古い曲も新しい曲も入り交えてU2の今を伝えてくれている。エッジのギターの音の広がりはどんな時でも唯一無二のサウンドだし、何よりもデビューからずっと同じ不動の4人だけでステージをこなしているのが当たり前だが嬉しいし、シャープなハズだ。ロックバンド、だよね。

 やっぱり古めの曲が演奏されると胸が熱くなるが、同じくらい感動するのは「Beautiful Day」だったり「Sometimes You Can...」だったりもする。「One」なんてのはもう過去の名曲群の中でもダントツの位置付けだし…。90年代の曲なんだけどさ。もちろん往年の80年代の曲「血の日曜日」や「プライド」なんてのは涙なしでは聴けない曲だし、ライブだとそれがまた実感籠もっていて更に感動的。実は終盤に行くにつれてあまり聞き込んでない曲になっていくのが哀しいが、最後の「40」はもう素晴らし過ぎる。ひとりずつ静かにステージを去っていくという演出もこれまた見事。

 U2ってドラムのラリーのバンドなんだよね、元々は。ボノの圧倒的存在感とエッジの職人的音世界が全面に出てしまっているので影が薄いんだけど、後ろで一人でロックンローラーを貫いているラリーのスタイルはU2のポリシーなんだと思う。この男気がかっこよいんだよな。たまにしか映らないんだけどさ。まぁ、このステージは良く作られているのでメンバー全員にスポットが当たるようになっているし、ファンからしても最前列が二箇所あるようなもんだから良いけどね。

 テレビで見た時には時間を忘れていて30分くらい経過してから見たのでどうしても最初の方が見たくなって、DVDで最初の方だけを、とか思ってたら結局全部見てしまった(笑)。なんか、勢いづいてきたから他のDVDも見たいなぁ〜と。今「Zoo TV」とか見たら面白いんかな…。しかしこのシカゴ公演っつうかヴァーティゴツアーは素晴らしい。前のエレヴェイションツアーも良かったし…、もう言うことないバンドだね。

Sinead O'conner - The Lion and the Cobra

カテゴリー: Ireland

 アイルランドからも衝撃の、と言うか真の意味で革命的な女性が一人世間を騒がせた、というかアメリカを脅かしたとも云えるが、過激な姿勢で全盛期を生き抜いた女性がシニード・オコナーだろう。普通に見ているだけではアタマを坊主にした変わったアーティスト、くらいのモンだけど、ちょっと歌詞の中身に目を通してみるとそこには非常に過激に、そして赤裸々な歌詞が描かれている。こういう部分ってのは日本人には弱いところで、自分的にも弱いところなのでその面白さに気付くのに時間がかかるのが残念。

The Lion and the Cobra I Do Not Want What I Haven't Got

 1987年リリースのファーストアルバム「The Lion and the Cobra」で、一般的にはこの後のセカンドアルバム「I Do Not Want What I Haven't Got」の方が有名だろうけど、何となくファーストの方がインパクトあって良かったんだもん。音だけで聴いてはいけないので、そのアジテーションとか知って聴いた方が面白い。…っつってもまぁ、どうしても音を聴くのでしょうがないんだけど、シニードの声を聴いているだけでも非常に透き通った、そして意思の強靱さが表れ出ていることだろう。激しさの中にもどこか冷静な部分があって、そして元がアイルランドなので旋律や寒さってのはしっかりとメロディに表れているしね。

 とは言っても当時この良さがわかって聴いていたワケじゃないし、どちらかと言えばあまり聴かなかった。これぞロック、っていう感じの音じゃなかったし、かと言ってポップスというように軽く聴ける音楽でもなかったから手に取ってみることは少なかったんだよね。ただアイルランドとか女性ボーカルものとか、彼女の歴史、みたいなのが何となく情報として入ってくるようになる度にへぇ〜って聴いてみたりしていて、だんだんと彼女のスタンスっつうのがわかり始めて来たってのが真相。

 セカンドアルバム「I Do Not Want What I Haven't Got」ではプリンス作の「Nothing Compares 2 U」を歌い大ヒットを記録しているけど、とてもこれがプリンスの曲だとは思えないくらいのシニード・オコナー調に歌われたバラードで最早聖歌と呼んでも良いくらいの出来映えに驚く。もともとプリンス好きの彼女にしてみると願ったりのシングルらしいが、それでもここまで歌えたら素晴らしい。プリンスも相当気に入ったんじゃないだろうか。ただここまで暗いとどうかとは思うが(笑)。

Andrea Corr - Ten Feet High

カテゴリー: Ireland

 最近は情報のチェックがなかなかできなくなってきている。昔に比べれば情報の宝庫の中で生活しているようなものなんだけど、その分情報を拒否している面もあるし、それにインターネットにしても情報を探しに行かなければ入ってこないというものでもあって、結構世間から隔離されていると思う時がよくある(笑)。まぁ、毎晩飲みに行ってればネットも何もないしテレビは見ないし、新聞読んでる時間ないし、みたいな世捨て人状態ではあるが…。

テン・フィート・ハイ Shame On You (To Keep My Love From Me)

 そんなことで全然知らなかったんだけど個人的興味の高いコアーズと言うバンドのフロント姉ちゃんでもあるアンドレアが昨年7月頃にソロアルバム「テン・フィート・ハイ」を出していたんだなぁ。いや、全く知らなくて、ついこないだ知ったので早速チェック♪ コアーズの音ってのはケルト風味たっぷりのポップスで、ここぞと言うときにケルティックな旋律でノックアウトさせてくれるのだが、ソロ作品ってどんなんかな、と興味津々。

 最初からケルティックな雰囲気はもちろん裏切られてて、最新の音と技術を駆使した超良質でしつこくないポップス。ただし多種多様なサウンドが散りばめられているので、そうだねぁ、アイルランドのマドンナ、みたいなもんか? いや、まぁ、音的にそういう試みをしているってことでね。空気感はやっぱりケルトかなぁってのはあるんだろうけど、音的には全然ケルト風味なし。故にコアーズのサウンドとは全然違うので完全なソロ作品だね。歌詞にしてもかなり赤裸々に描いているみたいで、生々しい感じらしい。よくわからんけど。

 う〜ん、コアーズの時は声に特徴あるなと思ったけど、こうして聴くとイマイチ面白味に欠けるのはなんでだろ?フロントのボーカリストなんだからもうちょっと面白いかと思ったけど、やはりバンドのサウンドっつうのがあったんだろうな。それでイマイチ慣れてないから聴く側としても物足りないのかも。でも、まぁ、悪い音じゃないから何回か聴いているウチに面白くなるかな。作品の作り的にはよく出来ているしね。

Rory Gallagher - Against The Grain

カテゴリー: Ireland

 熱血のギタリストとして知られていて、その実アルバム的にはどれが名盤?という感じに知られていない感じもするロリー・ギャラガーなんだけど、個人的にはやっぱりライブがオススメになっちゃって、確かにアルバム単位でしっかりと聴いてたことが少ない…。そう思ってここのところ最初期のアルバムからず〜っと聴いていてね、ライブの熱さとはちょっと違うんだけど、やっぱりスタジオでもそんなに変わらずに白熱しているのはあるんだなぁと改めて感じまして…、いやぁ、お恥ずかしい限りです。

アゲインスト・ザ・グレイン(紙ジャケット仕様) Against the Grain

 一般的名盤ってのは「Tattoo」とかその後のライブ盤「Irish Tour」なんだろうなぁと。確かに凄くかっこよくって良いのでまた今度書くとして、その後の1975年リリースの「アゲインスト・ザ・グレイン」っつうアルバムがかなり良い。相変わらずの一発勝負って感じの曲が多くてギターリフなんかも思い切り単調だったりするんだけど、どっからどう切ってもロックなんだよ。当たり前だが。そのロックさがスカッとしていて気持ち良い。リフ一発で攻め立ててくる曲からちとジャジーに哀しげな曲、もちろんアイルランド的すぎないのでこれがまた良い味出すんだけどね。そしてスライドを多様した思い切りブギなヤツ…、目の前で見てたらノリまくること確実な曲だね(笑)。

 ロリー・ギャラガーって独特の人だよなぁ、とつくづく思うんだけどさぁ。これくらいのロックンロールとブルースを弾く人って多分他にもいくらでもいるし、みんな結構熱血で弾いていたり歌っていたりするわけだしさ。歌が上手い、っていうのでもないし、曲が凄く良いってワケでもない。果たして何が彼をここまでカリスマにしているのか、って考えると結構不思議。性格的にも気さくで優しげな人って言うし、来てるのはチェックのネルシャツだし…、ギターはハゲハゲで好きだなぁ〜って感じなんだけどさ(笑)。そんな、多分凄く普通の人で、とにかくギターが好きでブルースが好きってだけなんだよね。そういうのって多分ロックミュージシャンって多いんだけど、それでもここまでカリスマになっちゃうのってやっぱり白熱してるからかなぁ。単純に成り切れるっていうのか、そういう熱さが良いんだろうな。ライブだと良い、っていうのはそういうのが生々しく伝わってくるからだと思う。スタジオ盤では出せない味、だね。でもこの「アゲインスト・ザ・グレイン」というアルバムはかなり生々しかった。だからいいなぁ〜と。多分大音量で聴けばどのアルバムも響くのかもしれないな。

 ジャケットってさ、ハゲハゲのギターのヤツの印象が強いんだけど今のCDは違うんだね。オリジナルはそうなのかな?それとも未発表ジャケとかアメリカ盤とかなのかな。ボーナストラックも付いて紙ジャケでも出てるし、うん、まだまだロリーは自分的に追求できる人なのでおいおい楽しみにしているんだ♪

Van Morrison - Moondance

カテゴリー: Ireland

  ルーツを遡る、これはアーティストにとってはあまり重要なことではないと思う。アーティストはこれからの音楽を創り上げていくクリエイターである必要があるから過去に縛られてはいけないのだ。たまには良いのだろうが基本的に新たな音楽世界を作っていくことが仕事なのだ。故に新作が期待はずれに終わることがよくあるのはその果敢な挑戦をリスナーが受け入れてくれない時、もしくは自分のセンスがズレていた時、なのだ。が、一方でルーツを大切にして時代を超えて伝授していくべき音楽を奏でる人もいる。こういう人はミュージシャンと呼ぶ。ミュージシャンは如何に上手にそういったものを奏でて次世代にわかりやすく伝えていくか、であろう。

Moondance ゼム・ファースト〜アングリー・ヤング・ゼム

 さて、ヴァン・モリソンという人をご存じだろうか。古くはゼムというバンドの一員であり、有名な「Gloria」の作曲者だ。60年代末期には既にバンドを脱退してソロ活動に入っており、今なお現役で自身のルーツをしっかりと見つめ直してアルバムをリリースし続けている人だ。どちらかというと歌い手の人なのであまり興味はなくて、大して聴いたことはない。が、何となく恒例の棚整理中に出てきたのでちょろっと聴いてみた、一般的に名盤と呼ばれている「Moondance」だ。

 1970年リリースのソロ二枚目、かな。アイルランド人なのでその筋でも有名ではあるが、一般的には英国ロックの人として語られる?と思う。いやぁ、ゼムって一瞬だけ光り輝いたバンドだったから、どっちかっつうとソロになってからの方が有名だからさ。ゼムの頃はR&Bに根ざしたロックンロールをやってたけど、ソロになってからはたまたま時代的なものもあってアメリカのカントリー、スワンプ的な音を追求していたらしい。その決定的な作品が「Moondance」というアルバムで、もちろんそれだけじゃないけど、どこか望郷的な香りのする曲が多く、ノスタルジックな気分になる作品。どんな気分の時にこういうの聴いたらいいのかな…、ハマってる時だと凹み過ぎるだろうし、元気の良い時にはあまり聴く気にならないし、難しいかなぁ。多分ちょこっと黄昏れている時にはピッタリなんだろうけど、そんな時ってのは自分にはあんまりないので聴かないのだろうか(笑)?いやいや…。

 多分凄く大人な音楽なんだと思う。いいなぁ〜とは思うけれど自分にはまだ早いなんて感じかな。曲は良い曲ばかりで…、しっとりとするし楽しめるし。BGMとしてもかな〜り良い感じになるだろうしなぁ。でもしっかり聴いてももちろんいいなぁ〜っていう…。こういうアルバムがあるんだ、って改めて認識した。

The Pogues - Red Roses for Me

カテゴリー: Ireland

 「赤い薔薇を僕に (Red Roses for Me)」。良いタイトルだね。でも「For Me」ってのがどこかおかしい(笑)。そう、1984年にデビューしたアイルランドの酔いどれ天使率いるポーグスの最初のアルバム。今ではリマスタリングされて更にボーナストラックが山のように追加された全19曲バージョンが出ているので心の底まで楽しめるってもんだ。

Red Roses for Me Rum Sodomy & the Lash

 普通にロックを聴いているうちは遭遇することのないバンドかもしれないな。パンクっていうには遅すぎるし、ニューウェイブっていうには音楽性が個性的すぎてジャンルで括れないし、かといって当然ながら80年代ポップスじゃないし。しかもアイルランドの民謡をベースにロック的に、というのかハチャメチャに明るく、そしてスタイル的にはロックで=パンクの勢いを持って本当に音を楽しんでいる姿をそのまま自分達のイメージにしているバンド。

 ちなみにこのファーストアルバム「Red Roses for Me」ではエレクトリック楽器ってのはベースくらいしかプレイされていないんじゃないか?ギターもアコギだし、後はバンジョーやら笛やらもちろんドラム、フィドル、マンドリンとかもあるかもしれない…、いやぁ、だから基本的にトラッドを演奏するバンドで、フェアポート・コンヴェンションと同じくトラッドをロック風に、というパターンでトラッドをパンク風に、そして明るく楽しく、っていう要素を加えて出来上がっているんだもん。アルバムの最初からかっ飛ばしてってひたすら脳天気に演奏される楽曲の数々、どれもこれもが勢い満載でかっちょ良い。多分後にも先にもこのバンドみたいなのはこのバンドだけだろうね。はちゃめちゃなお祭り騒ぎの中に一本筋の通ったスタイルが走っている、そしてラブソングなんていうものは皆無で、酒や夢なんてのをひたすら歌っている…そういうところの儚さや切なさってのもアイルランドの面白いところ。骨太な硬派主義なんだよね。

 この後色々作品を出していくんだけど次のアルバム「Rum Sodomy & the Lash」まではまだこの路線、その後の名盤「If I Should Fall from Grace with God」からエレクトリックというかロック的に羽ばたいていく感じで、名作。ジョー・ストラマーのプロデュースしたアルバム「Hell's Ditch」も凄く好きで、正にジョーの作品って感じだし。でも原点のファーストアルバム「Red Roses for Me」はダイヤの原石のように…というか「赤い薔薇」のように輝いている作品だね。

 そういえば昨年かそこらにボーカルのシェインが復帰して再結成、そして日本にも来てライブをやっていったらしい。その時も酔いまくっていて相変わらずのバカっぷりだったらしい(笑)。

U2 - All That You Can't Leave Behind

カテゴリー: Ireland

 クリスマス・イヴ…、だからと言って何が変わるもんでもないしなぁ、クリスマスにちなんだロック系の作品でもいいかなぁなんてのも考えたが、やっぱ面白くないので止めた。かと言って適当なものにはしたくないなぁっていうこだわりもあってね。もの凄く気に入っているアルバムを紹介しておこうかな、と。ちと脈絡はないけど、まぁ、いいじゃないですか。退廃的な時代を生きたジミヘンと趣は異なるけど今の時代の先端を進むU2。特にこの作品への思い入れが深い人も多いんじゃないかな。

All That You Can't Leave Behind U2 Go Home: Live From Slane Castle (Jewl)

 2000年リリース「All That You Can't Leave Behind」。見事にU2が昔に戻ってきた記念碑的作品。それが良いことばかりだけではないのだろうけど、ひとつの物語に終止符を打って原点回帰してくれたことでファンはまた彼等を信じていくことだろう。既に25年以上現役でメンバーも替わらずに生き抜いているにもかかわらず未だにロックの世界では70年代のバンドが幅を利かせている。U2などは一番中途半端な時代に出てきたこともあって、どっちつかずの状態、もちろんそれが良かったのかもしれないが、今でも最先端のバンド達とも平行で比べられる存在、そして圧倒的なロックアイコンというシンボルも兼ねている。でも非常に素直な、そして熱い人間だったりするワケで、少々世界問題にクチを出し過ぎの面もあるが、そこは好みの問題で、ある種U2というバンドというよりもボノという人の話か。

 さて、この「All That You Can't Leave Behind」という作品、冒頭の「Beautiful Day」からしてもう最高に素晴らしい。淡々としたメロディとどこかピンと張った空気感のなかから飛び出してくるさびのフレーズ、それが本当に弾けているロックな、魂の叫び声であったりすることがリスナーを見事に惹き付ける。そしてシンプルな音の作りは昔のU2の姿勢そのままを表していて、誰もが皆この一曲を聴いた瞬間からU2が戻ってきた、と実感したことだろう。続いての「Stuck In A Moment You Can't Get Out Of」なんてのはロックの世界でも相当のレベルにある名曲だ。2000年リリースだからと言って70年代と比較してはいけないわけでもなく、全く素晴らしいバラード調の作品だ。もしかしたらU2の中で一番好きかもしれない曲。ウチのiTunesで再生回数トップ10に必ず入っているんだよな(笑)。そして「Elevation」もノリが素晴らしくて、これはねぇ、ライブDVD見る方が良いかなぁ、会場が一体となって揺れている、そんな映像が思い浮かんでしまうくらいノリがよくって鋭利な面も持った良い曲。DVDはスレーンキャッスルのアイルランドの地元のヤツが好きだね。で、どこか切ない、寒さを持った「Walk On」も正に「ヨシュア・トゥリー」に匹敵するくらいのテンションを保った曲…、アコギが優しさをず〜っと出している、メロディも暖かく…、うわぁ〜、凄いなこれ。涙出てくるもん。名曲です。同じ路線だけど、また別の感動を出してくれているのが「Kite」。正に愛が込められているU2の音世界が表れていて、このアルバムの名盤さを象徴している。どうしてこんなに素晴らしいんだ?

 全く…こんなに素晴らしい曲を溜め込んでいたのかと思うくらいに名曲ばかり。飛行場のロビーでのジャケットも帰路に着く、みたいな意味合いなのかな。制作布陣もスティーヴ・リリーホワイトやイーノを戻しているし、U2が90年代に実験してきた世界にひとつの終わりを告げて戻ってきた裸の姿。今でもその路線を続けているがおかげで皆喜んでいるし、感動している、それだけではなく素晴らしい作品を創り上げてくれている現役バンド、多分他にはそうそうないと思う。このままどんどん諏ばらし作品を作り続けて欲しいね。

メリークリスマス!

Grand Slam - Studio Sessions

カテゴリー: Ireland

 なんとなくハードロックな気分の中、ちょこっとだけマイナーな人達のバンドをいくつか…、と思ったんだけど多分長くは続かないだろうなぁ(笑)。ハードロックってつまんないバンドのだと滅茶苦茶つまんなくてさ、英国のバンドだとまだ聴き所を探せるんだけどアメリカとかはもう全然つまんなくてダメなのが多い、っつうかそもそもそんなに深堀してないが。余所の国の場合はそもそも情報があんまり入ってこないし、マイナーなものは余計に入ってこないので情報が入るということはそれなりに聴く価値がある音、という認識で挑めるからまだマシかも。まぁ、マニアックな領域に入ってしまうといくらでも出てくるが、別に日本でも同じ事が云えて、インディーズってのは基本的にインディーズの音だもん。

Studio Sessions Twilight's Last Gleaming Whiter Shade of Pale / Like a Rolling Stone


 そんな小話はともかく、アイルランドの英雄フィル・ライノットの最初の、とも最後の、とも言う伝説のプロジェクト…とは言い過ぎだが、グランド・スラムというバンドがあった。フィル・リノットがThin Lizzyを組む前にはこのバンド名で活動していたみたいで、要するにアマチュア時代のバンド名だったんだけどThin Lizzyを1983年に解散してから次のプロジェクトとしてソロアルバム制作の後、また同じくグランド・スラムというバンド名で活動開始して、いくつかライブを行ったりデモ録音をしていたらしい。結局メジャー契約が取れなくてきちんとしたスタジオアルバムというものは制作されなかったのだが、フィル・リノットほどの人物でも次のバンドの音で契約が取れなかったというのはかなり驚いた。まぁ時代が80年代ど真ん中なので、と言うこともあるかも知れないが、一方ではNWOBHMから発展してきたバンドの最全盛期でもあるし、う〜ん、やっぱりメジャーのハードルは高かったのかな。

 そんな状況ではあったけど今ではしっかりとフィル・リノットの偉業が評価されて、無理矢理音源発掘されていくつかのCDがリリースされている。ひとつは「Twilight's Last Gleaming」という1984年のマーキーでのライブ盤。未聴なんだけど、あまり音がよろしくないライブアルバムらしく、出来映えもそんなに、という代物らしいが、ライブでの音が聴けるというだけでもよろしいことなんじゃないかと思う。まぁ、買ってないからなんとも云えないのだが(笑)。それと、多分同じマーキーからの音源じゃないかと思うけど、Thin Lizzy時代の名曲「Whiskey in the Jar: Live」を再度カバーしているライブ音源がシングルCDでアマゾンで買えるみたい。シングルではもうひとつアマゾンで入手できるのが「Whiter Shade of Pale / Like a Rolling Stone」をメドレーにした絶妙なカバー曲。いや、この二曲が同じコードと進行と展開のまま繋がるとは知らなかった。全く違和感なく「青い影」のギターのアルペジオのまま「ライク・ア・ローリング・ストーン」が歌われるんだよ。これは面白い。素晴らしいセンス。

 このシングルを収録していて、それから最後のシングルとなった「Ninteen」という素晴らしくフィル・リノットらしいハードロックを展開している曲を冒頭に収録した「Studio Sessions」というCDが発売されている。デモテープをそのままCDにした代物なのでバンド感というものは少々欠けているものの、今となってはフィル・リノットがどういうのをやりたかったのか、また実際にどんな音だったのかがよくわかる唯一の記録。普通にリリースされていたらあまり陽の目を浴びなかったことは間違いないけど、こうして出されると妙に気になるし、良いところを探そうとしたくなるのは無い物ねだりだから?駄作も多いけどやっぱりフィル流のハードロックで、いいけどな。そんな貴重なセッションの記録。彼の熱い気持ちと音が胸に染みるなぁ…。「Ninteen」かっこよいなぁ、YouTubeにちょこっとだけあったので是非…。