The Deviants - #3

カテゴリー: 60s British Rock

 もう一人の奇人変人と呼ばれる、というかやっぱり奇人変人だと思うんだけど、ミック・ファーレンという人が英国のアングラシーンには存在していて、この人の変わり者ぶりも割とクローズアップされることも多いね。当然ながらノッティングヒルゲイトの住人でボスとも呼ばれる人なので、歴史は古いっす。んなところでピンク・フェアリーズ繋がりでデヴィアンツを登場させよう〜。有名なのはファーストの「プトゥーフ!」かな。最もサイケでワケのわからない世界を紡ぎ出しているアルバムなんだけど、今回はもっとジャケットだけでインパクトを放つ三枚目のアルバム「サード」で。

サード(紙ジャケット仕様)(THE DEVIANTS 3RD)(PAPER SLEEVE) プトゥーフ!(紙ジャケット仕様)(PTOOFF!)(PAPER SLEEVE)

 1969年リリースでバンドの特色でもあったワケの分からないサイケデリックな世界はさすがに時代と共に薄れていっているので聴きやすい一枚のはず。しかも最初に入っている「Billy The Monster」なんて、最高のポップスで驚くくらいの楽曲なのだ。まぁ、ガレージ色の強いバンドではあるんだけど所々で正に宇宙からの音とも聞こえる世界=サイケデリック効果音が聴けたりするのでやはりデヴィアンツだなぁと微笑ましくなる。ギターの音とかも凄く安っぽいし、ドラムなんてポンポン言ってるし、アレンジもちゃちいし、とにかく全編がふざけてる「BLACK GEORGE DOES IT WITH HIS TONGUE」とかさ、口で楽器を歌っているという冗談みたいな曲(?)で、正にタイトル通りなんだけど笑えるよ、これ(笑)。

 まぁ、なんだ、何でもありの60年末期にリリースされただけのことはあってやれることは何でもやってるってトコだ。そしてジャケットもまたふざけていて、ケバくメイクした尼さんがアイスキャンディーを舐めているというもので、このダブルジャケットを開くと足下で子供が同じアイスキャンディーを持ってしゃがんでいるというものだ。そして中ジャケは風格を醸し出したバンドメンバーがガレージ前で演奏している写真をコラージュしたものが載ってて、なかなかハクがあってよろしい。そんなバンドの音は実に多岐に渡った世界です。

 この中の二人がピンク・フェアリーズを結成し、その中の一人、ラリー・ウォリスはモーターヘッドへとコマを進めていくし、ボスのミック・ファーレンはソロ活動へと進み英国アングラの重鎮となっていくのだった。

The Pirates - Shakin' At The Beeb 1976-78

カテゴリー: 60s British Rock

 突如、オススメされたCDがあった。割とあちこちの音楽ジャンルに首を突っ込んでいて、大体のモノは触ったりしているのであまり全く知らないっつうのもないんだけど、まぁ、もちろんそんなのはごく一部だけのコトでして、実際は知らない、触れたことのないジャンルというかバンドが多いに決まっている。他の人のブログ見ていてもこんなのあるんだ、とかそんなのあるのか、へぇ〜、みたいなのばかりで自身の浅はかさを知る毎日なんだけどね。そんな中でもニアリーに触れていないジャンルってのがパブロック。Dr.FeelgoodやWilko Johnsonの世界ね。昔からなんかダメで今でもまともに聴いてない(笑)。そこへこのバンドのCDが来たワケだ。

Shakin' at the Beeb: The Complete BBC Sessions 1976-1978

 「Shakin' at the Beeb: The Complete BBC Sessions 1976-1978」。へぇ〜、70年代後半にBBCに出ていたなんてのは知らなかった。ジョニー・キッド&ザ・パイレーツってのはもちろん60年代英国ロックを漁っていれば出てくる名前だし、何と言ってもジミー・ペイジにしてもピート・タウンジェンドにしてもジョニー・キッドには影響を受けているしさ、正確にはジョニー・キッドではなくって多分ミック・グリーンなんだろうけど、来歴的には60年代初頭にロカビリーをやっていた人達でビートルズ以前の英国のロックンロール界ではかなりのインパクトを放っていた様子。ある日ギターの弦が切れて目に当たり海賊の眼帯をしてライブをやったところ大受けで、それ以来海賊とドクロマークを象徴にしていたらメジャーデビューへこぎ着けたという話。

 そんなジョニー・キッドなんだけど、バンド衰退してきた66年に交通事故であっけなく他界。しかし英国王道ロックを担う連中があちこちでジョニー・キッド&ザ・パイレーツの影響を匂わせており、ザ・フーの「Shakin' All Over」の強烈なカバーを筆頭に再燃の兆しも見られていたし、バンドの価値も高まっていった。そして極めつけは英国パブロックの旗手となったウィルコ・ジョンソンが敬愛してやまないギタリストとして挙げたのがミック・グリーンなワケで、ザ・パイレーツの一夜限りの再結成にこぎ着け、反応が上々ってことでザ・パイレーツの再結成となったようだ。その頃にBBCへ出演して昔からのレパートリーを中心にひたすらR&Rしまくった情景が収められているCDだったワケですな。

 …とまぁ、調べていくとなるほど、ふむふむ、なんだけど、ここまで調べるのもやっぱり音聴いてすごくかっこよかったから、だね。シャープでソリッドでザクザクのギターの音と一方ではサーフィンロック的に太い音がビョーンと鳴っているっつうのもかっこよくって、パブロックの親玉とか何とかよくわからんけど、R&Rとしてかっちょよい。ブライアン・セッツァーを思い出す感じなんだけど、もちろんザ・パイレーツの方がシンプルでパワーが凄い。どこかで聴いたような曲ばかりってのもあるけど、もちろん「Milk Cow Blues」とかロックブルースのスタンダードもいっぱいあって楽しめたなぁ…。やっぱりロックってのはこういうシンプルに迫力があるのが一番かっこよいんだと再認識。「Gibson Martin Fender」なんて良いタイトルじゃんね♪

P.S.
サネさん、今回も感謝!

Magic Mixture - This Is the Magic Mixture

カテゴリー: 60s British Rock

 時代の産物!そうとしか言いようのないマイナーなグループ、マジック・ミクスチュアー。昔から有名だったハズもなく、サイケブームやら再発ブームやらで盛り上がっているウチに発見されて市場に出てきたことからマニアックなところでメジャーになったというのが真相か。音的に評価されまくっていると言うワケではないだろうからねぇ。

This Is the Magic Mixture [12 inch Analog]

 1968年のもちろん唯一のアルバムリリース「This Is the Magic Mixture」♪ 初っ端から「うわぁ〜、時代だ〜」と思えるような音色で始まるのが苦笑いなんだけど、意外とサイケサイケっていうのではなくってしっかりとポップな要素を持ったロックしてます。どことなく音色面とか雰囲気的にはもちろんサイケなんだけど、基本的にアコギで作られたような印象で、シンプルに言えばB級メロウサウンド。

 それでもギターのセンスとかはなかなか真似の出来ないほどよいアシッド感だし、歌もソフトに割と個性的な声で迫ってくるので、悪くない。時代の産物でもあるファズギター中心なので個人的には聴いていて非常に心地良い。もちっとハジけたら結構かっこよいサウンドになっていただろうなぁと思うくらいで、テクニックとかはそんなに文句あるようなもんじゃないしさ。

 ジャケットも凄くヘンでしょ?サイケっつうか、そこにビートルズとかの初期をモチーフにしたような感じでさ。でも英国オリジナル盤はコーティングジャケットらしいので、結構気合いの入ったリリースだったんだろうか?今でもまだどんなバンドの来歴なのか実態が掴めていないというバンドだけど音は多分今の時代でも通じるんじゃないか?とまでは言わないけど、新鮮に響く音かもしれん。まぁ、マニアくらいしか手に入れないアルバムだとは思うけど…。

Donovan - The Hurdy Gurdy Man

カテゴリー: 60s British Rock

 CDコレクションの山の中から何となく聴きたいモノを眺めて探し当てるのが好きなんだけど、そもそもお目当てのモノを探している間に全然違うモノを見つけてしまって、そっちを聴く、というようなことはいつもよくあるお話(笑)。んで、今回も全然違う音を探していたんだけど何となく見つけてしまって聴きたくなったのでつい手が出てしまいました。

The Hurdy Gurdy Man Sunshine Superman

 1968年リリースのドノヴァンの作品「The Hurdy Gurdy Man」。妙〜にサイケデリックな路線やインド音楽、もちろんシタールが中心だったりするんだけど、そんなのがどわぁ〜っと押し寄せてくるもの凄く浮游感漂うアルバムです。自分的には別に趣味ではないのに何であるんだろう?とか思いながら聴いてたワケなんだけど、ジャケット見ながら聴いてて、「あれ?」って思ったのが一発目のドラムの音…、「ん?」って見てみると、ジョン・ボーナムって名前があったり…、更にジョン・ポール・ジョーンズやジミー・ペイジも参加してるのか、これ、この一曲目ってバックツェッペリンかぁ…、で、プロデューサーはミッキー・モスト、なるほどね。しかも3曲目にはアラン・ホールズワースですか?うそぉ〜、凄いセッションだぜ、これ。追いかけていくと5曲目にも見たような曲名が「Get Thy Bearings」…、クリムゾンがライブでやってたんじゃないか?初期に。このカバーかぁ…と感心しまくって聴いているのだが、ここで聴けるオリジナルはヘンにジャズっぽい感じで、そして退廃的な歌い方…、う〜ん、クリムゾンがカバーするのは不思議だけどおかしくない(笑)。その他はどう聞いてもどれも時代を反映したフラワームーヴメントにピッタリのサイケサウンドなんだよね。まぁ、心地良いっちゃあ心地良いので参加メンバーの豪華さに釣られて入手しても決して音的に悪くない楽しめるCDだね。

 …で、何でウチにあったのかはこれで解明。そういえばドノヴァンの「Sunshine Superman」や「The Hurdy Gurdy Man」では結成前夜のツェッペリンが参加していたんだ。それを思い出して納得納得。そんなの他にもいっぱいあるけどあまり面白味がないので書かなかったなぁ、と。忘れて聴いたけどドノヴァンとして聴いても結構面白い位置付けの作品なんじゃないかな。後に色々な人がドノヴァンをカバーしていたことでわかるように英国ではかなり知名度があったようなので…。

YouTubeはこちら♪

Please - 1968/69

カテゴリー: 60s British Rock

 いやぁ〜、棚を漁っているととんでもないものが発掘されるものだ(笑)。果たして何だっけこれ?って思いながらプレイヤーで音を流すと、滅茶苦茶かっちょよい音…。うわぁ〜好み〜♪ なんてのが出てくると嬉しくなってしまうね。大物バンドとかだとそういうの全部覚えてるからいいんだけど…、B級くらいだとまだ記憶にあって、好きなアルバム♪なんてしっかりしてるんだけど、そこから先…、いいなぁ〜と当時思ってもなかなか深く聞き込まないとか、資料的に集めてきたアルバムとかなんてのはふ〜む、ってなもんで深追いしていなかったり。あぁ、そういう音楽の聴き方はいかんのだ。しっかりと制作者の思いを汲み取って聴かなければ、と思うのだよ。なので、こんだけ毎日聴いたり書いたりしてるんだけど(笑)。

Please 1968-69 Seeing Stars

 本日の大発掘音源はこれ、1960年代末期にどういういきさつでは、果たしてアルバムなんてものも存在したのか、よくわからない…、多分オリジナルアルバムという形では出てないのではないかと思うのだが、それなりに曲があるので全部シングルというワケでもないのだろう…。不明。エヴァ姉さんところが日本で一番詳しく書いてあるのでオススメ。背景はそこにお任せします♪

 プリーズっつうバンドで、ピーター・ダントンっつうドラマー兼ボーカルさんがいらっしゃるのでT2的な前身バンドとして捉えられるが、Gunのエイドリアン・ガーヴィッツさんも参加しているのでGunとも絡む…。ベースのバーニー・ジンクスさんから見るとブルドッグ・ブルードっつうバンドも絡んできて、そこにはT2のギタリストキース・クロスもいるっつうワケで…。まぁ、仲間内であれこれととっかえひっかえ試しに色々な音をやってみたってトコなんかな。このヘンの背景は線引きをアルバム単位でするのも難しいのでまぁ、音で判断すれば良いじゃないですか、ってとこか。

 多分CDで手に入るのって「Please 1968-69」と「Seeing Stars」だけなんだと思うが、「Please 1968-69」の方が面白い。いや、どちらも似たような音、サイケ調のハードロックでふわふわしていて、アシッド的感覚が散りばめられていて未熟なアレンジのくせに浮游感が堪らない…それもこれもダントンさんの歌声のおかげが大きいか。かたやかっちょよハードロックもあったりするので、もう実験的要素が強くって、でもそれ、アングラな世界じゃなくってやってるってのかな。ポップな側面は多分に持っている。

 もの凄く驚いたことにそんなメンバーの背景だから当然なんだけどT2のアルバムの3曲目に入っている「No More White Horses」はこっちがオリジナルです。3分半のちょこっとお茶目な良い曲っていう感じで入っているんだけどT2になってから再度持ち出してクローズアップしてアレンジしまくってあんなにかっちょいい音に仕上げたっつう…、他の曲も同様の手法を用いたら全く別のハードロックバンドとして生まれ変わるんじゃないか?ものすごいセンスだよ、それ。そういういきさつでウチにあったのかと納得したけど(笑)。いやぁ、ほんとにアレンジ施したら凄くなりそうな感じの曲が多い。「Strange Way」とかさ…。

 うん、多分、背景もあるけどプリーズというバンドの音自体で最高にかっこよい英国らしいバンド。明るい曲調ばかりではあるけどやっぱり湿ってる。で、センスが抜群。ブルドッグ・ブルードの方も合わせて聴いてアングラなバンドのファミリートゥリーを解明しながら音を聴いていくのも面白いし、それなりの価値は十分にある名バンド。いやぁ、この手のバンドでは久々に何度も聴いてハマりまくったね。

The Pretty Things - Savage Eye

カテゴリー: 60s British Rock

 60年代のブリティッシュビートバンドの行く末はかなり狭き門だったが、当時そんなことに気付いていた人間は誰もおらず、どのバンドが前に出てくるかなんて、またどんな音楽性がウケるかなんてのももちろんわからなかった。しかし変わったことをやっていたバンドは何年か後に再評価されることも多く、そんな再評価によってバンドそのものが復活してしまうケースも少なくない。最近ではポリスだって現役時代の比にならないくらいの再燃ぶりを見せているワケだし。

Savage Eye S.F. Sorrow

 そういう意味では何度も不死鳥の如く音楽性も変えながら、そして姿勢は常にロックで変わらないまま今現在も復活しているプリティ・シングス。1976年にリリースされた「Savage Eye」という作品はツェッペリンの所有するスワンソングレーベルからのリリースと言うことで有名だが、昔からプリティ・シングスのファンだったというジミー・ペイジが解散していた彼等に声を掛けてスワンソングから再度アルバムリリースをしたということらしい。その時のアルバムでかっこよいのがこの「Savage Eye」という作品。

 60年代の彼等は当然ながらR&Bに基づいたビートバンドであり、60年代末には「S.F. Sorrow」という稀代の作品を生み出していたが如何せんメンバーの出入りが激しく、なかなかバンドの音というものが定着しなかった。そのまま70年代を迎えて「Parachute」というサイケに溢れた作品をリリースするけどそこまでで終わり、って感じだった。が、先の理由で再度バンド再編してきたものなのだ。

 その「Savage Eye」というアルバムだがヒプノシスのジャケットが有名かもしれないけど、中身はかなりセンスの良いハードロックに仕上がっているので実は結構な出来映え。バラード曲もいくつか入っていて完全に独立した曲という感もあるけど、それはそれで良し。アルバムのクオリティはかなりのものです。最初の「Under The Volcano」なんてバドカンかと思うようなインパクトがある警戒でキャッチーなハードロックだしね。「Remember That Boy」なんてパープルだぜ、これは。多分ハードロック時代のプリティ・シングス大傑作アルバムだね。

Julie Driscoll, Brian Auger & The Trinity - Streetnoise

カテゴリー: 60s British Rock

 1969年混沌とした時代が終演を迎えようとしていた時、既に本格的なサウンドをプレイしていたにもかかわらずあまり表舞台に出てくることもなくあまりにもマニア向けになってしまった感のある実力派バンドがいた。ハモンドオルガンと女性ボーカルを主とした独特なサウンド世界はこの頃に英国に溢れてきたゴッタ煮バンドとは一線を画した洗練された音であり、それはもちろんブライアン・オーガーという実力のあるオルガニストとジュリー・ドリスコールというソウルフルな歌を歌える女性の成せる業だ。

Streetnoise Open

 アルバム「Streetnoise」は1969年にリリースされ、当時は二枚組のレコードとしてリリースされたためかなかなか売上げには結びつかなかったとか…。自分がレコードを探している頃も割と高値だった作品で、オリジナルが云々っていうよりも枚数的なもんなのかそこそこ見かけたけど高かったかな、と。ただ、レーベルがポリドールだった関係か嬉しいことにCD化されるのが早くて、忘れないウチに入手できたのが幸いで一時期結構聴いた。初っ端からハモンドのリフで攻めまくってくる怒濤のサウンドはまずもって唯一無二のバンドの証明か。生ギターと歌とハモンドという妙なバランス感覚がこのバンドのアシッド感を上手い具合に引き上げていて、その幻覚加減がかなり心地良い。アルバム中の効果音にそれらの影響は色濃く出ているものもあって一人でじっくり聴いているとかなりヤバくなれるかも(笑)。

 アルバム中誰でも知っている曲がひとつ入っている。当時はまだ売れてたんじゃないかと思われるが、ザ・ドアーズの「ハートに火をつけて」だ。もちろん最初から全然異なった解釈の音作りなのであの華麗なキーボードのイントロもなく、淡々とアシッドなオルガンが曲全体を圧迫してジュリーの迫力のある歌声が制する、そんな風格のあるカバーになっている、というかこれはオリジナルをヘタしたら超えているアレンジかもしれない。そう言うにはかなり勇気がいるが、これは相当なもので、彼等のオリジナルと言っても通じてしまうくらいに独自色が出ている。う〜ん素晴らしい…。

 アルバム全体的にどこか牧歌的な雰囲気があるものの根底にはどろ〜っとしたものが流れていて、オルガンという楽器でそれを見事に表現している。ジュリーの歌も決して派手で明るい声ではないので丁度相まって最も優れた空間が出来上がった集大成なのだろう。ちなみにプロデュースはあのジョルジョ・ゴメルスキー。だから二曲目にロシア語の曲があるのか…。

Arcadium - Breath Awhile

カテゴリー: 60s British Rock

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 英国マイナー系の作品群にも実は更に細分化される文化があって、このブログでは敢えてごちゃ混ぜにして書いてきたんだけどここの読者は凄いなぁ、と思う。見事にその細分化された最も頼もしいひとつの領域に反応する数が多いんだよね。逆に言えばそれ以外の領域の部分ってのはまだまだ宙ぶらりんな状態で辿り着いている人が少ないのかもしれないなぁ、などと深読みしてしまう。最も頼もしい領域のひとつにはもちろんあちこちで話題になっているキーフ、ヒプノシス、ロジャー・ディーンなんて名が並ぶジャケットのものやヴァーティゴ、ネオン、デラム/デッカ、などレーベルで特色が出ているものの部類だろう。この手のサウンドはやはり1970年代前後のなんでもあり的なプログレッシヴな音を中心に栄えているものが多く、またマニアックな視点になりがちな面も多いので人気が高いし、もちろん音もやっぱり楽しいし、正に英国ロックの象徴を語るにはこの辺を漁るべし。しかし一方ではCBSやマーキュリーなどのメジャーレーベルも似たようなバンド、もしくは全くそれらとは異なるバンドを発掘してきてデビューさせているものもあり、それらはどちらかと言うと王道路線に失敗したバンド、というようなものも数多くある。大物ミュージシャンの前身バンド、とかね。まぁ、この辺はどちらかと言うと調べにくくひとつの1970年代英国ロックというカテゴリだけに属さないでいるため、なかなか発掘されにくいもののようだ。

 …と、まぁ、ここのところのレビューに対する反応を見ているとそんなトコかなぁ、と思う次第で、その前に知らねぇよ、こんなバンドなんて、ってのばっかりってのはあるので絶対数が下がるのは必至なんだけど(笑)…。それはそれとして、本日はそんな英国ロックシーンが混沌としていた1969年、あまりにもマニアックでリリース枚数が少なすぎたために今では逆にそれが有名になってしまっているミドルアースレーベルからリリースされた不思議なバンド、アルカディウムで進めよう〜。

 とにかく、ヘタ、だ(笑)。だがしかし、これほどに繊細でそれぞれの楽器の音色が生々しく聞こえてくるってアルバムはそうそうないんじゃないかと思うくらい、言い換えると稚拙なレコーディングでもあるんだが、それこそが空気感を出していて良いのだ。バンド自体は5人編成で、ビートルズの影響からかそのうちの4人が歌を歌うようだ。メインボーカルは非常にパンチもなく弱々しく絶対にボーカリスト的な才があるわけではないこと一目瞭然の歌い方なのだが、バンドってのは不思議なもので、そんな歌でも妙にマッチしているものなのだ。そしてサウンドそのものはかなり変化に富んでいてオルガンがメインかと重茂がファズが掛かりまくってるはずなのにマイルドっぽい音のするギターが前面に出てきたり、繊細な透き通るような音だったりフワフワ感が心地良い。プログレって言う程プログレにはならず、もちろんハードロックでもなく、初期パープルに近いと揶揄されることも多いみたいだけど、どっちかっつうとWarhorseかな。いつものことだがこれぞ英国ロックの味。過度期に変化に埋もれていったバンドの記念作にしてはピュアな音が詰め込まれている秀作、だね。

 同時代のブルースを採り入れたバンドや新たにプログレッシヴの道を開くバンド、Zepに続けとばかりにハード路線に進むバンド、実に多くのモデルが巣立っていった時期に、英国風ごちゃまぜサウンドを切り開いていたバンドのひとつとは言い過ぎだけど、アルバム一枚で当然オシマイ、それこそが美学だよ。

The Aynsley Dunber Retaliation - Doctor Dunbar's Prescription

カテゴリー: 60s British Rock

Doctor Dunbar's Prescription The Aynsley Dunbar Retaliation
 どんどんとディープな世界に…と言いつつもアルバムそのものや参加している面子そのものは割とメジャーな人だったりするのも英国ロックの深い世界の特徴。古くから知ってる人はあの人がこんなバンドで、とか思う場合もあるだろうし、それぞれのバンドの活躍を知ってる人は、こんなバンドにも参加していたのかと思うものもあるだろう。そういう渡り鳥的なミュージシャンという人もいて、こないだのレイ・ラッセルなんかもそれに近いんだけど、そういう輩は大体どこかの時点で自分のリーダー作品というものを作っていたりするのが常だ。こういう感覚はジャズを聴き親しんできた人には当たり前の感覚でリーダー作品というアルバムの作り方ってそういうもんだろ、とか思う。

 そんな中、実に、本当に数多くの著名バンドを渡り歩く強者ドラマーにエインズレー・ダンバーと言う人がいる。そりゃアンタ、コージー・パウエルの世渡りなんてハンパじゃないくらいに渡り歩いている人なのでこの人についてのセッション活動を知りたい人は是非オフィシャルサイトのディスコグラフィーを見てもらいたい。更にその仕事を視覚的に感動したい人は参加アルバムジャケット一覧を見てもらうと良いかもしれん。もう〜凄いんだから。

 古くはジョン・メイオールの作品でミック・テイラーが参加したものから初期ベック、更にザッパと一緒にやっていたもの、このヘンが有名なんだろうな。ルー・リード、ボウイ、ジャーニー、ジェファーソン系、モット系、更にはホワイトスネイクやUFO、マイケル・シェンカーなどなどとんでもなく無節操な仕事ぶり。しかしどれを取ってみても「重い」というドラミングがキーワードで、その重さがないと成り立たなかったかなというアルバムばかりに見えてしまうのだ。

 そんなエインズレー・ダンバーがリーダー作品として作ったバンドがエインズレー・ダンバー・リタリエーションというバンドで、その中でも最も重いブルースを奏でている作品が「Doctor Dunbar's Prescription」というアルバム。ジャケットのサイケデリックさ加減もどこか英国の重みを感じるものだし、何と言っても歌だよな、これ。重い。正当派ブルースもあるけどそれも正に時代を反映した楽曲だし、やっぱり多様な音がミックスされている曲も多い。う〜ん、英国ロックってしか言えないトコロかなぁ。ちなみに先日歌声を披露していたアンネット・ブロンクス嬢のダンナさんのヴィクター氏が参加しているバンドなワケだ。

 1968年にリバティレーベルからリリースされたアルバムで、昔レコード発見した時は結構な値段したアルバムだったよなぁ…。それも当然今ではアマゾンでCDで買えるんだから良い時代だ。彼のミュージシャン人生の中で一番充実していた時期の作品じゃないかな。不器用っぽくてこの人のドラム凄く良い。このままやってればもうちょっとバンドとして成功したんじゃないかな、なんて思ったりするね。

Sweet Pain - Sweet Pain

カテゴリー: 60s British Rock


 果たしてどこまで深く入り込むのかこの英国ロックコレクションシリーズ、書いている本人もどこまで進むのか全くわかっていない状態でいながらかれこれ20日間ぐらい続いてる様相を示している…、だがまだまだまだまだ断片くらいしか取り上げられていないので、一年間続けられる可能性もあるなぁ…と。まぁ、多分途中でメジャー物を聴きたいとか、いろいろと浮気する部分はあるんだけど、今のところまだハマってるなぁ…久々にホント、よく聴いてるわ、この辺。探せば探すほどCD買いたくなるのが増えてきて困る…ここ10年以上まともに情報収集していない世界だったので何がCDでリリースされたのかよく知らないし、まぁ、アナログ探して見つかれば安いかなぁとか考えるんだけど(笑)。

 と、まぁ、そんなことでジャジーな方向にも行きそうになったけどもうちょっとスタンダードなトコで面白いのを再発掘してきたのでそっちで行こう〜っと。で、ヴァーティゴはどこかと被るからちょっと後回し。ホントはBENとか面白いかな、とか思ったけど、まぁ、週末にやるもんでもなかろう、と。

 二日前のバレンタインデーに書いたコラシアム…、ん?バレンタインデーの贈り物?う〜ん、逞しい男はそんなことを振り返らないでひたすらロックあるのみ、なのだ。うん。だからいいんだ、それは。で、話を戻して、そのコラシアム在籍が一番メジャーな仕事だったんだろうと思うんだが、サックス奏者として名を馳せたディック・ヘクストール=スミスがコラシアム結成前夜に当時の、そうだな、1968年頃の英国ブルースロック界の名手ばかりを集めて行われたセッションバンド、スウィート・ペインってのをご存じだろうか。ん?バレンタインデーの痛手だからスウィート・ペイン(甘い痛み)なワケではない、はず、だ…。いや、それはもういいや。

面子:
Annette Brox - Vocals
Stuart Cowell - Guitar
Sam Crozier - Perc, Vocals
Junior Dunn - Drums
Alan Greed - Vocals
Dick Heckstall-Smith - Sax
John O'Leary - Harmonica
Keith Tillman - Bass

 知らないって?う〜ん、そうかもなぁ。ハーモニカはサヴォイ・ブラウンから、歌は女性ボーカルだけどエインズレー・ダンバー・リタリエイションに在籍していたVictor Broxの奥様、これが渋いんだけどさ。そんなのを集めたセッションで、これまたそれぞれの培った技量を試すかのような英国然としてブルースアルバムに仕上がっていてその重さというか貫禄というか、輝きはそうそう出せるサウンドではない。当然ブルースに限らず、多様な音楽のミクスチュアー的要素が強く、それもこの面々だからこそ生きてくる音だ。ジャケットも見事な物で1969年にリリースされたおかげかサイケデリック色を反映したジャケットだ不気味さを出していてこのアルバムに色を添えている。う〜ん、正に大英帝国ロック。なんかこのセリフばかりだが、だからこそ毎回毎回ハマるんだろうな。ちなみにレーベルはマーキュリーなのでそれほど特色があるわけではないし、十分にメジャーな作品のハズ、だけどあまり知られてないよね。アメリカでは「England's Heavy Blues Super Session」と言うそのままのタイトルで確かジャケ違いでリリースされたらしい。