Dolores Keane & John Faulkner - Broken Hearted I'll Wander

Dolores Keane & John Faulkner - Broken Hearted I'll Wander (1978)
Broken Hearted I'll Wander

 英国で言うトラッドフォークとアイルランドのケルトミュージックに根ざしたケルティックフォーク、似て非なるもの、と言うモンでもないのだろうけど、やっぱり近いからその源流は同じトコロにあるだろうし伝承音楽としても似た部類になる。そりゃ国が違うとか関係なく密着しているものなんだからそりゃそうだ。今になってみればケルトの方が独特の戦慄が鋭いというのはあるのだろうけど、歴史を通じて、だからこそのアイリッシュ、みたいなのもあるし音楽だけではないトコロからの影響が反映されている気もする。ただ、素直に聴いていると似て非なるモノながらそこに根差すものへの敬意みたいなのもあるから、そういうのも含めて楽しむのが一番なのだろう。

 De Dannanの初代ボーカリストながら翌年には脱退してそこでダンナ見つけてソロ活動、と言うと聞こえは良くないが、結果論そうなったDolores Keaneの1978年セカンドソロ名義アルバム「Broken Hearted I'll Wander」ながらもクレジットからしてジョン・フォークナーの名前も入っているんで二人のアルバム、と言う方が正しいか。デ・ダナンでいきなりアイルランド国内では人気を博してさっさと脱退しているからか人気は結構あったらしい。この後もまたヒットを放っているので実力のある歌唱力は既に国民には知られているワケだ。この時期はそんな記憶がある方々にもかなりの好評を博したと言うアルバムで、モロにギターとフルート程度の楽器がバックに入っている中での歌モノあるばむ。しかもドロレス・ケーンがメインというのでもなく、二人の歌声が半々くらいに出てくるというアルバムに仕上がってる、正しく二人のアルバム。

 幸せに溢れまくっている時期にケルトってのはなかなかその鋭さが出ないし、英国の暗さみたいなのもあまり当てはまらないというトコロで形はもちろん英国トラッドに近いのだが、ややフワフワしている。多分二人共英国にいたからなんだろうなぁ。ただやっぱりドロレス・ケーンの歌声は美しい。生楽器だけで歌っているからその歌声が物凄く伝わってくる。大抵のこの手の作品は割と研ぎ澄まされた感あるんだけど、このアルバムはどこかほのぼのしてるみたい。


June Tabor - Ashes and Diamonds

June Tabor - Ashes and Diamonds (1977)
Ashes and Diamonds

 1977年ってパンクロックが出てきたのとディスコブームもこの頃からで、少年たちが野球やキャンディーズに夢中になっていた時代、高度経済成長期がまだまだ続いていた頃だしマクドナルドが上陸した、、みたいなのがまだこないだ的な頃で日本の未来ってまだ希望に満ちていた頃。そんな時代に英国でこんだけフォークのアルバムとかリリースされていたってのはやっぱり根強い土着音楽のひとつなんだろう。若くて綺麗な女性でも普通にその世界にいるんだから日本の若手の新人女性演歌歌手、みたいなもの好きと同類なのかもしれない。最近はそういうのからジャンルをはみ出て出て来る方が多いから新たな領域へのチャレンジという楽しみ方もあるのだろうが。

 June Taborの1977年セカンド・アルバム「Ashes and Diamonds」。1976年にスティーライ・スパンのマディ・プライアに見出されてデュエット作品「Silly Sisters」で初めてシーンに出てきて見事な歌を聞かせてくれた事から彼女のプロキャリアは始まったようで、同年には既に自身のソロアルバムが制作されてファーストアルバム「Airs and Graces」が出されているから、そういう見方したら何かの宣伝効果もあったのかと疑うが、それはともかく、この年に二枚のアルバム制作して出てきたってことだ。その翌年にリリースされたセカンドアルバム「Ashes and Diamonds」は今度は何とニック・ジョーンズも数曲でゲストに迎えて強烈なインパクトを与えてくれる作品になってて、一気にトラッドシーンに登場した歌姫という風に見られたのかな。それともごく普通に馴染んできたのかもしれない。勝手な見方ではあるけど、アルバムジャケットなどで見られるジューン・テイバーは結構クールそうには見えるし、歌声も冷たい感あるからそういう怖さがあるようには見えるんだよね。

 それはともかく、このアルバム、スタンダードにフォークから始まってニック・ジョーンズのフィドルが強烈に印象にの頃作品から始まっているからアルバム的には掴みがある。ニック・ジョーンズが参加していない曲ではきちんとジューン・テイバーの歌声にフォーカスした作風にもなっているし、その意味ではかもなく不可もなくと言った作品なのだが、やっぱりニック・ジョーンズのインパクトが大きい。彼女自体にはまだこの頃にこうしていく、みたいな意思があったようには思えないし、素朴に歌っているだけ、とも思える。もちろんそれでもやや哀愁漂う冷たさを持つ歌声は魅力的ではあるが、あと一捻り、みたいなとこか。




Steeleye Span - Parcel of Rogues

Steeleye Span - Parcel of Rogues (1973)
Parcel of Rogues

 音楽を青春の1ページとして捉えてそのまま人生を過ごす、ってのが一般的な音楽やポップシーンとの繋がりなのかな。多少その時期そのシーンなんかで耳にした音楽をまたどこかで聴くこともあるのだろうし、結局は人生のページの脇を流れるBGMの位置付けにあるものだろう。歳を取ると何かで見つけて懐かしいなぁという理由だけで売れたりもするんだから面白い。そりゃン十年前のCDを今更聴けないだろうし、ましてやアナログレコードなんてあり得ない。それが手軽に出来ちゃうのがデジタルDLなんだよね。まぁ、探してまで買うのかってのはあるんでそこに行く前のYouTubeだったりしちゃうんだろう。まぁ、何が言いたかったかってぇとだ、売れないんだよ、音楽って、最近は、って話。

 Steeleye Spanの1973年リリースの5枚目のアルバム「Parcel of Rogues」。メンバーチェンジを重ねた事で最初期の重苦しい雰囲気は全く感じることのなく、トラッドをエレクトリック楽器で演奏してドラムレスというバンドのスタンスはそのまま守られている不思議。どういうワケだろうかね、これ。トラッドのアレンジの解釈の違いが大きいのだろうけど、霧が晴れたかのような軽快なノリになってるし、もちろんマディ・プライヤーの歌声が更に突き抜けてるのもあるが、だからとココまで垢抜けるとは…って感じ。自分的には最初期作品の重苦しさって好きだからこのヘンってさらりと流して聴いてしまっていた作品なんだが、改めてこうやって聴いているともうちょっと商業的な成功を狙いたかったんだろうかな、とも。でもバンドのスタンスは守り続けての作品だから、このままでは最初期のバンドの姿を超えられないという自己認識だったのかもしれない。逆に見ればこのメンツでやっている音の流れからするともっとドラムを入れてポップに進むべきだと悟ったのかも。

 いずれにしてもその意味では初期のおもりを引き摺っての作品だけどこの後にドラムを入れて大きくポップバンドに近い方向性にシフトする直前の自分たちの試験石にもなったアルバムか。その意味でテンションは高いし、迷いもなくこれでやり切ったくらいの思い切りの良さもあるから聴いてて心地良いのは変わらない。ドラムレスなんて気になることはないし、それどころかリズムってのが物凄く躍動しているってのが面白い。ドラムがない事で躍動感が出て来るって…、人間のグルーブって面白いな。


Spirogyra - Old Boot Wine

Spirogyra - Old Boot Wine (1972)
Old Boot Wine

 若い頃に結構無茶して海外旅行に何度も行ったりしてて、当然ロック好きな流れだから本場に行ってみたい、見てみたい体感したいってのが強かったから行ってみたんだけど、やっぱり何十年経っても鮮明にその記憶が蘇ってくるし景色や風景も記憶にしっかりと留まっているからやっぱり良かったなと思う。今じゃ風景景色が変わっているのかもしれないけど、どっちにしても古いロックって、こういうトコロで産まれたんだとかこういう町で出来上がったんだという無形なものを探しに行ってるんだからさほど影響はない(笑)。それよりもこの季節の緑々しい風景を見るとユーレイルに乗っている時の移動時間で散々みた風景も同じように緑だったなぁとか思っただけです。そんな事をふと思い起こしたのもこのアルバム聴いたからかもな。

 Spirogyraの1972年リリースセカンド・アルバム「Old Boot Wine」。英国フォークロックの三種の神器と言われるバンドで唯一複数枚のアルバムをリリースしていたバンドで、カンタベリー一派とも繋がる実に不思議なバンド。そもそも英国フォークの、と言われるけどこの「Old Boot Wine」は一体どこが英国フォークなんだ?ってくらいにはキャッチーでポップで普通にロックなアルバムとして良いだろう。自分でも今回コレ引っ張ってきて聴いてて、こんなに軽快なアルバムだっけ?って思い直したくらいにはフォークではない。スタックリッジとかELOとかそういう類の系統の音に近いんじゃないだろうか。カンタベリーってもそこまでカンタベリーらしいサウンドは出てこないし。ただ、ところどころのメロディセンスやふわっとした雰囲気はやっぱりそうかもなぁ…という程度には味わえる。そして何と言ってもバーバラ・ガスキンの歌声の印象がとっても強いですね。ここも世間で言われるお話だとクローズアップされている事が多いんだけど、このバンドは基本的に男女ツインボーカルがメインで、バーバラ・ガスキンは割と脇役。でも妙にクローズアップされて書かれてる事も多いので聴いた時とイメージが合致しないのが多く感じる。

 さて、そんな印象でアルバムはスタートするものの、しっかりとトラッド系統の作風ももちろん出てくる、けどそれもまたかなりスタンダードからは逸脱したムードでの作風で、やっぱりアルバム全体としてはキャッチーなポップ・ロックに分類されるサウンドが多い。この路線だけでもイケたんじゃない?ってレベルの作品が多いのも面白いな。キンクスとかおなじようなモンあるよな、とかさこういう雰囲気、好きだね。だから何となく英国の田園風景らしきものを想像してしまって冒頭の旅行時の緑々しい景色を思い返してしまったという次第か。音から想像する風景、というよりは音から思い出した記憶、か。やっぱり良いな、こういうの。

Pentangle - Solomon's Seal

Pentangle - Solomon's Seal (1972)
ソロモンの封印(紙ジャケット仕様)

 旅には良い季節になってきた。少々肌寒い夜でもあるかもしれないが日中は気温も高く動きやすいし、梅雨にはまだ早いし大型連休で動いた人達はさほど大きな動きをしないだろうから無茶苦茶混む事もないだろうし、ってことで問題は、じゃどこ行く?何しに?ってトコロだろう。ある意味日常から切り離れたいって事になると海山に加えての日本から離れた国内端っことか少々文化圏が異なるエリアへの旅が良いな。普段街中である分街中から離れたい、けど文明的じゃないトコロでは不便だから、適当なトコロで…となると無難な場所になるから面白くない。故にちょっと僻地まで足を伸ばしたいとは思うが今度は行きにくいみたいなのもあって旅好き、計画好きな人が羨ましく思える。なかなかそこには向かないんで、やっぱりラクなインドア趣味が増えてしまうもんだ。

 Pentangleの1972年オリジナルメンバーでの最終作「Solomon's Seal 」。ボーカルのジャッキー・マクシーを中心に90年代かな、にペンタングル名義でのアルバムもリリースされてて、そういうのもあるのかって思ったが、ペンタングルってバンドを誰のスタイルと見るかで変わるのかな。ジャッキー・マクシーの歌声があればって人はそれもペンタングルだし、両翼のギタリストこそが、って思う人はジャッキー・マクシーのプロジェクトの方はあまり興味を持たないだろう。そしてこの「Spirogyra Old Boot Wine」だが、もちろんまだ両翼の二人は健在、とは言え普通に言うメンバー仲はよろしくなかったようで、一時期親密に音楽的方向性が一致した、または模索して創っていった時期は実に熱を帯びる濃密なプレイが聴けたのだが、そこから個々人での探究心に走っていくと当然プレイヤー毎に異なってて、ソロアルバムも並行してリリースしていってることでそれはもっと顕著に出てきてしまったのかもしれない。そんな背景からこの時点ではマジックは生まれてうあいなそうだ。

 それでもこの作品のレベルの高さ、ペンタングルというバンドのクォリティ、当然ながらそれもで個々人ではチャレンジやアプローチを取り入れててやっぱり進化している音を創っている。単にアコースティックというだけでなく、様々な楽器を持ち込み、更に硬質な印象のあったバンドの音からかなり親しみのあるメロディに変わっている気がする。英国やアイルランドに住んでいればこういう音が自然に聴けるものなのかな。トラッドっていうからにはそうなんだろうと勝手に思ってるけど、実際どうなんだろうか?日本の演歌と同じ立ち位置だとすると今の日本の若者って演歌聞く事ないでしょ?テレビ見ないだろうし。で、英国のトラッドもそうなってるのかな…。

Sandy Denny - I’ve Always Kept A Unicorn

Sandy Denny - I’ve Always Kept A Unicorn
I've Always Kept A Uni

 完成された作品ではなくてその手前の曲が出来上がったばかりのデモ音源なんかが重宝がられるのはもちろん完成形が知られ渡ったが故の原曲の功罪であろう。そこにはダイヤの原石とも言える元々の素のままの音が記録されているのだから、アレンジだってさほどされていないしもちろん楽器による色付けもほとんどされていない事が多い。ホントにねぇ、アコギ一本とかピアノだけのデモって美しいんだよ。どんな曲でもさ、そうやって作ってあるのはしっかりしててどんなアレンジでも良いものは良いっていうのか、そういう風に聞こえる。

 Sandy Dennyの編集盤で「I’ve Always Kept A Unicorn」ってのが出てた。その前にボックスセットでは搭乗していたらしいけど、そこまで聴けてなかったから自分的には未聴のままでいたデモ音源中心の発掘音源がコンパクトに聴けたのは嬉しい。ストローブスと一緒にやり始めた頃の名曲「Who Knows Where The Time Goes」のアコースティックデモから始まるのだが、これがまたバンドバージョンとはちょいと味わいが違っていてついつい引き込まれてしまう。そのまま全楽曲がそんなアコースティックでのデモ音源調で収録されているので、ひとつのアンプラグド作品として成り立ってしまっているのだが、そこで聴けるサンディ・デニーの歌声はデモだからと言って手抜きになることはなく、もしくはデモで軽く歌っていたとしてもそのレベルなのか、ってくらいには本気で美しく聴ける意気込みの入った歌だ。この人はもうどういう時に歌ってもしっかりとサンディ・デニーになっちゃうんだろうね。著名な歌手は皆そうなんだが、それこそ天性のものだ。

 チープな音で収録されているアルバムで、歴史と時代を感じさせるものだが、それこそ自分の部屋でオープンリールを目の前にギター一本で歌った曲と言わんばかりのピュアな空気が詰め込まれているので実に生々しく雰囲気を楽しめる。それでこの完成度の高さなんだからやっぱりホントにミュージシャンだったんだなと。天才的だもん。ここまで作り上げて自分で吹き込んで、歌い上げて昇華させて…、そんな過程を垣間見れる興味深いCD2枚組。




Richard Thompson - Sweet Warrior

Richard Thompson - Sweet Warrior (2007)
Sweet Warrior

 Apple IDって怖いわ〜、Appleサポセンにトラブル対策やるとApple IDで繋いで画面上を向こうで見られながらトラブル対処してくれるんだよ。そりゃさ、出来るのわかってるけど目の前でそれ見ると、何でも出来ちゃうんだな…とつくづく思った。FaceTimeの仕組みで繋がったIDの画面見るんだろうね。触るまでは出来ないんだろうけど、ちょこっといじればそれも出来ちゃうだろうから、なるほどよく出来た仕組みだ、と。ってことはもうかなりの人間を掌握しちゃってていつでも個人情報を見れる立ち位置になってるってことだ。同じことは多分Googleも出来ちゃうワケで、だから故のこの2大企業が世界を牛耳っていけるのだろう。いやはやそれもまたユーザー側が好んで提供している情報で、何ともロックらしからぬ…とは先日と同じお話(笑)。

 Richard Thompsonの2007年作「Sweet Warrior」。この人さ、21世紀になってからの活動も結構精力的で、しかも随分とロックやポップス界へ接近してきてて、それは時間の経過と共に名が知られていったことでポピュラーな世界に入っていったんだろうな、って感じだ。嫌らしさはないし、自然にその世界にいて、しかもしっかりと自分を持ったままその世界にいるのは見事。フォークの世界の中でのエレクトリックギタリストってところから独特のバグパイプギターと呼ばれるスタイルを作り出し、そのままロックの世界に接近してって、今じゃもうその筋の人だ。80年代からソロアルバムが盛んになっていって、吹っ切れてったのかな。そんな経緯からか此処のトコロのアルバムも実に聴き応えのある作品ばかりでどこから斬っても楽しめるのは嬉しい。しかも毎回刺激的なギターが必ず聴けて曲も勢いを増しているってなもんだ。

 この「Sweet Warrior」はタイトルからして攻めてる。実際は自分の生活って何事とも戦わないといけないし、って意味でのWarらしいんで深みはないんだけど、その分勢いある曲も多数入ってて、暗めなのが少なくて良い。フォーク出身らしい味わいとロック寄りへのギタープレイ、そして弾けた歌や哀愁の歌声、見事にひとりのアーティストとしてアルバムが出来上がっていて、ホントはギター弾いていたいんだろうけど、その中でも自身の作品ってのも出来ちゃう才能があるからこうなるのだろうか、サクッと作ってもこんだけの味わいある作品が出来ちゃうんだから凄いわ…、サクッてほど簡単じゃないだろうが。音が繊細で美しくて響くトーンなんだよねぇ…、あ、ギターの音ね。どの曲でも同じトーンは無くって、それぞれ違いながらもリチャード・トンプソン節…、ホント深いギタリストです。




Fairport Convention - What We Did on Our Holidays

Fairport Convention - What We Did on Our Holidays (1969)
What We Did on Our Holidays

 iPhoneの設定やらを見ていて思う。皆こんな設定が上手く使いこなせているのか?って。多分初期出荷時の設定そのままで概ね使われているのだろうなとは思うけど、それが故にネットワーク上へ様々な情報が流出してたりメールやら写真やらSNSはそもそもだけど全部見えてしまっていたりするんだろうな、とか。その辺はともかく当然ながら自分たちが見ているURL情報もダダ漏れなのでどんな傾向なのかとかはもちろん丸わかりだが、95%くらいの人は気にしていないだろう。知ってる人は楽しんでるか、しょうがないよな、だろう。常々恐ろしい世界だと思う。やれば個人まで全て判明してしまう情報なんだから余計に、だね。好んで監視社会に飛び込んで行ってるんだから始末に負えない。まるでロックとは正反対の方向性ですな。

 Fairport Conventionの1969年2作目のアルバム「What We Did on Our Holidays」。ご存知前作でのジュディ・ダイブルがバンドを去り、The Strawbsでの実績もあったサンディ・デニーがバンドに参加した最初のアルバムで、アルバム的にはそこまで出てきてはいないけど、相当衝撃的な才能の持ち主ってのはバンドと一緒になった頃から既にメンバーには判ったらしい。この頃のフェアポート・コンヴェンションってアシュリー・ハッチングスにリチャード・トンプソン、イアン・マシューズなんて才能達がいたんだから、そこで存在感を見せつけてしまった天才的才能ってのは相当なモンだったんだろうなぁ。今でも世間的にそう評価されてるんだから当然なんだけど、歌声だけ聞いててもそこまでサンディ・デニーの凄さってのはなかなか分からない。ただ、魅力的な声と歌い方だな、ってのがあるくらい。それが多分凄い事なんだろうけど。曲作りの才能もあるってのも言われるよね。でもさ、こんだけのメンツの中だからそりゃもうそのレベルが当たり前で…ってな話。そんな才能の持ち主たちが若気の至りながらも必死に作ったアルバムがこのセカンド。

 端的にはアメリカのフォークシーンに呼応した作品だし、英国らしさってのが出てるのはサンディ・デニーが凄いけど、いや、もちろん他のメンツもとっても英国らしいんでバンドの音で聴けばやっぱり英国フォークの世界です。ディランやらの曲がってカバーあるけど、全然実感しないしさ。ただ、重厚さってのはまだまだ出てきてないのかも。アシュリー・ハッチングスお得意の世界観なんだけどね、そこまででもない。そうだなぁ、単に静かなフォークアルバムで聴けば聴くほどに味わいは出てくるけど、そこまで聴けるか、ってのがあるくらいには静かでフォーキッシュ。自分もそこまで何度も続けては聴かないし。それでも色々な意味では重要な作品だし、何てったって二十歳前頃のリチャード・トンプソンの才能を味わえるってなモンだ。


Marc Ellington - Rains / Reigns of Changes

Marc Ellington - Rains / Reigns of Changes (1971)
Rains / Reigns of Changes

 自宅でのPC比率はどんどんと下がっているようだ。自分的にはそれはほぼあり得ないんだが、一般的にはそりゃそうかも、というのは頷ける。創作的なことを何かするならPCになるのだろうが、閲覧だけだったらiPadみたいな方がラクなのは確かだ。それがそのまま比率に反映しているってだけで、世間的には創作する方が圧倒的に少ないワケだからそうなるのは必然。やっぱりiPad向けなコンテンツを検討していかないとダメなんだろうな、などとも思うが、そもそもニッチな世界にしか意味のないウチのブログってのはこの一般概念に当てはまるのだろうか?という疑問も出てきたりして…。

 1971年にリリースされたMarc Ellingtonの2枚目のアルバム「Rains / Reigns of Changes」はこれもまたフェアポート・コンヴェンション勢が多数ゲスト参加していて上質のフォークロックが展開されていて実に聞きやすい。古くからの逸話で、実はこの時期に渡英してきていたアメリカ人だが、英国ミュージシャンとして認められている、なんてもっともらしい話が広がっていたが、近年のCDリマスター発売時に本人インタビューが実現していて、自分は英国生まれの生粋の英国人だよ、とさらりと言われていて、これまでのウワサなんてまるで意味のないものだったというのが判明したようだ。そりゃそうだろうなぁ、こんなのアメリカ人で出来るとは思えないもん。ジャケットだけ見てれば確かにアメリカ人的ではあるし、色々いるから全てそうだとも言えないけど音は出て来るだろ。

 んでこれまたリチャード・トンプソンとデイブ・マタックス、デイヴ・ペグの演奏が素晴らしくてねぇ…、いや、マーク・エリントン本人のもシックで良いんで、決してアルバム全編を食ってしまってるワケじゃないが、ロック好き視点から聴くと、このフェアポート組の戦士の高さは響きますね。挙句イアン・マシューズやサンディ・デニーもコーラスで参加しているんで、全くフェアポート色出てくるし、時代は名盤オンパレードの頃だからもうね、やっぱり素晴らしいんですよ。それが全員ノリノリで参加してるんだから主役もやる気になろうってもんで、傑作に仕上がってます。



Mike Heron - Smiling Men With Bad Reputations

Mike Heron - Smiling Men With Bad Reputations (1971)
Smiling Men With Bad Reputations

 電車に乗ってると周囲のスマホ中毒患者達の画面がやたら目に入る。以前は見てるのも悪いしなぁ…ってのもあったけどもうここまで広がってるとマーケティングリサーチしちゃうくらいで、ふ〜ん、なんて数秒くらいは見てることも多い。別に面白くはないから見てると言うか目に入るくらいなのだが、大抵はゲームでSNSもあるか。女性では通販多いなぁって思ったけどオトコでも結構その手の見てるの多いんだな。ほとんど皆さんイヤフォンしてるから何か聴いてるんだろう。あとはさ、YouTubeで何か見ながら聴きながらってのもそこそこいるけど、アレ、恥ずかしくないんかな。アニメらヘンとかお子様アイドルとかニヤニヤしながら見てるってさ。日本はそういう世界になっているんだろうけど、それでもやっぱり気持ち悪いわ。

 1971年リリースのIncredible String Bandのリーダー?Mike Heronの衝撃的なソロファーストアルバム「Smiling Men With Bad Reputations」。何が衝撃的かって、参加ミュージシャンの交流の広さの幅がロック的に衝撃で、それでいて全然ロック側には聴かれていない作品と言うか、無名な感じがある。英国でのミュージシャン仲間での評判と人気は合致しないのでこういうアルバムがいくつも隠れていたりするのだが、よくあるメジャーなプレイヤーの、例えばジミー・ペイジやピート・タウンジェンドなんかのゲスト参加アルバムなんてリストにもあまり出てくることのない作品だったりする。他にはキース・ムーンやロニー・レイン、エルトン・ジョン、リチャード・トンプソンやデイブ・マタックス、デイブ・ペグ、サイモン・ニコルなどのフェアポート勢はともかくながらDr.Stragely Strangeやジョン・ケイルあたりも参加してるという超豪華ゲスト陣。それを統率したのがジョー・ボイドで、さすがの交流枠。実に幅広く、如何に影響力を持った人かが分かるけど、そんなに知られてないでしょ?そういうモンなんだろうね。

 んで、このアルバム、基本フォークです。ゲスト陣営が参加ってもフェアポート勢は基本そっちに軸足あるしね、だからフォーク的作品。ややアシッド的だったり実験的だったり脳天気にしてみたりしてカラフル感があるけど、結構スタンダードにフォーク。The Who連中の絡んでる曲はさすがにロックそのもので、ってかThe Whoそのものだからなぁ、その辺はピートとキース、ロニー・レインの素晴らしきドライブ感が楽しめる。やっぱり目玉な一曲です。他の曲とのギャップがありすぎてロック好きなヤツがこのアルバム聴いてたらこの一曲だけで満足するんじゃないかってくらい。正にThe Who。

 んで、1991年のCDリリース時に発掘されてきたボートラの中ではジミー・ペイジとデイブ・マタックス、デイブ・ペグ組とのセッションが入ってて、これがまた圧倒的にフェアポート・コンヴェンションにジミー・ペイジが参加してたらって感じになってて実に魅惑的な仕上がりになっているのが興味深い。これ、テレキャスでの参加だろうなぁ…とか思ってしまうんだが、もっとヘンなギターの可能性もあるか。しかしこの手の曲調でこういうペイジ節弾かれるってなかなかチグハグ感あって面白い。そしてマタックスのドラムが見事にかっちりとハマっててどことなくボンゾスタイルなマタックスが実に美味しい。

 マイク・ヘロンのアルバムを聴いていたハズなんだが、結局ロック好きな二曲に集約して何度も聴いてしまったという始末…、そのフロントのマイク・ヘロンも力量見せてくれてるけど、やっぱり凄い連中は凄かった。素晴らしいアルバムをありがとうっ!



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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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