Bert Jansch - Collection

カテゴリー: Traditional Folk

 ジョン・レンボーンの名が出れば、自ずとバート・ヤンシュという名も出てくるだろう。まぁ、ペンタングルという解釈もあるんだけどさ。この二人のギター奏法の大きく異なるトコロはと言えば、圧倒的に室内楽的要素が強いのがジョン・レンボーンで、泥臭い音楽を聴かせるのがバート・ヤンシュという感じかな。巧いとかテクニックとかという問題じゃなくて、そもそもの方向性とか持っている目指すべきものなんかの違いだろうということだけどね。まぁ、最近の作品まで全部追っかけているというようなファンではないので、あまり書けることは多くないんだけどね。

Collection Rosemary Lane

 手元にあったベスト盤「Collection」を聴いたので、その辺から…。多分1965年のデビューアルバムから1971年の名盤「Rosemary Lane」までの作品からのベストチョイス盤らしきもので、まぁ、例によって適当な値段だったので入手っていうところなんだけど、いや、マジメに聴いているとさすがジミー・ペイジが徹底的に勉強したというだけのことはあって、歌よりもギターが全然面白い。よく言われているツェッペリンの「Black Mountain Side」はこの人の「Blackwater Side」のパクリという話なんだけど、もちろんそれは事実でして(笑)、いや、それは良いんだけど、ベンドして開放弦というような印象的なフレージングはあらゆる曲の繋ぎに使われていて、ベスト盤なんていう形、しかも年代順になっているとそれがよくわかる。ちなみにこのCDでは「So Long (Been On The Road So Long)」「Blackwater Side」「Rabbit Run」なんて感じで全部あのベンド奏法が多用された曲で、バート・ヤンシュの手癖によるものなんだというのがよくわかる。

 もちろんそういう目立つトコロ以外にも特徴的な点は多くって、地味だけど恐ろしいまでのフィンガーピッキングが聴ける初期の曲や、更に広がりを持ち始めた70年前後の作品あたりも相当に追求する価値がある。名盤「Rosemary Lane」あたりからの選曲になると女性の歌声も入ってきて一気にトラッドフォーク的サウンドに幅が広がっていることもわかるだろう。もちろんペンタングル結成中のソロアルバムなので当然の影響ではあるんだけど(笑)。ま、ギタリスト的にだけ見てはいけないってことで、しっかりと音楽的幅を広げて展開しているっつうことだね。

 あ、全然ロックではありません、当たり前だけど。フォーク、しかもギタリストのためのフォークに近いので静かにそよ風に当たって聴いていると心地良いんじゃないかなぁ。BGMにすると少々泥臭すぎるかもしれない、そんな人の作品です。

John Renbourn - The Nine Maidens

カテゴリー: Traditional Folk

 一般的にイージーリスニングとしてしか位置付けられない音楽というものの中にはとんでもない人達の演奏なんてのもあったりする。昔驚いたのはあのソフトマシーンのカールジェンキンスとマイク・ラトリッジよるアディエマスというユニットが売れてイージーリスニングの最たるモノみたいに取り上げられた時かな。おいおい、ってなもんで、そこらの女の子からアディエマスの音楽ってほっとしていいですよね〜って言われた時はどうすっかと思った(笑)。まぁ、そこまでは言わないけど歌とかがあまりなかったりして喫茶店とか適当なところで流れていたりすると単なるBGMになってしまうし、そこには才能というアーティストの顔は見えてこないんだよな。それでもいいんだ、ってひともいっぱいいるんだろうけど、やっぱ演奏者ってのは一生懸命なんだからねぇ。

The Nine Maidens Maid in Bedlam

 そんな世界にいつしか自分を移していってしまった人、かもしれない。いや、とことん好きなギターによる組曲を構成して一大絵巻物語を構築したんだ、っていうだけなんだが、そのどちらとしても素晴らしい作品を仕上げたジョン・レンボーン。1985年リリースの傑作と誉れ高い「The Nine Maidens」です。「9人の処女」という非常に宗教的というかそういう世界を知らないとよく理解できないくらいに聖なる物語的なものなんだろうね。

 音世界はと言えば、これまた非常に美しく軽々しく語れない、実に神々しい世界を奏でていて、その大部分はフォークギターだけで構成されていて、色を添えるためにリュートや笛やリズムが加えられているんだけど、とにかく綺麗。CDだと全6曲入りなんだけど最後の「The Nine Maidens」というタイトル曲は13分半にも渡る大作で、実にドラマティックに奏でられていてハマっていく。もっともアルバム最初から聴いていると起承転結もしっかりと織り込まれて正にひとつの物語を奏でているように雰囲気が変わり、そして聴いている人をその世界に誘ってくれるという見事なもの。

 タイトル通りの世界をこの音世界に被せるとしたら、やっぱり喜劇ではなくって悲劇なのかなという音世界なので、歌がなくともどういうことが言いたいのかは伝わるということか。ギターの技術ももちろん正確無比なものなんだけど特にその技術を披露しているというワケじゃないと思う。ただ、こういう音を紡ぎ出すって難しいだろうなぁと。一人でひっそりと静かなトコロで目を閉じて物語の情景を浮かべながら聴きたいサウンドだね。

Richard Thompson - Henry The Human Fly!

カテゴリー: Traditional Folk

 ギタリストのソロアルバムと言うよりも一人のシンガーとしての可能性を思い切り前に出し、そして大衆にも感じさせてしまった、そして未来を築いていうサウンドの原点をも打ち出してしまったとも言える傑作アルバムをリリースした英国の最も英国らしいギタリスト、リチャード・トンプソン。この人の個性というのか良さというのか独自性はなかなかすぐには伝わらないんだけど、聞いてみてハマってみるととんでもなく心地良く聞こえるので是非試して貰いたい音ですね。

Henry the Human FlyAngel Delight

 1972年リリースのソロ作最初の作品「Henry the Human Fly」という仮想サントラアルバム、とでも言うべきものなのか…、アルバムの意味はよくわかってないんだけどさ(笑)。うん、直前までフェアポート・コンヴェンションで精力的に活動していたワケで、アルバム「Angel Delight」制作中に脱退してしまって、音楽性の違いと言われてはいたけど、客観的に聞いてみると何で脱退したのかよくわからない。だってフェアポート・コンヴェンションの「Angel Delight」っつうアルバムだって相当の傑作で、このソロアルバムと滅茶苦茶音楽性が違うというものでもないように聞こえるからね。でも多分、それ以外の要素も多かったのか、素人にはわからないレベルでの音楽性の違いってのがあったのか…。しかし脱退してからアチコチセッションもあったんだろうけどさっとソロアルバムの制作に走ったあたりさ正解。この頃のリチャード・トンプソンは明らかに絶頂期で、作曲にしてもギタープレイにしても天賦の才を披露しまくっていた時期で、そのおかげでこういった非常に独特のアルバムが聞けるわけなのだ。

 ロックファンの皆はこれを聞いても特にロックだとは思わないでしょう。だってビートにガンガン乗ったロックじゃないし、とんがってるワケでもないから。それよりも基本的にトラッドフォークの英国的な空気が支配していて、そこにエレクトリックとアコースティックのギターの音色が重厚に重なってきて、アコーディオンがあったりトロンボーンがあったり、もちろんフィドルがあったりするので決してロックではない。ただ、こういった音を重ねて創り上げる手法はロックだよなぁ…と。いや、それもどっちでも良くて、ほのぼのとした空気の中で美しい旋律を奏でて、そして聞き手を現実から逃避させてくれる…。更にギターという楽器の可能性も広げてくれたという意味ではもの凄く革新的でレベルの高いサウンドを楽しませてくれるのだ。

 ゲスト陣も凄い。もちろんのことながらフェアポート・コンヴェンション勢から多数参加しているし、サンディ・デニーだって参加しているさ。後に奥方となるリンダも参加しているし、個人的にはやっぱりシュレー・ハッチングスが嬉しい参加だけど、残念なのはデヴ・マタックスのドラムじゃかなったことくらいかな。しかしまぁ、見事なアルバムだ。ホントに単なるギタリストでは終われない人だし、バンドの一員としてだけでも勿体ない。しかし彼のこの才能がもっと開花するチャンスは以降それほど多くなかったのだった…。故に本作は燦然と輝く傑作として価値があるのかもしれない。

Solas - The Hour Before Dawn

カテゴリー: Traditional Folk

 女性歌モノってのもこれまた結構な数のCDが散乱していて、整理するのもなかなか大変なのだがちょこっと聴いて火が点くと立て続けに聴きたくなるもんだ。ソーラスっていう何となく魅惑的な名前を持つバンドのCDを発見してしまった。何となく哀愁を帯びるようなジャケットに惹かれて、そしてものすごくケルトだったような気がして聴いてみる。

The Hour Before Dawn The Words That Remain [Import]

 2000年リリースの「The Hour Before Dawn」で、驚くことにアメリカ在住のアイルランド系アメリカ人が集まって組んだケルティックバンドの作品。なので一応アメリカのバンドの作品ということになるのだが、いやこれがまたどこから聴いてもケルティックな音で、普通に聴いたらどこの国のバンドかわからない。ただ、知ってて聴くとやっぱりどこか垢抜けている感じがするのは多分知識と偏見からだろう(笑)。

 結構な枚数のCDをリリースしていて、本作「The Hour Before Dawn」からはボーカリストが変わっているらしい。ってもこのアルバムしか持ってないからよくわからないんだけど、これが一番良い作品じゃないか、と薦められたので持っているだけなのだ。基本的にオープニングから全てゆったりしたケルティックなサウンドでフィドルも良い感じに鳴っているのが好き。そしてもちろん美しい女性の歌声が響き渡るのも素晴らしい。コーラスワークとかもしっかりしていて、結構しっとりと聴かせる歌が多いかな。その中でジグが入ってくるからこれまた楽しくなってくる。ケルティックな旋律だけで構成されるジグって凄く好きなんだよね。気分が高揚してきて嬉しくなってくるんだもん(笑)。

 ギターから始まり男性ボーカルで通す曲なんてのもあるんだけど、パートパートだけ聴いているとどこかアメリカのカントリー的な雰囲気もするところが面白いな。他の音とかアレンジが入ってくるとやっぱケルティックかなと思うけど、ギターとコーラスだけだとカントリーチックで不思議。こういう融合が音楽を世界に渡らせてより豊かなモノにしたのだろうね。

The Farlanders - Moments

カテゴリー: Traditional Folk

 ちょこっと変わった音を発見したのでご紹介…。一時期トラッド系列の音を色々と集めていたことがあって、基本的に英国やアイルランド、ケルトのものを中心にしていたんだけど、結構あちこちにその系譜からでてきたものなんてのもあったり、そもそも土着的な民族音楽に最近の味付けしたモノとか、女性が歌っていれば結構それだけでも良し、みたいなのもあってあれやこれやとCDがあったりするのでザラッとね♪

Moments The Dream Of Endless Nights

 2000年リリース「Moments」。ロシアの民謡ジャズトラッド女性歌モノバンド…、っつうのかなぁ(笑)。アルバムタイトルになった「Moments」っていうのはロシアのライブハウスのことで、このアルバムはその「Moments」っていうライブハウスでやったライブを収録したアルバムなので、ライブ盤らしい。聴いてみるとわかるんだけど何処がライブなんだ?と思うくらいに完璧なアンサンブルとテクニックで録音されているのでわからん。確かに合間合間に歓声が入っているのでライブ盤なのは確かなんだけどさ、エコーとかも完璧でさ。まぁ、最近のだからおかしくないけど、凄い。

 音的には基本アンビエント系の雰囲気で美しい女性の歌声が広がるという好きなパターンで、旋律はロシア民謡的なんだろうな、こういうのって。男性が歌うのもあるんだけどこの人がまた高名な方らしく、貴重なセッションでもあるらしい。そういう基本情報が押さえられていないのが問題なんだが…(笑)。何曲かはバンド単位での演奏になるんだけどその時のエレクトリックフレットレスベースのブイブイさが凄くて、ジャズ的とも言われるところかな。でも、聴いているとやっぱり落ち着いた民謡的なメロディーを中心に雰囲気と空気感で場を創り上げる音楽かな。エコーやコーラス感が強いので当然透明感も高まり、いわゆるロックな世界ではなく、透き通る川の底を見つめながら流れるそよ風に身を任せる、みたいな雰囲気あるかな。

 あんまり聴いたことのない楽器の音色もするし、拍子にしてもちょっと違う…、やっぱり民族系の音って面白いよね。ず〜っと聴いていたいとは思わないけどたまに聴くと凄く新鮮で感性が磨かれる。タイトルが「7/8」とか「Blues」とかってあるんだけど「Blues」って、そういう解釈?みたいな(笑)。いや、新鮮だよ、ほんとに。何気に変拍子とかも普通にやってるってのも恐ろしいけど。結構プログレ好きな人は好きなんだろうな、と思った。最後はもの凄い盛り上がりを見せてくれるのでアンビエント系とか何とか関係なしにミュージシャンの楽しみ的に滅茶苦茶ハイテンション。ここまで聴ければ凄く面白いね、こういうのは。なかなかスカッとするライブ盤、良い♪

Vikki Clayton - Honor

カテゴリー: Traditional Folk

 どうして自分のコレクションになるのかよくわからないCDってのも結構ある(笑)。何気なくCD棚を見ているとそういう宝物にいくつも出会えるのは面白いもんだが、今回も何であるのかよくわからないのだが、聴いてみると実に美しくて得した気分になった一枚をご紹介。

Honor Lost Lady Found Fotheringay

 1988年リリースのデビューアルバム「Honor」で、詳しい背景とか全然知らないんだけど確かフェアポート・コンヴェンションが毎年開催しているクロップレディフェスティバルでボーカルを務めてたことがあるハズ。それで多分気になったんだろうなぁ…、何かサンディ・デニーの再来とまで云われるくらい昔のフェアポート・コンヴェンションの曲を歌いこなしたとか云うので話題をさらった人だったと思う。うん、多分そうだ。

 それで音を聴いてみるのだが…、非常にシンプルなアコギと美しく透明感のある歌声だけで作られている作品で、とってもトラディショナルな曲調ばっかりなんだけど、トラディショナルな曲は何曲かしかなくって結構オリジナル作品ばかりで占められてて、違和感なく普通に聴けるので驚いた。この人心の底から英国トラッドシンガーソングライターなんだ…と。冒頭の「The Blacksmith」ってのはトラッドなので実はあちこちでお目に掛かる曲…、ペンタングルやシャーリー・コリンズ、スティライ・スパン、バート・ヤンシュなどなど…、そのどれもと張り合っても結構良い線イケるくらいしっかりとできてるし、本人も自信あったんだろうなぁ、曲の良さもあるけどすっきりとした歌声が特徴的で心地良い。

 更にサンディ・デニー好きを惜しげもなく表してなのか、渋いところでサンディの結成したFotheringayのアルバムにも収録されている多分トラッド曲の「Banks Of The Nile」ってのもバックがギターだけで歌ってて、さすがに声質似てるなぁ。で、今度はフェアポート・コンヴェンションの超名盤「Liege & Lief」の最後に入っている有名曲でもある「Crazy Man Michael」をカバーしてるんだけどさぁ、これもまた結構な迫力で完全にサンディに成り切っての熱唱だよなぁ。いいねぇ、こういうの。

 そんな感じでどうしてかウチにあったCDだけど、気分的にハマってたので結構よかった。やっぱ音楽は元気が出るもんなのだ。例えそれがトラッドであっても、ね♪

Fairport Convention - Red & Gold

カテゴリー: Traditional Folk

 ロックの歴史の中でもかなり長い歴史を刻んでいるバンドの一端を担っているフェアポート・コンヴェンション。アルバムデビューは1967年で、解散したようなしていないような、そのうち仲間が皆集まり始めて色々とセッションやらイベントやらを始めたりしているうちに皆が皆愛着を持って出たり入ったりしながら今でも存続しているワケで、ストーンズの生きながらえ方とは大きく異なってメンバーチェンジも当然ありきで皆の故郷のような位置付けでバンドというハコがあるってとこか。

Red & GoldIn Real Time: Live '87

 そんなフェアポート・コンヴェンションが1988年に何とラフトレード(!)からリリースしたアルバムに「Red & Gold」という作品がある。ラフトレードレーベルと云えばどことなくニューウェイブのバンドばかりというような印象があるが、結構オールドなロックにも門戸を開いていて、確かロバート・ワイアットなんかもアルバムリリースしていた気がする。ま、それはともかく、この頃のフェアポート・コンヴェンションって実はもの凄く充実していたらしいんだよね。1985年頃からメンバーが12年間くらい変わってなくてアルバムも8〜9枚リリースしている時期でさ、なかなかフェアポート・コンヴェンションのディスコグラフィーとバイオグラフィーの実態が掴みきれないのであちこち紐解いた程度での知識なんだけど、いや、もちろん初期から70年代くらいまでは大丈夫だけどそれ以降がどうしても曖昧(笑)。まぁ、それでもバンド名に恥じないアルバムばかりをリリースしているので悪くはない作品群が多いかな。

 で、その「Red & Gold」なんだけど…の前にメンツか(笑)。しっかりとデイヴ・マタックスのあのドラムは健在だしサイモン・ニコルの味のある歌声とデイヴ・ペグのベースラインもそのままですな。バイオリンにはリック・サンダース…、ソフツの後期に在籍していた人ね。で、ギターは知らないんだけどマーティン・アロックって人かな。なかなかリチャード・トンプソン的なギターを弾く人なのでメンバー的には重宝したと思う。中身はねぇ、結構モダンなトラッド風味の大人のロック、というよりも聴かせるアダルトな音で、でももの凄く英国ならではのメロディだったりコーラスだったりして、普通は出せない味だし、新人じゃぁ当然出せないサウンド。落ち着いた音で暗さもそんなになくって聴きやすいね。しかしリズム隊、軽く演奏しているんだろうけどやっぱりとんでもなくロックな人達で、重くてかっこよいよぉ〜。こんなにアダルトなことしてなくても十分にロックでイケるにな、とか思ってしまう(笑)。

 何気にね、アルバムジャケットを見てみると凄く英国らしくて、騎士の戦いはともかく下側には英国らしい湖に帽子が浮いていて、何故か右側には翡翠が飛んでいるという、おしゃれだよねぇ〜、こういうセンス。色々な意味で親しみの持てる作品。多分この前後のアルバムも似たようなもので楽しめるかな。あ、そういえば、このメンツってこの時期に来日公演してたハズ…。

Flibbertigibbet - Whistling Jigs to the Moon

カテゴリー: Traditional Folk

 英国のフォークの奥の細道のその奥にある作品。そしてとてつもなく美しい音を聴かせてくれる、これこそ英国漁りの至福の楽しみとも云えるアルバム「Whistling Jigs to the Moon」を久々に聴いてみた。うん、Flibbertigibbetっつうバンド。いやぁ、これ書いただけでおぉ〜ってくる人はとってもマニアな方くらいだと思うので若干回りくどい説明はいるのかな。

Whistling Jigs to the Moon 抱擁の歌

 英国フォークの三大美神の最高峰を担うと思っているメロウキャンドル。奇しくもアルバム一枚で消え去ってしまい、その後の消息は特に聞くこともなくひっそりと散っていったバンドという印象が強いのだけど、実際にはフロントのお二人が仲むつまじく結婚してひっそりと田舎に戻ってしまった、とかもう一方はまた別の動きで…、なんて感じで90年代後期以降は結構研究が進んでいるので今じゃ結構色々調べて分かってる部分も多いんだろうね。

 そんなことでフロントのお二人が仲むつまじく、ひっそりと籠もって、更に南アフリカに移住したことで南アフリカでひっそりとリリースされたアルバム「Whistling Jigs to the Moon」、というか組まれたバンドがFlibbertigibbetってバンド。音はトラッド色の強いメロウキャンドル。あの浮游感というかサイケ感はないけど、流されるがままに心地良く気持ちを預けられる雰囲気は健在、そして恒例のダブル女性ボーカルによる天使の歌声もそのまま。見事にメロウキャンドルの継承としてもっとメジャーになってもよいでしょ、っていう作品だと思うんだけどなぁ。

 この後どこかのライブ盤「My Lagan Love」もリリースされているみたいだけどマニア向けのレーベルKissing Spellによるこの辺一連のリリースには実に驚かされたものだ。こんなもんどうやって手に入れるんだよ、ってのがいっぱい出てきて狂喜乱舞だったもんなぁ。機会があればこのアルバム,絶対お薦めしたいね。メロウキャンドル好きな人なら気に入るはず。うん。

Shelagh McDonald - Stargazer

カテゴリー: Traditional Folk

 英国のフォークシーンの中にはセプテンバープロダクションと呼ばれた一群がある。その辺の説明は同じシェラ・マクドナルドを書いているCottonwoodhillさんのブログサイトに詳しく載っているので是非一読をどうぞ♪なるほどなぁと思う説明で、納得です、はい。

スターゲイザー(紙ジャケット仕様)

 んなことでシェラ・マクドナルド。ファーストアルバム「アルバム」は1970年リリース、翌年にはセカンドアルバム「スターゲイザー」も颯爽とリリースしたが、そこから消息不明となっているソングライター。しかも英国フォークの雄達がこぞってセッションに参加しているということでアルバム制作のクレジットを賑わせるには十分な彼女、勿体ないなぁという声も多く聞かれるがLSDで隠居でしたか…。う〜む、フォークもロックもミュージシャンは大して変わらないのぉ…。

 まぁ、それはともかく、音的なトコロではもちろん英国のフォーク、というかシンガーソングライターっつう感じかな。アメリカのだと何となく鼻につく部分が大きいんだけど、英国のだとそういうのがなくて風景が目に浮かぶから好きなのかな。さすがに1970年代なので素朴っつう感じではなくってシンプルに敢えてこうしているというような印象で、歌声は綺麗に歌い上げるワケじゃなくってほんのり歌っているので暖かい感じでねぇ、秋色っつうよりも暖炉の蕎麦でギターをつま弾いてくれながら歌っているというような色合い。って難しい表現だよね。普通に聴いたら普通にシンプルなフォーク。

Spriguns - Time Will Pass

カテゴリー: Traditional Folk

 数々の英国フォークからフォークロックバンドあたりを彷徨っているとフェアポート・コンヴェンションというバンドの影響力の大きさには実に驚かされることが多い。それはもちろんサンディ・デニーの歌唱力表現力だったりリチャード・トンプソンのギタースタイルだったりデイヴ・スウォーブリックだったり、またはアシュレー・ハッチングスだったり色々なんだけど、音的な影響にしても見事にエレクトリックなロックとトラッドというものを結びつけた第一人者としての役割を果たしていて、代々までその影響力が残っている。凄いよなぁ…。

Time Will Pass

 そんなフェアポート・コンヴェンションを代表するサンディ・デニーに憧れて歌い始めたマンディ・モートン姫の率いるスプリガンスが1977年に放った二枚目のアルバム「Time Will Pass」を…。実はこの後の有名な三枚目の「Magic Lady」という作品、今だに入手してないことを思い出して(笑)、聴きたい聴きたいと思いつつすっかり抜け落ちてましたねぇ。それこそサンディに捧げるアルバムとして、またスプリガンスの最高傑作との呼び名も高いので聴かなければいかんですな。はい。

 で、話は戻ってセカンドアルバム「Time Will Pass」なんだが、もちろんマンディ・モートン姫の歌声がバンドを制しているんだけど、トラッドフォーク類のバンドとはもちろん大きく異なったこれも明らかにフォーク色の強いロックバンド。しかも結構ポップでカラフルというのが面白くて、この辺は時代が1977年というのもあるのか、良くできてる。ただ時代はパンクからディスコへ行こうとしている時なのでもちろんセールス的には全く見捨てられたものであることは想像に難くない…。そしてこの「Time Will Pass」というアルバム、なんつうか、ギターの音色が割とサイケな雰囲気で、そして結構ドラマティックな展開があったり、しっとりと聴かせたりしていてポップス顔負けのアレンジが施されているので聴きやすい。まぁ、どこかプログレッシヴ的展開も見せるんだけど、時代的にそこまでは難しいワケで、ドロドロさではなくサラリとまとめられている。結構かっこよいロックなので嬉しいね。カーヴド・エアーほどのインパクトはないけど、その辺のよりはよっぽど良いよ、これ。

 ああ、やっぱサードアルバム「Magic Lady」聴きたくなってきたな。黒魔術的なイメージを持たせているけど、その実きっとこんな感じに聴きやすい部分とハデに展開する部分とかが色々とあるんだろうな。マンディ・モートンがサンディ・デニーに捧げる怨念が集約されていると思うと楽しみ。昔はこれ聴いてもあんまりピンと来なかったけど今聴くと、こりゃ面白い、って思った。