Barclay James Harvest - Gone To Earth

Barclay James Harvest - Gone To Earth (1977)
GONE TO EARTH (3DISC DELUXE REMASTERED & EXPANDED EDITION)

 70年代のプログレ以降でさほど多くの叙情性を持ったバンドってのを聴くことがなかった。バンドそのものが無かったのか、プログレという世界からは離れてメタルも入ってきての叙情性バンドというように形態が変わっていったのもあるだろうか。美しく牧歌的で叙情性を持つバンドなんてのはほぼ皆無で、結局いつも70年代に戻ってくることになる。それでもまだまだたくさん聴けてないバンドやアルバム、聴いててももうちょっと聴き込む事での深みを味わうというのもあるし、尽きない趣味だ。

 Barclay James Harvestの1977年9作目のアルバム「Gone To Earth」。さすがにベテランになってきての成熟した作品が続いているこの頃、文句なしに威風堂々としたBarclay James Harvestらしいアルバムに仕上がっている。初期の叙情性からは洗練されてアコギやオーケストラ、コーラスワークを駆使した美しさ、それに加えてのポップ性がこのバンドのユニークな個性。正に大英帝国ならではの音楽でしかなく、しつこくない叙情性もいつも通り安心して聴いていられる。それでいて結構ギターも弾いてるしベースも特徴的なスタイルで弾いているので派手さはないけどロックらしい部分も聞かせてくれる。穏やかなビートに包まれて華麗なるサウンドが荘厳さを醸し出し、バンドの貫禄も同時に昇華された実に威厳のあるサウンドが素晴らしい。一方ではパンクが発足している時代にこれほどの美しさを堂々と奏でていた事も自信の現れだろうが、このアルバムから以降は時代の波に飲まれていったのもやむを得なかったのか。

 聴いてて思ったのだが、Barclay James Harvestってプログレバンドなのか?って。別にそういうカテゴライズにこだわることもないんで、違うと言えば違うんだろうなぁと。他に入れ場所が無かったからそうなってるけど、割とビートルズなんかと同じく何でもありでポップな部類に入るんだろう。プログレらしい変拍子や攻撃性があるワケじゃないし、牧歌的で聴きやすいメロディが中心で味付けとしてのオーケストラや叙情性だったりするし、その意味では英国ロックそのもの、とも言えるのか。もうちょっと売れていればその個性が存分に発揮出来ていたのかも。この時期の作品の完成度の高さは案外知られてなかったりするんじゃないかな。


Pallas - The Wedge

Pallas - The Wedge (1986)
The Wedge

 ポンプってのは割とブラックな意味合いを持つ単語でもあったようで、華麗なるの裏腹に虚構に纏われたと言うようなニュアンスもあって、まぁ英国人的にはユニークな単語でもあったようだ。なのでその頃のバンド本人達から自分たちはポンプロックの代表格だなんて発言は聴けるハズもなく、これまたメディア中心に付けられたジャンル名とも言えるのだろう。ネオ・プログレッシブロックとも言われているが、そこまでプログレッシブなスタイルでの演奏者という感じでもないし、どう捉えたものかな…ってのは後の時代の連中が悩む所業。

 1986年にリリースされたPallasのセカンド・アルバム「The Wedge」にしてメジャー契約打ち切り作ともなった一枚。何と言っても前作「ザ・センティネル」で大いに期待されるハードなスタイルを演奏していて単純にポンプでもなけりゃプログレってだけでもなく、新たなる時代の幕開けか、とも期待された中でボーカルは脱退、今作では新たにボーカルを迎えての作品となったが、バンドそのもののスタンスに大きな変化は生じていないことで、そこは安心感があったのだが、スピード感のあるハードロックスタイル、ハードロックっつうのかな、何とも独自のスタイルでの疾走感溢れるハードなスタイルのサウンドに仕上がったアルバムで、ソリッド感は割と好まれる部分多い気がする。テクニカルなアレンジや楽曲もその筋には好まれるのだろうけど、その分そればかりが売りになってしまっていて、この頃の売れ線路線にあったバンド郡のようなポップさにも仕上がっていて、ロック好きなリスナーがちょいと敬遠してったんじゃないかな。

 プログレってのはもう背負うべきものでもなくなっていて、自在に音を詰め込んでるというような感じもする。その意味では実験的ではあるんで面白いんだけど、どうにもチープ感やその場の場当たり的な印象も否めないという難しさ。伊達にポンプロックと言われてはいないのはこの辺が所以か。下手したらAORだもんな…。結果的にはずっとバンドは存続していて今でも活躍中なんだけど、大いにこの路線がいろいろな意味で間違っていたのだろう。多分本人たちの意向ではなかったのだろうが、それにしてもこの音はかなり残念感もある。


Pendragon - The World

Pendragon - The World (1993)
World

 案外自分がポンプロック平気なことに気づいてしまったんで、次から次へと聴いてみている。バンド名は今までも何度も通ってるんでそれなりに知ってたし、代表的なアルバムもそれなりに知ってるし、ならば、と思ってね。この辺ってアルバムジャケットがやっぱりしっかりとセンス良く秀逸なアートで作られてるから覚えやすくて良い。やっぱりねジャケットって重要な要素だから適当なのはダメです。きちんと主張するようなアートワークじゃないと聴く気が沸かないもん。バンドが作品んに気合い入れてるかってのもジャケットで測れるのはあるかもね。70年代は逆に音の弱さをジャケットでカバーしようとしていたのも多かったみたいだけど、その分迷盤が数多く溢れ出てきたというのも今じゃ楽しめるお話。

 Pendragonの1993年リリース三枚目の作品「World」。これもアルバムジャケットが知られている作品のひとつで、ファンからは名盤扱いされている作品だ。冒頭からかなり完成度の高い音が飛び出してきて、単なるジェネシスフォロワー的な要素は随分と排除されてて、ってかどこにもそんな面影ないだろってくらいにはいっぱしのバンドになってて、どっちかっつうと時代の波もあったんだろうけど、U2的な陰鬱さを持ち込んだ感覚もあるからプログレとU2の出会いというのかな、このあとColdplayやらMuseやらが出てくる手前のニュアンスが強いか。この適度な鬱さはピンク・フロイド信者にも響くだろうし、ネオプログレ好き連中にももちろん響く…って、こっちが先なんだが。そういう世界を先んじて作り上げていて、音楽的にもかなりハイレベルなトコロを行ってる感じです。なんだ、こんなにしっかりと楽しめる音だったんじゃないかと今更ながらに知るのもどうかとは思うが、出会わなかったのに比べれば随分と楽しめるのは幸せだ。

 ポンプロックと呼ばれる中では一番重厚な音が聴けるバンドとも言えるだろう。アコースティックも綺麗にひびいいているし、一方でのロック加減もしっかりしている。ここ重要でね、単なる音楽演奏だと面白くないんです。とんがったトコロが見え隠れしてくれないと面白くなんだよ。そのヘンが結構出ているから頼もしい。やっぱりこのあたりは人気があったってのも納得するレベルの作品が多いなぁ。ファンタジック感よりも叙情感なのかな、こっちのが好きだ。




IQ - Tales From the Lush Attic

IQ - Tales From the Lush Attic (1983)
Tales From the Lush Attic

 80年代初頭にシーンに登場したポンプロックの流れ、同時期にはNWOBHMもあったしLAメタルのシーンもあったから何かと音楽がバブリーにあふれていた時代だったのかもしれない。今そういう複数のムーブメントが同時に走るようなことってあんまり無い気がするし、そもそも何がムーブメントなんだ?ってのもあるくらいだからさ。当時まるで興味を持たなかったのはやっぱり模倣の源がジェネシスとかイエスだったからだろうな。元々苦手な系統のバンドの模倣なんてキャッチコピーからして手を出さないワケです。だから聞きかじり程度、それも偏見を持ったままで聞いてるからまともに聴けるハズもない。ただ、あとからロックシーンを追いかけてみれば割と重要な働きをしていたのは判ったし、その後もシーンで名前が出て来ることも多いんだからそりゃそうか、と意識はするようにはなる。

 1983年リリースのIQの「Tales From the Lush Attic」。これも昔よく見かけたジャケットで気にはなりつつも、ジェネシスの〜みたいなキャッチコピーがダメで、そういう音なのかぁ…、じゃ、いいや、って。改めて今回またじっくりと聞いてみました。そんなにジェネシスって感じでもない気がするが、それは自分だけか?いや、世界観や作り方はそうだけど、やっぱり80年代の新鮮さが入ってたりキャッチーさもあるが、ロック的エッセンスもあるからかな。聴きやすいのもあって、やっぱり案外自分的にはポンプロックの方が平気なんだってことが判った。これは収穫です。もしかしたらそこからジェネシスへ回帰できるかもしれないし…って最初から頑張れって?ねぇ。

 かなりテンション高いアルバムで、ホントにこういうの好きなんだなぁと言うかよく出来てる。なりきり感も見事だし、音の重厚さやギターの音色もそうだよなぁって感じで此処ぞって時にちゃんと鳴ってくるんだからよく聴いてる。ファンタジックな世界感はマリリオンほどでもないけど、その分地上にとどまる妖精感は強いか、土着的な印象すら受ける重みを持った感じ。曲調的にはプログレって感じのはほとんどないのに雰囲気だけはプログレっていうか…、音がそうなんだろう。一般的に名盤と言われているからこそ楽しめたのかバンドの方向性として楽しめたのかはまだ分からないが、ひとつのポリシーを貫いているバンド感は通じているのでまた味わおう…。


Marillion - Script Fot a Jester's Tear

Marillion - Script Fot a Jester's Tear (1983)
Script Fot a Jester's Tear (Bonus CD)

 70年代のバンドが80年代には既に模倣されていると言うのは当然と言えば当然ではあるが、商業的にはまだオリジネイターが残っているのにコピーバンドがいてもしょうがないだろ、ってな話になったんじゃないだろうか。それでも少しでも売れれば良いというのはあるのだろうが…。本人たちからすれば身近で好きなバンドの模倣なのだからどちらかと言えばその間多分5年程度でシーンに出てくるのも当然、逆に20年も経過してからってのは少ない方だろう。その場合の模倣からオリジナリティの確立ってのがなかなか難しく、最初はもてはやされるけど、そこからどうバンドを進めていくかというのはなかなか悩ましいトコロだろう。上手く駒を進めていったバンドも多いが、行き詰まってしまったバンドもまた多い。

 Marillionの1983年リリースのファーストアルバム「Script Fot a Jester's Tear」。昔ちょこっと耳にした程度で今回ほとんど初めてまともに聴いたに等しいんだが、驚くほどの完成度の高さと実に英国的でファンタジック、且つドラマティックな世界に感動した。ジェネシスフォロワーとの異名が高くてまるで聴く気にならなかったんだけど、こうして耳にしてみれば自分的には圧倒的にジェネシスよりも聞きやすくて生理的にも受け付けられる範疇のバンドという感じがする。何がそんなに違うのかは分からない。確かにジェネシスと同じ世界感を作り上げているし、曲にしても歌にしても楽器の使い方にしてもジェネシスそのままなんだから好みが分かれることもないのだろうとは思うけど、現代的だから?80年代の音だから?Marillionの方が全然良いわ。そういう意見も珍しいとは思うが、聞いててそう思うんだからしょうがない。ジェネシスに媚び売ってもしょうがないしさ。

 いやはや、ちょいと自分でもね、こりゃ聴けるし聴きやすいしこの世界観なら押し付けられ感もないし、作品的にもたっぷりと練られてるし充実しているし単独で世界が出来上がってるし、面白いなと感じた。ハードロック的なエッセンスがちょいとあるからかな。フィッシュ脱退後のマリリオンって聞いてないからわからないけど、フィッシュ時代からまた聞いていこうかな…って思うくらいには楽しめた。多分今だから聴けるんだと思う。




It Bites - Eat Me In St. Louis

It Bites - Eat Me In St. Louis (1989)
イート・ミー・イン・セントルイス+5(紙ジャケット仕様)

 ロックにしても何にしても今や誰でもちょこっと時間を書けて調べていけば昔ではまるで手に入らなかったであろう情報まで含めて簡単に手に入る。それを整理していけば相当の博学になることだろう。ただし誰でもそれが出来てしまうということもあって、博学=尊敬にはならないトコロは昔と違う点だろう。そこまでするか?って話はあるけど、理論的にはそうなってしまうので、そこでカネ稼ぎって図式にはならない。同じような感じで仕事そのものが廃れていってしまうというものも多くなってるし、実際消えていっている。そんな時代に出来ること、それを逆手に取って、例えば情報過多なので整理された情報を好みに合わせて配信します、とかそういう隙間的なのが受けるのかもしれない。面倒だが(笑)。面倒じゃなきゃ仕事にならないんだからそういうもんだ。

 It Bitesの1989年作三枚目のアルバム「Eat Me In St. Louis」。これが一番ブレイクした作品なんじゃないか?割とシーンで見かけた作品で、ジャケットアートがロジャー・ディーンだったのもあって当時はそんなこと知らない自分でもこのジャケットは目立ってたと思うもん。今にして思うとこのジャケット、ロジャー・ディーンなのに実写真と組み合わせて作られてるってのが珍しい。勝手な推察で言えば多分ロジャー・ディーンはいつもの如く完全にアートとして作ったんだろうけど、レコード会社の意向=アイドル的なバンドとして売りたい、とのことからメンバーをジャケットに入れ込んだんじゃないだろうかと。実際がどうだったとかまるで知りません、はい。それと言うのも、当時も確か聴いたんだけど全然響かなかったんだよね。今でも好みな音ではないし、作風的にも音的にも苦手に近い部類。歌声もギターも曲調も。それでもこの頃からこういうのが好きで今でも好きで、ファンも増えてるんだから自分の感性とは異なる世界があるのだろう。

 どこがプログレバンドとして聴かれるのか、もよく分からないし、そりゃAsiaとかこの頃のYesやジェネシスってこういう音だったからプログレって言われるのか?ってのもある。こんだけ歌が入っててプログレも何もないだろう。演奏やアレンジで言うなら歌謡曲だって十分にプログレだし、似たようなモンじゃないか?とは思う。よくよく聴いてるとベースやらギターやらアレンジやら鍵盤やら凄くポップスとは異なる世界にあるのは分かるし、基本がそっち系ってのも十分分かる音。逆に言えばそれでもこんだけポップな歌が載せられているってことの方が凄いのかも。





Flaming Youth - Ark 2

Flaming Youth - Ark 2 (1969)
Ark 2

 アイディアのぶつけ合いこそがそれぞれにとって面白い事だったり刺激だったり新しい事が生まれたりと創造性が高まる最初の一歩だろうと思うが、プレイヤーが少なくなればその機会は減ってくるし、機会がなければアイディアをぶつける機会も少なくなる、即ち刺激的なものへの創造性が低くなるという悪循環。それでも社会の流れからするとやむを得ない部分はあるのだろう、特に我が国日本ではそういうのは顕著だろうなぁ…、ま、世界各国そうなんだろうけど。だから故に刺激的なサウンドに出会うことが難しくなっているのか?昔のロックはそんなのばっかだけど、ヒマだったからだろうか…、多分正しい(笑)。

 ジェネシスの看板と言えばピーター・ガブリエル、その後はもちろんフィル・コリンズの天下になり、彼の才能は世界中に知られることとなる。その結果、フィル・コリンズってのは一番最初にFlaming Youthってバンドで出てきたんだよ、それはね、1969年のアルバム「Ark 2」ってのがあって、一番下に写ってる髪の毛もふさふさなこの若者がフィル・コリンズなんだよ、ってなお話。だからフレイミング・ユースがプログレバンドの発祥というワケでもなければプログレバンドへの接近というものもない。普通にこの時代のロックバンドのひとつでしかなく、英国B級バンドの中のひとつに埋もれていっても十分におかしくないくらいのバンド。ところがそこにとてつもない才能の持ち主がいたことで脚光を浴びることにもなった、幸運?なバンドって話です。

 でもね、そういうきっかけでフレイミング・ユースを聴く人が多いだろうし、自分もそうだし、その結果、こういう面白い音楽世界に出会えた、ってのは良いんじゃないかな。正しくサイケロック、アート・ロックの世界で、メランコリックさとポップさの同居、ともすれば演劇性すらも高く、さすが英国人だよなぁ、と思うばかりのバンドだ。端的に書けばThe Kinksとタメを張るくらいのコケティッシュさを持ち合わせているとも言える。だから随分とユニークなバンドのアルバムで、惑星をテーマにした12分強のコンセプトドラマも展開しているし、いやはや、フィル・コリンズのおかげでこういう英国ロックバンドの数々が知られるってのは良いことですな。そしてこの英国独特のユーモアセンスを味わうのもこれまた楽しい。そもそもフィル・コリンズって芸人だもんな。


Gentle Giant - Three Peace Suite

Gentle Giant - Three Peace Suite
スリー・ピース・スイート(初期三部作)(CD+Blu-Ray)

 いやはや風邪をこじらせてての執筆、なかなかツライものがある。単純にアタマ回らないってのと音なんか聴いてたらうんざりするし、余計にアタマ痛くなるし、もちろんそんな時は安静にしておきましょう。とは言え、何にするかなぁ〜と考えつつのうたた寝、アチコチ進んでみるのも良いし、なんて考えてたこともあるが、そこまで体がついてかないんでショートにまとめてみちゃった。

 Gentle Giantの初期3部作が蘇った作品「Three Peace Suite」なんてのがリリース。恒例のスティーブ・ウィルソンのミックスなど残されていた音源を使い倒しての再構築作品のようだ。自分的にはそこまで追いかけることもないバンドだけど、いつ聴いても不思議なジェントル・ジャイアントの音はキライじゃないんで良質な音で聴けるならそれに越したことはないんだろう。これだけの繊細な音を妙に体調不良の時に聴いてもツライだけなんでいずれまたきちんと聴くなりしないとな…。

 なことで、ブログに穴を開けない程度のメモ代わりな記事だけど、結構興味そそるアルバムですね。

Bruford - Gradually Going Tornado

Bruford - Gradually Going Tornado (1980)
Gradually Going Tornado (Reis)

 テクニカルな方々の集まったアルバム、昔から幾つも聴いててハマれていないのはやっぱり軽やかに演奏出来てしまう事もあるけど、それ以上にバンドとしてのポリシーとかスタンスとか色合いとかカラーみたいなのが付いていないって事かな。そういうのはもしかしたらレコード会社や事務所や本人達がイメージとして植え付ける販売戦略の一つなのかもしれないが、やっぱりそれによってバンドのトーンが違ったりするしさ。もしかしたら音楽的に解明していくとそういうのは一切関係ないのかもしれないが(笑)。それにしても明るいとか爽やかというのがこの手のテクニカル集団の音楽の特徴、ではある。

 Brufordの1980年三枚目のバンド名義作品「Gradually Going Tornado」。唐突に歌が入ってくるのでこれまでのテクニカル集団の楽器がぶつかり合い的な軽やかなテクニカル集団のアルバムとはちょいと毛色が異なる、と言うか、異なって聞こえてくる。この歌が入ったことでバンドに色合いが付いてしまって、軽やかなバックサウンドに大してこういう軽快な歌だと、正にエイジアに代表される売れ線ロック的なイメージが付いてしまうのだな。それでもそこまで売れることもなく、やっぱりその筋の英雄でしかなかったのは幸いだったかもしれない。歌が入ることでの色合いは特色がやや薄れてしまった、言い換えると、この手のキャッチーな歌が入ったような曲だと、これくらいバックが凝っててヘンなことしてるのは当たり前にある、ってことだ。日本だってJ-Popのバックとか無茶苦茶凝ってるのもあったりするじゃない?それと同じように聞こえるってことですな。

 …ってな事もありつつ、またアラン・ホールズワースは脱退してのジョン・クラーク。レーベルからの売れることへの要求も含めてバンドとしての結束力とかパワーはやや欠けてきたのだろう。この後ブラッフォードはクリムゾンの再結成へと動いていくのだから。この時代、皆妙な方向に進んで行ったけど、テクニックある人達が音楽できちんと生計を立てていきたいってのは当たり前に思うことで、そのためには売れるモノ作ってやってくれよ、ってな回答だったんだろう。音楽をピュアに楽しむ層よりも消耗品として聴く層の方が圧倒的に多いから、その世界からちょいとカネを持ってくるか、なんて発想だったのかもね。

 しかしまぁ、ジェフ・バーリンのベースプレイの方はホント、素晴らしく楽しめるしブラッフォードのドラムも然り、ギターだって負けていないし、そういうアンサンブルを楽しむという面では実に楽しめる曲があるのも嬉しいね。プレイヤー達が楽しむアルバム、かな。



Allan Holdsworth - Road Games

Allan Holdsworth - Road Games (1983)
ロード・ゲームス

 ロックとフュージョンの世界を股にかけているプレイヤーってのは昔から割といるんだけど、概ね自分の好み的にはそこには届かないでいることが多い。まぁ、要するにフュージョンやらジャズやらが出来る方々ってのはやっぱり上手いしロックなんて出来ちゃうワケだし、とは思うけど、その器用さの反面、曲としての面白さには大抵欠けていたりすることが多いのがあるか。もちろん歌モノじゃないからその面白さの質がしが雨から比較するもんじゃないし、口づさめるような、ってのとはちょいと違うからアレだけどね。

 Allan Holdsworthの1983年リリースのワーナーからのメジャー第一弾アルバム「Road Games」。昔の仲間、Tempestのポール・ウィリアムシやジャック・ブルース、ドラムはチャド・ワッカーマン!なんてのが集まってのホールズワース快心の一枚。ゲスト陣営による歌が入っていることでそれなりの聴きやすさはあるけれど、それでもアラン・ホールズワースの変態的ギターフレーズは冒頭から炸裂してるし、そもそも鍵盤じゃないの、これ?ってなトコロから始まるあたりは面白い。んで、音色もそのままホールズワース独特のあのトーンが炸裂してくれるというもの。リズムやらなんやら色々とヘンなんだろうなぁ、これ。こういうのってやっぱり考えて作るんだろうけど、自分なんかの素人考えだと拍の取り方ってどうしてるんだろ?なんて思っちゃう。数えているのかな?まさかね…、なんて。

 しかしこの手の音楽ってどうしてこう爽やかになっちゃうんだろ?大抵のこの手の作品は影がない。もちろんそんな作風を狙っているってのを聞いたこともないからだけど、綺麗に聴いちゃうし聞かせているからだが、純粋に楽器から出てくる音を楽しませる、楽しむというものだからその意味ではより強い個性以外にはどれもこれも同じ音楽のように聴こえてしまうところがある。もちろん全然異なるんだろうけど、例えばU.Kとソウツの後期とこのアルバムなんてのはアラン・ホールズワースがいるからどれも同じような音に聴こえてしまう…トーンが同じと言うべきかな。

 昔自分がベックをあまり得意としなかったのはそういうのもあったかも。だからこの手の抜きん出たプレイヤーの作品って馴染むのに時間かかるんだよね。んでも聴いてる時はキタキタ〜〜みたいにギターを楽しんで聴いてるんだけどね。



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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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