Brinsley Schwarz - Silver Pistol

Brinsley Schwarz - Silver Pistol (1972)
シルヴァー・ピストル

 英国のパブって数回程度しか行ったことないけど、70年代の人達はこういうトコロでギグしてたんだなぁ、と思わせるような場所ではなかったなぁ。もっと手狭でワイワイとビール飲んで見知らぬ人とも気楽に話すみたいな場所で、ちょっとした社交会場的な感じだった。ジュークボックスがあって、それこそ70年代のばっかり流してたから面白かった。大抵知ってる自分も偉いなって思ったが(笑)。それでパブロックってのとは全然リンクしなくて、そんなにバンドが入ってやれるくらいの場所あんのか?そんなに広いとこって結構田舎町なんじゃないだろうか?とか色々思ったが…。

 その代表格とも言われているBrinsley Schwarzの1972年リリースの3枚目のアルバム「Silver Pistol」。一番有名な作品なんじゃないだろうか、ってのはアチコチで昔からジャケットを見かけるからだけど、格好良い、と言うか雰囲気あるジャケットだから気にはなるし、どこか牧歌的なムードも良い。んで聴き始めると、いわゆる普通のロック?が流れてくる。自分的にはロックとも思えないんで、ビートルズ的な音楽と言うべきかもしれない。ポップスとロックの間って感じだけど、ギターはきちんと楽曲に構成されてるからロック的、なんだろう。自分的に響かないのはこういうトコロなんだろうなぁと自覚はしつつも一通り聴くんだが、そりゃこの手の好きな人は好きだろうし、名盤の域にあるのは多分そうだろうなと。決して明るくもなく湿ってるというよりも寂しいに近い感じですらある曲が多いのだが、これはニック・ロウの影響か?そういえばここでようやくイアン・ゴムが参加したアルバムらしいのだが、確かにこれまでのカントリータッチの作風からいわゆるこのあとに出てくるニューウェイブ的なギターのカチャカチャ音もあったりしてちょっと新しいサウンドが取り込まれている感はある。

 しかし自分的にはホントにこの手の音に何度も挑戦してるんだけど、今でも苦手なんだなぁと痛感。レイドバック〜パブロック、ってかパブサウンドってのがねぇ…。じゃ、聴かなきゃ良いしわざわざ書くなよ、って言葉も聞こえてくるのだが、とは言え、英国のロックと言われる中でこのブログにあまり上がってこないのを聴こうとするとそういう苦手なのしか残ってきていないというのも事実で(笑)、他にもネタはあるから良いんだが、この辺…、ダメなんだなぁ…。アルバムが悪いんじゃないです。自分のセンスの感性の違いなだけです。だからハマる人はホント、ハマれるだろうし、やっぱりポッポシーンに名を残している人が多いバンドなんだから悪くはないはず。うん。




Al Stewart - Orange

Al Stewart - Orange (1972)
オレンジ

 ロックでも勿論バンドサウンドが好きなので、ソロプレイヤーの作品だとバンドのケミストリー的なのは大して期待していないから聴く時の心持ちもちょいと異なるってのはあるかも。実際どうなのかな、とも思うんだけど昔はそういうイメージもあって、もちろん普通にバンドの音がかっこよかったからソロ名義のプレイヤーやシンガーの方が自分の中では全然弱かった。ロッドとかボウイとかってのはやっぱりツェッペリンやストーンズってのにはロックさでは勝てないだろ、ってのあったし、それはでも今でもそうかな。バンドの化学反応が好きなんだろうね。でも、音楽を聴くという意味ではそうではなくてソロシンガーのワンマンぶりの歌やアレンジってのも良いものは良いし、ってことであまり得意でない方を…。

 Al Stewartの1972年4枚目の作品「Orange」。昔からどこでもジャケット見るし名盤ってのもアチコチで言われているし、それでもどうなのかなぁってず〜っと手を出さなかった人の一人。理由は上記のような話だけどそれに加えてジャケットの本人像が好きじゃなかったという至って普通の理由だったりもする(笑)。案外見てくれが気に入らないと聴かないってのあるからアルバムジャケットは重要だ。これが裏ジャケだとまったく気にならないのだが、表ジャケットでど真ん中で好きくない顔が見えるってのはやっぱ許せん。そんな子供みたいな理由もあるのだが、それで聴くのが遅くなったアルバムだが、しょうがないな、とは言わんけど、聞く機会があって、聴いてたんだけどね、さすがに英国人、こんだけ軽やかにやってても湿ってる。

 ゲスト陣営としてブリンズレー・シュワルツとリック・ウェイクマンの参加が話題な「The News from Spain」ってのもあるのだが、なるほどなぁ…とは思うもののやっぱりちょいと甘すぎる。いや、甘いってのは詰めが甘いの甘いじゃなくて、甘ったるい歌が多いって意味で、この辺のバランスって難しいんだけど、良い曲だな、とは思うものの好みではない、って話です。終盤のリック・ウェイクマンのピアノプレイはかなり迫力あって素晴らしいですが。とは言え、アルバム最初から聴けるカントリータッチ豊富な英国風カントリー作品としてはかなり軽快で聞きやすくてよろしいアルバム。キンクスの「Muswell Hillbillies」に通じる作風で、そのヘン好きなら多分大丈夫でしょう。意外や意外に聴いてみればなるほどな作品、そりゃ名盤と言われるだろうよ。


Southern Comfort - Southern Comfort

Southern Comfort - Southern Comfort (1971)
サザン・コンフォート(紙ジャケット仕様)

 近年では家の中でスピーカーでガンガンとロックを流して、みたいな事がほとんど無くなってきているようで、そりゃ日本の住宅事情からしたらそんなゆとりにある空間を持てる人なんてのは限られているワケで、しかも大半がPCで音楽を聴く人が増えているのだからそれほどガンガンと聴く必要性もないのだろう。そりゃMP3レベルの音で音量上げてもしょうがないだろうし、そう考えればアンプやスピーカーの出番は減っていくってなもんだ。あんだけの隆盛を誇ったオーディオ技術が現代社会では使われることもなく衰退していってしまうのだろうか。勿体無い…。

 元来Matthews Southern Comfortというバンドが母体になるのだが、肝心のMathhews=イアン・マシューズが抜けてしまったから残ったメンバーがSouthern Comfortってバンド名でバンドを続けよう、ってことで続けることになったお話。そのサザン・コンフォートの1971年リリースの二作目のアルバム「Southern Comfort」だ。何ともアルバムジャケットが印象的な作品で、見事にこのアルバムを象徴しているのだが、確かに午後のお茶でもしながらのんびりと聴きましょうってな感じだ。軽くてレイドバック的な音、言い換えればカントリーやウエスト・コースト的な音で実に軽快な作品。ど真ん中のイアン・マシューズがいなくなってもこんだけ出来るよってのはあるけど、やっぱり抜けた穴は大きくて表面上のサウンドでしかないのかもなぁ…と。

 英国ロックにはこういうのたくさんあるから別にありなんで、普通に聴いていたんだけど、何でもありで牧歌的、その意味では大いに有りなバンドだけど突出感がなくて憧れのアメリカ感のみが強調されてしまうのでどうにも、と言ったトコロはあるが、聴いていて心地良いというアルバムなのは作りが見事だからだろう。好みじゃないけど、英国人がこういうのやるとユニークな仕上がりになるのはキンクスなんかでもお馴染みなものなのでその意味では味わえる作品。

Ian Matthews - If You Saw Thro' My Eyes

Ian Matthews - If You Saw Thro' My Eyes (1971)
If You Saw Thro' My Eyes

 70年代初頭の英国ロックではクラプトンに象徴されるようにちょいとレイドバックしたサウンドってのがブームとなった時期があって、そこからサザンカントリー風味の入ったものなんかも出てきてカラフルさが消えて多様化していったとも言えるのだが、自分的にはあまり好きな部類じゃないんだよな。レイドバックしてゆったりっていう程ゆっくりしたのを聴きたいっていう欲求が無かったのが大きな要因ではあるが、幸いにしてさほどその辺を通らずとも他に聴くものがたくさんあったから後回しってのもあったか。コリン・ブランストーンを聴いていて、あぁこういうのも良いのかもな、とふとレイドバックした音楽ってのを思い出して、それなら…ってことであったあった、と。

 Ian Matthewsの1971年のソロ作「If You Saw Thro' My Eyes」。ってもほとんどFairport Conventionのリーダ違いバンドみたいなモンで、サンディ・デニーやリチャード・トンプソンはもちろん参加しているし、キース・ティペットまでゲスト参加しているというアルバムで、ホント、単純にイアン・マシューズがリーダーを取って作ったアルバムというだけのお話なのだが、それがまたVertigoレーベルからの作品だったもんだから後世になってからの人気が高くなってしまったのだな。かく言う自分もそんなトコロから知った一枚なので、まだまだイアン・マシューズがどんな人で云々の前に持ってたアルバム(笑)。昔はつまんねぇな、折角ヴァーティゴなのに、って思ってたけどさ。だから全然判ってなかった自分ってワケ。フォーク系統とかも色々と聴くようになってから再度チャレンジしてってなるほど…みたいに思っていったアルバムかな。そういう意味でヴァーティゴのブランド力は凄い。どこか面白いハズだ、って思わせる魅力があるもん。

 そんなトコロでなくても普通に作品を聴いてみれば分かるんだけど、やっぱり哀愁漂う英国の雰囲気そのままを打ち出したアルバムで、一曲一曲が丁寧に作られてて聴き応えある。ん?と思えばリチャード・トンプソンの特徴的なギターが鳴ってたり、ソロもやっぱりそうだよな、的なものが入っててニヤリ、コーラスでも女性の声?っていう感じでサンディ・デニーが入ってるし、何か昔の彼女にこんなところで出会って元気だよ、みたいに言われてるみたいで嬉しかったね。ロックばりばりな頃には全然理解できなかったけど色々聴いてくとホント素晴らしいアルバム。それでもヴァーティゴらしさ、ってのは全然感じられないけどね。それよりももっとメジャー級のしっかりしたアルバムだもん。いや〜、リチャード・トンプソン、超格好良い。

The Argent - All Together Now

The Argent - All Together Now (1972)
All Together Now

 60年代のミュージシャンとなるともうホントに良い年頃になってるし、訃報そのものも入ってこないくらいになってる人もいるだろうし、いつしか天命を全うしている人も多いんだろうな、などと思う。此処のトコロ割と何人かそういうミュージシャンもいて、そりゃさ、別に個人的に知ってるワケじゃないから、そっか…、くらいにしか思えないんだけど、そういうのをきっかけに聴き直したり来歴漁ったりするからその時点では多少思い入れ入ったりするかな。今回もそんな感じですが…。

 ジム・ロッドフォードっていうベーシストが天に召されてまして、この人、古くはアージェントで活躍してから同じリズム隊のドラマー、ボブ・ヘンリットと共にキンクスに入り、末期まで活躍したという人生。ミュージシャン的に地味ではあるけど最初期から成功したバンドでのベーシスト人生を歩んだ人で、キャラクターも見るからに良さそうな人で、ベース弾いててもガッチリとプレイしてくれる安心の人だったように思う。そのジム・ロッドフォードが在籍していたThe Argentの1972年の3枚目の作品「All Together Now」をチョイス。バンドはもちろんゾンビーズからのロッド・アージェントといぶし銀ラス・バラードがメインで、先の二人がガッチリと支え切っている傑作。何と言ってもロッド・アージェントの迫力の歌声と鍵盤センスが突出している。こんだけ鍵盤出てきてキャッチーでちょいと凝ってて暑苦しいってのもあまりいないし、それでいてメロディもキャッチーでロックしてる。なかなかいないバンドだったように思うが、自分的にはあまり通って来なかったんで、今更ながらこの力量に感嘆している次第。

 昔から名盤扱いでジャケットは見てたんだけどそこまで進まなかったな。プログレって言われ方は曲によって鍵盤がゴージャスに鳴って長尺な曲があったからだろうけど、曲そのものはプログレらしいもんでもなく、ちょいと凝ったロックの実験作だし、そもそも他の曲がキャッチーでヒットを放った作品だってあるし、ファンキーとロックとジャズの入り混じりみたいなもんだし、割とごちゃごちゃなアルバムだけど、何か見事な輝きを放ってる。ベースのジム・ロッドフォードはロッド・アージェントの従兄弟ってことでメンバーも不動の4人で活動していたし、メンツ見ればそりゃ相当の強者だし、アルバム的にも見事だし、聞かない手は無いわな。


Sammy - Sammy

Sammy - Sammy (1972)


 古いロックだとひとつのバンドから人脈関連でアチコチに派生して他のバンドやサウンドに出会えたりすることが多いのだが、近年のバンドをそうやって漁ろうとしてもなかなか先に進めない。秀逸な人材に出会うと数多くのセッションやプロジェクトに参加している事も多くて派生バンドなんかも出てくるんだけど、そこに到達するまで名を成しているというのが多くない。だから新鮮な刺激を手に入れるのはアンテナを別の形で張っておく必要がある。その分昔のはラクだなぁ…。

 Sammyという1972年にアルバム「Sammy」で出てきた英国のバンド。メンツがこれまたいぶし銀でしてね、自分的に著名なトコロから書くとMick Underwood、もちろんあのQuatermassの人ね。んでGinhouseのGeoff Sharkey、これもまたブルースハードロックなカッチョ良いバンドだったんだな。だからここまでだとハードロック要素が入ってくるんだろうって想像が付く。そこにAudienceやStackridgeに進むKieth Gemmelが入るからサックスやフルートっつうのも出てきて、ハードロックからちょっと離れる世界?ってのが楽しみになる。ほかは自分的にはまだ知らない世界の人達なのでよく分からないけど、ここまで知ってる人脈で想像する音世界は何となく楽しみで、今度は時期的なトコロで1972年のMick Underwoodってポール・ロジャーズと一緒にやるとかやんないか、って頃で、その辺も絡むのか?ってな事で調べてみると案の定、そのプロジェクト崩壊後に残党が集まったバンドとも言えるようだ。そりゃ結構なミュージシャンが集まるはずですな。

 ってことで楽しみにアルバムを聴いてみると、初っ端から勢いのあるカッチョ良いハードロックが炸裂、更にサックスもカラムから快活で英国ロックでもここまで快活になるか、ってくらいなモンだ。ところがメンツがメンツなのでハードロック一辺倒のはずもなく、それどころかギターがメインでもなく割とサックスが全面だったりしてあちこちに振れ幅の大きいロックが繰り広げられる。その意味ではかなり可能性のあったバンドの音という印象でアルバム一枚ってのが勿体無い。きちんとスタンス決めてバンド活動していったらHumble Pieあたりまでにはなれたんじゃないだろうか、と思うくらいのレベル感だ。なので、聴いてみてその味わいを楽しんでほしい一枚ですな。

 昔からよく分からないのがアルバム・ジャケットで、英国盤はメンバーショットでその裏ジャケがインディアンみたいなので、米盤は逆になってるのかと思ってたけど、どうなんだろ?そうでもないのかな…。そもそも英国盤ってなかなか見かけなかったんでアメリカ盤の方がイメージあるけど、CDだと逆だな。う〜ん、よく分からん。しかもアマゾンには無さそうだし、マイナーな扱いなんだろう。



Audience - Audience

Audience - Audience (1969)
Audience

 ヒマだからバンドでもやろうぜ、ってな空気が今の時代にはなかなか無いんだろうな。他にもヒマだからやろうぜ、って選択肢が多いからそこでわざわざバンドなんて選択肢も無いだろうし音楽という選択肢ですら少ないだろう。そう考えると今でも出て来るバンドや歌手ってのは希少価値が高いのかもしれない。どんだけ才能が無かろうともその意欲やきっかけとして役に立つなら可愛がって広い目で見ていかないといけないのか?なんて目線もあるのだろうが、当然リスナーはそんなこと考えてないからつまらなきゃアウト、面白いものを探す。だから少ない分母の中から更に寄り優れた音楽を奏でるトコロに少ないリスナーが集まっていくという形になっているということか。

 1969年にデビュー作「Audience」をリリースしてその後72年までに4枚の作品を残したその名もAudienceという英国のバンド、人並み以上にはセンスを持った若者たちが集まって出来上がったバンドなのだろう、メインのハワード・ワースという人物はバンド解散後もドアーズのレイ・マンザレクあたりとも一緒にやったりしていたってんだから人脈も才能も確かだったのだろう。鍵盤やフルートを奏でているキース・ジェンメルって人はAudienceの後にStackridgeで活躍していった人だし、そもそもAudienceってバンドも4枚目の作品「FRIEND'S FRIEND'S FRIEND」ではストーンズとの活動で有名なボビー・キーズなんかをゲストに迎えたアルバムをリリースしたりもしているんだからそれなりのバンドだった、とも言える。デビュー作「Audience」はポリドールからのリリースで、以降はカリスマレーベルからのアルバムってことなんで、多分ポリドール側ではこの頃にあった青田刈りのバンドのひとつでしかなかったという感じだが、バンド側としてはきちんとした音楽活動を成果として残したくてカリスマレーベルに拾わせたというトコロか。音楽性だけ聴いているとポリドールの選択は確かに正しかったのかも、とも思わせるが…。

 その「Audience」という作品。と言うかバンド、なんだが、一言で言えば普通の英国ロック。ただし普通の英国ロックって何?ってのあるし、ジャジーなセンス、サックスだったりフルートだったりと言ったのも活躍しているしブルース・ロックに影響されたギターもきちんと入ってるし、この時期特有のランニングベースラインもしっかり入ってるから歌心のある曲が多い。ただ難しいのが、名曲だ、ってのがあるワケでもなくハードロックだ、とかロックらしい曲だ、ってのも特に見当たらず、かと言ってボードヴィル的な曲やシニカルな作風ってのがあるんでもない、いや、どれもそういう雰囲気、という曲が多く、器用に小粒にまとまっているので可能性は凄く感じるけど、どうなんだろ?っていう微妙な位置づけ。英国ロック好きな人は好きですよ、間違いなく。これもまたキンクスやジェスロ・タルあたり好きなら大丈夫。ただ、ユーモア分からないと厳しいかもなぁ…ってくらい。

 この辺のバンドってのは何がしたいんだ?とか難しい音楽的な事を求めてはいけないのだ。ただただ冒頭のようにヒマだからバンドやってみて集まったメンバーで面白そうなアイディアを詰め込んでみたらこうなった、みたいなイメージを持ってそれぞれの人間の個性やバックグラウンドなセンスが詰め込まれていると思った方が良い。それが化学反応を生み出して楽しめる音になる、と。だから突飛もないのが出てきたり無茶苦茶なのが詰め込まれてきたりするんだろうね。そういうごった煮、って感じのバンドの筆頭でもあるか。




Jackson Heights - The Fifth Avenue Bus

Jackson Heights - The Fifth Avenue Bus (1972)
THE 5TH AVENUE BUS

 いつの時代にもマイナーなバンドやどこかのバンドの誰それの組んだバンドがあって、売れる売れないもあるけど話題になるならないとか、趣味的だったりプロジェクト的だったりと色々な形で作品が残されていたりもする。それらが全てコレクション的にライブラリ的に収集できるレベル感なら良いんだけど、今の時代ではそれはほぼ不可能だろう。昔は、ひたすら探してそういうのを見つけるという楽しみもあったけど、今はもうありすぎるしそもそも情報収集すらままならない。近年のインターネットでの情報は偏りが大きいので集めるのがかなり難しくなってるし、そもそもライブラリの概念が不要になっているんじゃないかと思うくらいだ。だからマイナーなのはどんどん消えていくし、あってもきちんとした情報が特にくくなってる。探し方が下手なのかもしれないが…。

 フィル・コリンズが在籍していたフレイミング・ユースにはもうひとり、ブライアン・チャットンって鍵盤奏者も活躍していて、この人はその後Jackson Heightsってバンドに入ることになる。んで、Jackson Heightsってのは元々The Niceってバンド、これは有名なように、キース・エマーソンが元々在籍していたバンドなんだけど、もちろんそこにもバンドのメンバーってのがいてですね。そのうちの一人のギタリストにリー・ジャクソンってのがいたんですな。で、そのリー・ジャクソンがThe Nice解体後に自分でバンド作ろう、って言って作ったのがJackson Heightsというバンドで、そこにフレイミング・ユース出身のブライアン・チャットンも参加しててアルバムを何枚かリリースしているって話。今回は1972年のセカンド・アルバム「The Fifth Avenue Bus」なんてのを取り上げてみますが、これはですね、今度また面白いことにその面々に加えて、ドラマーが不在となってしまったJackson Heightsを助けましょうか、お手伝いしましょうか、ってことでドラマーとして参加しているのが、元King Crimsonのマイケル・ジャイルズなワケで、言い方をものすごく包括的に言ってしまえば、EL&PとGenesisとCrimsonの派生メンバーが一緒に組んだバンドのアルバム、なんて風に言えちゃうワケです(笑)。

 それでやってる音は、と言えば実に牧歌的なフォーク・ロック的な作品で、決してプログレッシブでもないし、アグレッシブな楽器バトルな世界でもないし、それぞれの出身バンド周辺で話題になったような世界観を味わうような作品ではないです。だから割と無視されたり、話題にすら登らない傾向にあるワケで、まぁ、言うならば聴いても聴かなくても益も害もなくて、普通のサウンドだし、ってことだ。まぁ、それでも何枚もアルバム出してるんだしそれなりだったんだろうとは思う。実に普通なフォーク・ロックと言うかコーラスもあったりするけどさ、マイケル・ジャイルズのドラムも流石にプロって以上でもないし、目立つことはあんまりないなぁ…。



Gizmodrome - Gizmodrome

Gizmodrome - Gizmodrome (2017)
ギズモドローム『ギズモドローム』

 来日公演が発表されてから話題になったので自分もそんな情報の中で知ったプロジェクトがこのGizmodromeというものだ。メンツが面白くて、ポリスのドラマー、スチュワート・コープランド、ギターはエイドリアン・ブリュー、ベースは何とLevel 42のマーク・キング、そこに一時期PFMで活躍していた鍵盤奏者のヴィットリ・コスマという人物が参加していると言う。元々ヴィットリ・コスマとスチュワート・コープランドのユニットから始まっているって話なので、単純にスチュワート・コープランドのソロアルバム的な試みの発展系なんだろうなぁ。出来上がってきた音を眺めていたらそういうメンツが周囲に上がってきて誘ってみて良い感触だったとか、そんなお話なんだろう、と勝手に想像。

 Gizmodromeの「Gizmodrome」。メンツの来歴からして、どう見ても軽くてポップでキャッチー、あ流れるようなサウンドが中心だろうなぁ…、でもマーク・キングが気になる…、くらいだったんで音を聴いてみて妙に納得した。エイドリアン・ブリューの天才的な変幻自在なギタープレイはホント、こういう流動体の中では実に合間を縫ってプレイされていくという器用さ。それでいてクリムゾンなんだもんなぁ…、不思議な人だ。そして期待のマーク・キングのベース、素晴らしい。Level42のあのスラップはほとんどないけど、それでもこんだけの存在感は見事。スチュワート・コープランドのドラムの音があんだけ軽いからか、マーク・キングのベースの音が実にマッチしてて抜けて出て来る質感が素晴らしい。そこにブリューの変態的なファンキーなギタープレイ…、どんだけハイレベルなサウンドなんだ、こりゃ。

 多分誰も聴いたことのない快活で軽快でご機嫌でテクニカルで楽しめてスカッとする素晴らしい音楽が詰め込まれているので、メンツに騙された人も興味本位で聴いた人も、好奇心旺盛な方も多分脱帽するサウンドです。凄いわ、驚くばかり。しかもこれイタリアで録られてるらしいからか余計にその明るさの抜けが見事で何度となく繰り返して流したくなるアルバムに仕上がってる。この分だとライブも相当楽しそうだ。




Jethro Tull - Thick A s A Brick Live In Iceland 2012

Jethro Tull - Thick A s A Brick Live In Iceland 2012
『ジェラルドの汚れなき世界』完全再現ツアー~ライヴ・イン・アイスランド 2012 [DVD]

 英国からしか出てこないだろうなぁっていうくらいには典型的に英国的なバンドってのもいくつかあるが、ほとんどは当然ながらそれほど売れているようなモンではない。名前は知られていたり代表曲があったりはするけど、それは一時期だけの話でその時期が過ぎればまた英国の田舎に戻っての生活が待っているというようなロックスターからはちょいと離れたライフスタイル、そんなバンドが一番居心地良いのだろうか。それだけでの生活となると結構しんどい部分は出て来るんだろうけどね。

 Jethro Tullもそんな英国らしいバンドのひとつだが世界では割と成功したバンドのひとつだろう。何でそれなりに受け入れられたのかってのは今のポップスファンレベルではよく理解できないと思うんだけど、70年代あたりのまだ今ほど多くない市場の中では特異なバンドとして、それは演劇的でひとつの物語を演じているかのような芸術作品をリリースしていったことでミュージカルと同じような評判を得たことが大きいのだろうか。コンセプトアルバムってのが市場で受け入れられていったのはそういう元々の文化に依るところが大きいハズなので、すんありと演劇的なのが受けたといるだろう、ってか、エンターティンメントってのが演劇なんだからシェイクスピア的なのやミュージカル的なのが当たり前だろってな発想も根本にあるのかな。日本ではあまりない文化だからなかなか難しいけどね。そんな特異な部分を持ったジェスロ・タル=イアン・アンダーソンが2012年に「ジェラルドの汚れなき世界」の再現ツアーを行って大好評、その模様を納めたライブ映像「Thick A s A Brick Live In Iceland 2012」をリリースしていた。

 昔からの一本足フルート奏法などは健在なんだけど、歌にしてもアクションにしてもフルートにしてもギターにしても見事にこなしていて、そりゃ勢いはアレだけどこんなに再現できるのか?ってくらいに再現していた。若手の歌手を演劇チックに登場させてサポートボーカルとしてたりもあるけど、この人の世界観で作られたステージはやっぱり素晴らしい。昔どういうライブしてたのかもさほど知らないけど、ココで見れるライブではジェスロ・タルというバンド、世界を見事に体現したユニークなショウだ。音の繊細さも含めて楽曲の精度の高さ、ライブパフォーマンスの素晴らしさ、美しい映像でそれらがきちんと見れるのはありがたいね。これで「ジェラルドの汚れなき世界」ってアルバムがグンと身近に感じられる作品になったのが一番大きな収穫だ。




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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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