The Prodigy - No Tourists

The Prodigy - No Tourists (2018)
NO TOURISTS

 歴史モノ読みたいなぁ…、でも最近はもう紙の本って面倒だなぁって思ってしまってやっぱりデジ本がラクだわ…となると、じゃ、どんな本買う?みたいになる。別に紙の本屋でも同じ悩みにぶち当たるんだけど、何となくパラパラ見ながらこれでいいかな、とか自分なりに納得して買えるじゃない?デジ本でもなんとなくそれらしき事できるんだけどすべてが揃っているというだけあって今度はすべてをそうやって見れるのか、となる。紙の本屋だとそこにある中で、とか出来るけど…。結局どれが良いのか色々調べることになって余計面倒…、そんな手間かかるならさっさと適当なの買って読んどけ、って話だな。そこがさ、まだデジタルな人間になれてないって事で、中途半端にアナログの良さなんかを実感しちゃってるのかな。

 The Prodigyの2018年の作品「No Tourists」。このバンド、自分のロックという歴史の中で何で登場するのかわからないくらい割と対極にあるバンドだったんだけど、どこかの何かで知ってからは大抵チェックしている。どっからどう聴いてもパンクだからだと自分では思ってるけど、今となっては古い攻撃性のあるテクノ、なんだろうと。しかも我流を変えないから古臭さも残っていくというわがまま、それが古くならない、古く聴こえない、っていうところに彼らのセンスの良さと時代への反応がある。一方どの作品も確かにあまり変わらないという気もするから、やっぱり自分ではこの手の音の深みは理解できないのかと。単にアルバム出してるだけで、もちろん作風なんてさほど大きくは変わらないよ、って言うならわかりやすいんだけど。

 そんな適当な感覚だけど聴いてて心地良いんだから面白い。ノイズのビート、そこに歌がラップ的に乗っているけどビートのひとつとして存在しているという感覚、ギターなんかないのに歪んでいるヘヴィな音達、デジタル音そのままでロックらしさはないのに、ここまでロックになってるのはやっぱり彼らの面白さ。だからずっと聴いていられる。その代わり、違いも大して分からない、でもいいんだ、それで。トリップできて興奮するんだから。そんなサウンド。





Gary Farr - Strange Fruit

Gary Farr - Strange Fruit (1970)
STRANGE FRUIT

 70年代のアルバムって40分前後というコンパクトな時間で聴けるんで、ちょっと聴いてみよ、ってのが手軽に出来て良い。それでも以前はアルバム聴くってのはひと仕事だったんで、しっかりと時間を取ってからじゃなきゃ、なんて思ってレコードプレイヤーの前に座って聴いていたものだが…。CD時代になってからついつい40分というサイズが「ながら聴き」するようなものになり、真面目に集中して聴く機会が減っていった。今のDL時代なんてのはもう論外で、そもそもアルバム聴こうという意思がないままに聞けてしまうワケだからダラダラも良いところ(笑)。それでも面白いのはその中でもきちんと琴線に引っ掛かるものが引っ掛かる、って事だ。ただね、今はその琴線ってのを替えなきゃって思ってるのもあるからなぁ…。

 Gary Farrの1970年のセカンドアルバム「Strange Fruit」。話題性としてはもうリチャード・トンプソンの参加とMighty Babyという英国の幻のバンドの参加だろう。ここまで無名のままでいられたシンガーソングライターもそうそう居ないんじゃないだろうか、ってくらいに人気面では恵まれなかったゲイリー・ファー、どこにその要因があったのかは分からんが、作品を聴く限りではきちんと英国人がアメリカ南部に憧れてレイドバックしている感溢れているし、バック陣営はそんな最高のメンツなワケだし、やっぱり売り方なんだろうか。レーベルはCBSだから売ってたハズなんだが…。その意味ではなかなか難しいのがこの世界ってことだ。

 作品の方はフォークありR&Rあり、多少なりともキャッチーなのもありと可もなく不可もなく、のアルバムだけど悪くない。そこに曲ごとに色を添えているのが達人リチャード・トンプソン。明らかにこの人の音色とプレイが突出して作品を色付けている。いつ聴いてもホントに不思議な職人で、一発でどのギターか分かるしさ、全く面白い人だ。それに食われてというんでもないだろうけど、やっぱり楽曲の面白さ、奥深さが足りなかったのだろうな、と思わざるを得ないゲイリー・ファー、この手の音でヒットは無いにしてももうちょっと知られていっても良かったアルバムのひとつ。








Tranquility -Tranquility

Tranquility - Tranquility (1972)
トランクィリティ

 ふと空いた時間なんかがあると頭の中で色々な曲が鳴る。それくらいに知ってる曲しか鳴らないんだから大した数でもないのだろうけど、そのおかげでアルバムを聞き直すとか曲を探すみたいなことをしなくてもある程度満足できちゃう、と言うかどんなんだっけ?なんて思わなくても良くなる。当然本物聴きたいなって思うけど、その本物の音がアタマの中で鳴っているんだからリアルな実感が欲しいだけではある。それこそが聴くという意味なのだが。そうでもない音楽についてはどうだろうか、やっぱり聴いたことあるとか好みの音だな、とかそういうレベルでしかないのかも。それでも色々聴いてるのはまだまだ刺激的な、これからも虜になるようなサウンドを欲しているから、かもしれない。

 Tranqilityという1972年デビューの英国のバンドのファーストアルバム「Tranquility」。紹介文的にはフォークバンド、として書かれる方が多いのだろうけど、いや、それはそうなんだけど、実は結構ギターがカッコよくってさ、ソロを弾きまくってるんだよ。ロック的なギュインギュインしたギターじゃなくってツボを得たサウンドに合ったソロワークが見事にアルバムの彩りを華やかにしている。それに加えてのコーラスワークがこれまた素晴らしい。一筋縄でいかないロックバンド、フォーク的エッセンスが強いからそっちから入るんだけど、聴いていると実は引き出しの多さ深さが多数あることに驚きを感じるだろう。明らかにロックの世界に入るフォーク中心のバンドです。

 英国B級バンドで培ったテクニックや業界のコネなんかを使ったメンバーが揃いも揃ってのバンドなので下積みも長いし、ここでの心機一転を図ったバンドだったんだろうと思う。ある程度のポップさとアコースティック感、そこにギターを入れたロック感が心地良く響くワケだからさ。Fat Matless(ノエル・レディングがいたバンド)、Grapefuits、Cressida、Fuzzy Duckはそれぞれハードロックバンドだし、そこからのメンバー招集なんだからそりゃハードロックになるだろ、って思ったが、こういう音で出てきたワケで…。なかなかの快作。

Traffic - John Barleycorn Must Die

Traffic - John Barleycorn Must Die (1970)
John Barleycorn Must Die

 イヤフォン替えてから聴く音楽が物凄く音の分離が良くってさ、こんな風に音が鳴ってたのか、って気づくようなものも多くて、それだけでもイヤフォンを新たにしていくというのは面白いのかも、って思う。リマスター盤やリミックス盤の面白さもあるけど、そのヘンまで音をいじられているんだったらイヤフォンやスピーカーを替えて聞く音を変えるってので気分を変えるのもありだね。そんな事で結構昔聴いてたのとかも聴き直したり、新しいバンドの最先端の音だとどうなんだろ、とか色々試して聴けてる。一番聴くのは古いのだからそのヘンがどう聞こえるかってのが一番気になってたけど、しっかりとヘヴィな音で鳴ってくれるので嬉しい。もっともっと上位機種のイヤフォンもあるからいつかそういうのでまた新たな音で聴けるのも楽しみか。

 Trafficの1970年リリース4枚目のアルバム「John Barleycorn Must Die」。もっともスティーブ・ウィンウッドがBlind Faithをやる時に一度バンドは崩壊しているんで、単にその後ウィンウッドがソロ・アルバムを作っている時にクリス・ウッドとジム・キャパルディを呼んで録音してたら、それならTrafficで良いんじゃね?ってことで急遽Traffic名義のアルバムになってリリースされた代物。そりゃ要はスティーブ・ウィンウッドだから別に問題ないのだろうが、だから故、トラフィックってバンドはどういう方向性にあるバンドなんだろうか、ってのが実に掴みにくい。Jethro Tull並にその辺りは掴み所が無くって昔から結構よく分かんないバンドのままだ。今でもこうして聴いているけど、どこが良いのかさっぱり分からん、とは言わないけど、実に音楽的な取り組みの方が強いからロック的側面からすると全然わかりにくい。英国音楽として聴くとこれがまた妙に染み入る素晴らしさがあるのは良く分かるんで、そっちの角度で聴くのが正解だろう。

 オルガンやピアノなどの鍵盤中心の音にフルートやサックス、そしてアコギなどが流れてインストモノも多く、また長尺の曲も最初と最後を飾ってて正にひとつの絵巻が綴られているかのようなアルバム構成。じっくり向き合うとこの良さというか面白さというか深みは分かってくるものだろうね。タイトルは英国伝承音楽で語られているフレーズそのもの、面白い逸話としては元々スティーブ・ウィンウッドのソロアルバムプロジェクトとしてガイ・スティーブンスがプロデューサーで参加していたものの、途中で離脱、その時までは仮タイトルとして「Mad Shadows」と付けられていたようだ。ユニークな事にこのタイトルはそのまま次のガイ・スティーブンスのプロデュース作品となったMott The Hoopleのセカンド・アルバムに使われている。何だかなぁ…。






Paradise Lost - The Last Time

Paradise Lost - The Last Time (1995)
The Last Time

 絵画や画家の作風も当然ながら人生を重ねる事によってどんどんと作風が進化していくものだ。有名な話ではピカソの作品なんてのも、初期はホントに絵の上手い印象派の画家だったのが、いつしかああいう抽象画にまで進化してしまって名を成したという人だ。あそこまで極端ではないにしてもそりゃ色々あれば作風は変わっていくものだろう。その進化をも楽しめるのだが、それが副次的にこういうアルバムアートワークなんかでも感じられるのは面白いなと今回ひとりのアーティストを追っていて思った。ホリー・ワーバトンでもこの5-6年の間で変わっていってるんだなぁと。いや、もしかしたら異なる作風のバリエーションを当て込んでいっているだけなのかもしれないけど…。

 Paradise Lostの超名盤と誉れ高い「DRACONIAN TIMES」からシングルカットされた「The Last Time」のジャケットもホリー・ワーバトンらしい、そしてパラダイス・ロストらしいジャケットにも仕上がっていて印象的だったので載せてみた。んで、この4曲入ミニアルバム、ってかシングルCDになるのか、はアルバム「DRACONIAN TIMES」に入っていない曲ばかりがあって、4曲中3曲はアルバム未収録作品。多分今はどこかのボートラとか編集版に入っているだろうから楽曲そのものが珍しいとは思えないけど、この時期の作品ってことで、当然ながらあのドゥーミーな歌声と楽曲ばかりが入っているので、結構刺激的で面白い。何せ長いバンド史上で最高傑作と言われ続けているアルバム「DRACONIAN TIMES」の頃なんだからそりゃそうだろう、って話で、どれもこれも攻撃的且つ自虐的、というのか、内省的なエッジが凄い。メタリカと同じような歌声形式ではあるけど、決して外に吐き散らすような事はなく、しっかりと中に向けている。そもそも全体が大英帝国の尊厳とばかりに雑なトコロが一切無い、完璧な作り込みだし、この時期にこの音、時代を考えてみれば恐ろしく密度の濃い音が出来上がっている。それでいて品性を保っているというのが素晴らしい。

 このシングル盤の狙いは何だったんだろう?4曲立て続けに聴いているとどれもミディアムテンポのパラダイス・ロストらしい曲が並んでいるんだけど、だからこそアルバムに入らなかった曲になったのか、とも思える。「Walkin Away」はSisters of Mercyのカバーってことみたいだけど、この時期ってCDたくさん買わせるためにシングルCDにはアルバム未収録曲を入れてリリースするってのは当たり前だったから出てきた曲なのかもしれないが。それでも決して曲の品質が低いワケじゃなく、それだけ充実していた時期とも言える濃さを保った作品ばかりだ。このバンドってギターソロにもうちょっと注力させると魅力的になるんだけどさ、それが無いのが魅力なんだろうな。




Brinsley Schwarz - Silver Pistol

Brinsley Schwarz - Silver Pistol (1972)
シルヴァー・ピストル

 英国のパブって数回程度しか行ったことないけど、70年代の人達はこういうトコロでギグしてたんだなぁ、と思わせるような場所ではなかったなぁ。もっと手狭でワイワイとビール飲んで見知らぬ人とも気楽に話すみたいな場所で、ちょっとした社交会場的な感じだった。ジュークボックスがあって、それこそ70年代のばっかり流してたから面白かった。大抵知ってる自分も偉いなって思ったが(笑)。それでパブロックってのとは全然リンクしなくて、そんなにバンドが入ってやれるくらいの場所あんのか?そんなに広いとこって結構田舎町なんじゃないだろうか?とか色々思ったが…。

 その代表格とも言われているBrinsley Schwarzの1972年リリースの3枚目のアルバム「Silver Pistol」。一番有名な作品なんじゃないだろうか、ってのはアチコチで昔からジャケットを見かけるからだけど、格好良い、と言うか雰囲気あるジャケットだから気にはなるし、どこか牧歌的なムードも良い。んで聴き始めると、いわゆる普通のロック?が流れてくる。自分的にはロックとも思えないんで、ビートルズ的な音楽と言うべきかもしれない。ポップスとロックの間って感じだけど、ギターはきちんと楽曲に構成されてるからロック的、なんだろう。自分的に響かないのはこういうトコロなんだろうなぁと自覚はしつつも一通り聴くんだが、そりゃこの手の好きな人は好きだろうし、名盤の域にあるのは多分そうだろうなと。決して明るくもなく湿ってるというよりも寂しいに近い感じですらある曲が多いのだが、これはニック・ロウの影響か?そういえばここでようやくイアン・ゴムが参加したアルバムらしいのだが、確かにこれまでのカントリータッチの作風からいわゆるこのあとに出てくるニューウェイブ的なギターのカチャカチャ音もあったりしてちょっと新しいサウンドが取り込まれている感はある。

 しかし自分的にはホントにこの手の音に何度も挑戦してるんだけど、今でも苦手なんだなぁと痛感。レイドバック〜パブロック、ってかパブサウンドってのがねぇ…。じゃ、聴かなきゃ良いしわざわざ書くなよ、って言葉も聞こえてくるのだが、とは言え、英国のロックと言われる中でこのブログにあまり上がってこないのを聴こうとするとそういう苦手なのしか残ってきていないというのも事実で(笑)、他にもネタはあるから良いんだが、この辺…、ダメなんだなぁ…。アルバムが悪いんじゃないです。自分のセンスの感性の違いなだけです。だからハマる人はホント、ハマれるだろうし、やっぱりポッポシーンに名を残している人が多いバンドなんだから悪くはないはず。うん。




Al Stewart - Orange

Al Stewart - Orange (1972)
オレンジ

 ロックでも勿論バンドサウンドが好きなので、ソロプレイヤーの作品だとバンドのケミストリー的なのは大して期待していないから聴く時の心持ちもちょいと異なるってのはあるかも。実際どうなのかな、とも思うんだけど昔はそういうイメージもあって、もちろん普通にバンドの音がかっこよかったからソロ名義のプレイヤーやシンガーの方が自分の中では全然弱かった。ロッドとかボウイとかってのはやっぱりツェッペリンやストーンズってのにはロックさでは勝てないだろ、ってのあったし、それはでも今でもそうかな。バンドの化学反応が好きなんだろうね。でも、音楽を聴くという意味ではそうではなくてソロシンガーのワンマンぶりの歌やアレンジってのも良いものは良いし、ってことであまり得意でない方を…。

 Al Stewartの1972年4枚目の作品「Orange」。昔からどこでもジャケット見るし名盤ってのもアチコチで言われているし、それでもどうなのかなぁってず〜っと手を出さなかった人の一人。理由は上記のような話だけどそれに加えてジャケットの本人像が好きじゃなかったという至って普通の理由だったりもする(笑)。案外見てくれが気に入らないと聴かないってのあるからアルバムジャケットは重要だ。これが裏ジャケだとまったく気にならないのだが、表ジャケットでど真ん中で好きくない顔が見えるってのはやっぱ許せん。そんな子供みたいな理由もあるのだが、それで聴くのが遅くなったアルバムだが、しょうがないな、とは言わんけど、聞く機会があって、聴いてたんだけどね、さすがに英国人、こんだけ軽やかにやってても湿ってる。

 ゲスト陣営としてブリンズレー・シュワルツとリック・ウェイクマンの参加が話題な「The News from Spain」ってのもあるのだが、なるほどなぁ…とは思うもののやっぱりちょいと甘すぎる。いや、甘いってのは詰めが甘いの甘いじゃなくて、甘ったるい歌が多いって意味で、この辺のバランスって難しいんだけど、良い曲だな、とは思うものの好みではない、って話です。終盤のリック・ウェイクマンのピアノプレイはかなり迫力あって素晴らしいですが。とは言え、アルバム最初から聴けるカントリータッチ豊富な英国風カントリー作品としてはかなり軽快で聞きやすくてよろしいアルバム。キンクスの「Muswell Hillbillies」に通じる作風で、そのヘン好きなら多分大丈夫でしょう。意外や意外に聴いてみればなるほどな作品、そりゃ名盤と言われるだろうよ。


Southern Comfort - Southern Comfort

Southern Comfort - Southern Comfort (1971)
サザン・コンフォート(紙ジャケット仕様)

 近年では家の中でスピーカーでガンガンとロックを流して、みたいな事がほとんど無くなってきているようで、そりゃ日本の住宅事情からしたらそんなゆとりにある空間を持てる人なんてのは限られているワケで、しかも大半がPCで音楽を聴く人が増えているのだからそれほどガンガンと聴く必要性もないのだろう。そりゃMP3レベルの音で音量上げてもしょうがないだろうし、そう考えればアンプやスピーカーの出番は減っていくってなもんだ。あんだけの隆盛を誇ったオーディオ技術が現代社会では使われることもなく衰退していってしまうのだろうか。勿体無い…。

 元来Matthews Southern Comfortというバンドが母体になるのだが、肝心のMathhews=イアン・マシューズが抜けてしまったから残ったメンバーがSouthern Comfortってバンド名でバンドを続けよう、ってことで続けることになったお話。そのサザン・コンフォートの1971年リリースの二作目のアルバム「Southern Comfort」だ。何ともアルバムジャケットが印象的な作品で、見事にこのアルバムを象徴しているのだが、確かに午後のお茶でもしながらのんびりと聴きましょうってな感じだ。軽くてレイドバック的な音、言い換えればカントリーやウエスト・コースト的な音で実に軽快な作品。ど真ん中のイアン・マシューズがいなくなってもこんだけ出来るよってのはあるけど、やっぱり抜けた穴は大きくて表面上のサウンドでしかないのかもなぁ…と。

 英国ロックにはこういうのたくさんあるから別にありなんで、普通に聴いていたんだけど、何でもありで牧歌的、その意味では大いに有りなバンドだけど突出感がなくて憧れのアメリカ感のみが強調されてしまうのでどうにも、と言ったトコロはあるが、聴いていて心地良いというアルバムなのは作りが見事だからだろう。好みじゃないけど、英国人がこういうのやるとユニークな仕上がりになるのはキンクスなんかでもお馴染みなものなのでその意味では味わえる作品。

Ian Matthews - If You Saw Thro' My Eyes

Ian Matthews - If You Saw Thro' My Eyes (1971)
If You Saw Thro' My Eyes

 70年代初頭の英国ロックではクラプトンに象徴されるようにちょいとレイドバックしたサウンドってのがブームとなった時期があって、そこからサザンカントリー風味の入ったものなんかも出てきてカラフルさが消えて多様化していったとも言えるのだが、自分的にはあまり好きな部類じゃないんだよな。レイドバックしてゆったりっていう程ゆっくりしたのを聴きたいっていう欲求が無かったのが大きな要因ではあるが、幸いにしてさほどその辺を通らずとも他に聴くものがたくさんあったから後回しってのもあったか。コリン・ブランストーンを聴いていて、あぁこういうのも良いのかもな、とふとレイドバックした音楽ってのを思い出して、それなら…ってことであったあった、と。

 Ian Matthewsの1971年のソロ作「If You Saw Thro' My Eyes」。ってもほとんどFairport Conventionのリーダ違いバンドみたいなモンで、サンディ・デニーやリチャード・トンプソンはもちろん参加しているし、キース・ティペットまでゲスト参加しているというアルバムで、ホント、単純にイアン・マシューズがリーダーを取って作ったアルバムというだけのお話なのだが、それがまたVertigoレーベルからの作品だったもんだから後世になってからの人気が高くなってしまったのだな。かく言う自分もそんなトコロから知った一枚なので、まだまだイアン・マシューズがどんな人で云々の前に持ってたアルバム(笑)。昔はつまんねぇな、折角ヴァーティゴなのに、って思ってたけどさ。だから全然判ってなかった自分ってワケ。フォーク系統とかも色々と聴くようになってから再度チャレンジしてってなるほど…みたいに思っていったアルバムかな。そういう意味でヴァーティゴのブランド力は凄い。どこか面白いハズだ、って思わせる魅力があるもん。

 そんなトコロでなくても普通に作品を聴いてみれば分かるんだけど、やっぱり哀愁漂う英国の雰囲気そのままを打ち出したアルバムで、一曲一曲が丁寧に作られてて聴き応えある。ん?と思えばリチャード・トンプソンの特徴的なギターが鳴ってたり、ソロもやっぱりそうだよな、的なものが入っててニヤリ、コーラスでも女性の声?っていう感じでサンディ・デニーが入ってるし、何か昔の彼女にこんなところで出会って元気だよ、みたいに言われてるみたいで嬉しかったね。ロックばりばりな頃には全然理解できなかったけど色々聴いてくとホント素晴らしいアルバム。それでもヴァーティゴらしさ、ってのは全然感じられないけどね。それよりももっとメジャー級のしっかりしたアルバムだもん。いや〜、リチャード・トンプソン、超格好良い。

The Argent - All Together Now

The Argent - All Together Now (1972)
All Together Now

 60年代のミュージシャンとなるともうホントに良い年頃になってるし、訃報そのものも入ってこないくらいになってる人もいるだろうし、いつしか天命を全うしている人も多いんだろうな、などと思う。此処のトコロ割と何人かそういうミュージシャンもいて、そりゃさ、別に個人的に知ってるワケじゃないから、そっか…、くらいにしか思えないんだけど、そういうのをきっかけに聴き直したり来歴漁ったりするからその時点では多少思い入れ入ったりするかな。今回もそんな感じですが…。

 ジム・ロッドフォードっていうベーシストが天に召されてまして、この人、古くはアージェントで活躍してから同じリズム隊のドラマー、ボブ・ヘンリットと共にキンクスに入り、末期まで活躍したという人生。ミュージシャン的に地味ではあるけど最初期から成功したバンドでのベーシスト人生を歩んだ人で、キャラクターも見るからに良さそうな人で、ベース弾いててもガッチリとプレイしてくれる安心の人だったように思う。そのジム・ロッドフォードが在籍していたThe Argentの1972年の3枚目の作品「All Together Now」をチョイス。バンドはもちろんゾンビーズからのロッド・アージェントといぶし銀ラス・バラードがメインで、先の二人がガッチリと支え切っている傑作。何と言ってもロッド・アージェントの迫力の歌声と鍵盤センスが突出している。こんだけ鍵盤出てきてキャッチーでちょいと凝ってて暑苦しいってのもあまりいないし、それでいてメロディもキャッチーでロックしてる。なかなかいないバンドだったように思うが、自分的にはあまり通って来なかったんで、今更ながらこの力量に感嘆している次第。

 昔から名盤扱いでジャケットは見てたんだけどそこまで進まなかったな。プログレって言われ方は曲によって鍵盤がゴージャスに鳴って長尺な曲があったからだろうけど、曲そのものはプログレらしいもんでもなく、ちょいと凝ったロックの実験作だし、そもそも他の曲がキャッチーでヒットを放った作品だってあるし、ファンキーとロックとジャズの入り混じりみたいなもんだし、割とごちゃごちゃなアルバムだけど、何か見事な輝きを放ってる。ベースのジム・ロッドフォードはロッド・アージェントの従兄弟ってことでメンバーも不動の4人で活動していたし、メンツ見ればそりゃ相当の強者だし、アルバム的にも見事だし、聞かない手は無いわな。


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Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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2006年 01月 【31件】
2005年 12月 【31件】
2005年 11月 【30件】
2005年 10月 【20件】


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