ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

Bauhaus - Mask

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Bauhaus - Mask (1981)
マスク

 インダストリアルとゴシックの繋がりも何となく分かる気はするが、イマイチピンと来ないなと思いつつ、その中間点を取り持っていたとも思えるBauhausを聴いていた。自分のロックキャリア的にこの辺のニューウェイブ系統は名前は知ってるしシーンが盛り上がっていたのも見ていたが音に惹かれなかったので通っていない。完全に後追いや他からの影響で取り組んでみたレベルでしかない。それでももう結構聴いてるかもしれないが。

 Bauhausの1981年のセカンド・アルバム「Mask」はアンダーグラウンド耽美系代表レーベルの4ADから離脱してのリリースらしい。それがどういう影響を及ぼしているかは分からないがファーストに比べればもうちょっとコマーシャルになっている面はあるような気がする。正にインダストリアルと呼ばれるサウンドとゴシックの開発、そこにポップな要素を入れ込んで黒尽くめにして出来上がり。往年のグラムロックスターへのオマージュもありで嫌われる要素なく、そして革新的に陰鬱な世界も一世を風靡したようだ。日本の色物系バンドはこの辺の音やクールさをひたすら真似てやり始めていたのは今じゃもう知られてもいないだろう。

 正直に書けば最初はどこが面白いんだ、これ?と感じる部分が多くてやはり馴染めない世界観だったが、ひたすらにクールで退廃的なムードの作り方、ともすればピーター・マーフィーのボーカルスタイルはピーター・ハミルの世界とかなり近しい部分も感じるので、その意味で聴いているとこれはアリ、だと気づいた。この頃のピーター・ハミルはシーンに影響されて同じような音を作っていたのだろうか?逆に気になってしまったが、そんなフィルターを通してバウハウスを聴いているととてもシュールでスリリングでロックさが感じられて楽しめるようになってくる。本作はアルバムの音色的に80年代初頭のあのチープな質感だが、それでもこのムードを出し切っているからユニーク。





Theatre of Tragedy - Aegis

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Theatre of Tragedy - Aegis (1998)
Aegis

 インダストリアル・ロックなサウンドは芸術センスに敏感な若者を大いに刺激したようで、アチコチのシーンに飛び火している。一見そればどこにも見えないように感じるが、メタルとの融合は顕著な例だ。それも普通にメタルと融合しただけならともかく、更に進化したトコロでゴシックメタルまで発展している。退廃的な雰囲気で言えば両者共通項目だが、一方は無機質デジタルダンサンブル加減、一方は絶望の底まで突き進む美女と野獣の咆哮と表面上は異なるが、そのルーツにインダストリアルサウンドがあるのはなるほど、面白い。

 Theatre of Tragedyの1998年リリース3枚目のアルバム「Aegis」は当初のデスメタルバンド的スタンスから大きく逸脱して、退廃的、耽美的なゴシック・メタル色の強い作品に仕上がっている。冒頭からして男性のウィスパーボイスから歌われ、しばらくそのまま絶望感を味わっていると突如としてリヴ・クリスティーンのエンジェルボイスが舞い降りてくる。この対比を最初にシーンに打ち出したのはTheatre of Tragedyだろう。当初からその使い方は上手く出来ていたから狙いも明確にセンス良く自らの音楽性を広げる事に成功している。リスナー側も普遍的なデスボイスバンドではなく、どうしたって女性ボーカルが舞い降りてきたら許しちゃう雰囲気もあって、この新たなる変化を受け入れていった。

 斬新な取り組みが図られた事でバンドは地位を確立し、またゴシックメタルなるジャンルの布教者として君臨してシーンを引っ張った。今聴いてもこのやるせなさは他のバンドの追随を許さないし、ここまでの儚さ加減をロック、メタルの世界でよくぞ出し切ったものだと感心する。他の音楽ジャンルでもここまで出し切れなかっただろうから、全く革新者、そして本作の素晴らしさは時代を経ても引き継がれていくレベルの名盤。





KMFDM - What Do You Know Deutschland?

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KMFDM - What Do You Know Deutschland? (1986)
What Do You Know Deutschland

 無機質なインダストリアルサウンドはデペッシュ・モードくらいしかまともに手を付けてないし、ラムシュタインのようになればそれは好きだから聴いているが、そのルーツを漁った事はないし、キリング・ジョークは別の角度から聴いてて気に入っているバンドだ。だからインダストリアルサウンドの由来も来歴も今回始めて調べてみたが、なるほどThrobbing Gristleが元祖だったか。ノイズからコラージュ、効果音の合わせ技にダークで無機質なムードを組み合わせたサウンド、なるほど。Throbbing Gristleは以前から気になってて何回か聴いていたが、どうにもあの芸術性の高さが馴染めないままだった記憶がある。

 ドイツのインダストリアルバンドと言えばKMFDMかEinstürzende Neubautenになるだろうが、そもそもこの手の音はドイツが得意な分野だと勝手に思っているので、今回はKMFDMの1986年リリース作「What Do You Know Deutschland?」を。この前にカセットのみのファーストミニアルバムがリリースされているが、実質的な意味では本作がファーストアルバムとしてもカウントされているようだ。いずれもバンド結成して最初期のアグレッシブなアプローチを封じ込めたサウンドで、後のインダストリアルメタル的な方向性は全く聴かれない。単純にパンクエッセンスを持ちながらも無機質なインダストリアルロックを展開し、退廃的なムードと破壊性を秘めたサウンドが詰め込まれている。ドイツならではの硬質感は英国のインダストリアルサウンドとは異なり、正にドイチェランド産。この辺からだとラムシュタインへの系譜もよく見えてくる。

 破壊的なボーカルスタイルと単調なリズムにいちいち降り掛かってくる効果音付きのサウンド。パンクとディスコとコラージュサウンドが融合してロックとして吐き出されている音だから斬新で、だからこそ今でも通じる衝撃性はKMFDMを長寿のカリスマバンドと崇められている要素だ。ユニークなのは、こういうスタンスはいつの時代でも必要な存在で、どの時代でも端っこに必ず大きな存在として君臨している姿。アルバムごとに変化しているが、本質的なスタンスは今も変わらない。





Killing Joke - What's This For...!

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Killing Joke - What's This For...! (1981)
What's This for

 いつの時代も革新的なバンドは必ずシーンのどこかに存在している。目立つか否かはあるが、どこかで必ず目立ってくるから面白い。後の時代になってからようやく知られていくカルト的なバンドもあるから生々しくシーンを見ているだけでも見つけにくいかもしれない。何度もそういうバンドを目にしたが結局残らなかったバンドも多かったし、一方でまるでアンテナには引っ掛かって来なかったのにずっと残ってカリスマになったバンドもある。リアルタイムでそんなバンドに傾倒していける人はやはりセンスのある敏感な人だろう。

 Killing Jokeの1981年セカンド・アルバム「What's This For...!」もそんな一枚。メジャーシーンではまるで騒がれる事もなく、英国から出て来た妙なポストパンクバンドのひとつとしてしか捉えられなかっただろうし、日本でも人気があったワケじゃないと思う。ただ、自分もガキの頃だったからうっすらとしか記憶にないが、レンタルレコード屋に置いてあったから、それなりには人気があったのかもしれない。ただ、あのレンタルレコード屋は相当マニアなレコードが色々と置いてあったから、どこまでその指標が正しいかは分からない。今思えばそうやって貧乏リスナーを捕まえて客にしていたのかな。妙なアルバムジャケットを幾つも見かけたし、今から思うとアレだったか、コレだったかと思い当たるが、どれもこれもニッチな作品だ。

 Killing Jokeの本作は明らかに革新的なサウンドをシーンの解き放った一枚。呪術的なリズムと歪んだギター、パンクなボーカルスタイルが入り込んで、どうしてここまで陰鬱にそして攻撃的に、そして退廃的なサウンドが出せるのかと不思議に思う。アルバム全編がそのインダストリアル性に占められていて新たなロックのあり方を提示しているし、それでいながらもポップ・ミュージックの一端を担っているようなメロディもある。この世界観は今ではシーンのひとつにもなっているのだから恐るべし。オリジネイターの迫力はやはり素晴らしいし、アルバム全編が革新的で傑作。案外自分がこの手のを好きな事に気付かされた部分もある。





This Heat - Live 80-81

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This Heat - Live 80-81
Live 80-81

 ロックは自由だ。何の制約もなくルールもなくどんなスタイルで何を作り上げても許される、どころか評価される事も多い。不思議な事にどんなサウンドを作り上げてもそれなりのリスナーやファンが付くから面白い。当然音楽を奏でているから音楽的な革新性は必要だし、聴かせる腕前もある程度は必要だ。才能も当然ながら一方ではカリスマ性があればアイコンにはなり得る。狙って妙なサウンドに取り組むバンドもあれば本能的にそこにたどり着くバンドもある。一般的なポップ音楽界からすれば異端かもしれないが、一方では計り知れない影響を与えているバンドも多数ある。全くキリがない程にロックの世界は自由だ。

 This Heatの「Live 80-81」なるライブアルバムがリリースされているとは不覚にも知らなかった。カセットだけでリリースされた幻のライブアルバムがあるのは何かで見たことがあるが、こんな発掘ライブ音源がオフィシャルでリリースされていたとは。常に追いかけているバンドでもないから知らなくても当然だが、俄然興味の沸く時期のライブアルバムじゃないかと期待しながら聴いていたところ。そもそもThis Heatはそこまで知られているバンドでもないし、70年代末期に英国から出て来たポストパンクでもありノイズでもあり、カンタベリー系列の血を引く面もありつつの新鋭バンドで、どう形容して良いのか単語が思い付かないレベルのバンド。ただ、後の英国のマイナーなロックシーンには相当インパクトが強かったバンドだろう。

 まず如何にもカセット録音素材からのリリースかは明白に分かるレベルの音のチープさ。クリムゾンのアレと同じような代物だし、プライベート録音テープからの発掘音源だろうなとも想像できる代物。それでも幾つかのライブ音源から抜粋された残された音源からのベストライブソースアルバムとも思えるが、正直、どう聴いて良いか分からなくなる。金縛りに遭いながら聴いている、と言った感じで、とにかくライブの迫力やThis Heatの持つバンドの凄さにただただ惹き付けられて身動き出来なくなる恐るべしサウンド。感性豊かじゃないと響かないだろうからニッチなバンドになるし、ポップミュージックじゃないから飛び付きにくいが、ロック的には凄さと迫力を感じる素晴らしきライブ盤。





Radiohead - The Bends

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Radiohead - The Bends (1995)
The Bends [国内盤 / 解説・歌詞対訳付] (XLCDJP780)

 90年代に英国から出て来たギターバンド、と言うのかオルタナティブなギターバンドの数々も今となってはそれぞれの個性を伸ばしてシーンに食い込んでいったように思える。オアシスやブラー、そしてレイディオヘッドなどはどれもこれも同じ類のバンドとしてしか認識していなかったし、さほどまともに通ってもいない。ロックらしいギターバンドと言うのでもなく、軟弱なギターバンドな印象が強かったし、それは70年代のロックバンドからするとまるで異なる世界感を出してきたからだろう。リアルタイム時には飛び付かなかったし聴かされてもピンと来なかった。

 Radioheadの1995年2枚目のアルバム「The Bends」。U2的な、とのイメージも強かったのは「Creep」の影響だろうが、本作はまだレディヘがそのオルタナギターバンド路線を残していた時期の作品。アルバムを順番に聴いていないので、バンドの進化をきちんと抑えてはいないが、ある種ボウイと同じで常に新鮮な刺激を求めて自らが常に進化している点は分かる。それがリスナーに受け入れられていたかどうかはあるが、それでも信者は多数いるし、独特のネガティブ的印象がウケたのだからこの時期世界は病んでいた。アメリカでも退廃的なものがウケていたし、英国でも然り。その中でアーティスティックな美しき陰鬱さが顕著に出ている曲もあり、冷静にアルバムを聴いてみればかなり多様なサウンドが詰め込まれている事に気づく。かなり素晴らしいアルバムじゃないか?と。

 さすがにこれだけ年月経ってから聴くと良いところや狙っているサウンドやバンドの方向感も分かってくるし、後の活動もチラチラと知っているから変化が見えるし、なるほどこの頃は試行錯誤もしつつ脱却を目指しての音作りだったかとも思う。面白いのは今自分が聴いていると、すんなりとその芸術性の高さに入り込めて、ロック的概念が邪魔しない事だ。実に美しいアルバムに聴こえるのは自分でも意外な印象。