ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

Tyler Bryant & The Shakedown Truth and Lies

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Tyler Bryant & The Shakedown Truth and Lies (2018)
Truth and Lies

 Larkin Poeの軽やかなスタイルのサウンドを楽しんでいると所どころでTyler Bryantの名に出会う。ともすれば本人も彼女たちの部屋に行って一緒にセッションしてたりするのだから、こりゃま、そういう事なのだろうと思ってたら、先日結婚したらしい。なるほど、ナッシュビルガールとテキサスメンであの天才肌二人ならウマも合うだろうと納得。まだ若いからこれからの活動とライフバランスが難しいかもしれないが、どちらも頑張ってもらいたいな。そんなどうでも良い親心を思いつつもそれならば若手ロックミュージシャン期待の星でもあるダンナさんのタイラー・ブライアントを。

 Tyler Bryant & the Shakedownの2018年リリースの三枚目の気合の作品「Truth and Lies」。デヴューは2013年なのでもう結構なキャリアでの3枚目。一言で言えば往年のアメリカに根付いた土着的ロックサウンド。ハードロックと言うほどでもなく、サザンロックでもなく、ブルースとカントリーに根差したホントにロックらしいロック。昔で言うならジョージア・サテライツ的か。ギターとボーカル、メインシンガーは当然タイラー・ブライアントだが、もうひとりのギタリストにグラハム・ウィットフォード=エアロスミスのブラッド・ウィットフォードの息子さんが在籍している。顔見ると親子似てるのですぐ分かるが、そういう話題性もありつつ、しっかりと本物のロックスタイルをそのまま実現しているタイラー・ブライアントはかなり聴き心地が良い。何ら新しい所を感じる部分はないが、それでもエネルギーやパワーを感じる面も多くて楽しめる。

 聴いててアメリカの土着的ロックなのは実感するものの、そしてどこか誰かのようで何かで聴いた事あるような雰囲気曲調でもズバリと思い出せない。つまりそれらをすべてミックスした状況から出てきているから全くアメリカン・ロックスタイルそのまま。ブルースも入ってるから、親しみやすいし、音は歪んでるからハードロック的。ちょっと聴いてしまえば普通に流して昔からそこにあるかのようなサウンドとして馴染んでしまうレベル。凄いな、それ。





Larkin Poe - Venom & Faith

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Larkin Poe - Venom & Faith (2018)
Venom & Faith

 ロックシーンを眺めていて一般のリスナーでしかない自分が各メディアや極稀にライブを通して真の天才を感じる人はそれほど多くはない。身近にいればそりゃ天才を感じる事も多くなるだろうが、どうしたってリスナーは出て来る作品やライブ活動を見てその天才さを実感する必要がある。残念ながら音だけを聴いて天才を感じるのは難しい。映像見たりセッション見たり、ギターを好きで弾いてるをの見たりするとその凄さって分かる事あるが、普通にアルバム聴いてるだけだとそこまでは無い。今回のLarkin Poeもそんな類だ。ましてやミシシッピ州でカントリーチックに近いサウンドだからアメリカじゃもっとウケるだろうが、日本にはこの手のがウケる事はそこまではない。そういうバンドやアーティストもアメリカにはたくさんいる。その一つに入ってしまうだろう。

 Larkin Poeという姉妹二人組のユニット、しかも一人はホントに天才で、もうひとりも音楽的には相当天才だろうと思うが、これがラップスティールギター担当という珍しいコンビ。ジミヘンとデュエイン・オールマンが一緒にやってるってなモンか。歌は歌でこれまたソウルフルな歌唱力だからアデルも入ってる、みたいな印象。しかも天才的なレベッカの方はマンドリン、バイオリン、バンジョーも含めてすべて完璧にプロ的に弾けてしまうというレベル。このセンスの持ち主はホント、凄い。ギター弾いても当然同じくその天才的センスだし、更に美人さんだから非の打ち所がない。そしてロック魂たっぷりのお姉ちゃんに育ってる。先日Tyler Bryantと見事ご成婚されたそうで、似た者同士だからそりゃま惹かれ合いますな。お姉さんのミーガンのラップスティールプレイは普通にスライドプレイだけではなく、いわゆるストリングス系の音色を担っているので、ものすごく幅広い。一言ラップスティールギターと言ってもここまで幅広げて対応できちゃうのは革新的ですらある。そんな少女二人が始めたLarkin Poe、何が面白いって、YouTubeで「Tip o' The Hat」と言うチャンネル作って、往年のロック曲を二人で部屋でプレイしまくってる姿を見るのが一番。どう見ても自分の部屋だろ、それ。そこでiPhoneで録画、歌は生だけどこれがまた無茶苦茶上手いし、コーラスも見事なハモリ具合。この名曲カバー郡の素晴らしさにヤラれたと言っても過言じゃない。更にYouTubeで面白いのはJoe Bonamassaや他のブルース面とのセッションもあって、その天才ぶりを発揮してくれている。だからオリジナルが悪いはずないな、という聴き方。

 2018年にリリースされたアルバム「Venom & Faith」がやはり一番洗練されているか。その前の「Peach」はロック色強くて面白いし、こちらの「Venom & Faith」は更に推し進めた独自性の高さが発揮されている。こういうオリジナル作だけを聴いていると、ガレージバンドかとも思うくらいだが、その実ミシシッピブルース、カントリー的なサウンドが核にあってのロックスタイル。ギターのリフもさらりと幾つも美味しいのを開発しているしリズムにしてもそうだ。更に歌のメロディとギタープレイの絡みも何気にセンス良い。そこでまたスライドプレイが味付け凄くてドライブしまくってる。いやはや、こんなの聴けるとはね。つい先日日本に来ていたらしいが、知らなかった。残念。次来たら見に行きたい。ぜひYouTubeの「Tip o' The Hat」チャンネルを見まくってほしい。









Depeche Mode - Construction Time Again

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Depeche Mode - Construction Time Again (1983)
Construction Time Again

 80年代に出て来た本物のバンド郡といわゆるエイティーズと後に呼ばれる売れ線バンド郡の違いは当時MTVでPVを見ているだけでは判別出来なかった。音を聞いていてもその差は分からなかった。じゃ、その違いは何だったか?もしかしたら何も違わなかったのかもしれない。普通にバンドとしてきちんと仕事をこなしていけたか出来なかったか、商品に成り切れたか否か、そういう話なのだろう。今回ディペッシュ・モードのPVを見ててもDuran DuranやTears for Fearsとの違いは分からない。同じような路線だろ、と思えるし見ててもそういうルックスとファッションだ。それが後には伝説的な、そしてインダストリアルデジタルポップの英雄バンドに君臨して今でも慕われている始末。不思議だ。

 そのDepeche Modeの1983年リリースの3枚目のアルバム「Construction Time Again」。正にエイティーズど真ん中のリリースなので、PVも作られてる。見れば言わんとしている事を理解してもらえるだろう。PVのイメージは重要だ。そこを無視してアルバムを聴くだけならば、こういったサウンドの新鮮さは素直に伝わってくる。ただ、他にもこういう音を出してたバンドはチャートにいたような気もするし、それがディペッシュ・モードだったかどうか定かな記憶ではない。多分、そうだったのだろう。リアルタイムではまるで好まない音だったので記憶から排除されているし、そこまで探求してなかったから。今になって聴いてみれば時代はあるものの、革新的な取り組みをしているのは分かる。それが面白いか、というレベルにはまだ到達できていないが、これもロックの在り方。

 陰鬱なボーカルにひたすら鍵盤サウンド、ノリという次元を一切排除したリズムとしてのドラム、タム回しすら最小限で、それよりもシモンズ的なパーカッシブな音が鳴らされる方が多い。ベースはゴリゴリ的で自己主張は強いがフレーズ自体はそこまでのものではない。ロックという世界よりも知性あるバンドに聞こえる。本作のサウンドスタイルはインダストリアルを混ぜ合わせているから単調にすら聞こえるが、出そうとしているパッションは相当に高く熱いものだろう。そこに惹かれるとパンクと同じ香りが理解できる。聴いてるとついついのめり込んでいっちゃうのが不思議。そうしていつしかディペッシュ・モードを何枚も聴いている…。





Japan - Oil On Canvas

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Japan - Oil On Canvas (1983)
オイル・オン・キャンヴァス

 70年代のミュージシャン達が80年代を超え、90年代になると当然伝説のミュージシャンの一員になるムードもある中、そういうメンバーも実は90年代に活躍する事になる連中とさほど年齢が変わらない場合もあったりする。差があっても10歳程度なので、特にジジイでもないのが現状。だから同じ名前をクレジットで見かけても同姓同名か、程度に思ってしまう。割と多いので、それが当人かどうか、は今ならネットで調べりゃ分かるが、そうじゃない時代の頃は情報無い限り分からない。そりゃそうだ…、輸入盤でライナー無いし、CD時代でもそんなの書いてないの多かったし。だからPorcupine Treeのリチャード・バルビエリって…、どこかで聞き覚えあるな…、くらい。あのJapanの鍵盤奏者その人と知った時は結構驚いた。70年代後半のバンドの鍵盤奏者が90年代後半のPorcupine Treeの鍵盤奏者?って。

 Japanの1982年ワールドツアーの模様を記録したライブアルバム「Oil On Canvas」。一部スタジオ録音があったり観客の歓声はほぼ聞こえない状態なので、相当に色々と作品として作り込んでいるアルバムながらも、ロンドンのハマースミスでのライブ音源から収録されている。有名な話としては土屋昌巳がギタリストでヘルプで参加したツアーとして知られているように、本アルバムで聴けるギターは土屋昌巳氏のもの。残念ながらそこまで全面にギターを出してくるバンドでもないので、ギターを聴くぞ、と言って聴けるほどでもないくらいにミックスが小さめ。それでもしっかりサウンドにマッチしたギターどころかかなりセンスの良いギターを聴かせてくれるのは流石。凄い人がいるモンだなと幼心に思っていた記憶がある。それで当時も聴いたけど、音が聞こえなくてよく分からなかったと。

 それ言ったらJapanの音楽性やライブの必要性そのものもよく分からないので、自分的には何も言えることも無い。ひたすらクールに機械的に淡々と紡ぎ出されるサウンド、自分的には何ら魂揺すぶられることのない音楽、生で聞いたら違うのだろうが、どうにも響かない。それでも嫌いじゃないのは分かる。ベースは面白いし。雰囲気作りのプロなのかな、Depeche Mode的な部分は好きで分かるが、その手前なのでJapanは難しい。当時の女子高生達はこれで耳が養われたのだろうか…、到底普通の女子が好む音楽ではないと思うが…。そういえばアルバムジャケット、昔は緑色の枠に囲まれていたが、今は絵のアップになってるのか。随分と印象が異なるものだ。





Porcupine Tree - Stupid Dream

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Porcupine Tree - Stupid Dream (1999)
Stupid Dream

 プログレッシブ・ロックとヘヴィメタル…、両者を融合させながらもどちらに軸足があるかによってリスナーの捉え方も異なる。演奏する側の意識や魅せ方もあるだろうから、そこは売り手の操作に乗せられているリスナーという側面もあるだろう。面白いもので聴く側の意識の持ち方で失望したり狂喜したりするのだから、偏見なしに聴かないといけない。なかなか難しいが…、だからラジオやネットでランダムに聴いている時に出て来る作品の方が刺激的だし、素直に音楽を聴ける。ネットなら何これ?って自分が感動した後に調べられるから良いし。本来音楽にはそうやって出会いたいものだ。

 Porcupine Treeの1999年リリース5枚目のアルバム「Stupid Dream」はアートワークが幾つかあって、なかなか良く分からない。オリジナルはCD製造工場のヤツだろうが、DVD-Audio盤リリース時には片手でCD持ってるヤツになって、今アマゾンで見られるデラックス盤は両手でCD持ってるヤツになってる。それでオリジナルのジャケットが一番手に入らなそうだ。そこに拘った集め方している人はこの時代にはあまり居ないだろうから、さほど問題でも無いか。昔だったらもう大変だ。どこ盤の何がオリジナルで云々…、自分が離れたからそう思うのかな。今でも拘るヤツには拘ってほしいコレクター趣味。

 そこはともかく、素晴らしきメンツを揃えての大英帝国のプログレッシブ・ロック復権、明らかにピンク・フロイドでキング・クリムゾンのサウンドを包み込んだバンド、アルバムで、ネオプログレの中でも突出しての英国の誇りが素晴らしい。雰囲気やギターの音色、凝りすぎないサウンドの構築に雰囲気たっぷりなミドルテンポな作風、それでいてオリジナリティのあるスタイル。90年代にこういうのに気づいていたらロックの可能性を存分に信じられた気がする。





Anathema - Natural Disaster

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Anathema - Natural Disaster (2003)
A Natural Disaster ((Remastered))

 アルバムをリリースする度に音楽の方向性が変わっていく手法は何も今に始まった事でもない。デヴィッド・ボウイを筆頭に進化させることで市場価値を保ってきたアルバムは多数ある。それがメタルというカテゴリの世界は微小な変化でもリスナーが入れ替わってしまうので、なかなか難しい世界ではあろう。そこをさほど気にすることなく次々に前に進んでいくバンドは自身の才能を信じて敏感に音楽を作り続けていくだろう。たとえそれがメタルであってもなくても。ゴシックやデスメタル系のバンドでは本質的にものすごく繊細で耽美的な世界観があるし、その表現方法として考えると決してメタルだけでもない。メタルでしか表現できない人間の鬱憤はメタルに拘るだろうが、逆にメタルでも発揮出来たが、他の手法でも発揮できる感情はそっちに引っ張られる気持ちも分かる。

 英国のAnathemaも今やベテランの領域にあるバンドだ。2003年にリリースされた「Natural Disaster」では既にメタル領域からは離脱しており、明らかにハードな要素を含むプログレッシブ・ロックバンドの領域にある。しかし、最初期から根付いて発散されている耽美的で繊細な世界や鬱憤を晴らすような情熱的な展開は同様に持ち合わせているから表現方法を変えただけのサウンドと捉えられる。リスナーが人間感情的な本質的な部分で捉えられていれば、表面の音楽に関係なくリスナーが付いてくるだろうし、音楽面だけで取り付いたリスナーは残念ながらこのあたりではもうおさらばだろう。バンドが音楽を売っているなら当然の選択。ところがロックやアーティストやバンドという世界はある種世界を提供しているから、本質面で捉えられていれば相変わらず幸福を提供できる。どうにもそういう問いかけをしているバンドのひとつのような気もする。考えすぎか。

 とは言っても全くアンビエント化しているだけでもなく、ハードな部分では当然歪んだ音によるリフレインや叫び声も出てくるし、表現力は豊かに、それも楽曲のレベルの高さと世界観の美しさが優先されてる。この時代にあちこちから出て来たネオプログレのエッセンスがたっぷりと入っているので、その世界との架け橋にもなっているか。アナシマって一度聴いてハマると心地良い世界だから、その世界への進み方という感覚でアルバム聴いてるとどれも納得しちゃう。正直、デスメタルだろうとプログレゴシックだろうとアンビエントだろうとどれもアナシマらしい世界を聴かせてくれるもん。だから本質で捉えると面白くなる。