Soft Machine - Third

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 どこか冷淡で複雑なサウンドというものを適当に流して聴くということはなかなかできなくて、大体そういう音楽ってのは流して聴くには非常に不快なサウンドとして聞こえるだろうし、だからその手の音楽ってのは割とじっくりと聴くという時間が必要になる。ここのところの自分の時間の無さを考えるとどうしてもその手のサウンドから遠ざかってしまうんだよね。iPodで聴くのも不自然な音だし、やっぱり家でじっくりと聴くことになるので余計に、だ。頭の中ではそういうのを聴きたいなぁと思っていて、チャンスを伺っているのだが…。

3(紙ジャケット仕様) グライズ

 ソフト・マシーン1970年リリースの「Third」。ソフトマシーンはどれも好きなアルバムばかりで聴けば聴くほどにハマリ込んでいくバンドなのでどれを聴くかなぁと思ったんだけど、なんとなくゆっくりとハマり込みたかったので「Third」。アルバムはアナログ時代にはメンバー4人が片面づつ曲を受け持つってことで2枚組全4曲入り、という構想。凄いよな、なんで一人一曲でアルバム片面を埋めるんだ?完全にジャズロックに傾倒していった時代だから故の発想なんだろうけど、その分当時はC面に収録された3曲目の「Moon In June」のロバート・ワイアットの楽曲の美しさにほっとしたものだ。ちなみにこの時にメンバー編成はマイク・ラトリッジ、ヒュー・ホッパー、ロバート・ワイアットの三人にエルトン・ディーン他が加わった面子で、その他というのもバイオリン、フルート、サックス、トロンボーン、クラリネットという楽器なんだからそりゃヘンだわな(笑)。

 そうだなぁ、普通に聴けばジャズを聴いているような感覚なんだけど、やっぱりそこは何故かロックだったりする。一生懸命ジャズをやってるんだけど、何でだろうね。オープニングの静かな始まりからメインテーマが出てきていわゆるジャズと同じような感じでテーマから派生する即興音楽がメンバーの力量を示してくれるし、緊張感もたっぷりと醸し出しながらバランスよくぶつかりあって展開されていくというスタイルの曲ばかりで、いわゆるプログレの世界ではないね。中でも圧倒的に曲を引っ張っているのはヒュー・ホッパーのベース。ワイアットのドラミングも格段にスケールアップしているのはもちろんだけど、ヒュー・ホッパーのベースってこんなに自己主張してていいのか?ってなくらいに存在感たっぷりで面白い。

 そしてワイアットの「Moon In June」で初めて歌が聞こえてくるんだよね、それが凄く優しくて、それこそが後のマッチングモールへと繋がるんだと思うんだけど、それでも楽曲的には正にカンタベリー的サウンドの象徴でもある感じ。浮游感のあるポップなメロディに複雑なバックの演奏とアレンジが絡み付くもので、最初の歌パートが終わってからはそのメロディの流れを汲んだ即興演奏が繰り広げられるんだから面白い。この路線でバンド一個できるもん。歌メロも即興音楽のひとつの楽器として認識してメインパートを受け持つ、みたいなで不思議なんだな。だから同じ歌メロが出てくることが非常に少ない。そんな曲よく作れたなぁ、というか歌えたなぁ、と思ってしまうんだけどその辺の感覚がおかしい人達なんだろうね、このバンドは。

 ソフトマシーンってもちろん根強い人気があるからなんだろうけど、もの凄い数のライブアルバムが続々とリリースされていて、ほとんど追いつけていない。時期的に区切って聴けば良いんだろうけどなかなか全部制覇できないんだよ。この「Third」の頃の面子では「グライズ」「バックワーズ」「Noisette」「Live at the Proms 1970」あたりかな。詳細データ不明だけど。しかしYouTube見て驚いた…、こんな映像あるんだ…。

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フレ
Posted byフレ

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千里  

このアルバム聞いたのですが、どうやら不得意分野のようでした。ジャズっぽさがどうも合わないみたいで。
名盤の誉れ高い1枚のよさがわからないなんて残念極まりないのですが。。。。トホホ。

2008/06/04 (Wed) 22:31 | EDIT | REPLY |   
papini  

「6月の雨」まさに名曲。
これね、やっぱアナログなんだよなぁ。
聴くとしたらね。
1曲終わったら、ひっくり返す。
それがいいのよ、この音盤(笑
ソフツの中でも、別格の位置にある盤だと思うのね、これ。
んで、ソフツって言ったら、多分、これなんだと思うんだな、うん。

それでも「6」以降がいいのは
ちょっと譲れないんだけど(笑

2008/06/05 (Thu) 00:17 | EDIT | REPLY |   
いたち野郎  

こんな映像初めて見ましたよ。ホントyoutubeは恐ろしいですね(笑)

アルバム自体も即興の部分がほとんどということで、この映像は更に凄い迫力ですね~。Moon in Juneはすごくいい曲です…。この三人でのライヴ、体験してみたかったです。

2008/06/05 (Thu) 01:10 | EDIT | REPLY |   
フレ  
さんくす!

>千里さん
多分3曲目だけを聴くようにすれば大丈夫。「Moon In June」の美しさのために皆聴いているようなもんなので(笑)。

>papini嬢
ソフツの中で最も変革期の一枚。ポップスからジャズ、アヴァンギャルドと変革していく中の作品だしね。まぁ、意向はもろにジャズなワケでそっからミニマム、フュージョンという世界、「6」以降よりも「6」が好き(笑)。あとは結構「4」「5」あたりかなぁ。

>いたち野郎さん
ね、この映像驚いたもん。マジマジと二回も見てしまった(笑)。凄いモノ転がってるわぁ…。

2008/06/07 (Sat) 12:23 | EDIT | REPLY |   
jamken  

 こんばんは。ソフトマシーンは私はもう付き合ってかれこれ20年ぐらいですが、いまだにその全貌をつかめていません。アルバムは4枚(3rd、5th、SIX、SEVEN)ほどもっていますが、どの時代も個性的であり高い完成度だと思います。
 ジャンルはJAZZROCKに属するかもしれませんが、もっと高い、もっと個性的な音楽だと思います。「飽きない」
 
 

2010/04/23 (Fri) 22:39 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>jamkenさん

ソフツは面白いです、ホントに。最初から最後までどれを聴いても楽しめるのでJazz Rockとかいう以前にオススメです。結局はロックなので、その辺が何でロックなんだろ?っていうのもあって楽しい。いや、音としても非常~に深くて大変ですね。

2010/04/25 (Sun) 22:53 | EDIT | REPLY |   

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