John Renbourn - The Nine Maidens

2 Comments
 一般的にイージーリスニングとしてしか位置付けられない音楽というものの中にはとんでもない人達の演奏なんてのもあったりする。昔驚いたのはあのソフトマシーンのカールジェンキンスとマイク・ラトリッジよるアディエマスというユニットが売れてイージーリスニングの最たるモノみたいに取り上げられた時かな。おいおい、ってなもんで、そこらの女の子からアディエマスの音楽ってホッとしていいですよね~って言われた時はどうすっかと思った(笑)。まぁ、そこまでは言わないけど歌があまりなかったりして喫茶店とか適当なところで流れていたりすると単なるBGMになってしまうし、そこには才能というアーティストの顔は見えてこないんだよな。それでもいいんだ、って人もいっぱいいるんだろうけど、やっぱ演奏者ってのは一生懸命なんだからねぇ。

The Nine Maidens Maid in Bedlam

 そんな世界にいつしか自分を移していってしまった人、かもしれない。いや、とことん好きなギターによる組曲を構成して一大絵巻物語を構築したんだ、っていうだけなんだが、そのどちらとしても素晴らしい作品を仕上げたジョン・レンボーン。1985年リリースの傑作と誉れ高い「The Nine Maidens」です。「9人の処女」という非常に宗教的というかそういう世界を知らないとよく理解できないくらいに聖なる物語的なものなんだろうね。

 音世界はと言えば、これまた非常に美しく軽々しく語れない、実に神々しい世界を奏でていて、その大部分はフォークギターだけで構成されていて、色を添えるためにリュートや笛やリズムが加えられているんだけど、とにかく綺麗。CDだと全6曲入りなんだけど最後の「The Nine Maidens」というタイトル曲は13分半にも渡る大作で、実にドラマティックに奏でられていてハマっていく。もっともアルバム最初から聴いていると起承転結もしっかりと織り込まれて正にひとつの物語を奏でているように雰囲気が変わり、そして聴いている人をその世界に誘ってくれるという見事なもの。

 タイトル通りの世界をこの音世界に被せるとしたら、やっぱり喜劇ではなくって悲劇なのかなという音世界なので、歌がなくともどういうことが言いたいのかは伝わるということか。ギターの技術ももちろん正確無比なものなんだけど特にその技術を披露しているというワケじゃないと思う。ただ、こういう音を紡ぎ出すって難しいだろうなぁと。一人でひっそりと静かなトコロで目を閉じて物語の情景を浮かべながら聴きたいサウンドだね。

関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 2

There are no comments yet.
りんたろう  
おお!

こんにちは!
これは完全に未開の地だ!と思いNapsterで検索したら見事「The Nine Maidens」がありました。
今しがたアルバムを聴き終えたところです。元々バロックも好きなのでかなり気に入りました。これはイイですね♪
シトシトと降る雨と相俟って、とてもリラックスしました。

2008/05/31 (Sat) 15:13 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>りんたろうさん

お?少しお役に立てましたか?よかったっす。
室内楽=バロックという部分は多いから音的には問題ないでしょうね。この人の作品はこの手のが多いですから気に入るのではないかと。正にしっとりと聴くには著度良い日だったかも(笑)。

2008/05/31 (Sat) 21:35 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply