King Crimson - Red
さてそんなことで新年一発目から強烈なモンでスタート。こういうの聴くと気合い入っていいねぇ~。ゆっくりしまくった後にはこういう気合いの入る作品で引き締めて新年開始♪


キング・クリムゾン1974年の第一期最終アルバム。最後の最後になってようやく顔を出したメンバー達…、いや、これまでのクリムゾンってメンバーの写真なんてどこにも載ってなかったので、恐らく当時からリアルタイムで聴いていた人にしてみると、もの凄く謎に包まれたバンドだったと思うんだよね。顔はわかんないしさ、雑誌にどれくらい露出してたのかまでは知らないけど、多分そんなに多くなかったと思うし、ツェッペリンなんかは十分に顔も知れ渡っていたと思うけどクリムゾンはホント不明だったと思う。しかもメンバーが毎回替わっているワケだから誰がどんな顔で、なんて知らないでしょ?そういうのをしっかりと識別して追いかけてきたファンって凄いと思う。だからここで最後で表ジャケットに顔を出したメンバーってインパクトあったと思うもん。しかもジョン・ウェットンの不敵な笑みがこれまた良い感じで、ロックな面構えしてるしさ。
変なトコから入ってしまったが、今更語ることあるのかと云わんばかりの名盤…っつうかな、キング・クリムゾンのひとつの最終形でもあるし、集大成でもあるし、変化の途中でもあったかもしれん。最初の「Red」が始まった瞬間から何というのか神秘的というか正にクリムゾンでしかあり得ない旋律が奏でられて、しかもそれが硬質なだけでなくどこか優しいメロディで、インストのくせにどうしてこんなに訴えてくるものがあるロックなんだ?多分全ての楽器が歌いまくっているおかげで歌などに用がないっていうトコロかな。っつうよりも単なるオープニングの意味合いでのインストなのかもしれない。どっちにしても美しく破壊的、且つ繊細な楽曲で幕を開ける作品。続いての「Fallen Angel」はこれまた非常に優しい歌声を聴かせてくれるウェットンの歌い手心満載。オブリで入ってくるフリップの奥の方で鳴っているマイルドなトーンのギターも良い具合に味を出していて、基本的にはアコギの響きなのだけど、やっぱりウェットンのベースと歌の一人舞台に近いかなぁ。もちろんもの凄く高次の意味で、だけど。そして破壊的なクリムゾンを代表する「One More Red Nightmare」はブラッフォードのパーカッシブなドラミングこそ全てだ。しかしこの辺のクリムゾンの曲ってのは普通じゃ考えられないリフと旋律とリズムに対して歌が妙に優しいという絶妙なバランス感覚の上に成り立っているワケで、いやぁ、やっぱり怪物なバンド。後半のアドリブプレイでは中期を思い起こすような混沌としたアンサンブルもしっかりと記録されているんだけど、やっぱり単なる混沌さじゃなくてしっかりと計算されている、というか全員が計算しながらのインプロビゼーションが素晴らしい。この辺はライブで鍛え上げまくったこの時期のクリムゾンならではのインタープレイだね。
そしてアナログだとB面へ。「Providence」ですか…。デヴィッド・クロスのバイオリンから始まり、静寂さの中で緊張感を紡ぎ出し、異常なまでのテンションの高さを見せつけ、もちろんメンバーのインタープレイを期待させる展開がず~っと続く凄い傑作。ジョン・ウェットンの恐るべきベースプレイが圧倒的に目立つんだけど、もちろんフリップの縦横無尽にヘヴィに弾きまくるギターも冷淡さを助長している。一方ブラッフォードのパーカッションドラミングはドラムという楽器として機能しているというよりかは確かにパーカッションとして機能している…、うん、難しいんだけどさ、リズムキープとかリズムを叩くっていうんじゃなくってドラムという楽器で戦いに参戦しているんだよ。そんな感じでやたらテンションが高いまま唐突に終わりを迎える…、多分これライブで演奏したのをそのまま編集して用いられた曲だな。確か。だからこんなに異常なテンションなんだ。そして最後、とんでもなく美しく、そして破壊的なキング・クリムゾンのレクイエムには最高の作品。これほどに美しい旋律をぶち壊しにしていけるのもクリムゾンならではの技。いやぁ、ホント、これ凄く良いんだよ。歌メロはもちろん、ほのぼの感も素晴らしいしさ、メロトロンも綺麗で…、そして中盤からはまた異常なテンション、というか静寂の中から生まれる緊張感をそのままレコーディングしていて、普通のバンドでは絶対に出来ないこのテンション。そしてオープニングの美しい旋律に戻ってくるんだけど、旋律以外は結構破壊的。それでもやっぱり素晴らしいという…。こんなに凄いのを出しておいて解散かい。まぁ、逆にこんなテンションそうそう維持できなかっただろうなぁとも思うけど。
うん、久々に聴いたけどハマった(笑)。とんでもなく凄い。やっぱこの時期のライブセットも聴きたくなってきたなぁ。今は色々とリリースされてるみたいで情報漁りが大変だけど、まずはボックスセットからでも聴き直そう…。あ、「USA」もあるか♪
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