Led Zeppelin - Houses of The Holy

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 1973年レッド・ツェッペリンは大掛かりなアメリカツアーに乗り出ることで世界制覇を完全に成し遂げた年とも言える。その片鱗は映画「永遠の詩 (狂熱のライヴ)」に記録されているのでイメージが付く人も多いだろう。どうやら今年の年末頃にはこの映画のサントラであったマジソン・スクェア・ガーデンのライブの模様がCD二枚組に拡大されてリリースされるとか…、そしたら凄く嬉しいことだなぁ。あの3daysからの編集版になるんだろうけど、それでもやっぱり新たなるライブがリリースされてくるというのはファンにとっては魅力的なものだ。うん。

聖なる館 永遠の詩 (狂熱のライヴ)

 で、まぁ、夏休み特集ってことで王道バンドをひたすら書き連ねてみるかな、と。改めて名盤を聴き直すことも必要だし、っつうかやっぱこの辺聴いてると落ち着くんだもん。んなわけで、何かと御用達なのはやっぱりツェッペリン♪ 今回は5枚目となる「聖なる館」ですな。

 1968年のファーストアルバムリリースから4枚目までアルバムタイトルはなくって数字表記だったのがここにきてようやくタイトルらしいタイトルが付いた作品。もう、バンドメンバー全員の才能が集約された傑作に仕上がっていて、一昔前まではこのアルバムが一番好きな作品だったなぁ。オシャレ感覚もあるし。うん。もうさ、最初の「永遠の詩」のイントロからして痺れた。なんだこのかっこよさは、って。ハードロックとか何とかっていう枠では絶対に捉えられないスケールの大きな曲で音色も独特。未だにこれを超える楽曲ってのは耳にすることがない。これがライブになると更に強力なナンバーになっていて、全く驚かされる一曲だね。ドラムもベースも強烈に自己主張しているし、最高。んですぐに続くのが「Rain Song」。これもメロトロンの響きと変則チューニングギターによる何とも言えない独自の空間を紡ぎ出す音色とアレンジ、そしてコードの奏でられ方にしても妙な和音で構成されているので非常~に面白い。そして不思議な感覚。こんな曲に歌メロを付けるプラントの才能も凄いがやっぱりジョンジーの職人芸が唸らせる。プログレッシヴロックが全盛の中、ツェッペリンは独自の解釈で英国のロックバンドとして全く異なる解釈からプログレッシヴロック勢を相手に瞬時にしてイニシアチブを取ってしまったというのは言い過ぎか…。それくらいに強烈なインパクトのある曲でねぇ。この二曲の流れは実に美しいっ!そこへ「丘の向こうに」が登場するのだ。静と動を組み合わせたこれも美しい曲で、イントロの響きからして素晴らしいし、途中の変則上昇フレーズによる錯覚もお手の物、さすがツェッペリンと唸らせるアレンジが堪らないねぇ。ロックってのはこういう曲の醍醐味が必要よ、ほんと。惜しむことなくフレーズを用意して瞬間瞬間のためだけにそのアイディアが用いられて、最強の曲が出来上がる、正にそんな例。ここからはちょっとお茶目になって(笑)、1972年のライブあたりから登場していた変拍子の妙なリフで構成された「クランジ」半音進行のキメが妙に心地良くって、またボンゾ好みのファンキーなリズムにトライしたツェッペリンの面々によるグルーブファンク。ま、ただ、そういうシンプルな音にはなってないんだが(笑)。

 アナログだとここでA面終了。うん、ジャケットは両面開きでないと意味がないのだが、多分ツェッペリンって再発でもなんでもシングルジャケで出直したってことはないだろう。多分。売れないバンドだとダブルジャケットなんて初回だけであとはシングルジャケに変更っての一杯あるけどツェッペリンは多分そんなのなかったんじゃないかな。世界各国盤になるとわからんが…。ヒプノシスによる幻想的なイメージを放つ絵で、もう有名な英国の北部にあるジャイアンツコーズウェイっていうところにある六角形の石柱が立ち並ぶ場所での撮影写真から創られたモノだな。一変このジャイアンツコーズウェイって行ってみたいなぁ…。自然が創り出すモノなのに六角形って一体どんなん?って思うし、見てみたい。うん、いつか行こう…。

 さてB面、「Dancing Days」でちょっとルーズなロックへ。このアルバム発表前の日本公演でもライブでやっていたし、割と早い段階での新曲だったみたいでこなれている感が強かったのかな、逆にオーバーダブの部分が気になっちゃってね、それでも独特の雰囲気を持った曲だよね。そしてご存じおちゃらけソング「D'Yer Mak'er」。時代背景から調べないとわからないだろうけど、とにかくレゲエってのが発掘されてブームになって、っていうのがあったのかな。そこでツェッペリンも遊び感覚でどういった曲調でもツェッペリン流にできまっせ~っていう趣味の範疇を試した曲だね。だからレゲエチックなんだけど、ボンゾのドラムであの軽いノリは無理(笑)。しっかり重くてハードロック的解釈を持つレゲエになっちゃってて、ペイジのソロはさすがに流暢なものだけど、ってマジメに書いてみる曲じゃないな(笑)。さぁ、そこへ今度は超幻想的な名曲「No Quater」。メロトロンを駆使した、そしてペイジのギターにしてもリディアンモード、だっけ?全開のツェッペリンを象徴するかのような美しき、そして幻想的、夢想的な空間を与えてくれる傑作。ライブでも出来てしまうのが凄いのだが、もうどんな欠点も見出せない完璧な曲。ポップスばかりを聴いている人には苦痛でしかないかもしれないが、この魅力がわからなきゃロック好きとか言えんだろ。全てに於いて素晴らしすぎる作品。そんな曲の後に更に強烈な「Ocean」があったりして、これがもうねぇ、最高にロックな曲とリフでさぁ、気持ち良いんだよ、この爽快感が。最後の最後まで楽しませてくれる傑作中の傑作。う~ん、やっぱ凄い。

 改めて、改めて聴き直してみるともの凄い作品だよ、やっぱこれは。他のどんなロックバンドでもここまでのものは創れない。そんな素晴らしい完成度を誇るアルバムで出会えたことに感謝するよなぁ、と。このアルバムリリース後の映画「永遠の詩 (狂熱のライヴ)」があるがために余計に印象深い曲が多いのも事実だけど、とにかく絶賛。これこそがツェッペリンだ。

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フレ
Posted byフレ

Comments 7

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ぷくちゃん  
これは!

好きなバンドの好きな音盤って何も見ないでもすらすら書けてしまうんだな!これが!

今回読んでいてフレさんもそうだなあ、と実感した次第。

>他のどんなロックバンドでもここまでのものは創れない。

これだけは賛成できませんが。(爆)相当凄い作品というのは同感。

2007/08/12 (Sun) 20:52 | EDIT | REPLY |   
evergreen  
言葉が無いな・・・笑

いや~久しぶりの・・・走るペン、じゃないは、キーボードか・・・フレさん凄いですね・・・笑♪
私もこのジャケ・・・映画で確かプラントがこの場面を使ったじゃないですか?プラントが考えたのかな、ヒプノシスと言うよりか・・・
Ⅳのジャケはページだろうが・・・(爆)
やはりⅣ以後はコンセプトアルバムとしてしっかりとしたものを打ち出しているし、No Quater・・・これがこの音盤のメインかな?と思っています・・・いやもちろん全部かっこいいんだけどね。

2007/08/13 (Mon) 22:20 | EDIT | REPLY |   
フレ  
どもども♪

>ぷくちゃん
うん、見ないし聴かないしでも書ける(笑)。そういうもんだろうね。他のどんなバンドでもこんなの創れません~って断言(笑)。ま、それ言うとキリないが…。

>エヴァ姉さん
ん?うん。一気に書きまくった(笑)。ヒプノシスのジャケからプラントが、ってのが正解じゃない?時期的に見ると。Zepの場合はコンセプトってもあんまりね、意識しなくていいし。「No Quater」メインってのも確かにね。メロトロンの洪水ってのがやりたかったんじゃないだろうか??

2007/08/14 (Tue) 21:11 | EDIT | REPLY |   
オダ  

「永遠の詩 (狂熱のライヴ)」を先に聴いてしまったためか、最初は今ひとつ曲が小粒になってしまっているような初印象をもってしまいました。

1~2曲目の流れは最高だし、変拍子の使い方は洗練されてきてるし、聴き込むほど凄いアルバムだと思うんですよね。

ただ「永遠の詩 (狂熱のライヴ)」におさめられている「No Quater」のライブ演奏の凄さを先に知ってしまうと、曲としてはちょっと物足りなくなってしまう。
ただアルバムとしてのまとまりを考えると、あの曲の長さとアレンジでいいんだと思うんですが。
それでもZepの他のアルバムのような、最初聴いた時のインパクトが弱くなってしまったのは否めないです。
これはかなり勿体ない事をしたかな。

2007/08/15 (Wed) 08:56 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>オダさん

狂熱のライブを見てしまうとこのアルバムってちょっと物足りないですよね、確かに。「No Quater」は正にライブでの幻想空間なのでねぇ、テルミンを入れるポイントとか絶妙で、スタジオ盤聴いていても脳内サウンドで鳴ってますからねぇ(笑)。大丈夫っす。まだまだ何度でも楽しめます、Zepは。

2007/08/17 (Fri) 20:24 | EDIT | REPLY |   
還暦過ぎてもzeppelin  

現在から、ひるがえって歴史をたどるのは、無理だと思いますが、I,II,III,4枚目、と出て、伝わってくる情報は、ラジオや今ほど硬派でない音楽雑誌ぐらいの状態で、これを聴いた身にもなってみてくださいと言ってもね。
今、お読みのフレさんの解説の結論に私なりににたどり着くのに、10年以上かかりました。まさしく、zeppelinのプログレッシブロックアルバムで、傑作です。後続のロック少年がパンクに走らざるのも得なかったのも理解できます。超えるどころか、追いつくこともあきらめるほど、圧倒的なロックバンドであることを、提示したのですから。
今も、warkmanでIから順番に聞いています。幸せな時間です。

2016/12/24 (Sat) 06:36 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>還暦過ぎてもzeppelinさん

30年聴いててもジワジワ来るんだからホント凄いバンド、アルバムですよ。
久々にまた聴きたくなっちゃいましたもんね(笑)。

2016/12/25 (Sun) 09:09 | EDIT | REPLY |   

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