Delivery - Fools Meeting (1970):
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カンタベリーの重鎮となった面々、Phil Miller、Steve Miller、Pip Pyle、Lol Coxhill、Roy Babbintonですら最初にシーンに出てきた時は初々しい。最初からカンタベリーの世界観を分かってやってないから余計にそうだが、この時期既にソフツはジャズな世界、キャラバンは独自の進化を遂げている。それでも1970年はまだ早熟な時代だった。だから故何でもありの音楽が脚光を浴びて世に出て来たし、逆に言えばこの時代でなければ世に出てこれなかったバンドも多い。
1970年にリリースされたDeliveryのアルバム「Fools Meeting」は、上記面々がバックを務めて、歌は後にUncle Dogで歌う英国のジャニス・ジョプリンと呼ばれたキャロル・グライムズなのでカンタベリーシーンとポール・コゾフが繋がってしまって、もう何でも繋がる英国ロックファミリートゥリーの世界が素晴らしい。そのDeliveryも面白く、カンタベリーの独特の雰囲気があそこまで打ち出される以前のジャズチックな淡々とクールな演奏にキャロル・グライムズの熱いブルースな歌が被ってくるので、バックが引き込まれてる。だからDeliveryをカンタベリーのルーツから紹介された時にはかなり異質なバンドとして映る。フィル・ミラーもピプ・パイルもいるのに。両方の世界を知った上でこのDeliveryを聴くと非常に面白い。間奏になるとフィル・ミラーのギターがロック寄りながらも後のカンタベリーサウンドの未熟な姿が聴ける。そこにキャロル・グライムズが独自の感性で歌を入れている。
ロックの世界で融合は当たり前だけど、分離は多くないので、Deliveryのサウンドは珍しいたかもしれない。キャロル・グライムズはブルースからスワンプの世界へと歌声を自慢に歩んだし、バックはそのままカンタベリーサウンドへ邁進。ブルースとカンタベリーが同居した唯一のアルバムがこの「Fools Meeting」かもしれない。それは明暗くっきりと分かる程のアンバランスさだったからこそ面白かったと思う。他にないサウンドだし。そんなユニークな試みは知ってて行われたのか、偶然の産物か、いずれにしてもどちらの個性も消す事なく同居していた軌跡のアルバム「Fools Meeting」。

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