Trail of Tears - Disclosure in Red
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Trail of Tears - Disclosure in Red (1999)

ゴシックメタルと定義してもそれなりに成長過程があり、当初はヨーロッパの荘厳で陰鬱な雰囲気、即ちゴシック風味を音で表すにはひたすらスローで重くゆったりと雰囲気を出す演奏に重点が置かれ、メタルと言ってもギターの音色もヘヴィに鳴り響くチューニングやエフェクトが選ばれて編み出されていた。ボーカルに至ってはメタル特有のハイトーンボーカルではなく、地を這うような悲痛な叫びからデス声と呼ばれる歪んだ声でメロディが奏でられるようになり、続いてその世界観をより一層くっくりさせるために天上の女性ボーカルが当初はコーラスで加えられたものの、いつしかツインボーカルスタイルが定着して美女と野獣を一つのバンドの楽曲の中で演じられるようになり、見事にドラマティックなスタイルの世界が描かれた。すると当然ながら楽曲もドラマティックで起伏に富んだ曲調に進化するが、ヨーロッパではそのモチーフはクラシックとなるためプログレッシブにシンフォニックな音世界が導入されて複雑化していった。更にオペラティックな歌唱が表現力豊かとも知られていたため、持ち込まれて更に高尚な世界が築き上げられた。
1999年にノルウェーから出てきたTrail of Tearsは後のImperiaのボーカルに君臨するヘレナ嬢が最初にシーンに出てきたバンドで、ファーストアルバム「Disclosure in Red」から既に男女の美女と野獣の世界を表現した、野性的なヘヴィメタルを中心としたゴシックの世界を打ち出した革新的なサウンドを持っている。時代的に随分と早い時期のゴシックメタル作品だが、そこまで遡った気分で聴くと、まだゴシック風味を意識していた程でもなく、スローなヘヴィメタルもあるが、普通にヘヴィメタルの世界のリズムを基調として、デス声もいわゆる歪ませた歌声の発展から出来上がったばかりの頃。一方ではオペラティックなヘレナ嬢の歌声がパワフルにソプラノに、そしてドラマティックに演劇的に入ってくるので、ひとつの物語りとドラマを演じているスタンスを持ち込んだ作品。意識的に創り上げていたとすれば、その世界の金字塔アルバムに君臨してもおかしくない突き抜けた感がある。他にも同じ時期に似たようなサウンドが出てきた頃だが、おそらくはその影響よりも独自世界観で創り上げている気がする。
今聴いても斬新なアルバムで、見事なくらいに目まぐるしい展開と美女と野獣感が強い。その意味ではゴシックよりも演劇を聴いている感覚に近いドラマティック加減で、耽美的で陰鬱なゴシックとは異なるので一括りにするのも些か違和感を感じるほど。曲調はドラマによってスピードも歌声も展開も歪み具合も変わり、デス声もそのドラマで展開される役割のひとつと捉えての使われ方。同じ意味でソプラノボーカルも登場するので本質的な部分ではやってる世界が違うかもしれないが、後の世代には十二分なモチーフになったのは間違いない。

ゴシックメタルと定義してもそれなりに成長過程があり、当初はヨーロッパの荘厳で陰鬱な雰囲気、即ちゴシック風味を音で表すにはひたすらスローで重くゆったりと雰囲気を出す演奏に重点が置かれ、メタルと言ってもギターの音色もヘヴィに鳴り響くチューニングやエフェクトが選ばれて編み出されていた。ボーカルに至ってはメタル特有のハイトーンボーカルではなく、地を這うような悲痛な叫びからデス声と呼ばれる歪んだ声でメロディが奏でられるようになり、続いてその世界観をより一層くっくりさせるために天上の女性ボーカルが当初はコーラスで加えられたものの、いつしかツインボーカルスタイルが定着して美女と野獣を一つのバンドの楽曲の中で演じられるようになり、見事にドラマティックなスタイルの世界が描かれた。すると当然ながら楽曲もドラマティックで起伏に富んだ曲調に進化するが、ヨーロッパではそのモチーフはクラシックとなるためプログレッシブにシンフォニックな音世界が導入されて複雑化していった。更にオペラティックな歌唱が表現力豊かとも知られていたため、持ち込まれて更に高尚な世界が築き上げられた。
1999年にノルウェーから出てきたTrail of Tearsは後のImperiaのボーカルに君臨するヘレナ嬢が最初にシーンに出てきたバンドで、ファーストアルバム「Disclosure in Red」から既に男女の美女と野獣の世界を表現した、野性的なヘヴィメタルを中心としたゴシックの世界を打ち出した革新的なサウンドを持っている。時代的に随分と早い時期のゴシックメタル作品だが、そこまで遡った気分で聴くと、まだゴシック風味を意識していた程でもなく、スローなヘヴィメタルもあるが、普通にヘヴィメタルの世界のリズムを基調として、デス声もいわゆる歪ませた歌声の発展から出来上がったばかりの頃。一方ではオペラティックなヘレナ嬢の歌声がパワフルにソプラノに、そしてドラマティックに演劇的に入ってくるので、ひとつの物語りとドラマを演じているスタンスを持ち込んだ作品。意識的に創り上げていたとすれば、その世界の金字塔アルバムに君臨してもおかしくない突き抜けた感がある。他にも同じ時期に似たようなサウンドが出てきた頃だが、おそらくはその影響よりも独自世界観で創り上げている気がする。
今聴いても斬新なアルバムで、見事なくらいに目まぐるしい展開と美女と野獣感が強い。その意味ではゴシックよりも演劇を聴いている感覚に近いドラマティック加減で、耽美的で陰鬱なゴシックとは異なるので一括りにするのも些か違和感を感じるほど。曲調はドラマによってスピードも歌声も展開も歪み具合も変わり、デス声もそのドラマで展開される役割のひとつと捉えての使われ方。同じ意味でソプラノボーカルも登場するので本質的な部分ではやってる世界が違うかもしれないが、後の世代には十二分なモチーフになったのは間違いない。
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