Sandy Denny - North Star Grassman & the Ravens (Deluxe Edition)
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Sandy Denny - North Star Grassman & the Ravens (Deluxe Edition) (1971)

サンディ・デニーとジミー・ペイジが学友だったとは最近まで知らなかった。その縁もあってLed Zeppelin「Led Zeppelin IV」の「限りなき戦い」でのコーラス参加ともなったようで、単にトラッドフォークバンドの筆頭格のフェアポート・コンヴェンションのボーカリストだからと迎えたのではない。そんな二人を輩出したアートスクールには他にも数多くの英国ミュージシャンが在籍していたと聞くので、その頃の学生達は散々自慢できる友人が多数いただろう。ユニークな時代だ。1971年頃のサンディ・デニーはと言えば、フェアポート・コンヴェンションはそれ以前に離れており、トレヴァー・ルーカスとのフォザリンゲイで活動して暗礁に乗り上げた時期、そしてソロ活動へと進もうとしていた狭間でのLed Zeppelinとのセッション。その後素晴らしきメンバーを集めて制作された初のソロアルバム「North Star Grassman & the Ravens」は期待通りの素晴らしき出来映えでその筋では評判も良く、また歴史的にも名盤として君臨している。
1971年リリースの「North Star Grassman & the Ravens」はサンディ・デニーの作品が表の顔だが、リチャード・トンプソンとのデュオ作品とも言える程に全編で貢献協力参加している。その尽力はプロデュースをしている夫のトレヴァー・ルーカスよりも大きいように見えるので、リチャード・トンプソンからも頼もしいセッションとアルバム作りだったと思われる。アルバム冒頭から名曲揃いで、作風はしっとりと聴かせるトラッド作品ばかりだが、リチャード・トンプソンのギターも控えめながらここぞとばかりに出てくる時もあれば、効果的な音色が瞬間的に登場する場合もあり、全くツボを得たプレイぶりが全曲で聴けるアクセント。この上手さが単なるギタリストとは異なる百戦錬磨の天才ぶり。「John The Gun」を聴いているとサンディ・デニーの歌声に惹かれつつも間奏のリチャード・トンプソンのギタープレイの職人ぶりに舌を巻く。サンディ・デニーの歌の凄さは、真っ直ぐに出てくる歌声の迷いのなさ、揺れない声で通り抜けていく可憐さと一方ではしっとりと湿った雰囲気にも聴こえる面を交えて起伏に富んだメロディを聴かせてくれる点。バックの音はギターやピアノもありながらストリングスを配して歌い上げる作品もあり、アコギでシンプルに紡ぎ上げるスタイルも聴かれ、一言でトラッドフォークシンガーと言われても、幅広く深くチャレンジして作り出しているので飽きない作りだ。サンディ・デニーのソロアルバムの中では本作がもっとも充実した原点に立ち戻った作品と感じているし、以降はここまで素朴な作品を出していない。
2011年にリマスタリングされ、更に2CDデラックス・エディションでリリースされているが、本作の美しき楽曲群はそこまでリマスタリングの恩恵を受けていない。しかしボーナス・トラックの充実ぶりが素晴らしく、2005年に再発された際のボーナス・トラックと被る曲もあるが概ね初登場のデモ音源が素晴らしい。また、1971-72年のBBCセッションも収録されているので正に充実した熱い時期の歌声ドバンド演奏が聴ける大満足なリリース。リチャード・トンプソンとの「Walking the Floor Over You」ではサンディ・デニー版のロカビリーでリチャード・トンプソンのギタープレイが鳴り響くビートの利いたスタイルでユニークな一面も聴ける。同時代の音源と言えども、あまりにもアルバムの雰囲気と異なるプレイぶりと歌いぶりはあくまでもボーナス・トラック的位置付けでしかないが、単体で聴いても迫力ありハッとする楽曲。優雅に浸っている時に流れてくると少々驚くほどラフなスタイル。一方のデモテープはサンディ・デニーがギターを弾いて歌っているだけのシンプルな録音だが、それでも十二分に彼女のスタイルが滲み出てくる曲と歌声が素朴で素晴らしい。不幸な事故でこの世を去っているが、あまりにも早すぎた。生きていれば普通に今でももしかしたらこのまま作品をリリースしたりライブもあちらこちらに参加して歌声を聴かせてくれていたと想像すると勿体なさが募る。

サンディ・デニーとジミー・ペイジが学友だったとは最近まで知らなかった。その縁もあってLed Zeppelin「Led Zeppelin IV」の「限りなき戦い」でのコーラス参加ともなったようで、単にトラッドフォークバンドの筆頭格のフェアポート・コンヴェンションのボーカリストだからと迎えたのではない。そんな二人を輩出したアートスクールには他にも数多くの英国ミュージシャンが在籍していたと聞くので、その頃の学生達は散々自慢できる友人が多数いただろう。ユニークな時代だ。1971年頃のサンディ・デニーはと言えば、フェアポート・コンヴェンションはそれ以前に離れており、トレヴァー・ルーカスとのフォザリンゲイで活動して暗礁に乗り上げた時期、そしてソロ活動へと進もうとしていた狭間でのLed Zeppelinとのセッション。その後素晴らしきメンバーを集めて制作された初のソロアルバム「North Star Grassman & the Ravens」は期待通りの素晴らしき出来映えでその筋では評判も良く、また歴史的にも名盤として君臨している。
1971年リリースの「North Star Grassman & the Ravens」はサンディ・デニーの作品が表の顔だが、リチャード・トンプソンとのデュオ作品とも言える程に全編で貢献協力参加している。その尽力はプロデュースをしている夫のトレヴァー・ルーカスよりも大きいように見えるので、リチャード・トンプソンからも頼もしいセッションとアルバム作りだったと思われる。アルバム冒頭から名曲揃いで、作風はしっとりと聴かせるトラッド作品ばかりだが、リチャード・トンプソンのギターも控えめながらここぞとばかりに出てくる時もあれば、効果的な音色が瞬間的に登場する場合もあり、全くツボを得たプレイぶりが全曲で聴けるアクセント。この上手さが単なるギタリストとは異なる百戦錬磨の天才ぶり。「John The Gun」を聴いているとサンディ・デニーの歌声に惹かれつつも間奏のリチャード・トンプソンのギタープレイの職人ぶりに舌を巻く。サンディ・デニーの歌の凄さは、真っ直ぐに出てくる歌声の迷いのなさ、揺れない声で通り抜けていく可憐さと一方ではしっとりと湿った雰囲気にも聴こえる面を交えて起伏に富んだメロディを聴かせてくれる点。バックの音はギターやピアノもありながらストリングスを配して歌い上げる作品もあり、アコギでシンプルに紡ぎ上げるスタイルも聴かれ、一言でトラッドフォークシンガーと言われても、幅広く深くチャレンジして作り出しているので飽きない作りだ。サンディ・デニーのソロアルバムの中では本作がもっとも充実した原点に立ち戻った作品と感じているし、以降はここまで素朴な作品を出していない。
2011年にリマスタリングされ、更に2CDデラックス・エディションでリリースされているが、本作の美しき楽曲群はそこまでリマスタリングの恩恵を受けていない。しかしボーナス・トラックの充実ぶりが素晴らしく、2005年に再発された際のボーナス・トラックと被る曲もあるが概ね初登場のデモ音源が素晴らしい。また、1971-72年のBBCセッションも収録されているので正に充実した熱い時期の歌声ドバンド演奏が聴ける大満足なリリース。リチャード・トンプソンとの「Walking the Floor Over You」ではサンディ・デニー版のロカビリーでリチャード・トンプソンのギタープレイが鳴り響くビートの利いたスタイルでユニークな一面も聴ける。同時代の音源と言えども、あまりにもアルバムの雰囲気と異なるプレイぶりと歌いぶりはあくまでもボーナス・トラック的位置付けでしかないが、単体で聴いても迫力ありハッとする楽曲。優雅に浸っている時に流れてくると少々驚くほどラフなスタイル。一方のデモテープはサンディ・デニーがギターを弾いて歌っているだけのシンプルな録音だが、それでも十二分に彼女のスタイルが滲み出てくる曲と歌声が素朴で素晴らしい。不幸な事故でこの世を去っているが、あまりにも早すぎた。生きていれば普通に今でももしかしたらこのまま作品をリリースしたりライブもあちらこちらに参加して歌声を聴かせてくれていたと想像すると勿体なさが募る。
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