Yardbirds - Roger The Engineer (50th ANNIVERSARY SPECIAL)
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Yardbirds - Roger The Engineer (50th ANNIVERSARY SPECIAL) (1966)

ロックに目覚めてしばらくすると当然のように3大ギタリストに出会う。ロックのギターがカッコ良くて目覚めた部分が大きいから、何かを聴くにもギターから耳に入ってくるようにもなっていたし、だから当然そっちを突き詰める、とまでは言わないが、バンドからギタリストへ興味は移っていき、ベック、ペイジ、クラプトン、そしてジミヘンを聴かなきゃダメだ的になってきてひたすら探しては買って聴いてを繰り返していた。中でもジミー・ペイジにはLed Zeppelinのカッコ良さが圧倒的だった事もあって探究心が芽生えていたので、ヤードバーズに辿り着くのも至極当然。案外レコード屋には色々なジャケットの輸入盤や中古盤が置いてあって、その頃は幻のライブアルバム「Live Yardbirds: Featuring Jimmy Page」も本物かブートレッグか分からないが高額ながらも割と何度か見かけたのでやはり知名度の高いバンドのアルバムは耳にしやすいようだ。ただ、次なる問題はこれだけ色々なジャケットでレコードを見かけると何が何だか分からないし、そもそもオリジナルアルバムか編集盤なのかベスト盤なのか分からないし、何かの雑誌で見たようなアルバムジャケットは逆にあまり見かけられず、それとは異なるジャケットばかりで困った。何度も何度もクレジットや曲名を見ては覚えて、調べてどれだろう、何だろう、と試行錯誤しながらなけなしの小遣いから一枚、また一枚と買い揃えていったものだ。概ね1980年代中頃の話なので今思えば、それは概ねエドゼルの再発盤やカンターフィット盤ばかりで、たまたまそのレコード屋に多種類置いてあったのかもしれないが、おかげで悩んだし迷ったし学んだ。
ヤードバーズのアルバムは不思議なもので、1964年にリリースされたファーストアルバム「Five Live Yardbirds」は知られているがその次の英国でのオリジナルアルバムリリースは1966年の本作「Roger The Engineer」だ。その間の1965年にリリースされた「For Your Love」はタイトル曲を筆頭にヒットシングルを纏め上げて、且つ新曲を入れ込んだアメリカ独自でのファーストアルバムで、だから故、当然時代を跨いで収録されているからギタリストはクラプトンとベックの両名がクレジットされている。更に1965年の11月には早くもアメリカでの2枚目のアルバムとなる「Over Under Sideways Down」がリリースされたが、今度も同じく前半にシングルヒット曲を並べ、後半は先の英国ファーストアルバム「Five Live Yardbirds」から抜粋されているので、ここでもまたクラプトンとベックの両名がアルバムに参加している並びとなる不思議。それでもこのアルバムは自分的にカッコ良い楽曲が揃っているので好きなアルバムだが、それも何だか分からない頃に入手して聴いていた影響下だろうと思われる。その順番を意識してようやく1966年にリリースされた「Roger The Engineer」を聴くと、今度はクラプトン、ベックと続いた時代の最終作品にもなってしまい、本作から後はジミー・ペイジにバトンを委ねる事になるので、ヤードバーズ末期時代との印象も否めない。そう思うとヤードバーズは1964年から2年間だけ黄金期で、ジミー・ペイジに委ねられての1968年までの2年間が実験的なバンドと位置付けられる奇異なバンドだった。古すぎて案外知られていないヤードバーズの実態は整理してみればそんな状況だ。自分もなかなか分からずにボックスセット買ったりジャケ違いのレコードをあれこれ買ったりして、なぜか多数あるバージョン違いに不思議さを覚えながらもハマって聴いていた。カッコ良かったのかと問われると、そこまででもなかったように思う。ただ、ひたすら実験的な側面が強くて、ブルースバンドとしてのヤードバーズをあまり意識する事もなく、妙な曲が多かったとの印象。
1966年リリースの英国での2枚目のオリジナルアルバムとなる「Roger The Engineer」は基本12曲収録で、モノ盤ステレオ盤でミックスや編集が異なっており、長い間同じアルバムジャケットながらも微妙に異なるその2種類には悩まされた。国の違いだけでなくリリースされた時期の違いもあったのか、この時代のアルバムならではの、そしてビートルズやフーやキンクスほどにそこまで解明されていなかったのか、分かりにくかった。今はモノ盤ステレオ盤両方ともが一緒に収められているディスクが当たり前で、更にボーナストラックとしてジミー・ペイジとジェフ・ベックが揃ったシングル「Happening Ten Years Ago」「Psycho Daisies」あたりが大抵収録されている。その他に幾つかのバージョン違いやテイク違いも残されているので、リリースされた年代のCDによってそれらがあれこれと入っていたり入っていなかったり、加えて書けば同じ1966年頃にはバンドのボーカリスト、キース・レルフが自身名義のソロシングルが数枚リリースされていた関係上、ボーナストラックに収録されている場合も多い。このキース・レルフのソロシングル曲がまたヤードバーズとはまるで異なってて、後のプログレバンド、ルネッサンスやアルマゲドンに繋がるような不思議なアレンジの、そしてフォーキーな作風は目を見張る味わいがある。今回久々に聴いていて、一番楽しめたのがこのキース・レルフのシングル曲あたりで、なるほどギタリストにバンドを乗っ取られた元々のバンドのリーダーはこういう指向性を持ってバンドを進めようとしていたのか、と悲運さを感じられる。ヤードバーズはお仕事、ソロシングルから先は突き詰めたい音楽家としての道筋、きっとそういう事だったと思う。
さて、そのヤードバーズの「Roger The Engineer」は冒頭からイキの良いカウントで何かカッコ良いのが始まるかと思えば唐突のベースソロリフがスピーディに鳴り響く意外性。全くヤードバーズらしい曲で始まるからアルバムの掴みは万全、そこに「Over Under Sideway Down」とまたスリリングなギターから始まるノリの良いサウンドと名盤の様相を示しながらバンドのインタープレイも含めて楽しめる風味。続いての「The Nazz are Blue」は何とジェフ・ベックがボーカルを取り、フィードバックギターのノイズまでも出し切りのワンマンショウが繰り広げられるサービスぶり。ところが面白い事に以降の作品ではシンプルなロックに戻りつつもどういうワケかかなり実験的な楽曲も含まれ、ヤードバーズお得意のリフと勢いが聴けるサウンドからは少々遠のく。どこかで息を吹き返すかと思えばこれもまた「Jeff's Boogie」のインスト曲でやはり特筆すべきギタリストだったベックの激しいギタープレイだった。しかし「Turn Into Earth」ではまたサイケデリックな実験曲に戻ってしまい、ようやく終盤の「What Do You Want」でヤードバーズらしい勢いのあるビート曲とヘヴィなギタープレイ、そしてトリッキーなハーモニクスやノイズを武器としたベックのプレイが炸裂して、楽しくなってくるが、最後の最後はまたしても超サイケデリックな作風に戻り、と言うかヤードバーズの場合はサイケデリックもあるが、グレゴリオ教会的ゴスペル風味が強いかもしれない。どうにアルバム的には締まらない、半分ヤードバーズらしいノリ、半分はどうにもな印象すら漂うアルバムに仕上がっているが、当時はそれでもウケだのだろうか。正直、今聴くならベックのプレイの面白さ以外には聴きどころも少なく、曲の単純さも時代そのものを象徴しているので、さすがに価値は薄れてきている点は認めざるを得ないだろう。それでも少年時代に一生懸命探しては聴いたバンドだから想い入れは深い。

ロックに目覚めてしばらくすると当然のように3大ギタリストに出会う。ロックのギターがカッコ良くて目覚めた部分が大きいから、何かを聴くにもギターから耳に入ってくるようにもなっていたし、だから当然そっちを突き詰める、とまでは言わないが、バンドからギタリストへ興味は移っていき、ベック、ペイジ、クラプトン、そしてジミヘンを聴かなきゃダメだ的になってきてひたすら探しては買って聴いてを繰り返していた。中でもジミー・ペイジにはLed Zeppelinのカッコ良さが圧倒的だった事もあって探究心が芽生えていたので、ヤードバーズに辿り着くのも至極当然。案外レコード屋には色々なジャケットの輸入盤や中古盤が置いてあって、その頃は幻のライブアルバム「Live Yardbirds: Featuring Jimmy Page」も本物かブートレッグか分からないが高額ながらも割と何度か見かけたのでやはり知名度の高いバンドのアルバムは耳にしやすいようだ。ただ、次なる問題はこれだけ色々なジャケットでレコードを見かけると何が何だか分からないし、そもそもオリジナルアルバムか編集盤なのかベスト盤なのか分からないし、何かの雑誌で見たようなアルバムジャケットは逆にあまり見かけられず、それとは異なるジャケットばかりで困った。何度も何度もクレジットや曲名を見ては覚えて、調べてどれだろう、何だろう、と試行錯誤しながらなけなしの小遣いから一枚、また一枚と買い揃えていったものだ。概ね1980年代中頃の話なので今思えば、それは概ねエドゼルの再発盤やカンターフィット盤ばかりで、たまたまそのレコード屋に多種類置いてあったのかもしれないが、おかげで悩んだし迷ったし学んだ。
ヤードバーズのアルバムは不思議なもので、1964年にリリースされたファーストアルバム「Five Live Yardbirds」は知られているがその次の英国でのオリジナルアルバムリリースは1966年の本作「Roger The Engineer」だ。その間の1965年にリリースされた「For Your Love」はタイトル曲を筆頭にヒットシングルを纏め上げて、且つ新曲を入れ込んだアメリカ独自でのファーストアルバムで、だから故、当然時代を跨いで収録されているからギタリストはクラプトンとベックの両名がクレジットされている。更に1965年の11月には早くもアメリカでの2枚目のアルバムとなる「Over Under Sideways Down」がリリースされたが、今度も同じく前半にシングルヒット曲を並べ、後半は先の英国ファーストアルバム「Five Live Yardbirds」から抜粋されているので、ここでもまたクラプトンとベックの両名がアルバムに参加している並びとなる不思議。それでもこのアルバムは自分的にカッコ良い楽曲が揃っているので好きなアルバムだが、それも何だか分からない頃に入手して聴いていた影響下だろうと思われる。その順番を意識してようやく1966年にリリースされた「Roger The Engineer」を聴くと、今度はクラプトン、ベックと続いた時代の最終作品にもなってしまい、本作から後はジミー・ペイジにバトンを委ねる事になるので、ヤードバーズ末期時代との印象も否めない。そう思うとヤードバーズは1964年から2年間だけ黄金期で、ジミー・ペイジに委ねられての1968年までの2年間が実験的なバンドと位置付けられる奇異なバンドだった。古すぎて案外知られていないヤードバーズの実態は整理してみればそんな状況だ。自分もなかなか分からずにボックスセット買ったりジャケ違いのレコードをあれこれ買ったりして、なぜか多数あるバージョン違いに不思議さを覚えながらもハマって聴いていた。カッコ良かったのかと問われると、そこまででもなかったように思う。ただ、ひたすら実験的な側面が強くて、ブルースバンドとしてのヤードバーズをあまり意識する事もなく、妙な曲が多かったとの印象。
1966年リリースの英国での2枚目のオリジナルアルバムとなる「Roger The Engineer」は基本12曲収録で、モノ盤ステレオ盤でミックスや編集が異なっており、長い間同じアルバムジャケットながらも微妙に異なるその2種類には悩まされた。国の違いだけでなくリリースされた時期の違いもあったのか、この時代のアルバムならではの、そしてビートルズやフーやキンクスほどにそこまで解明されていなかったのか、分かりにくかった。今はモノ盤ステレオ盤両方ともが一緒に収められているディスクが当たり前で、更にボーナストラックとしてジミー・ペイジとジェフ・ベックが揃ったシングル「Happening Ten Years Ago」「Psycho Daisies」あたりが大抵収録されている。その他に幾つかのバージョン違いやテイク違いも残されているので、リリースされた年代のCDによってそれらがあれこれと入っていたり入っていなかったり、加えて書けば同じ1966年頃にはバンドのボーカリスト、キース・レルフが自身名義のソロシングルが数枚リリースされていた関係上、ボーナストラックに収録されている場合も多い。このキース・レルフのソロシングル曲がまたヤードバーズとはまるで異なってて、後のプログレバンド、ルネッサンスやアルマゲドンに繋がるような不思議なアレンジの、そしてフォーキーな作風は目を見張る味わいがある。今回久々に聴いていて、一番楽しめたのがこのキース・レルフのシングル曲あたりで、なるほどギタリストにバンドを乗っ取られた元々のバンドのリーダーはこういう指向性を持ってバンドを進めようとしていたのか、と悲運さを感じられる。ヤードバーズはお仕事、ソロシングルから先は突き詰めたい音楽家としての道筋、きっとそういう事だったと思う。
さて、そのヤードバーズの「Roger The Engineer」は冒頭からイキの良いカウントで何かカッコ良いのが始まるかと思えば唐突のベースソロリフがスピーディに鳴り響く意外性。全くヤードバーズらしい曲で始まるからアルバムの掴みは万全、そこに「Over Under Sideway Down」とまたスリリングなギターから始まるノリの良いサウンドと名盤の様相を示しながらバンドのインタープレイも含めて楽しめる風味。続いての「The Nazz are Blue」は何とジェフ・ベックがボーカルを取り、フィードバックギターのノイズまでも出し切りのワンマンショウが繰り広げられるサービスぶり。ところが面白い事に以降の作品ではシンプルなロックに戻りつつもどういうワケかかなり実験的な楽曲も含まれ、ヤードバーズお得意のリフと勢いが聴けるサウンドからは少々遠のく。どこかで息を吹き返すかと思えばこれもまた「Jeff's Boogie」のインスト曲でやはり特筆すべきギタリストだったベックの激しいギタープレイだった。しかし「Turn Into Earth」ではまたサイケデリックな実験曲に戻ってしまい、ようやく終盤の「What Do You Want」でヤードバーズらしい勢いのあるビート曲とヘヴィなギタープレイ、そしてトリッキーなハーモニクスやノイズを武器としたベックのプレイが炸裂して、楽しくなってくるが、最後の最後はまたしても超サイケデリックな作風に戻り、と言うかヤードバーズの場合はサイケデリックもあるが、グレゴリオ教会的ゴスペル風味が強いかもしれない。どうにアルバム的には締まらない、半分ヤードバーズらしいノリ、半分はどうにもな印象すら漂うアルバムに仕上がっているが、当時はそれでもウケだのだろうか。正直、今聴くならベックのプレイの面白さ以外には聴きどころも少なく、曲の単純さも時代そのものを象徴しているので、さすがに価値は薄れてきている点は認めざるを得ないだろう。それでも少年時代に一生懸命探しては聴いたバンドだから想い入れは深い。
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