Roger Waters - Us + Them
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Roger Waters - Us + Them

やはり凄い。強烈に鮮烈に圧倒的な迫力と貫禄と余裕のパフォーマンスと演奏。そして全くブレる事のない信念、ポリシー、批判、反戦思想とこれまでのロジャー・ウォーターズの姿勢そのままにして75歳の時のライブ映像、映画がリリースされた。2018年の「Us + Them」ツアーがこれでもかと言わんばかり映像美と迫力を持って市場に投下され、それがまた売れたり話題になったりするのだから恐ろしい。普通のロックファンからしたら、ピンク・フロイド作品でしかないのに、これほど長期間に渡り市民権を得る事自体が不思議でしかない。そもそもピンク・フロイドはプログレッシブ・ロックを代表するかのようなバンドで、間違っても普通に聴いていて聴きやすいアルバムやサウンドではないと思うが、本ライブに限らず、ロジャー・ウォーターズにしてもデイブ・ギルモアにしてもライブを行うととんでもなく大規模な会場で世界規模での人数を集めてライブをしているようだから、それだけ馴染みやすい音楽だったのだろうか。自分が最初にピンク・フロイドに触れた時はそんな風に聴けなかったし、どちらかと言えば苦痛でしかなかったが、ロックの雄だから聴かなきゃ、理解しなきゃとの脅迫心から何度も挑戦して時間を掛けて好きになっていったものだ。
リアルタイムでピンク・フロイドを通ってきた世代はそんな事を考えずに普通に「吹けよ風、呼べよ嵐」などを聴いていたと言うから、それもまた凄い時代だとは思うが、もしかしたら今のロジャー・ウォーターズの音楽はそう捉えられているのだろうか。それにしては随分と今どきの音楽とは大きく大きくかけ離れている気がするが、それでも事実会場は常に満員なのだから受け入れられやすいのだろう。そんな疑問と不思議さが入り混じりつつも、オランダで行われた大会場でのライブの様相が最後の「Comfortably Numb」は欠けているものの概ね収録されている映画で、単なるライブ映像とは趣が異なる。イメージ映像があちこちで入りつつ、またステージの模様やライブ演奏を映すと言うよりもロジャ・ウォーターズの世界観を映像美として捉えて作り上げているような印象が強く、また音楽もそれにぴったりと当てはめられた鳴り方だし、そこに実際のライブ会場でのスクリーンの映像も絡み合い、実に美しい作品として仕上がっている。この妥協の無さ、芸術としての完璧さ、しかもそれが狙ったものではなく偶発的なシーンも含めての作品性の高さが他に類を見ない、そして真似の出来ないレベルの世界観を生み出している。
演奏されている曲は新作「Is This the Life We Really Want」からもあるが、大半がピンク・フロイド時代の作品、しかも「吹けよ風、呼べよ嵐」だけが異質ながらも「狂気」「炎」「アニマルズ」「ウォール」からの美しくも素晴らしき楽曲郡が中心となったステージ構成で、と言う事は今の時代へのメッセージや皮肉、アジテーションは今から50年近くも前に作り上げた歌詞そのままで通じている深さ、いや、時代の変わらなさ、スタンスの変わらなさが驚く。相変わらずのトランプ批判、戦争批判、強烈なメッセージの発信とあの時代にはまだそこまで発信する手段、手法が無かったのも今の時代ならこれほどスクリーンやステージを活用して訴えられるのかと。そして驚くのはステージの後方にある巨大なスクリーンによる映像作品だけでなく、途中からは大会場の客席を縦断するかのようにスクリーンを立ち上げてバターシー発電所ばりの情景を創り上げて、当然あの豚も宙を待っている状態でこれ以上無い位の迫力で映像を発信している。とんでもなく凄い演出で、正にロジャ・ウォーターズのショウでなければここまで意味のある使い方は出来なかったかもしれないとすら感じる。
バンドの演奏は当然何一つ言える事のない程に完璧で、コーラスレディの姿すら美しく作り込まれておりステージのアクセントとして機能している。ただ少々音の面だけで個人的な好みで言うならばギターの音色がもうちょいと枯れ気味だった方がそれらしく聴こえた気がする。その辺書き始めるとドラムの音もあと少し重いくらいは良いなど多々出てくるが、あくまでも聴いていると、の話なので恐らくこの音で完璧な2018年のツアーだったろう。全くあり得ないレベル感での素晴らしさ。75歳でこのライブ。更に観客が映し出される事も多いが、皆が皆どれもこれも歌詞をきちんと歌い上げて共に感動して泣きながら歌っている姿も印象的なので、ホントにここまでプログレッシブ・ロックの雄が一般受けしていうのかとつくづく不思議に思う。もっとも自分も見ている時にはその観客の想いと共感して感動していたが。ここまで素晴らしいライブ映像を見てしまうと他のライブはどれもこれもチープに見えてしまうのも困ったものだ。

やはり凄い。強烈に鮮烈に圧倒的な迫力と貫禄と余裕のパフォーマンスと演奏。そして全くブレる事のない信念、ポリシー、批判、反戦思想とこれまでのロジャー・ウォーターズの姿勢そのままにして75歳の時のライブ映像、映画がリリースされた。2018年の「Us + Them」ツアーがこれでもかと言わんばかり映像美と迫力を持って市場に投下され、それがまた売れたり話題になったりするのだから恐ろしい。普通のロックファンからしたら、ピンク・フロイド作品でしかないのに、これほど長期間に渡り市民権を得る事自体が不思議でしかない。そもそもピンク・フロイドはプログレッシブ・ロックを代表するかのようなバンドで、間違っても普通に聴いていて聴きやすいアルバムやサウンドではないと思うが、本ライブに限らず、ロジャー・ウォーターズにしてもデイブ・ギルモアにしてもライブを行うととんでもなく大規模な会場で世界規模での人数を集めてライブをしているようだから、それだけ馴染みやすい音楽だったのだろうか。自分が最初にピンク・フロイドに触れた時はそんな風に聴けなかったし、どちらかと言えば苦痛でしかなかったが、ロックの雄だから聴かなきゃ、理解しなきゃとの脅迫心から何度も挑戦して時間を掛けて好きになっていったものだ。
リアルタイムでピンク・フロイドを通ってきた世代はそんな事を考えずに普通に「吹けよ風、呼べよ嵐」などを聴いていたと言うから、それもまた凄い時代だとは思うが、もしかしたら今のロジャー・ウォーターズの音楽はそう捉えられているのだろうか。それにしては随分と今どきの音楽とは大きく大きくかけ離れている気がするが、それでも事実会場は常に満員なのだから受け入れられやすいのだろう。そんな疑問と不思議さが入り混じりつつも、オランダで行われた大会場でのライブの様相が最後の「Comfortably Numb」は欠けているものの概ね収録されている映画で、単なるライブ映像とは趣が異なる。イメージ映像があちこちで入りつつ、またステージの模様やライブ演奏を映すと言うよりもロジャ・ウォーターズの世界観を映像美として捉えて作り上げているような印象が強く、また音楽もそれにぴったりと当てはめられた鳴り方だし、そこに実際のライブ会場でのスクリーンの映像も絡み合い、実に美しい作品として仕上がっている。この妥協の無さ、芸術としての完璧さ、しかもそれが狙ったものではなく偶発的なシーンも含めての作品性の高さが他に類を見ない、そして真似の出来ないレベルの世界観を生み出している。
演奏されている曲は新作「Is This the Life We Really Want」からもあるが、大半がピンク・フロイド時代の作品、しかも「吹けよ風、呼べよ嵐」だけが異質ながらも「狂気」「炎」「アニマルズ」「ウォール」からの美しくも素晴らしき楽曲郡が中心となったステージ構成で、と言う事は今の時代へのメッセージや皮肉、アジテーションは今から50年近くも前に作り上げた歌詞そのままで通じている深さ、いや、時代の変わらなさ、スタンスの変わらなさが驚く。相変わらずのトランプ批判、戦争批判、強烈なメッセージの発信とあの時代にはまだそこまで発信する手段、手法が無かったのも今の時代ならこれほどスクリーンやステージを活用して訴えられるのかと。そして驚くのはステージの後方にある巨大なスクリーンによる映像作品だけでなく、途中からは大会場の客席を縦断するかのようにスクリーンを立ち上げてバターシー発電所ばりの情景を創り上げて、当然あの豚も宙を待っている状態でこれ以上無い位の迫力で映像を発信している。とんでもなく凄い演出で、正にロジャ・ウォーターズのショウでなければここまで意味のある使い方は出来なかったかもしれないとすら感じる。
バンドの演奏は当然何一つ言える事のない程に完璧で、コーラスレディの姿すら美しく作り込まれておりステージのアクセントとして機能している。ただ少々音の面だけで個人的な好みで言うならばギターの音色がもうちょいと枯れ気味だった方がそれらしく聴こえた気がする。その辺書き始めるとドラムの音もあと少し重いくらいは良いなど多々出てくるが、あくまでも聴いていると、の話なので恐らくこの音で完璧な2018年のツアーだったろう。全くあり得ないレベル感での素晴らしさ。75歳でこのライブ。更に観客が映し出される事も多いが、皆が皆どれもこれも歌詞をきちんと歌い上げて共に感動して泣きながら歌っている姿も印象的なので、ホントにここまでプログレッシブ・ロックの雄が一般受けしていうのかとつくづく不思議に思う。もっとも自分も見ている時にはその観客の想いと共感して感動していたが。ここまで素晴らしいライブ映像を見てしまうと他のライブはどれもこれもチープに見えてしまうのも困ったものだ。
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