AC/DC - If You Want Blood You've Got It

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AC/DC - If You Want Blood You've Got It (1978)
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 ヒタヒタと暑い夏のジメジメ感が近づきつつあるこの時期、どんな音楽を聴いても楽しめる季節とも言えるが、実際季節や時期によって聴くアルバムやジャンルが変わる事はさほど多くない。ただ、雰囲気的にそうだろうと言う感覚で手に取る事はある程度。ここの所静かめなのばかり聴いていたから、ちょいと弾けてみたくて派手な音を探してみる。あれやこれやとネット経由で聴き漁っているので、音が派手なのは聴いてるけど骨に刺さるくらいの音色はなかなか出会えない。こうして探してみるがなるほど、こいつは…なのがAC/DCの「If You Want Blood You've Got It」。

 1978年のグラスゴーでのライブから収録されたAC/DCの最初のライブアルバム、そしてロック史にはあまり残っていないライブアルバムだが、それも当然、ナマナマすぎるライブ・アルバムだから故、完成度を求められた時代では評価が著しくなかったらしい。先日トニー・ヴィスコンティがインタビューでThin Lizzyのライブ名盤と言われる「Live & Dangerous」について語っており、その中で「あれがライブアルバムとして評価されるのはちょっと問題ありだよ」と発言していた。それもそのはず、あのアルバムのフィル・リノットのボーカルとベースは全てスタジオで差し替えた音だから、との理由。ドラムやギターはライブ音源を使っているからライブ盤だが、肝心のフィルのプレイは全て、だから恐れ入る。それでもバレなきゃライブアルバム、なのだ。

 一方のAC/DCによる本作「If You Want Blood You've Got It」は全部ナマだ、(と思う)。圧倒的な勢いとパワー、ドライブ感もヘタウマ感もミックス音のベタベタ感も全てが作品としてはよろしくない。だが、これだけのナマナマなライブ感を出せるバンドがあっただろうか、と言われるくらいにそのバンドそのままを収録している。カネが無かっただの契約がどうの、ボン・スコットが居なくなったからなど色々言われるが、それを全て帳消しにしてくれるぶっ飛びのライブアルバム。AC/DCのハードブギロックそのままが聴けて、とにかく凝ってないしひたすらドライブするから燃える。これぞロック。

 ギブソンSGにマーシャル直結の音だよな、これ。ザクザク感溢れてパワフルで粒が粗くて、凄くドライブするサウンド。後にアメリカ受けするのは当然だろうと思えるストレートなサウンドは今や象徴的だが、ボン・スコットの歌声も凄い。結果的には成功したバンドになったから良かったが、この時点ではまだアメリカではさほど知られていなかったようだ。それでもこのライブ・アルバムが広く聴かれれば変わったとも思える。ただ、アメリカではこういうラフなアルバムはあまり受け入れられないからThin Lizzyのライブアルバムとの違いが出たのだろう。面白い話だ。それでも本質的なライブ・アルバムの面白さを出しているのは本作「If You Want Blood You've Got It」だ。





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フレ
Posted byフレ

Comments 2

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おっさん  

それまでピンとこなかったですが、
これを聴いてAC/DCの評価が変わりました。
今聴いても凄いな。

2020/06/05 (Fri) 12:08 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>おっさん

ナマナマですねぇ、ホント。

2020/06/07 (Sun) 15:46 | EDIT | REPLY |   

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