Byther Smith - I'm a Mad Man

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Byther Smith - I'm a Mad Man (1993)
I'm a Mad Man

 この時代になり、シーンで発掘されたブルースメン達も数多くいるようで、見かけ上はもう相当のジジイだから齢60歳とか70歳とかってなる。それでもシーンで見つけられたのは21世紀になってからとか90年代とかで、だからこそブルースメンってのは40歳くらいだとまだまだ若造、となるのだろう。しかし、それだけ歳を重ねたのが出てくると、60年代や70年代をどういう風に見て過ごしてきたのかな、なんてのも思う。それだけの実力もあっただろうに、恵まれなかっただけって事なんだろうけど、仕事もしてちょこちょことライブやってたりしたのだろうか、それともミュージシャンという職業をしていたのだろうか。多分後者だろうけど、アメリカってのはそういうので食っていける土壌があるからなぁ…、それで発掘されれば本望、所詮いつもの自分のプレイを録音してCDが出るだけで、大して変わらんさ、って言う感覚なのかもしれない。

 Byther Smithの1993年リリースの傑作アルバム「I'm a Mad Man」。シカゴブルースの旗手でもありながらなかなかシーンに登場してこなかったベテランギタリスト、何でまた?って思うけど、多分ブルースシーンではこういうプレイヤーは早すぎたのかもしれないとも思える。無茶苦茶キレの良いストラトサウンドでグサグサと差し込んでくるソロプレイが目立つ事この上ない。バディ・ガイよりももっと尖ったトーンでインパクト絶大、ここまでのトーンで差し込んでくるストラト使いも居ないってくらいの音でバリバリのブルースプレイソロ、正にロックブルースそのままとも云えるプレイは粘っこさこそ足りないけど、どこから斬っても教科書になりうるプレイ、そしてサウンド。迫力ある歌声も魅力的でギターにしても歌にしてもかなりワイルドなイメージ。

 それにしても面白い。どこかで聞いたようなフレーズがあちこちで出てくるくせに、逸話を見ていると自分の中にある音を出せ、誰かのパクリを出すな、なんて言うからさ。トーンに関しては確かに唯一かもしれないが、フレーズはもう王道ブルースそのままだから。もっともそういうジャンルがブルースなんだからそれで良いんだけど、それでも聴くものを痺れさせるにはそのプレイヤーの技量に懸かっているし、やっぱり気合一番でもある。これ、スタジオ録音盤だよな?しかも93年の…、それでこの熱さ…、やっぱ凄いタフです。



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フレ
Posted byフレ

Comments 2

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photofloyd(風呂井戸)  

未だ健在のようですが、この地味なバイザー・スミスって特にポピュラーには日本では売り込んでこなかったせいか殆ど私には未知のブルース・プレイヤーだった。しかしいい時代ですね、YouTubeあたりで映像物で楽しめるんで、フレさんのアプローチで今回知ることが出来ました。ストラトによる割にはソリッドな音が聴かれますね。
 かなり本物の世界です。楽しめました。

2019/05/15 (Wed) 18:26 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>photofloyd(風呂井戸)さん

まだまだ日本では知名度の低いブルースメンも多数いそうなので、アレコレ聴いてみたいな、と。皆本物のプレイなので結構楽しめます。

2019/05/19 (Sun) 09:12 | EDIT | REPLY |   

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