Black Sabbath - Born Again

6 Comments
Black Sabbath - Born Again (1983)
悪魔の落とし子(リマスター)

 夢のセッションや合体劇、皆が望むジャムセッションや夢のようなバンドやスーパーセッションと言われるものなどなど、大抵はロクなものが出来上がってこないというのが定説。もちろんテクニック的だとかそれぞれのプレイヤー面では個性を出しているんだろうが、根本的に良い曲が出来るということが少なくて話題だけになってしまうことが多いようだ。もちろん才能をセーブすることもないだろうからその時に最大限の才能が発揮できなかっただけなのかもしれんが、概ねハズすなぁ…。後年になって評価されるセッションなんかもあるのだろうけど、それは後に有名になるプレイヤーがいたから、とかそんな理由が多い。…ってもやっぱり夢のセッションってのは憧れるものだ。

 Black Sabbathの混迷の1983年作品「Born Again」。オジーは華やかにシーンに打って出ている頃、古巣Black Sabbathはロニー・ジェイムズ・ディオが脱退してしまい路頭に迷っていた所にオリジナルメンバーのリズム隊をバンドに戻し、何とイアン・ギランをボーカルに迎えての復活劇を見せた。ネームバリューだけ見ているとそりゃスゲェ〜、一体どんな音になって出て来るんだ?って期待する人と、まさかそりゃあり得んだろ、絶対まともな音になるまい…ってのがいたんじゃないだろうか。奇しくも時代はNWOBHM全盛期、果たして…とリアルタイムだったらそういう気持ちでワクワクしただろうなぁ…。いいなぁ…、自分はその頃はまだBlack Sabbathって遠い過去のバンドとしか思ってなかったし、まだまだガキだったしさ。

 なので後追いです。でも、ロックを知れば知るほどにこのネームバリューのある二つの合体劇ってのはどんなんだったんだろ?って期待しながら聞けたから、後追いでもなかなかワクワク感はあった。初っ端からもう期待満々ですよ。そしたらこんだけの金属音かい、ってトコをイアン・ギランの雄叫び…、正に異種格闘技戦としか言えない不思議なバランスで新たなヘヴィメタルというサウンドを仕掛けてきてくれてる。オドロオドロしいベースは健在、後乗りのドラムも相変わらず、トニー・アイオミのギターだけはヘヴィに金属的に響き渡るように進化しているが、曲そのものはどっから斬ってもBlack Sabbathサウンド、イアン・ギランじゃなきゃどうだったんだろ?っていうのが今度は興味津々になってしまうようなサウンドで、全曲秀逸なレベルでの楽曲郡、それをイアン・ギランが歌う、それも曲の雰囲気はもちろん壊さない…どころか雰囲気を作り上げている一因でもあるし、こんだけダークでヘヴィでレベルの高いのはそうそう聴けないだろ。だがしかし、これをBlack Sabbathのイメージで語るとなるとやっぱり無理があるな(笑)。ある種トニー・アイオミ・バンドへの布石となったモノでもあるだろう。その後ジューダスのロブだってBlack Sabbathに参加するんだし…、あり得ないセッションや何でもありなことを実現してしまったバンドがBlack Sabbathなのかもしれない。

 凄いのは今の時代…このアルバムリリースから30年以上経過しているのに今のメタルアルバムに比べて何も劣ってないということだ。音も雰囲気もテクニックもメタリックさもインパクトもジャケットも全てに於いてこないだリリースされた、と言われても説得力のあるアルバムとして君臨していることだ。サバスを聴くならここから聴け、とは言えないけどサバスを聴くならここまで理解しろ、とは言えるね。





関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 6

There are no comments yet.
kazz_asai  
円鑿方枘

私はまず、1979年のオジー脱退に心底失望して、もうBlack Sabbathは終わりだと思いました。
それほどオジーの声とSabbathサウンドは絶対切り離して考えることはできなかったのです。
ところが「Heaven and Hell」を聴いてみると、「Heaven and Hell」「Die Young」といった様式美HMにたちまち夢中になりました。
一方「Born Again」、音像はロニー期とは異なりSabbath本来の剛直HRでした。それゆえ、Voが入ってくると「これがオジーだったら…」という思いをぬぐいきれなかったものです。楽曲は最高にカッコいいのに…

2015/10/19 (Mon) 20:47 | EDIT | REPLY |   
お〜ぐろ  

中学生の頃TVKでTrashedのPVがよくかかってたので、オジーサバスより先にギランサバスを聴きました
ブラック・サバスとはこういうバンドなのか〜と 

オジー、ロニー、ギランと個性的な3ボーカリスト、その後のレイ・ギランやトニー・マーティンなども含めて
其々のボーカルの技量もあるでしょうがそのボーカルスタイルに合わせた曲作りしてるのは流石だなぁという感じです

2015/10/20 (Tue) 00:50 | EDIT | REPLY |   
zitada  

ほんとに最初BLACK SABBATHというバンドの名前の意味、コンセプトなど雑誌の紹介で知った時自分がイメージした音世界がこのアルバムには入っていました
ホラー映画のサントラをロックにした感じです、オジー時代は1stの数曲くらいでデュオ時代はホラー、オカルトと言うよりはロニー趣味のダークファンタジーに感じるし
自分にとってのホラーとかオカルトのイメージって雑誌ムーの黒魔術特集とか映画だとエクソシストとかオーメンなんですよね
あくまで音世界だけの話ですけどね
改めて聴くとギーザー、アイオミコンビってやっぱり良いなと感じます

2015/10/20 (Tue) 15:45 | EDIT | REPLY |   
茶  

う~ん・・・遅すぎた蝶野VS三沢の試合を思い出しました。たとえばオジーもギランもバリバリだった'71年頃に、アルバムに1曲お互いトレードとかできなかったものかと、無茶なこと考えたりしてしまいます。
で、どのナンバーが良かったかと言うと、思いつかないのですよ・・・

2015/10/23 (Fri) 22:39 | EDIT | REPLY |   
茶  

あ!ブラック・ナイトとエヴィル・ウーマンは似たもの同士ですね♪

2015/10/24 (Sat) 21:58 | EDIT | REPLY |   
フレ  
サバスバス

>kazz_asaiさん
リアルタイムの時は様々な感情はいりますからね。

>お〜ぐろさん
アイオミさんの才能に敬服ですな。

>zitadaさん
うんうん。

>茶さん
猪木馬場の時代にそれは夢のまた夢でしょう(笑)。

2015/10/24 (Sat) 23:30 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply