Black Sabbath - Born Again

夢のセッションや合体劇、皆が望むジャムセッションや夢のようなバンドやスーパーセッションと言われるものなどなど、大抵はロクなものが出来上がってこないというのが定説。もちろんテクニック的だとかそれぞれのプレイヤー面では個性を出しているんだろうが、根本的に良い曲が出来るということが少なくて話題だけになってしまうことが多いようだ。もちろん才能をセーブすることもないだろうからその時に最大限の才能が発揮できなかっただけなのかもしれんが、概ねハズすなぁ…。後年になって評価されるセッションなんかもあるのだろうけど、それは後に有名になるプレイヤーがいたから、とかそんな理由が多い。…ってもやっぱり夢のセッションってのは憧れるものだ。
Black Sabbathの混迷の1983年作品「Born Again」。オジーは華やかにシーンに打って出ている頃、古巣Black Sabbathはロニー・ジェイムズ・ディオが脱退してしまい路頭に迷っていた所にオリジナルメンバーのリズム隊をバンドに戻し、何とイアン・ギランをボーカルに迎えての復活劇を見せた。ネームバリューだけ見ているとそりゃスゲェ〜、一体どんな音になって出て来るんだ?って期待する人と、まさかそりゃあり得んだろ、絶対まともな音になるまい…ってのがいたんじゃないだろうか。奇しくも時代はNWOBHM全盛期、果たして…とリアルタイムだったらそういう気持ちでワクワクしただろうなぁ…。いいなぁ…、自分はその頃はまだBlack Sabbathって遠い過去のバンドとしか思ってなかったし、まだまだガキだったしさ。
なので後追いです。でも、ロックを知れば知るほどにこのネームバリューのある二つの合体劇ってのはどんなんだったんだろ?って期待しながら聞けたから、後追いでもなかなかワクワク感はあった。初っ端からもう期待満々ですよ。そしたらこんだけの金属音かい、ってトコをイアン・ギランの雄叫び…、正に異種格闘技戦としか言えない不思議なバランスで新たなヘヴィメタルというサウンドを仕掛けてきてくれてる。オドロオドロしいベースは健在、後乗りのドラムも相変わらず、トニー・アイオミのギターだけはヘヴィに金属的に響き渡るように進化しているが、曲そのものはどっから斬ってもBlack Sabbathサウンド、イアン・ギランじゃなきゃどうだったんだろ?っていうのが今度は興味津々になってしまうようなサウンドで、全曲秀逸なレベルでの楽曲郡、それをイアン・ギランが歌う、それも曲の雰囲気はもちろん壊さない…どころか雰囲気を作り上げている一因でもあるし、こんだけダークでヘヴィでレベルの高いのはそうそう聴けないだろ。だがしかし、これをBlack Sabbathのイメージで語るとなるとやっぱり無理があるな(笑)。ある種トニー・アイオミ・バンドへの布石となったモノでもあるだろう。その後ジューダスのロブだってBlack Sabbathに参加するんだし…、あり得ないセッションや何でもありなことを実現してしまったバンドがBlack Sabbathなのかもしれない。
凄いのは今の時代…このアルバムリリースから30年以上経過しているのに今のメタルアルバムに比べて何も劣ってないということだ。音も雰囲気もテクニックもメタリックさもインパクトもジャケットも全てに於いてこないだリリースされた、と言われても説得力のあるアルバムとして君臨していることだ。サバスを聴くならここから聴け、とは言えないけどサバスを聴くならここまで理解しろ、とは言えるね。
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