Riverside - Anno Domini High Definition

映画といえばハリウッド、しかし同時に深みを求めるとヨーロッパへと進む。そして源流を求めに行くと驚くことに日本に行き着く。これは黒澤監督という巨人がいたからそうなるのだが、自分たちが聴く音楽の志向性の根本にしてももしかしたら最後は日本に行き着くのかもしれないな、なんてこともまま考える。そもそもエンターティンメントとして作られた映画と宗教的娯楽的側面から発生した音楽というものでは流れが異なるとは思うのだが、受け手としては似たようなものなんじゃない?なんて意味不明な冒頭文でした。
自分的にはこの手の陰鬱系ハードプログレ系では近年最高峰に位置するポーランドの騎手Riversideの4枚目のアルバム2009年リリース「Anno Domini High Definition」に駒を進めよう。作品ごとに来歴を追って聴くとこのアルバムの特異さってのもあるのだろうが、そんなことお構いなしに自分的にはハマったので、ハマった時に全部のアルバムを丸ごと聴き漁ってたんで、どのアルバムがどんなんでなんて比較全くしなかったんだよ(笑)。言うならばこのアタリはちょいとハードな部分も併せ持った時期、くらいで聴いてたから。なので今こうやって単体で「Anno Domini High Definition」を切り取って聴いてみると随分歪んでる方に傾いてるアルバムだったんだと気づく始末。他はここまでハードに歪んでビート利いてってのはあまり記憶に無い。もっとメロウでスローで歪んで重くてってのはいくらでもあるけど…。そんな印象のアルバムでハードにプレイしている作品、とってもアグレッシブな作品でありながらRiversideらしいメロディアスなギターに歌、ヘンなリズム入りの鍵盤と何らバンドのスタイルは変わっていない、変わっていないと言うかポリシー貫きまくりってトコか。
5曲45分、とっても一曲づつが長くて当然展開もコロコロ変わるし同じフレーズやリフレインがないじゃないか、みたいな曲もあって、展開数で言ったらふつうに45分のアルバムなんかよりも圧倒的に多いだろうしリズムにしても同じ曲なのか?くらいには変わっていく(笑)。その辺がメタルプログレなんて言われるところなんだろうか、メタル的要素…あるけど、ベースがこんだけグイグイと引っ張るのはメタルじゃないし、プログレ的な側面強いし、でもこの音世界そのものはメタルで…など言える事は多数あれど、とってもRiversideらしいグイグイと掴みまくってくれる作品ってこと。メロウに飛んで連れて行かれたと思えば即座にヘヴィリフで地べたに戻される、それでも天空には美しきリフレインが流れてて救われるかも…なんて雰囲気。そして何よりもその根底にブレないロック魂が宿っているってのが最高だ。勘違いかもしれないけど…本人たちのインタビューも読んだこと無いしどんな人達でどんな事考えてる人たちかってのも知らないからさ、音だけ、それだけで判断している限りは絶対ロック。楽器上手いし才能あるからミュージシャン、アーティストには間違いないけど、本質的にロック。そこが良い。
そして聴いて取れる何かの音の源流のミックスのバランスが最高に優れてる。新しいことってんじゃなくてミックス具合が良い。フロイドとクリムゾン足して21世紀で割って自分のできる事入れましたみたいなもんだ。このバンドのアルバムはどれを聴いても良いしオススメ全品だけど、「Anno Domini High Definition」もかなりコンパクトに見えつつもヘヴィな作品として楽しめる一枚。何か自分の中の自信が揺らいだ時に聴いてみると芯が見えてくるかも、ってな強い意思が聴けます。
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