Jack Bruce - Harmony Row

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Jack Bruce - Harmony Row (1971)
Harmony Row

 今年はこの人の訃報も聞いたのだが、名声を手にしつつもなかなかその後が続かずに苦労していたという印象が強い。プレイヤーとしての才能もあり、また作曲家としての才能もかなりのものだったにもかかわらず、なかなか商売としての成功者にはならなかった、なれなかった人。一方の相方はもっと無茶苦茶になりつつもきっちりと名声を地位にまで上げて億万長者の仲間入りまで果たしているのに、だ。

 ジャック・ブルースのソロアルバム三枚目ながらも録音は2枚目以前になるのかな、「Harmony Row」ってな作品。これまでのベースプレイヤーぶりを思い切り発揮したソロ作品から趣を変えて作曲家アレンジャー的地位をきちんと示した作品ともなっているアルバム。元々ピート・ブラウンとの共作などで作曲家としての才能は見られていたがクリームでその才覚を更にベースプレイヤーとしても発揮していたわけだ。そっちの印象が強かろうってことでジャズ・ロック系の名手達とのセッションでクリーム的にプレイの炸裂を狙っていったのがこれまでの作風。ところが今回は名手クリス・スペディングとジョン・マーシャルという微妙な位置付けの二人を配してのプレイってことで、その他鍵盤系をもジャック・ブルースが弾いているから結構カラフルになってる。そしてジャズアドリブプレイの応酬ってんじゃなくて英国ロックを作り上げた作品ってな感じ。

 歌にしてもクリームでのジャック・ブルースって印象じゃないなぁ…。クリームのスタジオ盤って大人しい歌だし、ライブだと叫んでるんだけど、そのどっちとも違う感じ。きちんと歌っているっつうか、それでも叫んでるんだけどさ、結構味のある歌声なのでこれはこれで英国ロックとしては面白い作品だと思う。バンド名付けずにソロ・アルバム内でのセッションメンバーだからそうでもないけど、凄いメンツだよね。作風は割と静かめなサウンドも多くて一辺倒さはなく作曲屋さんだなっていうトコロか。自分的にはどこか英国ジャズ・ロック…カンタベリーまでは行かないけどその手前くらいにいるのかも、なんていう感じがして結構好き。ただ、名曲ってのがないから魅力に欠けるってのがあるかな。そこが常にジャック・ブルースの特徴なんだけどね。でも、英国ロック好きで聴くもの無くなってきたら聴いてみるといいんじゃないかっていう作品です。



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フレ
Posted byフレ

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茶  

まるでお国訛りのような独特の節回しが力強いですね♪これはクリーム時代から一貫しているのですが、ジャック・ブルースの創りだす音って「我こそはジャック・ブルース!」ってゆう筋金入りの誇りを感じます。多くのハードやプログレやサイケが束になってもかなわない凄みがあります。

2014/12/08 (Mon) 15:31 | EDIT | REPLY |   
デューク中島  
牧歌的と言うか 緩い小品集

初期クリームの Coffee Song. Wrapping Paperみたいな 緩い小品集って印象でした。ファーストの 想像されたウェスタンのテーマ、月への縄ばしご みたいに 魅力的な曲が無かったのが残念です。トニーウィリアムズのTurn it overでの暴れまくりの方が 好きでした。

2014/12/08 (Mon) 16:25 | EDIT | REPLY |   
フレ  
R.I.P Jack

>茶さん
筋金感はいつもありますね。改めてソフトな曲聞くと、これもか?みたいなのもありますが…。

>デューク中島さん
この人も他のセッションだとベース弾きまくりなんですけど自分のはそうでもないですねぇ。

2014/12/18 (Thu) 00:22 | EDIT | REPLY |   

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