Janis Joplin - Pearl



ジャニス・ジョプリン。彼女の存在が消えてからもう36年経つ。そしてまだ彼女を超えるレベルの女性シンガーを聴いたことはないし、彼女と同列に並ぶ女性シンガーも耳にすることがない。それほどまでに希有な存在だったのか、時代の印象が彼女をより一層神格化しているのか…、でも残された数々の音源や映像から飛び込んでくる彼女の歌いっぷりは現在までの所、圧倒的な存在感を放っている。ジャニス・ジョプリン。敢えて言おう、「ロックの堕天使」。
う~ん、いまいちかっこよく決まらなかった…。1970年、ジミヘンが急逝した時、ジャニスはどう思ったのか…、そしてその一ヶ月後に彼女も同じような運命を辿ることとなった。ちなみに前年1969年7月にはブライアン・ジョーンズが、翌年1971年の同じ日にジム・モリソンが急逝している。皆ドラッグから引き起こされた早すぎる死の結末。しかし彼等は圧倒的に輝き、今でもロック史の中では君臨しているのも事実で、別にドラッグを崇めることもないがアーティストとしての素晴らしい功績には感謝したいし、もっともっと長く活動していてくれれば、という残念な思いもある。一方ではそれがロックヒーローに見える面もあり、まぁ、それもロックのひとつかな。
ジャニスの中でよく聴いたアルバムは「Pearl」だった。アルバムは1971年リリースなので当然死後になるけど、このアルバムをリリースするつもりでレコーディングをしていたから、レコーディング秘話もかなりありそうなアルバム。昔、伝え聞いた所ではジャニスの歌を元にバックの演奏を入れ替えたりしたらしい。この頃のアルバムでお目に掛かることの多いプロデューサーのポール・ロスチャイルドの手腕も大きい要素。その最たるモノって、やっぱ「Mercedes Benz」でしょ。アカペラだけでグッと迫ってくるジャニスの歌声をこれほどナマナマしく聴かせてくれる曲は他にはないし、こんなアカペラ状態で収録したポール・ロスチャイルドのセンスって凄いよね。今の時代ならこの曲にバックの音を自分のパソコン上で創り上げてジャニスとセッション、なんてのも作れて面白いんじゃない?もちろんどんなバックの演奏がついてもこの歌だけのテイクに敵うことはないだろうけど。
なんだろなぁ、各曲毎に云々って語る気にならないんだよね。全てがジャニスを語っていて一言、やっぱり凄い歌で、何が一番凄いかってさ、魂揺れることなんだよ。聴いてると魂に彼女の声が差し込んできてついノスタルジックになっちゃって、ノリノリでかっちょいいぜ~っていうのが全くなくて、うわぁ…っていう感じになるものばかり。だから「ブルースの女王」と呼ばれるワケで誰も「ロックの堕天使」などと呼ばないんだよ。でも、彼女はロックの世界に置いておきたいからそう呼びたいんだよ。勝手な書き方だが。最初の「Move Over」からぶっ飛ぶスタイルで、「Cry Baby」での絶叫、同じように「My Baby」もヤードバーズのカバーとは比較にならない絶叫ぶり。どれも名曲。曲云々ではなくって彼女が歌えばどれも聴く価値があるものになる。特にこのアルバムはジャニスの想いも強かったのか、人生色々あるよ、って思い悩みながら作っていた表情がそのまま出ているので素晴らしい作品。
ベット・ミドラーが主演の映画「The Rose」はジャニスを題材にしていて、何となくそういう雰囲気だったんだろうなぁと垣間見れるシーンも多い。タイトル曲「The Rose」が凄く良い曲なので参考には良いかも。もちろんジャニスの映画「ジャニス」に勝るモノはないけど。しかし今コレってDVD出てないのか?勿体ないねぇ…。それと。「Pearl」のレガシーエディションっていう二枚組もリリースされていて、こいつもレアテイクや未発表ライブが収録されていてお得なタイトルになってる。
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