Kiss - Rock And Roll Over

メジャーなハードロックな音ってやっぱ違うな。好みは別として音作りが全然違うし、まとまり具合が見事で、バンドの演奏力ってよりもプロデュース側の作り込み具合やエンジニアの音作りの上手さに掛かってる部分も大きいんだろうと。同じようにメジャーな人たちが作るもののどうしてもB級になってしまう音ってのもあるから一概には言えないが、著名なプロデューサーってのはどんなバンドの音でもメジャーな音に聴かせてしまう技術はあるので、そこらヘンはプロデューサーの力量。いつかプロデューサー別にアルバムを並べて聴いてみたいとは思っているけどなかなかそうは聴かないものでね…。ボブ・エズリンとかエディ・クレイマーなんて名はハードロック系聴いてると名前は皆知ってるでしょ。
キッスの1976年のオリジナルアルバムとしては5枚目の作品となった「Rock And Roll Over」はエディ・クレイマーが作っている。自分的には割と印象が薄いアルバムだが、世間的にはそうでもないようで人気の高い作品だそうだ。どうもこのジャケットは子供騙し過ぎてかっこ良くないと思うんだが…。それはともかく、キッスってあまりアコギな商売してこないバンドな気がする。この「Rock And Roll Over」の後には初来日公演が行われていて有名なNHKヤングミュージックショーでテレビ放送したことから伝説的な人気とバンドになっていったが、それを単体で売り出したりボーナスDVDにして云々って売り方はしてこないし、他にも古い映像作品を纏めて出すってのはそもそもあまりないみたいなのでその実コンテンツが少ないのかもしれない。しかしお茶の間のテレビで火吹きショウやギターが燃えて飛んでってしまったりなんてあり得ないパフォーマンスを見てしまったキッズ達は一瞬にして心奪われた事だろう。それがキッスの分かりやすさでもあるしカッコ良さなのだ。
アルバム「Rock And Roll Over」はその頃の曲がたくさん入ってるからウケが良いのは当然かもしれない。いつもの事だがキッスを曲という単位で評価しても最早意味が無い次元に入っているので、良いとか悪いとかってしょうがないんだよ。こういう曲もあるんだよ、ってくらいの話でさ。ただ、「Rock And Roll Over」はかなり初期のキッスらしいシンプルなロックンロール、楽しめるロックンロールに徹していて肌触りが良い感触。バラードはクサく、ロックンロールはロックンロールで、ピーター・クリスが数曲で出張ってきてバンド全員がソングライターになるというスタンスは実はバンドの負担が軽くなってこの時期までの超ハイペース…年間2枚のアルバムリリースというハードワークをやりやすくしているようだ。年間一人5曲も作れば充分なマテリアルになっちゃうんだもんな、そりゃそうだ。しかし「Rock And Roll Over」はいつもながら聴きやすいアルバムだなぁ…、全然アルバムとしては聴いた記憶がないんだが、全部覚えてたってのがそれを物語ってる。
- 関連記事
-
- Kiss - Lick It Up
- Kiss - Rock And Roll Over
- Kiss - Monster