Praying Mantis - Captured Alive In Tokyo

アイアン・メイデンとプレイング・マンティスの関係ってのは表と裏、光と影みたいなモンで、その影の世界の住人であるトロイ兄弟ってのはとんでもなく才能があるのにその分日陰な人生を強いられてしまっていた。一方のアイアン・メイデン=スティーブ・ハリスの場合は商才に長けていたのもあって見事に世界に名を轟かせるバンドとして光の世界を歩んでいる。近年ではもうさほどでもないが、初期アイアン・メイデンのメンバーは脱退後にプレイング・マンティスでプレイしている人間のなんと多いことか。音楽性で言えば特に似通っているワケでもなく、共に大英帝国と言う看板を堂々と背負ったサウンドを奏でているというだけだからそこはやはり人間性のお話になるのだろうか。
丁度日本公演が実現した1995年にはMSGの看板男ゲイリー・バーデンをボーカルに据え、当時のドラマーが怪我したことで急遽代役としてクライブ・パーが参加しての超豪華メンバーでライブが行われている。言うならばアイアン・メイデン組+プレイング・マンティス+MSGという夢の様な組み合わせなワケだが、往々にしてスーパーバンドってのはその期待通りのレベルに達しないというもので、この時期のプレイング・マンティスもその伝統に従ったかのようだ。ま、単純にゲイリー・バーデンというボーカルにはプレイング・マンティスが似合わなかったって話だけどさ(笑)。アルバム「トゥ・ザ・パワー・オブ・テン」はそういうのもあって、あまり様式美構築美的な泣きの美しさを出した作品じゃなかったんだが、ライブで昔のナンバーなどを歌い上げてしまうゲイリー・バーデンにはちょいと荷が重かったんじゃね?とか。荷が重いっつうか別の荷物だったって事だろう。
その時のライブは結構なイベントだったこともあってCDでは「キャプチャード~アライヴ・イン・トーキョー・シティ」が2枚組みフルライブ収録でリリースされているし、今は手に入らないようだけどビデオもDVDもリリースされているんで、クライブ・パーの爽やかな笑顔の勇姿もやや落ち着いてしまったゲイリー・バーデンの顔もきちんと見れるものだ。一部は恒例YouTubeにもアップされているけどライブ丸ごとは無さそうだ。ここでのクライブ・パーのドラミングは以前ほど派手に手数多く叩くこともなくスタンダードなスタイルに従っている…ってのは多分曲を完全に把握し切れなかったんじゃないかな。ドラマーって曲知らなくても大抵の曲は叩けるし、ましてやさほど変化のないスタンダードな展開な曲であれば叩けちゃうんだよね。ウチのドラマーも何となく聴いたことある曲は大体叩けちゃうもん。コードとか知らなくて良いからいいよな、あれ(笑)。クライブ・パーなんかもちろんもっと上の次元での話だけどそんな感じがあるのかシャープにキメて叩くシーンは多くない。だからこそゲイリー・バーデンの無骨な歌がより一層目立ってしまって、それでいてトロイ兄弟の完璧なスタイルは相変わらず、う〜ん、バランス悪いけど、楽曲はどれも最高。特に幻のアルバムだった「Time Tells No Lies」の楽曲なんか涙出てくるもんね。生でやっててもこんなに素晴らしいコーラスワークなんだ、とか雰囲気変わらないんだ、とか安心した。
おまけでMSGの「Armed And Ready」やってるのも良いな。さすがにお手の物と歌うゲイリー・バーデンが愛らしいが、それでも全然声出てなくって、バックのコーラスが素晴らしすぎる(笑)。クライブ・パーのドラムは更にシンプルになってるようだが…。そんな勇姿を堪能しながらもやっぱり大英帝国を感じさせるバンドの音は気品に溢れていて美しいものです。
売り上げランキング: 30,654
- 関連記事
-
- Praying Mantis - Forever In Time
- Praying Mantis - Captured Alive In Tokyo
- Praying Mantis - Nowhere To Hide