Procol Harum - Broken Barricades

評価軸なんてのは割とどうでも良いし、日本での人気云々ってのも最初にとっかかる時の基準でしかなくってあまり周囲の意見に左右されることなく気になるものや気に入った音楽にどんどんと手を出していって良いんじゃないかな。指針とかあんまりキメないでさ、自分で幅を狭めてもしょうがないんだし、好きに気の赴くまま聞いていけば良いと思う。今の時代ならいつのバンドかとか気にすることもないだろうし、本やネットで昔はこうだったああだったと言われる前置きってのももうあんまり関係ない気がするし。40年くらい前の世論を引き合いに出されても、歴史的には重要だけどとっかかりは別にね。なんでまたそんなお話?ってぇとプロコル・ハルムってさ、やっぱ「青い影」だったワケ、随分と長い間ね、自分の中でも。ただ、英国にハマり始めて行くとそうじゃないプロコル・ハルムってのがあって、ロックバンド的に面白いんじゃないかっつうのが中期くらい。チョコチョコと探したりして中古で結構簡単にLP見つかったし。それで聴いていったけど、なぜか「Broken Barricades」だけはあまり見かけなかった。で、そのままになってしまってて聴いたのが随分後になってから。
1971年にリリースされた5枚目のアルバム「Broken Barricades」は、ロビン・トロワー離脱前の作品として知られている。ところが聴いてみてびっくり、こんなにハードに歪んだギターでロックやってるのか?っつうくらいの音で、クレジットとか見ていくと前作でハモンドオルガン奏者が脱退しているんで、この「Broken Barricades」って普通にバンド単位のメンバーしか残っていないみたい。そのくせにシンセサイザーまで入れちゃってるから豪勢な音作りになってる曲はもちろんあるんだろうが、その辺はキース・リードの好みだろう。ところが一方ロビン・トロワーが大活躍するハードエッジなギターの曲もいくつかあって、へぇ〜って思った。これがあのプロコル・ハルム?みたいな。アルバム全体で聴けばやっぱりクラシカルで荘厳な雰囲気に包まれた、そしてゲイリー・ブルッカーのこれもまたくぐもった歌声がバンドの声だからその辺は変わらず。
それでも、ここでプロコル・ハルムがやってることって、1971年にアルバム5枚目のバンドってもうベテランの音だから、時代に合わせて色々と変化を求めていったんだな、って。もうひとつ冒頭の「Simple Sister」からして感動的なのがB.J.ウィルソンのドラミングの豊かさ。Led Zeppelinのボンゾのドラムに匹敵するのはこのB.J.ウィルソンかFairport ConventionのDave Mattacksくらいだろうと思っているのだが、やっぱり面白いし音も重くて迫力ある。アルバムミックス的にそういう音作りにはなってないけど楽しめる側面のひとつだね。
さて、世間一般で言われているほど方向性を180度変えたアルバムでもないと思う。そりゃま、そういう曲もあるけど、それでもせいぜいギタープッシュしたくらいで、相変わらず濃厚な霧の中の音という気がするし、多分にゲイリー・ブルッカーの歌声がバンドを支配していることで一貫性が出ている気がする。その半面ロビン・トロワーの歌っている曲なんかはかなりヘン。ギンギンハードロックじゃないところもまた何がしたかったのか?的なトコロあってアルバムとしてはちと散漫な作品か。
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