Howlin' Wolf - Moarnin' In The Moonlight

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 いわゆる戦前ブルースメンという括りではあまり語られることのないハウリン・ウルフだが、実は結構古い人で生まれは1910年と言うから、まあ同じミシシッピー州出身なのでロバジョンあたりともセッションしたりというのはあったようだ。その最初期の頃は音源として残されていないようなので、やっぱりロバジョンやらエルモア・ジェイムズって人はかなり特別視されていた人なんだな、と言うのがわかる。

 さて、ハウリン・ウルフがいわゆる表に出てくることになったのは1950年代過ぎてからなので彼自身も40歳を過ぎてからのレコーディング経験者となったようだが、時代はエルヴィスを輩出したサン・レコードがビジネスを始めたばかりの頃で録音した音源を当時弱小だったチェスレコードに売ったりしていたようで、この頃のレコードに記録されたレコーディングデータなどをよく見ていると録音はサンで行い、発売元はチェスだったりすることもあるのはそういった背景から。ま、それでもまとまった音源として我々が触れられるのがもっと後になってからのもので、1959年リリースの「Moarnin' In The Moonlight」と1962年リリースの「Howlin' Wolf」が有名。何というのか、いわゆる聴きやすい部類に入る最もブルースらしいサウンドを出しているのがこの人の特徴とも云えて、そんなにクセやアクが強くはない。ギターも既にエレキを採り入れているのでいわゆる戦前ブルースのようなエグさは丸みを帯びた形になり、洗練されている様が聴いて取れるだろう。歌にしても元々はもっとエグイ人だったんだろうなぁと想像はできるんだけど、ここでの録音を聴くとやっぱりマイルドに歌心を出した感じで、悲壮感が漂う戦前ブルースのものとは異なる。そしてこれがシカゴブルースとして定着していくんだろうな、聴いているとよくわかるもん。

 で、面白いのはこの辺の音を聴いていたストーンズやクラプトン、ペイジと云った連中がこぞって真似して採り入れようとしていたもので、そこかしこに知った曲の名前が出てくる。中でも「Spoonful」や「Going Down Slow」、「Tell Me」「The Red Rooster」なんてのはもうその辺のロックファンなら知っての通り。あ~、なるほどなぁ、って納得でしょ。そしてこれを聴いてアレが出来上がるってのもやっぱり聴いていて面白いし、ルーツは楽しめるものだ。そして過去誰もあまり追求していなかった、もしくは追求があっても解釈が異なっていたと思うのがレッド・ツェッペリンの「How Many More Times」のパクリ元と云われている「How Many More Years」なんだけど、個人的にはこれじゃなくて4曲目に入っている「Baby How Long」っていう曲が元になってるんじゃないかと思うのだが…。こちらも歌詞の始まりは「How many more years...」って始まるし、曲のリフもZepのアレに似ているのはこっちなので、高校生の時にこのアルバムを初めて聴いた時から思っていたんだけど、どこの雑誌でもそういう書き方されてなくって、自分のレコードはきっとクレジットミスなのだ、なんて解釈してたんだけど、今改めて聴いてみてやっぱりそう思う。ま、ネットで自分の意見云うだけだからいいでしょ(笑)。

 ちなみにこの辺の作品になると後のシカゴブルースを代表することとなるジミー・ロジャースやあのウィリー・ディクソンなんてのも参加していて、まぁ、ある意味ジャズメン達のセッションみたいに著名な人間達が所狭しと交流してレコーディングを行うことになるのだ。チェスレコードってかっこいいんだよな…。ちなみに極めつけのボックスセットってのもあってなかなか魅力的♪
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フレ
Posted byフレ

Comments 4

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ogitetsu  

左の色っぽいお姉さんとは対照的なハウリンの話。というか、僕には住みやすい環境のサイトです。

How many more yearsなんですが、確かLittle FeatのFirstにも、そんなフレーズが出てくる曲が有りました。これなんか歌い方ももろハウリンのパクリでした。

私もブルースを中心にした音楽のブログを開いてますので、暇な時にでも訪れて下さい。

オギテツ

2006/06/29 (Thu) 01:39 | EDIT | REPLY |   
リュウ  

ハウリンのダミ声とヒューバートのGの組み合わせは、何度聴いていても◎!いやいや、Killing Floorが耳から離れません・・・・。
存在感というかアクの強い顔と声!
たまらないですね。
しかもマディを最後までライバル視していたあたりも、一癖も二癖もある感じで余計に・・・、いやいや、コメントまともに出来なくてスミマセン。
それくらい愛着があるので・・・。

2006/06/29 (Thu) 21:43 | EDIT | REPLY |   
papini  
ダミ声がいいの♪

あ、これウチでやってない!!
やらなくっちゃ(笑
あの独特のダミ声がなんとも言えないんだよね。
よく知った名曲が出てくるんで、かなり取っつきやすかった(笑
でも、それ以上にはまっちゃったんだよね、不思議と。

この素敵すぎるボックス・セットも買っちゃたし(笑

2006/06/29 (Thu) 22:43 | EDIT | REPLY |   
フレ  
コメントさんくす!

>ogitetsuさん
はは…、どーぞどーぞ楽しんでいって下さい♪ブルースのパクリはいっぱいあって面白いし、それでもバンドの特性が出るので好きです、はい。しかしogitetsuさん、アメリカ在住ですか…。ブルースの本拠ですからねぇ、羨ましい限りです。

>リュウさん
あ、「Killing Floor」があったか(笑)。ロックに近いところにいる人ですね、ホント。でも、多分マディの方がよく聴くんじゃない?な~んて思います♪

>papini嬢
コレ結構忘れがち(笑)。いやいや…、でも続けて聴くのはちと勘弁ってのはあるね。ボックス当たりだと結構キツいじゃん(笑)。

2006/06/30 (Fri) 22:00 | EDIT | REPLY |   

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