Gastunk - Dead Song



自分の好きな日本のバンド群の中では多分五本の指に入るのは確実なんだが、それがまさかインディーズのバンドになるとは本人も思ってなかったんだが、ロックを聴き始めて20年以上の月日が流れた中、実に多種多様のロックを聴いた。それでもこのバンドのかっこよさは今でも褪せることなく結構なヘビロテで聴くことが多いのだ。そして今でも飽きないし、もっともっと聴きたいと欲求を募らせる、そして聴く度に生き返ったような刺激をもたらしてくれるのだ。
「ガスタンク」=「GASTUNK」
メジャーデビューしてからは「GASTANK」になってるんだけどもちろんインディーズの頃のが圧倒的に好き…というか、滅茶苦茶カッコイイのだ。記憶が正しければシングル三枚出した後に超名作「DEAD SONG」と言うファーストアルバムをリリースして、これも当時で一万枚くらい売れたようだが、ハードコアパンクそのものなのに「Heartful Melody」と呼ばれる旋律が奏でられていたり歌われていたりするので、凶暴さと美しさが同居している作品。まずはシングル三枚の方だが、今では「GASTUNK EARLY SINGLES」というCDで聴けるので以前に比べて入手が容易になったのは嬉しいね。どれもこれも良いが、三枚目のシングル「GERONIMO」
で、超名作アルバム「DEAD SONG」だ。もうジャケットからしてインディーズの香りがプンプンしていて、裏ジャケ見るとなるほど、って思うのもあるんだが、やっぱりインディーズってだけあって音の作りがやっぱりちょっと物足りないが、これはしょうがない。もちろん中に詰まっているサウンドには何の影響も及ぼさないし、CD時代なんてのが想像できなかったワケだからまあ、よしとしよう。冒頭「黙示録」…いきなり超重苦しい地獄の底で鳴っているようなイントロに単調ながらもスリリングで何かが飛び出してきそうなリズムとハードなギターがメロディを刻む…そして地獄の底から唸るようなボイスが響き渡る、正にガスタンクの序章らしい楽曲で緊迫感が漂うね。そして地獄からのボイスだけがしばらく残り、何かを呼び出しているような被せ方に続いてノイズ混じりの混沌とした音の洪水の中から紡ぎ出されてくる歪みまくったギターリフから始まる「Night Sight Light」では早くもバキの独特の歌声によるシャウトともメロディアスとも云える歌が心地良く叫ばれ、タツのギターソロにしても見事な展開を持った一級のプレイで、もちろんベイビーのベースは一糸乱れぬヘヴィーさと正確さを持って迫ってくる、そして間髪入れずにハードコアパンクの真髄とも云えるようなパワーに満ち溢れた「War Bird」がまたしてもBakiの強力なハートフルメロディーと共に聴く者に戦慄を与えてくれる。更に続けて叩きのめされるのはもう暴れ出したくなるようなリズムとパワーを叩きつけてくる「胎児(SAD)」。若者だろうと年寄りだろうとこのヘンまで来るとホントに血が騒いでくることは間違いないね。ベイビーのベースがもの凄い音で掻き鳴らされているのがクローズアップされているのも特徴的で、暴力的なガスタンクというバンドの真骨頂を体現しているとも云える。
アナログ時代ではB面に突入して先ほどまでの暴力的なハードコア路線から少々離れたベースのリズミカルなイントロに合わせて始まる軽めのリフから始まり、ちょっと息を抜けるかと思いきや、それは全く単なるイントロであり、A面どころではないくらいに究極のハードコアパンクとも云えるエネルギーで本当に聴く者をぶっ壊すパワーで迫り来る「Computer Crime」…楽曲として捉えてもリズムや雰囲気が変わりつつもこのハードコア路線で貫けるという意味ではかなりレベルの高い曲だが…、そんな冷静に語っていられるような場合ではないな(笑)。やっぱB面も恐ろしいわ。で、またしてもタツのギターとベイビーのベースが絡み合って紡ぎ出されるサウンドの中にBakiの美しいメロディが溶け込む、素晴らしき「Lastest Dream」…。単調な面もあるが、ここはバキのメロディと表現力の豊かさでハードコアパンク調ながらも5分間という長い曲を持たせているが、最後の最後で新たなリフによる展開を見せてフェイドアウトしてしまうのだが、これだけで立派な曲ができると思うようなリフなのだが、惜しげもなく単なるエンディングで使ってしまうのは自信の現れだろう。で、お~、またか~、もうダメだ(笑)。最高にハードコアパンクな曲「Inter Lader」が始まってしまう。こんなのライブで聴いてたら多分ホントに暴動起きてもおかしくないもん。それでもタツのギターやバキの歌にはしっかりメロディがあるので単なる単調なパンクに終わらないで音楽としてきちんと聴けるんだよな。でもやっぱ2分半が限界。さあ、ここまで来たらもう最高の二曲しか残っていないが、まずは「The Eyes」。ガスタンク史上でもかなりの名作に入るバリバリのハードコアサウンドと美しきサビのメロディが重なり合った傑作で、ギターの旋律も当然良いのだが何と云ってもハーモニックスのタイミングがもの凄く心地良いし、ギターソロも見事なまでの凶暴さと色気を持っていて、特に後半でのメロディアスなリフレインについては、日本で最高のものと言っても過言ではないくらいに美しいフレーズを奏でているのだ。傑作中の傑作。そして…、そしてガスタンクの、いやロック史永遠の名曲「Dead Song」。ここまで来てようやく単なるハードコアパンクではない証とばかりに美しくも激しい楽曲を見せてくれるのだ。美しいアルペジオギターにこれまた素晴らしいメロディを刻むベースラインが絡み、そこへハードなギターが登場してこれ以上はないくらいに素晴らしいハートフルメロディが歌詞そのままに歌われ、これしかないっていうギターソロが続く…、そして美しきアルペジオと風の音に包まれる中間部の後エンディングに向かいこの素晴らしいアルバムは終わりを迎えることとなるのだ。
…やっぱ疲れるけどカッコイイよなぁ、聴く度に刺激を受けて、目付きが悪くなるかもしれん(笑)。彼等もルックスではキワモノ的なものあったけどそれ以上に音楽もしっかりしていたんだよね。もっともっと受け入れられても良いバンドだと思うんだが、そうじゃないところに留まっていたのも好きかな。う~ん、以降はまた今度書こうっと♪
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