Carla Bley & Paul Haines - Escalator Over the Hill




ピンク・フロイド人脈とは割と意外な繋がりをもたらすものだったのにちょっと驚いた。ピンク・フロイドってバンドはメンバーチェンジもなくて完結しているバンドだったので、そんなに交流関係が広く出てくるようには思えなかったんだよね。ただ、まぁ、60年代から英国のアングラでプレイしてたワケだからそりゃまぁヘンなのとの交流も多かったってのも納得するんで、まだまだ読みが甘かった(笑)。いやね、ニック・メイスンのソロアルバム「空想感覚」を取り上げた時に出てきたカーラ・ブレイの名盤と言われる「Escalator Over the Hill」が気になってね、気になるとすぐにでも聴きたくなるのが人情ってヤツでして…、もちろん何十回も聴き込んだ方々とはその熟成度を図る度量も違うんですけどね…。
1971年にリリースされた「Escalator Over the Hill」という二枚組大作、しかも製作には1968年から71年の3年間を要したとのことで、そりゃそんだけの代物なんだろうと。ところがこの70年前後という時代ってロックの世界じゃ激動の時代で、3年なんて時間掛けてたらそりゃもうすぐに陳腐化してしまった音も多いワケだ。皆が皆新しいことと新たなる取り組みをしているんだから。もっともカーラ・ブレイって人はフリージャズに属する系統の人のようなので常に前衛的っていう取り組みの姿勢はあるようなのでそれでもこのアルバムがリリースされたのだろう。
うん、何を言ってるかってぇとですね、そんじょそこらのプログレとか聴くんだったらこの「Escalator Over the Hill」ってアルバムはもの凄いプログレです、ってこと。フリージャズの要素は大きいんだけど、基本的に大作の名の通りにオペラアルバム。ジャズベースのオペラアルバムで歌できちんと展開していくんだが、流れていく音楽が非常に退廃的でありつつも前衛的なフリージャズのフォーマットなので、聴きやすくはない。ただ、とっつきにくくもなく静かに流れていくのとトロンボーンとかサックスとかトランペットがノスタルジックな雰囲気を出してて面白い。その中にジャック・ブルースやジョン・マクラフリンという当時の新進プレイヤーがハードに登場してくるワケで、それもまた粋なものだ。両名ともロックよりもジャズな名前の方が大きい存在だったワケで。
その他のフリージャズ系のメンバーはいくつか名前を聞いたことがある人もあるんだけどよくわからない。カーラ・ブレイって人の存在やプレイすらもさほど知らなかったのだからまだまだ自分の聴いている領域は狭いものだと改めて認識してしまったアルバムです。ヘンなプログレとか好きな人は多分「Escalator Over the Hill」も一緒に聴いているんだろうなぁ。かなり斬新な発見のあるアルバムでした。
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