Jethro Tull - Songs from the Wood

3 Comments
 「貴方の一番好きなバンドは?」と訊かれて即座に答えられる人とか都度答えが変わるけどって人とか色々いると思うが、このバンドが一番に出てくる人って尊敬に値すると思ってます。うん。ジェスロ・タルね。これほど英国らしく英国の深い所までを見せてくれるバンドもなかなかいないし、それはキンクスのレイ・デイヴィスのような英国らしいという表現ではなく、もっと深淵を覗いた後での表現というのかな、相当深い面での英国を伝承していると思う。音でも歌詞でもそもそもの存在感とか在り方とかってのも含めてすべて。もちろんユーモアも混ぜて、という意味で。だからこのバンドを徹底攻略するには相当の知識と英国文学やら文化、背景に繋がる物語に対する興味などなどを知らないと面白くない。というか知っていると更に楽しめる、っていうもんだよね。「A Passion Play」とかもモロそういうのだし。

Songs from the Wood Minstrel in the Gallery

 1977年10枚目の作品「Songs from the Wood」、パンク全盛期にリリースされた時代遅れとも云える、更に時代錯誤な田舎に戻ったトラッド風味の作風で完全に時代を無視したサウンド。しかしレーベルもしっかりとこういうのをリリースしてくれるあたりはジェスロ・タルというバンドの底力を知っていたからか。売れるというシーンからはかなりかけ離れた音世界を構築し、またしても新たなるジェスロ・タルの世界を見せてくれた傑作。

 レビューをあれこれ見てると、アコースティック寄りのトラッドに還ったという表記があったりするんだけど、これはもう思い切りプログレッシヴでポップな作品。もちろんエレキよりもアコースティックな音をたくさん使っているけど、トラッドというよりも英国的な音楽センスによるラインがそこかしこで出てくる…っつうか当たり前の姿で音楽しているイアン・アンダーソンって実に自然。だから転がり落ちるような演劇的な展開もあったり、ほのぼのする、正に森の中で妖精と戯れているかのような音もあったり、こういう深さはなかなか出てこないので、じっくりと楽しめるサウンド。間違ってもiPodあたりで何かしながら聴いていては絶対いけない。じっくりと腰を据えて煌びやかな音色に彩られた世界を楽しむべし。

 この頃イアン・アンダーソンは英国の田舎に引っ込んだ生活をしていたらしく、その近くにはスティーライ・スパンも住んでいたとのことで自然と交流をしていきトラッドやアコースティックに近づいたサウンドになったらしいけど、そうでなくたってしっかりとプログレッシヴなアコースティックだったのにね。ジャケットの素朴な風景と中味のインパクトたっぷりのロックサウンドはアンバランスながらも実にマッチしている不思議なアルバム。フォークじゃないよ、完全にロックのアルバムだけど、英国の深いアコースティック風味が出ている名盤。



関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 3

There are no comments yet.
ロッカー  

このブログめっちゃいいじゃないっすか。同じ趣味を持つ人にとっては凄く嬉しいと思いますぜ。

2008/11/02 (Sun) 22:54 | EDIT | REPLY |   
papini  

1番好きなバンドは?と聞かれたら、タルと答えるpapiniです。
が、尊敬されるほどの人間ではないッス(笑
個人的には、これぐらいの頃が1番好きだと思う。うん、この音盤とHeavy Horsesかな。
鮮やかなアコースティックのサウンドが、とっても心地いい音盤でさ。
マーティンがここぞとばかり、くせ者的なプレイをしていたりするんだよね、これ。

実は、英国の音楽ライターは、タルのこの作品を「最高傑作」、と言ってる人が結構多くて、トラッドを取り入れた音盤のレビューには、必ずと言っていいほど、この音盤の名前が出てくる(笑
でもね、これ、比較対象にしちゃいけない音盤だと思うんだよね、うん。
格がちがうもん、格が。

2008/11/03 (Mon) 09:27 | EDIT | REPLY |   
フレ  
ども♪

>ロッカーさん
あ、ども♪楽しんでって下さい♪

>papini嬢
そうだろうなぁ、それが凄いと思うわぁ~(笑)。確かに格が違うアルバムだもんな。はっと驚く出来映えだし唯一無二って言っても良いかも。ま、タルのアルバムはそういうのが多いんだが…。

2008/11/03 (Mon) 21:53 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply

Trackbacks 1

Click to send a trackback(FC2 User)
この記事へのトラックバック
  •  一定周期
  • なんかね、一定周期で聴きたくなるアルバムがある。 不思議だよね、たまにじゃないの。 あ、そろそろ、これ聴きたいな、っていうのがあるの。 毎度、そうやって常に何かしらの音盤が鳴ってる、papini家でありますよ(笑 はい、こんにちは。 フレさんがね、最近、メ...
  • 2008.11.03 (Mon) 09:19 | Trapo de la eternidad