ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

D.Greenfield & J.J.Burnel - Fire & Water

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D.Greenfield & J.J.Burnel - Fire & Water (1983)
Fire & Water

 パンクロックは世間に衝撃を与えてひとつのジャンルを形成したが、音楽的な面から見たらなんだこりゃ?的な部分も多かろう。それでも打破して世間にアピールできてしまうのがロックの面白さだが、中でも音楽的に秀でた連中もいたから更に面白くなる。70年代の初期パンクの流れに組み込まれるThe Stranglersはパンクロックの中にあって文学的、音楽的面が上品な事もあって少々異質感のある、言い換えれば貴族的パンクとでも言うのか、一味異なる雰囲気を持ったバンドだった。そこでの筆頭格はヒュー・コーンウェルとジャン・ジャック・バーネル。特にジャン・ジャック・バーネルのベースラインは明らかにパンクの概念をぶち壊してくれている。その意味ではジョン・エントウィッスルも同じだったが、ベースの面白さをここでもまた見せつけてくれていた。

 アルバムは1983年にリリースされたJ.J.BurnelとD.Greenfieldのストラングラーズのベーシストと鍵盤奏者による映画のサントラ「Fire & Water」を聴いている。この映画、結局完成することなく後悔もされていないようなので、音楽だけがこうして残されている形になるが、ストラングラーズのこの二人によるサントラというのもまた意味深。1983年のストラングラーズは丁度無機質なサウンドに転換している頃で、バンドとしても充実した時期にあったから元々はストラングラーズへの依頼だったのかもしれない。都合付かず、かサントラに興味なしと他メンバーが参加しなかったのか、理由はいろいろ考えられるが、本作を聴いているとストラングラーズでやってもおかしくない楽曲群が揃っている。ユニークなのは一曲マギー・ライリーが参加している点で、ストラングラーズのあのサウンドにマギー・ライリーの歌声とはどういう風になるのだろうと興味深かったが、聴いてみてなるほど、こう来たか、と納得。綺麗なメロディラインを上品に歌い上げる印象の強いマギー・ライリーの歌唱からはかけ離れたボイス的使い方で登場させるとは双方よく納得したものだ。マギー・ライリー側は面白いかも、というチャレンジ的発送だったのかな。

 アルバム全体はこの頃のストラングラーズでも聴けている無機質的サウンドが延々と展開され、デイブ・グリーンフィールドが全面に出てのムード作りを担っているようだ。ジャン・ジャック・バーネルはそこまでベースをブリブリとは弾いていないが、相変わらずの太い音で作品の不気味さを演出している。自分でも驚くが、この手のサウンドを普通に惹き込まれるように聴けているのはどうしてだろう?作品の質が高いのか、どこか魅力的な面があるのか、面白さがどんどんと募って聴いている。ギターも無いのに…、意外と良い作品。





Eddie Harris - E.H. In the U.K.

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Eddie Harris - E.H. In the U.K. (1973)
E.H. In the U.K. by Eddie Harris (2013-11-20)

 目立つベーシストって誰がいるかな…と思い出しながらライブラリを見てて、クリス・スクワイアがいるなぁ…と。ただ、この人はずっとイエスマンだったから70年代のソロアルバムは一枚しか出していない。その後の作品ではどうしても意味合いが異なるのでなかなか手を出しきれないし、何か無いかと探してると面白いのが出て来た。珍しくもセッションアルバムに参加しているだけなので、クリス・スクワイアがどうのと言うのでもないが、そんなきっかけで聴いたアルバムが面白くて、なるほどこういうのもあるのかと。まだまだロックの世界は奥深い。人知れずそんな所でのセッションがあるとは、と言っても自分が知らなかっただけだろう。

 Eddie Harrisというシカゴのサックス・ピアノ奏者の「E.H. In the U.K.」なるアルバム。タイトル通りにロンドンのスタジオセッション作品だが、メンツが面白い。ボズ・バレルにアラン・ホワイト、アルバート・リー、ニール・ハバード、ズート・マネー、イアン・ペイス、リック・グレッチにクリス・スクワイア、ジェフ・ベック、スティーブ・ウィンウッド、トニー・ケイと錚々たるメンバー。しかも73年録音なので、正に皆さんそれぞれ全盛期の腕前で想像出来ないような面々が一緒にやってる。その手前に音楽的な面でエディ・ハリスも先進的な取り組みを図ってて、エレクトリックサックスによる妙な音の使い方を実験しつつ、ロック・プログレッシブ連中をバックにジャズからは大きく逸脱したある種融合サウンドを奏でている。ロック側から聴くと正にロックの範疇の作品。ジャズからすれば邪道だが、この頃のクロスオーヴァー的作品として捉えれば最先端のサウンド、とも受け取られただろう。かなり聴き応えのあるサウンドが詰め込まれている。

 ボズ・バレルのベースがここまでこなれているアルバムは初めて聴いたかもしれない。それくらいに伸び伸びと自在に弾いている。そこでギターを弾いているのがジェフ・ベックなセッションもあり、まだフュージョン作品をリリースする手前のセッションなので、こういう所からの刺激もあって「Blow By Blow」が出来上がったのかもしれない。夢は膨らむ。ボズ・バレルにしてもクリムゾン離脱〜バドカン直前の境目な時期だろう。アラン・ホワイトがここまで器用にドラムを叩くのかとの発見もあるし、イアン・ペイスですら同じくだ。クリス・スクワイアとスティーブ・ウィンウッドのセッションでドラムがアラン・ホワイト、ムーグがトニー・ケイってのはなかなか不思議なセッション。クリス・スクワイアのグイグイ引っ張るベースセンスは流石。こんな名前見たらオールドロックファンは確実に聴きたくなるだろう。

Jack Bruce - Out Of The Storm

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Jack Bruce - Out Of The Storm (1974)
OUT OF THE STORM (IMPORT)

 もう一人の名高い往年のロックベーシストにジャック・ブルースがいる。クリームでの活躍からベーシストとしての才能は世間に知れ渡り、皆が目指すベーシスト像にもなっているが、同じように弾くスタイルでは個性があまりにも強烈過ぎたため憧れの存在として置かれている。そのジャック・ブルースもクリーム解散後はソロアルバムを制作し、マウンテン組と組んだアルバムをリリースしながらもまた解体、その1974年に4枚目のソロアルバム「Out Of The Storm」をリリースしてきた。環境からアメリカのミュージシャン組、ジム・ケルトナーやジム・ゴードンを迎えての作品に取り組み、なかなかの傑作に仕上がっている。その傑作度合いの測り方が難しくて、これまでのソロ作品風味よりはアメリカン的なスタイル、空気感を持ち込んでいるのは明らかだが、楽曲の良さが少々物足りなく感じる事からどうしても名作的にはならないようだ。

 Jack Bruceってクリームでもあれだけ曲書いてたのだから、もっとキャッチーに自身を際立たせる作品も書けただろうと思うが、本作で聴ける作風は、こじんまりと身の詰まった楽曲郡が多いように思える。ベースが目立つ程でもなく、歌で聞かせるでもなく、曲の良さが際立つものでもない。幾つかプログレッシブな展開を聴かせる曲もあるが、どこか中途半端な印象も否めず、他の楽曲にしてもやはり何かに秀でている面はなかなか見つけにくい。ただ、充実した作りだと言うのは何故か伝わってくる。声のゆとりだろうか、ベースプレイだろうか、ドラムやギターを除いてベースと歌だけを聴いているとなるほど、ジャック・ブルースってこういう思考回路で頭と指が繋がっているな、と分かりやすくなる。そんな聴き方する事もないだろうが。幾つかベースがぶっ飛んだスタイルを聞かせてくれるのはさすがにソロアルバムならでは。

 ギターが双璧を張っているくらいにプレイされているので誰かと思ったらスティーブ・ハンター=ボブ・エズリン関連の作品によく起用されるギタリストで、アリス・クーパーやルー・リードの所でもギターを弾いていたらしく、ここでもそんな経験値が活かされてるのか、割とインパクトあるプレイが随所で聴かれる。更に作詞には盟友ピート・ブラウンを迎えているので、自分的には歌詞を把握してはいないが、いつものようにリリカルな内容なのだろう。ジャケットの陰鬱さもアルバムのムードを象徴しててなかなかの作品。





John Entwistle - Rigor Mortis Sets In

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John Entwistle - Rigor Mortis Sets In (1973)
死後硬直(紙ジャケット仕様)

 ロックの世界のベースマンも数多くいるが、殊更にベースマンのアルバムを聞きまくる程には聴いていない。どうしたってバンドの中のベースマンの位置付けだからこそ目立つ方が大きく、楽曲の良さやベースの活かされ方が異なるからだろうか、ベースの目立つベースマンのアルバムはさほど多くなさそうだ。それでも恐るべしベーシストとして知られている人はソロアルバムを幾つもリリースしているので、ふと思い出したのがジョン・エントウィッスル。この人の場合はThe Whoで存分にベース弾きまくってたので、ソロアルバムだからベースマンアルバムというようにはならず、自分の昔から好きなロックンロールを自分でやりたいという趣向からの作品ばかりだ。それでもベースのミックスが実に大きく、更に歌ってもいるから好きで趣味で作ってます的要素が大きい。本人に言わせるとThe Whoのアルバムはベースを録音したらもうヒマだからソロアルバムを作ってるという話。The Who活動期にソロアルバム何枚も出してるのはそういう話なのかと。面白い人だ。

 John Entwistleの1973年リリースの三枚目のソロアルバム「Rigor Mortis Sets In」。この人の趣味センスは常人からちょいとズレていて、いつも妙な所に着眼している。蜘蛛やお墓…、単語で書くとそうでもないが妙なセンスの人だ。このアルバムも邦題は「死後硬直」と直訳してみれば妙なセンスも分かるだろう。客寄せのためのヘンさでもないので、実際趣味だと思う。The Whoのサンダーベースと讃えられたベースマンのソロアルバムなので、弾きまくりを期待したいが、毎度の事ながらオーソドックスなR&Rが繰り広げられる。幾つかのカバー曲と自身の作品だが、それも安直なR&R風味なスタイルで、どこかに目立つポイントがあるようなソロ作品でもない。ホント、ヒマに任せて空き時間に趣味で作ったのかもな、と思えるようなアルバム。

 ただ、それでも全盛期のジョン・エントウィッスルなので、しれっとさりげなくドライブしたベースラインをブリブリと弾いているのはさすが。そうして耳を傾けると音色の太さも目立つし、当然ながらいつもThe Whoで聴けるジョン・エントウィッスルの音。歌も自身で歌っているが、割とクセのある歌声なのでこれはこれでB級バンドでもやってたらなかなかクセのあるボーカルだったかもしれない。しかしまぁ、ヘンなタイトルも多いし、「Mr Bass Man」なんて古い古いR&Rのカバー楽曲を持ってくるあたりもユニーク。ベーシストのソロアルバムだから、という狙いで聴いてはいけないが、普通にR&Rバンドの作品として聞けば…、そうでもないか。やはりThe Whoのベーシストのソロアルバム、だ。「My Wife」が出てくるとホッとする部分はあるものの、The Whoバージョンと大差ない出来映えなので、これはこれで困る。



Jaco Pastorious, Pat Metheny, Bruce Ditmas, Paul Bley - Jaco

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Jaco Pastorious, Pat Metheny, Bruce Ditmas, Paul Bley - Jaco (1976)
Jaco

 軽快に聴くジャズ、アドリブプレイを存分に楽しむジャズ、音楽的実験色を強く試す機会のジャズ、実に様々なジャズの手法があり、そこまで意識しないとジャズって?みたいな感じを持つ事にもなる。そもそもロック聴いてる人達はどこまでジャズを真面目に聴くか、というのもある。自分も昔からジャズは聴いていたものの、単に心地良いからという理由が大きかったし、ロックとは違う世界を聴いておきたい、そこに身を委ねたいという面が大きかった。それはいわゆる音楽的な聞き方への欲求だったのかもしれない。

 Jaco PastoriousとPat Metheny、Bruce Ditmasを引き連れてのPaul Bleyリーダー作の「Jaco」。1974年録音の1976年リリースらしいが、この時点ではまだジャコもそこまで知名度は無い頃。パット・メセニーもデビュー前なので、アルバムリリース時にようやく知名度が多少という時点。ブルース・ディトマスにしてもこれがデビュー作に等しい時期だからフリージャズの第一人者でもあるポール・ブレイ主導のECM的作品に若者たちが貢献した、という状況。時代が流れた後は逆の現象とも感じるが、やはりポール・ブレイのフリー電子ピアノ感覚は凄い。この人、カーラ・ブレイの旦那さんでもあったのか、納得。ここで聴けるポール・ブレイの発展的才能のピアノの弾き方はアバンギャルドで前衛的でありながらテンション高い旋律を叩き出している。ジャコの圧倒的フリーランニングベースプレイがぶっ飛びモノだが、更に突出しているのがブルース・ディトマスのドラム。これが凄い。この若き時点でこれだけのフリージャズドラムが叩けるどころか超絶プレイだ。

 この二人に比べるとちょいと出遅れている感があるパット・メセニーのプレイは後の彼のプレイスタイルが完成されていない時点でのセッションだからだろうか。当然ながらハイレベルな取り組みで見事なフリーセッションを繰り広げているし、しっかりと電子ピアノの旋律にも対応しているが、目立ちにくい。ジャコが凄すぎるからか。じっくり聴いているとパット・メセニーのプレイもピアノと差がないくらいに鳴っているが、その後でジャコがもっとブリブリやってるからそっちに耳が向いてしまう。いやはや、とんでもないセッションアルバムだ。音楽的にリラックスする聞き方を望む場合は聞けないアルバムだが、聴いているウチにこのテンションの高さに惹き込まれてしまうのはこのメンツならでは。ジャケットもタイトルもジャコリーダー的な売り方になっててそれもカッコ良いが、中身もこれまた素晴らしい作品。



David Benoit - Best of 1987-1995

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David Benoit - Best of 1987-1995
Best of 1987-1995

 ちょいと現実逃避的に軽快なフュージョンナンバーを耳にしている。純粋にフュージョンと言うよりはフュージョンファンクと言うのかジャズ・フュージョンと言うのか、その手のサウンドを聴いていると耳に付くのはメロディや旋律ではなく、ベースライン。この手のを聴いて楽器やろうと思ったら絶対ベースを選ぶ。こういうベースが弾きたいか、こういうベースを相手にギター弾きたいかと問われるとそれは違うと答えるが、聴いているとどうしてもベースラインが流れていく、歌メロの代わりに旋律を奏でているようにも聞こえるし、裏メロを取り続けているとも聴こえて面白いから。だからと言ってこの世界のサウンドに詳しくもなく、ずっとハマる事も考えられないので、ちょこっと手探りで聴いてみる。

 David Benoitなるピアニストの1995年までのベストチョイスに未発表曲も加えたベストアルバム「Best of 1987-1995」。何気なく紹介があって聴いてみたら歯切れ良くソリッドでタイト、それでも軽やかに旋律が奏でられてピアノが強烈な音色で主張してきて面白く感じたから丸ごと聴いていた。これもまたベースラインが見事な流れだなと聴きながら調べてみればネイザン・イーストとクレジットされていて納得。こういう素晴らしきキャリアを持つベーシストをクラプトンは持ってきたのかと不思議に思うが、ネイザン側からしたら割の良い仕事だからそういう職場に行くのも当然かもしれん。先日も、とあるセッションライブを見ていたら、その本人がステージ上で仕事としてのバンド活動と自分が好きでやってるバンド活動じゃまるで楽しさが違うと言ってたから、傍目から見るバンド活動やバンドへの参加メンバーと見るのとロック小僧的な好き加減でやるバンドとは違うのだろうと。

 話逸れてしまったが、David Benoitのピアノが際立って響いてくる楽曲ばかりで、自身名義のアルバムだから当然ではあるが、こういうのはジャズセッションと同じく脈々と続けられているアルバム作りか。そこからソロ名義へ進む人もいるのだろう。それにしてもグッと重みと演奏面に重心を置いた音楽としてなかなか頼もしく聴いている。時々入ってくるボーカルもアクセント的に聞きやすくて良い。こういう音楽的なものがさらりと出来る程の才能があれば楽しかっただろうな…。