ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

Patti Smith - Gung Ho

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Patti Smith - Gung Ho (2000)
ガン・ホー(紙ジャケット仕様)

 時を経て、2000年になり、70年代の熱気は何処へやら時代は変貌しながらアーティストを置いてきぼりにする。そして残酷なまでに人を亡き者にしていく。その波に呑まれた者もいれば、その周囲で苦痛を味わった者もいる。ミュージシャンやアーティストがその憂れき目に会い、しばらく時間が経つとその思いを込めた作品が登場する事もある。パティ・スミスの復活劇はそんな背景から実現しており、それは幸か不幸か素晴らしく重いアーティスト、ロックの世界に必要な楔を打ち込んでくれた。どうしてここまで作品の重さが違うのだ、と言うくらい重い。本人がそこまで意識しているかどうか分からないが、人生の重みがなければ出せない音だと思う。

 Patti Smithの2000年リリース8枚目のオリジナルアルバム「Gung Ho」。アルバムジャケットにはパティ・スミスの父親の写真が使われ、珍しく本人がジャケットに登場しないアルバムになっている。それで作品が何か変わったか、と云われるとそれは無い。それどころか70年代の作品から90年代の作品の重さを抜け、ひたすらに内省的な作風から外に発散していく方向が感じられるアルバムになっている。重さは相変わらず、どころかもっと重みを増しているかもしれないが、そこに力強さが加わっている事で前進する向きが感じられる。これほどに力強く訴えてくるアルバムやバンドはホント、他にはそうそう見当たらないし、音の出来映えがどうのって言う話でもなく、正にパティ・スミスの歌声、魂がそのまま伝わってくるからに過ぎない。素人にそこまで感じさせてしまう作品って、どこまで本物感あるのだろう。生で見て聞いたらとんでもなく響くだろうよ。

 って実際1997年頃の来日公演を2回位見に行ってて、その重さとパワーにぶっ飛んだ記憶が蘇ってきた。あまりにも重くて受け止められなくて以降の作品はさほど回数を聴けていない。辛いから。それでも聴くと力強さをもらう。このアルバムはそういうパティ・スミスの前向きな取り組みがそのまま伝わってくるから、自分に元気が無い時にでもじっくりと聴くとスピリッツ的に前に進もうと言う気になる。この安心感は凄い。母なるロッカーの強さか。旧友のトム・ヴァーラインも参加しているし、いつものレニー・ケイも参加している。更には息子のジェイソンも父母の共作曲でギターを弾いているという感動。まだ未発表作品があったようで、こうして家族3人の共演を実現させているのは素晴らしい。これぞ愛、だ。





Tom Verlaine - Tom Verlaine

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Tom Verlaine - Tom Verlaine (1979)
醒めた炎

 ニューヨークパンクとはなぜ名付けられたのだろう?そう訊きたくなるくらいにはロンドンパンクやいわゆるパンクの持つイメージとは異なるサウンドが展開されている気がする。ラモーンズのスタイルとロンドンパンクのスタイルは合い通じるものがあるのは理解できる。しかしそれ以外のニューヨークパンクとはどこもパンクという単語で共通する部分は聞かれない。あるとしたらアンチテーゼやスタンス、ポリシー、世間に対するメッセージ、などだろう。その意味では確かにパンクエッセンスが共通する。故にその先でのパンクという使われ方だったのだろう。

 Tom VerlaineがTelevision解散後にそのままテレビジョンの3枚目のアルバムと言わんばかりに普通にリリースしたソロ名義でのファーストアルバム「Tom Verlaine」。1979年リリースで、正に身内のメンバーを集めてのレコーディング作品だが、それでもパンク史上に残る名盤として語られる。テレビジョンの方が印象は強いが、更にアート的発展性という側面での本作は素人が聴いても素晴らしい進展と思う。以前聴いた時はこのセンスと歌声に馴染めなくて苦手な部類だった。ましてや歪んだギターと言うよりはニューウェイブ的にも聞こえるクールで硬質なギターサウンドだ。どこがパンクで攻撃的なんだ?と言う未熟な部分もあって、ほとんど聴いた事が無かった。その辺からニューヨークパンクはあまり手を出さなくなったかな。パティ・スミスは別物としてね。

 このアルバム、今聴くと実に芸術的でセンス抜群。好みじゃないが、音が入ってくるセンスが絶妙。ただ、少々ナヨナヨした歌い方は苦手。デヴィッド・ボウイほどの落ち着き感は無いからまだまだこれから、と言った所だろうが、ギターサウンドは面白い。これもまたブルース色なしのロックギターオンリー、というフレージングばかりで、その源泉はどこから来ているのだろうか?そんなルーツが見えない不思議サウンド、オリジナリティあるから頼もしい。






Richard Hell & The Voidoids - Blank Generation

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Richard Hell & The Voidoids - Blank Generation (1977)
Blank Generation [12 inch Analog]

 昔からロンドンパンクはやはり派手でカッコ良く見えたのもあって飛びつきやすかったし、聴いててもソリッドでシンプルでストレートだった。一方のニューヨークパンクは少々オシャレなサウンドと云うかアート的側面もあったのでどこか肌に合わない部分もあった。ただ、ニューヨークドールズのR&Rスタイルは好きだったからパンク以前の狂暴なR&Rスタイルというあたりは好きだ。それは今も昔も変わらない。それでニューヨークパンクのバンドを大抵聴いたのか、となると覚えている程は聴いてない気がする。レコードは結構買ったけど聞く回数が少なかった。

 Richard Hell & The Voidoidsの1977年リリースのファーストアルバム「Blank Generation」。俗にニューヨークパンクの名盤として語られる事の多い一枚。サウンド的には別に彼等が最初じゃないし、音楽的に優れているモノでもない。ただ、このパンクスタイルを創り上げたのはリチャード・ヘルなのだろう。ツンツン頭に破れたシャツに暴力的なイメージ、どれもこれもがSex Pistolsに影響を与えた、と云うよりも仕掛け人のマルコム・マクラレンに英国に持っていかれた、とも言えるか。音を聴いてても確かにSex Pistolsと同じサウンドのスタイルだと今なら分かる。パンクってそういう風に聞かないから意識してなかったが。そしてロンドンパンクよりもやはり小洒落ている、と言うのかアート的側面が強い部分あると言うのか、これぞニューヨークと言う話なのか、明らかな違いもあるから面白い。そこは多分ギタリストのプロさ加減なのだろう。

 Televisionでトム・ヴァーラインと喧嘩し、ジョニサンとこでもジョニサンと合わず、結局自分でバンド組んで出て来たってのもそうそう簡単な事でもなかっただろうし、音楽的な相棒が必要だったのか、と深読みもする。このアルバム、当時売れたのかな?ロックの名盤カタログ見ると必ず出て来るけど、セールス面はそこまでと言う気もする。ただ、記念碑的な作品として今でも愛されているし、確かにこの時代にしか出てこないサウンド。妙に下手じゃないのはさすがにアメリカ、か。





Johnny Thunders - In Cold Blood

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Johnny Thunders - In Cold Blood (1983)
In Cold Blood by JOHNNY THUNDERS

 時を経て聴けば聴くほどにどうしてそこまでカリスマ的に持ち上げられてしまったのかと不思議になるジョニー・サンダース。昔はやはり伝説だったし、とてつもなくR&Rな人というのもあったし何と言ってもNew York Dollsの破天荒なバンドのリードギタリストというのもあって神格化されるのも分かる気がしていた。ところが時代を追う毎に次々と色々なライブアルバムや未発表セッション集が発掘リリースされ、それはハードコアなリスナーのためにリリースしているのかもしれないし、カネ稼ぎのためにリリースしているのかもしれないが、嬉しい反面、どうしようもないクォリティのアイテムも多かった。だから神格化する程のものじゃないアイテムもあって、冒頭の駄文に繋がる。

 Johnny Thundersの1983年リリースの当時から変則の2枚組アルバム「In Cold Blood」。1枚目は5曲のスタジオ録音作品が入ってて、2枚目はライブが入っているという作品。その1枚目のスタジオアルバムにしてもそこまでここで発表しなきゃならん程の作品なのか?と問われれば決してそんな事もなく、もっとしっかりと練って、もしくは絶好調の時に録音するというリリースの方が良かっただろうと思うばかり。強烈にカッコ良いのが出来たから早くリリースしたい、という趣向ではないのは明らかな気がする。タイトル曲「In Cold blood」は気合満点の作品なのでいち早くリスナーに届けたいという収録は分かるが、そこを超えるとどうしてもやっつけ的な印象が強い。アルバムリリースしなきゃな…って感じか。

 2枚目のライブアルバムは1983年8月のライブから収録されているが、これもかなりキツいいつも通りのダラダラなライブとも言える。故にどうしてジョニー・サンダースは伝説のロックンローラーになってしまったのだろうと。このライブ聴いているとそりゃヤク漬けでボロボロなのかもしれないが、それでもライブはしっかりと見せるという姿が無けりゃロックのカッコ良さが成立しないじゃないか。そんな不満を持ちながらも結局最後までこのヨナヨナのライブを聴いてしまった。昔も聴いてて何だかなぁ…と名前の割にどうしようもなくキツいライブのギャップに唸ってた記憶がある。勿体無いなぁ…。





Hanoi Rocks - Another Hostile Takeover

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Hanoi Rocks - Another Hostile Takeover (2005)
Another Hostile Takeover by Hanoi Rocks (2005-07-05)

 ハノイ・ロックスと言えばどうしたって80年代の解散前の方をイメージしてしまうし、再生誕後のハノイ・ロックスってマイケル・モンローとアンディ・マッコイしかいないからそこまでハノイ・ロックスと言い切れないバンド、と云う印象もある。とは言ってもその頃はもう嬉しくて楽しくてハノイ・ロックスだ〜!ってライブ行ったりアルバム聴いたりしてたから、否定的に見てたワケではない。時が経ってみるとどうしても古い時代の方がハノイ・ロックスらしい、って思うだけで、それは単なる印象。今やどちらのハノイ・ロックスも貴重な音。

 2005年にリリースされた再生誕ハノイ・ロックスの二枚目となるアルバム「Another Hostile Takeover」。かなり称賛を得たアルバムだったが、実はこの頃バンドはほぼ解体中、アンディ・マッコイとマイケル・モンロー以外のメンバーが皆抜けてしまってて、ドラマーだけは在籍してたから録音できたらしい。そこからはマイケル・モンローがベース入れたりアンディ・マッコイがギター重ねたり、色々と苦心作だったようだ。アルバム聴いてるとそんな事全然感じないし、皆で派手に賑やかに色々なサウンドを混ぜ合わせて楽しそうにやってるようなロックサウンドが入ってる。それだけアルバムとしてはよく出来ている…、そういう危機だったから一生懸命作ったんだろうね。だから見事なアルバムに仕上がっているとも言えるのか。リスナー側はホント、これだけバリエーションに富んだ作品はこれまでに聞いた事なかったし、かと言ってどれもこれも確かにハノイ・ロックス風に聞こえるからやはり充実した再結成なんだな、と思ってた。

 見事にR&Rからレゲエ、カリプソ風味にスパニッシュ、グルーブするロックなどどれもこれも捨て曲無しによく出来た楽曲が並んでいる。アンディ・マッコイもマイケル・モンローも作成時の苦労を忘れる頃になればこのアルバムが実によく出来ている事に気づいてくれるかな。自分もあまり何度も聴くアルバムじゃなかったが、今回久々に聴いてみて凄くよく出来たアルバムじゃないか、って思ったもん。ハノイ・ロックスらしさが少々足りないのはあるものの、それでもやはり楽しい曲が立ち並んでる。



Andy McCoy - Soul Satisfaction

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Andy McCoy - Soul Satisfaction (2018)
Soul Satisfaction

 アンディ・マッコイの活動を漁ってたら、自分の情報の疎さにつくづくと呆れてしまった。2016年にシングル一曲リリースしてて、その後2017年にも一曲リリースしてた。その辺からPelle Mijloona OYにも参加しつつ色々と活動が盛んになっていたらしい。そして2018年には4曲入のミニアルバムもリリースされていたので驚いた。今度の新作アルバムには幾つか収録されているらしいが、とりあえずこちらから聞いていこう。

 Andy McCoy名義での「Soul Satisfaction」というアルバム、2018年リリース作品。この人の場合は特に作風がどうしたいと云うのがある事もなく、そのまま音が出て来るという感じで、どこからどう斬ってもアンディ・マッコイ節のR&Rが面白い。あと個人的に面白いのは使っているギターがコロコロ変わるので、その辺も楽しみながら聴いている。この辺ではファイアーバードを中心に使っているみたいなのか、その音そのままがアルバムにも入っているようだ。軽快なR&Rで音的にはややジャリっとした感じのサウンド。良いねぇ、ファイヤーバード。そして曲調はメランコリックなムードもありながらのメロディにR&R、歌ももちろんアンディ・マッコイ自身で歌っていて、この人ホントにミュージシャンな人だからああ見えても凄い才能なんだよ。

 YouTubeで見て初めて知るだろうけど、スパニッシュギター弾いちゃう人です。元々ジプシーの血が入ってる人だから弾けて当然かもしれんが、それでも普通にこういう風に弾けちゃうのは驚き。よくよく聴くとアルバムでもそういう音がおまけ的に入ってきたりするから、自分で弾いてたのかと。そんな一面もありながら敢えてこういうR&Rスタイルのサウンドを今の時代でもリリースしてくるのだから、やはりロックンローラーだ。60歳前後でこのスタイル、衣装、ギタープレイ、全く素晴らしいじゃないか。そしてこのミニアルバムからフルアルバムへと進めた現役感バリバリのR&R。見事過ぎるアンディ・マッコイの復活。