ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

Rock Candy Funk Party - We Want Groove

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Rock Candy Funk Party - We Want Groove (2013)
We Want Groove

 音楽家としての才能、プレイヤーとしての才能、アレンジャーとしての才能、プロデューサーとしての才能、音楽やロックに纏わる才能は様々な所で生かされるし発揮される。当然アートワークやファッションセンス、ステージデザインや音響という世界もあるだろう。それぞれの才能が秀でていてもシーンで目立つ存在やずば抜けて名前が売れる存在になる事は多くもない。人はそれぞれ凡人でありながら何らかの才能を何かと引き換えにしている。ミュージシャンはそれが凄く極端でもあるし、才能があればあるほどその他の事に疎くなる傾向もあろう。だからこそのドラッグへの依存も隣り合わせにある恐怖。なかなか痺れる話だが、生きるバランスと自分自身の才能とのバランスを上手く使い分けている人の一人にジョー・ボナマッサがいる。いや、最近ずっとお気に入りなのでね。

 Joe Bonamassaが参加したプロジェクトと言うので聴いてみたRock Candy Funk Partyの2011年リリースのファーストアルバム「We Want Groove」。バンドのジャンル的にはソウルファンクフュージョンになるので、文字通りそこにロックブルースを入れているのがジョー・ボナマッサの役割。なるほど、聴いているとこれはもうそのままに全てをミックスして出しているからそれ以上でもそれ以下でもなく、バンド名=バンドスタイル。ただ、ジョー・ボナマッサが参加した事でロック的ブルース的ギターエッセンスが強まったのは事実だろう。普通にこの手のサウンドをプレイするギタリストの華麗なギタープレイとはひと味もふた味も異なる個性を持ったジョー・ボナマッサのギタープレイは確実にこのバンドの幅を広げている。ともすれば上手いだけ、になりがちなプレイに現代ブルースで培った魂スタイルが入り込んでくるから味わい深くなる。そこを見越しての勧誘、加入だったと思われるが。

 バンドメンバーはぱっと見は地味で名も知れぬ人たちばかりに思えるが、全員プロ中のプロミュージシャンばかりで、有名な所では鍵盤奏者のRenato NetoはプリンスのNPGの鍵盤奏者でもあって、その後にこのプロジェクトに参加しているし、ドラマーのTal BergmanはRock Candy Funk Partyの創設者でもあり、仕事としてジョー・ボナマッサの所でドラムを叩いていたのでその縁で本プロジェクトにジョーを誘ったのだろう。好奇心旺盛なジョー的にはそりゃ参加するだろうな。アルバム聴いてても普通に凄く上手いバンドで洗練されててオシャレだなと思うのに、そこにジョー・ボナマッサのギターがいつもとは異なるプレイスタイルで入ってくるのはなかなかユニーク。ジョー・ボナマッサもオシャレで綺麗なギターを弾く方だが、こういう洗練されたサウンドの中で聴くと、随分と人間臭いなと実感する。やはりブルースの血は心の奥底から出てしまっているのだろう。そういうアンバランスさも含めて案外と面白くてオシャレなサウンド。





The Dead Weather - Horehound

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The Dead Weather - Horehound (2009)
Horehound by Dead Weather (2009-07-14)

 時代の流れだろうか、才能あるミュージシャンは常に幾つものプロジェクトを抱えてひとつのバンドのブレインには落ち着かない場合が多い。昔でもデヴィッド・ボウイがそういう位置付けにあって、自身の作品のみならずの楽曲提供やプロデュース支援、バックバンドへの参加やアーティスト同士のハブ機能になったりと才能ある人間ならではの活動が広がっていったがそれはまだ分かる範囲内。今どきのはもうバンドやユニットそのものが異なる中でアルバムリリース、ライブ活動、そしてそこからの発展などと音源が売れないが故にライブ中心の活動に於いて幅の広がる動きが多い。世界中そういうモノらしい。

 ジャック・ホワイトがラカンターズのツアー中に出来上がった動きからの新たなるプロジェクト、The Dead Weathersの2009年リリースファーストアルバム「Horehound」。ここでは天才ジャック・ホワイトがドラムに座っての活動。ボーカルにはThe KillsのVIVI嬢を配してのスタイル。これがまた不思議な事にジャック・ホワイトが全てをプレイしているテープそのままにやっているのだろうと思わざるを得ないくらいにジャック・ホワイトのガレージ世界。ギターは自分では弾いていないくせに全くジャック・ホワイトと同じフレーズ、雰囲気、音作り、リフスタイルという所からも明らかにバンドの一枚目としてのスタンスを出し切っている。一方の歌世界でも女性が歌っているからもっと綺羅びやかで、とも思いがちだが、そもそもジャック・ホワイトの歌声がとてつもなく高いキーにあって金切り声とも言えるスタイルだから、このバンドでは女性が歌いつつももっと落ち着いたムードを保っている、即ちクールなガレージスタイルのバンドという風変わりな作品が出来上がった。そこを狙ったようにも思えるし、何よりも楽しめたのはジャック・ホワイトのドラムスタイル。これがジャック・ホワイトのやりたかったドラムスタイルなら、ホワイト・ストライプスでのメグのドラムはそもそもジャック・ホワイトが狙っていたスタイルそのもので、メグが何かという話でもない。なるほど、こういうのが叩きたかった、バックで鳴っていて欲しかったドラムなのかと納得。完全なるソロアルバム作るなら全て自分好みのスタイルでプレイするのもあるだろうが、それだけでは成り立たないだろうし。

 ジャック・ホワイトはドラムしか叩いていないし、楽曲作りも全てというワケでもないらしい。それでもこれだけジャック・ホワイト流スタイルが出てきているからには皆がそこに着いて行ったのだろう。そういう人だ。今まで誰も到達していなかった世界をどんどんと切り開いて創り上げているし、これがまた面白くてユニークな世界、更にはロックらしい世界だから耳にしたらハマれる。この抜けの良さはなるほど別のプロジェクトを始めるハズだと納得。





The Raconters - Broken Boy Soldiers

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The Raconters - Broken Boy Soldiers (2006)
Broken Boy Soldiers

 ジャック・ホワイトを見ていて、ホワイト・ストライプスの二人組だけでの活動っていつまで出来るんだろうとは思っていたが、案の定通常のバンドスタイルによるバンドをサイドプロジェクトで昔の仲間を集めて組んだ、と聞いた。そりゃそうだろうな、とさも普通に思ったのも事実。そして通常のバンド形式でやってしまうとそれがやりやすいスタイルと言う事にも改めて気づくだろうし、そっちが主になるかもと漠然とは思った。どうもその頃ホワイト・ストライプスの方があまり上手く行ってなかったようで…、ってメグとの話か。そんな事で類まれなる才能を発散すべく組まれたバンドがThe Raconters。

 まだホワイト・ストライプスが活動中だった2006年にリリースされたファーストアルバム「Broken Boy Soldiers」はあれやこれやと話題になるバンドの面々と組まれたバンド、というのもあって結構な勢いで知られていったらしい。自分的にはそのほかのバンドのメンバーをよく知らないからこれがスーパーバンドなのかジャック・ホワイトの人脈で好きに組んだバンドなのか、よく理解できていない。ただ、ジャック・ホワイト絡みで入って聴いているから、そこから他のメンバーの力量なりが気になれば進んでいくかな。とりあえずのファーストアルバムを聴く限りは相変わらずのジャック・ホワイトのスタイルが全面に出てて、オールドスタイルと呼ばれる作風、ロックスタイル、ガレージブルーススタイルが並ぶという感覚。そこに当然ながらのアメリカ土着的な空気感、カントリーチックなスタイルやブルースも入り込んでくる様子。

 古き良き英国ロックの風とも言われるが、そこよりもアメリカチックだから無かった世界をオールドタイムに創り出しているというタイムマシンみたいなバンドの音。サイケデリックも入ってくるから60年代アメリカガレージサウンドとカントリー・ブルースの融合みたいな。ユニークなのはギターを聴かせる、みたいな側面がほぼ見当たらないという点。ギターソロと言う意味ね。ギターという楽器を最大限に発揮させるみたいなのはあちこちで聴かせてくれるから可能性の深さは呆れるほどに素晴らしく実感するが、単にソロプレイでの感激みたいなのは見当たらない。ユニークな人だ。今回はそれでも楽曲の味わい深さをバンドという単位でぶつけてきてくれるから、その分違う所に力を注ぎ込めたのだろうと。何風とも言えない見事なまでもジャック・ホワイト流アメリカンロックサウンド。





The White Stripes - Elephant

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The White Stripes - Elephant (2003)
Elephant

 類まれなる天才を感じる作品は常人が聴いているとちょっとヘン?って思えるフシがあるのも確か。だからロックの世界で突出してオンリーワンな人やスゲェ…ってのは大抵天才の作品だったりプレイだったりする。一方そこまででもないが、やたらと上手い人と言うのもいるので、そのヘンは勝手な解釈ながら聴いている。でも発想力のぶっ飛び具合からしてアーティスティックな人は凄いもんな。そういう意味でも思い出した人がジャック・ホワイト。今はソロで活動しているのかな。シーンに登場してもう20年近くになろうとしている人だから今や昔、かもしれない。

 The White Stripesの2003年リリース4枚目の作品「Elephant」。まさに絶頂期でもあったアルバムながらもロンドンレコーディング、且つとてつもなく古い録音機材、もちろんアナログテープでの録音に拘り徹底してそれしか使わなかったと言うから凄い。二人しか居ないメンバーなのに、その二人でほぼすべてを録音している、しかもメグはドラムと歌だけで他にはしていないからジャック・ホワイトの単独、文字通り一人で作っている作品。それだけならスタジオオタクでもできるだろうが、ここで凄いのはライブでもこれを二人で演るという前提での演奏でなければいけないから、無駄な音が入れられない。それでいてその時代でも受け入れられる音であるべき、という無茶苦茶なハードルをすべて超えてしまった天才の作品。ギターでこういうベース音も出るのか、という発見もあるし、ギターの幅広さも実感。不思議なのはメグのドラムのガレージセンス。彼女は決してプロフェッショナルなレベルのドラマーではないし、そこを目指してもいない。ただ、ジャックについて行くからというレベルで始めたドラムだろう。それでも唯一無二の個性を出している、ある種そういう人はプロの世界には極小だからだろうか。ジャックのドライブ、グルーブにはしっかりと合わせていってるから妙なチームワークで楽曲を活き活きとさせているユニークなスタイル。もしかしたら天才かもしれん。

 さてこの「Elephant」アルバムは4枚目ともなるので、かなりこなれている節も大きい。売れたから自由に出来ているのもあるだろうが、ジャック・ホワイトがやってみたい事全てが出来ている作品でもあろう。ギター一本とドラムと歌でここまで出来るものか、という極限、それでいてロック。当然ベース音がボトムまでは来ないから抜け感はあるが、だからどうした、そういう音など聴いた事ないだろ、と言わんばかり。曲のレベルの高さもキャリア一番じゃないだろうか。全くの名盤として讃えられるガレージブルース・ロック作品。メグの歌声も儚いアクセントを出していて、ブルースながらも妙な雰囲気が出されていてユニーク。こういう斬新な発想がロックを創り上げている。久々に聴いててものすごく馴染むロック、ガレージ感覚で、60年代のブルース聴いてる気になるもん。これは残されていく作品だろう。



Tyler Bryant & The Shakedown Truth and Lies

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Tyler Bryant & The Shakedown Truth and Lies (2018)
Truth and Lies

 Larkin Poeの軽やかなスタイルのサウンドを楽しんでいると所どころでTyler Bryantの名に出会う。ともすれば本人も彼女たちの部屋に行って一緒にセッションしてたりするのだから、こりゃま、そういう事なのだろうと思ってたら、先日結婚したらしい。なるほど、ナッシュビルガールとテキサスメンであの天才肌二人ならウマも合うだろうと納得。まだ若いからこれからの活動とライフバランスが難しいかもしれないが、どちらも頑張ってもらいたいな。そんなどうでも良い親心を思いつつもそれならば若手ロックミュージシャン期待の星でもあるダンナさんのタイラー・ブライアントを。

 Tyler Bryant & the Shakedownの2018年リリースの三枚目の気合の作品「Truth and Lies」。デヴューは2013年なのでもう結構なキャリアでの3枚目。一言で言えば往年のアメリカに根付いた土着的ロックサウンド。ハードロックと言うほどでもなく、サザンロックでもなく、ブルースとカントリーに根差したホントにロックらしいロック。昔で言うならジョージア・サテライツ的か。ギターとボーカル、メインシンガーは当然タイラー・ブライアントだが、もうひとりのギタリストにグラハム・ウィットフォード=エアロスミスのブラッド・ウィットフォードの息子さんが在籍している。顔見ると親子似てるのですぐ分かるが、そういう話題性もありつつ、しっかりと本物のロックスタイルをそのまま実現しているタイラー・ブライアントはかなり聴き心地が良い。何ら新しい所を感じる部分はないが、それでもエネルギーやパワーを感じる面も多くて楽しめる。

 聴いててアメリカの土着的ロックなのは実感するものの、そしてどこか誰かのようで何かで聴いた事あるような雰囲気曲調でもズバリと思い出せない。つまりそれらをすべてミックスした状況から出てきているから全くアメリカン・ロックスタイルそのまま。ブルースも入ってるから、親しみやすいし、音は歪んでるからハードロック的。ちょっと聴いてしまえば普通に流して昔からそこにあるかのようなサウンドとして馴染んでしまうレベル。凄いな、それ。





Larkin Poe - Venom & Faith

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Larkin Poe - Venom & Faith (2018)
Venom & Faith

 ロックシーンを眺めていて一般のリスナーでしかない自分が各メディアや極稀にライブを通して真の天才を感じる人はそれほど多くはない。身近にいればそりゃ天才を感じる事も多くなるだろうが、どうしたってリスナーは出て来る作品やライブ活動を見てその天才さを実感する必要がある。残念ながら音だけを聴いて天才を感じるのは難しい。映像見たりセッション見たり、ギターを好きで弾いてるをの見たりするとその凄さって分かる事あるが、普通にアルバム聴いてるだけだとそこまでは無い。今回のLarkin Poeもそんな類だ。ましてやミシシッピ州でカントリーチックに近いサウンドだからアメリカじゃもっとウケるだろうが、日本にはこの手のがウケる事はそこまではない。そういうバンドやアーティストもアメリカにはたくさんいる。その一つに入ってしまうだろう。

 Larkin Poeという姉妹二人組のユニット、しかも一人はホントに天才で、もうひとりも音楽的には相当天才だろうと思うが、これがラップスティールギター担当という珍しいコンビ。ジミヘンとデュエイン・オールマンが一緒にやってるってなモンか。歌は歌でこれまたソウルフルな歌唱力だからアデルも入ってる、みたいな印象。しかも天才的なレベッカの方はマンドリン、バイオリン、バンジョーも含めてすべて完璧にプロ的に弾けてしまうというレベル。このセンスの持ち主はホント、凄い。ギター弾いても当然同じくその天才的センスだし、更に美人さんだから非の打ち所がない。そしてロック魂たっぷりのお姉ちゃんに育ってる。先日Tyler Bryantと見事ご成婚されたそうで、似た者同士だからそりゃま惹かれ合いますな。お姉さんのミーガンのラップスティールプレイは普通にスライドプレイだけではなく、いわゆるストリングス系の音色を担っているので、ものすごく幅広い。一言ラップスティールギターと言ってもここまで幅広げて対応できちゃうのは革新的ですらある。そんな少女二人が始めたLarkin Poe、何が面白いって、YouTubeで「Tip o' The Hat」と言うチャンネル作って、往年のロック曲を二人で部屋でプレイしまくってる姿を見るのが一番。どう見ても自分の部屋だろ、それ。そこでiPhoneで録画、歌は生だけどこれがまた無茶苦茶上手いし、コーラスも見事なハモリ具合。この名曲カバー郡の素晴らしさにヤラれたと言っても過言じゃない。更にYouTubeで面白いのはJoe Bonamassaや他のブルース面とのセッションもあって、その天才ぶりを発揮してくれている。だからオリジナルが悪いはずないな、という聴き方。

 2018年にリリースされたアルバム「Venom & Faith」がやはり一番洗練されているか。その前の「Peach」はロック色強くて面白いし、こちらの「Venom & Faith」は更に推し進めた独自性の高さが発揮されている。こういうオリジナル作だけを聴いていると、ガレージバンドかとも思うくらいだが、その実ミシシッピブルース、カントリー的なサウンドが核にあってのロックスタイル。ギターのリフもさらりと幾つも美味しいのを開発しているしリズムにしてもそうだ。更に歌のメロディとギタープレイの絡みも何気にセンス良い。そこでまたスライドプレイが味付け凄くてドライブしまくってる。いやはや、こんなの聴けるとはね。つい先日日本に来ていたらしいが、知らなかった。残念。次来たら見に行きたい。ぜひYouTubeの「Tip o' The Hat」チャンネルを見まくってほしい。