ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

The Pretty Things - Freeway Madness

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The Pretty Things - Freeway Madness (1972)
Freeway Madness by PRETTY THINGS (2002-12-24)

 ロックの好みや音楽の好みなんてホント微妙な差で違いが出て来る。聴いたタイミングにもよるだろうし、曲にもよるだろう。だからちゃんと聴いてみないと好き嫌いって分からないのだろうなと云う気はする。The Pretty Thingsの1972年リリースの作品「Freeway Madness」は最初期のガレージサウンド、R&B風味のサウンドからは大きくかけ離れていて、勢いのあるR&Rが詰め込まれている。ピーター・トルソンのギターが妙にブルース・ロックで、バンドそのものの作風の中にそのブルースギターが入ってくるからユニークな作品に仕上がっていて、普通のR&Rとはちょいと一線を画しているものだ。楽曲的にもさすが中堅バンドと言わんばかりの美しいメロディや繊細な音作りもしているから安定して聴けるアルバム。それでもほとんど人気は無かったんじゃないだろうか。後の時代になって聴いてみれば秀逸な作品というのも分かるが、時代性なのだろうか。

 案外味わい深い作品で、R&Rからバラード、アコギ風味な趣味サウンド、そのどれもにブルースギターが被さってくる不思議。そしてコーラスワークが何気に美しく詰め込まれていてメロディ重視の部分も大きい。The Pretty Thingsってそういうバンドだっけ?今一度アルバムを幾つか聴き直してみないといけないかも。そんな事をふと思った。ストーンズと同じ時期に出てきて、時代の流れでメンバーがどんどんと入れ替わり、更には音楽性もどんどんと進化していったバンドだが、今作からしばらくは同じメンツ、同じ路線での作風が続く。しばらくは時代に迎合して安定してやっていけると踏んだのだろう。

 アルバムジャケットはあまりイケてないが、ヒプノシスのデザイン。この後はZeppelinのSwan Songレーベルに移ってのアルバムリリースが続くので、それなりに人気を博したか売れたりはしたようだ。その狭間となるアルバムで存在感は薄いが、まずまずの出来映えの作品。





The Sweet - The Rainbow Live in The UK 1973

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The Sweet - The Rainbow Live in The UK 1973
THE RAINBOW-LIVE

 元々の音楽性が異なっていたにもかかわらず、時代性を考えてその時代に合わせたサウンドを出していた事で、その筋の人達と思われてしまって、抜け出せなかった、みたいな珍しい例がThe Sweetだ。60年代末からシーンに登場していて、微妙にキャッチーなサウンドを出していたものの鳴かず飛ばず、グラムロックブームが到来した頃にはその波に乗ってシーンに出てきた。おかげでグラムロックバンドという印象が付いてしまった。ほんの一瞬だけグラムロックの恩恵に肖ろうとしたのに、ずっとそのままだ。実はもっとハードロック志向が強くて、アルバムもそういう類の作品が多数リリースされているが、一番売れたのがグラムロック時代の作品だから抜け出せきれてない。

 1973年の正にその絶頂期のライブアルバム「The Rainbow Live in The UK 1973」がリリースされていた。正にグラムロック期絶頂の頃のライブだが、見事なまでにハードロックのオンパレード。世間的に売れた姿なんてのはホントに見せかけだけのものでこれが自分たちの本領だぜと言わんばかりにハードに畳み掛けてくるカッコ良いロックアルバム。だから偏見を持ったままのリスナーにはコイツ聴いてもらうと割と誤解が解ける気もする。そもそもそういう印象を持っているのは自分だけかもしれないので、自分的にはこういうライブアルバムで呪縛から離れるのは重要だった。確かにハードロックっても歌メロはキャッチーだし、音もどこかポップ調ではあるからグラムロックとさほどかけ離れているワケでもない。

 この時代ながらギターヒーローが居ない、ギターを聞かせる程のソロパートがある事もない、楽曲は勢いだけでのキャッチーなサウンドが多いからどうしたってアイドルバンド的に見えちゃう。どこか華があればそうはならなかったのだろうが、グループ皆でやってたからかね。ただ、そういうのって難しいよな。本人たち一生懸命やってるんだし、リスナー側の勝手な解釈だから罪ないし。そんな事を思いつつも聴いていて、相当迫力と熱気のあるライブアルバムで、ホントに絶頂期な作品。



Be Bop Deluxe - Live in the Air Age

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Be Bop Deluxe - Live in the Air Age (1977)
Live in the Air Age by Be Bop Deluxe

 時代の変化と共に音楽性を進化させるバンド、それは時代の変化に着いていくのではなくて自分たち自身が変化をしていく事が時代を作り上げているのだ、と云う、自分たちが先頭になってシーンを変化させていくみたいな意味合いだ。結果的にそうなったのかもなぁ、と云うのが70年代中盤にシーンにいたBe Bop Deluxe=ビル・ネルソンだ。ボウイもそういう傾向があったし、他もそういうミュージシャンはいたが、ビル・ネルソンも影響力はそこまででは無かったにしても、積極的に新しいシーンに目を向けていた人だ。

 Be Bop Deluxeの1977年リリースのライブアルバム「Live in the Air Age」。いつのバンドだ?ってくらいに洗練されているサウンドとプレイスタイル。これまでのオールドタイプのロックからは明らかに一線を画したオシャレでポップでスマートなロック。正直自分的にはまるで好まない音になっているので、初期の頃からすれば全然違うバンドとも言える。ただ、それだけ進化して、また、そこに新しい要素=宇宙感みたいなのを取り込んでいる事で、テクノポップ的な側面を持つ事にもなっている。だから新しい世界が開けてきているようだ。当時YMOあたりが出始めた頃なので電子音楽も耳には入っていただろう。そのサウンドから未来と宇宙を想像して自分たちに取り込んだとも思える。

 冷静に今聴いてしまえば、モダンなポップ・ロック。歌メロがちょいと弱いか、という程度のソリッドなスタイルのバンドだ。ただ、これがライブアルバムと云うんだからちょいと驚く。それくらいにバランスも良いし演奏も完璧過ぎるくらいに完璧、更にビル・ネルソンのギタープレイが実に美しく華麗に弾かれていて、ライブ特有の熱気とはちょいと異なる完全性が見事。アルバムジャケットは映画メトロポリタンの一幕らしいが、さすが最先端を担うセンスのバンドだけあって、1977年の時点で堂々と出してきているあたりはさすが。



Slade - Whatever Happened to Slade

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Slade - Whatever Happened to Slade (1977)
Whatever Happened to Slade

 時流に合わせて作風を変化させながら生き延びる事を優先的に考えてバンドを続けるという策もあれば、やれる事は大して変えられないからそのままのスタンスで時流を無視して貫き通す、その代わり売れなくなるリスクは大きくなるという条件の中でアルバム制作を進めていく事もある。今となってはどちらが良いのかは分からないし、当時も答えは無かっただろう。ただ、時流に合わせていってもなかなかそのように進まなかったバンドの方が多かっただろうと。かと言って一本調子でバンドを継続させていけたというのも少ない。やはりポップミュージックシーンは難しい。

 1977年にリリースされたSladeの7枚目のアルバム「Whatever Happened to Slade」はこれまでのスレイドが築き上げてきたグラマラスでポップでキャッチーなパワーポップ的サウンドそのままの作品なので、今聞いてみれば全く納得のスレイド感満載のアルバム。ただ、1977年当時とすると既にパンクロックに時代は移り変わっていた中でのこのキャッチーなサウンドはまるでウケなかった。ロックの世界は進化していたのでスレイドのサウンドは既に終わっていたという烙印が押されていたことが要因だ。それはそうだろう。そんな空気に気づかずに自分たちのロックをそのまま出してきてくれたので、ある意味安心でもあったが、古臭い音とも捉えられたハズ。その辺が難しい。だから今聞けばまるでスレイドは変わらないアルバムだから駄作なワケじゃない。むしろこれまでのスレイドらしい作風に磨きがかかっているとも言える作品だ。

 その証拠に冒頭から見事なまでのポップでキャッチーなセンスの楽曲で、更にパワーもあって痛快な曲が並ぶ。シンプルですらあるし、素晴らしくスレイドらしい曲ばかり。1977年にこんなの演ってたのはスレイドくらいなモンだ。せいぜいアメリカでチープ・トリックが演ってたくらいだが、こっちはパワーポップバンドとして出てきてルックスでも人気あったからね。スレイドは…、やはりどこか古臭いバンド、曲というイメージが付いちゃったんだろう。ヒット曲を放った後はどうしてもそう見られがちになるのもやむを得ない。それでも冷静に聴いてみればなかなかの力作という事に気付くので、当時の評価と歴史上の評価は異なるのも分かる。






The Rolling Stones - Between The Buttons

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The Rolling Stones - Between The Buttons (1967)
BETWEEN THE BUTTONS-UK

 既に50年前では追い付かなくなってきた60年代のロック。それでもまだまだ現役でロックしてるぜ、ってのがストーンズ。当時ハタチ過ぎだとしても今じゃ70歳過ぎ、ちょっと上なら80歳くらいだろうから、ロックの偉人達も既に神の領域に入りつつある。しかし、その意味では高齢化の波はロック界でも起きていて、いつまでも…という風潮はあるのだろう。そんなストーンズがカバーアルバムから始まり、オリジナルを取り入れてポップシーンに君臨してきて自信を付け始めた時期の作品とも言われる「Between The Buttons」を。

 1967年リリースで英国、アメリカでようやく同じジャケットとタイトルでリリースされたアルバム。しかも全曲オリジナル作と云うのも初めての試みだったようだ。それにしても英米盤でアルバムジャケットは同じでも中身が異なっているのはややこしい。単純にアメリカ盤にシングル曲の「Let's Spend The Night Together」「Ruby Tuesday」が入ってるだけなら良いのだが、英国盤から二曲削っての収録だから結局両方聴かないといけない代物。昔はそういうのもまだ情報不足で何やら分からんが曲目違うし、困ったモンだ、と集めてた。その上モノステの違いもあるし、60年代のレコードはホント、収集には困ってた。そこまで全部集める気もなかったが、聴けるのは聴きたいってのあったからね。なるべくダブりたくなかったし。そういう意味ではまず無理な集め方だった。

 さて、本作の中身、今なら聴くのは英国盤の方がしっくり来る。有名な2曲が入ってるとアルバム全体を聴くのにちょいと邪魔な面もあるという理由。そうして英国盤で聴いていくとどうにも地味な曲が並ぶ。ストーンズらしい、即ちブルースのカバー風作品が無いのでストーンズらしい、ってのは一体何だ?って話になって、聴いているとキンクス的だったりする部分も多いし、どうにも稚拙なポップスというのも多い。どこかサイケ的風味があるのは時代の成せる技としても、ストーンズをイメージさせる曲調と言うのはあまり見当たらない。ただ、ミックの歌声とメロディとの絡みからすると実にストーンズらしい。ブライアン・ジョーンズは多種多様の楽器で効果的なサウンドを出しているようだ。刺激的な取り組みではあっただろうが、今聴いてみるとやや稚拙感は見られる作品。それでもストーンズの作品だからね、じっくりと味わってしまう部分はあります。





David Bowie - Diamond Dogs

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David Bowie - Diamond Dogs (1974)
ダイアモンドの犬

 実に数多くのアルバムを聴いてきて、何百枚も素晴らしいアルバムがある事は分かったし、それぞれの楽しみ方が異なるのも理解している。その中でも更に名盤と言われるアルバム、もしくは言われないまでも自分的には名盤だ、と思える作品は何十枚もある。今回流れ的にDavid Bowieの「Diamond Dogs」に辿り着いて、実に久々にじっくりと聴いていたら、このアルバムの奥深くまで練られて絞られた真髄の素晴らしさに気づき、ただの名盤の域を大きく超えた作品と再認識した。面白いモノで、演奏が素晴らしかったりロック的と云うのでもなく、単に作品レベルが素晴らしいという話で、ボウイの場合はそういう作品が何枚もある所が天才を物語っている。

 1974年リリースの「Diamond Dogs」。ご存知グラムロックから逸脱して次なる自分自身を求めていた頃に、ジョージ・オーウェルの「1984年」にインスパイアされて戯曲化を目論みつつも挫折、自身の独創的な物語に変化させてアルバム丸ごとをコンセプチュアルに制作した事は有名。冒頭から少々変わった雰囲気が空気を包み込み、アルバムが、コンセプト物語が開始する。次々と送り込まれるサウンドはどれもこれも繊細で神経の隅々まで響き渡るかのように研ぎ澄まされた音色が鳴り響き、見事なプロダクションによるスタジオマジックも併せながら緊張感漂う雰囲気そのままを伝えてきている。物語もユニークなものだと認識はしているが、そこまで漁り切れていない…、いずれきちんと取り組みたいが、まずはサウンドの素晴らしさを堪能。

 いわゆる世に出ているようなシングル曲と云うか、ベスト盤に入るような楽曲はともかく、本作に収録されているそれ以外の楽曲の素晴らしさには目を見張る。実に美しきメロディーやアレンジが施されていて、それはボウイの歌メロに限らず、ボウイ自身が弾いているギターソロでも表れてくる。リズム隊こそトニー・ニューマンとハービー・フラワーズにエインズレー・ダンバーではあるが、上モノ系の楽器はほぼボウイ自身が弾いているという意外性。それでいてこれだけの作品に仕上げてしまうのだから相当にギターのセンスも高い事が分かる。自身でプレイすることで完璧に自分の世界を表現したかったのもあっただろうか、素晴らしい。