ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

「note」マガジン発刊

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Rainbow Ffolly - Sallies Fforth (1968)

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 60年代末のサイケデリックムーブメント、ピンク・フロイド然り、ザ・フー然り、もちろんビートルズ然り、ストーンズ然り、とロックの大御所と呼ばれるようになったバンドはこの頃に洗礼を受けて、且つ独自のサイケデリックの解釈をアルバム単位で表現している。プリティ・シングスもそのひとつ。そんなところからプログレも出てきているけど、一方では超ポップも特徴的に出てきている。

 さて、ビートルズの名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」並に楽しいRainbow Ffollyというバンドの唯一作品「Sallies Fforth」も聴いてみてほしい。アルバムリリースは1968年なので、ちょっと遅れてのサイケデリックポップの登場になるかもしれないけど、その分洗練されており、アルバム全体感がザ・フーの「セル・アウト」並にコンセプト的に面白おかしく作られていて更にポップさが増しているから聴いていると非常に楽しい気分になることは間違いのないところだが、その分きちんとセンスあるメロディを聴かせてくれるしアレンジもそんな調子なのでよろしい。

 バンドとして才能あるかはよく分からないけど、少なくとも音作りという面で革新的なものから発展させて独自のフィーリングを持ち得たのはあり、何かが足りないから何度も何度も聴くアルバムにはならないけど、多分それは各楽器のインパクトかもしれないし、かなり歌とコーラスワークで雰囲気を作っているところがあるから。

 ジャケットも正に時代を反映したサイケデリックにカラフルに仕上がっていて昔から気になっててSee For MilesからCD出た時に聞いたが、アナログ盤は見かけなかった。それでも十分に楽しめるので、カラフルサイケポップ好きな人にはかなり好反応のRainbow Ffolly、時代の象徴です。





60sUKRock

Deaf School - 2nd Honeymoon (1976)

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 英国でキッチュなモダンポップスの波は脈々と受け継がれていて、どの時代でも何となくそんなバンドが存在している。The MoveからELO、Stackridgeや10ccが直系の系譜で語られるが、その中の一つに入るDeaf Schoolも忘れてはいけない。そんなに大層なバンドでもないが、英国ならではのシニカル度合いやポップス具合、キッチュでヒネた感性をそのまま音楽として表した才能はやはり大英帝国の財産だ。

 Deaf Schoolも多分英国ロック本か何かでジャケットだけ見て何となく頭に残っていたが、レコードが次々と値下がりし、既にゴミ捨て処分に近くなるとそういう忘れていた財産に出会う。そういえば聴いてないな、と手に入れるので決して期待満々で聴いていない。特に何の意識もなかったけど、それまでこの「2nd Honeymoon」のジャケットはヒプノシスと思って疑ってなかった。調べてもいなかったし勝手な自分の認識だけでヒプノシスと思ってたら、ヒプノシスじゃなかった。それが最初にびっくりした。凄くヒプノシス的センスの強いジャケットに見えるので、なかなか鋭いセンスを持っている。これはこれで好き。

 そして「2nd Honeymoon」の中味はもう明るくヒネたポップがこれでもか、と言うくらいに展開されているので楽しめる。リバプール出身のバンドでビートルズの再来と色々と言われたようだけど、もっとヒネてて世の中ナメてる節が大きいからキンクスに近い感覚だろう。凄いセンスの良さが出てて面白いし、メンバーの数が9人もあって色々な声や音が聞こえてくるのも賑やかで楽しめる。楽曲センスも軽快でサラリと聴かせる曲が多くてこの頃のロックが好きな人は全然大丈夫。B級ではなくハイセンスなバンドです。あまり知られていない歴史に残るほどのバンドではないけど面白いセンスのバンド。

 アルバムタイトルからして「2nd Honeymoon」でしょ?ヒネくれ者の作品とはすぐ分かる。驚くのはこれだけ完成度の高い作品がデビューアルバム。この後色々と活躍するクライブ・ランガーが在籍していたので、80sポップ系では割と知られている存在かもしれない。そしてYouTubeを探していたら何と近年再結成して活動していた。





70sUKRock

Kestrel - Kestrel (1975)

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 マイナー系と呼ばれる中ではダントツの知名度と人気と実力を誇るケストレルは1975年リリースの本作「ケストレル」で解体しているが、ネットやアマゾンでちょっと探して分かるようにもの凄い人気で好かれているアルバムだし、聴いている人も多いし、聴いた人は皆が皆手放しに褒める名盤。昔は全く表に出てこなかったアルバムだけどマニアには重宝した作品だったが、ロックの歴史が長くなるに連れて徐々に浸透した。結果、現役当時よりも今の方が圧倒的に人気もあるし、同じアルバムの売上数量は多いだろう。そんなバンドは多少あるけど、ここまで一般的にも受け入れやすい音は見当たらないから見事でそれを50年前に奏でていたのもやはりセンスで時代を先取りし過ぎていた。

 音はキラキラしたポップサウンドだけどヒネててウェット感に溢れているが、更に展開が凝っているので飽きないのと味付けにメロトロンが出てくる。単なる味付けのひとつなので、歌メロの楽しいセンスとちょっと歪んだギターのセンスと鍵盤の煌びやかさが売りで、驚くくらいにセンス溢れるポップスの10CCやELO、トッド・ラングレンの世界が近いかもしれない。しかもハイセンスなA級レベルの楽曲クォリティだからそこら辺で流れていたらもっと売れたハズの曲ばかり。

 ジャケットは賛否両論ながら中味が上質なポップで、このジャケットは勿体ない人もいるし、逆にこれだけ良質なポップが出来るなら、ジャケットもバンド名もちょっとおちょくってみようかと読み取れるかどうか。ハヤブサ科の小型の猛禽のチョウゲンボウをケストレルと言い、それならカッコ良いけどハヤブサではなくチョウゲンボウだからがヒネてるようで、ハヤブサほどスターではないけどちょっと手の届くところがチョウゲンボウと、人にもあまり知られていないのもこのバンドの今の存在位置を示している、ある意味狙い通りに世界を制しているかもしれない。





70sUKRock

Metro - Metro (1976)

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 妙なポップセンスが全開しているキッチュなポップロックバンドとも呼ばれるメトロ。ダンカン・ブラウンとピーター・ゴドウィンのセンスが炸裂するデカダンなバンド。1976年のパンク直前の英国においてこんな妙なものが売れた事実も不思議だが、その成功に釣られてアルバムを手にした人達は果たして「メトロ」をどう思ったのだろう?両極端に分かれたと想像に難くない。

 Roxy Musicや10cc的と言われていたが、その系譜として見ると後のXTCやUltravoxのサウンドに影響を与えたと見られる。この頃二極化した反応は意外な音世界に巡り会ったとハマり込んだ本物のヘンな若者たちと、ヘンだと離れていった一般層。聴けば聴くほどハマり込んでいく人達の気持ちも分かるし、後にヘンなバンドが名を挙げて絶賛したのも分かる。言葉で表しにくい感覚…。

 メトロは熱くなるような歌いまわしやロック的な部分は皆無で、淡々とクールに音を聴かせてくる。ジャパンもそんな感じだけどもっとヘン。80sが流行した時は洗練されてポップスに昇華したか。そもそもが踊れないバンドがコンセプトだし、英国からしか出てこないクールなサウンド。歌も上手くないし演奏も際立ったものじゃないし、テクノやハウスみたいに何か新しい要素も持ち込んでいないがクール。ただ、何となく理解出来たのはDuncan Browneの来歴は別途英国ロックの「Duncan Browne」で知ったので、あのフォーク青年がどうしてこんな音を奏でるのだろうかとの疑問が大きかった。でも、メトロを聴いていると、フォーク調な部分がベースになっていることに気づく。人間根はあまり変わらないものだ。

 後にDavid Bowieが80sメガヒットアルバム「レッツ・ダンス」の中で「Criminal World」を取り上げてMetroのヒット曲が再注目されたが、Bowieのカバー具合は常にオリジナルを超える垢抜けたサウンドになり、「Criminal World」もBowieバージョンの粋の良さが際立っている。






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The Move - Looking On (1970)

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 ロイ・ウッドは読み取りにくいミュージシャンの一人でジェフ・リンはまだ後の活動からそれなりに趣味とか方向性、英国人らしさが分かるけど、ロイ・ウッドは奇人的印象が拭えない。ソロ作品「Wizzard Brew」のジャケットやその後のベスト盤で見られるロイ・ウッドの奇抜なメイクに他ならないが、Renaissanceのアニー・ハスラムとの関係性から久々に気になって取り出してきたロイ・ウッド関連のThe MoveからELO、Wizzardと妙なベスト盤もそれなりにあるので聴けるのは良い環境が、ジェフ・リンも外せないので、今回はThe Moveの「Looking On」。

 「Looking On」のジャケットはロック名盤本で小さく見てもあまりよく分からないだろうし、もしかしたらCD紹介の本でもよく分からないと思う。アマゾンで見ても何だろ?との興味しか示さないが、アナログで見てもらいたい、もしくは拡大して見てもらえると分かるが、どうにもふざけたジャケットと分かるハズ。昔何かの本でこのアルバムジャケットの紹介をモノクロの写真で見て、卵があちこちに向けて並べられているジャケか、何の卵だろ?と思ってました。まさかハゲ頭を上から写した写真とは思わなかった。

 そんなふざけたジャケットの中味は60年代末期のカラフルサイケデリックポップの申し子のようなThe Moveが、同じく同年代のビートルズフィーバーたっぷりのIdle Raceからジェフ・リンを引っ張ってきてロイ・ウッドとジェフ・リンの双頭体制が整った最初のアルバムで、双方とも同じような感性を認識していたためか、得意分野での才能開花ではなく、ちょっと違う方向性への実験を試みた。それまでのThe Moveが持っていたカラフルさや軽快さは鳴りを潜め、どこかヘンなハードロック的サウンド、軽くてヘンではなく重苦しくてヘンなサウンドに変化しているのでそれはそれで面白いが、伊達にポップ畑を歩んでいる人達ではなく、結局妙な展開やコーラス、構成や効果音があらゆる実験として盛り込まれている。そのおかげでイマイチ掴みどころのないアルバムになっているのでThe Moveが好きなファンから敬遠されがち、ELO好きにはちょっとオーケストレーションが不足している中途半端な作品。

 ところがロック畑、60年代後期から70年代が好きなリスナーからしてみると、クィーン的に面白いアルバムでクィーンよりも先です。後の方向性がELOだったので、ロックからややポップに寄っているけど、「Looking On」はどっちに転んでもおかしくない時代の産物で、新たな幕開けを予感する作品でもあるとは褒めすぎか。ただ、まだまだ60年代の香りを漂わせているのは事実だが、ジェフ・リンが次々と才能を発揮していくことになるし、クイーン好きが一番入りやすいけど、結構ブラック・サバス好きな人とか面白いかもしれない。

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(ChatGPT版)

The Moveは、1960年代後半から1970年代初頭にかけて活躍したイギリスのロックバンドです。その音楽的な多様性とエネルギッシュなステージパフォーマンスで知られており、彼らのアルバム『Looking On』もその象徴的な一枚となっています。

このアルバムは、1970年にリリースされたThe Moveの3枚目のアルバムであり、彼らの音楽的な進化を反映しています。それまでのアルバムでは、ポップでキャッチーな曲が中心でしたが、『Looking On』では、より重厚で実験的なサウンドが追求されています。

アルバムのオープニングトラック「Looking On」は、重厚なギターとオルガンのサウンドが印象的であり、リードボーカルのキャラクター的な歌声も特徴的です。また、このアルバムには、ファンキーでブルージーな「Brontosaurus」や、ギターのフレーズが印象的な「What?」など、様々な音楽的要素が取り入れられています。

また、このアルバムでは、プログレッシブロックの要素も見られます。アルバムの中盤に位置する「When Alice Comes Back to the Farm」は、フォーク調のアコースティックギターに始まり、徐々に派手なオルガンやストリングスが加わっていく構成になっています。また、「Open Up Said the World at the Door」では、複雑なリズムとドラマティックなアレンジが印象的です。

『Looking On』は、The Moveが持つ音楽的多様性を表現した、斬新で実験的なアルバムと言えます。彼らの楽曲やサウンドは、当時の時代背景を反映している一方で、現代のリスナーにも魅力的な作品です。The Moveの活躍期間は短かったものの、彼らの音楽性はその後のロックシーンに多大な影響を与えています。

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↑案外つまらないのでもっとブラッシュアップさせないと駄目そうだ(笑)。





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