ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

「note」マガジン発刊

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Mike Oldfield - Ommadawn (1975):

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 1975年にリリースされたマイク・オールドフィールドの3枚目のアルバムにしてミニマルミュージックの完成形「Ommadawn」。今更ここで声を大にして言う作品でもなく、あちこちで大絶賛されているレビューしか見たことがない。おかげで「OMMADAWN」を聴くのは時間がかかった。そこまで褒め称えられるならいつでも聞けるしレコード屋でも見かけて安いし、いつでも手に入ると思ってたおかげで全然聴かなかった。「Tubular Bells」はエクソシストあったから聴いたけど、以降は熱心に集めて聴かなかった。しかし聴いてみれば感動した。その頃ミニマル・ミュージックも好きだったしカンタベリーも聴いてたからこの手のに慣れてた部分あったけど、それでも感動した。一言で言うと、作られている音楽とは明らかに優しさとか人間的な部分、心の中みたいなトコロが違ってて、包み込まれるような音の世界がある。オーバーダビングによる一人作業の成せる業かもしれないし、普段あまり聴く事のない楽器の音が展開されているからかもしれない。圧倒的な統一感で環境音楽的ではあるけど、やはり出自が出自だからロックしてると思う。そしてミニマルの面白さが随所に散りばめられていて宗教的なコーラスすら出てくると作品に洗脳されていく。素晴らしい。

 どういう頭の中の宇宙人だったらこういうのが作れるのか。それでもこの優しさは明らかに人間的だし、感動させる音の使い方や楽器の使い方も狙って作っているのは間違いない。自然に感動するという不思議こそ天才アーティスト作品。出会えて良かったアルバムです。「Ommadawn」に限らず初期三枚は同じ系統ではあるけど、同じ感動が味わえます。おかげで作品ごとに云々を言い難くさせている。それこそがマイク・オールドフィールド自身も思ったらしく、この傾向の作品は「Ommadawn」で一旦終えて次に進む。しかしザッパみたいにエグい音のギター弾く。最後の合唱まで含め何でも入ってて感動的です。音楽が好きならば一度はきちんと聴いてほしい作品。





UKprog

Boxer - Below The Belt (1976):

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 英国生まれのハードロックバンドはそれこそ数限りなく存在しているが、A級メジャーバンドを渡り歩いた人がいればそこそこ話題にもなろう。オリー・ハルソールとマイク・パトゥーはタイムボックスで知り合い、バンドをPattoに変えて一緒にプレイし、数年の間だけ袂を分かって仕事をしている。この間オリー・ハルソールはテンペスト在籍。そこからオリー・ハルソールとマイク・パトゥーは合流してボクサーを結成。1975年にはまだプログレレーベルだったヴァージンからインパクト満点のジャケット「Below the Belt」でデビュー。しかもドラムはメイ・ブリッツやベックと一緒にやっていたトニー・ニューマンを配し、ベースはVDGGにも関わっていたキース・エリスが参加した正に英国B級ハードロック路線の職人が集まったバンドで、楽しみと期待が一杯詰まったアルバム。

 ジャケットを手に取ると案の定衝撃的だったのが最初の感想です。それはともかく、中身の方が楽しみだったけど、これが一辺倒ではいかないハードロックで構成されたアルバムで実に英国B級的センスに満ち溢れた作品。きっと今のバンドがどこかで取り上げてカバーしたら凄くカッコ良い曲となって生まれ変わり、もっとボクサーが有名になるかもしれない曲が多く詰め込まれている。シンプルに4人のプレイが中心で所々鍵盤もあるけど中心はオリー・ハルソール。線は細いけど荒々しく歪んだSG独特のギターの音色にパトゥーのこもり気味だけどシャウトされている熱い歌声が被って悪くない。ただ、どうしても曲調に激しい切り替えがなくイマイチ売れないバンドの位置付けに甘んじている。好きな人は好きだし自分も嫌いじゃないけど、もうちょっとカッコ良い曲が欲しい。そんなこと言ってては英国B級は聴けないのでガタガタ抜かしてはいかん。

 結局この後二枚出して自然消滅したが、この二人のコンビ作品はどれも取っ付きやすいくて面白い。パトゥも変なリフが多いけど基本的にシンプルなハードロックだし。





UKhard

Kevin Ayers - Confessions of Doctor Dream & Other Stories (1974):

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 オリー・ハルソールのもう一人の相棒として知られている、実際には多分逆だが、ケヴィン・エアーズの相棒として知られているオリー・ハルソールもいるが、そのケヴィン・エアーズの名作と誉れ高い「Confessions of Doctor Dream & Other Stories」も1974年にリリースされている。オリー・ハルソールはこの時期は忙しくて環境が目まぐるしく変わっただろう。「Confessions of Doctor Dream & Other Stories」がケヴィン・エアーズと一緒にやり始めた最初の作品だったので、その変化もあっただろうし、以降長く続く関係になるとも思ってなかっただろう。

 1974年にリリースされたケヴィン・エアーズ5枚目のソロ作品「Confessions of Doctor Dream & Other Stories」は、完全に独自路線で展開するオリジナルな世界感が本作でも炸裂している。そこに見事なまでのゲスト陣が大活躍の図式だが、果たしてここまでのゲスト陣を集められるのは人徳人脈。凄いです。メジャーな人たちはさほど見つからないが、英国アンダーグラウンド筋ではホントに見事な面々が揃っている。Wikiから抜いてみるとざっとこんな感じ。

• Kevin Ayers - Guitar, Vocals
• Mark Warner - Guitar
• Cal Batchelor - Guitar
• Rupert Hine - Keyboards, Producer
• Mike Moran - Piano
• Steve Nye - Organ
• John Perry / Bass
• John Gustafson - Bass
• Michael Giles - Drums
• Mike Oldfield - Guitar
• Nico - Vocals on "Irreversible Neural Damage"
• Geoff Richardson - Viola
• Mike Ratledge - Organ
• Ray Cooper - Percussion
• Lol Coxhill - Alto Saxophone
• Henry Crallan - Piano
• Ollie Halsall - Guitar
• Rosetta Hightower - Vocals
• Hulloo Choir - Vocals
• Trevor Jones - Bass
• Sean Milligan - Vocals
• Sam Mitchell - Guitar
• Doris Troy - Vocals
• Joanne Williams - Vocals
• The G'Deevy Ensemble - Percussion


 凄いです。冒頭の「Day By Day」からしてドリス・トロイのファンキーな歌声とベースがブイブイしてて、これ誰だよ?と思うとジョン・G・ペリー。キャラバンやカーブド・エアーのあの人で、そういえばこの人が入るといつも音が黒くなったと言われるが、なるほどと思う。そしてドラムも軽やかに良い感じと思うと元クリムゾンのマイケル・ジャイルズ。もう皆でやりたい放題だけど、そこをケヴィン・エアーズは上手く歌ってる。サウンドは基本的にヒッピー精神旺盛なので明るいし、冗談みたいにフワフワしてるからシリアスさがなくて掴み所もない。かと言って軽くないからこれまた不思議で、どうやってこういう曲をコンポーズしているのか気になってくる。一転して雰囲気がまるで異なる「It Begins With A Blessing」はシンセから始まるニコの世界。何故にケヴィン・エアーズのこのアルバムに入れる必要があるのか?と思うが、ケヴィン・エアーズの歌声が入るとこれがまた不思議に優しくハマるので、ウマが合ったこの人達のタッグ。だからあのライブアルバム「悪魔の申し子たち」が実現してしまったのか。それと気になってるのがジョン・グスタフソンのベースプレイ。この人が参加しているのが面白くて、やはりQuatermass~Hard Stuffの人です。どんな人脈でここ参加するハメにと思うと面白いです。恐らくレーベル繋がりだろう。





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Patto - Hold Your Fire (1971):

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 英国ハードロックバンドと呼ぶべきかどうかも多々あって、それは皆ひとつのカテゴリーに収まりきらない多様なサウンドの塊のためだが、それこそが英国ロックの深みで時代の産物だった。

 一見ハードロック的な仮面を被っているパトゥーだが、聴くと何とも言えない音で、このバンドの場合は音が云々よりもボーカルのマイク・パトゥーのダミ声による圧倒的な迫力とその隙を縫って恐ろしい超絶テクニックを披露してくれるオリー・ハルソールのギターに耳が向いてしまう。そのヘンが面白く、1970年発表のファーストから既にそんな感じになってて、翌年1971年発表のセカンド「Hold Your Fire」がこれまた良く、アルバム的なバランスが取れてる感じ。ハードロックテイストとブルーステイスト=パトゥーの歌声、更にオリーのジャジーなレス・ポール氏みたいなカントリータッチのフレージングが全編ではなく、曲はそんなに良いとは思わないが要所要所で弾かれている所がバランス良いと思う。しかしマイク・パトゥーの歌声は英国ロック界でもかなり個性的で、ロジャー・チャップマンやポール・ロジャース、ロッド・スチュワートが好きな人は結構イケるだろう。バンドの音は大してハードじゃないけど、この人の歌を聴くと凄くハードに聞こえるからハードロックバンド。

 このアルバム、ジャケットがコミカルなデザインで変形ジャケで、デザインはロジャー・ディーン作だがかなり意外ながらもヴァーティゴからのリリースなのでマニア的にはこれも興味深いが、ご存じギターのオリー・ハルソールは後にアランホールズワースの抜けた穴を埋めるべくテンペストに加入してそのテクニックを思う存分に披露しているからメジャーになった感じが強い人で、セッション活動が盛んなのでアチコチに登場する。ケヴィン・エアーズはもう定番だし、アルバム自体は基本的に三枚リリースして解散、後にフロント二人はボクサーを結成して更にハードロックに特化したサウンドで勝負してくるけどやはりB級だった。







UKhard

Tempest - Living In Fear (1974):

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 ジョン・ハイズマンはそれほど一般に知られている名前ではないし、普通にロック好きな人でもそれほど知られてはいないが目立ちたがり屋の音数の多いドタバタする、ジャズ系ロックの名手といえば名前が出てくる人でジャック・ブルースとも一緒にプレイしてる人で圧倒的に印象深いのはColosseumの活動でドラムセンスを世に知らしめているが、解散後に組んだバンドがTempest。最初はアラン・ホールズワースを迎えてアルバム「Tempest」をリリースしているが、なかなか突き抜けた感じにまではバンドが成熟せず、またアラン・ホールズワースのような器用なプレイヤーとのセッションよりももっと激しいロックを欲していたのか、旧友のオリー・ハリソールを迎えてクリームを彷彿させるトリオ編成での制作となったセカンドアルバム「Living in Fear」が熱い。

 ロックはトリオ、もしくはボーカル入りの4人で十分と思う。鍵盤も音的には重要だが、激しく熱く燃えるにはドラム、ギター、ベースに歌が一番しっくりくるし、Tempestを聴いても音はみっちりと詰め込まれているし、弱いのは歌くらいで、それはしょうがないけど、「Living in Fear」のバンドアンサンブルはファーストの「Tempest」よりも見事。キャッチーさは欠けているのでメジャー扱いされないけど、白熱具合は到底太刀打ち出来ないスタイルで、ややプログレッシブな演奏も一般化しなかった理由かもしれないが、普通のハードロックにプラスアルファの要素が加わった、進んだ音世界と認識できる。

 最初にTempestを聴いた時はプログレッシブバンドのイメージがあったからびっくりしたけど、普通にハードロックでギターがテクニカルにハイセンスに入ってくる音で心地良く、後追いでTempestの方を先に聴いたから普通にColosseumにも進んでしまう。ちなみにベーシストは一瞬だけ黄金期Rainbowに在籍したマーク・クラークで、もっともその系統の他のバンドにも参加しているが、その系譜を見る限りでもTempestが後のHRに影響を与えているバンドと捉える事も出来る。







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