ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

Gomorrha - Trauma

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Gomorrha - Trauma (1970)
Trauma

 ジャーマン・ロックの面白い所はルーツがブルースではなくて、ほぼ英国ロック、という所にあると感じている。それが事実かどうかって自信は別に無いんだけど、一番近い文化として音楽が入ってくる先は英国だっただろうし、そこで聴けたロックってのは強烈だったんじゃないかと。アメリカのも聴けただろうけど、お隣に近いくらいの英国の方が身近だったろうし、ビートルズだってハンブルグで修行してたくらいだし。60年代にも英国から色々と出てきていて、そんなのを聞きながらバンドやりました、的なのが70年代のドイツだ。その分ミックス度合いが半端無いし、独自性も高まっている。ロックのルーツであるブルース衆が見当たらない理由はそこにあり、しかもハードロックバンドの人気が高かったのもあるか。

 1970年にデビューしたGomorrhaというドイツのバンドの同年リリースのセカンド・アルバム「Trauma」は、時代がまだ60年代末期のサイケロック主流の時代にシーンに出てきたからか、その影響をモロに受けたバンドだ。この時代に彼らは進化する事を知らず、か考えておらず、か望んでいかなかったか、だけど、71年にもなろうという所でまだ思い切りサイケ・スペイシーなサウンドを自分たちなりに展開しているという、後に考えれば時代錯誤なバンド。ただ、当時その辺って分からなかったんだと思う。これで売れたしこれで行けるぜ、ってあっただろうし、音楽性の変化をする、ってこと自体も意識してなかったのかもしれない。そういう背景ながら細々と今の時代でもかろうじてバンド名もアルバム名も残っており、音も聴けるようになっているんだから面白い。

 アルバム自体はそれだけでもなく、きちんと普通のギターサウンドを出した曲もあるのだが、この音色は日本のGS時代のギターの音色に近いくらいのキャラキャラさか。どこの国でもそういう音って好まれたのかね。歌メロにしてもどこか似たような軽やかさやキャッチーさもあるし、一体何処見てロックやってたんだろ?ってのが不思議になるレベルだが、これぞクラウトロック。その不思議さを常に抱えて聴いているのも悩ましくて楽しめる。ホント、アイディアの宝庫。何でも出てくる。そしてこのジャケットだ。表ジャケットではタバコの煙とタバコにメンバーの顔、だけどダブルジャケット開くと…、そのタバコが真っ赤なルージュの唇に咥えられている素敵。



Lucifer's Friend - Mind Exploding

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Lucifer's Friend - Mind Exploding (1976)
Mind Exploding

 日本で知られているドイツ系のバンドっていくつか思い当たるが、それほど普通には多くないし、ちょこっと入り込んでしまうとほとんど出てこない。70年代なんてのはスコピやカン周辺程度な気がする。その中でも、本日のお題となるLucifer's Friendってバンドはかなり知られている方じゃないだろうか。ともすれば英国のバンドというような捉え方をしている人もいるだろうとすら思う。それはもちろん英国人ジョン・ロートンの知名度と実力によるものが大きいハズで、一旦ユーライア・ヒープに参加してその歌声を世界に披露した事による。しかし歴史は面白い。そんな逸材が英国じゃなくてドイツから出てくるんだから。

 Lucifer's Friendの1976年リリースの5枚目のアルバム「Mind Exploding」はそのジョン・ロートンが脱退する前の最後の作品となったアルバム。もっともン十年して戻ってくるんだが、70年代を語るとすれば、これはジョン・ロートン最終作となる。ここまでルシファーズ・フレンドってバンドはアングラなハードロックバンド的な所から始まりどんどんと洗練されていって、ブラス・ロックにまで手を付けていったが、ここに来ると時代が1976年と言うのもあったのか、同時代のStarzやStrapps的なサウンドを持ち込んでいる。いや、音楽性の話じゃなくて、音そのものが洗練されているという意味合いです。サウンドそのものはキャッチーさとポップさを増したパワーロックサウンド、そして完全に垢抜けた音になってるから時代が変わったんだなぁと実感する。アルバムジャケットだって、これまでの妙にもっさりした感のとは異なり、今でも通じるくらいにデザインセンスのある作品で、好みは別として色々と意欲的だった時代と想像できる。

 時代の流れなのか、どうしても黒いファンク的な要素がそこかしこに入ってきて、音はキレイになって鍵盤だって先端のサウンドが入ってきてて、もうちょっとしたら多分ポップスターの仲間入りなんじゃないか、ってくらいの音もある。それでもパワーロック的側面がルシファーズ・フレンドというバンドのスタンスを強固なものにしてて、とてもドイツのバンドとは思えないほどに洗練された世界で普通に勝負できる作品、実際そうなっているバンドだからね。しかしジョン・ロートンの歌唱力はここでも全開で、素晴らしい。最後の曲なんてもう超絶最高の熱唱ですよ。これほどの逸材がこの辺りでウロウロってのは歴史は残酷だ。



Frumpy - By the Way

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Frumpy - By the Way (1972)
By the Way

 英国ロックが好きだからだろうと思うが、英国的サウンドと他の国の音が入り交じるのは聞きやすい部分が増えてくる。面白いのはその人がどこの出身なのか、って方が大きくて、例えば英国的サウンドを狙ってます、ってんだとどこか異なるって話。その違いって面白くて、よく書いたことあるけど、どんだけ英国的な音を研究してどこかの国の人がそういうアルバムを作ったとしても、ホントに英国で育ったガキが普通に遊びで作った音と比べると後者の方が圧倒的に英国的だったりするんだよ。そのセンスと持ち前のものはもう文化的民族的な話に近いと思ってる。

 Frumpyの1972年リリース3枚目のアルバム「By the Way」は唐突にスワンピーでブルージーなサウンドから始まり、一体何処の国のバンドだ?と思うくらいに成り切っている。普通にこのアルバム聴いていると、英国のサウンドだよな…、でも、くらいに不思議に思う音が鳴っててユニーク。時期的なものもあるけど、正に英国のロック連中がスワンプやちょいと黒いのでカントリー的、レイドバック的なのもあって、そっちに目を向け始めた時期に、このアルバムでフランピーがドイツのバンドながらそっちに向いた曲を入れている。面白いのは、彼らの場合はアルバム丸ごとそうなる、って事にはならず、一曲だけそういうのをやってて、自分たちもそういうの出来るし興味あるし演ってるよ、って意思表示が出ているってトコ。他の曲は相変わらずのハードだったりプログレ的だったりと実験的に色々やっているしね。それでもアルバムリリースの度にバンドで出来るサウンドのイメージを変えてきてて、その探求の旅の精神は面白いと思う。

 流石にドイツのジャーマンハードの、クラウトロックの一流バンドと言われるだけあってサウンドが洗練されているのと楽曲もきちんと練られていて、世界にヒケを取らないレベル感がある。そのあたりがあって初めて世界的に音楽の比較が出来るものだから、いわゆるB級なサウンドとは一線を画している。そのB級サウンドはそれで楽しいが。それにしてもここまでこのバンドってギターで自己主張してたっけ?ってくらいにメロウにしっかりとソロワークでも目立ってツボにハマるギターを弾いててくれる。冒頭こそ意表を突かれるアルバムだが、全編通して聴いていると素晴らしきバリエーションとバンドの主張も聴けるメジャーなジャーマンロックバンドの作品、普通に聴いておくべき作品。





Epitaph - Outside the Law

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Epitaph - Outside the Law (1974)
Outside the Law

 当たり前といえば当たり前だけどロックではお国柄によるサウンド、楽曲の違いってのは割と顕著に出てくる。聴いている側が慣れてくるとその辺の違いに気づいてくるし、その雰囲気の違いもまた面白い。近年のロックだとそこまで違いが明瞭でもなくて、パッと聴いてどこら辺の国かな、なんてのが分からなくなってきてるけど、昔のはかなり顕著。だからジャーマン・ロックなんていう定義があったりもする。一通り聴いてるとその違いが聴いてて自分的にどうなんだろ?って思うし。好みとはちょいと別の話だけどさ。

 Epitaphというドイツの1974年リリース3枚目のアルバム「Outside the Law」。このバンドはジャーマンハード系の中では結構人気のある方で、今でも活躍しているのか?ってくらいに活動歴が長くて実力のあるバンド。ユニークなのはクリフ・ジャクソンって英国人がボーカルとギターやってて、その他がドイツ人というメンバー構成だったので、単純にクラウトロックっていうモノにはなっていない。それこそWishbone Ash的なツインリード的なのもバンバン出てくるし、二人のギターをうまく使い分けてのサウンドもある。ここで二人がガツンってやるんじゃなくて、繊細に紡ぎ上げているギターの旋律という所が英国的。一方では硬質なギターの音色もするから、多分この辺が二人のギターの違いで、前者がクリフ、後者がクラウスのギターなのだろう。勝手な推測だけど。更にハードな曲ではどこかユーライア・ヒープ的なグルーブが展開されていったりもするが、もうちょっとストレートに進めている感じ。

 英国B級郡のマイナーハードロック路線とやってる事は同じなんだけど、それよりは洗練されてる。しかもドイツエッセンスがあるから独特の硬質感も当然強いし、そこにメロディアスで繊細なギタープレイが絡むし、歌メロもドイツ的じゃないし、ってのがあるから物凄く不思議な音。そんなの意識しないで聴けば良いんだが、どうも気になって…、いや、カッコ良いんだもん。ドイツでこういうカッコ良さを持ったアルバムに出会えるって思ってなかった方が大きいから、まだまだロックは深い。




Cravinkel - Cravinkel

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Cravinkel - Cravinkel (1970)
Cravinkel

 最新の音楽とは言わないまでも新しい音楽を聴く方が共感も得られるだろうし、すぐに聴けるだろうし、情報も周囲から容易に手に入るだろう。そもそも漁る、なんて事しなくても身近にある音楽で気に入ったのを聴いていけば良いだけだし、それこそが自然に音楽を聴いて好きになるという事だ。それが人生のバックミュージックになって後に思い出と共に音楽がある、みたいになるのだが、どうして自分は考古学的発掘を行っているのか…、しかもまだまだ全然分からない世界なのに。そんなことをふと思いながらも、これ、不思議だな…、なんて思いながら聴いてたり。

 Cravinkelってドイツの1970年デビューアルバム「Cravinkel」。ジャケット見ての通り、もともとがフォークバンド上がりだったけど、ロックに目覚めてややハードロックテイストも交えたサウンドを展開している。ジャーマンハードだ、って程にはハードロック出来ていないから、普通のフォーク調の曲も絡むロックバンドという位置づけだろう。それでいて面白いと思うのは、どこか英国然としたムードを持っている所で、何処から来たのだろうか?70年前後にドイツのFrumpyと英国のSpooky Toothとツアーを行っているってことだったんで、音楽的にはそっちからの影響でのハードロック路線も出来上がっていったようだ。そしてその英国然した雰囲気ってもしかしたらこのアルバム自体がロンドンのIBCスタジオで録音されているから、ってな事もあるか?あるだろうなぁ…、IBCってThe Who御用達のあそこだもん。スタジオでお国柄の音が変わるのか、と言われると不思議ではあるが、そういうモンだ。日本のバンドでもロンドンレコーディングってあったりするけど、現地エンジニアたちが作ったらそういう音が出てくるだろうし。なるほど、そのおかげでこういう英国然としたムードな音なワケだ。

 摩訶不思議な展開やアレンジは多数聴けるけど、その湿った感があるおかげでちょっと自分には耳慣れたサウンドの質感で聴けるのは面白い。フォーク調なサウンドではどこかボウイ的な雰囲気もあり、ハードな部分ではこの頃に出て来ていた英国ごった煮ロックそのままなので、同時代にドイツで同じシーンが起きていた事が伺い知れる。ただ、全編的にやはりフォークバンド上がり的な雰囲気が漂ってて、バンドの基本になってるのが分かる。面白いのはドイツながらもブルースっぽい、と言うかそういう雰囲気のギターが随所で聴けるあたり。

 この辺の音ってのはホント、今になって聴く価値あるのか?ってのは全然無いのだが、こういうバンドがあったんだ、こういう音やってたんだ、みたいな歴史の証人的な聞き方してるから聴けるだけで、オススメするようなモンじゃないのは確か。ただ、ドイツのロックって面白い、か?みたいなトコあるから色々聞いてみてガツンとしたのに出会えれば良し。

Jeronimo - Time Ride

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Jeronimo - Time Ride (1973)
Time Ride

 ギターにドラムにベース、そしてボーカルが揃ってロック的な音を奏でる、音色の著しい変化ってのはギターくらいしかないからそれだけで音楽のジャンルが変わっていくってのもあるが、それも大抵歪んだ音で、ってなると似たような音しか出てこないはずだろ、って。それでもZeppelinと他のバンドでは全然違うし、それはやってる音楽の中身の違い。そこで似たようなスタイルでやってる連中を比べてみれば同じ様になるハズだろ、って思うがそうもならない。ジャーマンハードの連中のスタイルも同じくで、同じ楽器編成で似たような音と曲、スタイルで出てくるんだけど英国のその手のとは本質的に違うし、普通に聴いていても違いをしっかりと感じてしまう。面白いものだ。

 Jeronimoの1973年リリースの3枚目の作品「Time Ride」。69年頃からシーンに出てきたもちろんドイツのバンドで、セカンドの名盤「Jeronimo」は勢い込んだハードロックそのままでジャーマンハードらしいダサさを吹っ切った傑作だったんで、期待していたこの3枚目、時に疾走感溢れるスタイルもあるけど、基本的にミディアムテンポを中心としたギターハードのスタイルでの楽曲を配したアルバムに仕上がっている。基本的なリフのアイディア自体はダサいので疾走感でそいつをカッコ良く持っていかないならば、どうしてもダサいままの雰囲気が残ってしまい、ちょいとあと一歩物足りないか、って思うリフが多い。それでいて曲調は一辺倒なスタイルでもなく、かなりバリエーション豊かに色々チャレンジしている。フォーク調もちょこちょこ入っていて、そのセンスを聴かせてくれるが、どうにも耳慣れない旋律やメロディに展開していくので、やはり普通に聞き慣れたロック感とは違うものだと意識する。

 抑揚に富んだアルバム。ミディアムなハードロックスタイルからスピーディなスタイル、アコものや歌もの、さほどオーバーダビングしないままで作られているので、この頃のバンドそのままの姿。時に入れられるギターソロがかなりエグくて粗野なものなのはこの時代のドイツの録音だからだろう。ジャーマンハードの雄と称されるバンドの一端を担うジェロニモ、3枚しかリリースされていないから全部聴いてみるとジャーマンスタイルってのが分かると思う。自分的にはこういう曲展開やギタースタイル、唐突感も含めてかなり好きな部類。