ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

Albert King - Years Gone By

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Albert King - Years Gone By (1968)
Years Gone By

 夜中にふと静かなの聴いてみようか、なんて手に取った…なんてのは昔の言い方なので、実際はMacのライブラリを眺めてチョイスするって作業になるが、やっぱり渋いブルースが良いな、ってね。激しくなくって、それでもやっぱり盛り上がれて気分が心地良くなるヤツ…、うん、黒人ブルースそのものだろうと。はて、誰にするか…、アレはコレは…ってのを瞬間的に頭の中と目で追いかけてやってるんだろう。選ぶまでにそんなに時間かかるワケじゃないから、人間の思考って凄いスピードだなって感じる。

 Albert Kingの1968年リリースの三枚目のアルバム「Years Gone By」。昔の話なので、よくあったと言えばそうなんだろうけど、この頃の音源ってのを権利関係で切り売りされて云々、結局アトランティックとスタックスで揉めたとか云々、権利モノってなかなかややこしいんだろう。そんな背景があったようで、リリースしたくてしたのか、出来ない状況でしたのか、改めて行ったのかイマイチよく調べ切ってない。それよりも単純にアルバート・キングのギター聴ければ良いかって感覚で聞き始めたからね。その意味で言えば、いつもと同じ、どころかやっぱりこの頃はもう全盛期とも言わんばかりの絶妙なアルバート・キング節が冴え渡っているブルースプレイ。ほとんどロックギターのブルースプレイと同じなんだから恐れ入る。当然ながら皆が皆この辺を盗んでいるって事なんで、アルバート・キング自体は自身でこのプレイを編み出していたのは当然。ホントに、この後から聴けるブルース・ロックの連中のプレイそのままのフレーズばかりです。間合いの図り方とかもそのまま。冒頭からいくつかの曲ではスタックスらしくホーンセクションもバックに流れてゴージャスな感じはあるけど、途中からはもういつものアルバート・キング節全開。

 自身ではほとんど曲を作って入れてるワケじゃないアルバムで、カバーとか他の人の作品を思い切りアルバート・キング風にアレンジ、というか自分流の味にして出しちゃってる。ロック的に有名なのは「Killing Floor」とか「The Sky is Crying」あたりか。その辺にこだわらなくても、と言うかそれすらもアルバート・キングの単なる一曲と思えるように普通に流れていく見事で美しきギタープレイ。ホントにうっとりするくらいのギタープレイに惚れ惚れする。この辺またたっぷりと聴き込みたいな…、んで、ギター弾いてコピーして心地良く鳴らしたい。うん、ちょいと最近ギターがまたかなり気になってきてて、弾きたい、って欲求なんだよ。いや、弾いてるけど、もっともっと。そんな気分を更に高揚させてくれたオススメの素晴らしいブルースアルバム。



Jeremiah Johnson - Straitjacket

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Jeremiah Johnson - Straitjacket (2019)
Straitjacket

 いつの時代も新鋭ブルースメンになるべき人間が必ずいて、しっかりとその系譜を引き継いでいってくれているというのはやっぱりブルースというサウンドの良さが残ってイケてるという感じだ。スタイルに変化はあまり無いのだろうけど、それでもいつもいつもそういうプレイヤーがいるんだから面白い。そしてそういうブルースメンはずっとブルース弾いてやっていくんだもんな。面白い。もちろん様々なものを取り入れて音楽的な進化は遂げていくのだろうけど、いつだって戻ってくるぜ、っていうのもあるか。今回はど真ん中、そのままをプレイしているギタリストを聴いていた。

 Jeremiah Johnsonという人なのだが、若いのかなと思ってたらそうでもなかった(笑)。来歴見てても2010年にアルバムデビューだからさ、そこそこなのかと思ったんだよ。そしたら1972年生まれっつうからもう40代後半ってことだ。ブルース界からしたら若いけど、普通にそれくらいの人だったのかと。それで今、この音、ですか?ってくらいの素晴らしいアルバムが「Straitjacket」としてリリースされている。どっからどう斬っても見事なまでのブルース、超ブルース。ブルース好きです、って人でこのアルバム聞けない人、いないです。見事なまでにオーソドックスな、聴きたい、って思うブルースが詰め込まれていて、このジャケット通りのギターでアルバムを弾いているならば、なるほど、そういう音してるわ、と。粒の粗いサウンドながらも線は細い、っつうのかね、綺麗に響かせないサウンドっつう感触のガレージブルース的な色合い。やってるのはホントに、スローブルース的なのが中心で派手なブギとかじゃないのがとても聞きやすいし馴染みやすい。

 そしてフレーズがどれもこれも王道ながらも独自フレーズが入ってるんでメロウな印象も持つ。ペンタトニックとかブルーススケールだけっていうんじゃなくて、それに沿いながらもメロディが奏でられていたりする、どこか違いがあるブルース。でもね、ホント、完全にブルースです。どうにもプロデューサーにマイク・ジトを迎えての作品らしいので、その辺も影響が大きいようだ。歌声も正にブルースメンなスタンスで、実に良いの発見した。





Gary Clark Jr. - This Land

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Gary Clark Jr. - This Land (2019)
This Land

 音楽は進化するものだ。ロックは融合の道をひたすら突き進んでどんどんと進化して、今じゃ何がロックなのかもよく分からない状態にまでなってしまっているという現状、それでも進化しているのは事実。枝分かれに枝分かれが進み、融合に融合が重なり、様々な音楽を取り込み、またエネルギーやパワーを吸収しながら進化していく様はもう何十年もロックを聴いていてホントに思うこと。そういうのが音楽なんだってのを早いウチから知っておけばそんなに古い音にこだわる事は無かっただろう。そして面白いのはロックにとどまらず、音楽全般が同じ事が言えるという点だ。今回はその辺をまざまざと実感した作品を聴いていたんで、余計にそういう感じを強く持った次第。

 Gary Clark Jr.の2019年作「This Land」。ゲイリー・クラーク・ジュニアって言えば新鋭ブルースギタリストの旗手、これからのブルースを担う若手の一人として期待されていた若者だけど、既に本作では5枚目のオリジナルアルバムのリリース。間にライブアルバム数枚あるので、しっかりとそのブルースイズムは伝えきっているし、まさしく天才的なブルースギタープレイも存分に聴かせてくれている。そこでこの作品のリリースという事で、相変わらず情報に疎い自分でもちょいと情報入手して聴きましてね、そりゃさ、結構期待して聴いたんですな。そして聴いてみた結果…、こりゃ凄い、と。何が凄い、って、ブルースの進化系と言うか、ロック的融合と言うか、音楽的進化の凄さを実感したから。これまでに全く聴いたことがない音世界を創り上げてリリースしてきた、とも言える。もちろん素晴らしきブルースギターはそのまま健在なんだけど、曲のアレンジとそのブルースギターの使い方が斬新で、ありとあらゆる土着的サウンドと融合を果たしてのブルースギターの使い方、言うならばブルースセオリーとはまったく異なる展開、サウンド、アレンジの中であのトーンを聴かせてくれるという技。

 もちろん歌にしてもギターにしても天才的なセンスは相変わらずだから心配はないんだけど、こういうサウンドの作り方はこれまで全く見当たらなかった代物だ。ブルースギターというのを抜きにしたら、多分自分はこういう音楽をまず聴かないだろう、という気がする。ただ、ゲイリー・クラーク・ジュニアがやっているから聴いてみたらなるほど、こういう表現方法もあるのか、ってことに気付かされたって事だ。正に融合から生まれた新たな進化系アルバムのひとつ。それでいて聞きやすく、ポップシーンにもきちんと殴り込める素材、そして従来からのリスナーでもきちんとブルースギターが楽しめるプレイもあり、という万全の包囲網でリリースされている代物。そういう聞き方が出来るかどうかはリスナー次第だけど、こういうの受け入れていかないと進化しないよ。自分的にはこりゃスゲェって思ったけどね。こんなギター聴かせてくれるんだから何も言うことないだろ、と。それでいて新しいサウンドを教えてくれているんだから。素晴らしい作品。アーティスティックな意味では多分ゲイリー・クラーク・ジュニアの最高傑作になるだろうよ。





Watermelon Slim - Church of the Blues

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Watermelon Slim - Church of the Blues (2019)
Church of the Blues

 知られざるブルースメンなんてそれこそ星の数ほどいるんじゃないかってくらいにネットでブルースメンを漁っていると出てくる。しかも若手だけじゃなくてしっかり古い時代から演ってます、でも全然シーンには登場してきませんでしたって人もこの時代になってどんどんと浮上して来てて、なんてのもあって面白い。そりゃ若い頃にシーンに浮上しなかったって事はそういうコマーシャル性が少なかったってことなのか、運の無さなのか分からんが、何かが不足していたのだろう。それが今の時代になると、コンテンツは何でも多けりゃ良いみたいなとこあるのかね。その辺は何とも分からん。

 Watermelon Slimって人の2019年の新作「Church of the Blues」。ジャケット見て分かるようにもう相当の爺さん。1949年生まれっつうからさ、もっともっと前にシーンに出てきててもおかしくなかった人。1973年にアルバムリリースしたのがデビューらしいけど全く知られていなかった、のか自分が知らなかったのか、だけど、あまり名前を聞いたことは無かった。そこからは21世紀になってからまたアルバムリリースし始めたのか、チョコチョコと枚数は出ている。今回はたまたまアマゾンリコメンドで出てきて、雰囲気ある人だな、って思って聞いてみたんだよ。そしたら見事にオールドタイムなブルースで、しかも結構カッコ良い。この人、ギターも弾くし、ハープも吹くというブルースメンでそのどちらもが見事な雰囲気を保ったプレイなのでモノホンの黒人ブルースメンと差がないくらいの出来映えを実感できます。どっちかっつうとハープの方がカッコ良いな。

 そうだよな、白人なんだよな。そういうの、忘れさせてくれるくらいにブルースしていて、なかなかハマれる。普通にブルース演ってるだけじゃなくてしっかりリフなんかも出してくるし、結構古臭さがある割にスパイスも聴かせているスタンスがユニーク。あとね、歌声がこの年の割に若いし、ちょいと細い、っつうか黒人しゃがれ系とは異なるうまい歌声、か。更にはバリエーション豊かな曲をやってるので、普通にBGM的にも軽快で楽しめる作風というのも持ち味なのかな。なかなか良いです。





Johnny Winter - Johnny Winter And

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Johnny Winter - Johnny Winter And (1970)
ジョニー・ウィンター・アンド(期間生産限定盤)


 先日ライブハウスで一日過ごしていたんだけど、その時バンド入れ替えの際のBGMでずっとブルースが流れてて、何だろうなぁ、Albert Kingだったのかな、艶めかしいブルースフレーズがやたらと流れてきて、あぁ、やっぱブルースって良いな、ってつくづく感慨深く実感してしまって。それは、息抜きになるという音楽的な意味でもそうだし、自分が心地良く聴いていられる、って意味でもそうで、結局馴染みのある音楽だからってのが大きいのか。もうちょっと真面目にブルースギターってのに取り組んで弾けるようにしておきたいな、なんて密やかに思ったりもしている今日この頃、折角のギターも弾いてあげたいからちまちま取り組んでみよう。

 Johnny WInterの1970年リリースの3枚目のアルバムにしていきなりの超ロックアルバムとなった「Johnny Winter And」。ご存知、マッコイズの連中と一緒になって演っている作品で、リック・デリンジャーとの合体劇は有名な話だろうか、このアルバムでは正に合体ってな感じで、ボーカルだってリック・デリンジャーが歌ってるのが多いし、ほとんど彼が主役なんじゃないか?ってくらいに曲も書いてるし、一緒にやってる以上の成果を発揮している、ってかほとんどユニットとして機能しているに等しいか。その分ジョニー・ウィンターの目立ち具合は多くはない、ってかギターではしっかり目立つんだろうけど、曲が出来すぎててギターが目立てない、っつうのもある。当然ジョニー・ウィンターなのでそこで我慢しているはずもなく、しっかり弾いているんだが。冒頭は、コイツ、メチャクチャカッコ良いリフじゃないか、ってくらいのサウンドをキメてジョニー・ウィンターがしゃがれ声で歌ってくれてるので、もう見事なまでのR&Rです。有名な「R&R Hoochie Koo」なんかはもうジョニー・ウィンター最高、って言いたくなるけどこれもリック・デリンジャー作だ。そんなのお構いなしにカッコ良さ抜群ではある。

 そんな調子で二人のバトル、というかギター共演なんてのも楽しめると言えば楽しめる。そして楽曲レベルがジョニー・ウィンター単独の時に比べたら圧倒的にレベルアップしているからロックの名盤として語りやすくなってるし、その後の「Live」が絶頂期と言われるのもその辺りからの所以。実際素晴らしい時期だったと思う。それでもまだ出てきて数年しか経ってない頃なんだから、後の作品だって面白いのあるし、ここに留まることも無かったからこそのジョニー・ウィンターなのだ。ただ、言われているように最初はブルースメンとして出てきて期待満点だったし、それも十二分に期待に応えたけど、ここに来てR&Rやポップスの波に飲まれているんじゃないか、ってくらいのアルバムになっている。それでもジョニー・ウィンターはブルースメンだ、ってイメージが崩れていないのは見事。ここから入ると完全にR&Rメンでしかない。

 ギターの音がな、ちょっとコーラス入りになっててあまり好みじゃないけど、他ではあまり聴くことのない音なのでそれはそれで個性か。この頃からファイアバードだったんだろうし。このギターって案外薄っぺらい音出しちゃうんだよな。派手な音するくせに。自分で触ったことのあるのはそんな印象だね。ん、でも、このアルバム、普通にロックなアルバムとして聴いてみるとスゲェカッコ良いです。もちろんブルースソングもあるし、同時代の英国ロックとは全く異なる独特の世界が聴けるし、このシンプルさは確かにアメリカではウケるだろうし。



Rory Gallagher - Defender

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Rory Gallagher - Defender (1988)
DEFENDER

 そういえば元号騒ぎとか一瞬だけあったが、それでオシマイって感じなのは面白い。もちろん5月から元号変わるんだから否が応でも意識する事も多くなるのだろうけど、あんだけ騒いでてそんだけですか、ってメディアの騒ぎ立てってのもまた面白いし、盛り上がりもこれまたユニーク。その冷め具合もまた日本的でよろしい。元号って諸外国にはどういう説明になるんだろ?天皇一代につき一つづつ付けられるもの、なのかな。自分的には元号って好きなのでずっと残していってもらいたいと思っている古い人間です。素晴らしい文化だと思うもん。

 Rory Gallagherの1988年リリース「Defender」。これまでのクリサリスレーベルから離れて自主制作レーベルで生きていくってことにした最初のアルバム。クリサリス時代のハードロック路線ってのはやっぱりある程度強いられていたって事なのだろうか。本作で聴かれる音はハードロックから骨太な普通のロック、というか初期のロリーの作品を成熟させていった感じのロック作品に仕上がっているからね。バンドメンバーの変動もあるのだろうけど、本来やりたいサウンドを折角の自主制作盤なんだから追求してみようって思ったのは多分あるだろう。その成果が本作だとするとこれまたかなり見事な音が出来上がっていると言える。ものの見事にバリエーションに富んだ楽曲がひたすら立ち並び、それも出来映えのレベルがかなり高くて練られているし、アレンジもしっかりしててこんだけ作り込まれたって感じの作品はロリーの中ではほとんど聞いたことがないかも。

 やっぱりストラトでのブルースベースのロックサウンド、基本だよな。自分の基本でもあるしもちろんロリー・ギャラガーってギタリストの基本。それがまた良い音で鳴り響いててさ、色気たっぷりだから聴いてて心地良い。ホント、好きなだけ満足しまくるまで録音して弾いてアルバム作ったんだなぁって。楽曲そのもののキャッチーさの無さは相変わらずだけど、出来映えは見事な一枚。作りたい形で作った作品な印象。ロック的にもばっちりなんだが、1988年にこのサウンド、ってやっぱりウケなかっただろうとは思う(笑)。