ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

「note」マガジン発刊

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Humble Pie - Town And Country (1969):

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 60年代のバンドの話は既に骨董品、クラシックの扱いに劣らぬ古さを語ることになるが、それでもきちんと音源が残されているどころか、再三に渡り今でも手を替え品を替えて何かしらリリースされ続けているバンドもそれなりにあるし、主要メンバーが鬼籍に入って、残党が好きにリリースしているケースもあるが、それでもリスナーから見ればありがたい音源を聴けるのは喜ばしい事には違いない。ただ、Humble Pinの場合はちょいと嫌らしさが出てしまうので悩ましく、ドラマーのジェリー・シャーリー自らが古いライブのオーディエンス録音ソースを纏めてオフィシャルブートレッグとしてリリースしているから困る。やはりオフィシャルはサウンドボード音源にしておいてもらいたいと思うが、そもそもオフィシャルがオーディエンス録音ソースのリリースって、自分で録音したテープなのか?と。

 Humble Pieの1969年リリースのセカンド・アルバム「Town And Country」はファースト「As Safe As Yesterday Is」と同時期に録音されていたソースから、残った部分を纏めてリリースされたアルバムのようで、言われている程アコースティック、フォーキーな側面の強いアルバムでもないし、冒頭からしばらくフォーキーな世界が続くので、どうにもイミディエイト時代のまだまだデモ段階に近いハンブル・パイのソースと言われるが、しっかりロックしてるのもある。当然ながらそこはマリオットの歌声と楽曲が顕著で、フランプトンの方はフォーキーな世界、しかし美しい英国に根ざしたアコースティック楽曲でグレッグの曲は時代があればこそ、と言える作風でしかない。難しいのはどうしたってハンブル・パイはソウルフルで熱唱型のフランプトン脱退以降のイメージ、もしくはフィルモアのライブのイメージが強いので、最初期の2枚は捉えにくくなるし、その意味ではデヴィッド・ボウイと同じように捉えれば分かりやすいか。

 この辺の作品が凄いのはたとえフォーキーであろうとも一定レベル以上の作品を聴けるクォリティの高さで、それがフランプトンのみならずマリオットであっても同じレベルをキープしているし、作風的にはフォーキーな側面とスワンプ調のマリオットとの違いは明白に感じられる。どこからどう聴いても本作はボブ・ディランの影響が大きい事は誰が聴いても分かるだろうが、自分的には好みではないが、デモとして捉えれば、またこれだけの技量を持ったバンドと云う事も分かった点は大きい。フランプトンもマリオットもドラム叩いてるのもちょいとびっくりしたし、ミュージシャンはホントにミュージシャンで、こういう作風を好む方々からしたらかなりの名盤、ロック的ハンブル・パイから入るとちょいとよく分からないアルバムだが、多少なりともバンド名が異なっていれば英国トラッドフォークの名盤に入る作品だったのは間違いなく素晴らしい。





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Peter Frampton - Frampton (1975):

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 本能的にロック的なものとそうでないものを嗅ぎ分けるのか、聴いてないアルバムは有名なミュージシャンでもかなり多いし、ロック畑のミュージシャンでも聴いてなかったりするが、それは何かの評論やアルバム紹介という要素から自分なりの解釈なので間違ってるのもあるし、聴いてみなきゃ分からんのもホントだ。ただ、一般的に売れたかはほとんどアテにしてなくて、ロック的とはちょいと違うだろう、みたいに思ってて、だからと言って売れないのが良いでもないが、そもそも売るためのものなのでロック的であろうとなかろうと売れるに越したことはないが、それで自身を貫き通す人のは凄いと思う。

 Peter Framptonの1975年のソロアルバム「Frampton」のアルバムジャケットは本人だが、そのTシャツに描かれているのはマリオット?Humble Pieの離脱は和平的だったみたいなので、円満退社をこういうところで感謝の表れか。別に喧嘩別れしてないのを皆にアピールしてたのかもしれないが、この頃は情報がないから、ソロアルバム出しただけで疑われる時代だし、そもそもバンド離脱も知られてなかったかもしれないし、色々とメッセージも考える必要もあったのか、そんな邪推をしながらも聴いてみると、これがまた…。

 ある意味ではこの後の「FRAMPTON COMES ALIVE」で大化け大売れしたのも分かる気がするが、正直言って「??」なアルバムでアメリカ路線を進むという明確なアルバムでもあるし、魂売ってのスタンスも分かる。そこまで思っていなかっただろうし、アメリカ路線への布石でしかないが、それ自体がここまで爽やかで聴きやすいメロディ路線、そしてある意味誰でも出来るポップス的路線だが、ただ、これでPeter Framptonは世界を制したから正しい道だった。悩ましいのは当時を知る人達は思い出のアルバムだが、後追い路線だとどこが良いのか分からないアルバムが残されているトコロでロック史的にはさほど影響のないソロ活動の位置づけになってる気がするが、しっかりと細かく作られているけどあまりにもポップすぎる。ただ、作品としては良いなと思うし、やっぱりメジャーの売れ線路線は良く出来てる。

 アナログ時代で言うトコロのA面はポップ路線ばかりで正直に辛いし、何でまたこんなにメロメロにやってるんだと言うくらいだが、B面に入るとギターが目立ってまだ昔の面影が聴けるので救われるので、そういうところもアメリカ狙いの影響だろう。





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Steve Marriott - Marriott (1976):

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 英国は不思議だ。時代時代でなんとなく常に黒人並みの歌声を持つボーカリストが出てくる、しかもそれは紛れもなく本物だったりして黒い声を持つ白人として、またはソウルフルな歌声をもつ歌手として評されるが、大抵はあまり売れることなく渋いマニア向けの世界で留まるケースが多い。ジョス・ストーンくらいになるとちょっとメジャー感もあるが、それだって一般人にはあまり知られていないから、やっぱりソウルフルな歌声だけじゃなかなか大成出来ないし、歌声、曲、時代性が見事に融合して初めてスターが成り立つが、ロックの世界はそんなのは大して関係なく、聴いた人がどれだけ痺れるかが指標で、売れてりゃその分知られる確率が高いだけで、そうじゃなくても知る人は知るだろう。

 ハンブル・パイを解散させた後の1976年に速攻で自身のソロプロジェクトを進めたスティーブ・マリオットが、ワガママ言えるほどレコード会社からは売れ筋な人と見られてはおらず、自身で作り上げた音源では物足りないと宣告されてアメリカへ渡ってセッションを繰り広げてらしくない音を作り上げる。それもまた本人は新しい刺激だったかもしれないが、ちょっと不要だったかと思える人選と楽曲アレンジでレコード会社は英国サイドと米国サイドと分けて一枚のアルバム「Marriott」としてリリースとなった。当時から何十年もスティーブ・マリオットの力の入ったソロアルバムとして評価されていたが、時代が流れ発掘音源もリリースされていくと当時スティーブ・マリオットが作り上げていたアルバムのフル音源も出て来て、「Marriott」で聴かれる英国サイドの拡張盤を聴くと、このままで良かったのでは、と思う。売れたかどうかは疑問だがアルバムの質としてはなかなかな気がする。

 能書きから入ってしまったが、そのスティーブ・マリオットのファーストソロアルバム「Marriott」はジャケットがかっこ良くて、アメリカンな香りがするのがちょいキズだが、あのままの迫力が聴けるのか、と期待させるものだった。レコードに針を落として出てくる音と歌声は紛れも無くスティーブ・マリオットの、あのハンブル・パイの音そのもので安心した記憶があるし、更に言えばハンブル・パイよりも幅の広くなった音を出している感じすらあり、楽曲の良さはともかく、歌声とギタープレイの濃さは堪らないものがある。英国サイドから聞くからこの渋みがどんどんと染み渡ってくるが、米国サイドに入るとちょいとやりすぎか、となって元来の持ち味の粘っこい歌の伸びが生かせてない気がするが、聴いてると分かるもので、確かにカラッとした感じが多いし、それでもスティーブ・マリオットだからもちろん聴かせてくれる。

 もっとフロントに出て来ても良かった人だけど、残念ながらイマイチなポジションに甘んじてしまったか、本人はそうでもなかったかもしれないけど、もっときちんとした形での音源やセッションを残してほしかった。やはりバンドが恋しかった人かもしれない。





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Ron Wood - Now Look (1975):

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 70年代の10年単位と今の10年単位では大きく異なるが、特にロックの世界においてはもう70年代の10年の違いは天と地ほどの差があったし、ともすれば数年の違いだって時代を左右するものだったからその意味では音楽の革新スピードは昔の方が速かった。そりゃ皆が皆アイディアをどんどんと出して試して、何が当たるか分からなかった時代だったし、とにかくロックの世界が若者しかいなかったからエネルギーが充満していたのが一番大きいから今と大きく異なるのはそこだよ。ロックが成熟している時代とは違う。

 Ron Woodの1975年リリースの2枚目のソロアルバム「Now Look」は、この頃一応フェイセス在籍ながらもストーンズのツアーに参加していた頃でボビー・ウォーマックとの出会いからロックとR&Bの融合を見事に果たして実はかなりの完成度の高さを誇る作品の。ロックギタリストのソロアルバムの枠組みから外れる事なく、如何にもなセッション作風味が強い。歌がバンドのボーカリストのそれとは大きく違い、上手い下手とか味があるなしとそういうのではなく、ボーカリストじゃない歌も含めてロックギタリストのソロアルバムはこういうもんだ、との雰囲気たっぷり。

 メンツが凄くてストーンズからキース、ミック・テイラー、イアン・マクレガン、それからウィーリー・ウィークスとアンディ・ニューマックのリズム隊、更にケニー・ジョーンズに加えてボビー・ウォーマックとそれだけである程度売れるメンツで、好きな人も出てくるのも当然だが、ただ緊張感もバンド感もないからやっぱりセッションアルバムの雰囲気でしか聞けない。曲も良いし確かにロックとR&Bの見事な融合もあるが、ジャズだとこれだけのセッションは凄いの出て来るけどロックの場合はそうとは限らないところがやや残念。





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Ronnie Lane - Anymore for Anymore (1974):

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 ロニー・レインがフェイセスを離脱した背景にはロッドとロンによる酔いどれR&Rバンドの傾向が強くなりすぎて自分の求める音楽像からかけ離れてしまった点があり、ロッドの作品を聴いているとロニー・レインはフェイセスの中ではちょっとインテリジェンスな雰囲気を出していたから参加しててもおかしくないと思うけど、派手なショウマンシップな世界を好まなかったのかもしれない。そんな事で人気絶頂だった1973年頃にフェイセスから離脱して、即座に自分のやりたかったアメリカンスワンプ、パブサウンド的に着手し、その傾向はフェイセスの「Ooh La La」で顕著に表れているので分かりやすいけど、もっと推し進めた自身の趣味の世界といったところか。

 1974年にリリースされた名作「Anymore for Anymore」でロニー・レインがやりたかった自分の世界をアピールし、なるほど、ここまでアメリカスワンプな世界にどっぷりと浸かりたかったのか、ってくらいにパッと聴いているとアメリカなサウンドでちょっと知ってる人だと英国人が奏でるアメリカスワンプへの情景に気づくだろう。それは英国のパブロックにも通じる話だけど自分的にはスワンプで、驚くことに英国的な人脈の繋がりがあって、バンドの名はスリムチャンスだが、その面々にはギャラガー&ライルの参加、またBlossom Toes…英国の60年代末期に出てきたサイケデリックロックバンドのメンツも参加してて、同時代のバンドの連中だからSmall Faces時代からの知り合いだろう、とどこか黄昏てしまう、そんな音楽な理由もある。

 「Anymore for Anymore」はホントにリラックスしまくりで、ロックの世界で聴くものではなく音楽としてリラックスして聴くもので力の抜けた作品と、一時期のクラプトンも似たようなトコロあるけど、ロニー・レインも色々と疲れたのかな。単にこういうのがやってみたかっただけかもしれないが、何度も聴くとかなりの名盤なんだとも分かってくるよう作品で自分ではそんなに熱心に聴かないけどハマる時にはハマるアルバム。ロニー・レインのソロになってからの作品は大体そういう音だ。





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