ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

Frank Zappa - Over Nite Sensation

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Frank Zappa - Over Nite Sensation (1973)
Over/Nite Sensation

 Zappaの作品が今でも世にリリースされ続けている。あれほどスタジオ録音盤とライブを切り貼りしてつなぎ合わせての構築美を目指した変態な編集家、いや音楽家の作品が本人亡き後でどこまで引き継がれるのだろうか?当然ながらそんなの普通に引き継いでいける人物はいて、今でも同じような作業を施しながら、そしてリマスタリングや元ネタ明かしという手法も交えてしっかりと商売している。もちろん熱心なリスナー側はそのリリースを喜びながら聴いている事だろうとは想像できるが、どこもかしこもそういう制作側とリスナー側の持ちつ持たれつ構造になりつつある。良い悪いじゃなく、需要と供給の話。

 Frank Zappaの1973年リリース作品「Over Nite Sensation」。この辺の作品はザッパにしてはとんでもなく普通にポップでキャッチーで聴きやすい作品が並ぶので、一般的にもオススメできる。ただ、それでザッパの面白さが伝わり切るか、と言うとそれは無いだろうと思う。軽やかに様々なサウンドを出してるし、この頃はずいぶんとファンキーな作風に手を出しているから、グリグリとノリやすいってなっても、他にそんなアルバムはほとんど見当たらないから、本作が特殊という認識でいないとね。その分ザッパのギターの出番が少なくて物足りない。それでもこのグリグリ感はなるほど、さすがに凄い。ともすればフュージョンにも繋がってしまう音が出されているし、リズムもそれに近い。

 ザッパの中では次の「Apostrophe'」と共に録音の手法に拘った作品らしく、そもそもこの辺の音楽を作るという面は既に仕事してさっさと片付けてて、どういう音で鳴らさせるかや聞かせるか、みたいな技術論の方も色々とチャレンジしていたようだ。そんなDVD映像もリリースされてる。全く深い人だ。少ないギターソロのシーンと言えども出て来るソロはやはり妙な旋律だったりするし、一筋縄では行かないね。ザッパが一番面白くなっている70年代の作品は、出て来る音と言うよりも何をどう料理してくるのか、という面から聴いて楽しむもので、決して音楽性で感じてはいけない。この辺がザッパを難しくしている所。





Iggy Pop & James Williamson - Kill City

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Iggy Pop & James Williamson - Kill City (1975)
Kill City

 ミュージシャンは音楽を作る。その作られた音楽が売れると思えば売るべき人間たち=レコード会社が興味を持って投資しながら売りに走る。売れないと思えば有名人の音楽でも断ったり作り直しを依頼する事もあるし、逆に有名でさえあればそれだけで売れるので何作っても良い、なんて実験作が市場に出てきたりもする。その目線で言えばバンドのライブ活動は所詮広告活動の一環だが、当然それはリスナーの獲得に繋がるのだから損はしない。ただ、そこで下手過ぎたりバンド仲が悪くなりすぎて全てが上手く進まなくなる事もあるのでリスクは常に裏腹に存在している。そんなビジネスなのだろう。

 Iggy Pop & James Williamsonの連名で発掘リリースされた「Kill City」。James Williamsonは元The Stoogiesの後期ギタリストでその才能もともかく、その後もきちんとIT業界に進出して名を成した人らしい。凄いな、真っ当な人間がそんな世界に居たのかとも驚く。ストゥージーズ解散後、イギーの才能を認めていたジェームズは精神病院行きになったイギーを抜け出させて本作の録音に付き合わせて、このデモ音源と呼ばれるソースを作り上げた。今聴いてみると素晴らしくもライブ感溢れる録音で、下手なスタジオ盤よりも全然良い気がするが、リストアされてるのかな。楽曲レベルはかなり高いし、しっかりとR&Rとパンクの合いの子が出来ているし、録音されたのが1975年頃って言うからパンク前夜だもん。それでこれだけの勢いと熱気が感じられるのだから、正にパンクはドールズやストゥージーズから始まっているとも言える。

 ユニークなのはギターやベースだけでなく、ピアノやサックスなど音楽的に広がった要素も入ってるので、単純なパンク的ロックとして片付けられない作品になっている点だ。イギー・ポップ自身は自分の関与度が低かったからか、あまりこの作品についてどうのという意見は無いらしい。それでもこれだけの作品が世に出されたのは良かった。一旦はお蔵入りになったものの、この後のイギーのソロでの活躍ぶりから発掘音源としてその人気に肖ってリリースされているからね。なるほど、そういう事か、と思う節はあるが何でも世に出てくれればリスナーは楽しめるから良し。ましてやこれだけ傑作だったら悪いはずはない。





Kevin Ayers - Rainbow Takeaway

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Kevin Ayers - Rainbow Takeaway (1978)
レインボウ・テイクアウェイ <Progressive Rock 1300 SHM-CD>

 60年末から70年代の10年くらいの間に進化したロックはホントに面白い。そこからのロックとは異なる時間軸が凝縮されているし、今のロック(あるのか?)とも本質的に時代背景が異なるから密度が違う。だからこそ面白い。音もショボけりゃ演奏だって大した事ないのに、今でも琴線に触れる音に出会える。今の世代にはそう響く事は無いのだろうか?分からない。自分的にはいつもこの辺の音に戻ってきては自分のルーツを確認したり、自分は何が好きだったんだろ?って改めて思ったりする。ロック良いよ。

 英国の吟遊詩人、Kevin Ayersが1978年にリリースしたアルバム「Rainbow Takeaway」。プロデュースには何とスラップ・ハッピーで知られているアンソニー・ムーアを配して、音楽パートナーに当然の如くオリー・ハルソールを呼んでのアルバム。そこから出て来た音は何とも驚く事にここまでトロピカルで甘いポップサウンドですか、と言わんばかりの南国風超絶ポップ。ただ、歌声がアレだから決して明るくキャッチーという作風にはならないし、アンソニー・ムーアのプロデュースってのもあるし、しっかりとロック範疇にあるポップに仕上がっています。いつも思うがケヴィン・エアーズって人はどういう音楽をどういう感じでやりたかったのだろう?ソフト・マシーンの時もあの変態的バックでのポップサウンド、メロディを創り上げ、ソロ作になっても友人がそういう人たちだからか、プログレなメンツでキャッチーな作風を作り上げる。今回もそれは同じくだが、今度は南国風味だ。多分、普通にキャッチーにポップを奏でたい、奏でてしまう人なのだろう。ただ、周りに何でも出来る友人達がいるからそれで賄っていたら、皆別の世界の有名人だった、と。

 キャラ的にも愛される人だったのだろうと思う。ニコやジョン・ケイルあたりまでまとめて一緒にやっちゃう人だし、一方でこのメンツにカンタベリー一派の総帥でもあろう側面もある。何だかんだと昔からアルバムは色々と聴いてて、いつもスカされる。何でこんなの聴いてるんだ?って思うくらいにね。それでも長年に渡って聴いているのはどこか面白さがあるから。そしてこのヒネた感覚のポップさがユニークに聞こえるからだ。今回も改めて聴いてて、同じ感覚だが、ただ、やはり良い作品だな、と。一般的に人気はない時期だけど、全然トロピカルで面白いです。





Nico - Hanging Gardens

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Nico - Hanging Gardens (1990)
ハンギング・ガーデンズ

 今のように何でも氾濫している時代になる前、まだ携帯電話も無くネットも無い時代では疑うと言う事をそこまで慎重にしなくても良かった。いや、人の話ではなくて情報やアイテムのお話。何がって、レコードやCDをリリースする、ってのはデータコピーして作るって簡単なモノじゃなかったからそれなりにコスト掛けてフィジカルなアイテムを作る必要があったし、それは売れないと意味がないと言う事だ。例えばメジャーなレーベルから真っ当にCDがリリースされていればそれは当然アーティスト公認のオフィシャルなアイテムだろう、と思うのが自然で、まさかそれがクレジットも含めて非合法なアイテムとはあまり思わない。テイチクの一部はそんな印象もあったが、多くはそこまではない、と信じられてた。

 Nicoの死後にリリースされたアルバム「Hanging Gardens」。1990年リリースで、事故に遭った頃はスタジオレコーディングしていた最中との話だったからその時の録音素材が出て来たアイテムと知られていた。ところがそれはごく一部のソースだけで後はライブ音源から抜き出して云々…という代物らしい。それでもニコの音が聴けるのだから良しとするのは結果論、どうにも怪しいアイテムが多数リリースされてるな、って印象のアーティストになっちゃった。以降もライブ盤を筆頭に続々と怪しげなのがリリースされているしね。それでも聴けるのだからありがたいじゃないか、とすべきでもあろう。本作は気になるところもあるが、メジャー配給でのリリースで、しかもジャケット写真も美しさを保っているし、音もしっかりしてるので悪くないアイテム。ただ、どこか騙された感あるが。

 そういうの無視して聴いていると、これがまた80年代半ば以降にニコが目指していたインダストリアルでニューウェイブも交えた無機質なサウンドがしっかりと主張されているアルバム。やはりドイツ人気質が出て来るのか、この手の作風に着手したのはかなり早いアーティストとも言えるので、もっと普通に再評価されて然るべきだ。ヴェルヴェッツでの活動で終わった人的に思われてるが、実はソロになってからもずっと革新的な事を続けていたし、ここでも同じく革新的。ライブのビデオを見ていると、ホントどこまで行っちゃうんだ?って心配になるくらいの雰囲気と突出感だし、シンセのムードで場を支配してしまうのもこの人ならでは。ガツンとしたロックとは全然異なるが、まさしくロック的なサウンド。どこかでパティ・スミスと邂逅してほしかったな。



Lou Reed - Lou Reed

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Lou Reed - Lou Reed (1972)
ロックの幻想

 古いロックのアルバムを聴いているといつも昔から聴いている時間軸の感覚に戻る。要するに今でも10代の頃と同じような感覚に戻って聴いているという事だ。近年のアルバムは、さすがにそうは思わないが、昔ひたすら何でもロックを聴き漁っていた頃の音は、時代はズレているけど、自分の青春時代と云うか聴きまくってた時代だからひとつのBGMにもなってる。そうして今でも聴いているとホッとする、と言うのか聴きやすいと言うのか、馴染む。だからオールドリスナーは昔の音から離れられないのだろう。

 Lou Reedの1972年リリースの最初のソロアルバム「Lou Reed」。Velvet Underground離脱からあまり時間を開けずにリリースしている事から分かるように、ヴェルヴェッツで使おうとしていた楽曲が大半。ヴェルヴェッツの未発表作品集あたりにほとんどが収録されているから、時系列が多少前後するものの、完成された作品としてはこちらの方が先になるか。希少価値と言う意味ではヴェルヴェッツの未発表集になるだろうが、あまりヴェルヴェッツである意味合いも必要性も見当たらないので、こちらの作品の方がレベル感は高い気がする。ルー・リードという稀代のシンガーソングライターが創り上げた実にシンプルなスタイルの作品集に仕上がってて、何のギミックもない。あるがままを録音しただけというシンプルなロック。

 バックミュージシャンにYes組のスティーブ・ハウとリック・ウェイクマンが参加していると話題になるが、Yesの音世界とは関係ない音で、スタジオミュージシャンとして参加しているだけだ。だから個性は出さない、が基本。後のネームバリューでこういう仕事がクローズアップされる事もあるが、話題性を取るには良いのかな。それにしてもここで聴かれる「Berlin」の美しさは後に極大解釈されるだけの事はある素晴らしき楽曲として一際浮いている。なるほど、これは展開したくなろうというものだ。一方他のR&Rソングではボウイとロンソンが一緒にやろうと言ってくるのも分かる傾向のスタンスの作風が並ぶ。ルー・リード自身もどういう方向性が自分らしいのかを悩む間もなくこれまでの作品をひとまずアルバムに纏めたというニュアンスが強そうだが、そこから方向性を見つけて導いていったプロデューサー陣営は見事。

 自分的にも案外好きな作品。素朴で気取ることなくそのままロックというスタンスが出ているし、決して明るいワケでもなく、かと言って暗さを狙うでもなく自然体だからだろう。アメリカらしい部分も殊更クローズアップするでもなく、自然に出てきているから嫌らしくないし。素朴で自然で言いたい事出してきて…、良いアルバムです。





Ramones - Subterranean Jungle

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Ramones - Subterranean Jungle (1983)
サブタレイニアン・ジャングル+7

 今やその筋で伝説にもなっているRamonesも現役時代にはかなり色々な厄介事を抱えてはアルバム作りやライブ活動をしていた。70年代にシーンに出て来た頃はそれこそ勢いありまくりでニューヨークどころか世界のロックバンド、パンクバンドの指標になる程の作品と充実したライヴを展開していて、それこそが伝説になっていった。ところが80年代に入ると当然の如くバンドに様々な危機が訪れ、更にバンドが奏でる音楽の方向性も見失い、途方に暮れ始めていた。メンバーは消えていくし、何すりゃ良いか分からなくなるし、と解散こそしなかったがその手前にあった時期と言う。

 Ramonesの1983年リリース作品「Subterranean Jungle」。ラモーンズ史上で一番人気の無いアルバムじゃないかとすら思うくらいの作品。ジャケットからしてもうダメダメな感じだし、音を聴けば何だこりゃ?な80年代のチープなサウンドで録音されているし、そのおかげで楽曲の勢いやパンクの持つストレートなメッセージ性や攻撃性も伝わってこない。よくこんな音で納得してリリースしたものだ。それまでのフィル・スペクター路線によるポップでキャッチーサウンドに慣れてしまったからこの音でも行けると踏んだのか、勘違いしたのか…。当人たちも反省点多いアルバムとして語っているので、何かマイナス要因が多分に働いていたのだろう。

 その音質面を無視すると楽曲としてはなかなかユニークなサウンドも多いし、基本スピリッツは変わっていないのも分かる。少々ポップ感的なアレンジで仕上げられてる曲もあるが、大半は昔からのラモーンズそのままの音。だから何だかんだと本作からの曲もライブで演奏されたりもするし、曲を生かして聞かせていきたいというバンド側の事情もあるのだろう。もっともバンド側はさほど自分たちの作品を聴くとも思えないからこの音の軽さをどう認識しているかは分からん。聴いていると案外これまでのポップ路線と変わらないのかも、などとも思う。それでも何度も何度も聴くアルバムじゃないかな。