ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

Jeff Beck - Live (Official Bootleg USA '06)

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Jeff Beck - Live (Official Bootleg USA '06)
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 テクニカルなフュージョンジャズを聴いてから普通おロックやポップスを聴くと随分と物足りなく、また可愛らしく思えてしまい、大人の音色のジャズとは言ったものだと苦笑いしてしまったが、その隙間を縫ったジェフ・ベックのライブアルバムに参加したヴィニー・カリウタの仕事に戻ってみれば、テクニカルな楽しみと共にロックのパワーと醍醐味を味わせてくれるプレイ。時間を取りながら集中的に聴けるならジャズ・フュージョンやテクニックの応酬が繰り広げられるライブアルバムも心地良くハマれるが、そればかりでは疲れるので、合間のジェフ・ベックはナイスな選択だったが、聴けばそれでハマる魅力が大きいので結局は聴きまくっている。

 Jeff Beckが2006年に行ったツアーからのライブアルバム「 Live (Official Bootleg USA '06)」。タイトルはオフィシャルライブだがオーバーダビングも編集も一切していない意味でのブートレッグ名が付けられており、この時代でもまだ生ライブそのままをオフィシャルでリリースする事が珍しかったと言うべきか、リリースする側の認識が古いか。2006年なら既に生ライブを丸ごとリリースした作品も多かった気がするが、定かではない。この頃ジェフ・ベックが復活してアグレッシブに活動していたからオールドリスナー達は割と幸せな時代で、ライブも聴けて見れて楽しめるようになり、自分もその流れてジェフ・ベックを改めて認識してそのカッコ良さを納得して更に好きになった方が大きい。本作収録曲はいずれも新しい時代の曲が多く、テクニックとバンドのインタープレイの応酬にはぴったりの曲ばかりで往年の4ピースバンドで再現しているが、とても4人の演奏とは思えないレベルの幅広さと音数の多さがジャズ・フュージョンにはまるで見劣りしない素晴らしきプレイ。

 そこに名曲郡や聞き慣れた曲が織り込まれるから熱気は増すが、ここまでのメンツになるとフュージョンもロックもさほど変わらないように思えつつ、聴けば全く異なるアプローチが不思議。ジェフ・ベックを始め、ピノ・パラディーノもロック畑でしかないし、ヴィニー・カリウタもやはり同じくと鍵盤奏者のジェイソン・リベイロはスティングと仕事していたからヴィニー・カリウタが引っ張ってきたか、やはりポップ・ロック系に属する人で、だからこそロック色満載のインタープレイライブか。もっとも音のぶつかり合いではなく、ジェフ・ベックのギターを存分に聴かせる方が強いので、ロック色が強くなるのも当然だが。

 ヴィニー・カリウタのドラムの快活さがジェフ・ベックの粘っこいギタープレイと相反する感触が心地良く、ドラムは軽めながらギターが重い不思議と頼もしいスタンス。これまでのジェフ・ベックのドラマーは大抵重いプレイヤーだったので、この軽やかさが楽しかったとも思える。今もあまりスタンスの変わらないジェフ・ベックのライブだが、全くカッコ良いプレイ。



Chick Corea, John McLaughlin - Five Peace Band Live

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Chick Corea, John McLaughlin - Five Peace Band Live (2009)
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 ヴィニー・カリウタの出自はザッパからだが、飛び出してからのキャリアの積み方がハンパなく、メジャーなポップスターからマイナーな日本の歌手のバックまで仕事を選ばない職人芸を披露しているからセッションドラマーで引っ張りだこ状態となった。考えられる構造には稼げる仕事と自身の高みへの挑戦とやりがい、好みのスタイルに向かうセッションと分けられるが、スティングに重宝されたドラマーの座はその両者を担ったパートナーにまで役割を上げている気がする。一方でチック・コリアにも見出されていたからエレクトリックジャズ、フュージョン界からも声がけされているが、その手前にはジェフ・ベックと演奏しているからロック畑では知られているテクニカルドラマーで軽快な人の認識。自分もこの時に改めてヴィニー・カリウタを知り、ザッパ時代を再度聴いて納得しながら味わっていた。

 2009年にチック・コリアとジョン・マクラフリンが両者とも70歳を過ぎての最後の久々の邂逅共演を図ったライブセッション「Five Peace Band Live」のメンバーにヴィニー・カリウタは抜擢されており、マイルス門下生のアルトサックスのケニー・ギャレットとクリスチャン・マクブライドのベースとバンド名通りに5名でセッションを繰り広げたアルバムがリリースされている。この後ヴィニー・カリウタは来られなかったが、来日公演も果たしており、その齢を全く感じさせないアグレッシブなプレイを存分に披露していたとの評が見られる。本作を聴けばその評も納得するライブが見事に聞かれ、全くブレないエレクトリックジャズの巨匠たちの白熱したプレイを味わえる。CD2枚組もの長尺加減の通り、どの曲も10分以上、セッションが白熱すれば30分近くの演奏も収められている緊張感の高い演奏は全盛期に劣らない素晴らしさ。

 序盤こそチック・コリアもジョン・マクラフリンも抑え気味で、サックスのケニー・ギャレットが心地良いメロディアスでおおらかなサックスを聴かせるシーンが多く、ゆったりとしたムードも出ているが、徐々にその流れを許さないかのようにチック・コリアが独特のエレピの音色で隙間を縫いながら白熱してくる。更にジョン・マクラフリンも人間技を超えた次元のプレイを弾きまくり、バンド全体が白熱するレベルの高みでバンドのセッションが展開される。マイルス・デイヴィス時代の曲のメロディも取り入れられ、そこにはゲストでハービー・ハンコックが参加してそのテンションを更に上げているから凄い。

 アルバムジャケットは60年代のサイケデリック・ロック時代をモチーフにしているが、そんな古い連中が奏でた21世紀の5人組のライブはここまで出来ると証明して嘲笑っているようなジャケットで微笑ましい。職人ヴィニー・カリウタもこういったセッションで当然本領発揮して目立たないながら確実に抑え、シャープなプレイと間を活かしたリズムを奏でてアグレッシブなプレイに参加した鉄壁のプレイ。ロックの白熱セッションよりも高みにある楽しみ方。







Frank Zappa - Tinsel Town Rebellion

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Frank Zappa - Tinsel Town Rebellion (1981)
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 プログレを探求するといつしか一人で深くハマる鬱な世界に陥るので、少々逸した方向が好ましいと思って久しぶりのザッパ。1981年リリースの「Tinsel Town Rebellion」。この頃からいくつものライブ音源を纏めて一つに仕上げていく手法を楽しんでいたようで、本作もアナログ時代は2枚組の大作ライブアルバムでリリースしていた。冒頭の「Fine Girl」だけがスタジオアルバムで、素晴らしき演奏が聴ける「Easy Meats」は各所のライブを編集した絶妙な一曲。以降はライブ寄せ集めアルバムだが、普通に聴いててライブらしさはほとんど見当たらない完璧な演奏が聴ける。

 冒頭の「FIne Girl」だけスタジオ盤と言えども、普通にドライブとグルーブしたレゲエで以降のライブ臨場感のある曲と大差ないので凄い。ライブの方は完璧な演奏でスタジオ盤と大差ないとも言えるが、珍しくどの曲も分かりやすいアレンジに仕立てられているので説明しやすい。レゲエやドゥーワップ調が中心にありながらのアクセントなハードロックやおふざけアレンジ曲で占められているから、賛否両論ありつつも聴きやすいアルバムの上位に入る。取り付きやすい名前には成人を迎えたスティーブ・ヴァイが採譜係から昇格してライブに参加している最初期の録音が聴ける。参加メンバーはいつもながら多数で、ロック畑に知られる名前ではヴィニー・カリウタ、ウォーレン・ククルロも参加しているライブ。

 音楽的にライブ的には明るく楽しもう雰囲気満載で後のビデオ「音楽にユーモアは必要か?」で見られるままだが、いつもの如くギタープレイの哲学的な信念が貫かれているザッパのギタープレイは一際浮き立った素晴らしさで飛び出してくる。ギタリスト参加はザッパ他4名連なっているので判別しにくいが、ザッパのギターは個性的すぎる。後に名を馳せるヴァイのギターはソロプレイはほぼ聴こえてこないか判別できるレベルではないので解読不能。ザッパのプレイに引き続いて出てくるプレイで怪しいのがいくつかあるが、詳細はどこかのサイトにあるだろう。

 普通にザッパ聴いてて楽しめるアルバム。歓声も入っているしMCもあるのでライブらしい臨場感はあるが、均一な音質で違和感なく、最後の「Peaches III」の新アレンジまで存分に一気に聴けて楽しる快活な作品。70年代の実験色から80年代は垢抜けた爽快感に変化し、ライブ編集の技から多数のアルバムもリリースされて日本語訳と共に笑って楽しんだアルバムが多い。勢い余ってライブボックス全てを揃えてしまった若さが懐かしい。







Twelfth Night - Fact And Fiction

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Twelfth Night - Fact And Fiction (1982)
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 ネオプログレッシブ・ロックと言えばピコピコ系のジェネシスフォロワーばかりでキャッチーでポップながら楽曲のアレンジは妙に凝っている、それでも80sの陳腐なデジタル機材とシンセサイザーを駆使して作り上げているバンドから始まったと解釈していたが、Twelfth Nightの存在は知らなかった。80年代に出てきたネオプログレバンド郡の一角で名が挙がっているが、日本ではほとんど同列に語られていなかったように思う。自分が収集した情報から漏れていただけかもしれないが、勿体なかったと深々と思ったバンドで、改めて聴くとカッコ良さと真実味を味わえて到底80年代風味は無縁な世界。

 Twlfth Nightの1982年リリース作品「Fact And Fiction」。バンドを一言で表すならばVan der Graaf Generatorのピーター・ハミルの世界を模倣している、もしくは類似した作風と歌声と歌唱によるバンドのスタンスが硬派に出ているアルバムで、ジェネシスフォロワー色は無縁の異なる面でのプログレフォロワーバンド。ただ、前例のVdGGはあるものの、そのポリシーの強さとスタンスはTwelfth Night独特の力強さを感じるので、当人たちがどこまでVdGGを意識したかは未知数。普通に音を表現したらこの姿になったとも思えるし、楽器演奏陣営のレベルの高さも垣間見れる作品。音の質感も硬派で安っぽさはなく、曲の強さが顕著に表れているから明らかにロック路線そのままで、軟弱なネオプログレの印象はまるで持たず更に繊細な精神世界の作風まで紡ぎ上げられているから、70年代風のプログレッシブ・ロックの精神が作品全てに渦巻いている硬派さ。

 ポップなメロディは見当たらず、軽やかなスタンスに流される様子もなく、今のポーランドのプログレメタルに通じるポリシーはTwelfth Nightが元祖のひとつかもしれない。当時ロックシーンに浮上していたパンク以降のニューウェイブの流れをプログレッシブに取り込んだ色合いの方が強いからダークな世界と硬派な世界を味わえる節が強そうだ。曲調からネオプログレとされるが、ロックスタンスは明らかにパンク系統の流れと異色さを放つバンドでカルト的人気を誇る。







Pendragon - The Jewel

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Pendragon - The Jewel (1985)
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 80年代の音楽界は様々な意味で革新的で綺羅びやか、一方で陳腐で安っぽい不思議な側面も持つ両極端な時代。前者はバブリーな成果で70年代の陰鬱さから脱却して前に向いた時代だから、後者はデジタル最初期だからやむを得ないが、新しいサウンドだったから革新的なプレイヤーは皆取り込みたくて挑戦した結果の反動。この時代のほぼすべてのアルバムにこのチープさが当てはまるために80年代を代表する音色である反面、作品の良さを損ねている場合もある。

 Pendragonの1985年リリースのファーストアルバム「The Jewel」も例に漏れず時代を反映した音色のアルバムに仕上がっており、全く陳腐なアルバムに聞こえてしまう残念さが作品の鋭さと革新性を損ねている。今聴いてもこの音色と音処理は聴き辛く、聴く意欲を削がれるレベルにあるが、Pendragonの楽曲の豊かさと面白さがアルバムを聴き通させてくれる実力派。音色を聴けば当時のポップ・ロックサウンドで、少々凝りすぎながらもロック色ではなくキャッチーさが前に出てくる印象だが、目一杯プログレッシブなサウンドとアレンジが施されており、新人バンドのデビュー作にしては手がかかりすぎている素晴らしいレベル。ジェネシス風な壮大なファンタジックサウンドもありながらハードなギターをフューチャーしながらもプログレッシブに展開していくプレイも聴き応え満点で、更にシンセサイザーの音色も潤沢に使って安っぽいが音楽の幅を広げて展開している。

 同時代のポンプロック勢の中では最もロックに寄せたバンドの音で、硬派な面が見え隠れする一本気な主張が強み。ネオプログレッシブ・ロックと呼ぶには案外後世まで残されなかったアグレッシブな姿勢は純然たるジェネシスフォロワーではなく、70年代後期にバンドが結成されていたキャリアの長さから染み付いたロックの色合いか。その分オールドリスナーでも聴けてしまう骨太さが評価も高くなり、音色のチープさを補って余りある芯の太さを持つ。



IQ - Nomzamo

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IQ - Nomzamo (1987)
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 ネオプログレッシブ・ロックの位置付けで活躍し始めたと言えば聞こえも良く、ロック史でも真価を発揮しているバンドと頷けるが、序章は決して平坦な道でもなく、得てして単なるポップで軽快な作品で魂を売っているとも言われがちな音世界。70年代のプログレバンドが没落した結果のポップ化を模倣して新たなるプログレッシブ・ロックと称してのネオプログレとしたら随分な話。結果的にその側面から捉えられてポンプロックと評されるが、単にポンプなだけでなく、80年代に出てきたから80sの独特の音色が軽やかでチープに鳴り響き、更に偽物感が強く聞こえてしまう不運。案外出来映えは素晴らしい曲やアレンジも多いが、ビートを効かせてキャッチーなメロディを明るく奏でる時点で異なるセンス。

 1987年にリリースされたIQの3枚目のアルバム「Nomzamo」は既にオリジナルのボーカリストから交代しての作品で、これまでのジェネシス模倣路線からポップに舵を取り、軽快でキャッチー且つ綺羅びやかな音質で新しい世界観を打ち出した意欲作。馴染むまでに時間は掛かるが、出てくる音は後のネオプログレを知っていれば何ら不思議もないファンタジックで軽めの作風ばかりで、安っぽいシンセの音色は耳に付くが、プログレッシブ・ロックバンドと言えるレベルは当然の練られた楽曲で彩られている。骨っぽいロックの世界やHR/HMからはかけ離れた音楽性だから、同じリスナーが聴くと思えないが、ポップス好きリスナーが耳にする機会も少ないから、新しいジャンルの開拓者。Marillionと共に打って出てきたバンドサウンドはオールドリスナーには受け入れられなかったが、ニューエイジリスナーには好意的に迎え入れられた。

 結果的に今でもネオプログレが存在し、既に進化した新しいジャンルを形成しているから、本作はその耳で聴けば元祖の要素は持ち合わせたアルバム。IQリスナーからは既にポップ化しすぎている評もあり、メンバーチェンジの影響もあるが、概ね世間的評判は悪くはない。ただ、この時点でほぼまるで売れなかったのでカルトバンドの道を歩むが、それでも歴史は彼らを認めている。偏見なしに、また80年代の音を覚悟して聴ければドラマティックでファンタジックな旋律は出てくるアルバム。自分の好みだけで書けば音もボーカルもすべて好ましくないが、本質はプログレッシブ・ロックエッセンスに溢れた作品と聴ける複雑な心境。