ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

Boxer - Absolutely

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Boxer - Absolutely (1977)
Absolutely

 古いロックはその時代だけで切り取ればハードロックだと言われたが、今聴けば普通にポップスの範疇内のレベルと思われるバンドやアルバムも多数あったりして面白い。KISSを例にとってみれば分かるが、イメージはああいう悪魔的恐怖感を募らせるから音も超絶ヘヴィな印象があるがその実音だけを聴いているとビートルズ並みにポップなのは周知の事実。今じゃキャラクターアイコンにもなってしまって、古き良きアメリカンコミックヒーローのような扱いだ。面白い。

 Boxerの1977年リリース3枚目の作品「Absolutely」。録音順だと3枚目になるが、リリース順では2枚目になるようだ。前作「BLOODLETTING」が1979年に後からリリースされているからこのヘン、順番が逆になっている。自分的ボクサーの印象はパトゥーとオリ・ハルソールのイメージが強く、他にもトニー・ニューマンやJuicy Lucyの人で組んでたバンドだろうと。トコロが本作のクレジットを見るとティム・ボガードとパトゥーで、他あまり知らないメンツだった。さて、と調べてみればスパークスのギターが加わっているらしく、パトゥーはいないらしい。それはそれで新鮮なサウンドとの出会いにはなるので良い面もあろう。

 泥臭くキャッチーに迫るクセは相変わらずではあるが、どうにもどこから斬っても英国ロック。スワンピーでファンキーなサウンドを展開しているが、この頃流行していた音なので、そのヘンは取り入れている。そこにティム・ボガードのベースがブリブリと鳴り響くので妙な感触。ギター聴いてるとなるほど元スパークスか、と分かる気がする。曲調もどこか似た雰囲気を感じるのもあるが、当然作者が異なるので気のせいだろう。一言で書けばキャッチーなロック。今の時代に聴き直すとどこにも属せないサウンドのアルバムかもしれない。素晴らしき英国ロック。







Mr.Big - Photographic Smile

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Mr.Big - Photographic Smile (1977)
フォトグラフィック・スマイル

 掴みどころの無いままにヒット曲を放ってしまい、歴史に残るバンドになっている。それでも既に忘却の彼方にあり、いつしかバンド名すら識別可能なネーミングが付けられているのも悲しい。Mr.Big(UK)ですよ(UK)って付くのが近年の呼び名のようだ。それは当然ながらアメリカでポップなメロディアスを武器にしたハードロックバンドがMr.Bigとして知られているからだろう。今更そんな話を書いてもしょうがないが、自分では随分古くからこのMr.Big(UK)を知ってたからちょいと違和感ある。リアルタイムではないが。

 そのMr.Big (UK)の1977年リリースのセカンド・アルバム「Photographic Smile」。ツインドラマーながらの4人編成バンドからフロントに一人メンバーを追加してのセカンド・アルバム、それでもサイモン・フィリップスをゲストで迎えるとはどういう理由だろうか、やはり腕の問題が大きそうだが、それはともかく、Mr.Big(UK)と言えばキッチュでポップで不思議なおもちゃ箱のようなサウンドを奏でるバンドだ。その風貌からは思い付かないキラキラポップが飛び出してくるから面白い。本作も冒頭からハチャメチャなポップ曲が飛び出してきて、思わずドギマギしてしまう。クイーンの流れが一番近いだろうか、しかも初期のクイーンからカッコ良さを抜き取ったサウンド、そこにELO的な実験色をふりかけながらアイルランド風味で味付けしている感じ。

 リアルタイムなリスナーはかなりハマった人が多かったらしく、その勢いを受けてのセカンド・アルバムだからヒット曲「恋するロメロ」が入っているが、今の時代に聴けば「ロメロ」が突出しているものでもなくアルバム全体があのテイストに溢れている。そしてアルバムB面ではひとつの組曲が構築されているので、より一層ドラマティックに楽曲が紡がれていくのも面白い。恐らく今聞いてもかなりの突き抜けた名作アルバムとも言える。そして時代的にファンクネスな流れも持ち込んでいるワケの分からなさ。全く英国ロックは不思議だ。



Tucky Buzzard - Warm Slash

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Tucky Buzzard - Warm Slash (1971)
Warm Slash

 決してマイナー向きなサウンドじゃないしバンドとしてもメジャーレベルにある音を出していながらも結果的には売れなかったからB級バンドとして数えられている場合もある。一度売れて失墜していったバンドはB級にも残らないので、それに比べりゃマシかもしれないが、メジャーで十分に成り立っていたのにタイミングの差が実力の程か、勿体無いバンドも数多くある。

 Tucky Buzzardはプロデュースにビル・ワイマンが、という事実がバンドのイメージを大きく分け隔ててしまった感もあるが、そういう話題があったバンドのひとつだ。1971年にリリースされたセカンドアルバム「Warm Slash」は既にバンドとして完成したサウンドを奏でていて、当然ながらマイナーに甘んじるサウンドではく、ブルース・ロックにちょいとハード路線を加えた当時の最先端とも言える音を出していたバンドだ。今聴いてもマイナーな香りはしない。バンドの実力もしっかりしているし、迫力もあるから何故残っていけなかったのだろうか、と色々と思い描いてしまう程だ。後に様々なバンドのアルバムでクレジットされているメンツもいるし、いくつもバンドを組み直している人もいる。それだけ実力があった証拠だ。

 このセカンドアルバム、実にしっかりとした好みのブルースハードロック路線そのまま。かと言ってどこかで聴いたことあるような音でもなく、ちょっと洗練されていながらもややダサいという不思議。楽曲の突き抜けた感が物足りなかったから売れなかったとも思えるが、ロック的には超絶ロックバンド。何せこの面構えだ。パッと見はアメリカのバンドに見えてしまうが、きちんと大英帝国人のバンドで出してる音も英国ロック。ハード路線ながらも多様な取り組みはしているので土臭さも楽しめる。幾つかアルバムをリリースしているので、それぞれ何度も楽しめる、ナイスなバンド。



Spontaneous Combustion - Spontaneous Combustion

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Spontaneous Combustion - Spontaneous Combustion (1972)
スポンティニュアス・コンバスション(紙ジャケット仕様)

 アルバムを出すミュージシャンすべてが本当に音楽理論や音の構造を知っているとは思えないが、それでもアルバムがリリース出来てしまうのがロックやポップスの世界。ある意味理論的な音楽を知らなくても音楽が出来てしまうのは才能だし、それで生き抜いていけるのは真の天才かもしれない。しかしやはりきちんと理論的に認識した上で音楽を積み上げる事に比べるとそのセンスの出し方が大きく異なる。どこかでそういう壁に当たるだろうから当然理解していくのかもしれないが。

  Spontaneous Combustionの1972年リリースのファーストアルバム「Spontaneous Combustion」。EL&Pのグレッグ・レイクが発掘したバンド云々が知られているが、この人マンティコアレーベルのストレイ・ドッグあたりもそうだが、割とヘンな発掘のセンスがある。しかもB級なセンスのハードロック風味のバンドが好きなようで、Spontaneous Combustionもヘンなハードロックバンドだ。ハードロックと言っても今のとは大きく異なり、歪んだギターで弾かれるパートが多いという程度で、それもリフが中心なのでそう聞こえるというだけで、音楽的にハードというものではない。それよりもそんなエッセンスと妙な風味を合わせたプログレッシブな感性を持ったバンドと言える。決して名盤ではないし聴かなきゃ損するレベルのアルバムでもないが、妙なセンスの使い方に感心する。

 こういうアルバムを聴いているとロックの可能性は無限だったなと感じる。アイディアを出しまくって曲を構成してバンドでこねくり回す、そんな味わいがどの曲からもにじみ出てくるから楽しめるし、その突拍子もない楽曲も納得できる。Spontaneous Combustionもそこまでの才覚はなかっただろうが、アイディアを詰め込みまくり、面白い試みを施すセンスは大きくあったからかグレッグ・レイクが引っ張ってきた。しかもEMIハーヴェストからのアルバムリリースだから、そういう期待も大きかっただろうが、今聴いてもこれじゃ無理だとは思う。しかし時代の成せる業、この妙ちくりんなアルバムでも今の時代まで聴ける素晴らしさを誇る。






Paladin - Paladin

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Paladin - Paladin (1970)
Paladin

 70年代英国アンダーグラウンドのバンドの奏でる実験色強いサウンドはアイディアの宝庫だ。今でもそういうバンドはあるが、この頃の熱気と比べるものではない。皆が皆ロックに色々なサウンドを混ぜ合わせて面白い試みを繰り広げて進化させていた時代、どんなアングラなバンドでもそういう実験色は大抵持っていてキラリと輝く個性にすらなっている場合も多い。

 Paladinの1970年リリースデビューアルバム「Paladin」もそんな一枚で、基本ロックサウンドだが、それに加えてのややアフロチックなスタンスを取り混ぜた色を出している。音を聴いているとバンドの演奏自体はかなり上手い部類に入るのでミュージシャン的にはその後の活動も含めて見れば才能溢れるメンバーだったようだから、ここでの実験色豊かなサウンドへの挑戦は狙ったものだろう。そして演奏もきちんとそこを目指してのサウンドを奏でていたと思う。ブルース色も根底にありつつ、アフロリズムを混ぜ合わせながらどこかハードにもプレイする時もあり、歌メロもきちんとある不思議な感覚のサウンドはこの手のサウンドが好きなリスナーを取り込む魔力を放つ。

 Paladinと言えば大抵はセカンド・アルバム「チャージ!」のロジャー・ディーンジャケットを思い浮かべるだろう。自分もそうだが、本作のシンプルなジャケットではあまりにもアルバムのサウンドが良い割に売れなかった、知られなかった反省からセカンド・アルバムがジャケットだけでも話題になるように仕向けていったように思われる。アルバムの中身的には多分こちらの方がバンドの狙いを反映させた音のような気がするし。



Mighty Baby - Mighty Baby

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Mighty Baby - Mighty Baby (1969)
Mighty Baby

 ここのトコロ、自分のブログのヌケモレを補完すべくライブラリを漁って聴き直している日々が続いているが、まだまだ出し切れていない作品もマイナーモノからメジャーものまで含めてそれなりに数がある事に気づいた。当然整理しながら書いてはいなかったから後で見返すとそうなるのは当然か。思えば結構な年数を掛けてこのブログライブラリを築き上げているものだと我ながら呆れる。何かで活かせれば良いがそれも意識してないからどうにも…。

 Mighty Babyの1969年リリースファーストアルバム「Mighty Baby」はほぼ一年前の1968年には録音完了していたと言われている。元々The Actionというモッズバンドのバックを務めており、その実力はプロミュージシャンの中では知られていたらしく、数々のセッションにバンドごと参加している。大抵はトラッドフォーク系の主の元でセッションしていたようで、リチャード・トンプソンやサンディ・デニーとのセッションは割と有名。そんなバンドが自らを出し尽くすためのアルバムをリリースしたのが本作「Mighty Baby」。これがまた実に素晴らしい名盤に仕上がってて、聴く者の耳を惹き付けて止まない。サイケデリックとも言えるしカラフルなポップとも言えるし、時代を反映したロックとも言える。60年代の集大成的サウンドが凝縮されているようにも聴けるし、サンフランシスコへの望郷もあろうか。そんなスタンスが見れる素晴らしきアルバム。

 実力あるメンバーによるアルバムだからこそ出来上がった作品だろうが、バランスも文句なし、楽曲も素晴らしくロックとポップの間を縫ってて、ユニーク。大げさに書けば、ジミー・ペイジがレッド・ツェッペリンをフォーク寄りのバンドにしていたらこういうバンドになっていたとも思えるスタイルも各所で聴ける。無国籍な楽曲にそのスタイルのギターソロが突如差し込まれる楽曲もあり、バンドのカラフルさも含めて何ら遜色なく聴ける名盤。