ロック好きの行き着く先は…

60年代のブリティッシュロックから70年代黄金期を聴きまくり、行き着く先はマニアへの細くて深い道のみか。それでも楽しいロックこそ我が人生。 by フレ

Roger Daltrey - Parting Should Be Painless

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Roger Daltrey - Parting Should Be Painless (1984)
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 ミュージシャンにも色々な方々がいて、音楽センスに長けた人は曲やアレンジで才能を発揮するし、歌の上手い人や楽器の上手い人はプレイヤーとして大成する事もある。後者の場合に不思議なのはそこまで音楽の才能あるのに曲は作れなかったりする人も多い点で、才能の使い方が異なるから、または納得できるレベルの曲が出来上がらないから、そこまで作る術を学べていないからとの理由かもしれない。それでもアルバムは作れるし売れるのだから商売は色々だ。

 Roger Daltreyの1984年リリース作「Parting Should Be Painless」を久々に聴いてみた、と言うか聴いた記憶すら残っていない程に昔は面白味を感じなかったアルバムの記憶だが、折角ミートローフ絡みで名前が出てきて、しかも同じ年の1984年作品だからあれだけの声が出せていたし、もしかしてそういう曲もあるだろうとの期待。ところが聴いてみるとどこもかしこも期待を外してくれるアルバムで、ロジャー・ダルトリーの良さ、パワフルかつ大雑把で熱唱している姿はあまり聴かれない。ある種封印しているのではないかと思えるくらいに地味なアルバムに仕上げている。更に言えばロジャー・ダルトリーは上記の後者に属するシンガーなので他人の曲を歌っているばかり、即ちアルバム全編はロジャー・ダルトリーの歌声がメインだが、作風に一貫性はなく、果たしてどういう作品を作りたかったのかよく分からない。ある曲を歌ってそのままひとつのアルバムにしましたと言うのでも良いかもしれない。多分そうだ。

 大人になってから聴いてみると、随分マイケル・ブレッカーのサックスが美しく、クリス・スペディングもギターもさり気なく、そして何よりもロジャー・ダルトリーのハスキーでパワフルな歌声が心地良く染み入る、渋みを持った作品に聴こえるから面白い。歳と共に成熟したアルバムになり、聴いてみれば曲の良さやバラつきはさほど気にならず、きちんとロジャー・ダルトリーがやりたかった世界、少々ムーディで物静かな楽曲アレンジの中で静かめに、そしてパワフルな部分も含めて歌い上げるスタイルを堪能できる。そういう聞き方でアルバムを楽しむゆとりがないとそれは無理だったろうが、ユーリズミックスの二人が曲提供しているのもあったり、ブライアン・フェリーも然り、なかなかユニークな人脈を持っているようだ。





Meatloaf - Bad Attitude

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Meatloaf - Bad Attitude (1984)
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 80年代ってこんな音だったなと思うばかりのチープなサウンドに懐かしさと古さを覚えるが、どの時代でもそれぞれの時代の音が詰め込まれているのもアルバムの良さで、今聴いても新しい音などは存在しない。古さが良い音、として聴けるかだ。ほんの10年前のアルバムの音だって今聴けばやはり古さを感じるし、アレンジにしてもミックスにしてもそう思う時があるから全て含めて常に進化している世界だし、そう考えると何年バージョンのリマスター盤などと喜んで手にしてもあまり意味はなかったのかもとすら思うが、その時々良く聴けたならそれで良かろう。

 Meatloafの1984年復帰作「Bad Attitude」は当時からよく見かけたが、どう見ても普通の作品のアルバムジャケットに思えず、いつも見ていただけのアルバムで、そもそもミートローフも知らなかったから勇気を持って手にするには少々ハードルが高かった。その頃にもっと情報があれば多分手に取ったアルバムになったと思うが、当時人気の映画だった「Street of Fire」でダイアン・レインが歌うように見える「Nowhere Fast」のオリジナルバージョンが収録されているし、そもそもロック的には冒頭のタイトル曲でThe Whoのロジャー・ダルトリーと共演しているなどと全然知られていない事実が判明している。ミートローフのオペラティックな声量と歌唱法に対してロジャー・ダルトリーも負けじとばかりにまだまだ全盛期とも言える熱唱ぶりを聴かせてくれるのは是非聴いてほしい。

 それにしてもジム・スタインマンと組んだミートローフの作品はどれ聴いてもドラマティックで大げさすぎるくらいのオペラティックな曲ばかりで、それは曲がそうなのかミートローフがそうなのか、アレンジがそうなのか、とにかく派手派手な演出に聴こえるから面白い。仰々しいと言うのか、とにかく派手。そういうアレンジの方法を発揮できるのもこの人達の強みで、音はチープなくせにやたらとウネウネして聴きたくなる妙な魅惑を放つミートローフは実は結構好きだ。







Foreigner - 4

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Foreigner - 4 (1981)
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 キング・クリムゾンのイアン・マクドナルドが関わっていたバンドにフォリナーがある。一方80年代とは言わないが、その前後でアメリカの産業ロックバンド的に語られるフォリナーがある。当時は英米人混合バンドとして知られていて、レーベルがアトランティックだから実力派のバンドとして語られていたようだが、産業ロックとまでは言われなかったかな、自分的にはそのヘンの差があまりないように聴こえていたから大した耳ではない。

 Foreignerの1981年リリース4枚目の作品「4」と、タイトルそのままだが、これがまた快活でカッコ良い。英米人混合とは言ったもので、確かにアメリカの快活な産業ロック路線的サウンドが背景にあるものの、どこか影のある湿った感も漂っているのはユニーク。本作では既にイアン・マクドナルドは脱退しているのでそこまで英米人混合バンド的な要素も多くないような気もするが、サウンド聴いているとそうでもない。若き日のトーマス・ドルビーも参加しているらしいが、さほどの興味もないのでよく分からない。それよりもこの微妙なセンス感覚が面白くてついつい聞き入ってしまった。

 元々ハードロックバンドでもなかったが、ここに来て明らかにハードロックバンドになり、更にアメリカンではない雰囲気を漂わせている所が通好みだろう。ここにイアン・マクドナルドが在籍していたとはホント、不思議な感覚でしかなく、もっと牧歌的なイメージが強いからか。アルバムは快活に楽しめます。スピード感やパワフル感はアメリカンながらメロディ面はそこまででもないマイナー的センス、鍵盤の音色がチープながらも時代独特の雰囲気を出したアルバム。





Suvivor - Eye of the Tiger

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Suvivor - Eye of the Tiger (1982)
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 産業ロック路線は80年代に一世を風靡した面ある。ジャーニーやサバイバーからボン・ジョヴィ、エアロスミスまでも巻き込んでのハードロックでありながらもメロディアスでパワフル、さらにキャッチーで快活、皆で大合唱出来るようなコーラスやサビを配して音数も少なく疾走感溢れる作品が多くなる。別に悪いモンじゃないし、売れなきゃ意味ない世界だから支持された。そりゃ売るために作られてるのだから売れるだろう。その分ロック好きな連中からはあまり評価されなかったと言うか好まれなかった。もっと本物を聞きたかった、見たかったからだろう。

 Survivorの1982年大ヒット作「Eye of the Tiger」はご存知「ロッキー3」の映画主題歌で知られているし、そのPVも当時はガンガン流れていたので知られているだろう。自分的にどう聴いていたかと思うと、曲のパワフルさの割にPVがダサくてどうにも、との印象で結局ロックは格好からとの持論からするとこの手のはダメだった。曲が好きと言うのでもなく、単にMTVで良く見かけた程度の印象。当時、レコード屋やレンタルレコード屋によく通っていたが、その頃このアルバムジャケットをレジに持っていく人たちを何度も見かけたからアルバムが売れてたのは記憶にある。そんなアルバムを今更ながらまた聞いてみるが、なるほどこういうアルバムだったか、と初めて知った。

 良くも悪くも「Eye of the Tiger」1曲が全てを物語っているバンド、アルバムとも言える。ホントはもっとバンド的に色々な試行錯誤があって良かっただろうが、どうしてもその一曲に縛られてしまうから大ヒット一発屋的イメージが付いてしまうと普通にアルバムを評価できない。丹念にアルバムを聞いていると楽曲アレンジもそこそこ凝ってる面もあり、Led Zeppelin好きなのかもな、と思わせるような音作りやアレンジも聴かれるから悲運なバンドだったか。





Journey - Departure

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Journey - Departure (1980)
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 70年代から80年代に移り変わる手前にロックの世界ではエドワード・ヴァン・ヘイレンがとんでもないギターを引っ提げてシーンに登場し、そこからシーンは様変わりして一気にテクニカルなギターサウンドが加速した。ロックそのものも常に変化していったが、良くも悪くも商業路線ロック、産業ロックと呼ばれる世界が加速し始めたのもその辺りだが、改めてそのヘンを80年代のサウンドとリンクさせて考慮してみるとかなり革新的な変化だったとも思える。何となくの流れでジャーニー聴いてて、このキャッチーさは凄いな、時代的にかなり初期だから革新者だったかもと思った。

 Journeyの1980年リリース「Departure」。彼らのキャリアの中では地味な印象すらあるアルバムだが、1980年、言い換えると70年代の末期にこれだけ洗練されたサウンドを出していた所が凄い。アルバム全体で聴けばそこまで洗練されているようにも聞こえないし、確かに地味な印象すら漂うが、冒頭のヒットチューン「Any Way You Want It」がとんでもなくキャッチーで産業ロックそのまま的なスタイルで度肝を抜く。当時もそういう印象だったと思うが、正にアメリカでしか出てこないだろうこのキャッチーで快活なメロディーにパワフルなバンドスタイル、それはニール・ショーンの歪んだギタープレイもあるが、それが曲を邪魔しない。更にスティーブ・ペリーの歌声の素晴らしさも華を添えているが、ひとつのジャーニー的解釈がここで確立されているのは間違いない。

 その冒頭の印象が強すぎて他の曲が地味に聴こえてしまうキライはあるが、じっくり耳を傾けているとやはりスティーブ・ペリーのボーカルが凄く、バラードだろうがロックだろうが微妙な路線の楽曲だろうが個性際立ちまくりでさらりとあの声量で歌い上げてくれる。上手い人は上手いものだ。大衆に嫌われるハズのない快活でパワフル、そして哀愁もあり上手くて爽やかなロックバンド、ジャーニー。なるほどこれはウケたハズだが、自分的にはなかなか昔はそこまで響かなかった…。





Billy Joel - An Innocent Man

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Billy Joel - An Innocent Man (1983)
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 80sはやはりひとつのシーンだったように思う。90sとも00sとも違う、また70sほどの革命期でもないし、音楽的に価値があったかどうかなどは分からないが、面白い時期に多感期を過ごしたと思う。いつの時代でもポップとロック、変わり者の民族的な音やアコースティックや黒人系白人系など様々な音楽がヒットチャートやシーンに登場して、その辺りから自分の好みは見つかるし、友人たちとの感覚の違いも認識出来る。そういう意味でヒットチャート番組やラジオは有意義な機会を提供してくれていた。

 Billy Joelの1983年リリース9枚目のアルバム「An Innocent Man」はベテランが売れるにはちょっと売れ過ぎただろうと言うアルバムだ。しかもシングルカットが10曲中6曲もあり、それがまたヒットチャートにどれもこれも入っているのだから恐れ入る。それこそ正にアルバムと呼ぶに相応しい。この頃は他の売れ線ミュージシャンでも7〜8曲がシングルカットなどザラにあったので、スーパースター期の証明でもあったか。この80sビリー・ジョエルから入ると他の作品とのギャップを著しく感じると思うが、本作が異質なアルバムだと認識した方が良い。基本この人はハードロックバンドAttilaの人で…、なハズもなく、ピアノ演奏者なので少々上品な作風、演奏を売りとしていた。ただ、それでもヒットを放っていたし、十二分にベテランの安定的に売れる人にもなっていたが、その余裕もあったからか本作では本人の趣味の世界、50sの黒人系サウンドの模倣を中心としてポップ側に寄せての作風となっている。だから冷静に聴けばオリジナリティはさほど見当たらない作品のハズだが、そこからヒット出しまくるのだから凄い。顔で売れてる訳じゃないから、やはりその音楽センスだろう。

 古き良き懐かしき50sドゥーワップ調サウンドをベースにキャッチーに聴かせてコーラスもたっぷり入れて軽やかに流されるムード満点の楽曲集。ところどころで得意のピアノもカマしてくるから個性は十分出せるし、好きな路線をアレンジしているから楽しそうだし、確かに幸せに溢れているかのような作品。調べてみれば離婚後に新たなガールフレンドと出会ったばかりの一番ホットな時期の作品らしいので、それも手伝っているだろう。それにしても害のない軽快な素晴らしき作品。